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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  H04N
管理番号 1367219
審判番号 無効2019-800102  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-11-26 
確定日 2020-08-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第6261090号発明「無人飛行体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6261090号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4?22〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6261090号の特許請求の範囲の請求項1?22に係る発明についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成27年5月18日の出願であって、平成29年12月22日にその特許権の設定登録がなされた。
その後、平成30年7月12日に特許異議申立人 株式会社DRONE iPLABにより本件特許の請求項1?22に対して特許異議の申立て(異議2018-700566)がなされ、令和元年9月4日付けで、令和元年5月29日に提出された訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔4?22〕について訂正することを認めたうえで、本件特許の請求項1?22に係る特許を維持するとの決定がなされた。
これに対して、請求人 株式会社エアロネクストから、令和元年11月26日付け審判請求書によって、請求項4に係る発明の特許を無効にすることを求める旨の本件特許無効審判が請求された。また、被請求人から、令和2年2月14日付け答弁書及び訂正請求書が提出された。その後、当審から令和2年2月28日付けで請求人に対して弁駁書の提出機会を与えたのに対し、請求人から弁駁書は提出されなかった。


第2 訂正請求
1 請求の趣旨、訂正の内容
本件訂正請求の趣旨及び訂正の内容は、上記令和2年2月14日付け訂正請求書の記載によれば、それぞれ以下のとおりのものである。

(1)訂正請求の趣旨
特許第6261090号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4?22について訂正することを求める。

(2)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4(異議2018-700566決定後)に「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」に訂正する。請求項4の記載を引用する請求項9?22も同様に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5(異議2018-700566決定後)に「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項8、10?22も同様に訂正する)。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6(異議2018-700566決定後)に「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項8?9、11?22も同様に訂正する)。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7(異議2018-700566決定後)に「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8?10、12?22も同様に訂正する)。

オ 訂正事項5
明細書(異議2018-700566決定後)の段落【0010】の(2)第2態様の無人飛行体において「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載に訂正する。
段落【0010】の(3)第3態様の無人飛行体において「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆勤部の回転軸に固定され、」との記載に訂正する。
段落【0010】の(4)第4態様の無人飛行体において「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載に訂正する。
また、段落【0010】の(5)第5態様の無人飛行体において「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、」との記載に訂正する。

力 訂正事項6
明細書(異議2018-700566決定後)の段落【0163】の「また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δと、カメラ部200の重心C0とが一致又は略一致していることで、交点δを間にして、一方側の第1カメラ部210と他方側の第2カメラ部220とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、それだけ第1駆動部320及び第2駆動部340を用いて第1ジンバル部310及び第2ジンバル部330を第1基準姿勢及び第2基準姿勢に戻すときに第1駆動部320及び第2駆動部340にかかる負荷を軽減することができ、カメラ部200を一定の第1駆動部320及び第2基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。」との記載を、「また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δと、カメラ部200の重心C0とが一致又は略一致していることで、交点δを間にして、一方側の第1カメラ部210と他方側の第2カメラ部220とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、それだけ第1駆動部320及び第2駆動部340を用いて第1ジンバル部310及び第2ジンバル部330を第1基準姿勢及び第2基準姿勢に戻すときに第1駆動部320及び第2駆動部340にかかる負荷を軽減することができ、カメラ部200を一定の第1基準姿勢及び第2基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。」との記載に訂正する。

2 一群の請求項について
訂正前の請求項8?22はそれぞれ請求項4?7のうちの一部又は全部を引用しているものであって、請求項4?7の訂正に連動して訂正されるものであるから、請求項4?22は一群の請求項である。
そして、訂正事項1?4は、一群の請求項〔4?22〕に対して請求されたものであるから、特許法第134条の2第3項に規定する要件に適合するものである。
また、訂正事項5?6による明細書の訂正は、一群の請求項〔4?22〕の全てについて行われたものであるから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第4項に規定する要件に適合するものである。
以上から、本件訂正請求は、特許法第134条の2第3項及び特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第4項に規定する要件に適合するものである。

3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の追加の有無、独立特許要件について
(1)訂正事項1?4について
ア 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1?4は、それぞれ請求項4?7において、飛行体本体の鉛直方向に貫通する空間を有する「飛行体本体の中央部」の位置を「飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部」と特定するもの、及び、第2駆動部が設けられる位置を「前記飛行体本体における前記空間内において」と特定するものである。
よって、訂正事項1?4は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1?4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

新規事項の追加の有無について
(ア)「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し」について
明細書の段落0042?0043における「飛行体本体400は、本体部410(具体的には本体枠体)と、複数本(この例では8本)の支持体420?420と、複数個(この例では8個)のローター部430?430とを備えている。支持体420?420は、本体部410の中心から水平方向に沿って放射状にかつ周方向において均等に本体部410に設けられている。ローター部430?430は、支持体420?420の先端部にそれぞれ設けられている。詳しくは、本体部410は、水平方向における中央部が鉛直方向(上下方向)に貫通した中空形状とされている。」との記載から、本体部410、支持体420?420及びローター部430?430からなる飛行体本体400において、本体部410の鉛直方向に貫通する空間の位置は、前記飛行体本体400の水平方向における中央部と認められる。
また、飛行体本体400が示されている図1?8から、本体部410は、ローター部430?430に対して鉛直方向における内側にあることが看取されるから、本体部410、支持体420?420及びローター部430?430からなる飛行体本体400において、本体部410の鉛直方向に貫通する空間の位置は、飛行体本体の鉛直方向における中央部と認められる。
よって、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し」は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内のものである。

(イ)「前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ」について
段落0095には「第2駆動部340は、第2軸受部材332とは反対側において回転軸の中心が第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置し、かつ、回転軸が第2ジンバル部本体331側(具体的には内側)に向くように第1ジンバル部本体311に設けられている。第2駆動部340は、第1ジンバル部本体311の内周面において第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の他方側(この例では左側)に設けられている。」と記載されている。ここで、段落0092の「第1ジンバル部本体311は、水平方向における中央部が鉛直方向に貫通した中空形状とされている。」との記載から、上記第2駆動部の回転軸は、第1ジンバル部本体311の中空形状の空間に存在している。
そして、前記第1ジンバル部本体311について、段落0068には「第1ジンバル部本体311は、第1水平軸線αにおいて、一端部が第1軸受部材312を介して、かつ、他端部が第1駆動部320を介して飛行体本体400(具体的には本体部410)に設けられている。」と記載され、前記第1駆動部320及び第1軸受部材312について、段落0067及び0066に「第1軸受部材312は、飛行体本体400(具体的には本体部410)の内周面において第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の一方側(この例では前側)に設けられている。」及び「第1駆動部320は、飛行体本体400(具体的には本体部410)の内周面において第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の他方側(この例では後側)に設けられている。」とそれぞれ記載され、前記本体部410について、段落0043に「本体部410は、水平方向における中央部が鉛直方向(上下方向)に貫通した中空形状とされている。」と記載されているから、上記第1ジンバル部本体311は、飛行体本体400の本体部410の中空形状の空間に存在している。したがって、第1ジンバル部本体311の中空形状の空間に存在する第2駆動部は、飛行体本体400の本体部410の中空形状の空間に存在しているといえる。ここで、当該本体部410の中空形状の空間が「飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間」であることは、上記(ア)に示したとおりである。
また、第2駆動部が、前記飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられることは、図1?4、7、8の記載からも看取される。
よって、「前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ」は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内のものである。

(ウ)新規事項の有無についてのまとめ
上記(ア)及び(イ)から、訂正事項1?4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。

ウ 独立特許要件について
訂正後の請求項4に係る発明についての特許は、無効審判請求の対象とされているから、特許法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
一方、訂正後の請求項5?22に係る発明についての特許は、無効審判請求の対象とされていないから、訂正請求1?4が適法なものとして認められるためには、これらの請求項に係る発明が独立特許要件を満たすものでなければならない。
そこで、訂正後の請求項5?22に係る発明が独立特許要件を満たすものであるか否かについて、以下検討する。

(ア)訂正後の請求項5?7に係る発明ついて
訂正後の請求項5?7は、訂正後の請求項4と共通する発明特定事項として下記第3で分節した構成C?構成Eを有するものである。そして、構成C?構成Eを有する訂正後の請求項4に係る発明の特許が、請求人が主張する下記第4の1に記載の無効理由によって無効とすべきものであるといえないことは、下記第6に説示するとおりである。また、訂正後の請求項5?7に係る発明の特許について、他に無効とすべき理由を発見しない。
以上のとおりであるから、訂正後の請求項5?7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

(イ)訂正後の請求項8?22に係る発明について
訂正後の請求項4?7を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項8?22は、訂正後の請求項4?7と同じ発明特定事項を有するものである。そして、訂正後の請求項4?7に係る発明の特許が、請求人が主張する下記第4の1に記載の無効理由によって無効とすべきものであるといえないことは、下記第6及び上記(ア)のとおりである。また、訂正後の請求項8?22に係る発明の特許について、他に無効とすべき理由を発見しない。
以上のとおりであるから、訂正後の請求項8?22に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

(2)訂正事項5について
訂正事項5は、上記訂正事項1?4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5により追加される事項は、上記訂正事項1?4と同じであるから、上記(1)ア、イと同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、かつ、明細書及び図面に記載されているといえる。したがって、訂正事項5は特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件に適合するものである。

(3)訂正事項6について
訂正事項6の対象の記載である「一定の第1駆動部320及び第2基準姿勢に維持する」の直前には、「第1ジンバル部310及び第2ジンバル部330を第1基準姿勢及び第2基準姿勢に戻すときに」と記載されていることから、この記載に続く訂正事項6の部分も「第1基準姿勢及び第2基準姿勢に維持する」との意味であることは明白である。
よって、上記「第1駆動部320」を「第1基準姿勢」へと訂正する訂正事項6は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。そして、当該誤記の訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、訂正事項6は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。さらに、訂正事項6は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
また、訂正事項6は、明細書の誤記を正しただけであるから、訂正事項6により訂正後の請求項5?22に係る発明が独立特許要件を満たさなくなることはなく、特許法第134条第9項において読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。

4 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり、上記訂正請求書による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号?第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項に規定する要件に適合する。さらに、特許無効審判の請求がされていない請求項5?22に係る訂正については、同法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条7項に規定する要件に適合する。
よって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4?22〕について訂正することを認める。


第3 本件訂正後発明
本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1?22に係る発明(以下、「本件訂正後発明1」?「本件訂正後発明22」という。)は、本件訂正特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
なお、本件訂正後発明4?7の各構成には(A)?(O)の符号を当審において付した。以下、各符号の構成を「構成A」?「構成O」という。

(本件訂正後発明1)【請求項1】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と
を備え、
前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、
前記第1カメラ部は、複数台の前記第1カメラと、複数台の前記第1カメラに電力を供給する第1バッテリーとを備え、
前記第2カメラ部は、複数台の前記第2カメラと、複数台の前記第2カメラに電力を供給する第2バッテリーとを備えていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明2)【請求項2】
請求項1に記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
をさらに備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置していることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明3)【請求項3】
請求項2に記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明4)【請求項4】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(C)前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
(D)前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
(E)前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(F)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(G)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(I)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(K)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、
(L)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。

(本件訂正後発明5)【請求項5】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(C)前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
(D)前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
(E)前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(F)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(G)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(I)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(M)前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、
(L)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。

(本件訂正後発明6)【請求項6】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(C)前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
(D)前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
(E)前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(F)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(G)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(I)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(N)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、
(L)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。

(本件訂正後発明7)【請求項7】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B1)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と、
前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部と
を備え、
(C)前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
(D)前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
(E)前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(F)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(G)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(I)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
(O)前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、
(L)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。

(本件訂正後発明8)【請求項8】
請求項3又は請求項5から請求項7までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明9)【請求項9】
請求項3、請求項4又は請求項6から請求項8までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明10)【請求項10】
請求項3から請求項5までの何れか1つ又は請求項7から請求項9までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明11)【請求項11】
請求項3から請求項6までの何れか1つ又は請求項8から請求項10までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部をさらに備え、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明12)【請求項12】
請求項7又は請求項11に記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点と、前記第3駆動部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明13)【請求項13】
請求項2から請求項12までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部、前記第2ジンバル部及び前記第2駆動部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明14)【請求項14】
請求項13に記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、前記第2駆動部に対して均衡を保つためのおもり部材をさらに備えていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明15)【請求項15】
請求項14に記載の無人飛行体であって、
前記第2駆動部及び前記おもり部材は、前記第1水平軸線に間にして、それぞれの重心が前記第1水平軸線に直交する水平方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明16)【請求項16】
請求項13から請求項15までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部を含む構成要素は、前記第2水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明17)【請求項17】
請求項16に記載の無人飛行体であって、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第2水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明18)【請求項18】
請求項2から請求項17までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
当該無人飛行体は、前記第1水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、前記第2水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明19)【請求項19】
請求項1から請求項18までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明20)【請求項20】
請求項19に記載の無人飛行体であって、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第1水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明21)【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部の重心及び前記第1カメラ部の重心の間の第1距離と、前記カメラ部の重心及び前記第2カメラ部の重心の間の第2距離とが同一又は略同一とされていることを特徴とする無人飛行体。

(本件訂正後発明22)【請求項22】
請求項1から請求項21までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記何れの駆動部もブラシレスモーターであることを特徴とする無人飛行体。


第4 当事者の主張及び証拠方法
1 請求人の主張する無効理由及び証拠方法
請求人が提出した審判請求書によれば、請求人は、本件特許の請求項4に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として以下の無効理由を主張し、証拠方法として甲第1号証?甲第5号証を提出している。
なお、上記第1のとおり、請求人は、本件訂正後の請求項4に記載された発明(本件訂正後発明4)について弁駁書による追加の主張を行っていない。

(無効理由)
本件特許の請求項4に係る発明は、甲第1号証?甲第5号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(証拠方法)
甲第1号証:米国特許出願公開第2014/0153916号明細書
甲第1-1号証:米国特許出願公開第2014/0153916号明細書
の仮訳
甲第2号証:特開2015-23470号公報
甲第3号証:特開2014-167413号公報
甲第4号証:特開2001-92001号公報
甲第5号証:特開2008-131539号公報

2 被請求人の主張
被請求人が提出した訂正請求書及び答弁書によれば、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、訂正請求書により訂正された請求項4について、請求人による特許を無効とすべきものとの主張は当を得ないものである旨を主張している。


第5 証拠の記載事項
甲第1号証?甲第5号証には、以下の記載がある。

1 甲第1号証
(1-ア)「It is known that 360 degree (e.g., spherical or cubical) still photographs or moving videos of a scene of interest can be obtained using very sophisticated equipment. Such equipment is prohibitively expensive and clearly not within the budget of average consumers or even small companies that are desirous of obtaining 360 degree images.」(段落0003)
「There is an ongoing and pervasive need to provide a more versatile and user friendly system that adaptively retains a plurality of conventional photographic cameras in order to permit 360 (spherical or cubical) degree still photographs or moving videos to be obtained, through compositely created images and in a plurality of image formats, such as HD and 3-dimensional, among others.」(段落0004)

(仮訳:
「非常に洗練された機器を使用して、関心のあるシーンの360度(たとえば、球形または立方体)の静止写真または動画を取得できることが知られている。」(段落0003)
「複合的に作成された画像を通じて、特にHD及び3次元のような複数の画像フォーマットで、360(球形または立方体)度の静止写真または動画を取得できるようにするために、複数の従来の写真カメラを適応的に保持する、より汎用性が高くユーザーフレンドリーなシステムを提供する継続的かつ広範なニーズがある。」(段落0004))

(1-イ)「Alternative versions are shown in FIGS. 11(a)-11(c). In the embodiment of FIG. 11(a), a drone-like apparatus 1100 capable of flight includes a depending lower arm 1120 that retains a holding assembly 1150, similar to that depicted in FIGS. 2(a)-2(e), in which a 360 degree field of view can be achieved using a plurality of supported cameras 1180.」(段落0121)
「In the version shown in FIG. 11(b), a center housing 1142 is connected by arms 1145 to separate rotor assemblies 1148 disposed 120 degrees from one another on a common horizontal plane and attached using supports 1051. Respective camera holding assemblies 1170, similar to those shown in FIGS. 2(a)-2(d) are fixedly attached above and below this plane by connective rods (not shown) in which the cameras are all commonly retained within individually disposed receptacles. The cameras 1180 retained by the holding assemblies 1170 are disposed such that a full 360 degree view is achieved, but in which the rotor assemblies 1148 are positioned in “blind spots” that cannot be seen by the retained cameras 1180.」(段落0122)

(仮訳:
「別のバージョンを図11(a)?11(c)に示す。図11(a)の実施形態では、飛行可能な無人機のような装置1100は、図2(a)?2(e)に示したものと同様に保持アセンブリ1150を保持する垂れ下がった下部アーム1120を含み、支持された複数のカメラ1180を使用して360度の視野を達成することができる。」(段落0121)
「図11(b)に示すバージョンでは、中央ハウジング1142は、共通の水平面上で相互に120度で配置され、支持体1051を用いて取り付けられたローターアセンブリ1148を分離するためのアーム1145によって接続される。図2(a)?2(d)に示されたものと同様の各カメラ保持アセンブリ1170は、接続ロッド(図示せず)によってこの平面の上下に固定的に取り付けられ、各カメラ保持アセンブリ1170において、複数のカメラが個別に配置された容器内に全て一般的に保持されている。前記保持アセンブリ1170によって保持される複数のカメラ1180は、完全な360度の視界が達成されるように配置されるが、ローターアセンブリ1148は、保持された複数のカメラ1180によって見ることができない「盲点」に配置される。」(段落0122))

(1-ウ)「



(1-エ)「



2 甲第2号証
(2-ア)「パノラマ動画像を生成する手法では、例えば、撮影画像がオーバーラップするように全方位的に配置したデジタルビデオカメラ等の複数の撮像装置により撮影した複数の動画像のそれぞれオーバーラップさせた共通画像をコマ毎に合成することで、パノラマ動画像を生成する。」(段落0003)

(2-イ)「パノラマ撮影装置100は、複数(ここでは12個)の動画像を全方位的に撮影するものであり、動画を撮影する複数(ここでは12台)の撮像装置10?10と、複数の撮像装置10?10を全方位的に撮影可能に搭載する撮影支持体20と、予め定めた所定方向(ここでは上下方向)に伸縮可能とされて一端部31(図2及び図3参照)がパノラマ撮影装置本体101に支持され、かつ、他端部32(図2及び図3参照)が撮影支持体20を支持する伸縮部材30とを備えている。この例では、伸縮部材30は、後述する姿勢安定化装置45を介して撮影支持体20を支持している。」(段落0025)
「詳しくは、パノラマ撮影装置本体101は、飛行体40を備えており、伸縮部材30は、一端部31が飛行体40の機体41に支持されている。」(段落0026)
「具体的には、飛行体40は、無人飛行体(UAV)とされており、ここでは、無線遠隔操縦される小型無人ヘリコプターとされている。この小型無人ヘリコプターとしては、回転翼(ローター)の数が1つのものであってもよいし、複数の回転翼が機体41の周りに均等に配設されたマルチコプターであってもよい。マルチコプターとしては、4つの回転翼を有するクアッドコプターや6つの回転翼を有するヘキサコプター或いは8つの回転翼を有するオプトコプターを例示できる。飛行体40は、ここでは、8つの回転翼43?43を有するオプトコプターとされている。」(段落0027)

(2-ウ)「撮影支持体20(図4参照)は、撮像装置10?10により撮影した動画像が所定の撮影面積比率(例えば25%?30%程度)でオーバーラップするように、撮像装置10?l0を全方位的に支持するようになっている。」(段落0030)

(2-エ)「【図2】




(2-オ)「【図3】




(2-カ)「【図4】





3 甲第3号証
(3-ア)「前記航空写真装置2は、主に飛行体(後述)にジンバル機構を介して鉛直に支持された支持部材としてのシャフト6と、該シャフト6の下端、上端にそれぞれ設けられた下カメラ7、上カメラ8と、前記シャフト6の下端に設けられ、前記下カメラ7と一体化された再帰反射体としてのプリズム9と、前記地上基地4との間で通信を行う飛行体通信部11とを具備している。」(段落0022)

(3-イ)「前記下カメラ7、前記上カメラ8の内どちらにより撮影を実行するかは、測定対象物に応じて適宜選択される。例えば、農作物、或は地表の構造物等が測定対象物である場合は、前記下カメラ7により鉛直下方の撮影を行い、橋桁、或はトンネルの天井が測定対象物の場合は、前記上カメラ8により鉛直上方の撮影が行われる。更に、橋桁、或はトンネルの天井等の測定では、前記下カメラ7及び前記上カメラ8により鉛直下方、鉛直上方を同時に撮影してもよい。」(段落0032)

(3-ウ)「前記飛行体15は、放射状に延出する複数で且つ偶数のプロペラフレーム17を有し、各プロペラフレーム17の先端にプロペラユニットが設けられる。該プロペラユニットは、前記プロペラフレーム17の先端に取付けられたプロペラモータ18と、該プロペラモータ18の出力軸に取付けられたプロペラ19により構成される。前記プロペラモータ18により前記プロペラ19が回転され、前記飛行体15が飛行する様になっている。」(段落0037)
「前記飛行体15は中心に、中空円筒状の主フレーム21を有し、該主フレーム21の上端には外方に向って延出する外フランジ22、下端には中心に向って延出する内フランジ23が設けられている。該内フランジ23の中心部には、円形の孔24が形成される。」(段落0038)

(3-エ)「前記主フレーム21を上下に貫通する様に前記シャフト6が設けられ、該シャフト6はジンバル25により鉛直となる様に支持され、該ジンバル25は防振部材26を介して前記内フランジ23に設けられている。」(段落0040)
「前記ジンバル25は直交する2方向の揺動軸27a,27bを有し、前記シャフト6を直交する2方向に揺動自在に支持する。」(段落0041)

(3-オ)「前記シャフト6の上端には、前記上カメラ8が設けられている。該上カメラ8の光軸、前記下カメラ7の光軸は前記シャフト6の軸心と一致しており、又前記プリズム9の光軸は前記シャフト6の軸心と平行となっている。前記下カメラ7は鉛直下方を撮影し、前記上カメラ8は鉛直上方を撮影する。」(段落0045)
「前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9等は、バランスウェイトとして機能し、前記シャフト6に外力が作用しない状態、即ち、フリーの状態では前記シャフト6は鉛直な状態となる様に前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9の重量バランスが設定されている。」(段落0046)
「前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9等の、バランスウェイト機能で、前記シャフト6を鉛直に充分保持できる場合は特に設けなくてもよいが、前記シャフト6を鉛頂姿勢に安定に保持する為、前記シャフト6が急激に傾斜した場合(前記飛行体15の姿勢が急激に変化した場合)に、迅速に鉛直状態に復帰できる様、バランス補助部材を設けてもよい。」(段落0047)

(3-カ)「前記飛行体15が傾斜した状態でも、重力の作用によって前記シャフト6は鉛直を維持する。従って、前記下カメラ7、前記上カメラ8の光軸も鉛直状態を維持し、同時に前記プリズム9の光軸も鉛直を維持する。前記下カメラ7は鉛直下方の画像を取得し、前記上カメラ8は鉛直上方の画像を取得する。尚、ここでは、前記下カメラ7により下方の画像が取得される場合を説明する」(段落0072)

(3-キ)「又、前記シャフト6は、重力の作用で鉛直方向に向く様、前記ジンバル25により支持されたが、前記揺動軸27a,27b(図3参照)にそれぞれモータを連結し、前記傾斜センサ28からの傾斜信号に基づき強制的に前記揺動軸27a,27bを傾きとは逆方向に回転し、鉛直状態を維持する様に構成してもよい。」(段落0093)

(3-ク)「【図1】




(3-ケ)「【図2】




(3-コ)「【図3】




4 甲第4号証
(4-ア)「撮影者がビデオカメラを手で支え、歩きながら(あるいは走りながら)移動撮影を行うハンディ移動撮影においては、撮影者の挙動がカメラに直接伝わると、撮像にブレが生じ不安定になるので好ましくない。そこで、撮影者の挙動をカメラに伝わりにくくした撮影補助装置が種々提案されている。例えば、スプリングが組み込まれたアームを、カメラに三次元的フレキシブルに連結し、その連結部に、カメラおよび付属物(電源やビデオテープなど)を含めたカメラ全体系の重心を配し、撮影者がアームを介してカメラを支持する構成のものがある。」(段落0002)
「このような装置によれば、撮影者の挙動はアームのスプリングに吸収されてカメラに伝わりにくく、ブレのない安定した撮像が得られるとされている。また、カメラは、アームとカメラの連結部を支点として上下・左右方向のアングル変換(ティルト・パン)ならびに左右方向の傾動(ロール)が自在になされる。このため、これらの動作をカメラに与えるカメラ操作は、連結部と全体系の重心とが完璧に一致しているときわめて軽微な力で行うことができ、しかも重心以外に外部から力を受けない限り、一定させたカメラの向きは動かず、安定性に優れるとされている。」(段落0003)

(4-イ)「本発明では、フレームとジンバルの相対位置を調整することで、全体系の重心にジンバルの中心(ティルト軸、パン軸およびロール軸の各軸心の交点)を容易かつ的確に配置することができる。撮影者は、支持部、振動吸収手段およびジンバルを介して全体系の重心を支持することになり、これに加え、撮影者の挙動は振動吸収手段によって吸収され直接カメラに伝わりにくい。これらの結果、ハンディ移動撮影を行った際にブレのない安定した撮像を得ることができるとともに、難しい操作を要さず使い勝手に優れる。」(段落0008)

5 甲第5号証
(5-ア)「一体となったカメラとバランスアーム・ウエイトの重心位置と3軸ジンバル構造中心の距離を極力小さくすることが、安定した映像を撮影するための決め手であり、そのため摩擦の少ない3軸ジンバル構造を装備することおよびバランスウエイトを簡単、正確に位置微調整できるための機構がポイントとなる。」(段落0010)


第6 当審の判断
当審は、本件訂正後発明4の特許は、無効理由によっては無効にすべきものであるとはいえない、と判断する。その理由は、以下のとおりである。

1 甲1発明
上記第5の1の記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
なお、甲1発明の各構成には(a)?(e)の符号を当審において付した。以下、各符号の構成を「構成a」?「構成e」という。

(甲1発明)
(a)360(球形または立方体)度の静止写真または動画を取得できるようにするために、複数の従来の写真カメラを適応的に保持する、より汎用性が高くユーザーフレンドリーなシステムを提供する継続的かつ広範なニーズがあり、
(b)中央ハウジング1142は、共通の水平面上で相互に120度で配置され、支持体1051を用いて取り付けられたローターアセンブリ1148を分離するためのアーム1145によって接続されており、
(c)各カメラ保持アセンブリ1170は、接続ロッド(図示せず)によってこの平面の上下に固定的に取り付けられ、各カメラ保持アセンブリ1170において、複数のカメラが個別に配置された容器内に全て一般的に保持されており、
(d)前記保持アセンブリ1170によって保持される複数のカメラ1180は、完全な360度の視界が達成されるように配置されるが、ローターアセンブリ1148は、保持された複数のカメラ1180によって見ることができない「盲点」に配置される
(e)飛行可能な無人機のような装置1100。

2 対比
本件訂正後発明4と甲1発明とを対比する。

(1)構成Aについて
構成eの「飛行可能な無人機のような装置1100」は、構成Aの「無人飛行体」に相当する。
構成bの「中央ハウジング1142」、前記中央ハウジング1142に接続された「アーム1145」、前記アーム1145にローターアセンブリ1148を取り付ける「支持体1051」、及び、前記「ローターアセンブリ1148」は、上記装置1100における飛行機能に係る構成であるから、構成Aの「飛行体本体」に相当するといえる。
構成cの「接続ロッド」、前記接続ロッドによって平面の上下に取り付けられた「各カメラ保持アセンブリ1170」、及び、前記各カメラ保持アセンブリ1170において、個別に配置された容器内に保持された「複数のカメラ」は、カメラに係る構成であるから、構成Aの「少なくとも2台のカメラを有するカメラ部」に相当するといえる。
以上から、甲1発明は、「少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、飛行体本体とを備えた無人飛行体」として、本件訂正後発明4と共通する。
しかしながら、無人飛行体について、本件訂正後発明4は、「前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置」を備えるとともに、飛行体本体が「前記ジンバル駆動装置が設けられた」ものであるのに対し、甲1発明は、前記ジンバル駆動装置に係る構成を備えていない点で、両者は相違する。

(2)構成B、構成D、構成E、構成J、構成Kについて
上記(1)のとおり、甲1発明は、ジンバル駆動装置に係る構成を備えていないから、構成B、構成D、構成E、構成J及び構成Kを備えていない点で、本件訂正後発明4と相違する。

(3)構成Cについて
甲1発明は、飛行体本体における空間について、何ら特定されていないから、構成Cを備えていない点で、本件訂正後発明4と相違する。

(4)構成Fについて
構成cの、平面の上下にそれぞれ位置する「複数のカメラ」に係る構成のうちの一方及び他方は、「少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部」及び「少なくとも1台の第2のカメラを備えた第2カメラ部」に相当するといえる。
したがって、甲1発明は、「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え」というものである点で、構成Hと共通する。
しかしながら、甲1発明は、上記(1)のとおり、ジンバル駆動装置に係る構成を備えていないから、構成Fのうち「前記第1カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ」との構成を備えていない点で、本件訂正後発明4と相違する。

(5)構成G、構成Iについて
無人飛行体は通常、水平にローターアセンブリを備えることから、構成cの「平面」が水平面を意味することは明らかである。すると、構成cの、平面の上下にそれぞれ位置する「複数のカメラ」に係る構成は、「前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、水平指標を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し」というものである点で、構成G及び構成Iと共通するといえる。
しかしながら、前記水平指標が、本件訂正後発明4では「第1水平軸線」及び「第2水平軸線」であるのに対し、甲1発明では水平面である点で、両者は相違する。

(6)構成Hについて
構成dでは、複数のカメラ1180の「盲点」に配置されるものとして、「ローターアセンブリ1148」のみが特定されているが、上記第5の1(1-エ)(図11b)のように外縁にローターアセンブリ1148が位置する装置において、当該ローターアセンブリ1148より内側に位置する中央ハウジング1142、アーム1145及び支持体1051も、「盲点」に配置されているものと解することが相当である。
したがって、構成dは、「前記飛行体本体は、前記第1カメラの視野角の外側、かつ、前記第2カメラの視野角の外側の領域に位置し」というものである点で、構成Hと共通する。
しかしながら、甲1発明は、上記(1)のとおり、ジンバル駆動装置に係る構成を備えていないから、構成Hのうち「前記ジンバル駆動装置は、前記第1カメラの視野角の外側、かつ、前記第2カメラの視野角の外側の領域に位置し」との構成を備えていない点で、本件訂正後発明4と相違する。

(7)構成Lについて
甲1発明は、構成aにおいて「360(球形または立方体)度の静止写真または動画を取得できるようにする」ことをニーズとしたものであるから、構成dの「完全な360度の視界」という構成は、構成Lの「全方位」に相当するといえる。そして、上記(6)における検討と同様に、外縁にローターアセンブリ1148が位置する装置において、当該ローターアセンブリ1148より内側に位置する飛行体の構成も、「盲点」に配置されているものと解することが相当である。
したがって、甲1発明は、「前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」というものである点で、本件訂正後発明4と共通する。
しかしながら、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部による全方位の撮影について、本件訂正後発明4は、「それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて」行うものであるのに対し、甲1発明は、オーバーラップさせることが特定されていない点で、両者は相違する。

(8)一致点及び相違点
上記(1)?(7)から、本件訂正後発明4と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
(A’)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(F’)前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(G’、I’)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、水平指標を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H’)前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(L’)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。

(相違点1)
無人飛行体について、本件訂正後発明4は、「前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置」を備えるとともに、飛行体本体が「前記ジンバル駆動装置が設けられた」ものであるのに対し、甲1発明は、前記ジンバル駆動装置に係る構成を備えていない点。

(相違点2)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Bを備えていない点。

(相違点3)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Cを備えていない点。

(相違点4)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Dを備えていない点。

(相違点5)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Eを備えていない点。

(相違点6)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Fのうち「前記第1カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ」との構成を備えていない点。

(相違点7)
前記水平指標が、本件訂正後発明4では「第1水平軸線」及び「第2水平軸線」であるのに対し、甲1発明では水平面である点。

(相違点8)
甲1発明は、本件訂正後発明4の構成Hのうち「前記ジンバル駆動装置は、前記第1カメラの視野角の外側、かつ、前記第2カメラの視野角の外側の領域に位置し」との構成を備えていない点。

(相違点9)
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部による全方位の撮影について、本件訂正後発明4は、「それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて」行うものであるのに対し、甲1発明は、オーバーラップさせることが特定されていない点。

3 相違点についての判断
上記相違点のうち、まず相違点4(構成D)及び相違点5(構成E)について検討する。

本件訂正後発明4の構成D及び構成Eにおける「前記空間」とは、構成Cの「飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間」のことであるから、構成Dは「前記第1駆動部は、前記飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ」というものであり、構成Eは「前記第2駆動部は、前記飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ」というものである。

一方、請求人は、本件訂正後発明4の構成C、構成D及び構成Eについて弁駁を行っていないが、審判請求の理由において、本件特許の請求項4における構成C、構成D及び構成Eに対応する構成が甲第3号証に明示されていると主張しているので、まず、甲第3号証について検討する。
上記第5の3(3-ウ)によれば、「飛行体15」は、「放射状に延出する複数で且つ偶数のプロペラフレーム17を有し、各プロペラフレーム17の先端にプロペラユニットが設けられ、中心に、中空円筒状の主フレーム21を有し、下端には中心に向って延出する内フランジ23が設けられている」というものである。ここで、上記「放射状に延出する」との形状が水平方向におけるものであることは明らかであるから、上記「中心」とは、前記形状に対応した「水平方向における中心」を意味するものと認められる。
上記第5の3(3-エ)によれば、「ジンバル25」は、「防振部材26を介して前記内フランジ23に設けられており、直交する2方向の揺動軸27a,27bを有している」というものである。
上記第5の3(3-キ)には、「前記揺動軸27a,27bにそれぞれモータを連結する」というものが記載されている。
そして、上記第5の3(3-ケ)及び(3-コ)によれば、飛行体15の円筒状の主フレーム21の内部の中空は、飛行体15における水平方向の中央部に設けられること、及び、前記中空において、ジンバル25は、飛行体15の鉛直方向における下部かつ水平方向における中央部に設けられ、水平方向に沿っていることが看取される。

ここで、甲第3号証の「飛行体15」は、構成Aの「飛行体本体」に相当する。
また、甲第3号証の「直交する2方向の揺動軸27a,27b」は、構成Bの「水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線」及び「前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線」に相当する。そして、直交する2方向の揺動軸を有するジンバルにおいて、一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造を通常備えていることは、本件特許の優先日前における技術常識であると認められるから、甲第3号証の「ジンバル25」は、構成Bの「水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部」及び「前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部」に相当するといえる。
さらに、甲第3号証の前記揺動軸27a,27bにそれぞれ連結された「モータ」は、構成Bの「前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部」及び「前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部」に相当する。

そして、甲第3号証の「モータ」は、飛行体15の鉛直方向における下部かつ水平方向における中央部の中空に設けられるジンバル25の揺動軸27a,27bにそれぞれ連結されるから、当該「モータ」は、当該揺動軸27a,27bに隣接した位置である鉛直方向における下部辺りかつ水平方向における中央部辺りの中空に設けられるものと解される。

すると、甲第3号証の「モータ」が設けられた位置は、構成Dの「第1駆動部は、飛行体本体における『飛行体本体の水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』内において回転軸の中心が第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ」、及び、構成Eの「第2駆動部は、飛行体本体における『飛行体本体の水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』内において回転軸の中心が第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように第1ジンバル部に設けられ」た位置に相当するとまではいえる。
しかしながら、甲第3号証の「モータ」が設けられた位置について、前記回転軸の中心が第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置する空間、及び、前記回転軸の中心が第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置する空間が、飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』であるということはできない。
また、甲第3号証には、前記回転軸の中心が第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置する空間、及び、前記回転軸の中心が第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置する空間を、飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』とすることについての示唆もない。

さらに、前記回転軸の中心が第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置する空間、及び、前記回転軸の中心が第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置する空間を、飛行体本体における『飛行体本体の鉛直方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間』とする構成は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証にも記載も示唆もされていない。したがって、当該構成は、甲第1号証?甲第5号証から当業者が容易に想到しうるものではない。

よって、本件訂正後発明4は、その他の相違点である相違点1?相違点3及び相違点6?相違点9について検討するまでもなく、当業者であっても甲第1号証?甲第5号証から容易に発明をすることができたものということはできない。

4 請求人の主張について
請求人の審判請求の理由において、上記相違点4(構成D)及び相違点5(構成E)に関係する主張は、概略次のとおりである。

(請求人の主張)
甲第3号証には、相違点1(B)の「ジンバル駆動装置」に相当する構成、相違点2(C)の「飛行体本体」に相当する構成、相違点3(D)の「第1駆動部」に相当する構成、相違点4(E)の「第2駆動部」に相当する構成、相違点5(F)の「カメラ部」に相当する構成、相違点6(G)の「第1カメラ部及び第2カメラ部」に相当する構成、相違点7(I)の「第1カメラ部及び第2カメラ部」に相当する構成、及び、相違点8(J)に相当する構成が明示されている。(審判請求書12頁24行?15頁19行)

そして、甲第3号証の【0072】段落、【0093】段落の記載によれば、少なくとも相違点1(B)?相違点7(I)に相当する構成を備えることで、「前記飛行体15が傾斜した状態でも、…前記下カメラ7、前記上カメラ8の光軸も鉛直状態を維持し、同時に前記プリズム9の光軸も鉛直を維持する。前記下カメラ7は鉛直下方の画像を取得し、前記上カメラ8は鉛直上方の画像を取得する。」という効果が得られる旨記載されている。
ここで、甲第1号証では、図11(b)から明らかなように、上カメラ1180及び下カメラ1180の夫々が棒状部材を介して飛行体本体に取り付けられている。従って、飛行体本体の水平方向の振動が直に上カメラ1180及び下カメラ1180へ伝わり易く、光軸を鉛直状態で維持し難くなる結果、上カメラ1180及び下カメラ1180で取得される画像に悪影響が及ぶことが推認される。
さらに、本件特許第6261090号公報の明細書【0005】段落には、「ジンバル駆動装置では、飛行体本体が一定の姿勢から水平軸線回りに傾いても、ジンバル部を一定の姿勢(例えば水平姿勢)に維持するように駆動部を駆動させることができ、これにより、カメラ部を一定の姿勢(例えば水平姿勢)に維持することができる」ことが背景技術として記載されている。
そこで、飛行体本体を上下に貫通する空間(相違点2(C)の空間に相当)を設けて、この空間を介して上カメラ1180(相違点5(F),相違点6(G)のカメラに相当)及び下カメラ1180(相違点5(F),相違点7(I)のカメラに相当)を一本の棒状部材(甲第3号証(当該記載は、審判請求書では「甲第2号証」とされていたが、当審において「甲第3号証」の誤記と判断した。)の図2、図3等に記載のシャフト6に相当)で繋ぎ、さらに空間内にシャフト6を支持するジンバル(相違点1(B)の「第1ジンバル部」及び「第2ジンバル部」に相当)及びこのジンバルを水平方向に沿った回動軸線である水平軸線回りに回動させる駆動部(相違点1(B),相違点3(D)の「第1駆動部」及び相違点1(B),相違点4(E)の「第2駆動部」に相当)を設ければ、当該機構により上カメラ1180及び下カメラ1180へ伝わる飛行体本体の水平方向の振動が吸収され、上カメラ1180及び下力メラ1180の各光軸が鉛直状態で維持される。これにより、飛行体本体の水平方向の振動が上カメラ1180及び下カメラ1180取得される画像に及ぼす悪影響を防ぐことが可能となる。
さらに、従来の2軸ジンバル装置において、軸を回動させるモータを軸に連結する構成として、モータの回転軸を回動される軸に一致させることは常套手段と認められるから、各ジンバル25の揺動軸27a,27bに設けられる各モータは、本件特許発明4のD,Eとほぼ同様の構成であることが理解できる。
すなわち、甲第1号証において、2軸ジンバル装置で飛行体本体の水平方向の振動を吸収しようとする場合、必然的に、上述した相違点3(D)、相違点4(E)の構造が採用される。
従って、甲1発明に甲第3号証を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。(審判請求書15頁20行?16頁23行)

しかしながら、請求人の当該主張は、本件訂正前の本件特許の請求項4に対する主張であって、構成D及び構成Eにおいて前記する、本件訂正により訂正された構成Cの「飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間」について主張するものではないから、上記3の相違点についての判断に影響を及ぼしうるものではない。


第7 むすび
以上のとおり、本件訂正請求による訂正を認め、また、本件訂正後の請求項4に係る発明についての特許は、無効理由によって無効にすべきものであるとはいえない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
無人飛行体
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体、特に、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)として、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
かかる無人飛行体は、飛行体本体が一定の姿勢から傾いてもカメラ部を一定の姿勢に維持しながら、人物、地形や構造物等の撮影対象を自在に撮影することができるようになっている。
【0004】
ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である水平軸線回りに回動するジンバル部と、ジンバル部を水平軸線回りに回動させる駆動部とを備えている。
【0005】
ジンバル駆動装置では、飛行体本体が一定の姿勢から水平軸線回りに傾いても、ジンバル部を一定の姿勢(例えば水平姿勢)に維持するように駆動部を駆動させることができ、これにより、カメラ部を一定の姿勢(例えば水平姿勢)に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-103030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のジンバル駆動装置では、ジンバル駆動装置を用いて全方位のパノラマ画像(具体的にはパノラマ静止画又はパノラマ動画)を撮影することが考えられるが、この場合、パノラマ画像に自身の無人飛行体が写ってしまうという不都合がある。
【0008】
この点に関し、特許文献1に記載のジンバル駆動装置では、パノラマ画像を撮影する構成にはなっておらず、たとえパノラマ画像を撮影するようにしても、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにした構成にはなっていない。
【0009】
そこで、本発明は、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにすることができる無人飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、次の第1態様から第5態様の無人飛行体を提供する。
(1)第1態様の無人飛行体
本発明に係る第1態様の無人飛行体は、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、前記ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部とを備え、前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部は、複数台の前記第1カメラと、複数台の前記第1カメラに電力を供給する第1バッテリーとを備え、前記第2カメラ部は、複数台の前記第2カメラと、複数台の前記第2カメラに電力を供給する第2バッテリーとを備えていることを特徴とする。
(2)第2態様の無人飛行体
本発明に係る第2態様の無人飛行体は、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、前記ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部とを備え、前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする。
(3)第3態様の無人飛行体
本発明に係る第3態様の無人飛行体は、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、前記ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部とを備え、前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする。
(4)第4態様の無人飛行体
本発明に係る第4態様の無人飛行体は、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、前記ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部とを備え、前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする。
(5)第5態様の無人飛行体
本発明に係る第5態様の無人飛行体は、少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、前記ジンバル駆動装置は、水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と、前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部とを備え、前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記カメラ部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0013】
本発明において、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第1水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0014】
本発明において、前記カメラ部の重心及び前記第1カメラ部の重心の間の第1距離と、前記カメラ部の重心及び前記第2カメラ部の重心の間の第2距離とが同一又は略同一とされている態様を例示できる。
【0015】
本発明において、前記ジンバル駆動装置は、前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部とをさらに備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置している態様を例示できる。
【0016】
本発明において、前記カメラ部、前記第2ジンバル部及び前記第2駆動部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0017】
本発明において、前記ジンバル駆動装置は、前記第2駆動部に対して均衡を保つためのおもり部材をさらに備えている態様を例示できる。
【0018】
本発明において、前記第2駆動部及び前記おもり部材は、前記第1水平軸線に間にして、それぞれの重心が前記第1水平軸線に直交する水平方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0019】
本発明において、前記カメラ部を含む構成要素は、前記第2水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第2ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0020】
本発明において、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第2水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第2ジンバル部に設けられている態様を例示できる。
【0021】
本発明において、当該無人飛行体は、前記第1水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、前記第2水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされている態様を例示できる。
【0022】
本発明において、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされている態様を例示できる。
【0023】
本発明において、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致している態様を例示できる。
【0024】
本発明において、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされている態様を例示できる。
【0025】
本発明において、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致している態様を例示できる。
【0026】
本発明において、前記ジンバル駆動装置は、前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部をさらに備え、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられている態様を例示できる。
【0027】
本発明において、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点と、前記第3駆動部の重心とが一致又は略一致している態様を例示できる。
【0028】
本発明において、前記何れの駆動部もブラシレスモーターである態様を例示できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】脚部が飛行位置に位置している状態の無人飛行体を正面側右斜め上方から視た斜視図である。
【図2】図1に示す無人飛行体を背面側左斜め上方から視た斜視図である。
【図3】図1に示す無人飛行体の正面図である。
【図4】図1に示す無人飛行体の背面図である。
【図5】図1に示す無人飛行体の右側面図である。
【図6】図1に示す無人飛行体の左側面図である。
【図7】図1に示す無人飛行体の平面図である。
【図8】図1に示す無人飛行体の底面図である。
【図9】図1に示す無人飛行体において第1カメラ部の視野角及び第2カメラ部の視野角を示す正面図である。
【図10】脚部が離着陸位置に位置している状態の無人飛行体を正面側右斜め上方から視た斜視図である。
【図11】図10に示す無人飛行体を背面側左斜め上方から視た斜視図である。
【図12】図10に示す無人飛行体の正面図である。
【図13】図10に示す無人飛行体の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
(無人飛行体の全体構成)
図1は、脚部111,111が飛行位置に位置している状態の無人飛行体100を正面側右斜め上方から視た斜視図である。図2は、図1に示す無人飛行体100を背面側左斜め上方から視た斜視図である。
【0033】
図3から図8は、それぞれ、図1に示す無人飛行体100の正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図である。
【0034】
図9は、図1に示す無人飛行体100において第1カメラ部210の視野角φ1及び第2カメラ部220の視野角φ2を示す正面図である。
【0035】
また、図10は、脚部111,111が離着陸位置に位置している状態の無人飛行体100を正面側右斜め上方から視た斜視図である。図11は、図10に示す無人飛行体100を背面側左斜め上方から視た斜視図である。
【0036】
図12及び図13は、それぞれ、図10に示す無人飛行体100の正面図及び右側面図である。
【0037】
無人飛行体100は、全方位のパノラマ画像(具体的にはパノラマ静止画又はパノラマ動画)を撮影するために、少なくとも2台のカメラ201?201を有するカメラ部200と、カメラ部200が設けられたジンバル駆動装置300(すなわち撮影用ジンバル駆動装置)と、ジンバル駆動装置300が設けられた飛行体本体400とを備えている。ここで、無人飛行体100は、UAVやドローンとも称されるものである。
【0038】
本実施の形態の無人飛行体100は、複数(この例では18個)の静止画又は動画(この例では動画)を全方位的に撮影するものである。
【0039】
無人飛行体100は、この例では、無線遠隔操縦される小型無人飛行機とされている。なお、無人飛行体100は、飛行ルートが予めプログラムされた小型無人飛行機であってもよい。
【0040】
詳しくは、無人飛行体100は、複数個のローター部430?430が飛行体本体400の周りに均等に配設されたマルチコプターとされている。この例では、無人飛行体100は、8個のローター部430?430を有するオプトコプターとされている。マルチコプターとしては、オプトコプターの他、4個のローター部を有するクアッドコプターや6個のローター部を有するヘキサコプターを例示できる。
【0041】
ジンバル駆動装置300には、パノラマ画像(この例ではパノラマ動画)を撮影する少なくとも2台(この例では18台)のカメラ201?201を全方位的に撮影可能に搭載するカメラ部200が設けられている。
【0042】
飛行体本体400は、本体部410(具体的には本体枠体)と、複数本(この例では8本)の支持体420?420と、複数個(この例では8個)のローター部430?430とを備えている。支持体420?420は、本体部410の中心から水平方向に沿って放射状にかつ周方向において均等に本体部410に設けられている。ローター部430?430は、支持体420?420の先端部にそれぞれ設けられている。
【0043】
詳しくは、本体部410は、水平方向における中央部が鉛直方向(上下方向)に貫通した中空形状とされている。
【0044】
具体的には、本体部410は、複数(この例では2つ)のリング状のリング部材410a,410bと、複数(この例では8つ)の連結部410c?410c(図1、図2、図7、図8、図10及び図11参照)とを備えている。リング部材410a,410bは、互いに異なる径を有している。連結部410c?410cは、互いに中心を一致させたリング部材410a,410bを中心から水平方向に沿って放射状にかつ周方向において均等に連結している。リング部材410a,410b及び連結部410c?410cは、一体的に形成されて本体部410を構成している。
【0045】
互いに異なる径を有するリング部材410a,410bは、何れも同一径の2つのリング部材(410a,410a),(410b,410b)をそれらが鉛直方向で重なるように、周方向に配設された複数の連結部材(412?412),(412?412)(この例では連結ピン)(図1から図6及び図10から図13参照)を介して連結したものである。連結部材(412?412),(412?412)は、ビス等の固定部材SC(図1、図2、図10及び図11参照)により2つのリング部材(410a,410a),(410b,410b)を固定している。
【0046】
支持体420?420のうち、2本の支持体420,420は、第1水平軸線α(図1及び図9参照)に沿うように本体部410に設けられており、他の2本の支持体420,420は、第2水平軸線β(図1及び図9参照)に沿うように本体部410に設けられている。
【0047】
連結部410c?410cは、支持体420?420に対応して配設され、かつ、支持体420?420を鉛直方向の両側から挟持しつつビス等の固定部材SC(図1、図2、図10及び図11参照)により固定して支持体420?420を支持している。
【0048】
リング部材410a,410aには、第1水平軸線αに沿った2本の支持体420,420及び第2水平軸線βに沿った2本の支持体420,420の外側部分をそれぞれ補強する4つの補強部材413?413が設けられている。補強部材413?413は、リング部材410a,410aと一体的に形成されている。
【0049】
また、無人飛行体100は、離陸時及び着陸時に飛行体本体400を支持する降着装置110をさらに備えている。
【0050】
降着装置110は、複数(この例では2つ)の脚部111,111(図1から図4及び図7から図13参照)と、複数(この例では2つ)の脚部駆動部112,112(図1から図6及び図8から図13参照)とを備えている。脚部111,111は、水平方向に沿った軸線回りに揺動自在に飛行体本体400に設けられている。脚部駆動部112,112は、脚部111,111をそれぞれ揺動させるものであり、脚部111,111をそれぞれ揺動駆動する。
【0051】
降着装置110は、脚部111,111がそれぞれ脚部駆動部112,112により飛行体本体400に対して外側に開いて水平又は略水平になる一方(図1から図8参照参照)、内側に所定の角度で閉じて飛行体本体400を接地できるように(図10から図13参照)揺動可能な構成とされている。
【0052】
詳しくは、降着装置110は、脚部111,111が飛行時の位置である水平方向又は略水平方向に沿った飛行位置(図1から図8参照参照)と、離着陸時の位置である斜め方向に沿った離着陸位置(図10から図13参照)との間で揺動可能とされている。
【0053】
そして、降着装置110は、脚部駆動部112,112が無線遠隔操縦されることにより、飛行時に脚部111,111を飛行位置に位置させ、離着陸時に脚部111,111を離着陸位置に位置させることが可能な構成となっている。なお、降着装置110は、飛行時に脚部111,111を自動的に飛行位置に位置させ、離着陸時に脚部111,111を自動的に離着陸位置に位置させるようになっていてもよい。
【0054】
具体的には、脚部111,111は、何れも棒状の部材とされている。脚部111,111の先端部には、水平方向に沿った棒状の接地部材111a,111aがそれぞれ設けられている。接地部材111a,111aは、脚部111,111に対して直角又は略直角に設けられている。
【0055】
この例では、脚部111,111は、第2水平軸線βに沿って支持体420,420の下面にそれぞれ脚部駆動部112,112を介して設けられている。従って、脚部111,111は、脚部駆動部112,112によりそれぞれ第1水平軸線α方向に沿った軸線回りに揺動される。
【0056】
カメラ201?201は、この例では、4K(約4000×2000の解像度)の小型デジタルビデオカメラとされている。カメラ201?201としては、4Kのカメラに限定されるものではなく、例えば、4Kよりも低解像度(例えば2K:約2000×1000)のもの、或いは、4Kよりも高解像度(例えば8K:約8000×4000)のものを用いてもよい。
【0057】
カメラ201?201は、撮影対象を全方位的に撮影した各画像のファイルデータを第1外部記憶媒体(図示省略)に保存する構成とされている。パノラマ画像は、撮影後に第1外部記憶媒体に保存された各画像のファイルデータを用いてアプリケーションプログラムで処理することにより生成される。第1外部記憶媒体としては、それには限定されないが、代表的にはSD(Secure Digital)メモリカードを例示できる。
【0058】
(ジンバル駆動装置)
ジンバル駆動装置300は、カメラ部200を、第1水平軸線α(図1参照)回りの第1回動方向X(図1参照)に回動させて一定の第1基準姿勢に維持することが可能な少なくとも1軸のジンバル駆動装置である。
【0059】
ジンバル駆動装置300は、第1水平軸線α回りに回動する第1ジンバル部310(具体的には第1枠体)と、第1ジンバル部310を第1水平軸線α回りに回動させる第1駆動部320(この例ではブラシレスモーター)(図1、図2、図3から図13参照)とを備えている。第1駆動部320は、第1ジンバル部310を第1水平軸線α回りに回動駆動する。ここで、第1水平軸線αは、水平方向(この例では前後方向)に沿った回動軸線である。この例では、第1水平軸線αは、ローリング回動軸線であり、従って、第1駆動部320は、ローリング駆動部とされる。
【0060】
カメラ部200は、第1カメラ部210(図1から図7及び図9から図13参照)と、第2カメラ部220(図1から図6及び図8から図13参照)とを備えている。第1カメラ部210は、少なくとも1台(1台又は2台以上、この例では9台)の第1カメラ201(201a)?201(201a)を備えている。第2カメラ部220は、少なくとも1台(1台又は2台以上、この例では9台)の第2カメラ201(201b)?201(201b)を備えている。
【0061】
そして、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、それぞれ、第1水平軸線αを間にして鉛直方向(上下方向)における一方側(この例では上側)及び他方側(この例では下側)に位置し、ジンバル駆動装置300及び飛行体本体400は、第1カメラ部210と第2カメラ部220との間の領域λ(図9参照)(この例では中央位置)に位置している。
【0062】
詳しくは、第1カメラ部210と第2カメラ部220との間の領域λは、第1カメラ部210の視野角φ1の外側、かつ、第2カメラ部220の視野角φ2の外側の領域とされている。
【0063】
第1ジンバル部310は、水平面に沿った平板形状を有している。さらに言えば、第1ジンバル部310は、平板部分が第1水平軸線α上に位置している。本体部410は、水平面に沿った平板形状を有している。さらに言えば、本体部410は、平板部分が第1水平軸線α上に位置している。
【0064】
第1ジンバル部310は、第1水平軸線αにおいて、一端部が第1水平軸線α回りに回動自在に飛行体本体400に設けられ、かつ、他端部が第1駆動部320を介して飛行体本体400に設けられている。
【0065】
第1ジンバル部310は、第1ジンバル部本体311及び第1軸受部材312(ベアリング部材)(図1、図2、図5から図8、図10及び図11参照)を備えている。
【0066】
第1軸受部材312は、回転軸の中心が第1水平軸線α上又は略第1水平軸線α上に位置し、かつ、回転軸が第1ジンバル部本体311側(具体的には内側)に向くように飛行体本体400(具体的には本体部410)に設けられている。第1軸受部材312は、飛行体本体400(具体的には本体部410)の内周面において第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の一方側(この例では前側)に設けられている。
【0067】
第1駆動部320は、第1軸受部材312とは反対側において回転軸の中心が第1水平軸線α上又は略第1水平軸線α上に位置し、かつ、回転軸が第1ジンバル部本体311側(具体的には内側)に向くように飛行体本体400(具体的には本体部410)に設けられている。第1駆動部320は、飛行体本体400(具体的には本体部410)の内周面において第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の他方側(この例では後側)に設けられている。
【0068】
第1ジンバル部本体311は、第1水平軸線αにおいて、一端部が第1軸受部材312を介して、かつ、他端部が第1駆動部320を介して飛行体本体400(具体的には本体部410)に設けられている。すなわち、第1ジンバル部本体311は、第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の一方側(この例では前側)端部が第1軸受部材312の回転軸に固定される一方、第1水平軸線α方向(この例では前後方向)の他方側(この例では後側)端部が第1駆動部320の回転軸に固定されている。
【0069】
具体的には、第1ジンバル部本体311は、本体部410の内径よりも小さい外径を有するリング状のリング部311aを備えている。第1ジンバル部本体311は、何れも同一径の2つのリング部311a,311aをそれらが鉛直方向で重なるように、周方向に配設された複数の連結部材313?313(この例では連結ピン)(図1から図6及び図10から図13参照)を介して連結したものである。連結部材313?313は、ビス等の固定部材SC(図1、図2、図10及び図11参照)により2つのリング部311a,311aを固定している。
【0070】
リング部311a,311aには、無人飛行体100全体を軽量化する観点から、鉛直方向に貫通した複数の貫通孔SP?SP(この例では長孔及び丸孔)(図1、図2、図10及び図11参照)が周方向に沿って設けられている。
【0071】
(第1実施形態)
第1カメラ部210は、複数台(この例では9台)の第1カメラ201(201a)?201(201a)と、複数台の第1カメラ201(201a)?201(201a)に電力を供給する単一のカメラ用バッテリー202(第1バッテリー202a)(図2、図4及び図11参照)とを備えている。第2カメラ部220は、複数台(この例では9台)の第2カメラ201(201b)?201(201b)と、複数台の第2カメラ201(201b)?201(201b)に電力を供給する単一のカメラ用バッテリー202(第2バッテリー202b)(図2、図4及び図11参照)とを備えている。
【0072】
また、カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて後述する第2ジンバル部330及び第2駆動部340等)は、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第1ジンバル部310に設けられている。ここで、「略」釣り合う場合での釣り合いの度合いは、第1駆動部320への負荷が軽減されて第1駆動部320が追従性よく駆動できる程度の釣り合いの度合いである。
【0073】
また、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、第1水平軸線αを間にして、第1カメラ部210の重心C1(図3参照)及び第2カメラ部220の重心C2(図3参照)が鉛直方向に揃う又は略揃うように第1ジンバル部310に設けられている。
【0074】
詳しくは、カメラ部200(第1カメラ部210及び第2カメラ部220)の重心C0(図1から図3参照)は、第1水平軸線α上又は略第1水平軸線α上に位置している。カメラ部200の重心C0は、カメラ部200の中央(第1カメラ部210と第2カメラ部220との間の中央位置)とされている。
【0075】
カメラ部200の重心C0及び第1カメラ部210の重心C1の間の第1距離d1(図2参照)と、カメラ部200の重心C0及び第2カメラ部220の重心C2の間の第2距離d2(図2参照)とが同一又は略同一とされている。
【0076】
無人飛行体100は、撮影画像が第1カメラ部210と第2カメラ部220との間でオーバーラップするように第1カメラ部210における個々の第1カメラ201(201a)?201(201a)及び第2カメラ部220における個々の第2カメラ201(201b)?201(201b)を全方位的に配設することができる。
【0077】
具体的には、第1カメラ部210は、第1カメラ201(201a)?201(201a)を支持する第1カメラ支持体211(図1から図7及び図10から図13参照)と、第1カメラ支持体211を支持する第1支柱部212(図1から図6及び図10から図13参照)とを備えている。第2カメラ部220は、第2カメラ201(201b)?201(201b)を支持する第2カメラ支持体221(図1から図6及び図8、図10から図13参照)と、第2カメラ支持体221を支持する第2支柱部222(図1から図6及び図10から図13参照)とを備えている。
【0078】
第1カメラ支持体211は、複数台(この例では9台)の第1カメラ201(201a)?201(201a)のうち、1台の第1カメラ201(201a)が真上に位置するように、かつ、残りの台数(この例では8台)の第1カメラ201(201a)?201(201a)が水平面に対して上側に所定の傾斜角度(例えば60度程度)で傾斜した状態で周方向に均等になるように、複数の台数(この例では9台)の第1カメラ201(201a)?201(201a)を支持する構成とされている。この例では、第1カメラ支持体211は、8角錐又は略8角錐の部材の先端部側を切断したような形状を有している。第1カメラ201(201a)?201(201a)は、レンズとは反対側の面が第1カメラ支持体211の底面以外の各面にそれぞれ1台ずつ設けられている。ここで、第1カメラ201(201a)?201(201a)の台数及び傾斜角度は、第1カメラ201(201a)?201(201a)の個々の視野角等により適宜決定することができる。
【0079】
第2カメラ支持体221は、複数台(この例では9台)の第2カメラ201(201b)?201(201b)のうち、1台の第2カメラ201(201b)が真下に位置するように、かつ、残りの台数(この例では8台)の第2カメラ201(201b)?201(201b)が水平面に対して下側に所定の傾斜角度(例えば60度程度)で傾斜した状態で周方向に均等になるように、複数の台数(この例では9台)の第2カメラ201(201b)?201(201b)を支持する構成とされている。この例では、第2カメラ支持体221は、第1カメラ支持体211と同様の形状、すなわち、8角錐又は略8角錐の部材の先端部側を切断したような形状を有している。第2カメラ201(201b)?201(201b)は、レンズとは反対側の面が第2カメラ支持体221の底面以外の各面にそれぞれ1台ずつ設けられている。ここで、第2カメラ201(201b)?201(201b)の台数及び傾斜角度は、第2カメラ201(201b)?201(201b)の個々の視野角等により適宜決定することができる。
【0080】
第1カメラ支持体211は、第1カメラ201(201a)?201(201a)により撮影した静止画又は動画が上半分以上の視界をカバーしつつ所定の撮影面積比率(例えば25%?30%程度)でオーバーラップするように、第1カメラ201(201a)?201(201a)を支持するようになっている。第2カメラ支持体221は、第2カメラ201(201b)?201(201b)により撮影した静止画又は動画が下半分以上の視界をカバーしつつ所定の撮影面積比率(例えば25%?30%程度)でオーバーラップするように、第2カメラ201(201b)?201(201b)を支持するようになっている。
【0081】
なお、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)が1台の場合には、第1カメラ支持体211は、第1カメラ201(201a)が真上を向くように、1台の第1カメラ201(201a)を支持することができる。同様に、第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)が1台の場合には、第2カメラ支持体221は、第2カメラ201(201b)が真下を向くように、1台の第2カメラ201(201b)を支持することができる。
【0082】
この例では、第1カメラ部210の視野角φ1(図9参照)(本実施の形態のように第1カメラ201(201a)?201(201a)が複数台ある場合には複数台の第1カメラ201(201a)?201(201a)全体として視野角)は、180度を超える角度とされている。また、第2カメラ部220の視野角φ2(図9参照)(本実施の形態のように第2カメラ201(201b)?201(201b)が複数台ある場合には複数台の第2カメラ201(201b)?201(201b)全体として視野角)も同様に、180度を超える角度とされている。
【0083】
第1支柱部212は、上端部が真上に位置する第1カメラ201(201a)とは反対側(下端部)に連結されており、第2支柱部222は、下端部が真下に位置する第2カメラ201(201b)とは反対側(上端部)に連結されている。
【0084】
第1支柱部212及び第2支柱部222は、第1カメラ部210及び第2カメラ部220により撮影した静止画又は動画が所定の撮影面積比率(例えば25%?30%程度)でオーバーラップするように、第1カメラ部210及び第2カメラ部220を全方位的に支持するようになっている。
【0085】
第1支柱部212及び第2支柱部222は、何れも一側面(この例では後側の側面)が開放した中空の四角柱形状とされている。単一の第1バッテリー202(202a)及び単一の第2バッテリー202(202b)は、それぞれ、第1支柱部212及び第2支柱部222の空間内に設けられ(収納され)ている。なお、開放した一側面に開閉可能な蓋を設けてもよい。
【0086】
(第2実施形態)
ジンバル駆動装置300は、カメラ部200を、一定の第1基準姿勢に維持することに加えて、第2水平軸線β(図1参照)回りの第2回動方向Y(図1参照)に回動させて一定の第2基準姿勢に維持することが可能な少なくとも2軸のジンバル駆動装置である。
【0087】
ジンバル駆動装置300は、第1ジンバル部310に設けられて第2水平軸線β回りに回動する第2ジンバル部330(具体的には第2枠体)(図1から図5及び図7から図13参照)と、第2ジンバル部330を第2水平軸線β回りに回動させる第2駆動部340(この例ではブラシレスモーター)(図1から図4及び図6から図12参照)とをさらに備えている。第2駆動部340は、第2ジンバル部330を第2水平軸線β回りに回動駆動する。ここで、第2水平軸線βは、第1水平軸線αに直交する水平方向(この例では左右方向)に沿った回動軸線である。この例では、第2水平軸線βは、ピッチング回動軸線であり、従って、第2駆動部340は、ピッチング駆動部とされる。
【0088】
そして、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、それぞれ、第2水平軸線βを間にして鉛直方向(上下方向)における一方側(この例では上側)及び他方側(この例では下側)に位置している。
【0089】
また、カメラ部200、第2ジンバル部330及び第2駆動部340を含む構成要素(この例では、カメラ部200、第2ジンバル部330及び第2駆動部340に加えて後述するおもり部材350等)は、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第1ジンバル部310に設けられている。
【0090】
詳しくは、第2ジンバル部330は、水平面に沿った平板形状を有している。さらに言えば、第2ジンバル部330は、平板部分が第1水平軸線α上及び第2水平軸線β上に位置している。また、本体部410は、平板部分が第1水平軸線α上及び第2水平軸線β上に位置している。
【0091】
第2ジンバル部330は、第2水平軸線βにおいて、一端部が第2水平軸線β回りに回動自在に第1ジンバル部310に設けられ、かつ、他端部が第2駆動部340を介して第1ジンバル部310に設けられている。
【0092】
第1ジンバル部本体311は、水平方向における中央部が鉛直方向に貫通した中空形状とされている。
【0093】
第2ジンバル部330は、第2ジンバル部本体331(図1から図5及び図7、図8、図10から図13参照)及び第2軸受部材332(ベアリング部材)(図1から図4及び図6から図12参照)を備えている。
【0094】
第2軸受部材332は、回転軸の中心が第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置し、かつ、回転軸が第2ジンバル部本体331側(具体的には内側)に向くように第1ジンバル部本体311に設けられている。第2軸受部材332は、第1ジンバル部本体311の内周面において第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の一方側(この例では右側)に設けられている。
【0095】
第2駆動部340は、第2軸受部材332とは反対側において回転軸の中心が第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置し、かつ、回転軸が第2ジンバル部本体331側(具体的には内側)に向くように第1ジンバル部本体311に設けられている。第2駆動部340は、第1ジンバル部本体311の内周面において第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の他方側(この例では左側)に設けられている。
【0096】
第2ジンバル部本体331は、第2水平軸線βにおいて、一端部が第2軸受部材332を介して、かつ、他端部が第2駆動部340を介して第1ジンバル部本体311に設けられている。すなわち、第2ジンバル部本体331は、第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の一方側(この例では右側)端部が第2軸受部材332の回転軸に固定される一方、第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の他方側(この例では左側)端部が第2駆動部340の回転軸に固定されている。
【0097】
具体的には、第2ジンバル部本体331は、第2水平軸線βに沿った長尺な部材とされている。
【0098】
第2ジンバル部本体331には、無人飛行体100全体を軽量化する観点から、鉛直方向に貫通した複数の貫通孔SP?SP(図1、図2、図10及び図11参照)が長尺方向に沿って設けられている。
【0099】
(第3実施形態)
ジンバル駆動装置300は、第2駆動部340に対して均衡を保つためのおもり部材350(図3、図4、図7、図8及び図12参照)をさらに備えている。
【0100】
また、第2駆動部340及びおもり部材350は、第1水平軸線αに間にして、第2駆動部340の重心C3(図2参照)及びおもり部材350の重心C4(図2参照)が第1水平軸線αに直交する水平方向に揃う又は略揃うように第1ジンバル部310に設けられている。この例では、第2駆動部340の重心C3及びおもり部材350の重心C4は、第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置している。
【0101】
詳しくは、おもり部材350は、第1ジンバル部本体311に設けられた第2軸受部材332の回転軸と、第2ジンバル部本体331との間に設けられている。
【0102】
具体的には、おもり部材350は、ボルト等の固定部材351(図2、図7及び図11参照)により第2ジンバル部本体331に取り付けた重量部材352(図3、図4、図7、図8及び図12参照)とされている。第2ジンバル部本体331は、第2水平軸線β方向(この例では左右方向)の一方側(この例では右側)端部が重量部材352を介して第2軸受部材332の回転軸に固定されている。重量部材352としては、鉄や銅等の比較的比重の大きい金属材料からなる部材を例示できる。
【0103】
(第4実施形態)
カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて後述する第3駆動部360)は、第2水平軸線βを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第2ジンバル部330に設けられている。ここで、「略」釣り合う場合での釣り合いの度合いは、第2駆動部340への負荷が軽減されて第2駆動部340が追従性よく駆動できる程度の釣り合いの度合いである。
【0104】
詳しくは、カメラ部200(第1カメラ部210及び第2カメラ部220)の重心C0は、第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置している。
【0105】
具体的には、第1支柱部212と第2支柱部222との連結部は、カメラ部200の鉛直方向における中央部されている。重量部材352は、第2水平軸線β方向(この例では左右方向)から視て円形状の部材であり、中心が第2水平軸線β上又は略第2水平軸線β上に位置するように第2ジンバル部本体331に設けられている。
【0106】
(第5実施形態)
第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、第2水平軸線βを間にして、第1カメラ部210の重心C1及び第2カメラ部220の重心C2が鉛直方向に揃う又は略揃うように第2ジンバル部330に設けられている。
【0107】
詳しくは、無人飛行体100は、第1水平軸線αを基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、第2水平軸線βを基準に線対称又は略線対称とされている。すなわち、無人飛行体100は、各構成要素が第1水平軸線αを基準に線対称又は略線対称になるように配設され、かつ、各構成要素が第2水平軸線βを基準に線対称又は略線対称になるように配設されている。また、無人飛行体100は、第1水平軸線αと第2水平軸線βとが交わる構成とされている。
【0108】
具体的には、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δ(図1から図3参照)と、カメラ部200の重心C0とが一致又は略一致している。カメラ部200は、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δを基準に点対称又は略点対称とされている。すなわち、カメラ部200は、各構成要素が第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δを基準に点対称又は略点対称になるように配設されている。また、無人飛行体100は、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δと、飛行体本体400の中心とが一致又は略一致している。
【0109】
(第6実施形態)
ジンバル駆動装置300は、カメラ部200を、一定の第1基準姿勢に維持し、かつ、一定の第2基準姿勢に維持することに加えて、鉛直方向に沿った鉛直軸線γ(図1及び図9参照)回りの第3回動方向Z(図1参照)に回動させて一定の基準向き(基準回動位置)に維持する3軸のジンバル駆動装置である。
【0110】
ジンバル駆動装置300は、カメラ部200を鉛直方向に沿った鉛直軸線γ回りに回動させる第3駆動部360(この例ではブラシレスモーター)(図1、図2、図10及び図11)をさらに備えている。第3駆動部360は、カメラ部200を鉛直軸線γ回りに回動駆動する。この例では、鉛直軸線γは、ヨーイング回動軸線であり、従って、第3駆動部360は、ヨーイング駆動部とされる。
【0111】
カメラ部200は、第3駆動部360を介して第2ジンバル部330に設けられている。
【0112】
無人飛行体100は、第1水平軸線αと第2水平軸線βと鉛直軸線γとが交わる構成とされている。
【0113】
そして、第3駆動部360は、第1水平軸線αと第2水平軸線βと鉛直軸線γとの交点を含むように設けられている。この例では、無人飛行体100は、第1水平軸線αと第2水平軸線βと鉛直軸線γとの交点δと、第3駆動部360の重心C5(図1から図3参照)とが一致又は略一致している。
【0114】
詳しくは、カメラ部200は、第3駆動部360を介して第2ジンバル部本体331に設けられている。すなわち、第3駆動部360は、回転軸が鉛直方向の両側に設けられている。第3駆動部360は、回転軸の中心が鉛直軸線γ上又は略鉛直軸線γ上に位置するように第3駆動部本体が第2ジンバル部本体331に固定され、かつ、回転軸の上端部が第1カメラ部210の下端部に、回転軸の下端部が第2カメラ部220の上端部にそれぞれ接続されている。
【0115】
具体的には、第3駆動部360の上側の回転軸が第1支柱部212の下端部に固定されており、第3駆動部360の下側の回転軸が第2支柱部222の上端部に固定されている。
【0116】
(飛行体本体の構成要素)
無人飛行体100は、本体制御部120(図1から図7及び図10から図13参照)と、飛行用バッテリー130(131,132)(図1から図7及び図10から図13参照)と、遠隔操縦用無線通信部140(図1から図4、図7及び図10から図12参照)と、遠隔操縦用カメラ150(図1から図3、図5から図8及び図10から図13参照)と、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160(図1、図5、図6、図8、図10及び図13参照)と、遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170(図1、図2、図4、図5から図7、図10、図11及び図13参照)とを備えている。
【0117】
本体制御部120、飛行用バッテリー130(131,132)、遠隔操縦用無線通信部140、遠隔操縦用カメラ150、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160及び遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170は、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δを中心に飛行体本体400において重量的にバランス良く配設されている。
【0118】
詳しくは、飛行用バッテリー130は、2つの飛行用バッテリー131,132からなっている。第1水平軸線αを間にして、一方側の構成要素(この例では、一方の飛行用バッテリー131)と、他方側の構成要素(この例では、他方の飛行用バッテリー132及び遠隔操縦用無線通信部140)とは、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように、飛行体本体400において相対する位置に設けられている。
【0119】
また、第2水平軸線βを間にして、一方側の構成要素(この例では、本体制御部120、遠隔操縦用カメラ150、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160及び第1軸受部材312)と、他方側の構成要素(この例では、遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170及び第1駆動部320)とは、第2水平軸線βを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように、飛行体本体400において相対する位置に設けられている。
【0120】
具体的には、本体制御部120は、本体部410の前側において上面に設けられている。遠隔操縦用カメラ150は、本体部410の前側に設けられた支持体420の先端部の端面に設けられている。遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160は、本体部410の前側において下面に設けられている。遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170は、本体部410の後側において上面に設けられている。2つの飛行用バッテリー131,132は、長尺な形状とされている。一方の飛行用バッテリー131は、本体部410の正面から視て右側において上面に第1水平軸線αに沿うように設けられている。他方の飛行用バッテリー132は、本体部410の正面から視て左側において上面に第1水平軸線αに沿うように設けられている。遠隔操縦用無線通信部140は、本体部410の左側に設けられた補強部材413の上面に設けられている。
【0121】
ここで、パノラマ画像(具体的にはパノラマ静止画又はパノラマ動画)を撮影する場合において、無人飛行体100(具体的にはジンバル駆動装置300及び飛行体本体400)を第1カメラ部210と第2カメラ部220との間の領域λに位置させるにあたり、自身の無人飛行体100(特に写りこみ易い飛行体本体400)がほぼ或いは全く写らないようにするためには、できるだけ小型化(特に水平方向で小型化)することが好ましい。
【0122】
この点に関し、この例では、支持体420をできるだけ短くしている。詳しくは、支持体420?420において、第1水平軸線α及び第2水平軸線βに沿っていない支持体420?420は、第1水平軸線α及び第2水平軸線βに沿った支持体420?420よりも短くなっている。
【0123】
そして、ローター部430?430は、次のような構成となっている。すなわち、ローター部430?430は、第1水平軸線α及び第2水平軸線βに沿った水平面の近傍に配設されている。
【0124】
具体的には、脚部111,111が飛行位置にある降着装置110は、脚部111,111の先端が第2水平軸線βに近接している。このため、第1水平軸線αに長尺な2つの飛行用バッテリー131,132は、第1水平軸線αを間にして飛行体本体400の上面の両側に設けられ、かつ、脚部111,111は、第2水平軸線βに沿った支持体420,420の下面に設けられている。そして、第2水平軸線βに沿った支持体420,420の上面には、ローター部430,430が上向きに設けられている。すなわち、上向きのローター部430,430は、モーター431,431が回転翼432,432を上にして支持体420,420の上面に設けられている。
【0125】
また、本体制御部120及び遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170は、前後方向及び左右方向のサイズが比較的大きくなっており、第2水平軸線βを間にして飛行体本体400の上面の両側に設けられている。このため、第2水平軸線βに沿った支持体420,420以外の支持体420?420の下面には、ローター部430?430が下向きに設けられている。すなわち、下向きのローター部430,430は、モーター431,431が回転翼432,432を下にして支持体420?420の下面に設けられている。
【0126】
遠隔操縦用無線通信部140は、操縦側に設けられた遠隔操縦装置(図示せず)からの操縦信号を受信し、受信した操縦信号を本体制御部120に送信するものである。
【0127】
本体制御部120は、制御装置121(図1から図7及び図10から図13)と、GNSS受信機122(図1から図7及び図10から図13)とを備えている。ここで、GNSSは、Global Navigation Satellite Systemの略であり、全地球測位システムの一般名称である。GNSS受信機122は、この例では、GPS受信機(具体的にはGPS基板)とされている。なお、GPSは、Global Positioning Systemの略である。
【0128】
制御装置121は、無人飛行体100全体の制御を司るものであり、飛行用バッテリー130(131,132)から電力が供給される。制御装置121は、遠隔操縦用無線通信部140にて受信した操縦信号に基づいて、ローター部430?430における各モーター431?431の単位時間当たりの回転数を制御して無人飛行体100の機体(飛行体本体400)を制御したり、後述するように、カメラ部200への電源のオンオフ制御及びシャッター(撮影開始)のオンオフ制御を行ったりするようになっている。
【0129】
GNSS受信機122は、GPSアンテナ(図示省略)を備え、GPS衛星(図示省略)からの電波をGPSアンテナで受信し、GPS衛星からの電波に基づいて日付、時刻、緯度、経度、標高といったGPS情報を取得することができるようになっている。GNSS受信機122により取得したGPS情報(具体的には日付、時刻、緯度、経度、標高といった情報)は、第2外部記憶媒体(図示省略)に記憶される。第2外部記憶媒体としては、それには限定されないが、代表的にはSDメモリカードを例示できる。
【0130】
遠隔操縦用カメラ150は、無人飛行体100の前方を撮影するものである。遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160は、遠隔操縦用カメラ150にて撮影した画像データの無線通信を制御するものである。遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170は、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160からの制御命令により、遠隔操縦用カメラ150にて撮影した画像データを、操縦側に設けられた操縦側通信部(図示せず)に送信するようになっている。これにより、操縦者は、遠隔操縦用カメラ150にて撮影した撮影画像を表示する表示画面(図示せず)をリアルタイムで視認しながら無人飛行体100を容易に遠隔操縦することが可能となる。
【0131】
(その他の構成要素)
無人飛行体100は、ジャイロセンサー180(この例では磁気ジャイロセンサー)(図8参照)を備えている。ジャイロセンサー180は、ジンバル駆動装置300が1軸の場合、カメラ部200の第1水平軸線α回りの回転の第1角速度を検知する1軸ジャイロセンサーとされる。ジャイロセンサー180は、ジンバル駆動装置300が2軸の場合、第1角速度に加えて、カメラ部200の第2水平軸線β回りの回転の第2角速度を検知する2軸ジャイロセンサーとされる。また、ジャイロセンサー180は、ジンバル駆動装置300が3軸の場合、第1角速度及び第2角速度に加えて、カメラ部200の鉛直軸線γ回りの回転の第3角速度を検知する3軸ジャイロセンサーとされる。
【0132】
ジャイロセンサー180は、カメラ部200(この例では第2カメラ部220の第2カメラ支持体221)(図8参照)に設けられている。
【0133】
制御装置121は、ジンバル駆動装置300が1軸の場合、カメラ部200の第1水平軸線α回りの第1回動方向Xの基準となる第1基準姿勢(通常は水平姿勢)のときの第1基準回転角度(通常は0度)を制御装置121における記憶部121a(図1参照)に予め設定しておく。制御装置121は、ジンバル駆動装置300が2軸の場合、第1基準回転角度に加えて、カメラ部200の第2水平軸線β回りの第2回動方向Yの基準となる第2基準姿勢(通常は水平姿勢)のときの第2基準回転角度(通常は0度)を制御装置121における記憶部121aに予め設定しておく。制御装置121は、ジンバル駆動装置300が3軸の場合、第1基準回転角度及び第2基準回転角度に加えて、カメラ部200の鉛直軸線γ回りの第3回動方向Zの基準となる基準向き(基準回動位置)のときの第3基準回転角度(例えば予め設定した基準となる一のカメラ201が正面を向いた回転角度(0度))を制御装置121における記憶部121aに予め設定しておく。
【0134】
そして、制御装置121は、ジンバル駆動装置300が1軸の場合、ジャイロセンサー180からの第1回転角度θ1(図1参照)が第1基準回転角度(例えば0度)になるように第1駆動部320の回転を制御する。従って、制御装置121は、第1ジンバル部310の第1水平軸線α回りの第1回動方向Xの姿勢を一定に維持することができ、これにより、制御装置121は、カメラ部200を第1回動方向Xの一定の第1基準姿勢(通常は水平姿勢)に維持することができる。
【0135】
制御装置121は、ジンバル駆動装置300が2軸の場合、第1駆動部320の回転制御に加えて、ジャイロセンサー180からの第2回転角度θ2(図1参照)が第2基準回転角度(例えば0度)になるように第2駆動部340の回転を制御する。従って、制御装置121は、第2ジンバル部330の第2水平軸線β回りの第2回動方向Yの姿勢を一定に維持することができ、これにより、制御装置121は、カメラ部200を第2回動方向Yの一定の第2基準姿勢(通常は水平姿勢)に維持することができる。
【0136】
制御装置121は、ジンバル駆動装置300が3軸の場合、第1駆動部320の回転制御及び第2駆動部340の回転制御に加えて、ジャイロセンサー180からの第3回転角度θ3(図1参照)が第3基準回転角度(例えば0度)になるように第3駆動部360の回転を制御する。従って、制御装置121は、カメラ部200の鉛直軸線γ回りの第3回動方向Zの向き(回動位置)を一定に維持することができ、これにより、制御装置121は、カメラ部200を第3回動方向Zの一定の基準向き(基準回動位置)に維持することができる。
【0137】
なお、ジャイロセンサー180及びジャイロセンサー180に関する制御構成は、無人飛行体100に内蔵されていてもよいが、別の飛行体(例えば有人飛行体)にも使えるようにするという観点や、メンテナンス性を容易化するという観点から、この例では、無人飛行体100及び無人飛行体100の機体の制御構成とは独立して(離脱可能に)設けられている。
【0138】
また、カメラ部200は、バッテリー用制御部203(203a,203b)(図4参照)をさらに備えている。
【0139】
ところで、複数台のカメラ201?201で撮影した各動画からパノラマ動画を生成する際に、各カメラ201?201で撮影した各動画の撮影タイミング(各動画の撮影時期)を一致させる必要がある。
【0140】
この点、本実施の形態では、バッテリー用制御部203(203a,203b)は、複数台のカメラ201?201の撮影の開始を同時に行う構成とされている。こうすることで、複数台のカメラ201?201で撮影した各動画からパノラマ動画を生成する際に、各カメラ201?201で撮影した各動画の撮影タイミング(各動画の撮影時期)を容易に一致させることが可能となる。
【0141】
詳しくは、カメラ201?201へ供給する電流容量を小さくするという観点及び重量バランスをとるという観点から、バッテリー用制御部203(203a,203b)は、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)?201(201a)のための一方のバッテリー用制御部203(203a)と、第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)?201(201b)のための他方のバッテリー用制御部203(203b)とに分割されている。
【0142】
具体的には、一方のバッテリー用制御部203(203a)は、DC-DCコンバータ及びスイッチング素子(具体的にはパワートランジスタ)を備え、第1バッテリー202(202a)から電力が供給される。一方のバッテリー用制御部203(203a)は、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)?201(201a)の電源を同時にオンし、かつ、シャッター(撮影開始)のオン信号を第1カメラ201(201a)?201(201a)へ同時に送信する構成とされている。他方のバッテリー用制御部203(203b)は、DC-DCコンバータ及びスイッチング素子(具体的にはパワートランジスタ)を備え、第2バッテリー202(202b)から電力が供給される。他方のバッテリー用制御部203(203b)は、第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)?201(201b)の電源を同時にオンし、かつ、シャッター(撮影開始)のオン信号を第2カメラ201(201b)?201(201b)へ同時に送信する構成とされている。
【0143】
一方のバッテリー用制御部203(203a)及び他方のバッテリー用制御部203(203b)は、何れも制御装置121に電気的に接続されている。一方のバッテリー用制御部203(203a)及び他方のバッテリー用制御部203(203b)は、制御装置121の指示の下、同期して、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)?201(201a)及び第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)?201(201b)の電源を同時にオンし、かつ、シャッター(撮影開始)のオン信号を第1カメラ201(201a)?201(201a)及び第2カメラ201(201b)?201(201b)へ同時に送信する。
【0144】
一方のバッテリー用制御部203aは、第1支柱部212の空間内(この例では第1バッテリー202(202a)の第2水平軸線β方向における他方側)に設けられ(収納され)ている。他方のバッテリー用制御部203bは、第2支柱部222の空間内(この例では第2バッテリー202(202b)の第2水平軸線β方向における一方側)に設けられ(収納され)ている。
【0145】
(本実施の形態について)
本実施の形態によれば、第1ジンバル部310と、第1駆動部320とを備えているので、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いても、第1ジンバル部310の第1水平軸線α回りの第1回動方向X(この例ではローリング方向)の姿勢を一定に維持するように第1駆動部320を駆動させることができ、これにより、カメラ部200を第1回動方向Xの一定の第1基準姿勢に維持することができる。しかも、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、それぞれ、第1水平軸線αを間にして鉛直方向(上下方向)における一方側(この例では上側)及び他方側(この例では下側)に位置し、ジンバル駆動装置300及び飛行体本体400は、第1カメラ部210と第2カメラ部220との間の領域λに位置しているので、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)?201(201a)及び第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)?201(201b)が自身の無人飛行体100(具体的にはジンバル駆動装置300及び飛行体本体400)をほぼ或いは全く(この例では全く)撮影しない状態で、互いの撮影画像をオーバーラップさせることができる(図9参照)。これにより、自身の無人飛行体100がほぼ或いは全く(この例では全く)写っていないパノラマ画像(この例ではパノラマ動画)を生成することが可能となる。従って、パノラマ画像に自身の無人飛行体100がほぼ或いは全く(この例では全く)写らないようにすることが可能となる。
【0146】
ところで、本実施の形態のように、第1カメラ部210における第1カメラ201(201a)?201(201a)が複数台ある場合、及び、第2カメラ部220における第2カメラ201(201b)?201(201b)が複数台ある場合、個々の第1カメラ201(201a)?201(201a)、及び、個々の第2カメラ201(201b)?201(201b)にバッテリーを設けると、それだけ無人飛行体100全体の重量が重くなる。
【0147】
この点、本実施の形態では、第1カメラ部210は、複数台の第1カメラ201(201a)?201(201a)と、複数台の第1カメラ201(201a)?201(201a)に電力を供給する単一の第1バッテリー202(202a)とを備え、第2カメラ部220は、複数台の第2カメラ201(201b)?201(201b)と、複数台の第2カメラ201(201b)?201(201b)に電力を供給する単一の第2バッテリー202(202b)とを備えていることで、個々の第1カメラ201(201a)?201(201a)、及び、個々の第2カメラ201(201b)?201(201b)にバッテリーを設ける必要がなく、従って、無人飛行体100全体の軽量化を実現させることができる。
【0148】
ところで、従来のジンバル駆動装置では、飛行体本体が一定の姿勢から傾いた場合に、駆動部を用いてジンバル部を一定の姿勢に戻すときに駆動部にかかる負荷が大きいために、それだけカメラ部を一定の姿勢に維持するための追従性が良くないという不都合がある。すなわち、飛行体本体が一定の姿勢から傾いた場合に、駆動部を用いてジンバル部を一定の姿勢に戻すときに駆動部にかかる負荷を軽減することができ、これによりカメラ部を一定の姿勢に維持するための追従性を向上させることができるような構成が要求される。
【0149】
この点、本実施の形態では、カメラ部200は、第1カメラ部210と、第2カメラ部220とを備え、カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて第2ジンバル部330及び第2駆動部340等)は、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第1ジンバル部310に設けられているので、第1水平軸線αを間にして、鉛直方向における一方側(特に第1カメラ部210)と他方側(特に第2カメラ部220)とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、従って、カメラ部200を含む構成要素の第1駆動部320への重力の影響をなくす或いは少なくすることができる。これにより、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いた場合に、第1駆動部320を用いて第1ジンバル部310を第1基準姿勢に戻すときに第1駆動部320にかかる負荷を軽減することができ、それだけカメラ部200を一定の第1基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。従って、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いた場合でもカメラ部200の第1基準姿勢を安定的に維持することが可能となる。
【0150】
ところで、ブラシレスモーターは追従性に優れており、例えば、1/100秒程度の精度の追従性を実現させることができる。
【0151】
この点、本実施の形態では、第1駆動部320は、ブラシレスモーターであることで、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いた場合でのカメラ部200を一定の第1基準姿勢に維持するための追従性をさらに向上させることができ、従って、カメラ部200の第1基準姿勢をさらに安定的に維持することが可能となる。
【0152】
また、本実施の形態では、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、第1水平軸線αを間にして、それぞれの重心C1,C2が鉛直方向に揃う又は略揃うように第1ジンバル部310に設けられていることで、第1カメラ部210及び第2カメラ部220を鉛直方向に揃わせた状態で、第1駆動部320を用いて第1ジンバル部310を第1基準姿勢に戻すときに第1駆動部320にかかる負荷を軽減することができる。
【0153】
また、本実施の形態では、カメラ部200の重心C0及び第1カメラ部210の重心C1の間の第1距離d1と、カメラ部200の重心C0及び第2カメラ部220の重心C2の間の第2距離d2とが同一又は略同一とされていることで、第1カメラ部210と第2カメラ部220とを同一又は略同一の重量にすることができ、第1カメラ部210の構成要素(例えば、第1カメラ201(201a)?201(201a)、さらには第1バッテリー202(202a))と、第2カメラ部220の構成要素(例えば、第2カメラ201(201b)?201(201b)、さらには第2バッテリー202(202b))とを、第1カメラ部210と第2カメラ部220との間で同一タイプのものを用いることができる。
【0154】
また、本実施の形態では、ジンバル駆動装置300は、第2ジンバル部330と、第2駆動部340とを備えていることで、飛行体本体400が第2基準姿勢から第2水平軸線β回りに傾いても、第2ジンバル部330の第2水平軸線β回りの第2回動方向Y(この例ではピッチング方向)の姿勢を一定に維持するように第2駆動部340を駆動させることができ、これにより、カメラ部200を第2回動方向Yの一定の第2基準姿勢に維持することができる。しかも、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、それぞれ、第2水平軸線βを間にして鉛直方向(上下方向)における一方側(この例では上側)及び他方側(この例では下側)に位置していることで、前記したように、自身の無人飛行体100がほぼ或いは全く(この例では全く)写っていないパノラマ画像(この例ではパノラマ動画)を生成することが可能となる。従って、パノラマ画像に自身の無人飛行体100がほぼ或いは全く(この例では全く)写らないようにすることが可能となる。
【0155】
また、本実施の形態では、カメラ部200、第2ジンバル部330及び第2駆動部340を含む構成要素(この例では、カメラ部200、第2ジンバル部330及び第2駆動部340に加えておもり部材350等)は、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第1ジンバル部310に設けられていることで、ジンバル駆動装置300が第2ジンバル部330及び第2駆動部340を備えていても、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いた場合に、第1駆動部320を用いて第1ジンバル部310を第1基準姿勢に戻すときに第1駆動部320にかかる負荷を軽減することができ、それだけカメラ部200を一定の第1基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。従って、飛行体本体400が第1基準姿勢から第1水平軸線α回りに傾いた場合でもカメラ部200の第1基準姿勢を安定的に維持することが可能となる。
【0156】
また、本実施の形態では、ジンバル駆動装置300は、第2駆動部340に対して均衡を保つためのおもり部材350をさらに備えていることで、第1水平軸線αを間にして、第2水平軸線β方向における一方側(特におもり部材350)と他方側(特に第2駆動部340)とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、従って、カメラ部200、第2ジンバル部330及び第2駆動部340を含む構成要素の第1駆動部320への重力の影響をなくす或いは少なくすることができ、それだけ第1駆動部320を用いて第1ジンバル部310を第1基準姿勢に戻すときに第1駆動部320にかかる負荷を軽減することができ、カメラ部200を一定の第1基準姿勢に維持するための追従性をさらに向上させることができる。
【0157】
また、本実施の形態では、第2駆動部340及びおもり部材350は、第1水平軸線αに間にして、第2駆動部340の重心C3及びおもり部材350の重心C4が第1水平軸線αに直交する水平方向に揃う又は略揃うように第1ジンバル部310に設けられていることで、第2駆動部340及びおもり部材350を水平方向に揃わせた状態で、第1駆動部320を用いて第1ジンバル部310を第1基準姿勢に戻すときに第1駆動部320にかかる負荷を軽減することができる。
【0158】
また、本実施の形態では、カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて第3駆動部360)は、第2水平軸線βを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第2ジンバル部330に設けられていることで、第2水平軸線βを間にして、鉛直方向における一方側(特に第1カメラ部210)と他方側(特に第2カメラ部220)とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、従って、カメラ部200を含む構成要素の第2駆動部340への重力の影響をなくす或いは少なくすることができる。これにより、飛行体本体400が第2基準姿勢から第2水平軸線β回りに傾いた場合に、第2駆動部340を用いて第2ジンバル部330を第2基準姿勢に戻すときに第2駆動部340にかかる負荷を軽減することができ、それだけカメラ部200を一定の第2基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。従って、飛行体本体400が第2基準姿勢から第2水平軸線β回りに傾いた場合でもカメラ部200の第2基準姿勢を安定的に維持することが可能となる。
【0159】
また、本実施の形態では、第2駆動部340は、ブラシレスモーターであることで、飛行体本体400が第2基準姿勢から第2水平軸線β回りに傾いた場合でのカメラ部200を一定の第2基準姿勢に維持するための追従性をさらに向上させることができ、従って、カメラ部200の第2基準姿勢をさらに安定的に維持することが可能となる。
【0160】
また、本実施の形態では、第1カメラ部210及び第2カメラ部220は、第2水平軸線βを間にして、それぞれの重心C1,C2が鉛直方向に揃う又は略揃うように第2ジンバル部330に設けられていることで、第1カメラ部210及び第2カメラ部220を鉛直方向に揃わせた状態で、第2駆動部340を用いて第2ジンバル部330を第2基準姿勢に戻すときに第2駆動部340にかかる負荷を軽減することができる。
【0161】
また、本実施の形態では、無人飛行体100は、第1水平軸線αを基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、第2水平軸線βを基準に線対称又は略線対称とされていることで、無人飛行体100において、同じ作用を有する複数の構成要素(例えば、第1カメラ部210及び第2カメラ部220、一方の脚部111及び他方の脚部111、一方の飛行用バッテリー131及び他方の飛行用バッテリー132やローター部430)を線対称又は略線対称となる構成要素の間で同一タイプのものを用いることができる。
【0162】
また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βとが交わる構成とされていることで、無人飛行体100を構成する構成要素(具体的には、本体制御部120、飛行用バッテリー130(131,132)、遠隔操縦用無線通信部140、遠隔操縦用カメラ150、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160及び遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170)を第1水平軸線α及び第2水平軸線βの双方に沿った水平面の近傍に配設することができ、これにより、無人飛行体100の小型化を実現させることができる。
【0163】
また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δと、カメラ部200の重心C0とが一致又は略一致していることで、交点δを間にして、一方側の第1カメラ部210と他方側の第2カメラ部220とを重量的に釣り合わせる又は略釣り合わせることができ、それだけ第1駆動部320及び第2駆動部340を用いて第1ジンバル部310及び第2ジンバル部330を第1基準姿勢及び第2基準姿勢に戻すときに第1駆動部320及び第2駆動部340にかかる負荷を軽減することができ、カメラ部200を一定の第1基準姿勢及び第2基準姿勢に維持するための追従性を向上させることができる。
【0164】
また、本実施の形態では、カメラ部200は、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δを基準に点対称又は略点対称とされていることで、重量バランスをとる上で、カメラ部200を構成する各構成要素(具体的には第1カメラ201(201a)?201(201a)及び第1バッテリー202(202a)並びに第2カメラ201(201b)?201(201b)及び第2バッテリー202(202b)等)を簡単にかつ容易に配設することができる。
【0165】
また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βとの交点δと、飛行体本体400の中心とが一致又は略一致していることで、第1ジンバル部310、第1駆動部320、第2ジンバル部330及び第2駆動部340を飛行体本体400の中心付近に配設することができ、これにより、無人飛行体100のさらなる小型化を実現させることができる。しかも、第1水平軸線α及び第2水平軸線βの双方に沿った水平面の近傍において第1ジンバル部310及び第1駆動部320の周りに、無人飛行体100を構成する構成要素(具体的には、本体制御部120、飛行用バッテリー130(131,132)、遠隔操縦用無線通信部140、遠隔操縦用カメラ150、遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部160及び遠隔操縦用カメラ画像無線通信部170)を重量的にバランス良く配設することができる。さらに、無人飛行体100の中心と無人飛行体100の重心とを一致又は略一致させることができ、これにより、無人飛行体100を安定的に飛行させることができる。
【0166】
また、本実施の形態では、ジンバル駆動装置300は、第3駆動部360を備えていることで、飛行体本体400が基準向き(基準回動位置)から鉛直軸線γ回りに回動しても、カメラ部200の鉛直軸線γ回りの第3回動方向Z(ヨーイング方向)の基準となる基準向き(基準回動位置)を一定に維持するように第3駆動部360を駆動させることができ、これにより、カメラ部200を第3回動方向Zの一定の基準向き(基準回動位置)に維持することができる。さらに、第3駆動部360は、第1水平軸線αと第2水平軸線βと鉛直軸線γとの交点を含むように設けられていることで、第3駆動部360を第1カメラ部210と第2カメラ部220との間に設けることができ、これにより、パノラマ画像に第3駆動部360がほぼ或いは全く(この例では全く)写らないようにすることができる。
【0167】
また、カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて第2ジンバル部330及び第2駆動部340等)は、第1水平軸線αを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第1ジンバル部310に設けられており、また、カメラ部200を含む構成要素(この例では、カメラ部200に加えて第3駆動部360)は、第2水平軸線βを支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように第2ジンバル部330に設けられている場合には、飛行体本体400が基準向き(基準回動位置)から鉛直軸線γ回りに回動した場合に、第3駆動部360を用いてカメラ部200を基準向き(基準回動位置)に戻すときに第3駆動部360にかかる負荷を軽減することができ、それだけカメラ部200を一定の基準向き(基準回動位置)に維持するための追従性を向上させることができる。従って、飛行体本体400が基準向き(基準回動位置)から鉛直軸線γ回りに回動した場合でもカメラ部200の基準向き(基準回動位置)を安定的に維持することが可能となる。
【0168】
また、本実施の形態では、第3駆動部360は、ブラシレスモーターであることで、飛行体本体400が基準向き(基準回動位置)から鉛直軸線γ回りに回動した場合でのカメラ部200を一定の基準向き(基準回動位置)に維持するための追従性をさらに向上させることができ、従って、カメラ部200の基準向き(基準回動位置)をさらに安定的に維持することが可能となる。
【0169】
また、本実施の形態では、第1水平軸線αと第2水平軸線βと鉛直軸線γとの交点δと、第3駆動部360の重心C5とが一致又は略一致していることで、交点δを支点として、第3駆動部360の第1水平軸線α回りと第3駆動部360の第2水平軸線β回りとの双方のバランスをとることができる。
【0170】
(その他の実施の形態)
なお、ジンバル駆動装置300は、飛行体本体400から切り離して単独で使用するようにしてもよい。
【0171】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0172】
100 無人飛行体
110 降着装置
111 脚部
111a 接地部材
112 脚部駆動部
120 本体制御部
121 制御装置
121a 記憶部
122 GNSS受信機
130 飛行用バッテリー
131 一方の飛行用バッテリー
132 他方の飛行用バッテリー
140 遠隔操縦用無線通信部
150 遠隔操縦用カメラ
160 遠隔操縦用カメラ画像無線通信制御部
170 遠隔操縦用カメラ画像無線通信部
180 ジャイロセンサー
200 カメラ部
201 カメラ
201a 第1カメラ
201b 第2カメラ
202 カメラ用バッテリー
202a 第1バッテリー
202b 第2バッテリー
203 バッテリー用制御部
203a 一方のバッテリー用制御部
203b 他方のバッテリー用制御部
210 第1カメラ部
211 第1カメラ支持体
212 第1支柱部
220 第2カメラ部
221 第2カメラ支持体
222 第2支柱部
300 ジンバル駆動装置
310 第1ジンバル部
311 第1ジンバル部本体
311a リング部
312 第1軸受部材
313 連結部材
320 第1駆動部
330 第2ジンバル部
331 第2ジンバル部本体
332 第2軸受部材
340 第2駆動部
350 おもり部材
351 固定部材
352 重量部材
360 第3駆動部
400 飛行体本体
410 本体部
410a リング部材
410b リング部材
410c 連結部
413 補強部材
420 支持体
430 ローター部
431 モーター
432 回転翼
C0 カメラ部の重心
C1 第1カメラ部の重心
C2 第2カメラ部の重心
C3 第2駆動部の重心
C4 おもり部材の重心
C5 第3駆動部の重心
SC 固定部材
SP 貫通孔
X 第1回動方向
Y 第2回動方向
Z 第3回動方向
d1 第1距離
d2 第2距離
α 第1水平軸線
β 第2水平軸線
γ 鉛直軸線
δ 交点
θ1 第1回転角度
θ2 第2回転角度
θ3 第3回転角度
λ 第1カメラ部と第2カメラ部との間の領域
φ1 第1カメラ部の視野角
φ2 第2カメラ部の視野角
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と
を備え、
前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、
前記第1カメラ部は、複数台の前記第1カメラと、複数台の前記第1カメラに電力を供給する第1バッテリーとを備え、
前記第2カメラ部は、複数台の前記第2カメラと、複数台の前記第2カメラに電力を供給する第2バッテリーとを備えていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
をさらに備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置していることを特徴とする無人飛行体。
【請求項3】
請求項2に記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項4】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする無人飛行体。
【請求項5】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする無人飛行体。
【請求項6】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする無人飛行体。
【請求項7】
少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と、
前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部と
を備え、
前記飛行体本体は、該飛行体本体の鉛直方向及び水平方向における中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする無人飛行体。
【請求項8】
請求項3又は請求項5から請求項7までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。
【請求項9】
請求項3、請求項4又は請求項6から請求項8までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項10】
請求項3から請求項5までの何れか1つ又は請求項7から請求項9までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。
【請求項11】
請求項3から請求項6までの何れか1つ又は請求項8から請求項10までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部をさらに備え、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項12】
請求項7又は請求項11に記載の無人飛行体であって、
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点と、前記第3駆動部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする無人飛行体。
【請求項13】
請求項2から請求項12までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部、前記第2ジンバル部及び前記第2駆動部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項14】
請求項13に記載の無人飛行体であって、
前記ジンバル駆動装置は、前記第2駆動部に対して均衡を保つためのおもり部材をさらに備えていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項15】
請求項14に記載の無人飛行体であって、
前記第2駆動部及び前記おもり部材は、前記第1水平軸線に間にして、それぞれの重心が前記第1水平軸線に直交する水平方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項16】
請求項13から請求項15までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部を含む構成要素は、前記第2水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項17】
請求項16に記載の無人飛行体であって、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第2水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項18】
請求項2から請求項17までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
当該無人飛行体は、前記第1水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、前記第2水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項19】
請求項1から請求項18までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項20】
請求項19に記載の無人飛行体であって、
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第1水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載の無人飛行体であって、
前記カメラ部の重心及び前記第1カメラ部の重心の間の第1距離と、前記カメラ部の重心及び前記第2カメラ部の重心の間の第2距離とが同一又は略同一とされていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項22】
請求項1から請求項21までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
前記何れの駆動部もブラシレスモーターであることを特徴とする無人飛行体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-06-30 
結審通知日 2020-07-03 
審決日 2020-07-14 
出願番号 特願2015-100911(P2015-100911)
審決分類 P 1 123・ 121- YAA (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲徳▼田 賢二  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 樫本 剛
曽我 亮司
登録日 2017-12-22 
登録番号 特許第6261090号(P6261090)
発明の名称 無人飛行体  
代理人 雨宮 沙耶花  
代理人 特許業務法人あーく特許事務所  
代理人 影山 剛士  
代理人 雨宮 沙耶花  
代理人 竹上 幸雄  
代理人 中畑 稔  
代理人 特許業務法人あーく特許事務所  
代理人 澤井 周  

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