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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
管理番号 1362327
異議申立番号 異議2018-700957  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-28 
確定日 2020-03-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6349750号発明「EFEM」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6349750号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6349750号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6349750号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成26年1月31日に出願され、平成30年6月15日にその特許権の設定登録がされ、平成30年7月4日に特許掲載公報が発行された。
その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年11月28日 特許異議申立人星正美により特許異議の申立て(以下「本件特許異議の申立て」という。)
平成31年 3月20日付け 取消理由通知
令和 1年 5月24日 特許権者から意見書及び訂正請求書の提出
令和 1年 7月 2日 特許異議申立人星正美から意見書の提出
令和 1年 9月 5日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和 1年11月11日 特許権者から意見書及び訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)の提出
令和 1年12月20日 特許異議申立人星正美から意見書の提出

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の趣旨及び訂正の内容
令和1年11月11日に提出された本件訂正請求書による訂正は、「特許第6349750号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」と記載されているのを、「前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?8も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
明細書の段落【0014】に「前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」と記載されているのを、「前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーディグルを除去するフィルタ」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」と記載されているのを、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?8も同様に訂正する。)。

エ 訂正事項4
明細書の段落【0016】に「前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」と記載されているのを、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」に訂正する。

(2)訂正の理由
ア 一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1?8において、請求項2?8はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項1、3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?8に対応する訂正後の請求項1?8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)訂正事項1について
a 訂正の目的の適否
訂正前の請求項1に係る特許発明では、「フィルタ」は、「ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去する」ものとして特定されている。
これに対して、訂正後の請求項1に係る特許発明では、「フィルタ」が、「ガス送出口に設けられ、ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」とされている。このような訂正は、「フィルタ」が、ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するものであることを明示することで、「フィルタ」をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2?8に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の有無
訂正事項1は、特許掲載公報の明細書中の発明を実施するための形態の記載に基づいて導き出される構成である。
この「フィルタ」に係る説明として、段落【0036】には、「また、ガス送出口11には第1の送風手段としてのファン13aとフィルタ13bとから構成されるファンフィルタユニット13(FFU13)が設けられており、略閉止空間CS内を循環するガス内に含まれるパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室9内へ下方に向けて送風することによってウェーハ搬送室9内に下降気流を生じさせている。」との記載がなされていることから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正事項2について
a 訂正の目的の適否
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項2は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2?8に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の有無
訂正事項2は、特許掲載公報の明細書中の発明を実施するための形態の記載に基づいて導き出される構成である。
この「フィルタ」に係る説明として、段落【0036】には、「また、ガス送出口11には第1の送風手段としてのファン13aとフィルタ13bとから構成されるファンフィルタユニット13(FFU13)が設けられており、略閉止空間CS内を循環するガス内に含まれるパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室9内へ下方に向けて送風することによってウェーハ搬送室9内に下降気流を生じさせている。」との記載がなされていることから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)訂正事項3について
a 訂正の目的の適否
訂正前の請求項1に係る特許発明では、「送風手段」は、「ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する」ものとして特定されている。
これに対して、訂正後の請求項1に係る特許発明では、「送風手段」が、「処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられてガス帰還路に上方に向かって気流を形成する」ものとされている。このような訂正は、「送風手段」が、処理装置が接続される開口の高さよりも下方にあることを明示することで、「送風手段」をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2?8に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の有無
訂正事項3は、特許掲載公報の明細書中の発明を実施するための形態の記載に基づいて導き出される構成である。
この「送風手段」に係る説明として、段落【0037】には、「さらに、ガス帰還路10内のケミカルフィルタ14よりも背面側には、第2の送風手段としてのファン15が幅方向に亘って設けられており(図5参照)、当該ファン15がガス帰還路10の下流側、すなわち図4の上方へ向けて送風を行うことによって、ガス吸引口12におけるガスの吸引力を生じさせるとともに、ケミカルフィルタ14を通過したガスを上方へ送出し、ガス帰還路10内に上昇気流を生じさせている。」との記載がなされている。一方、段落【0030】には、「筐体3は、ウェーハ搬送装置2の四方を囲む前面壁31、背面壁32、側面壁33、34と、天井壁35、底壁36、さらに上記の筐体壁31?35を支える支柱37a?37dとを含んで構成され、前面壁31に設けられた開口31aにロードポート4?4が、背面壁32に設けられた矩形状の開口32aにロードロック室61が接続されることで、内部で略閉止空間CSが形成されている。」との記載がなされている。そして、図2、図5、図3、図6には、「ファン15」が「開口32a」よりも下方に設けられていることが記載されている。したがって、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(工)訂正事項4について
a 訂正の目的の適否
訂正事項4は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項4は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2?8に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の有無
訂正事項4は、特許掲載公報の明細書中の発明を実施するための形態の記載に基づいて導き出される構成である。
この「送風手段」に係る説明として、段落【0037】には、「さらに、ガス帰還路10内のケミカルフィルタ14よりも背面側には、第2の送風手段としてのファン15が輻方向に亘って設けられており(図5参照)、当該ファン15がガス帰還路10の下流側、すなわち図4の上方へ向けて送風を行うことによって、ガス吸引口12におけるガスの吸引力を生じさせるとともに、ケミカルフィルタ14を通過したガスを上方へ送出し、ガス帰還路10内に上昇気流を生じさせている。」との記載がなされている。一方、段落【0030】には、「筐体3は、ウェーハ搬送装置2の四方を囲む前面壁31、背面壁32、側面壁33、34と、天井壁35、底壁36、さらに上記の筐体壁31?35を支える支柱37a?37dとを含んで構成され、前面壁31に設けられた開口31aにロードポート4?4が、背面壁32に設けられた矩形状の開口32aにロードロック室61が接続されることで、内部で略閉止空間CSが形成されている。」との記載がなされている。そして、図2、図5、図3、図6には、「ファン15」が「開口32a」よりも下方に設けられていることが記載されている。したがって、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

ウ 明細書の訂正と関係する請求項についての説明
(ア)願書に添付した明細書の段落【0014】に記載された「前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」は、訂正事項2によって「前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」に訂正された。
段落【0014】には請求項1に対応する実施例が記載されている。
ここで、請求項1?8は一群の請求項であるため、請求項1?8が訂正事項2による明細書の訂正に係る請求項である。
したがって、訂正事項2は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。

(イ)また、願書に添付した明細書の段落【0016】に記載された「前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」は、訂正事項4によって「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段jに訂正された。段落【0016】には請求項1に対応する実施例が記載されている。
ここで、請求項1?8は一群の請求項であるため、請求項1?8が訂正事項4による明細書の訂正に係る請求項である。
したがって、訂正事項4は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし8に係る発明((以下、順に「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、
前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置と、
前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、
前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、
前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路と、
前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタとを具備し、
前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、
前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され、
前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されていることを特徴とするEFEM。
【請求項2】
前記ガス帰還路に更にフィルタを備えたものであり、このフィルタは前記送風手段の上流側に設けられる請求項1記載のEFEM。
【請求項3】
前記ロードポートを接続する開口と前記処理装置を接続する開口とが前記筐体の対向する位置に設けられており、
前記ガス帰還路が前記ガス吸引口から前記処理装置を接続する開口の両側を経由して前記ガス送出口に連続するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のEFEM。
【請求項4】
前記ウェーハ搬送室内にガスを供給するガス供給手段と、前記ウェーハ搬送室内よりガスを排出するためのガス排出手段とをさらに備え、前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられている請求項1?3の何れかに記載のEFEM。
【請求項5】
前記ガス供給手段により、前記ウェーハ搬送室のガスの一部が外部に流出した際に、流出分のガスを供給することで、ウェーハ搬送室の状態を一定に保つようにしている請求項4記載のEFEM。
【請求項6】
前記ガス吸引口にケミカルフィルタが設けられ、前記ウェーハ搬送室内のガスは前記ケミカルフィルタを介してガス帰還路に流入することを特徴とする請求項1?5の何れかに記載のEFEM。
【請求項7】
前記ウェーハ搬送装置が前記筐体の壁面に支持されていることを特徴とする請求項1?6の何れかに記載のEFEM。
【請求項8】
前記ウェーハ搬送装置は前記筐体内のガイドレールに沿って移動できるようになっている請求項1?7の何れかに記載のEFEM。」

4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が令和1年9月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

「結論
特許第6349750号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。
特許第6349750号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。」
「理由
・・・(略)・・・
第7 むすび
以上のとおり、請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証(特開平10-340874号公報)に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。」

(2)引用文献の記載、引用発明等
ア 甲第1号証の記載と引用発明A
(ア)取消理由で通知した、甲第1号証(特開平10-340874号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品製造装置と電子部品搬送装置との間で電子部品を移送するためのインターフェース部を気密に閉鎖するチャンバと、前記チャンバにおける電子部品製造装置側の側壁に形成された、インターフェース部と電子部品製造装置との間で電子部品を移送するための第1の移送口と、前記チャンバにおける電子部品搬送装置側の側壁に形成された、電子部品搬送装置とインターフェース部との間で電子部品を移送するための第2の移送口と、前記第1、第2の各移送口を開閉自在な開閉装置と、前記電子部品移送の際に電子部品が通過する移送空間と、前記移送空間に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置と、フィルタ装置からの吹き出し風速を一様にするためのプレナムチャンバと、移送空間とプレナムチャンバを結ぶレタンダクトと、前記チャンバ内においてプレナムチャンバ、移送空間、レタンダクト、プレナムチャンバと順に巡る循環気流を形成するための送風機と、前記所定の気流の温度調整を行う温度調整手段と、前記チャンバ内に外部からガスを導入するガス導入手段と、前記チャンバ内の雰囲気を排気する排気手段と、を備えてなる、局所密閉型清浄装置。
・・・
【請求項5】 ガス導入手段によってチャンバ内に導入されるガスは、不活性ガスであることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の局所密閉型清浄装置」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は清浄装置に係り、電子部品製造装置と電子部品搬送装置との間で電子部品を移送する移送装置を備えたインターフェース部の清浄に効果のある局所密閉型清浄装置に関するものである。」

「【0010】
【発明が解決しようとする課題】・・・
【0012】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、基本的にはインターフェース部を気密に閉鎖して低露点空気や不活性ガスを供給するようにしているが、インターフェース部内で発生した化学汚染物質を効率よく除去したり外部に排出できると共に、塵埃やパーティクルを捕集でき、さらに電子部品製造装置からの熱負荷に対しても対処できる新しい局所密閉型清浄装置を提供して、前記問題の解決を図ることを目的としている。」

「【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1の局所密閉型清浄装置は、電子部品製造装置と電子部品搬送装置との間で電子部品を移送するためのインターフェース部を気密に閉鎖するチャンバと、前記チャンバにおける電子部品製造装置側の側壁に形成された、インターフェース部と電子部品製造装置との間で電子部品を移送するための第1の移送口と、前記チャンバにおける電子部品搬送装置側の側壁に形成された、電子部品搬送装置とインターフェース部との間で電子部品を移送するための第2の移送口と、前記第1、第2の各移送口を開閉自在な開閉装置と、前記電子部品移送の際に電子部品が通過する移送空間とこの移送空間に対して所定の清浄気流、例えばダウンフローや水平層流を形成して吹き出し風速を一様にするためのフィルタ装置、プレナムチャンバと、移送空間とプレナムチャンバを結ぶレタンダクトと、前記チャンバ内においてプレナムチャンバ、移送空間、レタンダクト、プレナムチャンバと順に巡る循環気流を形成するための送風機と、前記所定の気流の温度調整を行う温度調整手段と、前記チャンバ内に外部からガスを導入するガス導入手段と前記チャンバ内の雰囲気を排気する排気手段とを備えている。
【0014】ここで、インターフェース部を気密に閉鎖するチャンバとは、名称にかかわらずインターフェース部自体を構成する外装パネルやフレームを一部又は全部利用して実質的にインターフェース部を気密に閉鎖するものであれば足りる。また電子部品には、ウエハやLCD基板、ハードディスク基板、その他薄板状の電子部品などが含まれる。・・・
【0015】この請求項1の局所密閉型清浄装置によれば、まずインターフェース部を気密に閉鎖するチャンバ内で、移送空間に対してフィルタ装置を通過した清浄なガスが送風機によって移送空間→レタンダクト→プレナムチャンバと順に巡っている。したがって、導入するガスの有効利用が図れ、しかも塵埃やパーティクルはフィルタ装置によって捕集される。またプレナムチャンバからのダウンフローや水平層流の温度は温度調整手段によって調整できるから、インターフェース部の内部に設置される送風機や、必要に応じて設置される移送装置などからの発熱を熱的に補償するほか、電子部品製造装置側からの熱負荷があっても循環気流の温度を所定温度に維持することができ、電子部品を熱から保護することができる。またインターフェース部自体から汚染物質が発生した場合であっても、ガス導入手段と排気手段とを備えているから、必要に応じて当該汚染物質を外部にパージすることも可能である。」

「【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態にかかる局所密閉型清浄装置1が適用された電子部品製造装置2、及びそのインターフェース部3周りの断面を示し、図2はインターフェース部3内をその正面側、すなわち搬送ロボットなどの基板搬送装置4側からみた様子を示している。これら局所密閉型清浄装置1をはじめとする各種の装置は、クリーンルームCR内に設置され、クリーンルームCRの天井部に設置された複数のファン・フィルタ・ユニット5によって、局所密閉型清浄装置1や半導体製造装置2など、クリーンルームCR内に設置されている各装置に対しては、図示のようにダウンフローが形成されている。もちろんダウンフローに限らず、水平層流であってもよいが、クリーンルームCR内の空気流は、乱流であっても構わない。
【0022】局所密閉型清浄装置1は、インターフェース部3を気密に閉鎖するためのチャンバを構成する側板11、12、13、14及び天板15を有しており、基板搬送装置4側の側板11には基板搬送装置4が所定位置に載置した密閉型のカセットCxとの間でウエハを移送するための移送口16が形成され、半導体製造装置2側の側板12には、半導体製造装置2との間でウエハを移送するための移送口17が形成されている。
【0023】インターフェース部3には、移送口16を通じて前記カセットCxからウエハを取り出し、これを移送口17を通じて半導体製造装置2へと移送したり、逆に半導体製造装置2での処理が終わったウエハをカセットCxへと格納するための移送装置21が設けられている。さらにインターフェース部3には、これら移送口16、17を各々独立して開閉自在な開閉装置22、23が設けられており、移送装置21の移送アーム21aがこれら移送口16、17を通過する時以外は、常時閉鎖されており、インターフェース部3は気密に閉鎖された空間内におかれている。
【0024】インターフェース部3における移送装置21の上方、すなわち局所密閉型清浄装置1内の上方には、ULPAフィルタなどの高性能フィルタによって構成されるフィルタ装置24が設置されており、このフィルタ装置24と天板15との間の空間がプレナムチャンバ25を形成している。他方、局所密閉型清浄装置1内の下方には、パンチングメタルなどからなる整流板26が設置され、プレナムチャンバ25と相俟って、インターフェース部3に均一な空気流を形成している。また本実施形態においては、特に移送装置21におけるモータなどの駆動機構(図示せず)は、全てこの整流板26よりも下方に配置されている。そしてフィルタ装置24と整流板26との間の空間が移送空間Tを構成している。
【0025】局所密閉型清浄装置1内の側方には、側板13を利用して構成されたレタンダクト31が設けられており、前記整流板26の下方空間を通じてプレナムチャンバ25と移送空間Tとを結んでいる。このレタンダクト31の下方には、送風機32が設置され、この送風機32の吹出口近傍には、ガス導入管33の導入口34が配置されている。これらガス導入管33、導入口34がガス導入手段を構成している。本実施形態においては、このガス導入管33から窒素ガス(N_(2))が局所密閉型清浄装置1内が導入されるようになっている(図2参照)。
【0026】他方、送風機32の近傍及び送風機32のモータ32aの近傍には、各々排気管35に通ずる排気口36、37が配置されている。これら排気管35、排気口36、37は排気手段を構成している。この排気手段は、送風機32や移送装置21のモータ32aのベアリングのグリース、配線、塗料などから発生するガス状不純物を吸引する機能を有している。
【0027】前記ガス導入管33には、流量調節バルブ33aが介装されており、また排気管35には、流量調節バルブ35aが介装されている。これら流量調節バルブ33a、35aは、制御装置Xによって制御される。
【0028】レタンダクト31には、冷却コイル41、加熱コイル42が設けられている。なお冷却コイル41は、冷水が通水する構成のものであってもよいし、例えばフロン系冷媒による直膨式のものであってもよい。また加熱コイル42はも温水が通水するものであってもよく、もちろんそのような温水を使用しない、例えば電気ヒータであってもよい。そしてこれら冷却コイル41及び/又は加熱コイル42の熱量は前記制御装置Xによって制御される。また加熱コイル42の下流側には、ケミカルフィルタ43が設けられており、このケミカルフィルタ43によって、加熱コイル42を通過した気流中の化学汚染物質は除去される。
【0029】移送空間Tには、フィルタ装置24を通過したダウンフローの温度を検出する温度センサ44、移送空間T内の圧力を検出する圧力センサ45、移送空間T内の化学汚染物質の濃度を検出する濃度センサ46が設けられており、これら各センサからの信号は、制御装置Xに入力される。
【0030】そして制御装置Xは、温度センサ44からの信号に基づいて、フィルタ装置24を通過したダウンフローを所定の温度に維持するように、冷却コイル41、加熱コイル42を制御し、また圧力センサ45からの信号に基づいて、移送空間T内の圧力を所定値に保つようにガス導入管33の流量調節バルブ33a、及び排気管35の流量調節バルブ35aを制御する。さらにこの制御装置Xは、濃度センサ46からの信号に基づいて、移送空間T内の化学汚染物質の濃度を所定値以下に保つように、ガス導入管33の流量調節バルブ33a、及び排気管35の流量調節バルブ35aを制御するように構成されている。
【0031】本実施形態にかかる局所密閉型清浄装置1は以上のように構成されており、次にその作用効果について説明する。まず装置の起動時においては、移送口16、17の開閉装置22、23はいずれも閉鎖されると共に、ガス導入管33の流量調節バルブ33aが開放して、局所密閉型清浄装置1内を窒素ガス雰囲気とすると共に、局所密閉型清浄装置1内が正圧になるように制御される。そして所定の圧力に達した時点でガス導入管33の流量調節バルブ33aは閉鎖される。このとき、排気管35の流量調節バルブ35aは閉鎖されている。また送風機32は送風運転を行い、レタンダクト31、プレナムチャンバ25、移送空間Tと巡る窒素ガスの循環気流を形成している。かかる場合、局所密閉型清浄装置1内に化学汚染物質があれば、ケミカルフィルタ43によって除去される。
【0032】そして基板搬送装置4が半導体製造装置2で処理すべきウエハを収納した密閉型のカセットCxを局所密閉型清浄装置1の側板11に設定された所定の位置に載置すると、開閉装置22が開放し、インターフェース部3の移送装置21の移送アーム21aがカセットCx内のウエハを受け取りにいく。このとき開閉装置22が開放した際に、移送空間T内の圧力が低下した場合には、圧力センサ45によってそのことが検出され、所定の正圧になるまでガス導入管33の流量調節バルブ33aが開放する。
【0033】次いで移送装置21の移送アーム21aがウエハを半導体製造装置2に移送する際、今度は移送口17の開閉を担う開閉装置23が開放して当該ウエハが半導体製造装置2内に移送される。このとき、移送空間T内の圧力が低下した場合には、圧力センサ45によってそのことが検出され、所定の正圧になるまでガス導入管33の流量調節バルブ33aが開放する。そして移送装置21の移送アーム21aが移送口17から退避すると、開閉装置23が閉鎖し、局所密閉型清浄装置1内は再び密閉空間となり、インターフェース部3は、窒素ガス雰囲気に封入された状態になる。
【0034】そして半導体製造装置2での所定の処理が終了したウエハを半導体製造装置2に受け取りにいく場合には、移送口17の開閉を担う開閉装置23が開放して移送装置21の移送アーム21aがこの処理済みウエハを受け取り、次いでこの処理済みウエハをカセットCxの所定のスロット内に収納する。また移送装置21の移送アーム21aが移送口17から退避した時点で開閉装置23は移送口17を閉鎖する。
【0035】以上の一連のプロセスにおいて、ウエハを移送している移送装置21に対しては、ケミカルフィルタ43によって化学汚染物質が除去された後の清浄なダウンフローが常に形成されているので、ウエハは化学汚染物質に汚染されることはない。もちろん塵埃やその他のパーティクルはフィルタ装置24によって除去される。しかも局所密閉型清浄装置1内は窒素ガスが充満しているので、ウエハ表面に例えば自然酸化膜が形成されることはない。さらに制御装置Xによって制御される冷却コイル41、加熱コイル42でダウンフローは所定の温度に維持されるから、半導体製造装置2からの熱負荷によって局所密閉型清浄装置1内の雰囲気の温度が上昇してウエハの温度が上昇するのを避け、熱膨張による製品の不良を防止できる。
【0036】そしてもし何らかの事情でインターフェース部3がおかれている雰囲気に、例えば多量の化学汚染物質が発生した場合には、濃度センサ46がそのことを検出し、直ちにガス導入管33の流量調節バルブ33aが開放すると共に、排気管35の流量調節バルブ35aが開放し、インターフェース部3がおかれている雰囲気中の化学汚染物質が所定の濃度以下になるまでパージ運転がなされる。かかる場合も局所密閉型清浄装置1内が所定の正圧になるように、制御装置Xによって適正な制御がなされている。したがって、化学汚染物質の発生源がインターフェース部3がおかれている雰囲気中に存在しても、常に所定の濃度(許容濃度)以下に保たれる。
【0037】このように本実施形態にかかる局所密閉型清浄装置1によれば、インターフェース部3がおかれている雰囲気を常に清浄な窒素ガス雰囲気に保つことができるので、ウエハが汚染されることはない。またウエハ上に形成されるデバイスの電気特性が変化することも防止でき、しかもウエハ上に不必要な自然酸化膜が形成されることはない。また、局所密閉型清浄装置1に配置された機器自体や半導体製造装置2からの熱負荷によるウエハの温度上昇も抑えることができる。
【0038】そのうえ局所密閉型清浄装置1内は常に正圧に保たれているから、装置外からの塵埃やパーティクルの侵入を防止することが可能である。また局所密閉型清浄装置1内に導入する窒素ガスの導入量は、これを必要最小限に抑えることができるので、窒素ガスの量や導入に要するエネルギーも最小限に抑えられている。そして局所密閉型清浄装置1内は密閉された空間であり、その中を窒素ガスが循環しているので、ケミカルフィルタ43やフィルタ装置24の寿命も長く、これらのメンテナンスサイクルも長くなっている。
【0039】ところで送風機32のモータ32aからは、ベアリングオイルなどから汚染物質が発生することがあるが、モータ32aの近傍にも排気口37が設定されているので、そのようなモータ32aからの汚染物質は、循環気流に混入させることなく、直ちに排気管35から装置外に排気することも可能である。」

「【0043】
【発明の効果】請求項1?6の発明によれば、インターフェース部を気密に閉鎖するチャンバ内に導入するガスの有効利用を図りつつ、インターフェース部を当該ガス雰囲気に保つことができる。しかも塵埃やパーティクルを除去することが可能である。さらに電子部品製造装置側からの熱負荷から電子部品を保護することもできる。そしてインターフェース部自体から汚染物質が発生した場合であっても、必要に応じて当該汚染物質を外部にパージすることが可能である。」

【図1】によれば、移送口16と移送口17は、移送装置21が設けられたチャンバの対向する位置に設けられていることが看取できる。また、【図1】及び【図2】によれば、レタンダクト31は移送口17の片側に設けられていることが看取できる。

【図2】によれば、ガス導入管33及び導入口34から構成されるガス導入手段は、排気管35及び排気口36、37から構成される排気手段よりも、循環気流の経路の下流側に設けられていることが看取できる。

(イ)したがって、甲第1号証には、以下の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
「半導体製造装置2と基板搬送装置4との間でウエハを移送するためのインターフェース部3を気密に閉鎖するチャンバと、チャンバにおける半導体製造装置2側の側壁に形成された、インターフェース部3と半導体製造装置2との間でウエハを移送するための移送口17と、チャンバにおける基板搬送装置4側の側壁(側板11)に形成された、基板搬送装置4とインターフェース部3との間でウエハを移送するための移送口16と、移送口17及び移送口16を開閉自在な開閉装置23及び開閉装置22と、ウエハ移送の際にウエハが通過する移送空間Tと、移送空間Tに清浄なガスを供給するためのフィルタ装置24と、フィルタ装置24からの吹き出し風速を一様にするためのプレナムチャンバ25と、移送空間Tとプレナムチャンバ25を結ぶレタンダクト31と、チャンバ内においてプレナムチャンバ25、移送空間T、レタンダクト31、プレナムチャンバ25と順に巡る循環気流を形成するための送風機32と、チャンバ内に外部からガスを導入するガス導入手段と、チャンバ内の雰囲気を排気する排気手段と、を備えてなる、局所密閉型清浄装置であって、
ガス導入手段によってチャンバ内に導入されるガスは、不活性ガスであり、
インターフェース部3を気密に閉鎖するためのチャンバを構成する側板11、12、13、14及び天板15を有しており、
移送口16は、基板搬送装置4が所定位置に載置した密閉型のカセットCxとの間でウエハを移送するためのものであり、移送口17は、半導体製造装置2側の側板12に形成されたものであり、
インターフェース部3には、移送口16を通じて前記カセットCxからウエハを取り出し、これを移送口17を通じて半導体製造装置2へと移送したり、逆に半導体製造装置2での処理が終わったウエハをカセットCxへと格納するための移送装置21が設けられており、
さらにインターフェース部3の開閉装置22及び開閉装置23は、移送装置21の移送アーム21aがこれら移送口16及び移送口17を通過する時以外は常時閉鎖されているため、インターフェース部3は気密に閉鎖された空間内におかれており、
フィルタ装置24は、塵埃やパーティクルを捕集するものであって、インターフェース部3における移送装置21の上方、すなわち局所密閉型清浄装置内の上方に設置されており、このフィルタ装置24と天板15との間の空間がプレナムチャンバ25を形成するとともに、局所密閉型清浄装置内の下方には、整流板26が設置され、プレナムチャンバ25と相俟って、インターフェース部3に均一な空気流を形成しており、
移送空間Tは、フィルタ装置24と整流板26との間の空間から構成され、移送空間Tには、フィルタ装置24を通過したダウンフローの温度を検出する温度センサ44、移送空間T内の圧力を検出する圧力センサ45が設けられており、これら各センサからの信号は、制御装置Xに入力され、
制御装置Xは、圧力センサ45からの信号に基づいて、移送空間T内の圧力を所定値に保つようにガス導入手段及び排気手段を制御し、
局所密閉型清浄装置1内の側方には、側板13を利用して構成されたレタンダクト31が設けられ、整流板26の下方空間を通じてプレナムチャンバ25と移送空間Tとを結んでおり、レタンダクト31の下方には、送風機32が設置され、この送風機32の近傍に、ガス導入手段及び排気手段が配置され、さらに、このレタンダクト31には、ケミカルフィルタ43が設けられている、
局所密閉型清浄装置。」

イ 甲第3号証の記載
取消理由で通知した甲第3号証(特開2006-286682号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0028】
上記搬送ユニット120の搬送室200は、例えばN_(2)ガス等の不活性ガスや清浄空気が循環される断面略矩形状の箱体により構成されている。搬送室200における断面略矩形状の長辺を構成する一側面には、複数のカセット台132A?132Cが並設されている。これらカセット台132A?132Cは、カセット容器134A?134Cを載置する被処理基板待機ポートとして機能する。図1では、例えば各カセット台132A?132Cに3台のカセット容器134A?134Cをそれぞれ1つずつ載置することができる例を挙げているが、カセット台とカセット容器の数はこれに限られず、例えば1台又は2台であってもよく、また4台以上設けてもよい。」

「【0074】
一方、排気部250は、筐体210の底部(下部)240に形成された排気口242から空気を排気する排気ファン252と、排気ファン252により排気口242から排気する空気をフィルタリングする排気フィルタ手段254とを備える。」

「【0080】
また、図5に示す排気部250では、排気ファン252を排気フィルタ手段254の下方に設けるようにしたので、排気フィルタ手段254によってCl、Brを含むガスなどのガス成分(例えばCl_(2)、Br_(2)、HCl、HBrなど)が除去された空気が排気ファン252を通ることになる。このため、排気ファン252が排気に含まれる腐食成分に晒されることはないので、排気ファン252として耐腐食性のものを使用する必要がなくなる。従って、排気ファン252としては安価なものを使用することができる。但し、排気部250としては、上記のように場合に限定されることはなく、排気ファン252を排気フィルタ手段254の下方に設けようにしてもよい。このようにした場合には、排気ファン252として耐腐食性のものを使用することが好ましい。」

「【0087】
このような排気フィルタ256としては、例えば排気に含まれる有害成分(例えばHCl、HBrなど)を炭酸塩による中和反応によって化学的に吸着除去するケミカルフィルタなどが適用される。・・・」

【図4】及び【図5】によれば、ケミカルフィルタである排気フィルタ256は、排気ファン252の上流側に設けられていることが看取できる。

ウ 甲第4号証の記載
取消理由で通知した甲第4号証(特許第4287271号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0002】
発明の分野
本発明は、一般にウェーハ移送システムに関する。特に、本発明は、装置フロントエンドモジュール(equipmentfront end module:EFEM)コンポーネントが取り付けられる統一型の拡大縮小可能なフレーム又は構造体及びウェーハを移送するウェーハエンジンに関する。」

「【0043】
図8は、スパイン構造体100に取り付けられたウェーハエンジン300を示している。この図から明らかに分かることとして、ウェーハエンジン300は、直線移動してEFEMのI/Oポート全てに接近することができる。ウェーハエンジン300は、下支持部材106の後取付け面116に取り付けられているレール組立体302に沿って移動する。・・・」

エ 甲第5号証の記載
取消理由で通知した甲第5号証(特開2000-182949号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
・・・
【請求項3】 被処理体に所定の処理を行う処理部と、
前記処理部に対応して、該処理部の上方に設けられ、清浄エアを直下に向けて吹き出し可能であると共に、前記処理部の外方においても清浄エアを直下に向けて吹き出すことができる突出した吹き出し部を有するエア吹き出し部と、
前記突出した吹き出し部の外側縁に沿って設けられるカーテン部材と、
前記処理部に対応して、該処理部の下方に、前記エア吹き出し部のうち、処理部外へ突出した吹き出し部を除いたエア吹き出し部に対向して設けられ、エア吸引機構の吸引力により、リターンダクトを通じて前記エア吹き出し部にエアを再供給するため、処理部を通過したエアを回収するエア回収部と、
を具備することを特徴とする処理装置。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)に使われるガラス基板上にレジスト液を塗布し現像する塗布・現像処理システム等の処理装置および該装置における清浄エアの供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LCDの製造工程においては、LCD用のガラス基板上にITO(Indium TinOxide)の薄膜や電極パターンを形成するために、半導体デバイスの製造に用いられるものと同様のフォトリソグラフィ技術が利用される。フォトリソグラフィ技術では、フォトレジストを基板に塗布し、これを露光し、さらに現像する。
【0003】このような塗布・現像処理システムにおいては、パーティクルが被処理体である基板に付着しないよう、上方に清浄エアの吹き出し部を設け、常時、清浄エアを供給し、ダウンフローの気流を形成している。そして、塗布・現像処理システムの下方の床面の開口部グリーチングより床下へ吸引されたエアーはリターンゾーンを通って再利用される。」

「【0045】エア吹き出し部40は、レジスト塗布装置23においてはスピンチャック31の上方、加熱装置22においてはホットプレート32の上方、搬送路11においては搬送装置26の上方に設けられている。このエア吹き出し部40は、送風ファン41と該送風ファン41よりも吹き出し側に配設されるフィルタ42とを有して構成される。フィルタ42は、後述のエア回収部43やリターンダクト44中に配設することも可能であるが、回収されたエアがエア回収部43やリターンダクト44を通過する間に、微小の浮遊パーティクルと再接触する可能性があるため、本実施の形態のように、送風ファン41の後段、すなわち、エアの吹き出し直前に配設することが好ましい。もちろん、このフィルタ42のほかに、さらにリターンダクト44中等にケミカルトラップ61、62を配設することも可能である。これにより、より清浄なエアを供給可能になる。
・・・
【0048】エア吸引機構45は、ブロワ45aと、該ブロワ45aの保持用ケース45bとを有し、保持用ケース45bは、処理ユニットを構成するいずれかの処理装置のエア回収部43に排気ダクト45cを介して接続されている。また、保持用ケース45bには新鮮な外部空気を取り込む外部空気取り入れ口45dが設けられていると共に、排気ダクト45cには、回収されたエアを冷却するための熱交換機45eが配設されている。なお、エア吸引機構45は、処理装置が設置される床面上に配置してもよいが、予め、接続されるリターンダクト44を引き出した上で、床面下に所定数埋設しておくことも可能である。
・・・
【0051】本実施の形態によれば、レジスト塗布装置23、加熱装置22、および搬送路11の各処理装置において、スピンチャック31、ホットプレート32又は搬送装置26の各上方に配置されたエア吹き出し部40から清浄エアが直下に向けて供給される。そして、これらの処理部において被処理体であるガラス基板Gに向かってパーティクルが付着しないように供給された清浄エアは、その後、エア吸引機構45を構成するブロワ45aの作動により吸引され、対応して配設されたエア回収部43を経由して回収される。また、レジスト塗布装置23の窓部31bや加熱装置22のエア通過部32bを通じて、エアが装置外部に排出される。このため、この窓部31b等を通じての外部パーティクルの侵入が防止できる。清浄エアは、このようにその一部が外部に漏れることから、回収されたエア量だけでは、次に供給する清浄エアのエア量が不足することになるが、その不足分は、ブロワ保持用ケース45bに形成された外部空気取り入れ口45dから吸引され、リターンダクト44を通じて、回収されたエアと共にエア吹き出し部40に供給され、フィルタ42を通過することにより、清浄エアとして処理部に向けて再度供給される。」

「【0060】請求項3記載の本発明の処理装置によれば、エア吹き出し部から直下に向けて吹き出された清浄エアは、当該装置内に設置された処理部を通過した後、エア吸引機構による吸引力により、該エア吹き出し部に対向するエア回収部を通じて回収され、リターンダクトを介してエア吹き出し部に再度供給される。その一方、突出した吹き出し部を通じてカーテン部材と処理部との間にダウンブローの気流を形成することができる。このため、処理部に対してメンテナンス処理を行う際に、作業者がカーテン部材内に入ったときの、外部パーティクルの処理部内への侵入を防止できる。」

オ 甲第6号証の記載
取消理由で通知した甲第6号証(特開2004-311940号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置及び方法に関するものであり、より詳しくは、容器(container)内に収容されている基板を、さまざまな工程を実施する基板処理部に移送するための基板移送モジュール(substrate transfer module)内部の汚染を制御することができる基板処理装置及び方法に関するものである。」

「【0042】
(第1実施形態)
図5は本発明の第1実施形態による基板処理装置の平面図である。
【0043】
図5に示すように、本発明の300mmドライエッチング設備は基板移送モジュール108、低真空ロードロックチャンバ122a、122b、及び基板処理部102により構成される。
・・・
【0045】
基板移送モジュール108の側面図が図6に図示されている。
【0046】
図5及び図6に示すように、基板移送モジュール108はその内部に基板移送手段114が配置される基板移送チャンバ110、基板移送チャンバ110の外部に配置され、ウェーハ104が収容されている容器106を支持するためのロードポート112a、112b、及び基板移送チャンバ110内に外部空気を流入させるためのフィルターユニット120を含む。なお、図においては、ロードポートを2つ示したが、これは少なくとも一つあればよい。
【0047】
望ましくは、容器106はFOUPである。また、基板移送手段114はウェーハ104を支持するロボットアーム116、及びロボットアーム116を駆動させてウェーハ104を移動させるためのアーム駆動部118からなるロボットである。そして、ロボットアーム116によって基板が1枚ずつ容器106から取り出されて、基板処理部102へ移送される。
【0048】
フィルターユニット120は、外部空気を流入させるためのファンと、流入させた外部空気を浄化するフィルターが一体化されたファン・フィルターユニット(FFU)として、清浄化空気を基板移送チャンバ110の内部にダウンフローさせる役割をする。
【0049】
本発明の基板処理装置は、基板移送モジュール108の外部に汚染制御部130を備える。汚染制御部130は基板移送チャンバ110内に浄化ガス146aを供給して基板移送チャンバ110の内部を浄化するガス供給部132、及び内部の浄化ガスを再循環させて基板移送チャンバ110内に供給するためのガス循環管138を含む。
【0050】
浄化ガスは不活性ガスまたは湿気が除去されたドライ空気うちのいずれか一つを使用し、望ましくは窒素(N_(2))ガスを使用する。
・・・
【0052】
ガス循環管138を通じて再循環されて基板移送チャンバ110内に供給される浄化ガス146bが基板移送チャンバ110の内部で層流(laminar flow)を形成するように、ガス循環管138は基板移送チャンバ110の一側面下部で最上部面に延びて設けられている。ガス循環管138を通じて再循環される浄化ガス146bはフィルターユニット120を通じて濾過されて基板移送チャンバ110内に供給される。
【0053】
基板移送チャンバ110内部の大気(ambient)を浄化ガスにより全て浄化する場合、浄化ガスの多量消耗による原価上昇問題と浄化ガスの排気問題が台頭される。従って、基板移送チャンバ110の全体体積の一定量のみを浄化ガスにより浄化し、内部の浄化ガスをガス循環管138を通じて再循環させて基板移送チャンバ110に供給し、加圧(pressurizing)により浄化ガスの自然漏洩を誘発することが望ましい。ここで、参照符号146aはガス供給部132を通じて基板移送チャンバ110に供給される浄化ガスを示す。参照符号146bはガス循環管138を通じて再循環されて基板移送チャンバ110に供給される浄化ガスを示す。参照符号146cは加圧により漏洩される浄化ガスを示す。
【0054】
以下、上述した構造の基板処理装置の動作を説明する。
【0055】
ロードポート112a、112b及び基板移送チャンバ110を含む基板移送モジュール108は、フィルターユニット120を通じて清浄化空気が基板移送チャンバ110の内部に流入されるために、設定された工程、例えば、ドライエッチング工程を実施する以前に基板移送チャンバ110の内部は清浄化空気の温度及び湿度と同一の条件、例えば、約23℃の温度及び約45%の湿度の常温及び常圧に維持される。
【0056】
基板移送モジュール108に連結された汚染制御部130のガス供給部132を通じて基板移送チャンバ110に不活性ガスまたはドライエッチング工程にも用いられる浄化ガス146a、望ましくは窒素(N_(2))ガスを供給することにより、基板移送チャンバ110内部の湿気または汚染物質を浄化する。これと同時に、基板移送チャンバ110内部の浄化ガスをガス循環管138を通じて再循環させて基板移送チャンバ110に供給する。」

カ 甲第7号証の記載
取消理由で通知した甲第7号証(特開平11-63604号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理装置及び処理装置内の気体の制御方法に関する。」

「【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1、図2に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。本実施形態の処理装置10は、図1に示すように、ウエハを収納したポッドPを載置するトレイ11と、このトレイ11が後退してその上に載置されたポッドPを収納するキャリア収納室12と、このキャリア収納室12内のポッドPに対してウエハを纏めて搬出入するウエハ搬送装置13Aが配設されたロードロック室13とを備えている。そして、キャリア収納室12とロードロック室13の間には清浄室14が介在している。また、ロードロック室13には搬送室15が連通可能に接続され、搬送室15を経由してロードロック室13内のウエハを1枚ずつウエハの処理室(図示せず)側へ移載するようにしてある。この搬送室15には複数の処理室が連通可能に接続され、例えばこの搬送室内の搬送装置を介してロードロック室13内のウエハWを一枚ずつ各処理室へ搬送するようにしてある。尚、図1において13Bはウエハ搬送装置13Aの駆動機構である。
・・・
【0017】また、上記清浄室14の上部には例えば送風ファン20、高性能フィルタ21及びケミカルフィルタ22が上方から下方へ順次配設されている。高性能フィルタ21は例えばULPAフィルタやHEPAフィルタ等から構成されている。ケミカルフィルタ22は例えば粒子状や繊維状の活性炭等の吸着剤によって構成され、不純物ガスを化学吸着するものである。そして、清浄室14の下部には例えば多数の孔が分散して形成された床面23が水平に配設され、送風ファン20によって送風された下降流が床面23を通過し、この気流が循環ダクト24を経由して清浄室14の送風ファン20上方の上部空間14Bへ還流し、気流が清浄室14内で矢印で示すように循環するようにしてある。また、清浄室14には例えば窒素、アルゴン等の不活性ガスを供給する気体供給源(図示せず)が導入配管25を介して接続されている。導入配管25の清浄室14側の端部は例えば送風ファン20と高性能フィルタ21間に挿入され、送風ファン20と高性能フィルタ21の間で不活性ガスを全面に分散し、不活性ガスが高性能フィルタ21及びケミカルフィルタ22を経由して清浄室14内で気流が乱れることなく整然とした下降流で流れ、上述の経路で不活性ガスを清浄室14内で略層流状態で循環させるようにしてある。しかも、この時の清浄室14内の不活性ガスの圧力が外部の大気圧より予め設定された所定値だけ高い正圧になるようにしてある。
【0018】つまり、上記導入配管24には圧力調節バルブ26が取り付けられ、また、上記清浄室14には室内の気体の圧力と大気圧との差を検出する差圧計27が取り付けられている。この差圧計27は清浄室14内の不活性ガスの圧力を常に検出して大気圧との差を検出し、清浄室14内の不活性ガスの圧力を常に大気圧より高い正圧を保持するようにしてある。従って、仮に清浄室14内の不活性ガスの圧力が大気圧に近づくか、それより低くなるようなことがあったらその検出値に基づいて圧力調節バルブ25の開度を大きくして不活性ガスの流入量を増加して清浄室14内の圧力を正圧に保つようにしてある。清浄室14内の不活性ガスの圧力を正圧にすることで、施設領域R2の空気が清浄室14内へ流れ込まないようにしてある。」

キ 甲第8号証の記載
取消理由で通知した甲第8号証(特開2006-200839号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、半導体基板の洗浄処理のように、その処理工程において有害物質が発生する処理装置の構造に関するものである。」

「【発明の効果】
【0020】
本願発明に係る処理装置によれば、該処理装置のうち、有害物質を含んだ汚染空気の循環系に存在して該有害物質による腐食が懸念される部位及び部材にそれぞれ所要の腐食対策を施すことで、処理装置全体としての耐食性能が向上し、装置運転上の信頼性が確保されるものである。そして、係る効果は、一部循環式の処理装置でも、完全循環式の処理装置においても同様に得られるものである。」

「【0022】
I:第1の実施形態
図1には、本願発明に係る処理装置の第1の実施形態として、半導体の基板Wを洗浄処理する処理装置Z1を示している。
・・・
【0024】
「処理ユニットU1の構成」
上記処理ユニットU1は、閉鎖空間をもつ筐体1を備える。この筐体1は、その内部空間を、上部側に位置し且つ開口37を備えた隔壁35と下部側に位置し且つ多数の通孔38を備えた隔壁36とによって上下方向に三つに区画して、上下方向中央に位置する処理室2と、該処理室2の上側に位置する給気室3と、上記処理室2の下側に位置する排気室4を形成している。そして、上記処理室2側には次述の処理部15が、上記給気室3側には次述のダウンフロー発生部16が、それぞれ設けられている。
・・・
【0026】
上記ダウンフロー発生部16は、上記処理部15側に向けてダウンフロー気流A2を吹出すもので、上記隔壁35の上記開口37に取り付けた微粒子フィルター8と、該微粒子フィルター8に対向するようにして上記給気室3内に配置したファン9を備えて構成される。
・・・
【0028】
「空気浄化ユニットU2の構成」
上記有害物質除去ユニットU2は、縦長の閉鎖空間をもつ筐体21内に、次述の有害物質除去部22と循環ファン25を、該有害物質除去部22の上側に上記循環ファン25が位置するように配置して構成される。そして、上記筐体21の下端部には空気入口32が、上端部には空気出口34が、それぞれ設けられている。
【0029】
上述の如く構造された上記処理ユニットU1と上記有害物質除去ユニットU2は、上記処理ユニットU1の上記空気出口31と上記有害物質除去ユニットU2の上記空気入口32を、また、上記処理ユニットU1の上記還流口10と上記有害物質除去ユニットU2の上記空気出口34を、それぞれ接続し、これら処理ユニットU1と空気浄化ユニットU2の間に空気の循環系を構成する。
・・・
【0035】
上記処理ユニットU1において上記基板Wの洗浄処理を行なう場合、上記ダウンフロー発生部16の上記ファン9を運転し、上記給気室3側の空気を上記処理室2内の上記薬液槽6側に向けてダウンフロー気流A2として吹出させるが、この場合、吹出空気を上記微粒子フィルター8に通すことで、吸入空気中に混入している微粒子が上記微粒子フィルター8において捕集除去され、微粒子が殆ど混入していない清浄な空気がダウンフロー気流A2として上記薬液槽6側へ吹出され、搬送途中の上記基板Wに空気中の浮遊部分粒子が付着して該基板Wの洗浄品質を低下させるのが未然に防止されている。
・・・
【0038】
そして、上記汚染空気A3の一部は、上記外部排出路14からそのまま外部へ排出されるが、他の一部は、上記排気室4から上記有害物質除去ユニットU2側に導入され、該空気浄化ユニットU2の上記有害物質除去部22において、これに含まれた有害物質Gが除去され、有害物質濃度の低い清浄空気とされ、再び上記循環ファン25によって上記処理ユニットU1の混合チャンバー13側に還流空気A4として還流される。
・・・
【0045】
一方、有害物質を含んだ汚染空気の循環系に存在する部材として、上記処理ユニットU1側の上記ファン9及び微粒子フィルター8、上記有害物質除去ユニットU2側の上記有害物質除去部22及び循環ファン25が考えられる。そこで、この実施形態では、先ず、上記微粒子フィルター8についてはこれをPTFE(ポリテトラフロロエチレン)製としてその耐食性を確保している。上記ファン9については、これがプロペラファンであって上記給気室3内に内装されることから、その翼車9Aはこれを樹脂材で、そのファンモータ9Bは金属表面に耐食性コーテング層を形成したケーシングで密閉した密閉式ファンモータとしてその耐食性を確保している。」

「【0076】
VII:第7の実施形態
図7には、本願発明に係る処理装置の第7の実施形態として、半導体の基板Wを洗浄処理する処理装置Z7を示している。
【0077】
この実施形態の処理装置Z7は、上記第1の実施形態に係る処理装置Z1と同様に、処理ユニットU1と空気浄化ユニットU2を備えて構成されるものであって、これと異なる点は、上記空気浄化ユニットU2の上記有害物質除去部22を、多孔膜式除去機構とケミカルフィルター式除去機構を空気流れ方向前後に並置して構成した点である。
【0078】
そして、この処理装置に於ける各部位及び各部材の腐食対策は上記第1の実施形態の処理装置の場合と同様である。ただ、この実施形態では、上述のように上記有害物質除去部22を多孔膜式除去機構とケミカルフィルター式除去機構を組み合わせて構成したことから、その腐食対策として、先ず、多孔膜式除去機構においては多孔膜エレメント23の多孔膜をPTFE(ポリテトラフロロエチレン)製としてその耐食性を確保している。また、この有害物質除去部22の多孔膜エレメント23の枠体とか上記水循環部24はこれを樹脂製としてその耐食性を確保している。
【0079】
また、ケミカルフィルター式除去機構においては、ケミカル成分を捕集しこれを蓄積するものであって、捕集能力が低下したときには交換するものであることから、格別な腐食対策は必要ない。」

ク 甲第9号証の記載
取消理由で通知した甲第9号証(特開2004-20120号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば過酸化水素、アンモニア、無機酸(フッ酸、塩酸、硫酸、燐酸など)、有機物などの薬品を用いて各種電子部品の洗浄処理などを行うための処理装置に関する。」

「【0017】
洗浄処理装置1は、室内空気を排気する排気口34を下方の側部に備え且つ清浄空気を室内に供給する空気供給口35を上方に備えた処理室36と、下方に貯水槽37を配置し上方にこの貯水槽37から供給される水を噴霧する噴射ノズル12を配置して排気口34から排気された空気を洗浄する湿式処理部38と、熱交換部39に配置され噴射ノズル12から噴霧される水の温度を制御する冷却用熱交換器9と、熱交換部40に配置され湿式処理部38で洗浄された空気を加温して相対湿度を低下させる再熱用ヒータ13と、乾式処理部41に配置され熱交換部40で相対湿度を低下させた空気からケミカル物質を除去するケミカルフィルタ14と、ケミカル物質を除去された空気を処理室36にダウンフローする処理室36の空気供給口35の上方に配置されたFFU(ファンフィルタユニット)3と、処理室36を巡って配置され経路内に湿式処理部38、再熱用ヒータ13、乾式処理部41を含む空気循環路42と、空気循環路42内に配置され、FFU3と協働して処理室36内の空気を排気口34から空気供給口35へ向けて送気する送風機(シロッコファン)2とを備えて構成されている。
・・・
【0026】
湿式処理部38を通過した空気は、相対湿度を低減させるための再熱用ヒータ13へ送気される。ここで、気化蒸発成分中の薬液成分を主成分とする汚れ成分の除去率が、例えば98%より悪い場合、汚れ成分の種類により、活性炭系、カチオン系(アンモニア等)、アニオン系などのケミカルフィルタを選定することが好ましい。ケミカルフィルタ14の配置される乾式処理部39からの戻り空気は、送風機2で吸引循環される。」

【図1】によれば、ケミカルフィルタ14は、送風機(シロッコファン)2の上流側に設けられているということができる。

ケ 甲第10号証の記載
本件特許の出願前に頒布された特開2008-263048号公報(以下、「甲第10号証」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置および半導体装置の製造技術に関し、特に、ミニエンバイロメント(MiniEnvironment)方式を用いた半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。」

「【0019】
(実施の形態1)
図1は、種々の半導体製造装置DD1?DD4が設置されたクリーンルームCLを模式的に示す説明図である。このクリーンルームCLではミニエンバイロメント方式が採用されて、半導体装置のいわゆる前工程が行われる。
・・・
【0023】
図2は、本実施の形態1におけるミニエンバイロメント方式を採用した半導体製造装置(以下、ミニエン対応装置という)MD0を模式的に示す側壁図である。このミニエン対応装置MD0は、台TE上に半導体ウエーハSWが配置され、半導体ウエーハSWを囲む複数の面を有する筐体BEと、複数の面のうちの少なくとも1つの面の近傍に対向して設置され、気体が通過する隙間STを有する板BDと、板BDと1つの面との間で形成された排気室VR内の気体を排気する排気系VSと、を有している。
・・・
【0025】
また、ミニエン対応装置MD0は、筐体BEの上部にHEPAフィルタHFを備えたファンFNを有しており、筐体BE内に外気(クリーンルームCL内の空気)を取り込む。このファンFNは、筐体BEを構成する複数の面のうち、板BDと対向する面(側壁面)とは異なる他の面(上部面)に設置されている。なお、図2には、ファンFNによって筐体BE内で生じる気流の進行方向を示している。
【0026】
これに対し、気体が通過する隙間STを有する板BDなどを設置しない場合のミニエン対応装置MD10を図3に示す。クリーンルームCL内にミニエン対応装置MD10を設置した場合、クリーンルームCL内の塵埃がミニエン対応装置MD10の筐体BE内に入らないように、HEPAフィルタHFを介してファンFNによって清浄な空気を取り入れることによって、筐体BE内部の圧力P1を筐体BE外部の圧力(クリーンルームCLの圧力)P2より例えば1?2Pa陽圧としている。」

コ 甲第11号証の記載
本件特許の出願前に頒布された国際公開2010/137556号(以下、「甲第11号証」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「[0029]以下に、本発明を図面に示した特定の実施例について詳しく説明する。図1は処理装置1の斜視図であり、図2はその断面図である。処理装置1はクリーンルームと呼ばれる、0.5μmダストでクラス100程度の比較的清浄な雰囲気に管理された工場内に設置されている。処理装置1は主として、ロードポート2、ミニエンバイロメント空間ユニット3、搬送ロボット4、ファンフィルタユニット5、真空チャンバ6、プロセスチャンバ7で構成されている。ミニエンバイロメント空間ユニット3はフレームと、そのフレームに固定され外部雰囲気と分離するための壁面と、外部からの空気を高清浄な空気に清浄化したうえでダウンフローとしてミニエンバイロメント空間ユニット3に導入する高清浄空気導入手段であるファンフィルタユニット5が設けられている。ファンフィルタユニット5にはミニエンバイロメント空間ユニット3の天井に設置され、ミニエンバイロメント空間ユニット3内部に向かって下向きに空気を送るファン8と、送られてきた空気の中に存在する塵埃や有機物などの汚染物質を除去するフィルタ9が具えられている。
[0030]また、ミニエンバイロメント空間ユニット3の床面10(図2)はパンチングプレート等所定の開効率を有する空気流通可能な部材が用いられている。これらの構成により、ファンフィルタユニット5により内部に供給された清浄空気は常にミニエンバイロメント空間ユニット3内を下向きに流れ、床面10から装置外部へと排出されることとなり、ミニエンバイロメント空間ユニット3内は高清浄雰囲気に保たれている。搬送ロボット4は薄板状物の1種であるウエハ15(図3(a))をFOUPと呼ばれる容器13内とプロセスチャンバ7との間を搬送するもので、ロボット4のアーム可動部分は磁性流体シールなどの発塵防止のシール構造とすることで、発塵によるウエハ15への悪影響を極力抑える工夫がなされている。この構成により、ウエハ15は高清浄な雰囲気内で搬送ロボット4により搬送される。また、ミニエンバイロメント空間ユニット3内部気圧は外部よりも高い圧力「陽圧」となっており、典型的には1.5Pa程度の差圧をもつように維持されている。このようにして、外部からの汚染物質や塵埃の侵入を防止することで、ミニエンバイロメント空間ユニット3内部の清浄度は0.5μmダストでクラス1以上の高清浄度を維持することが可能となっている。」

「[0112]次に、試験用ミニエンバイロメント空間ユニット3内部の差圧を2.5Paの陽圧に維持した環境にパージポート40を適用し、パージングガスとしての窒素ガスについて、流量と供給時間の条件を変えた場合において、パージング操作に対するFOUP13内の酸素濃度の時間推移をみる試験を行った。この試験では、窒素ガスの流量を毎分120リットルと毎分150リットルに設定し、それぞれの流量に対し、供給時間を80秒とした場合と、110秒とした場合の酸素濃度の推移から、流量と供給時間の関係を見ることとした。図18がその結果のグラフである。」

サ 甲第12号証の記載
本件特許の出願前に頒布された特開2010-225641号公報(以下、「甲第12号証」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0045】
図2において、基板搬送装置としてのローダーモジュール13は、装置本体の上部に設けられた大気導入部41及び下部に設けられた大気排出部49と、大気導入部41と大気排出部49との間の基板搬送部に設けられた搬送アーム機構19と、大気導入部41に隣接して設けられた下向流形成部としてのFFU(Fan FilterUnit)34とを有する。FFU34と基板搬送部の搬送アーム機構19との間には、下向流の流通方向に沿って順次ガスイオン化装置としての軟X線レーザ光照射装置52及びパーティクル捕集部51が配置されている。
【0046】
FFU34は、上側から順に配置されるファンユニット37及び除塵ユニット40とから主としてなる。ファンユニット37は下側に向けて大気を送出するファンを内蔵し、除塵ユニット40はファンユニット37を通過した大気中の塵埃を集塵するフィルタ(図示しない)を内蔵する。FFU34は、大気導入部41を介してローダーモジュール13の内部に流入し、搬送アーム機構19が設けられた基板搬送部を経て大気排出部49から流出する大気の下向流を形成すると共に、大気中に含まれる塵埃を捕集、除去する。これにより、ローダーモジュール13の内部は清浄化された大気に置換される。」

「【0050】
ダクトファン36は、ローダーモジュール13の底面に穿孔された複数の貫通穴である大気排出部49に対向して配置され、ローダーモジュール13の内部の大気を大気排出部49を介してローダーモジュール13の外部へ排出する。
【0051】
図3は、図2におけるパーティクル捕集部51を示す模式図である。図3(B)において、パーティクル捕集部51は、軟X線を透過させない導電性材料、例えばステンレス(SUS)製の2枚の整流板51a及び51bを組み合わせたものであり、整流板51a及び51bには、図3(A)に示したように、大気の下向流が通過する開口部53が設けられている。上部整流板51aの開口部と下部整流板51bの開口部は、互いに重ならないように配置することが好ましい。これによって下向流の整流作用が発現できると共に、パーティクル捕集部51の上部に配置された軟X線レーザ光照射装置52から照射された軟X線レーザ光がパーティクル捕集部51の下方、すなわち基板搬送部に漏れることを防止して安全性を確保することができる。なお、開口部53を設ける際は、下向流として流通する大気の圧力損失が増大しないよう配慮する必要がある。
【0052】
2枚の整流板51a及び51b(以下、まとめて、「整流板51」ともいう。)には、それぞれ異なるバイアス電圧が印加されて静電吸着によるパーティクル捕集機能が付与される。」

シ 甲第13号証の記載
本件特許の出願前に頒布された特開2005-37039号公報(以下、「甲第13号証」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0014】
図1は、本発明の一実施例としての嫌塵性製品クリーンブースを具える嫌塵性製品製造システムを示す一部切り欠き斜視図であり、図中符号1はその嫌塵性製品製造装置、一実施形態としての嫌塵性製品クリーンブース2をそれぞれ示す。この実施例の嫌塵性製品クリーンブース2は、その天井にシロッコファン4からなる送風機とULPAフィルタ5(ダイキンニューロファイン(ボロンフリータイプ)LMH6051050型)5とからなるファンフィルタユニット3と清浄空気吹き出し口6を具えている。このファンフィルタユニット3の巻貝状筐体9を貫いて圧縮空気パイプを配管し、ファンブレードの外側部分に圧縮空気を吹き付けるように設置してある。また、このクリーンブース2に、半導体ウエハを収納したカセット7を載置できるロードポート20を一部の壁24とし、反対側の壁24にはロードロック室ドア33を具え、他の壁24は全て外気に対して気密にしている。そしてクリーンブース2内部には、ウエハ15を搬送するシングルアームのスカラ型ロボットである搬送ロボット10と、この搬送ロボット10のアーム17の下に第1の床11と、その下に、制御装置12、不図示の電源装置18、搬送ロボット10等を据え付けた第2の床13を具えている。第2の床13は、筺体の下部にあって筐体の底部フレームに位置する。清浄空気吹き出し口6と第1の床11と第2の床13とは共に磨きステンレススチール製のパンチングメタル板を使用し、筐体の壁材とフレームはアルミニウム製である。」

ス 甲第14号証の記載
本件特許の出願前に頒布された特開2004-44989号公報(以下、「甲第14号証」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例としての薄板状電子部品搬送装置を具える薄板状電子部品製造設備を示す一部切り欠き斜視図であり、図中符号1はその薄板状電子部品製造装置、2は一実施形態としての薄板状電子部品搬送装置をそれぞれ示す。この実施例の薄板状電子部品搬送装置2は、筐体の天井にシロッコファンからなる送風機4とULPAフィルタ(例えばダイキンニューロファイン(ボロンフリータイプ)LMH6051050型)5と清浄空気吹き出し口6とからなるファンフィルタユニット3を具え、半導体ウエハを収納したカセット7を載置できるロードポート20を一部の壁とし、反対側の壁にはロードロック室ドア33を具え、他の壁は全て外気に対して気密にしている。そして筺体内部には、ウエハ15を搬送する、シングルアームのスカラ型ロボットである搬送ロボットと、この搬送ロボットをロードポートとの受け渡し位置へと移動するためのネジ軸とスライドとモータからなるX軸移動機構と、筺体の下部にあって筐体の底部フレームに位置する床13とを具えている。ここにおける清浄空気吹き出し口6と床13とは共に磨きステンレススチール製のパンチングメタル板を使用し、筐体の壁材とフレームはアルミニウム製である。」

(3)当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)引用発明Aとの対比
a 本件発明1と引用発明Aとを対比する。
(a)引用発明Aの「半導体製造装置2」、「移送空間T」、「密閉型のカセットCx」、「移送装置21」、「フィルタ装置24」及び「送風機32」は、それぞれ、本件発明1の「処理装置」、「ウェーハ搬送室」、「FOUP」、「ウェーハ搬送装置」、「フィルタ」及び「送風手段」に相当する。

(b)引用発明Aの局所密閉型清浄装置は、「半導体製造装置2と基板搬送装置4との間でウエハを移送するためのインターフェース部3を気密に閉鎖するチャンバと、チャンバにおける半導体製造装置2側の側壁に形成された、インターフェース部3と半導体製造装置2との間でウエハを移送するための移送口17と、チャンバにおける基板搬送装置4側の側壁(側板11)に形成された、基板搬送装置4とインターフェース部3との間でウエハを移送するための移送口16と、移送口17及び移送口16を開閉自在な開閉装置23及び開閉装置22と、ウエハ移送の際にウエハが通過する移送空間T」と、を備え、「移送口16は、基板搬送装置4が所定位置に載置した密閉型のカセットCxとの間でウエハを移送するためのもの」であるところ、カセットCxを載置するためにはロードポートが必要であるから、「移送口16」には、「密閉型のカセットCx」を載置する「ロードポート」が接続されているといえる。
また、引用発明Aの「移送口16と移送口17」は、本件発明1の「開口」に相当する。
そうすると、本件発明1と引用発明Aとは、「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」を具備する点で一致する。

(c)引用発明Aでは、移送装置21は、インターフェース部3に設けられており、移送空間Tは、「インターフェース部3における移送装置21の上方」に設置されているフィルタ装置23と整流板26との間の空間から構成されるから、移送装置21は、移送空間T内に配置され、ロードポートに載置された密閉型のカセットCxと半導体製造装置2との間でウェーハの搬送を行うものであるといえる。
したがって、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置」を具備する点で一致する。

(d)引用発明Aは、「移送空間Tに清浄なガスを供給するためのフィルタ装置24」と、「チャンバ内に外部からガスを導入するガス導入手段」と、を備えてなる、局所密閉型清浄装置であって、「ガス導入手段によってチャンバ内に導入されるガスは、不活性ガスであり」、「フィルタ装置24」は、「インターフェース部3における移送装置21の上方、すなわち局所密閉型清浄装置内の上方に設置されて」いるものである。
したがって、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口」を具備する点で一致する。

(e)引用発明Aでは、「チャンバ内においてプレナムチャンバ25、移送空間T、レタンダクト31、プレナムチャンバ25と順に巡る循環気流を形成」しており、「チャンバ内に導入されるガスは、不活性ガスであり」、「局所密閉型清浄装置内の下方には、整流板26が設置され、プレナムチャンバ25と相俟って、インターフェース部3に均一な空気流を形成して」いる。
したがって、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口」を具備する点で一致する。

(f)また、上記(d)及び(f)より、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」を具備する点で一致する。

(g)引用発明Aは、「移送空間Tに清浄なガスを供給するためのフィルタ装置24」、を備えてなる、局所密閉型清浄装置であって、「フィルタ装置24は、塵埃やパーティクルを捕集するものであって、インターフェース部3における移送装置21の上方、すなわち局所密閉型清浄装置内の上方に設置されて」いるものである。
したがって、前記(d)を勘案すると、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」を具備する点で一致する。

(h)引用発明Aは、「移送空間Tに清浄なガスを供給するためのフィルタ装置24」と、「フィルタ装置24からの吹き出し風速を一様にするためのプレナムチャンバ25」を備えてなる局所密閉型清浄装置であって、「このフィルタ装置24と天板15との間の空間がプレナムチャンバ25を形成するとともに、局所密閉型清浄装置内の下方には、整流板26が設置され、プレナムチャンバ25と相俟って、インターフェース部3に均一な空気流を形成して」いるから、上記(d)?(f)を勘案すると、本件発明1と引用発明Aとは、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成」する点で一致する。

(i)引用発明Aでは、「チャンバ内においてプレナムチャンバ25、移送空間T、レタンダクト31、プレナムチャンバ25と順に巡る循環気流を形成」しており、「局所密閉型清浄装置1内の側方には、側板13を利用して構成されたレタンダクト31が設けられて」いるところ、「レタンダクト31」を構成する「側板13」以外の部材によって、「移送空間T」と仕切られていることは明らかである。
したがって、本件発明1と引用発明Aは、「前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」る点で一致する。

(j)引用発明Aは、「半導体製造装置2と基板搬送装置4との間でウエハを移送するためのインターフェース部3を気密に閉鎖するチャンバと、チャンバにおける半導体製造装置2側の側壁に形成された、インターフェース部3と半導体製造装置2との間でウエハを移送するための移送口17と、チャンバにおける基板搬送装置4側の側壁(側板11)に形成された、基板搬送装置4とインターフェース部3との間でウエハを移送するための移送口16と、移送口17及び移送口16を開閉自在な開閉装置23及び開閉装置22と、ウエハ移送の際にウエハが通過する移送空間T」と、「プレナムチャンバ25」と、「移送空間Tとプレナムチャンバ25を結ぶレタンダクト31」と、「チャンバ内においてプレナムチャンバ25、移送空間T、レタンダクト31、プレナムチャンバ25と順に巡る循環気流を形成するための送風機32」を備えてなる、局所密閉型清浄装置であって、送風機32は、「レタンダクト31の下方」に設置されたものである。
そうすると、引用発明Aにおいて、移送口17は半導体製造装置2が接続される開口であることが明らかであるから、レタンダクト31の下方に設置された送風機32は、上方に向かって循環気流を形成するものであり、かつ、移送口17の高さよりも下方に設けられたものであるといえる。
したがって、本件発明1と引用発明Aとは、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を有する点で一致する。

また、引用発明Aでは、「移送空間T内の圧力を所定値に保つようにガス導入手段及び排気手段を制御し」ているから、「移送空間Tの内部に不活性ガスが充填されている」ということができる。

以上から、本件発明1と引用発明Aとは、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されている」点で一致する。

(k)本件発明1の「EFEM」(Equipment Front End Module)(本件特許明細書【0001】)は、例えば、「所定の受け渡し位置間でウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送装置2と、このウェーハ搬送装置2を囲むように設けられた箱型の筐体3と、筐体3の前面側の壁(前面壁31)の外側に接続される複数(図中では3つ)のロードポート4?4と、制御手段5とから構成されている」(本件特許明細書【0026】)ものであるところ、引用発明Aの「局所密閉型清浄装置」は、「移送装置21」と、「チャンバ」と、「ロードポート」と、「制御装置X」とを備えてなるものであるから、本件発明1の「EFEM」に対応する。

b したがって、本件発明1と引用発明Aとは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、
前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置と、
前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、
前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、
前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路と、
前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタとを具備し、
前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、
前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され、
前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM。」

<相違点>
<相違点1>
「フィルタ」について、本件発明1では、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成」するものであるのに対し、引用発明Aのフィルタ装置24は、そのように構成されていない点。

(イ)判断
以下、上記相違点1について検討する。
a 本件発明1は、「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続される」「ウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」を具備する「EFEM」、いわゆるインターフェースモジュールに係る発明である。
また、本件発明1は、「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」と、「前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」とを具備し、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し」、「前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されている」「EFEM」であって、「前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」を具備し、「前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有」するものであるから、「ウェーハ搬送室」に生じさせた「下降気流」を、「ガス帰還路」を介して帰還させることによって構成された、循環気流の経路の途中に2つの送風要素(ファンフィルタユニットの「ファン」と「送風手段」)が設けられ、さらに、一方の送風要素であるファンが、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられた「ガス送出口」に設けられるのに対して、他方の送風要素である「送風手段」が「処理装置が接続される開口の高さよりも下方」に設けられるものである。

b 引用発明Aもいわゆるインターフェースモジュールに係る発明であり、また、引用発明Aは、「このフィルタ装置24と天板15との間の空間がプレナムチャンバ25を形成するとともに、局所密閉型清浄装置内の下方には、整流板26が設置され、プレナムチャンバ25と相俟って、インターフェース部3に均一な空気流を形成しており」、「移送空間Tは、フィルタ装置24と整流板26との間の空間から構成され」、「『フィルタ装置24を通過した』移送空間T内は、『ダウンフロー』」となっているところ、引用発明Aにおいて、インターフェース部3のフィルタ装置24を通過した移送空間T内には、「ダウンフロー」となっている「均一な空気流」が形成されているといえる。
また、甲第1号証の段落【0026】には、送風機32などから発生するガス状不純物について記載されている。

c 一方、甲第3号証、甲第4号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備せず、「前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成」したものではなく、また、2つの送風要素を筐体内に具備するものではない。
甲第5号証に記載の技術的事項は、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」と、「当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口」と、「当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口」と、「前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」とを具備するEFEMに関するものではない。
甲第6号証、甲第7号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、それぞれ、ガス帰還路として、「ガス循環管138」、「循環ダクト24」を用いており、いずれも、「前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」たものではない。
しかも、甲第6号証、甲第7号証に記載の技術的事項は、ファンフィルタユニットを具備するものの、甲第6号証の段落【0048】、甲第7号証の段落【0017】の記載から、ダウンフローを形成するためにファンフィルタユニットを設けたものと認められ、2つの送風要素を具備するものでもない。
甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、また、甲第8号証に記載の技術は、ガス帰還路として、接続ダクト27と接続ダクト28で筐体1に接続された「筐体21」を用いており、「「」前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」たものではない。
そして、甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、2つの送風要素を具備するものの、循環気流の経路の途中に2つの送風要素が設けられたものではなく、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を有するものではない。

d 以上のとおり、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項は、いずれも、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、ガス帰還路とを具備し、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM」において、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられ、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファン」を具備し、かつ、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を更に有する構成ではない。
しかも、上記bで検討したとおり、引用発明Aにおいて、インターフェース部3のフィルタ装置24を通過した移送空間T内には、「ダウンフロー」となっている「均一な空気流」が形成されているといえるから、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、フィルタ装置24を、移送空間Tに下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
したがって、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(ウ)本件発明1についてのまとめ
よって、本件発明1は、引用発明A及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上記アに示した理由と同様の理由により、本件発明2?8は、引用発明A及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 特許異議申立人の意見について
(ア)a 特許異議申立人星正美は、令和1年12月20日に提出した意見書の3ページの「3」「3-2(ア)」において、「新訂正発明1」(令和1年11月11日付けの訂正請求書(本件訂正請求書)により訂正された請求項1に係る発明。上記の「本件発明1」)における引用発明との相違点は、令和1年5月25日付けの訂正請求書により訂正された請求項1に係る発明における引用発明との相違点と同じであるから、令和1年9月5日付け取消理由書(決定の予告)で通知された取消理由は、何ら解消されていない旨を主張する。

b しかしながら、本件発明1(「新訂正発明1」)は、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、ガス帰還路とを具備し、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM」において、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられ、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファン」を具備し、かつ、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を更に有する構成のものとなっており、上記ア(イ)dで判断したとおり、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、フィルタ装置24を、移送空間Tに下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
よって、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(イ)a 特許異議申立人星正美は、令和1年12月20日に提出した意見書の3?4ページの「3」「3-2(イ)」において、特許権者による令和1年11月11日付けの意見書の3P32行目?4P3行目、4P21行目?5P2行目における主張に対して、「新訂正発明1」(本件発明1)の2つのファンの配置のうち、「送風手段」を「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設け」ることは、甲第1号証に係る引用発明との共通点であり、「ファンフィルタユニット」を送風口に設けることは、先に述べたように周知技術である。そうすると、「新訂正発明1」で特定される2つの送風要素の配置は、従来技術を寄せ集めて実現できる程度のものであり、その効果が顕著なものであるとは考えられない旨を主張する(以下「申立人主張イ-A」という。)。
更に、特許権者による同意見書における、ウエーハ搬送室内が微陽圧に維持されることにより効果を奏するとの主張に対して、EFEMの分野におけるウェーハ搬送室の陽圧の程度についての周知例として、甲第10号証(特開2008-263048号公報)及び甲第11号証(国際公開第2010/137556号)を掲げ、特許権者が主張する「微陽圧」が、従来技術を上回る効果を奏するものであるとは考えられない旨を主張する(以下「申立人主張イ-B」という。)。

b しかしながら、上記「申立人主張イ-A」について、「送風手段」を「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設け」ることが、甲第1号証に係る引用発明との共通点であり、「ファンフィルタユニット」を送風口に設けることが、周知技術であったといっても、特許異議申立人が、令和1年7月2日付け意見書3ページで、当該周知技術を示す文献として提示した甲第5号証?甲第7号証について、「循環型のEFEMにおいて送風ファン41とフィルタ42を用いることが記載されて」いる証拠として提示した甲第5号証に記載の技術的事項は、循環型のEFEMを示すものではなく、処理装置(すなわち、本件発明1の「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置に接続される略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」を具備するものではない。)について記載されており、甲第6号証及び甲第7号証に記載の技術的事項は、循環型のEFEMに関する証拠であるものの、2つの送風要素を具備するものではない。
そして、本件訂正により、本件発明1は、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、ガス帰還路とを具備し、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM」において、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられ、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファン」を具備し、かつ、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を更に有する構成となったのであるから、当該構成の不活性ガスの循環気流における圧力の勾配は、処理装置に接続される開口を有するものではない、処理装置に係る甲第5号証に記載の技術的事項、並びに循環気流の経路の途中に2つの送風要素を具備しない、甲第6号証及び甲第7号証に記載の技術的事項の単なる寄せ集めにより得られるものとは認められない。

c 次に、上記「申立人主張イ-B」について、甲第10号証に記載の技術的事項は、ミニエンバイロメント方式を用いた半導体装置の製造に適用して有効な技術に関しするものであり、また、甲第11号証の段落「0029」には、処理装置1において、ミニエンバイロメント空間ユニット3(本件発明1の「EFEM」に相当。)にファンフィルタユニット5が設けられているとの構成が記載されているものの、甲第11号証に記載の技術的事項は、循環型のEFEMに関するものではなく、また、2つの送風要素を具備するものでもない。
そうすると、上記ア(イ)dで、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではないと判断した理由と同様の理由で、引用発明Aにおいて、甲第10号証及び甲第11号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(ウ)a 特許異議申立人星正美は、令和1年12月20日に提出した意見書の5ページの「3」「3-2(ウ)(1)」において、特許権者による意見書の7P20行目から23行目における、「引用発明では、プレナムチヤンバ25と整流板26を採用することによって、「均一な下降気流を形成する」という課題を既に解決しています。したがって、このような解決済み課題を解決するために、別の構成(すなわち、周知技術として挙げられている甲第6、7、9に記載されているようなファンフィルタユニット)を適用することの動機付けが存在していません。」との主張に対して、「しかしながら、同じまたは近似する作用を有する2つの技術要素を組み合わせることは、技術分野を問わずよくあることであり、ある技術を採用することが、これと同じまたは類似する作用を有する技術の採用の動機付けを失わせるかどうかは、個別具体的に判断する必要がある。ここで、ファンフィルタユニットとパンチングメタルなどの整流板およびプレナムチヤンバとを併用構造は、均一な下降気流を形成するという課題解決のために効果的であると考えられ、そのようなEFEMは、本件に係る特許出願の出願前から複数の文献で開示がある(甲第12号証、図2、甲第13号証、図1および甲14号証、図2)。したがって、プレナムチヤンバと整流板を採用する引用発明に、ファンフィルタユニットを適用することの動機付けが存在しないとの特許権者の主張は失当である。」と主張する。

b しかしながら、上記ア(イ)cで検討したとおり、甲第6号証、甲第7号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、それぞれ、ガス帰還路として、「ガス循環管138」、「循環ダクト24」を用いており、いずれも、「前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」たものではなく、しかも、甲第6号証及び甲第7号証に記載の技術的事項は、2つの送風要素を具備するものではない。甲第9号証に記載の技術的事項は、EFEMではなく、処理装置に関するものである。
また、甲第12号証に記載の技術的事項は、ファンフィルタユニット34とパーティクル捕集部(整流板)51を具備するローダモジュール13(本件発明1の「EFEM」に相当。)を示すものものの、循環型気流を示すものではない。甲第13号証及び甲第14号証に記載の技術的事項は、EFEMを示すものの、循環型気流を示すものではなく、循環気流の経路の途中に2つの送風要素を具備するものではない。
したがって、甲第12号証ないし甲第14号証に、「ファンフィルタユニットと整流板およびプレナムチャンバとを併用構造」のEFEMが開示されているとしても、上記ア(イ)dにおける判断と同様の理由で、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証及び甲第12号証ないし甲第14号証に記載の技術的事項に基づき、フィルタ装置24を、移送空間Tに下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
よって、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証及び甲第12号証ないし甲第14号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(エ)a 特許異議申立人星正美は、令和1年12月20日に提出した意見書の5?6ページの「3」「3-2(ウ)(2)」において、特許権者による意見書の9P3行目から26行目における、「送風機32が、ガス状不純物や汚染物質の発生源(汚染源)として認識されており、送風機32の近傍に、ガス状不純物や汚染物質を廃棄するために排気手段が設けられているのです(中略)排気手段の下流側に、新たなファン(汚染源たる送風機構)が配置されることになってしまいます。こうなると、送風機32の近傍に排気手段を設けた意味が没却されてしまいます。」「つまり、引用発明では、ファンフィルタユニットの適用が排斥されており、採用されることはあり得ません」との主張に対して、「確かに、甲第1号証の発明の詳細な説明には、排気口を、モータ32aの近傍に配置する構成を採用する効果が記載されている。しかしながら、甲第1号証の特許請求の範囲では、排出口とモータ32aまたは送風機との配置関係は特定されていないので、このような配置関係は、単に好ましい実施形態の一例を示しているだけであり、引用発明の必須要件とは認められない。また、甲第1号証における段落「0012」において「インターフェース部内で発生した化学汚染物質を効率よく除去したり外部に排出できると共に」との記載があり、引用発明では、送風機のみを汚染物質の発生源と考えている訳ではないと考えられる。また、EFEMを含む半導体製造工場において、清浄度の高い気体をウェーハ搬送室に供給可能なファンフィルタユニットが一般的に採用されていることから考えても、「引用発明では、ファンフィルタユニットの適用が排斥されており、採用されることはあり得ません」との特許権者の主張は失当である。」と主張する。

b しかしながら、仮に、「引用発明では、ファンフィルタユニットの適用が排斥されて」いるとまではいえないとしても、上記ア(イ)dで判断したとおり、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、フィルタ装置24を、移送空間Tに下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
よって、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(オ)a 特許異議申立人星正美は、令和1年12月20日に提出した意見書の6ページの「3」「3-2(ウ)(3)」において、特許権者による意見書の12P17行目?21行目における、「本件においても、仮に、処理装置の技術分野において、二つの送風要素が設けられることが周知と認められるとしても、引用発明が対象とするインターフェースモジュールの技術分野において、二つの送風要素が設けられることが当業者に周知な技術であると、認めるに足る証拠がありません。」との主張に対して、「ここで、主引用発明の課題解決のために、主引用発明に対し、主引用発明に関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮であると考えられる。そうすると、「新訂正発明1」のEFEMは、基板などに対して具体的な処理を行う処理装置とは区別して認識されているとしても、半導体工場内において処理装置と組み合わせて用いられるものであり、半導体工場内において局所的な清浄空間を形成する「ミニエンバイロメント方式」に関連する技術として、処理室とは技術分野が共通する。特に、「新訂正発明1」では、局所的な清浄空間を「微陽圧」にすることで課題を解決している旨、特許権者は主張しているが、局所的な清浄空間を陽圧にする技術は、処理室の分野においても周知技術であり、両者は課題が共通している。また、ファンフィルタユニットその他の送風手段についても、耐薬品性などに応じた使い分けなどはあるものの、EFEMに用いられるものと処理室に用いられるものとは類似しており、同じファンフィルタユニットが、EFEMと処理装置の両方に採用されることも珍しくない。そのため、甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証に記載されるような複数の送風手段を配置する技術が、EFEMでも採用可能であることは、当業者であれば容易に理解できると考えられる(同旨の判例として、知財高判平成17年5月25日(平成17年(行ヶ)第10287号))。したがって、引用発明に対して、甲5、8、9号証に記載の送風要素を二つ備えた構成を採用することは、当業者の通常の創作能力の発揮であると考えられる。」と主張する(下線は合議体が付加した。)。

b 上記の特許異議申立人による主張の「処理室」の定義が明確でないものの、上記ア(イ)cで検討したとおり、甲第5号証に記載の技術的事項は、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路とを具備するEFEMに関するものではない。
甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、また、甲第8号証に記載の技術は、ガス帰還路として、接続ダクト27と接続ダクト28で筐体1に接続された「筐体21」を用いており、前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離されたものではない。
そして、甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、2つの送風要素を具備するものの、処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられてガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を有するものではない。

したがって、上記ア(イ)dで判断したとおり、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、フィルタ装置24を、移送空間Tに下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
よって、引用発明Aにおいて、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1?8は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証ないし甲第14号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条第1項について(その1)
ア 本件発明1について
(ア)特許異議申立人星正美は、特許異議申立書19ページの(4)ウ(ア)において、「よって、本件特許発明1と甲1発明とは、上述(4)アで説明した発明特定事項A?Jのすべてが共通しており、本件特許発明1は甲第1号証に記載された発明である。」旨を主張している。

(イ)そこで、上記主張について検討する。
甲第1号証に記載された発明(引用発明A)は、前記4(2)ア(イ)に記載したとおりである。
本件発明1と甲第1号証に記載された発明(引用発明A)とを対比すると、前記4(3)ア(ア)で検討したとおり、本件発明1と引用発明Aとは、<相違点1>を有する。
したがって、本件発明1は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

イ 本件発明4、5について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書19?20ページの(4)ウ(イ)、(ウ)において、本件特許発明4及び5は甲第1号証に記載された発明である旨を主張している。
本件発明4及び5は、いずれも、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上述のアに示した理由と同様の理由により、本件発明4及び5は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1、4、5は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
したがって、特許異議申立人星正美のかかる主張は、採用することができない。

(2)特許法第29条第1項について(その2)
ア 特許異議申立人星正美は、特許異議申立書20ページの(4)ウ(エ)において、「よって、本件特許発明1と甲2発明とは、上述(4)アで説明した発明特定事項A?Jのすべてが共通しており、本件特許発明1は甲第2号証に記載された発明である。」旨を主張している。

イ そこで、上記主張について検討する。
(ア)甲第2号証の記載と甲2発明
a 甲第2号証(特開2010-109250号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を製造する電子部品製造装置と該電子部品を搬送する電子部品搬送装置との間で電子部品を移送するためのインターフェース部を気密に閉鎖するチャンバと、
前記チャンバから排出される清浄空気を循環清浄空気として再度該チャンバへ導く清浄空気循環通路と、
前記清浄空気循環通路を流れる循環清浄空気を循環させる送風部と、
前記清浄空気循環通路上に設けられ、前記循環清浄空気を冷却する冷却部と、
前記清浄空気循環通路上の、前記循環清浄空気の流れにおける、前記冷却部の上流側に設けられる蓄熱部と、を備え、
前記蓄熱部は、ケミカルフィルタからなり、かつ、前記循環清浄空気を該ケミカルフィルタの内部を通過させて整流する整流構造を有し、前記循環清浄空気の熱を蓄熱して前記冷却部の負荷の低減を図ると共に、前記循環清浄空気に含まれる分子状の汚染物質を捕集する、
局所密閉型清浄化装置。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、局所密閉型清浄化装置の技術に関する。」

「【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子部品製造装置と電子部品搬送装置との間で電子部品を移送するためのインターフェース部を備える局所密閉型清浄化装置において、局所密閉型清浄化装置冷却部の性能を向上することなく、局所密閉型清浄化装置の冷却部に起こりうる急な負荷変動を低減できる技術を提供することができる。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る局所密閉型清浄化装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
<構成>
図3Aは、実施形態に係る局所密閉型清浄化装置100を半導体製造装置101に適用した場合の概略構成を示す。また、図4は、局所密閉型清浄化装置100を電子部品搬送装置側からみた概略構成を示す。これらの各種装置は、クリーンルーム(CR)内に設置して使用することができる。本実施形態では、クリーンルームの天井部に複数のファン・フィルタ・ユニット103が設けられており、これら複数のファン・フィルタ・ユニット103により、局所密閉型清浄化装置100や半導体製造装置101など、クリーンルーム内に設置されている各装置に対して、ダウンフローが形成されている。なお、本実施形態では、ファン・フィルタ・ユニット103がクリーンルームの天井に設けられることで、クリーンルーム内の空気の流れがダウンフローであるが、クリーンルーム内の空気の流れは水平一方向流でもよく、また、一方向流ではなく、非一方向流であってもよい。
【0022】
局所密閉型清浄化装置100は、主要な構成として、インターフェース部1、レタンダクト12、送風機2、蓄熱材50、冷却コイル4、加熱コイル5、熱量制御装置17、プレナムチャンバ15、高性能フィルタ6を備えている。
【0023】
インターフェース部1は、電子部品(本実施形態では、半導体ウエハ。以下、単にウエハという。)を製造する半導体製造装置101とウエハを搬送する半導体搬送装置102との間でウエハの授受を行う。インターフェース部1には、ウエハを移送する移送装置7が設けられており、移送装置7は、アーム10を有し、半導体製造装置101と半導体搬送装置102との間でウエハの移送が可能である。本態様では、ウエハを収納するカセット19が設けられ、未処理のウエハをカセット19内に一時的にストックさせることもできる。本実施形態に係る局所密閉型清浄化装置100は、密閉型であり、局所密閉型清浄化装置100を構成するインターフェース部1も気密性が確保されている。具体的には、インターフェース部1の気密性を確保すべく、チャンバ16を構成する側板21a、21b及び天板22が設けられ、半導体搬送装置102側の側板21bには、半導体搬送装置102が所定位置に載置したポッド若しくは搬送ポッドとの間でウエハを移送するための移送口8bが設けられている。図3Bは、ポッドの概略構成を示す。ポッド11aは、その内部に形成され溝にウエハを入れることでウエハを収容する。そしてポッド11aには、ウエハを出し入れするための蓋11bが設けられている。また、半導体製造装置101側の側板21aには、半導体製造装置101との間で電子部品を移送する移送口8aが設けられている。更に、インターフェース部1には、上記移送口8a、8bを夫々独立して開閉自在な開閉装置23a、23bが設けられている。移送装置7を構成する移送アームがこれら移送口8a、8bを通過するとき以外は、移送口8a、8bは閉鎖される。これにより、インターフェース部1の気密性が確保される。
【0024】
インターフェース部1の下方には、インターフェース部1に均一な空気流を形成するための整流板24が設けられている。整流板24は、例えばパンチングメタルによって構成することができる。整流板24と後述するインターフェース部1の上部に設けられるプレナムチャンバ15とによって、インターフェース部1内の空気の均一化が実現されている。なお、図示では省略するが、例えば、移送装置7を構成するモータといった駆動装置は、整流板24よりも下方の下方空間9に配置することができる。なお、プレナムチャンバ15とインターフェース部1の上部との間には、後述する高性能フィルタ6が設けられており、この高性能フィルタ6と整流板24との間の空間が、本発明の移送空間に相当する。
【0025】
レタンダクト12は、本発明の清浄空気循環通路に相当し、インターフェース部1から排出される清浄空気を循環清浄空気としてチャンバ16へ導く。より詳細には、レタンダクト12は、一端がインターフェース部1の下方に設けられた下方空間9と接続され、他端がインターフェース部1の上部に設けられたプレナムチャンバ15と接続されている。そして、このレタンダクト12には、循環清浄空気の流れにおける上流側から下流側に向けて、順に、蓄熱材50、冷却コイル4、加熱コイル5が設けられている。
【0026】
送風機2は、レタンダクト12を流れる循環清浄空気を循環させる。送風機2の吹き出し口(図4における送風機2の上部)の近傍には、ガス導入口25及びガス導入管26が設けられている。ガス導入口25及びガス導入管26によって、局所密閉型清浄化装置100内へ-50度以下の低露点空気が供給される。なお、低露点空気に代えて、窒素ガス(N2)、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガスといった不活性ガスを用いてもよい。なお、送風機2の下部近傍には、局所密閉型清浄化装置100の外部の外部排気管と連通する排気管27及び排気口28が設けられている。そして、排気管27及び排気口28を通じて、例えば、移送装置7を構成するモータのベアリングのグリース、配線、塗料などから発生するガス状不純物が排出可能である。なお、ガス導入管26及び排気管27の夫々に、夫々の管を流れるガスの流量を調整する流量調節バルブ13、14が設けられている。流量調節バルブ13、14は、例えば制御装置を設けて制御装置と接続してもよい。これにより、ガス導入管26又は排気管27を流れるガスの流量を制御することができる。
【0027】
蓄熱材50は、レタンダクト12を流れる循環清浄空気の熱を蓄熱する。これにより、蓄熱材50よりも下流側に設けられている冷却コイル4の負荷の低減を図ることができる。また、蓄熱材50は、循環清浄空気に含まれる分子状の汚染物質を捕集する。蓄熱材50には、活性炭やゼオライト等の無機系材料を基材とした熱容量の大きなケミカルフィルタを用いることが好ましい。このようなケミカルフィルタを蓄熱材50として用い、冷却コイル4よりも上流、換言すると冷却コイル4の前面に配置することで、循環清浄空気の温度の変動を平準化すると共に、分子状の汚染物質を除去して、循環清浄空気の汚染物質濃度の低減を実現することができる。・・・
【0030】
プレナムチャンバ15は、高性能フィルタ6と天板27との間の空間によって構成されている。高性能フィルタ6は、インターフェース部1に供給される循環清浄空気を清浄する。本態様では、高性能フィルタ6は、局所密閉型清浄化装置100の上方かつ、プレナムチャンバ15との間に介在している。なお、高性能フィルタ6は、局所密閉型清浄化装置100の側面に設けるようにしてもよい。
【0031】
<動作>
次に、本実施形態に係る局所密閉型清浄化装置100の動作について作用効果と共に説明する。局所密閉型清浄化装置100が起動されると、移送口8a、8bの開閉装置21a、21bはいずれも閉鎖される。そして、ガス導入管26の流量調節バルブ13が開放し、局所密閉型清浄化装置100内に低露点空気が供給され、局所密閉型清浄化装置100内が低露点空気で満たされる。このとき、局所密閉型清浄化装置100内が所定の正圧となるように、排気管27の流量調節バルブ14が調整される。送風機2は、運転を開始し、レタンダクト12内に窒素ガスからなる循環清浄空気を循環させる。
【0032】
半導体搬送装置102が半導体製造装置101でこれから製造されるウエハを構成する基板を収納したポッド11a若しくは搬送ポッドを局所密閉型清浄化装置100の側板21bに設定された所定の位置に載置する。開閉装置23bが開放し、移送口8bを通じて、インターフェース部1の移送装置7の移送アーム10がポッド11a若しくは搬送ポッド内のウエハを受け取る。次に、移送装置7の移送アーム10がウエハを半導体製造装置101に移送する際、移送口8aの開閉を担う開閉装置23aが開放してウエハが半導体製造装置101内に移送される。
【0033】
移送装置7の移送アーム10が半導体製造装置101での処理が行われたウエハを半導体製造装置101に受け取りにいく場合、移送口8aの開閉を担う開閉装置23aが開放して移送装置7の移送アーム10がこの処理済みウエハを受け取る。次に、この処理済みウエハをポッド11a若しくは搬送ポッドの所定のスロット内に収納する。また移送装置7の移送アーム10が移送口8aから退避した時点で開閉装置21aは移送口8aを閉鎖する。
・・・
【0039】
なお、ウエハを移送している移送装置7に対しては、汚染物質が除去された後の清浄なダウンフローが常に形成されているので、ウエハが汚染物質に汚染されることはない。また、塵埃やその他のパーティクルは高性能フィルタ6によって除去される。局所密閉型清浄化装置100内は常に清浄されている清浄循環清浄空気が充満している。従って、ウエハ表面に例えば自然酸化膜が形成されることはない。
・・・
【0041】
なお、圧力センサを設け、移送空間25内の圧力が低下した場合、圧力センサによってそのことが検出し、所定の正圧になるまでガス導入管26の流量調節バルブ14を開放してもよい。・・・」

b したがって、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「インターフェース部1、レタンダクト12、送風機2、蓄熱材50、冷却コイル4、加熱コイル5、熱量制御装置17、プレナムチャンバ15、高性能フィルタ6を備えている、局所密閉型清浄化装置であって、
インターフェース部1は半導体ウエハを製造する半導体製造装置101とウエハを搬送する半導体搬送装置102との間でウエハの授受を行い、
インターフェース部1には、ウエハを移送する移送装置7が設けられており、
移送装置7は、アーム10を有し、半導体製造装置101と半導体搬送装置102との間でウエハの移送が可能であり、
ウエハを収納するカセット19が設けられ、
局所密閉型清浄化装置100は、密閉型であり、局所密閉型清浄化装置100を構成するインターフェース部1も気密性を確保すべく、チャンバ16を構成する側板21a、21b及び天板22が設けられ、
半導体搬送装置102側の側板21bには、半導体搬送装置102が所定位置に載置したポッド若しくは搬送ポッドとの間でウエハを移送するための移送口8bが設けられ、
また、半導体製造装置101側の側板21aには、半導体製造装置101との間でウエハを移送する移送口8aが設けられ、
更に、インターフェース部1には、上記移送口8a、8bを夫々独立して開閉自在な開閉装置23a、23bが設けられ、移送装置7を構成する移送アームがこれら移送口8a、8bを通過するとき以外は、移送口8a、8bは閉鎖され、これにより、インターフェース部1の気密性が確保され、
インターフェース部1の下方には、インターフェース部1に均一な空気流を形成するための整流板24が設けられ、整流板24とインターフェース部1の上部に設けられるプレナムチャンバ15とによって、インターフェース部1内の空気の均一化が実現されており、
プレナムチャンバ15とインターフェース部1の上部との間には、後述する高性能フィルタ6が設けられており、この高性能フィルタ6と整流板24との間の空間が、本発明の移送空間に相当し、
レタンダクト12は、一端がインターフェース部1の下方に設けられた下方空間9と接続され、他端がインターフェース部1の上部に設けられたプレナムチャンバ15と接続されており、清浄空気循環通路に相当し、インターフェース部1から排出される清浄空気を循環清浄空気としてチャンバ16へ導き、このレタンダクト12には、循環清浄空気の流れにおける上流側から下流側に向けて、順に、蓄熱材50、冷却コイル4、加熱コイル5が設けられ、
送風機2は、レタンダクト12を流れる循環清浄空気を循環させ、送風機2の吹き出し口の近傍には、ガス導入口25及びガス導入管26が設けられ、ガス導入口25及びガス導入管26によって、局所密閉型清浄化装置100内へ-50度以下の不活性ガスが供給され、送風機2の下部近傍には、局所密閉型清浄化装置100の外部の外部排気管と連通する排気管27及び排気口28が設けられ、
ケミカルフィルタを蓄熱材50として用い、循環清浄空気の汚染物質の低減を実現し、
プレナムチャンバ15は、レタンダクト12の下流側の端部と連通し、インターフェース部1に供給する循環清浄空気を整流し、
高性能フィルタ6は、インターフェース部1に供給される循環清浄空気を清浄する、局所密閉型清浄化装置。」

(イ)本件発明1について
a 本件発明1と甲2発明とを対比する。
(a)甲第2号証の段落【0009】には、「電子部品製造装置と電子部品搬送装置との間で電子部品を移送するためのインターフェース部を備える局所密閉型清浄装置」と記載されており、本件特許明細書の段落【0003】には、「EFEM」は、「ウェーハに処理を行う装置と、FOUPとの間でウェーハを受け渡しを行う」と説明されているから、甲2発明の「局所密閉型清浄装置」は、本件発明1の「EFEM」に相当する。

(b)甲2発明の「チャンバ」、「インターフェース部1」、「移送装置7」、「レタンダクト12」、「高性能フィルタ6」は、それぞれ、本件発明1の「筐体」、「ウェーハ搬送室」、「ウェーハ搬送装置」、「ガス帰還路」、「フィルタ」に相当する。

(c)また、甲第2号証の図4から、甲2発明の局所密閉型清浄装置において、「フィルタ6」と「整流板24」が配置されている位置が、それぞれ、本件発明1の「ガス送出口」と「ガス吸引口」に相当する。

(d)また、不活性ガスを循環させることや、筐体内に設けた仕切り部材によってウェーハ搬送装置とガス帰還路が分離される点も、本件発明1と甲2発明とは共通する。

b そうすると、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、
前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置と、
前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、
前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、
前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路と、
前記ガス送出口に設けられ、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタとを具備し、
前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、
前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され、
前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM。」

<相違点>
<相違点2>
「フィルタ」について、本件発明1では、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成」するものであるのに対し、甲2発明の高性能フィルタ6は、そのように構成されていない点。

c したがって、本件発明1と引用発明Aとは、<相違点2>を有するから、本件発明1は甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

(ウ)本件発明4、5について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書20?21ページの(4)ウ(オ)、(カ)において、本件特許発明4及び5は甲第2号証に記載された発明である旨を主張している。
本件発明4及び5は、いずれも、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上記(イ)に示した理由と同様の理由により、本件発明4及び5は甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1、4、5は、甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。
したがって、特許異議申立人星正美のかかる主張は、採用することができない。

(3)特許法第29条第2項について(甲2発明との対比・判断について)
ア 本件発明1、4、5について
(ア)特許異議申立人星正美は、特許異議申立書21?22ページの(4)ウ(キ)において、本件特許発明1、4、5は、甲2発明に基づき、容易に想到できた発明である旨を主張している。

(イ)そこで、上記主張について検討する。
a 甲第2号証に記載された発明(甲2発明)は、前記(2)イ(ア)bに記載したとおりである。

b 本件発明1と甲2発明とを対比すると、前記(2)ア(ア)で検討したとおり、本件発明1と甲2発明とは、<相違点2>を有する。

c 以下、上記相違点2について検討する。
(a)本件発明1は、「壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」と、「前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」とを具備し、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し」、「前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されている」「EFEM」であって、「前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ」を具備し、「前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有」するものであるから、「ウェーハ搬送室」に生じさせた「下降気流」と、「ガス帰還路」を介して帰還させることによる、循環気流の経路の途中に2つの送風要素(ファンフィルタユニットの「ファン」と「送風手段」)が設けられ、さらに、一方の送風要素であるファンが、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられた「ガス送出口」に設けられるのに対して、他方の送風要素である「送風手段」が「処理装置が接続される開口の高さよりも下方」に設けられるものである。

(b)一方、甲2発明は、「インターフェース部1の下方には、インターフェース部1に均一な空気流を形成するための整流板24が設けられ、整流板24とインターフェース部1の上部に設けられるプレナムチャンバ15とによって、インターフェース部1内の空気の均一化が実現されて」いるものであり、また、甲第2号証の段落【0021】には、「本実施形態では、クリーンルームの天井部に複数のファン・フィルタ・ユニット103が設けられており、これら複数のファン・フィルタ・ユニット103により、局所密閉型清浄化装置100や半導体製造装置101など、クリーンルーム内に設置されている各装置に対して、ダウンフローが形成されている。なお、本実施形態では、ファン・フィルタ・ユニット103がクリーンルームの天井に設けられることで、クリーンルーム内の空気の流れがダウンフローである・・・」と記載されており、段落【0039】には、「なお、ウエハを移送している移送装置7に対しては、汚染物質が除去された後の清浄なダウンフローが常に形成されている・・・」と記載されているように、甲2発明において、「インターフェース部1」内は、ダウンフローである空気の均一化が実現されているといえる。

(c)他方、甲第3号証、甲第4号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備せず、「前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成」したものではなく、また、2つの送風要素を筐体内に具備するものではない。
甲第5号証に記載の技術的事項は、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体」と、「当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口」と、「当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口」と、「前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」とを具備するEFEMに関するものではない。
甲第6号証、甲第7号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、それぞれ、ガス帰還路として、「ガス循環管138」、「循環ダクト24」を用いており、いずれも、「前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」たものではない。
しかも、甲第6号証、甲第7号証に記載の技術的事項は、ファンフィルタユニットを具備するものの、甲第6号証の段落【0048】、甲第7号証の段落【0017】の記載から、ダウンフローを形成するためにファンフィルタユニットを設けたものと認められ、2つの送風要素を具備するものでもない。
甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、ガス帰還路を具備するものの、EFEMではなく、処理装置に関するものであり、また、甲第8号証に記載の技術は、ガス帰還路として、接続ダクト27と接続ダクト28で筐体1に接続された「筐体21」を用いており、「前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」たものではない。
そして、甲第8号証、甲第9号証に記載の技術的事項は、2つの送風要素を具備するものの、循環気流の経路の途中に2つの送風要素が設けられたものではなく、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を有するものではない。

(d)以上のとおり、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項は、いずれも、「略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、ガス帰還路とを具備し、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されているEFEM」において、「ウェーハ搬送室の上部」に設けられ、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファン」を具備し、かつ、「前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段」を更に有する構成ではない。
しかも、上記(b)で検討したとおり、甲2発明において、「インターフェース部1」内は、ダウンフローである空気の均一化が実現されているといえるから、甲2発明において、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、高性能フィルタ6を、インターフェース部1に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとする、動機付けを見出せない。
したがって、甲2発明において、甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づき、相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得るものではない。

(ウ)本件発明1、4、5についてのまとめ
本件発明4、5は、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、本件発明1、4、5は、甲2発明及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2、6について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書22ページの(4)ウ(ク)において、本件特許発明2、6は、甲2発明と、甲3発明とに基づき、容易に想到できた発明である旨を主張している。
本件発明2及び6は、いずれも、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上記アに示した理由と同様の理由により、本件発明2及び6は、甲2発明及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明3について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書22?23ページの(4)ウ(ケ)において、本件特許発明3は、甲2発明に基づき、容易に想到できた発明である旨を主張している。
本件発明3は、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上記アに示した理由と同様の理由により、本件発明3は、甲2発明及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明7、8について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書23?24ページの(4)ウ(コ)において、本件特許発明7、8は、甲2発明と、甲4発明とに基づき、容易に想到できた発明である旨を主張している。
本件発明7及び8は、いずれも、本件発明1に対して、更に、技術的事項を追加して限定したものである。
よって、上記アに示した理由と同様の理由により、本件発明7及び8は、甲2発明及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括
以上のとおり、本件特許発明1?8は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証ないし甲第9号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、特許異議申立人星正美のかかる主張は、採用することができない。

(4)特許法第36条第6項第2号について
ア 特許異議申立人星正美は、特許異議申立書において、以下のように主張している。
「本件特許発明4を規定する請求項4には、「前記ウェーハ搬送室内にガスを供給するガス供給手段と、前記ウェーハ搬送室内よりガスを排出するためのガス排出手段とをさらに備え、前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられている」との記載がある。
ここで、特許発明4においては、・・・、「ガス供給手段」と「ガス排出手段」とが、筐体またはEFEMにおけるどの部分に配置されるのかについては、何ら限定がない。・・・
そうすると、特許発明4において、「ガス供給手段」と「ガス排出手段」とは、ガスが循環する筐体内の任意の位置に配置可能であることになり、その状態では、「下流側」を判断するための基準となる流れの始点または流れの終点を特定することができないので、「ガス供給手段」と「ガス排出手段」のうち、いずれが「下流側」であるか判断することができない。よって、特許発明4における「前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられている」との発明特定事項Nは、「ガス供給手段」と「ガス排出手段」との如何なる配置関係を特定しているのか不明確である。
したがって、請求項4に係る本件特許発明4および請求項4を引用する請求項5?請求項8に係る特許発明5?8は不明確である。」

イ 請求項4が引用する本件発明1は、「ウェーハ搬送室を内部に構成する筐」と、「前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路」とを具備し、「前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され」るものであるから、請求項1、4において、「ガス供給手段」と「ガス排出手段」とが、筐体またはEFEMにおけるどの部分に配置されるのかについて限定されていないものの、不活性ガスは、ウェーハ搬送室を下降し、ガス帰還路を介してウェーハ搬送室に帰還することで循環することが明らかであるから、請求項4に記載の「ガス排出手段の下流側」との位置は明確である。
したがって、請求項4における「前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられている」との記載は明確である。
よって、特許異議申立人星正美のかかる主張は、採用することができない。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
EFEM
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中のウェーハを外気に晒すことのないよう、ウェーハ搬送室内のガスを循環させることのできるEFEM(Equipment Front End Module)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板としてのウェーハに対し種々の処理工程が施されることにより半導体の製造がなされてきている。近年では素子の高集積化や回路の微細化がますます進められており、ウェーハ表面へのパーティクルや水分の付着が生じないように、ウェーハ周辺を高いクリーン度に維持することが求められている。さらに、ウェーハ表面が酸化するなど表面の性状が変化することがないよう、ウェーハ周辺を不活性ガスである窒素雰囲気としたり、真空状態としたりすることも行われている。
【0003】
こうしたウェーハ周辺の雰囲気を適切に維持するために、ウェーハは、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる密閉式の格納ポッドの内部に入れて管理され、この内部には窒素が充填される。さらに、ウェーハに処理を行う処理装置と、FOUPとの間でウェーハの受け渡しを行うために、下記特許文献1に開示されるようなEFEMが利用されている。EFEMは、筐体の内部で略閉止されたウェーハ搬送室を構成するとともに、その対向壁面の一方にFOUPとの間でのインターフェース部として機能するロードポート(Load Port)を備えるとともに、他方に処理装置の一部であるロードロック室が接続される。ウェーハ搬送室内には、ウェーハを搬送するためのウェーハ搬送装置が設けられており、このウェーハ搬送装置を用いて、ロードポートに接続されるFOUPとロードロック室との間でウェーハの出し入れが行われる。
【0004】
すなわち、ウェーハは一方の受け渡し位置となるFOUP(ロードポート)より、ウェーハ搬送装置を用いて取り出され、もう一方の受け渡し位置となるロードロック室に搬送される。そして、処理装置では、ロードロック室を通じて搬送されるウェーハに対してプロセスチャンバーと称される処理ユニット内で処理を施し、処理の完了後に、再びロードロック室を介してウェーハが取り出されてFOUP内に戻される。
【0005】
処理装置内は、ウェーハに対する処理を速やかに行うことができるように、処理に応じた真空等の特殊な雰囲気とされる。また、EFEMにおけるウェーハ搬送室の内部は、化学フィルタ等を通じて清浄化されたエアを導入することで、高いクリーン度のクリーンエア雰囲気とされており、搬送中のウェーハの表面にパーティクル等の付着による汚染が無いようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-49382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、ますますのクリーン化が進められる中で、EFEMのウェーハ搬送室内はクリーン度が比較的高いものの、FOUP内や処理装置内とは異なる空気雰囲気であることによる影響が懸念されるようになってきている。
【0008】
すなわち、空気雰囲気に晒されることにより基板表面に水分や酸素が付着しやすく、腐食や酸化が生じる可能性がある。また、処理装置において用いられた腐食性ガス等がウェーハの表面に残留している場合には、ウェーハ表面の配線材料を腐食して歩留りの悪化が生じる可能性もある。さらに、腐食元素は水分の存在により腐食反応を加速させるため、腐食性ガスと水分の双方が存在することで、より速く腐食が進行する可能性もある。
【0009】
また、ウェーハの受け渡しを行う際に、ロードポートに設けられたパージ部よりFOUPに不活性ガスである窒素等を注入することでFOUP内を加圧し、FOUP内にウェーハ搬送室内の空気雰囲気が侵入することを防止するよう構成した場合には、ウェーハの受け渡しが完了するまでの間FOUP内に窒素を注入し続けなくてはならず、注入した窒素はウェーハ搬送室へと流出してしまうため、窒素の使用量が膨大なものとなり、コストが増大するという問題が生じる。
【0010】
これを避けるためには、ウェーハ搬送室の内部をFOUPと同様窒素雰囲気にすることが考えられるが、単にウェーハ搬送の開始時に窒素雰囲気にするだけでは、時間の経過とともにウェーハ搬送室内のクリーン度が低下し、この内部での搬送中にウェーハ表面にパーティクルが付着する可能性が生じるとともに、処理装置において用いられた腐食性ガス等の影響も増加する。また、ウェーハ搬送室内に常に窒素を供給し続けた場合は、さらに窒素の使用量が膨大なものとなり、コスト増大に対する解決策とはならない。
【0011】
加えて、ウェーハ搬送室内における上記の問題は、処理や保管場所とは異なる雰囲気のもとで搬送を行う限り、ウェーハ以外の基板を搬送する場合においても同様に生じるものといえる。
【0012】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、コストの増大を避けながら、搬送中のウェーハを、表面性状の変化やパーティクルの付着を生じさせる雰囲気に晒すことなく、ウェーハへのパーティクルの付着の抑制や、ウェーハ表面の性状の管理を適切に行うことのできるEFEMを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0014】
すなわち、本発明のEFEMは、壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置と、前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路と、前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタとを具備し、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成したものである。
【0015】
このように構成すると、ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともにガス帰還路を通じてガスを循環させることで、ウェーハ搬送室が略閉止された空間となっていることと相まって、ウェーハ搬送室内を適切なガス雰囲気下に維持することが可能となる。そのため、ウェーハの搬送を外気にさらすことなく行うことができ、パーティクルの付着を抑制することが可能となる。また、ガス送出口にフィルタが設けられていることで、ガスを循環させる間にパーティクルを除去することが可能となる。さらに、ウェーハ搬送室に下降気流が生じていることで、ウェーハ上部に付着したパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室内にパーティクルが浮遊することを防止することが可能となる。また、ガスを循環させることによって当該ガスの消費を抑制し、コストを削減することが可能となる。
【0016】
外観を変更することなく大きな流路面積を確保し、ロードロック室などEFEM外部の装置と干渉することを防止するとともに、部品点数の増加を抑えて製造コストの上昇を抑えるために本発明は、前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され、前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記ガス帰還路に更にフィルタを備えたものであり、このフィルタは前記送風手段の上流側に設けられることが望ましい。更に、ウェーハ搬送装置の駆動領域外のデッドスペースを有効に利用し、ウェーハの搬送を妨げることを防止しつつガスの流量を確保するためには、前記ロードポートを接続する開口と前記処理装置を接続する開口とが前記筐体の対向する位置に設けられており、前記ガス帰還路が前記ガス吸引口から前記処理装置を接続する開口の両側を経由して前記ガス送出口に連続するように構成することが好適である。
【0018】
さらに、ウェーハ搬送室とガス帰還路とを流れるガスの循環を円滑に行うためには、前記ガス送出口に第1の送風手段が接続されるとともに、前記ガス吸引口に第2の送風手段が接続されており、前記第1の送風手段により前記ガス送出口から前記ウェーハ搬送室内にガスを送出させ、前記第2の送風手段により前記ガス吸引口から前記ウェーハ搬送室内のガスを吸引するように構成することが望ましい。
【0019】
加えて、ウェーハ搬送室内を適切なガス雰囲気に置換し、酸素ガスや水分等がウェーハ表面に付着してウェーハの処理を阻害し、歩留りが低下することを防止するとともに、ウェーハ搬送室内の窒素の一部が外部に流出した場合には、流出分のガスを供給することで、ウェーハ搬送室内の状態を一定に保つためには、前記ウェーハ搬送室内にガスを供給するガス供給手段と、前記ウェーハ搬送室内よりガスを排出するためのガス排出手段とをさらに備え、前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられているように構成することが有効である。また、前記ガス供給手段により、前記ウェーハ搬送室のガスの一部が外部に流出した際に、流出分のガスを供給することで、ウェーハ搬送室の状態を一定に保つようにしていることが望ましい。
【0020】
また、処理装置における処理等で生じウェーハ搬送室内に流入した分子状汚染物質を除去するためには、前記ガス吸引口にケミカルフィルタが設けられ、前記ウェーハ搬送室内のガスは前記ケミカルフィルタを介してガス帰還路に流入することが望ましい。
【0021】
加えて、ウェーハ搬送装置とガス吸引口とを互いに干渉することなく配置するとともに、ウェーハ搬送室内の下降気流を妨げず、気流の乱れによってパーティクルが浮遊することを防止するためには、前記ウェーハ搬送装置が前記筐体の壁面に支持されるように構成することが好ましい。
【0022】
そして、酸素や湿気等によるウェーハ表面の性状の変化を抑制し、歩留りが低下することを防止するためには、前記ガスとして不活性ガスを用いるように構成することが好ましい。また、前記ウェーハ搬送装置は前記筐体内のガイドレールに沿って移動できるようになっていることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した本発明によれば、コストの増大を避けながら、搬送中のウェーハを、表面性状の変化やパーティクルの付着を生じさせる雰囲気に晒すことなく、ウェーハへのパーティクルの付着の抑制や、ウェーハの表面の性状の管理を適切に行うことのできるEFEMを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るEFEMと処理装置との関係を模式的に示す平面図。
【図2】同EFEMの側面壁を取り外した状態を示す側面図。
【図3】同EFEMの一部を破断して示す斜視図。
【図4】同EFEMの循環路におけるガスの流れを示す模式図。
【図5】同EFEMを処理装置側より見た状態を示す背面図。
【図6】同EFEMのガス帰還路の構成部材を示す要部拡大斜視図。
【図7】図6のA-A位置及びB-B位置におけるガス帰還路の断面を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るEFEM1と、これと接続する処理装置6の天板等を取り除くことで内部が見えるようにし、これらEFEM1と処理装置6との関係を模式的に示した平面図である。また、図2は、EFEM1の側面の壁を取り除くことで内部が見えるようにした側面図である。これら図1及び2に示すように、EFEM1は、所定の受け渡し位置間でウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送装置2と、このウェーハ搬送装置2を囲むように設けられた箱型の筐体3と、筐体3の前面側の壁(前面壁31)の外側に接続される複数(図中では3つ)のロードポート4?4と、制御手段5とから構成されている。
【0027】
ここで、本願においては筐体3より見てロードポート4?4が接続される側の向きを前方、前面壁31と対向する背面壁32側の向きを後方と定義し、さらに、前後方向及び垂直方向に直交する方向を側方と定義する。すなわち、3つのロードポート4?4は側方に並んで配置されている。
【0028】
また、EFEM1は、図1に示すように、背面壁32の外側に隣接して、処理装置6の一部を構成するロードロック室61が接続できるようになっており、EFEM1とロードロック室61との間に設けられた扉1aを開放することで、EFEM1内とロードロック室61とを連通した状態とすることが可能となっている。処理装置6としては種々様々なものを使用できるが、一般には、ロードロック室61と隣接して搬送室62が設けられ、さらに搬送室62と隣接して、ウェーハWに処理を行う複数(図中では3つ)の処理ユニット63?63が設けられる構成となっている。搬送室62と、ロードロック室61や処理ユニット63?63との間には、それぞれ扉62a,63a?63aが設けられており、これを開放することで各々の間を連通させることができ、搬送室62内に設けられた搬送ロボット64を用いてロードロック室61及び処理ユニット63?63の間でウェーハWを移動させることが可能となっている。
【0029】
ウェーハ搬送装置2は、図1及び図2に示すように、ウェーハWを載置して搬送するピックを備えたアーム部2aとこのアーム部2aを下方より支持し、アーム部を動作させるための駆動機構及び昇降機構を有するベース部2bとから構成されており、ベース部2bは、筐体3の前面壁31に支持部21及びガイドレール22を介して支持されている。そして、ウェーハ搬送装置2は筐体3内の幅方向に延在するガイドレール22に沿って移動できるようになっており、制御手段5がウェーハ搬送装置2の動作を制御することによって側方に並んだ各ロードポート4?4に載置されたFOUP7に収容されているウェーハWをロードロック室61へ搬送すること及び、各処理ユニット63?63にて処理が行われた後のウェーハWをFOUP7内へ再び搬送することが可能となっている。
【0030】
筐体3は、ウェーハ搬送装置2の四方を囲む前面壁31、背面壁32、側面壁33,34と、天井壁35、底壁36、さらに上記の筐体壁31?35を支える支柱37a?37dとを含んで構成され、前面壁31に設けられた開口31aにロードポート4?4が、背面壁32に設けられた矩形状の開口32aにロードロック室61が接続されることで、内部で略閉止空間CSが形成されている。なお、上述した各部材は、部材間に内部のガスが流出する隙間を生じないよう精密に取り付けられているが、部材間にシール部材を設け、さらに筐体3内の気密性を高めるように構成してもよい。また、背面壁32に設けられた開口32aは、駆動機構1bを有し、上下に駆動する一般にゲートバルブと称される扉1a(図3参照)によって閉止することが可能となっている。なお、図示及び説明を省略するが、側面壁33,34にも開口が設けられており、一方はウェーハWの位置調整に利用されるアライナが接続されるものとなっており、他方は通常時は閉じられたメンテナンス用の開口となっている。
【0031】
ロードポート4は扉4aを備えており、この扉4aがFOUP7に設けられた蓋部7aと連結してともに移動することで、FOUP7が略閉止空間CSに対して開放されるようになっている。FOUP7内には載置部が上下方向に多数設けられており、これによって多数のウェーハWを格納することができる。また、FOUP7内には通常窒素が充填されるとともに、制御手段5の制御によってロードポート4を介してFOUP7内の雰囲気を窒素置換することも可能となっている。
【0032】
制御手段5は、筐体3の天井壁35より上方の、天板38との間に位置する上部空間USに設けられたコントローラユニットとして構成され、ウェーハ搬送装置2の駆動制御、ロードポート4?4によるFOUP7の窒素置換制御、扉1a,4a?4aの開閉制御及び、筐体3内における窒素循環制御等を行っている。制御手段5は、CPU、メモリ及びインターフェースを備えた通常のマイクロプロセッサ等により構成されるもので、メモリには予め処理に必要なプログラムが格納してあり、CPUは逐次必要なプログラムを取り出して実行し、周辺ハードリソースと協働して所期の機能を実現するものとなっている。なお、窒素循環制御については後述する。
【0033】
略閉止空間CSは、図4に示すように仕切り部材8によってウェーハ搬送装置2が駆動する空間であるウェーハ搬送室9と、ガス帰還路10とに仕切られている。そして、ウェーハ搬送室9とガス帰還路10とは、ウェーハ搬送室9の上部に幅方向に延在して設けられたガス送出口11とウェーハ搬送室9の下部に幅方向に延在して設けられたガス吸引口12とにおいてのみ連通しており、ガス送出口11とガス吸引口12とがウェーハ搬送室9内に下降気流を生じさせ、ガス帰還路10内に上昇気流を生じさせることで、略閉止空間CS内に図4に矢印で示す循環路Ciを形成し、ガスが循環するようになっている。この時、ウェーハ搬送室9は、前面壁31、背面壁32(扉1aを含む、図3参照)、ロードポート4(扉4aを含む)、側面壁33,34、底壁36及び仕切り部材8によって閉止された空間となる。なお、本実施形態においては、この略閉止空間CSに不活性ガスである窒素を循環させることとするが、循環させるガスはこれに限られるものではなく、他のガスを用いることもできる。
【0034】
次に、ガス帰還路10の構成を詳細に説明する。図4に示すように、ガス帰還路10は底壁36、背面壁32、天井壁35及び仕切り部材8によって閉止された空間であり、ウェーハ搬送室9の下部においてガス吸引口12から吸引されたガスを、ウェーハ搬送室9上部のガス送出口11へ帰還させるために設けられる。
【0035】
帰還路10の背面側上部には略閉止空間CS内に窒素を導入するガス供給手段16が接続されており、制御手段5(図2参照)からの命令に基づいて窒素の供給と供給の停止を制御することが可能となっている。そのため、窒素の一部が略閉止空間CSの外部に流出した場合には、ガス供給手段16が流出分の窒素を供給することによって、略閉止空間CS中の窒素雰囲気を一定に保つことができる。また、背面側下部には略閉止空間CS中のガスを排出するガス排出手段17が接続されており、制御手段5からの命令に基づいて動作して、図示しないシャッタを開放することによって略閉止空間CSの内部と外部に設けられたガス排出先とを連通させることが可能となっている。そして、上述したガス供給手段16による窒素の供給と併用することにより、略閉止空間CSを窒素雰囲気に置換することが可能となっている。なお、本実施形態においては、循環路Ciを循環させるガスを窒素とするため、ガス供給手段16は窒素を供給するが、他のガスを循環させる場合は、ガス供給手段16はその循環させるガスを供給する。
【0036】
また、ガス送出口11には第1の送風手段としてのファン13aとフィルタ13bとから構成されるファンフィルタユニット13(FFU13)が設けられており、略閉止空間CS内を循環するガス内に含まれるパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室9内へ下方に向けて送風することによってウェーハ搬送室9内に下降気流を生じさせている。なお、FFU13は、仕切り部材8に連結され水平方向に延びる支持部材18によって支持されている。
【0037】
一方、ガス吸引口12にはケミカルフィルタ14が接続されており、ウェーハ搬送室9内のガスはケミカルフィルタ14を介してガス帰還路10に流入するようになっている。上述したように、ウェーハ搬送装置2(図2参照)を筐体3の前面壁31に支持部21及びガイドレール22を介して支持されるようにしているため、ガス吸引口12は、ウェーハ搬送装置2と干渉することなく、大きく上方に向かって開口したものすることが可能となっている。また、上述したように、ガス吸引口12は幅方向に延在して設けられているため、同様に幅方向に延在して設けられたガイドレール22よりウェーハ搬送装置2の駆動時にパーティクルが生じたとしても、このパーティクルを効果的に吸引させることが可能となっている。そして、ガス吸引口12にケミカルフィルタ14を設けることによって、処理装置6(図1参照)における処理等で生じウェーハ搬送室9内に流入した分子状汚染物質を除去することを可能としている。さらに、ガス帰還路10内のケミカルフィルタ14よりも背面側には、第2の送風手段としてのファン15が幅方向に亘って設けられており(図5参照)、当該ファン15がガス帰還路10の下流側、すなわち図4の上方へ向けて送風を行うことによって、ガス吸引口12におけるガスの吸引力を生じさせるとともに、ケミカルフィルタ14を通過したガスを上方へ送出し、ガス帰還路10内に上昇気流を生じさせている。
【0038】
そして、上述したFFU13のファン13a及びファン15とによって、略閉止空間CS内のガスはウェーハ搬送室9内を下降し、ガス帰還路10内を上昇することで循環するようになっている。ガス送出口11は下方に向かって開口されていることから、FFU13によってガスが下方に向かって送り出されるとともに、ガス吸引口12は上方に向かって開口されていることから、FFU13によって生じさせた下降気流を乱すことなくそのまま下方に向かってガスを吸引させることができ、これらによって円滑なガスの流れを作り出すことができる。なお、ウェーハ搬送室9内に下降気流が生じていることで、ウェーハW上部に付着したパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室9内にパーティクルが浮遊することを防止している。
【0039】
ここで、ガス帰還路10のガスの流路を、図6及び図7を用いて詳細に説明する。図6は、ガス帰還路10を拡大した斜視図であり、図7は図6に示すA-A位置及びB-B位置における断面を示す斜視図である。
【0040】
図6に示すように、仕切り部材8は上側仕切り部材81、下側仕切り部材82、中間部材83の3つの部材から構成されている。具体的には、上側仕切り部材81は背面壁32に沿うようにその内側に取り付けられる、中央に背面壁32の開口32aより大きな矩形の開口81aを有する平板状の部材であり、その側方端は支柱37c及び37dに接しており、上端は上述した支持部材18と連結している(図4参照)。
【0041】
下側仕切り部材82は、後方へ向かって下段82a、中段82b、上段82cの3段を有する階段状の部材であり、底壁36上で支柱37c及び37dに前方より当接するよう幅方向に亘って形成されるとともに、幅方向両端に側板82dを備えることによって内部に閉止空間を形成している。そして、下段82aの上方にはケミカルフィルタ14が接続されるとともにガス吸引口12が形成され、上段82cは上側仕切り部材81の下端と接している(図4参照)。
【0042】
中間部材83は、支柱37c及び37dと前後方向に同じ厚みを持つ形状とされており、背面壁32の開口32aの下方に配され正面視において上方へ向かうほど幅が増加する区間を有する分流部83aと、背面壁32の開口32aを避けるよう開口32aの左右と上方に配されることでH字型に構成されたH字部83bとが接続されることで、上側仕切り部材81の開口81aとほぼ同じ大きさの開口83cを形成している。分流部83aの内部は空洞となっており、この内部には、扉1a(図3参照)を上面に設けられた開口83a1を通じて上下させることで開口32aを開閉する駆動機構1bが設けられている。また、分流部83aの上面と下側仕切り部材82の上段82cとは同じ高さとなっており、H字部83bの上端は天井壁35と当接している。
【0043】
このように構成された仕切り部材8によって、下側仕切り部材82の内部に設けられたファン15(図4参照)によって上方へ向かうガスは、下側仕切り部材82の上段82cより下側では、図7の断面S1が示すように、下側仕切り部材82、背面壁32、中間部材83の分流部83a及び支柱37c,37dとによって囲まれた流路を流れる。そして、下側仕切り部材82の上段82c(図6参照)より上側では、図7の断面S2が示すように、上側仕切り部材81、背面壁32、中間部材83のH字部83b及び支柱37cによって囲まれる流路(図7の左側の流路)と、上側仕切り部材81、背面壁32、中間部材83のH字部83b及び支柱37cによって囲まれる流路(図7の右側の流路)に分岐して流れるように構成されている。すなわち、図5に示すように、区間H1において、ガスは幅方向に亘って流れることが可能となっている一方、区間H2においては、ガスは中間部材83の両側のみで流れることが可能になっている。
【0044】
このような構成をしていることによって、ガス帰還路10を大きな流路面積を確保しつつ筐体3の内側のウェーハ搬送装置2の駆動領域外のデッドスペースに設けることが可能となるため、外観を変更する必要がなく、ガス帰還路10を構成する各部材がロードポート4やロードロック室61などEFEM1外部の装置と干渉することを防止することが可能となる。具体的には、図2に示すように、下側仕切り部材82の上段82aより下方、すなわち図4及び図5の区間H1はウェーハ搬送装置2のアーム部2aの移動する領域よりも下側に位置しているため、ウェーハ搬送装置2が筐体3の前面壁31に支持部21及びガイドレール22を介して支持されていることと相まって、下側仕切り部材82がベース部2bの形状に沿って階段状に前方に張り出すことを許容し、ガス吸引口12を大きく上方に向かって開口したものするとともに、ガス帰還路10の流路面積を確保することが可能となっている。一方、図4及び図5の区間H2は、ウェーハ搬送装置2のアーム部2aが移動する高さ領域を含んではいるものの、アーム部2aがウェーハWの搬送に要する開口32a周辺の空間を避けて、具体的には開口32aの左右の空間を利用してガス帰還路10の流路が設定されていることで、アーム部2aの移動空間を確保するとともに、ウェーハWの搬送経路に干渉しないようになっている。さらに、この開口32aの左右に設けた流路は、開口32aを閉止するための扉1a(図3参照)及びこの扉1aを開閉する駆動機構1bをも避けつつ、支柱37c,37dを利用してこの支柱37c,37dの前後方向の厚みの範囲に設けるように構成している(図7参照)。そして、筐体3の一部である背面壁32及び支柱37c,37dを用いてガス帰還路10を形成していることから、ガス帰還路10を構成する構造体に強度を持たせるとともに、部品点数を多くすることなく、製造コストの上昇を抑えることが可能となっている。
【0045】
次に、上記のように構成したEFEM1内において、窒素を循環させる窒素循環制御の動作を、図4を用いて説明する。
【0046】
まず、初期段階として、制御手段5がガス排出手段17にガスを排出させつつ、ガス供給手段16に略閉止空間CS内に窒素を供給させることによって、大気雰囲気にあるEFEM1の略閉止空間CSを窒素雰囲気にパージする。この段階以降、制御手段5は循環路Ci内の窒素が外部へ漏れた場合、その漏れ量に応じてガス供給手段16に窒素の供給を行わせる。
【0047】
そして、このようにして窒素雰囲気になった略閉止空間CSにおいて、制御手段5がFFU13のファン13a及びファン15を駆動させることによって、循環路Ci内にガスの循環を生じさせる。この時、FFU13のフィルタ13b及びケミカルフィルタ14が循環するガス中のパーティクル及び分子状汚染物質を除去するため、ウェーハ搬送室9内は常に清浄な窒素の下降気流が生じている状態となる。
【0048】
このような状態となったEFEM1においては、ロードポート4に載置され窒素雰囲気にパージされたFOUP7とウェーハ搬送室9とを連通させ、ウェーハWの出し入れを行う際には、ウェーハ搬送室9とFOUP7はともに同じ窒素雰囲気であり、ウェーハ搬送室9内の窒素も清浄に維持されているため、FOUP7内にパーティクルや分子状汚染物質が入らないようFOUP7内をウェーハ搬送室9内に対して陽圧にする必要がなく、FOUP7内にパージする窒素の消費量を抑えることができる。
【0049】
また、ウェーハ搬送室9とロードロック室61(図1参照)との間に設けられた扉1aを開放することでこれらウェーハ搬送室9とロードロック室61とを連通させ、ロードロック室61との間でウェーハWの出し入れを行う際には、処理装置6における処理によってウェーハWに付着した、あるいはロードロック室61内に存在するパーティクル及び分子状汚染物質がウェーハ搬送室9内に流入する可能性があるものの、これらのパーティクル及び分子状汚染物質はウェーハ搬送室9内の下降気流によって下方へ流れ、ケミカルフィルタ14及びFFU13のフィルタ13bによってガス帰還路10を通過する間に浄化されて、再びウェーハ搬送室9内にパーティクル及び分子状汚染物質が流れることがないため、搬送中のウェーハWへの悪影響を有効に軽減することが可能となっている。
【0050】
以上のように、本実施形態におけるEFEM1は、壁面である前面壁31に設けられた開口31aにロードポート4?4が接続されるとともに、壁面である背面壁32に設けられた開口32aに処理装置6が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室9を内部に構成する筐体3と、ウェーハ搬送室9内に配設され、ロードポート4?4に載置されたFOUP7?7と処理装置6との間でウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送装置2と、ウェーハ搬送室9の上部に設けられ、ウェーハ搬送室9内にガスを送出するガス送出口11と、ウェーハ搬送室9の下部に設けられ、ウェーハ搬送室9内のガスを吸引するガス吸引口12と、ガス吸引口12から吸引されたガスをガス送出口11へ帰還させるガス帰還路10と、ガス送出口11に設けられ、送出するガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタ13bを備えたFFU13とを具備し、ウェーハ搬送室9に下降気流を生じさせるとともにガス帰還路10を介してガスを帰還させることによって、ウェーハ搬送室9内の窒素を循環させるように構成したものである。
【0051】
このように構成しているため、ウェーハ搬送室9に下降気流を生じさせるとともにガス帰還路10を通じてガスを循環させることで、ウェーハ搬送室9が略閉止された空間となっていることと相まって、ウェーハ搬送室9内を窒素雰囲気下に維持することができる。そのため、ウェーハWの搬送を外気にさらすことなく行うことができ、パーティクルの付着を抑制することが可能となっている。また、ガス送出口11にフィルタ13bを備えたFFU13が設けられていることで、窒素を循環させる間にパーティクルを除去することが可能となる。さらに、ウェーハ搬送室9に下降気流が生じていることで、ウェーハW上部に付着したパーティクルを除去するとともに、ウェーハ搬送室9内にパーティクルが浮遊することを防止することが可能である。また、窒素を循環させることによって窒素の消費を抑制し、コストを削減することが可能となっている。
【0052】
また、筐体3の背面壁32と背面壁32の内側に設けた仕切り部材8との間の空間をガス帰還路9の一部とするとともに、ウェーハ搬送室9とガス帰還路10とが仕切り部材8によって分離されるように構成しているため、外観を変更することなく大きな流路面積を確保し、ロードロック室61などEFEM1外部の装置と干渉することを防止するとともに、部品点数の増加を抑えて製造コストの上昇を抑えることが可能となっている。
【0053】
さらに、ロードポート4?4を接続する開口31aと処理装置6を接続する開口32aとが筐体3の対向する位置に設けられており、ガス帰還路10がガス吸引口12から処理装置6を接続する開口32aの両側を経由してガス送出口11に連続するように構成されているため、ウェーハ搬送装置2の駆動領域外のデッドスペースを有効に利用し、ウェーハWの搬送を妨げることを防止しつつガスの流量を確保することが可能となっている。
【0054】
また、ガス送出口11に第1の送風手段であるファン13bを備えたFFU13が接続されるとともに、ガス吸引口12に第2の送風手段であるファン15が接続されており、FFU13によりガス送出口11からウェーハ搬送室9内にガスを送出させ、ファン15よりガス吸引口12からウェーハ搬送室9内のガスを吸引するよう構成しているため、ウェーハ搬送室9とガス帰還路とを流れるガスの循環を円滑に行うことが可能である。
【0055】
加えて、ウェーハ搬送室9内に窒素を供給するガス供給手段16と、ウェーハ搬送室9内よりガスを排出するためのガス排出手段17とをさらに備えるよう構成していることから、ウェーハ搬送室9内を適切なガス雰囲気に置換でき、酸素ガスや水分等がウェーハW表面に付着してウェーハWの処理を阻害し、歩留りが低下することを防止するとともに、ウェーハ搬送室9内の窒素の一部が外部に流出した場合には、流出分の窒素を供給することで、ウェーハ搬送室9内の状態を一定に保つことができる。
【0056】
また、ガス吸引口12にケミカルフィルタ14が設けられ、ウェーハ搬送室9内のガスはケミカルフィルタ14を介してガス帰還路10に流入するよう構成しているため、処理装置6における処理等で生じウェーハ搬送室9内に流入した分子状汚染物質を除去することが可能となっている。
【0057】
加えて、ウェーハ搬送装置2が筐体3の前面壁31に支持されるよう構成されているため、ウェーハ搬送装置2とケミカルフィルタ14が設けられたガス吸引口12とを互いに干渉することなく配置するとともに、ウェーハ搬送室9内の下降気流を妨げず、気流の乱れによってパーティクルが浮遊することを防止することが可能となっている。
【0058】
そして、ウェーハ搬送室9内を循環するガスが不活性ガスである窒素であるため、酸素や湿気等によるウェーハW表面の性状の変化を抑制し、歩留まりの低下を防止することが可能となっている。
【0059】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、ロードポート4?4上に設けたFOUP7?7とロードロック室61との間で、ウェーハWの搬送を行うものとしていたが、FOUP7?7間での受け渡しを行わせる場合などにも用いることができる。
【0061】
また、ウェーハ搬送装置2の搬送対象としてはウェーハWを用いるものを前提としていたが、本発明はガラス基板等様々な精密加工品を対象とするEFEM1に用いることができる。
【0062】
また、上述の実施形態では、所定の軌道を構成するガイドレール22は筐体3の前面壁31に支持されていたが、ガス吸引口12と干渉しないのであれば、筐体3のいずれに支持されていてもよく、例えば、ガイドレール22を底壁36に設け、ウェーハ搬送装置2が底壁36に支持されるよう構成することも可能である。また、ウェーハ搬送装置2の移動方向の規制が可能であれば、ガイドレール22に限らず、ガイドローラやワイヤ等の他の手段によって軌道を構成することもできる。
【0063】
さらに、ウェーハ搬送装置2としては、リンク式アームロボットや、SCARA型多関節ロボットに限ることなく多様なものを使用することもできる。
【0064】
また、上述の実施形態においては、ガス供給手段16がガス帰還路10の背面側上部に設けられ、ガス排出手段17がガス帰還路10の背面側下部に設けられていたが、これらガス供給手段16とガス排出手段17の設置位置は限定されるものではなく、循環路Ci中の任意の場所に設置することができる。
【0065】
さらには、上述の実施形態ではガス排出手段17によるガスの排出とガス供給手段16による窒素の供給を同時に行ったが、まず吸引機構を備えたガス排出手段17がガスを排出させることで略閉止空間CS内を負圧とし、その後ガス供給手段16に略閉止空間CS内に窒素を供給させることによって、大気雰囲気にある略閉止空間CSを窒素雰囲気とするようにしてもよい。こうすることによって、より効率よく窒素のパージを行うことができる。
【0066】
また、上述の実施形態ではEFEM1は1つのロードロック室61と接続されていたが、2つ以上のロードロック室61と接続するような構成も考えられる。この場合、背面壁32には接続するロードロック室61の数に応じて開口32aを2つ以上設けることとなるため、ガス帰還路10はそれらの開口32aを避けるように3つ以上に分岐して形成すればよい。
【0067】
さらに、上述の実施形態においては、ガス帰還路10はEFEM1の筐体3の内部に設けられていたが、筐体3の外部にダクトを設けることによってガス帰還路10を構成してもよい。この場合においても、ダクトがロードロック室61と干渉することを防ぎつつ広い流路を確保するため、ダクトはロードロック室61と接続する開口32aの左右に分岐して設けるのが好ましい。なお、ガス帰還路10の形状については、これ以外にも周囲の装置形状に応じて様々な形状をとることができる。
【0068】
また、上述した実施形態では、ウェーハW周辺の雰囲気を置換するためのガスとして窒素を使用していたが、処理に応じて乾燥空気やアルゴン等種々様々なガスを用いることができる。
【0069】
なお、上述した実施形態におけるEFEM1に、略閉止空間CS内の湿度を低下させるドライヤ、温度を低下させるクーラ、ウェーハWの除電を行うイオナイザなどを設け、ウェーハ搬送室9内の環境をさらに向上させることも可能である。
【0070】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…EFEM
2…ウェーハ搬送装置
3…筐体
4?4…ロードポート
6…処理装置
7…FOUP
8…仕切り部材
9…ウェーハ搬送室
10…ガス帰還路
11…ガス送出口
12…ガス吸引口
13…FFU
13a…ファン(第1の送風手段)
13b…フィルタ
14…ケミカルフィルタ
15…ファン(第2の送風手段)
16…ガス供給手段
17…ガス排出手段
31…前面壁
32…背面壁
31a,32a…開口
W…ウェーハ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられた開口にロードポート及び処理装置が接続されることで略閉止されたウェーハ搬送室を内部に構成する筐体と、
前記ウェーハ搬送室内に配設され、前記ロードポートに載置されたFOUPと前記処理装置との間でウェーハの搬送を行うウェーハ搬送装置と、
前記ウェーハ搬送室の上部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内に不活性ガスを送出するガス送出口と、
前記ウェーハ搬送室の下部に設けられ、当該ウェーハ搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、
前記ガス吸引口から吸引されたガスを前記ガス送出口へ帰還させるガス帰還路と、
前記ガス送出口に設けられ、前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるファンとともにファンフィルタユニットを構成し、送出する不活性ガスに含まれるパーティクルを除去するフィルタとを具備し、
前記ウェーハ搬送室に下降気流を生じさせるとともに前記ガス帰還路を介して不活性ガスを帰還させることによって、前記ウェーハ搬送室内の不活性ガスを循環させるように構成し、
前記筐体内に設けた仕切り部材により前記ウェーハ搬送室と前記ガス帰還路とが分離され、
前記処理装置が接続される開口の高さよりも下方に設けられて前記ガス帰還路に上方に向かって気流を形成する送風手段を更に有し、前記ウェーハ搬送室の内部に不活性ガスが充填されていることを特徴とするEFEM。
【請求項2】
前記ガス帰還路に更にフィルタを備えたものであり、このフィルタは前記送風手段の上流側に設けられる請求項1記載のEFEM。
【請求項3】
前記ロードポートを接続する開口と前記処理装置を接続する開口とが前記筐体の対向する位置に設けられており、
前記ガス帰還路が前記ガス吸引口から前記処理装置を接続する開口の両側を経由して前記ガス送出口に連続するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のEFEM。
【請求項4】
前記ウェーハ搬送室内にガスを供給するガス供給手段と、前記ウェーハ搬送室内よりガスを排出するためのガス排出手段とをさらに備え、前記ガス供給手段は前記ガス排出手段の下流側に設けられている請求項1?3の何れかに記載のEFEM。
【請求項5】
前記ガス供給手段により、前記ウェーハ搬送室のガスの一部が外部に流出した際に、流出分のガスを供給することで、ウェーハ搬送室の状態を一定に保つようにしている請求項4記載のEFEM。
【請求項6】
前記ガス吸引口にケミカルフィルタが設けられ、前記ウェーハ搬送室内のガスは前記ケミカルフィルタを介してガス帰還路に流入することを特徴とする請求項1?5の何れかに記載のEFEM。
【請求項7】
前記ウェーハ搬送装置が前記筐体の壁面に支持されていることを特徴とする請求項1?6の何れかに記載のEFEM。
【請求項8】
前記ウェーハ搬送装置は前記筐体内のガイドレールに沿って移動できるようになっている請求項1?7の何れかに記載のEFEM。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-03-18 
出願番号 特願2014-17821(P2014-17821)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 儀同 孝信  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 恩田 春香
小田 浩
登録日 2018-06-15 
登録番号 特許第6349750号(P6349750)
権利者 シンフォニアテクノロジー株式会社
発明の名称 EFEM  
代理人 大西 雅直  
代理人 大西 雅直  
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