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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1368979
異議申立番号 異議2018-700690  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-20 
確定日 2020-10-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6283760号「ウエハ検査装置」に関する特許異議の申立てについてされた令和元年8月20日付け決定に対し,知的財産高等裁判所において当該決定を取り消す旨の判決(令和元年(行ケ)第10124号,令和 2年 8月 4日)が言い渡され,当該判決は確定したので,さらに審理の上,次のとおり決定する。 
結論 特許第6283760号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1,2について訂正することを認める。 特許第6283760号の請求項1,2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6283760号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は,平成25年10月29日に出願された特願2013-224460号の一部を平成29年3月14日に新たな出願としたものであって,平成30年2月2日にその特許権の設定登録がされ,同年2月21日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は,次のとおりである。
平成30年 8月20日 特許異議申立人株式会社東京精密(以下,「異議申立人」という。)による請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立て
平成30年10月25日付け 取消理由通知書
平成30年12月26日 特許権者による意見書の提出
平成31年 2月13日付け 取消理由通知書(決定の予告)
平成31年 4月15日 特許権者による意見書(以下「意見書」という。)の提出及び訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)
令和 元年 5月20日 特許異議申立人による意見書の提出
令和 元年 8月20日付け 特許異議の決定(以下「一次決定」という。結論の概要:訂正後の請求項1,2について訂正することを認める。請求項1,2に係る特許を取り消す。)
令和 元年 9月26日 一次決定に対する訴えの提起(令和元年(行ケ)第10124号)
令和 2年 8月 4日 判決言渡し(以下「確定判決」という。主文の概要:一次決定を取り消す。訴訟費用は,被告の負担とする。)

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正個所を示し,当審で付加した。)
・特許請求の範囲の請求項1に「ガイドレール」と記載されているのを,「スライドレール」と訂正する。(訂正事項1)
・特許請求の範囲の請求項2に「ガイドレール」と記載されているのを,「スライドレール」と訂正する。(訂正事項2)
・特許請求の範囲の請求項2に「前記複数の検査室を挟んで対向する」と記載されているのを,「前記複数の検査室が配置されたセルタワーを挟んで対向する」と訂正する。(訂正事項3)
・願書に添付した明細書の段落【0008】に「上記目的を達成するために,本発明のウエハ検査装置は,ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すガイドレールと,を備えた複数の検査室と,ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室が配置されたセルタワーの反対側であることを特徴とする。」と記載されているのを,「上記目的を達成するために,本発明のウエハ検査装置は,ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと,を備えた複数の検査室と,ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室が配置されたセルタワーの反対側であることを特徴とする。」に訂正する。(訂正事項4)
・願書に添付した明細書の段落【0009】に「上記目的を達成するために,本発明のウエハ検査装置は,ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すガイドレールと,を備えた複数の検査室と,ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室を挟んで対向することを特徴とする。」と記載されているのを,「上記目的を達成するために,本発明のウエハ検査装置は,ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと,を備えた複数の検査室と,ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室が配置されたセルタワーを挟んで対向することを特徴とする。」に訂正する。(訂正事項5)

2.訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1ないし3
訂正事項1ないし3は,特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とし,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

(2)訂正事項4及び5
訂正事項4及び5は,訂正事項1ないし3で特許請求の範囲の請求項1及び2を訂正したのに伴い,特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書の記載との整合性を図るための訂正であり,明瞭でない記載の釈明を目的とし,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

3.小括
したがって,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項までの規定に適合する。
したがって,明細書,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1及び2に係る発明(以下,「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は,訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと,を備えた複数の検査室と,
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,
前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室が配置されたセルタワーの反対側であることを
特徴とするウエハ検査装置。
【請求項2】
ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと,前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと,を備えた複数の検査室と,
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,
前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室が配置されたセルタワーを挟んで対向することを特徴
とするウエハ検査装置。」

第4 平成31年2月13日付け取消理由通知書に記載した取消理由の概要
請求項1及び2に係る発明は,引用文献1に記載された発明に,引用文献2ないし7に記載された技術を組み合わせることにより,当業者が容易に発明をすることができたものあるから,請求項1及び2に係る本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

引用文献1 再公表特許第2011/016096号
引用文献2 特開平5-175290号公報
引用文献3 特開2012-63227号公報
引用文献4 特開2013-156084号公報
引用文献5 特開2010-157550号公報
引用文献6 特開2010-74091号公報
引用文献7 特開平3-63577号公報

第5 当審の判断
1.引用文献,引用発明等
(1)引用文献1の記載及び引用発明
ア.引用文献1の記載
取消理由において引用した引用文献1(再公表特許第2011/016096号)には,図面とともに,以下の事項が記載されている(下線部は当審で付加した。以下同じ。)

(ア)「【0001】
本発明は,試験装置および試験方法に関する。」

(イ)「【0013】
図1は,試験装置100の正面図の一例を概略的に示す。試験装置100は,EFEM110,操作部120,ロードユニット130,チラーユニット140および動力ユニット180を備える。また,試験装置100は,複数の試験ユニットを内部に収容する筐体171を備える。試験装置100は,例えば,半導体ウエハに形成されたチップの電気的特性を試験して,被試験デバイスの良否を判断する。半導体ウエハおよびチップは,被試験デバイスの一例であってよい。
【0014】
EFEM110は,試験対象となる半導体ウエハ等の基板を試験装置100の内部で搬送する機構を内蔵する。EFEM110は,被試験デバイスを搬送する搬送部の一例であってよい。
・・・ 中 略 ・・・
【0020】
図2は,試験装置100の部分縦断面図の一例を概略的に示す。
・・・ 中 略 ・・・
【0023】
EFEM110は,ロボットアーム116を内蔵する。ロボットアーム116は,レール115に沿って走行するコラム117に搭載され,ロードユニット130およびアライメントユニット400の間でウエハを搬送する。
・・・ 中 略 ・・・
【0027】
試験ユニット170は,被試験デバイスを試験する。試験ユニット170は,テストヘッド200と,プローブカード300とを有する。本実施形態において,試験装置100は,複数の試験ユニット170を備える。また,試験装置100は,複数の試験ユニット170を内部に収容する筐体171を備え,筐体171は,複数の収容室172を有する。複数の収容室172は,試験ユニット170のそれぞれを内部に収容する。試験ユニット170は,テストユニットの一例であってよい。収容室172は,収容部の一例であってよい。
【0028】
本実施形態において,複数の収容室172のそれぞれには,開口173,背面扉190およびメンテナンスカバー192が設けられる。また,メンテナンスカバー192の外側には,プローブカード300を引き出した場合にプローブカード300を支持するガイドレール193が設けられる。開口173は,筐体171の収容室172の底部に該当する部分に設けられており,開口173を介して収容室172とアライメントユニット400とが連通している。
【0029】
背面扉190およびメンテナンスカバー192は,筐体171の収容室172の背面側の部分に設けられており,複数の試験ユニット170のそれぞれを外部に対して開放または閉鎖できる。背面扉190はテストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配され,メンテナンスカバー192はプローブカード300のメンテナンスが容易な位置に配されている。
【0030】
プローブカード300は,開口173の周囲に支持されているが,メンテナンスカバー192を開けて,背面のメンテナンスカバー192から外部に引き出すことができる。背面扉190およびメンテナンスカバー192は,開閉部の一例であってよい。」

(ウ)「【0036】
テストヘッド200は,ウエハ101と電気的に接続され,ウエハ101の電気的特性を試験する。テストヘッド200は,被試験デバイスに対して,温度条件が異なる複数の種類の試験を実施してよい。テストヘッド200は,複数のピンエレクトロニクス210を格納する。ピンエレクトロニクス210には,試験の対象および試験の内容に応じて求められる電気回路が実装される。本実施形態において,テストヘッド200は,下面に装着されたコンタクタ202を介して,プローブカード300と電気的に接続される。
【0037】
プローブカード300は,試験装置100において試験を実行する場合に,テストヘッド200とウエハ101との間に介在して,テストヘッド200およびウエハ101を電気的に接続する配線基板ユニットであってよい。ウエハ101に対して試験を実行する場合は,プローブカード300により,テストヘッド200とウエハ101との間に電気的な信号経路が形成される。プローブカード300を交換することにより,レイアウトの異なるウエハ101に試験装置100を対応させることができる。
・・・ 中 略 ・・・
【0040】
EFEM110において,ロボットアーム116を支持するコラム117は,レール115に沿って,EFEM110の略全幅にわたって移動する。
従って,ロボットアーム116は,4基のロードユニット130および4基の試験ユニット170の全てにウエハ101を搬送できる。」

(エ)「【0061】
図5は,テストヘッド200の断面図である。図1から図4と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。テストヘッド200は,筐体201,コンタクタ202,ピンエレクトロニクス210,マザーボード220およびフラットケーブル230を備える。
・・・ 中 略 ・・・
【0063】
マザーボード220の上面において,中継コネクタ224の各々には,アングルコネクタ222を介してピンエレクトロニクス210が装着される。
このような構造により,試験対象の仕様および試験内容に応じてピンエレクトロニクス210を交換することができる。複数のピンエレクトロニクス210は,互いに同じ仕様であってもよく,互いに異なる仕様であってもよい。また,一部の中継コネクタ224に,ピンエレクトロニクス210が装着されなくてもよい。」

(オ)「【0069】
図6は,試験装置100の背面図の一例を概略的に示す。図1から図5と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。動力ユニット180は,複数の試験ユニット170のそれぞれに対応して,ランプ182,動力切替スイッチ184およびモード切替スイッチ186を有する。試験装置100は,複数の収容室172のそれぞれに対応して,背面扉190,メンテナンスカバー192,ガイドレール193,施錠部196および警告表示部198を備える。」

(カ)「【0080】
・・・ 中 略 ・・・
即ち,制御システム500は,モード切替スイッチ186で選択された試験ユニット170と,施錠部196で選択された試験ユニット170とが一致した場合に,モード切替スイッチ186で選択された試験ユニット170を外部に対して開放することを許可する。これにより,ユーザは,対応する背面扉190およびメンテナンスカバー192を開けて,試験ユニット170のピンエレクトロニクス210,プローブカード300を交換したり,その他のメンテナンスを実施したりすることができる。」

(キ)「【0085】
予め定められた動作としては,テストヘッド200とプローブカード300とを接触させる工程,ウエハ101とプローブカード300とを位置合わせする工程のように,機械的な振動または電圧の変動に対して敏感な工程を例示できる。これにより,他の試験ユニット170が予め定められた動作を実行している間,当該動作に影響を与える動作を禁止すべき旨をユーザに伝えることができる。当該動作に影響を与える動作としては,対応する背面扉190およびメンテナンスカバー192を開ける作業,試験ユニット170のピンエレクトロニクス210,プローブカード300を交換する作業,またはその他のメンテナンス作業のように,試験ユニット170に機械的な振動または電圧の変動を与えるような動作を例示できる。」

(ク)[図2]は,「試験装置100の部分縦断面図の一例を示す」ものであって,「メンテナンスカバー192」は,複数の「収容室172」からみて,「EFEM110」と反対側にあることが示されている。

(ケ)「【図1】



(コ)「【図2】



イ.引用発明
上記ア.(イ)の【0030】によれば,「プローブカード300」は,「メンテナンスカバー192を開けて,背面のメンテナンスカバー192から外部に引き出すことができる」ものであるところ,同(ク)によれば,「メンテナンスカバー192」から外部に引き出した「プローブカード300」が存在する空間は,複数の「収容室172」からみて,「EFEM110」と反対側であるということができる。
そうすると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「試験対象となる半導体ウエハ等の基板(ウエハ101)を試験装置100の内部で搬送する機構を内蔵するEFEM110であって,ロードユニット130およびアライメントユニット400の間でウエハを搬送するロボットアーム116を内蔵するEFEM110と,
複数の試験ユニット170のそれぞれを内部に収容する複数の収容室172であって,前記試験ユニット170は,ウエハ101と電気的に接続され,当該ウエハ101に形成されたチップの電気的特性を試験するテストヘッド200と,前記テストヘッド200および前記ウエハ101を電気的に接続するプローブカード300とを有する,収容室172と,を備え,
当該収容室172のそれぞれには,開口173,背面扉190およびメンテナンスカバー192が設けられ,当該メンテナンスカバー192の外側には,前記プローブカード300を引き出した場合に当該プローブカード300を支持するガイドレール193が設けられており,前記収容室172の底部に該当する部分に設けられた前記開口173を介して前記収容室172と前記アライメントユニット400とが連通しており,
前記背面扉190および前記メンテナンスカバー192は,前記収容室172の背面側の部分に設けられており,前記背面扉190はテストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配され,前記メンテナンスカバー192は前記プローブカード300のメンテナンスが容易な位置に配されており,
前記メンテナンスカバー192から外部に引き出した前記プローブカード300が存在する空間は,前記複数の収容室172からみて,前記EFEM110と反対側である試験装置100。」

(2)引用文献2の記載
取消理由で通知した引用文献2(特開平5-175290号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,プローブ装置に関する。」

イ.「【0016】そして前記筐体1内には,図示しない駆動機構によりX,Y,Z,θ方向に移動可能なウエハ保持台11が設置されると共に,このウエハ保持台11の上方側には,プローブ針21を備えたプローブカード2がウエハ保持台11と対向するように配設されている。前記プローブカード2は,インサートリング22の下面に固定されると共に,このインサートリング22は,取り付けリング71内に嵌合して保持されている。
【0017】前記筐体10の上面部をなすヘッドプレート10aには,例えばインサートリング22をテストヘッド3側のポゴピン13に対して接離させるに十分なストロークだけ昇降させるように,穴23の周縁部にて図示しない昇降機構により昇降する(Z方向に移動する)Zプレート72が設けられており,更にこのZプレート72には,プローブ針21とウエハW上の電極パッドとのθ方向(鉛直軸を中心とする回転方向)の微小な位置合わせを行うためにθ方向に回動自在なθプレート73が取り付けられている。このθプレート73の下面には,一対のL字型のガイドレール74,75が,筐体10前面に形成された引き出し用の窓76を通して水平に外側に伸びるように架設されており,前記インサートリング22は前記ガイドレール74,75に保持されながら案内されるように取り付けられている。
・・・ 中 略 ・・・
【0018】次に上述実施例の作用について説明する。・・ 中 略 ・・次いでプローブ針21と電極パッドとを接触させ,テストヘッド3に接続された図示しないテスタによりウエハW上のICチップについて測定を行う。
【0019】そして例えばプローブ針21が摩耗してプローブカード2を交換する場合には,テストヘッド3をヘッドプレート10a上に装着したままZプレート72を下降させて,インサートリング22をテストヘッド3側のポゴピン13から離し,その後作業者により取り付けリング71をガイドレール74,75に沿ってスライドさせながら筐体10の窓76を介して外に引き出し,プローブカード2を取り付けリング71から取り外して新たな別のプローブカード2を当該取り付けリング71に嵌入して,逆の操作によりプローブカードを所定位置(プロービングセンタ)に装着する。この場合プローブカード2をプロービングセンタから筐体10の外に引き出し,また逆にプロービングセンタに装着する操作は,別途作動機構を設けて自動化してもよいし,更に取り付けリング71に対するプローブカード2の着脱はロボットアームを用いて行ってもよい。
【0020】またテストヘッド3のパフォーマンスボードの交換,テストヘッド3のメンテナンスなどを行う場合には,テストヘッド保持手段4を前記テストヘッド3に近接する位置に移動させ,次のようにしてテストヘッド3を保持してプローブ装置本体1から分離させる。先ず例えばモータMによりボールネジ63を回動させてアーム41,42をテストヘッド3の両側面と対向する位置まで降下させ,キャスタ64により前記保持手段4本体を動かしてアーム41,42のX,Y方向の位置を調整すると共に,ボールネジ63によりZ方向の位置を調整し,更にネジ51,53及び回動部材52を調整して夫々X,Y,Z軸まわりについてのテストヘッド3に対するアーム41,42の位置合わせを行う。
【0021】そしてボールネジ43を手動であるいは図示しないモータにより駆動させてアーム41,42を閉じ,アーム41,42側の突起部44とテストヘッド3側の凹部34とを係合させこの係合のみによってあるいは更にテストヘッド3の両側面を狭圧した状態で,アーム41,42によりテストヘッド3を保持し,装置本体1から分離して上昇させる。その後保持手段4を例えば別の場所へ移動してテストヘッド3のメンテナンスやパフォーマンスボードの交換などを行う。テストヘッド3について所定の作業が終了した後上述と逆の操作によりテストヘッド3をプローブ装置本体1の元の位置に戻すが,このとき筐体10の上面の突起部14とテストヘッド3の仮面側の凹部31とを係合させることによって筐体10に対してテストヘッド3が自動的に位置合わせされる。」

(3)引用文献3の記載
取消理由で通知した引用文献3(特開2012-63227号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,ウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置に関し,更に詳しくは,省スペース化してコストを削減できるウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置に関する。」

イ.「【0031】
図1に示すように,第2の搬送領域S4に隣接する検査領域S5には,その領域S5に沿って複数(本実施形態では5箇所)の検査室17が所定間隔を空けて配列されており,これらの検査室17では第2のウエハ搬送機構16によってウエハ保持体15を介して搬送されるアライメント済みのウエハWについて電気的特性検査を行うように構成されている。また,検査室17は,図2の(a),(b)に示すように検査領域S5の各配列位置において上下方向に複数積層された積層構造として形成されている。各層の検査室17は,いずれも同一構造を備えている。そこで,以下では一つの検査室17を例に挙げて,例えば図4を参照しながら説明する。
【0032】
検査室17は,図4に示すように,テスタとウエハWとを電気的に接続するためのウエハ検査用インターフェース(以下,単に「検査用インターフェース」と称す。)IFと,ウエハWを昇降させてウエハWをインターフェースに対して離接させる昇降体18と,を備え,後述のように検査時には昇降体18を介してウエハWとインターフェースIFと電気的に接続するように構成されている。
【0033】
インターフェースIFは,図4に示すように,ヘッドプレートに固定され且つウエハWの複数の電極に対応する複数のプローブ19Aを有するプローブカード19と,ウエハWをプローブカード19側へ吸着させる吸着手段20と,吸着手段20によりプローブカード19へ吸着されるウエハWの外周縁部が接触してプローブカード本体19Bとの間に密閉空間を形成するリング状のウエハ吸着用シール部材21と,プローブカード19を保持するカードホルダ22(図5,図6参照)に対してウエハ吸着用シール部材21を固定する固定リング23と,プローブカード19の上面に形成された複数の端子電極に接続される円板状のポゴリング24と,を備えている。」

(4)引用文献4の記載
取消理由で通知した引用文献4(特開2013-156084号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,被試験電子デバイスの電気的な機能を試験する複数の試験装置を並置してなる電子デバイス試験システムに関する。」

イ.「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子デバイス試験システムの省スペース化を図る方法として,縦横に区画されたラックにユニット化されたセルと呼ばれる試験装置を並置する方法が考えられる。試験装置は,被試験電子デバイスを収容する収容体を備える。
収容体の内部は,被試験電子デバイスの試験が行われる試験室と,試験信号及び応答信号の入出力を行う試験回路基板を収容する回路基板室とに隔てられる。」

ウ.「【発明を実施するための形態】
【0045】
以下,本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は,本実施の形態に係る電子デバイス試験システムの一構成例を示した斜視図,図2は,電子デバイス試験システムの要部を示した模式的正面図,図3は,電子デバイス試験システムを構成する試験装置の一構成例を示した側断面図である。本発明の実施の形態に係る電子デバイス試験システムは,被試験電子デバイスWの電気的な機能を試験する複数の試験装置1と,収容ケース3から試験装置1へ被試験電子デバイスWを搬送する搬送装置2とを備える。複数の試験装置1は,セルと呼ばれるユニットを構成しており,縦横に並置されている。具体的には,電子デバイス試験システムは,各試験装置1を縦方向及び横方向に載置する正面視が略格子状のラックを備えており,複数,例えば100個の試験装置1がラックに載置されている。なお,作図の便宜上,図1には3×3=9個の試験装置1が縦横に並置されている状態を示している。被試験電子デバイスWは,例えば集積回路が形成された半導体ウェハ,モールドパッキングされたLSIチップ,複数の素子を基板上に搭載した装置である。以下では,被試験電子デバイスWの一例として,集積回路が形成された半導体ウェハを挙げて説明する。収容ケース3は,例えば,300mmウェハの保管及び搬送用のFOUP(front opening unified pod)である。
・・・ 中 略 ・・・
【0047】
試験装置1は,図3に示すように,被試験電子デバイスWの電気的な機能を試験するための信号を入出力する試験回路基板13と,該試験回路基板13を収容する中空略直方体の収容体11とを備える。収容体11は,金属製,例えばSUS,アルミニウム等で形成されており,該収容体11は,隔壁部12によって上下に隔てられている。隔壁部12によって隔てられた上側の空間は,試験回路基板13を収容する回路基板室11a,下側の空間は,被試験電子デバイスWの試験が行われる試験室11bを構成している。
・・・ 中 略 ・・・
【0049】
隔壁部12の略中央部には,孔部が形成されており,該孔部には,試験室11bに搬入された被試験電子デバイスWと,隔壁部12で被試験電子デバイスWから隔離している試験回路基板13とを接続する接続部15が密着状態で貫通している。接続部15は,例えば金属円筒状である。接続部15は,載置台14の上方に対向配置したプローブカードを有する。プローブカードは,被試験電子デバイスWと,試験回路基板13の回路とを接続するために,被試験電子デバイスW,例えば半導体ウェハ上に形成されたIC,LSI等の電子回路ダイの各電極の配置に合わせて導電性の触針を配列したカードである。プローブカードの上側には,パフォーマンスボードが設けられており,プローブカードはパフォーマンスボードによって,触針が下向きになるように保持されている。パフォーマンスボードは,その上側に配されたポゴピンブロックにより接続され,プローブカードと,ポゴピンブロックとを電気的に接続して,被試験電子デバイスWからの応答信号をポゴピンブロックへ送る配線回路を有する。ポゴピンブロックは,回路基板室11aに通じており,試験回路基板13の回路に接続されている。ポゴピンブロックは,パフォーマンスボードと,試験回路基板13との間のインタフェースとなる複数のポゴピンを有している。ポゴピンとは,接触ピンをコイルスプリングの弾性力で電極に押し当てることにより,その電極への電気的接続を行うようにした接触針である。
【0050】
試験回路基板13は,接続部15の上面に保持されており,ポゴピンブロックと電気的に接続されている。試験回路基板13上には,複数の回路部品13a,13b,13c,13d,13eが設けられている。」

(5)引用文献5の記載
取消理由で通知した引用文献5(特開2010-157550号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウエハ上に形成された複数の半導体装置(チップ)の電気的特性を検査するウエハテストシステムに関する。」

イ.「【背景技術】
【0002】
ウエハに形成された多数の半導体装置(チップ)の電気的特性検査するウエハテストシステムの構成は,ウエハを載置してテストピンを接触させるステージと,ウエハをハンドリングするローダロボットと,ウエハを収容するウエハカセット据え付けポートと,電気的テストを実施するためのテストヘッドとから構成されている。
【0003】
テスト対象となる半導体装置は,高集積化が進んでいるのでテストに時間を要するため,できるだけステージを増やしてローダロボットの稼働率を高めることが望まれている。しかし,各ステージに対応して設けるテストヘッドは,多数の回路基板やプローブカードあるいはそれらを接続する多数のケーブルなどが設けられているため,重量的にも100kgを超えるもので,メンテナンスやプローブカードの交換にはテストヘッドを持ち上げるためのモータなどを使った電気的に回動手段が必要であった。」

ウ.「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は,ウエハテストシステムにおいて,装置全体の小型化および省スペース化を図り,テストヘッドの軽量化および小型化,信号の信頼性向上を図り,・・・ 中 略 ・・・そして,緊急地震速報信号に対して確実にテスト動作の停止処理を行えるようにすることを目的とする。」

エ.「【0033】
[テストヘッドの構成]
次に,図5Aを参照してテストヘッド12a?12dの構成について説明する。図5A(a)および(b)は,テストヘッド12a?12dのうち同様に構成される12aを代表としてその内部構造を示している。図5A(a)は,正面側から見た内部構造であり,図5A(b)は右側面側つまり低温チラー16a側から見た内部構造を示している。
【0034】
テストヘッド12aは矩形状の外箱を有し,この外箱の背面側には吸気口27aが形成されており,正面側には排気口27bが形成されている。
・・・ 中 略 ・・・
【0035】
テストヘッド12aの内部には,多層配線基板からなる矩形状をなすマザーボード30が底面部に配置され,これの基板コネクタ30aにはテスト用回路基板としての多数のピンエレクトロニクス基板31が装着されている。
・・・ 中 略 ・・・
【0037】
マザーボード30は,内部に形成される多層配線により,上面に接続される多数のピンエレクトロニクス基板31の各端子の矩形状配置の電極パターンを環状配置の電極パターンに変換して下面に導出している。このマザーボード30の下面側の電極部分には環状をなすPogoブロック34が配置されると共に,図5B(b)に示すように,そのPogoブロック34を切り欠いた孔部33aを有する下補強板33が配置されている。これらマザーボード30,上補強板32,下補強板33およびPogoブロック34はねじ30bにより一体に固定されている。
・・・ 中 略 ・・・
【0039】
Pogoブロック34には多数のPogoピン35が配設されている。Pogoブロック34は,ヘッドプレートに載置されるプローブカード36と電気的に接触するように設けられており,プローブカード36にはウエハの半導体チップに形成されたパッドに接触するための多数のプローブ37が配設されている。」

オ.「【0042】
[全体構成,テストヘッドの構成,低温チラーの構成のまとめ]
以上のようにな構成において,近年ではテストの対象となるウエハに作りこまれている半導体装置(チップ)は,テスト用演算回路が組み込まれているものを前提としている。これにより,1チップのテストに必要なパッド数が大きく低減でき,プローブカード36に設けられているプローブ37の本数に対して,一度にテスト可能なチップ数が大幅に増大させることができる。例えば,通常のテストにおいては,1チップあたり10本以下のプローブ37を割り当てることでテストが可能である場合に,一度アライメントをしてプローブ37をウエハのパッドに接触させると,ステージ10の移動をしないで1回の測定で済ませることもできるし,あるいは1回程度のステージ10の移動で2回の測定で済ませることができる。
【0043】
したがって,ウエハステージ部3a?3dの幅寸法を大幅に低減させることができ,小型化が図れる。また,テストヘッド12a?12dの構成を,テスト回路を集積化するとともに,上記したウエハ側にテスト用演算回路を作りこむこと,さらにはマザーボード30とPogoブロック34との間を,ケーブルによる配線に代えて,マザーボード30を多層配線基板により構成して接続する構成としたので,全体として400kg程度あったものが例えば50?70kg程度まで大幅な軽量化を図ることができた。
【0044】
さらにメンテナンス等の場合に,モータによる回動で行なう必要がなく,作業者が手動で行なうことができ,これによってメンテナンスエリアも従来のような全方位に設定する必要がなくなるため,前後の領域のみで行なえるようになり,省スペース化を図ることができる。また,ケーブルによる配線に代えて多層配線基板33を介在させる構成としたので,配線距離を大幅に短くすることができ,これによって信号のケーブル内伝達による信号品質の低下も防止して確実に検出動作を行なうことができる。」

(6)引用文献6の記載
取消理由で通知した引用文献6(特開2010-74091号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,プローブを基板の電極パッドに電気的に接触させて当該基板の電気的特性を測定するプローブ装置に関し,特にテストヘッドを装置本体の天板に装着する技術に関する。」

イ.「【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては,集積回路チップの完成後にウェハの状態で各チップについて電気的特性の検査を行うことにより良否が判定される。このような検査は,例えば半導体ウェハ(以下,ウェハという)を載置するための載置台が内部に設けられたプローブ装置本体と,このプローブ装置本体のヘッドプレート(天板)に設置され,その下面にチップの電極パッドが接触されるプローブが形成されたプローブカードと,このプローブカードの上方側に設けられ,ポゴピンを上下両面に有するポゴリングを介してプローブカードに接続される箱型のテストヘッドと,を備えたプローブ装置と呼ばれる検査装置にて行われる。」

ウ.【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のプローブ装置について,図1?図7を参照して説明する。このプローブ装置は,プローブ装置本体であるプローバ本体11,テストヘッド12及びローダ部13を備えている。このプローバ本体11に隣接してローダ部13が設けられており,以後の説明においては,プローバ本体11及びローダ部13の配列方向を左右,作業者がローダ部13を右手に見てプローバ本体11に向かって立つ側を前方側とする。
・・・ 中 略 ・・・
【0014】
図1及び図2に示すように,ヘッドプレート24の上方には重量が例えば60kg程度の箱型のテストヘッド12が設けられており,このヘッドプレート24はコ字型の保持枠35により両側から保持されている。」

(7)引用文献7の記載
取消理由で通知した引用文献7(特開平3-63577号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア.「【産業上の利用分野】
この発明は,テストヘッドが回動可能に取り付けられる半導体試験装置に関する。」(第1頁左下欄第17行ないし同欄第19行)

イ.「【発明が解決しようとする課題】
ところで,テストヘッドは,ウェーハに形成されるチップの集積度などの違いによるピン数の違いや,ウェーハの種類によってテスト項目が異なることにより,種々の大きさのものがあり,その重量も異なる。例えば,一例として48ピンのテストヘッドの場合には,重量25kgであるのに対し,256ピンのテストヘッドの場合には,重量100kgである。」(第2頁左下欄第20行ないし同頁右下欄第8行)

2.対比・判断
(1)本件発明1について
ア.対比
本件発明1と引用発明を対比する。
(ア)本件発明1の「ローダ」は,本件特許明細書(【0015】)によれば,「搬送機構(図示しない)を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行う」ものを対象としているから,引用発明の「試験対象となる半導体ウエハ等の基板(ウエハ101)を試験装置100の内部で搬送する機構を内蔵」し,「ロードユニット130およびアライメントユニット400の間でウエハを搬送するロボットアーム116を内蔵」する「EFEM110」は,「ローダ」ということができる。

(イ)引用発明の「テストヘッド200」は,「ウエハ101と電気的に接続され,当該ウエハ101に形成されたチップの電気的特性を試験する」ものであって,「試験」は「検査」ということもできる。また,引用発明の「テストヘッド200」はメンテナンスを受けるものであるから,「被整備」な「テストヘッド」であるといえる。そうすると,引用発明の「テストヘッド200」は,本件発明1の「半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる」「被整備テストヘッド」に相当する。

(ウ)引用発明の「ウエハ101と電気的に接続され,当該ウエハ101に形成されたチップの電気的特性を試験するテストヘッド200」を有する「収容室172」は,「アライメントユニット400と」「連通しており」,「アライメントユニット400」に搬送された「ウエハ101」の「試験」(検査)を行うためのものであるから,引用発明の「収容室172」及び「アライメントユニット400」を合わせて,「検査室」ということができる。
また,引用発明は,「収容室172の背面側の部分に設けられ」,「プローブカード300のメンテナンスが容易な位置に配され」た「メンテナンスカバー192」を備えており,「前記メンテナンスカバー192から外部に引き出した前記プローブカード300が存在する空間は,前記複数の収容室172からみて,前記EFEM110と反対側である」ところ,外部に引き出された「プローブカード300が存在する空間」は,「プローブカード300」のメンテナンス(整備)を行う空間であるから,「整備空間」ということができる。そうすると,引用発明において,「整備空間」側とは,「前記複数の収容室172からみて,前記EFEM110と反対側である」から,「整備空間」側と,「前記ウエハ101」を搬送する「EFEM110」側とが,「前記複数の収容室172」の反対側であるということができる。

(エ)引用発明の「試験装置100」は,上記(イ)のとおり,「ウエハ101に形成されたチップの電気的特性を試験する」ものであって,「試験」は「検査」ということもできるから,「ウエハ検査装置」ということができる。

(オ)したがって,本件発明1と引用発明とは,以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドを備えた複数の検査室と,
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,
整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室の反対側であるウエハ検査装置。」

[相違点1]
本件発明1は,「複数の検査室」が,「前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレール」を備え,「被整備テストヘッド」を引き出すものであるのに対し,引用発明は,「複数の収容室172のそれぞれには,」「メンテナンスカバー192が設けられ,当該メンテナンスカバー192の外側には,前記プローブカード300を引き出した場合に当該プローブカード300を支持するガイドレール193が設けられ」,「プローブカード300」を引き出しているものの,「テストヘッド200」を引き出すものではなく,「テストヘッド200」を「整備空間側に引き出すスライドレール」も備えていない点。

[相違点2]
本件発明1は,「複数の検査室が配置されたセルタワー」を備えているのに対し,引用発明は,そのような構成を備えているか定かではない点。

イ.判断
以下,相違点1について検討する。
一次決定は,引用発明において,「メンテナンスカバー192から外部に引き出した前記プローブカード300」「を支持するスライドレール193」を設ける構成を採用するのは,メンテナンス作業を容易に行うことができるためであると解されるところ,メンテナンスの対象物を外部に引き出してメンテナンスすること,また,その際に,スライドレールにより引き出す構成とすることは,例えば,引用文献2(上記1.(2)イ【0016】ないし【0019】)に記載されているように周知技術であるから,当該周知技術に基づき,引用発明において,「テストヘッド200」を収容室172からスライドレールによって引き出す構成を採用し,メンテナンスを行うように構成することで,相違点1について本件発明1の構成を採用することは,当業者であれば容易に想到し得るものである旨判断した。
これに対し,確定判決は,(ア)引用文献2には,相違点1に係る構成(検査室が整備空間側にテストヘッドを引き出すスライドレールを備え,テストヘッドを引き出す構成)の記載はなく,他に上記構成が記載された文献はない。(イ)テストヘッドとプローブカードとは重量や大きさにおいて相違するから,プローブカードに関する引用発明及び引用文献2の記載から,テストヘッドを含むメンテナンスの対象物一般について,メンテナンスの対象物を引き出してメンテナンスをすること,また,その際に,スライドレールにより引き出す構成とすることが周知技術であったということはできない。(ウ)引用発明においては,テストヘッドのメンテナンスは背面扉を開けて行うものとされ,背面扉はメンテナンスを行うのに容易な位置に配置されているのであるから,検査室が整備空間側にテストヘッドを引き出すスライドレールを備え,テストヘッドを引き出す構成を採用することの動機付けは見いだせない,との理由により,相違点1に係る構成に想到することが容易であるとした一次決定の判断には誤りがある旨判示した。この判示事項は当審を拘束する。(行政事件訴訟法第33条第1項)
そこで,当審は以下の通り判断する。すなわち,テストヘッドとプローブカードは重量や大きさにおいて相違するから,プローブカードに関する引用発明及び引用文献2の記載から,テストヘッドを含む対象物一般について,メンテナンスの対象物を引き出してメンテナンスすることが周知技術であったということはできない。
また,引用文献3ないし7にも,テストヘッドを整備するためにテストヘッドを引き出すことは記載されていない。
さらに,引用文献1には,「前記テストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配された背面扉190」を備え,テストヘッドのメンテナンスは背面扉を開けて行うものであるから,引用発明に,テストヘッドを引き出す構成を採用し,相違点1に係る構成とすることの動機付けは見いだせない。
したがって,当審は,一次決定が説示した理由によっては,引用発明及び引用文献2ないし7に記載された技術に基づき,相違点1に係る構成を,容易に想到し得たものではないと判断する。

ウ.小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明1は,引用発明及び引用文献2?引用文献7に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
ア.対比
本件発明2と引用発明を対比する。
(ア)上記(1)ア.(ア),(イ)及び(エ)と同様の理由により,引用発明の「EFEM110」,「テストヘッド200」及び「試験装置100」は,本件発明2の「ローダ」,「被整備テストヘッド」及び「ウエハ検査装置」に相当する。

(イ)上記(1)ア.(ウ)と同様の理由により,引用発明の「収容室172」及び「アライメントユニット400」は「検査室」ということができ,引用発明の外部に引き出された「プローブカード300が存在する空間」は「整備空間」ということができる。そうすると,引用発明において,「整備空間」とは,「前記複数の収容室172からみて,前記EFEM110と反対側である」から,「整備空間」と,「前記ウエハ101」を搬送する「EFEM110」は,「前記複数の収容室172」を挟んで対向するということができる。

(ウ)したがって,本件発明2と引用発明とは,以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって,半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドを備えた複数の検査室と,
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと,を備え,
整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室を挟んで対向するウエハ検査装置。」

[相違点3]
本件発明2は,「複数の検査室」が,「前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレール」を備え,「被整備テストヘッド」を引き出すものであるのに対し,引用発明は,「複数の収容室172のそれぞれには,」「メンテナンスカバー192が設けられ,当該メンテナンスカバー192の外側には,前記プローブカード300を引き出した場合に当該プローブカード300を支持するガイドレール193が設けられ」,「プローブカード300」を引き出しているものの,「テストヘッド200」を引き出すものではなく,「テストヘッド200」を「整備空間側に引き出すガイドレール」も備えていない点。

[相違点4]
本件発明2は,「複数の検査室が配置されたセルタワー」を備えているのに対し,引用発明は,そのような構成を備えているか定かではない点。

イ.判断
以下[相違点3]について検討するに,当該[相違点3]は,上記(1)ア.(オ)の[相違点1]と同じである。
そうすると,上記(1)イ.及びウ.と同じ理由により,引用発明において,[相違点3]に係る構成を採用することは,当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ.小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明2は,引用発明及び引用文献2?引用文献7に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.まとめ
以上のとおり,本件発明1,2は,引用発明及び及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,それらの発明についての特許は,進歩性欠如を根拠として取り消すことはできない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.特許法第36条第6項第1号について
特許異議申立人は,特許異議申立書において,発明の詳細な説明には,「テストヘッドは重量が約70kgfであり,スライドレールで支持されるため,テストヘッドを引き出し方向以外に移動させるのは困難である。したがって,整備用台車の位置をテストヘッドの位置へ正確に合わせる必要があるが,整備用台車はリフト機構等を有し,重量が大きいために位置の微調整が困難であり,その結果,テストヘッドを引き出すのが困難であるという問題がある。」(段落【0006】)という発明の課題を解決するための手段として,多段積みで配置されるテストヘッドを有するウエハ検査装置の整備用台車が,車輪を有して移動自在な台車基部と,テストヘッドを収容するケースと,台車基部から立設されてケースを昇降させるリフト機構と,リフト機構及びケースの間に介在し,ケースをリフト機構に対して水平に移動させる水平位置調整機構とを備え,ケースは直方体状を呈するとともに,長手方向に関する両端に開口部を有し,各開口部はウエハ検査装置に配置された各テストヘッドに対向する構成が記載されているのに対して,請求項1,2には,上記整備用台車に関する内容が反映されておらず,請求項1,2の記載では発明の課題を解決できないことは明らかであるから,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり,サポート要件を満たしていない旨を主張している。
しかしながら,本件発明1,2が解決しようとする課題は,約70kgの重量を有するテストヘッドを,検査室から整備空間まで容易に移動させることである。そして,請求項1,2に記載された「スライドレール」によって,テストヘッドを検査室から整備空間に容易に移動させることができるから,請求項1,2の記載によって,上記発明の課題は解決できるものと理解される。
したがって,特許異議申立人の主張する特許異議申立理由によっては,本件発明1,2を取り消すことはできない。

第7 むすび
以上のとおり,本件訂正請求による訂正は適法なものである。そして,訂正後の請求項1,2に係る特許については,一次決定における取消理由,及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また,他に訂正後の請求項1,2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ウエハ検査装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のテストヘッドを有するウエハ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の半導体デバイスが形成された半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)において各半導体デバイスの電気的特性検査を行うために、ウエハ検査装置としてのプローバが用いられている。プローバはウエハと対向するプローブカードを備え、プローブカードは複数の柱状接触端子であるコンタクトプローブを有する(例えば、特許文献1参照。)。このプローバでは、プローブカードの各コンタクトプローブが半導体デバイスにおける電極パッドや半田バンプに接続された半導体デバイスへ検査信号を流すことによって半導体デバイスの電気回路の導通状態等を検査する。
【0003】
プローブカードの各コンタクトプローブへは検査回路であるメインボードを搭載したテストヘッドから検査信号が流されるが、近年、ウエハの検査効率を向上するために、それぞれにプローブカードが装着された複数のテストヘッドを備え、搬送ステージによって一のテストヘッドへウエハを搬送中に他のテストヘッドでウエハの半導体デバイスを検査可能なウエハ検査装置が開発されている。このウエハ検査装置では、フットプリント削減の観点から複数のテストヘッドを収容するセルが多段積みで配置される。
【0004】
各テストヘッドのメインボードは一種の消耗品であるために定期的に交換する必要があるが、メインボードを交換するためにはテストヘッドをウエハ検査装置から整備用台車の上に引き出す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-063227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テストヘッドは重量が約70kgfであり、スライドレールで支持されるため、テストヘッドを引き出し方向以外に移動させるのは困難である。したがって、整備用台車の位置をテストヘッドの位置へ正確に合わせる必要があるが、整備用台車はリフト機構等を有し、重量が大きいために位置の微調整が困難であり、その結果、テストヘッドを引き出すのが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、テストヘッドを容易に引き出すことができるウエハ検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のウエハ検査装置は、ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと、前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと、を備えた複数の検査室と、ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと、を備え、前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室が配置されたセルタワーの反対側であることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のウエハ検査装置は、ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと、前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと、を備えた複数の検査室と、ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと、を備え、前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室が配置されたセルタワーを挟んで対向することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、テストヘッドを容易に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1におけるセルタワーの各セルに内蔵される構成要素を説明するための図であり、図2(A)はテストヘッドの斜視図であり、図2(B)は各セルにおけるテスタヘッド、ポゴフレーム及びプローブカードの配置状態を示す正面図である。
【図3】本実施の形態に係る整備用台車の構成を概略的に示す図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は正面図である。
【図4】図3(A)及び図3(B)におけるリフタ及びテストヘッドケースの構成を概略的に示す図であり、図4(A)は側面図であり、図4(B)は正面図である。
【図5】ガイド部のガイドレールへの遊合を説明するための部分拡大図である。
【図6】簡易整備用台車の構成を概略的に示す側面図であり、図6(A)はセルタワーにおける1段目のセルのテストヘッドを整備する場合を示し、図6(B)はセルタワーにおける2段目のセルのテストヘッドを整備する場合を示す。
【図7】図3の整備用台車を用いるウエハ検査装置の整備方法を説明するための工程図である。
【図8】図3の整備用台車の配置の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、本実施の形態に係るウエハ検査装置について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【0015】
図1において、ウエハ検査装置10は、複数の検査室(セル)11が多段、例えば、4段に配置されたセルタワー12と、該セルタワー12に隣接して配置され、搬送機構(図示しない)を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行うローダ13とを備える。セルタワー12及びローダ13はそれぞれ直方体状を呈し、高さは、例えば、2.4mである。
【0016】
ウエハ検査装置10では、セルタワー12におけるローダ13との隣接面の反対側(以下、「外側」という。)には作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能な空間が確保され、後述する整備用台車27が配置される。
【0017】
図2は、図1におけるセルタワーの各セルに内蔵される構成要素を説明するための図であり、図2(A)はテストヘッドの斜視図であり、図2(B)は各セルにおけるテスタヘッド、ポゴフレーム及びプローブカードの配置状態を示す正面図である。
【0018】
図2(A)において、テストヘッド15は、直方体状の筐体からなる本体16と、本体16の長手方向の側面上部から側方へ突出するフランジ17とを有し、本体16は検査回路であるメインボード(図示しない)を収容する。
【0019】
また、図2(B)に示すように、各セル11は、内部において、テストヘッド15と、プローブカード18と、プローブカード18及びメインボードを電気的に接続するポゴピン(図示しない)を保持するポゴフレーム19とを有する。プローブカード18及びポゴフレーム19、並びにポゴフレーム19及びテストヘッド15の間にはシール部材20、21が配置され、該シール部材20、21に囲まれた空間が減圧されることにより、プローブカード18及びポゴフレーム19が真空吸着によってテストヘッド15へ装着される。
【0020】
プローブカード18は、円板状の本体24と、本体24の下面から図中下方へ向けて突出するように配置される多数の柱状接触端子である複数のコンタクトプローブ25とを有する。各コンタクトプローブ25は、プローブカード18へウエハ(図示しない)が当接した際、該ウエハに形成された各半導体デバイスの電極パッドや半田バンプ(いずれも図示しない)と接触する。
【0021】
図1に戻り、各セル11の外側には整備用開口部26が開設され、該整備用開口部26を介してテストヘッド15が引き出される。作業者は引き出されたテストヘッド15から消耗したメインボードを取り外し、新しいメインボードを取り付ける。
【0022】
ところで、テストヘッド15の重量は約70kgfであり、作業者の力だけでは取り扱いが困難であるため、テストヘッド15は、セル11内において当該テストヘッド15の長手方向(以下、単に「長手方向」という。)に沿って配置されるスライドレール(図示しない)によってフランジ17を介して支持され、スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引き出し可能に構成される。
【0023】
ウエハ検査装置10において、作業者が容易にメインボードの交換を行うためには引き出されたテストヘッド15を支持する支持機構が必要であり、これに対応して、本実施の形態では後述する整備用台車27が提供される。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る整備用台車の構成を概略的に示す図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は正面図である。
【0025】
図3(A)及び図3(B)において、整備用台車27は、複数のころ28(車輪)によって支持されて移動可能に構成される台車基部29と、該台車基部29から立設されたリフト機構30と、テストヘッド15を収容可能な筐体状のテストヘッドケース31(ケース)とを有する。
【0026】
台車基部29には取っ手32が設けられ、作業者は取って32を押すか、若しくは引くことによって整備用台車27を移動させる。各ころ28は双輪からなり、向きを自在に変更可能に構成されるため、整備用台車27の移動に関する自由度を向上させる。
【0027】
リフト機構30は、図中上方へ向けて台車基部29から延出する支柱33と、該支柱33に取り付けられ、支柱33の延出方向に沿って移動することによって図中上下方向に移動するリフタ34と、リフタ34を移動させるモータ(図示しない)とを有する。
【0028】
なお、台車基部29の各ころ28はブレーキ(図示しない)を有し、該ブレーキはリフタ34が上下方向に関する最下点に位置する場合のみ解除される。
【0029】
図4は、図3(A)及び図3(B)におけるリフタ及びテストヘッドケースの構成を概略的に示す図であり。図4(A)は側面図であり、図4(B)は正面図である。なお、説明を簡単にするために、図4(A)及び図4(B)では、テストヘッド15が破線で示され、さらに、図4(B)は、後述するスライドレールカバー40を一点鎖線で示し、且つスライドレールカバー40を透けた状態で示す。
【0030】
図4(A)及び図4(B)に示すように、テストヘッドケース31は直方体状を呈するとともに、長手方向に関する両端が開放されて開口部を形成し、テストヘッド15をセル11から引き出す際、両端の開口部のいずれかがセル11の整備用開口部26に対向し、整備用開口部26を介して引き出されたテストヘッド15を内部に収容する。また、テストヘッドケース31の上面も開放されているため、作業者は収容されたテストヘッド15へテストヘッドケース31の上面からアクセス可能であり、該上面を介してメインボードを交換する。
【0031】
テストヘッドケース31は水平位置調整ステージ35を介してリフタ34によって支持される。水平位置調整ステージ35は上下に重ねられた円板状部材である基部35a及び移動部35bからなり、基部35a及び移動部35bの間には多数のボールベアリング(図示しない)が敷き詰められ、移動部35bは基部35aに対して水平に移動することができる。基部35aはリフタ34に接続され、移動部35bはテストヘッドケース31に接続される。これにより、水平位置調整ステージ35はテストヘッドケース31をリフタ34に対して水平に移動させることができる。
【0032】
また、水平位置調整ステージ35では、外部からエアを送り込むことにより、基部35aの一部及び移動部35bの一部を係合させる等して移動部35bを基部35aに対して固定することもできる。
【0033】
移動部35bの移動は多数のボールベアリングによって実現されるため、移動部35bの移動には大きな力が必要なく、その結果、テストヘッドケース31は作業者によって容易に水平へ移動させることができる。なお、テストヘッドケース31の下面から下方に向けて板状のストッパ36が突出し、テストヘッドケース31の水平方向の移動量が所定量に達した場合、ストッパ36が水平位置調整ステージ35の基部35aに当接することにより、テストヘッドケース31の水平方向の移動量が規制される。
【0034】
テストヘッドケース31の長手方向に関する両側面の上部には複数のボール台座からなるスライドレール37が配される。スライドレール37はテストヘッドケース31に収容されたテストヘッド15のフランジ17を支持し、テストヘッド15をテストヘッドケース31の長手方向にスライドさせる。
【0035】
また、テストヘッドケース31の長手方向に関する両側面の上部における両端にはストッパ機構38(固定機構)が配される。ストッパ機構38は突出自在な突起状の接触子39を有し、該接触子39が突出してテストヘッド15のフランジ17に接触することにより、テストヘッド15の位置がテストヘッドケース31に対して固定される。なお、リフト機構30は、テストヘッド15がテストヘッドケース31に収容される際、接触子39がフランジ17に接触していない場合は、リフタ34が上下動不可能に構成される。
【0036】
テストヘッド15をテストヘッドケース31の長手方向にスライドさせる際、作業者の手、特に、指がフランジ17とスライドレール37の間に挟まれる危険性があるため、スライドレール37はスライドレールカバー40によって覆われる。
【0037】
整備用台車27では、リフト機構30が、テストヘッドケース31の位置を、当該テストヘッドケース31のスライドレール37が1段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する高さ、同スライドレール37が2段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する高さ、同スライドレール37が3段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する高さ、及び同スライドレール37が4段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する高さのそれぞれに固定可能である。
【0038】
図1に戻り、セルタワー12の外側下方にはガイドレール41が配される。ガイドレール41はセルタワー12の長手方向に沿い、断面が矩形の管状体であり、セルタワー12と反対側の側壁41aにスリット42が形成される。一方、図3(B)に示すように、整備用台車27は台車基部29に配されたガイド部43(ガイド機構)を有する。
【0039】
図5に示すように、ガイド部43は台車基部29から側方へ突出するブラケット43aと、該ブラケット43aの先端に設けられて水平に回転するローラ43bとを有し、ブラケット43aはガイドレール41のスリット42を介してガイドレール41の内部へ進入し、ローラ43bはガイドレール41の内部に収容される。すなわち、ガイド部43はガイドレール41と遊合するが、このとき、ローラ43b及び台車基部29の間にはガイドレール41の側壁41aが介在する。
【0040】
上述した整備用台車27はテストヘッド15の全体を引き出す際に用いられるが、テストヘッド15を整備する際、当該テストヘッド15の全体を引き出す必要がない場合がある。このような場合、ウエハ検査装置10では、整備用台車27ではなくテストヘッド15を部分的に載置する簡易整備用台車44を用いる。
【0041】
図6は、簡易整備用台車の構成を概略的に示す側面図であり、図6(A)はセルタワーにおける1段目のセルのテストヘッドを整備する場合を示し、図6(B)はセルタワーにおける2段目のセルのテストヘッドを整備する場合を示す。
【0042】
図6(A)及び図6(B)において、簡易整備用台車44は底部に複数のころ45が配置されたメインフレーム46と、該メインフレーム46に対して上下に移動可能な整備台47とを有する。整備台47は複数のボール台座からなるスライドレール48を有し、スライドレール48は部分的に引き出されたテストヘッド15のフランジ17を支持する。整備台47は、スライドレール48が1段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する第1の高さ、及びスライドレール48が2段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と正対する第2の高さのそれぞれに固定可能に構成される。
【0043】
簡易整備用台車44は整備用台車27に比べて大幅に簡素化されて軽量であり、且つ、メインフレーム46の底部に配置された複数のころ45を有するため、作業者は簡易整備用台車44の位置を容易に調整することができ、もって、1段目や2段目のセル11に収容されたテストヘッド15のフランジ17と、整備台47のスライドレール48とを正確に正対させることができる。その結果、1段目や2段目のセル11から容易にテストヘッド15を部分的に引き出すことができる。
【0044】
図7は、図3の整備用台車を用いるウエハ検査装置の整備方法を説明するための工程図である。
【0045】
まず、ガイドレール41の端部においてガイド部43のローラ43bをガイドレール41の内部に収容させた後、ローラ43bをガイドレール41の内部に収容させたまま整備用台車27を、整備を行うテストヘッド15が収容されるセル11が存在する位置まで大まかに移動させる。その後、台車基部29の各ころ28のブレーキを作動させて整備用台車27の位置を固定する(図7(A))。
【0046】
次いで、リフト機構30がテストヘッドケース31を、当該テストヘッドケース31のスライドレール37が整備を行うテストヘッド15のフランジ17と正対する高さまで上昇させ、その後、テストヘッドケース31の位置を固定する(図7(B))。
【0047】
次いで、水平位置調整ステージ35によってテストヘッドケース31の位置を水平方向に微調整してスライドレール37を、整備を行うテストヘッド15のフランジ17と正確に正対させ(図7(C))、本整備方法を終了する。
【0048】
本実施の形態に係る整備用台車27によれば、水平位置調整ステージ35が、移動自在な台車基部29から立設されるリフト機構30のリフタ34、及びテストヘッド15を収容するテストヘッドケース31の間に介在し、テストヘッドケース31をリフタ34に対して水平に移動させるので、台車基部29の位置を固定し、整備を行うテストヘッド15が存在する位置までテストヘッドケース31を昇降させて当該テストヘッドケース31の位置を固定した後、テストヘッドケース31の位置を水平方向に微調整してスライドレール37を、整備を行うテストヘッド15のフランジ17と正確に正対させることができ、その結果、テストヘッドケース31へ向けてテストヘッド15を容易に引き出すことができる。
【0049】
上述した整備用台車27では、テストヘッドケース31の長手方向に関する両側面の上部にはテストヘッドケース31の長手方向にテストヘッド15をスライドさせるスライドレール37が配され、該スライドレール37はテストヘッド15の位置を固定させるストッパ機構38を有するので、テストヘッドケース31に収容されたテストヘッド15をテストヘッドケース31内において所望の位置に移動させた後、その位置へ固定することができ、もって、テストヘッド15の整備作業の効率を向上することができる。
【0050】
また、上述した整備用台車27では、セルタワー12の下部に設けられたガイドレール41と遊合するガイド部43をさらに備えるので、整備用台車27をセルタワー12に沿って正確に動かすことができ、もって、整備用台車27の位置の調整時間を短縮することができる。
【0051】
さらに、上述した整備用台車27では、台車基部29から側方へ突出するブラケット43aの先端に設けられたローラ43b及び台車基部29の間にはガイドレール41の側壁41aが介在するので、整備用台車27が傾いた場合、ローラ43bがガイドレール41の側壁41aに係合し、整備用台車27の転倒が防止される。
【0052】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、上述した整備用台車27は、1つのセルタワー12の外側のみに配置されたが、図8に示すように、2つのセルタワー12を互いの外側が対向するように配置し、2つのセルタワー12に挟まれるように整備用台車27を配置してもよい。このとき、整備用台車27のテストヘッドケース31は長手方向に関する両端に開口部を有し、開口部のそれぞれはウエハ検査装置10のそれぞれのセル11における整備用開口部26に対向するので、いずれのウエハ検査装置10のテストヘッド15もテストヘッドケース31に収容することができ、もって、テストヘッド15の整備作業の効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 ウエハ検査装置
15 テストヘッド
17 フランジ
27 整備用台車
29 台車基部
30 リフト機構
31 テストヘッドケース
35 水平位置調整ステージ
37 スライドレール
38 ストッパ機構
41 ガイドレール
43 ガイド部
43b ローラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと、前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと、を備えた複数の検査室と、
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと、を備え、
前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間側と前記ウエハを搬送するローダ側とが前記複数の検査室が配置されたセルタワーの反対側であることを特徴とするウエハ検査装置。
【請求項2】
ローダと整備空間との間に配置された複数の検査室であって、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドと、前記被整備テストヘッドを前記整備空間側に引き出すスライドレールと、を備えた複数の検査室と、
ウエハを搬送先の検査室内に搬送する前記ローダと、を備え、
前記被整備テストヘッドを引き出す整備空間と前記ウエハを搬送するローダが前記複数の検査室が配置されたセルタワーを挟んで対向することを特徴とするウエハ検査装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-10-05 
出願番号 特願2017-48907(P2017-48907)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀江 義隆  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 西出 隆二
▲吉▼澤 雅博
登録日 2018-02-02 
登録番号 特許第6283760号(P6283760)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 ウエハ検査装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 松浦 憲三  
代理人 松村 潔  
復代理人 新川 圭二  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 山口 昭則  
復代理人 新川 圭二  
代理人 村松 聡  
代理人 伊東 忠重  
代理人 山口 昭則  
代理人 別役 重尚  
代理人 村松 聡  
代理人 別役 重尚  
代理人 伊東 忠重  
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