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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
管理番号 1370050
異議申立番号 異議2020-700715  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-18 
確定日 2021-01-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第6667863号発明「プログラム及び情報処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6667863号の請求項1?11に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6667863号の請求項1?11に係る特許についての出願は、令和元年7月18日に出願され、令和2年2月28日にその特許権の設定登録がされ、同年3月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年9月18日に異議申立人 遠藤眞理子(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

2 本件発明
特許第6667863号の請求項1?11の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明11」という。)
「【請求項1】
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報及び当該第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記目的情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項3】
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中から一つの検索結果を前記ユーザに提案し、前記ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果を当該ユーザに提案する提案手段、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に当該ユーザに報酬を付与する付与手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの移動経路の履歴に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールの間の時間帯の天候情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
前記検索結果が複数存在する場合、複数のユーザのスケジュールに基づき、複数の検索結果に係る移動経路の混雑状況を予測する予測手段、
として機能させ、
前記提案手段は、前記予測手段が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記受付手段は、通信ネットワークを介して前記記憶手段とは異なる他の記憶手段から前記ユーザのスケジュールを取得して、前記第一スケジュール又は前記第二スケジュールとして受け付け、
前記検索手段は、前記受付手段が前記他の記憶手段から前記ユーザのスケジュールを取得したときに、前記移動経路を検索する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
記憶手段と、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段と、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段と、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項10】
記憶手段と、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報及び当該第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段と、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記目的情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段と、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項11】
記憶手段と、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段と、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中から一つの検索結果を前記ユーザに提案し、前記ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果を当該ユーザに提案する提案手段と、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段と、
前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に当該ユーザに報酬を付与する付与手段と、
を備える情報処理装置。」

3 申立理由の概要
申立人は、以下の甲1?甲12を証拠方法として提出し、本件発明1、2、9、10は、甲1に記載された発明及び周知技術(甲2?4)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明3、11は、甲1に記載された発明及び周知技術(甲2、4?8)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明4、5は、甲1?4に加えて甲9に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明6は、甲1?4に加えて甲10に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明7は、甲1?4に加えて甲11に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明8は、甲1?4に加えて甲12に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって、請求項1?11に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである(以下、「理由1」という。)から、請求項1?11に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
また、申立人は、本件発明4?7は、発明の詳細な説明に記載されていないから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしておらず(以下、「理由2」という。)、また、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明4?7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず(以下、「理由3」という。)、請求項4?7に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

<証拠方法>
甲1:特開2002-342538号公報
甲2:特開2002-73758号公報
甲3:特開2012-33040号公報
甲4:木村聡子、“移動時間も含めたムダの無いスケジュール管理を可能にするGoogleマップとGoogleカレンダーの合わせ技”、[online]、平成29年10月1日、[令和2年9月15日検索]、インターネット<URL:http://blog.kimutax.com/Google-map-and-caledar>
甲5:特開2011-203784号公報
甲6:特開2019-53432号公報
甲7:特開2002-202137号公報
甲8:トヨタ純正SDナビゲーション型番NSZT-ZA4Tアルファード・ヴェルファイア専用取扱書、[online]、2015モデル、第105-111頁、[2017年2月24日]、インターネット<URL:https://toyota.jp/pages/contents/dop/pdf/navi/manual/2015/NSZT-ZA4T.pdf><URL:http://toyota.jp/dop/navi/manual/>
甲9:特開2017-96636号公報
甲10:特開2009-58468号公報
甲11:特開2002-277268号公報
甲12:特開2019-105454号公報

4 甲1?12の記載
(1)甲1(特開2002-342538号公報)
甲1には、以下のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスケジュール管理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ユーザが用件、時刻、場所等を登録し、スケジュールを管理する従来のスケジュール管理装置では、予定と予定の間の場所の移動を考慮していなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、予定を登録するとき、時間があいているということで、予定を入れてしまい、移動時間を考えた場合に移動できない無理なスケジュールを登録してしまうことがあった。
【0004】また、移動を伴う予定がある場合、移動のための乗換え案内等を別途検索しなければならなかった。
【0005】また、従来のスケジュール管理システムは予定についての通知は行うが、乗換え情報についての通知は行っていなかった。乗換え案内の検索を行っても、いつ乗り換えればいいかはユーザが自ら確認しなければならなかった。また、予定の交通機関に乗れなかった場合は無駄な情報になってしまった。
【0006】本発明の目的は、移動時間を十分とれない無理な予定を誤まって登録することがないスケジュール管理方法および装置を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、ユーザが交通機関等の移動経路を知ることができるスケジュール管理方法および装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のスケジュール管理方法は、新たな予定を登録する際、該予定の直前および/または直後に登録済みの予定がある場合、新たな予定と登録済みの予定の間のユーザの移動時間を算出し、予定間の空き時間と移動時間の差がいずれも所定の時間以上であれば新たな予定をそのまま登録し、所定の時間未満のものがあれば、ユーザに対してその旨を通知する。
【0011】これにより、移動時間を十分とれない無理な予定を誤まって登録することがない。
【0012】本発明の実施態様では、移動時間を移動経路毎に算出し、予定間の空き時間と、対応する移動時間の差が所定の時間以上で、移動時間が最短の移動経路を新たな予定とともに登録する。
【0013】これにより、ユーザは交通機関等の移動経路を知ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1の実施形態
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態のスケジュール管理装置は、ユーザが予定を入力、修正するため入力部101と、予定が登録される予定蓄積部102と、ある予定が終った後次の予定の場所まで移動するのに必要な時間を算出する移動時間算出部103と、入力された予定の登録処理を行う予定処理部104と、入力部101から入力された予定および予定処理部104における処理結果を表示する表示部105を有している。
【0019】次に、本実施形態のスケジュール管理装置の動作を図2のフローチャートを参照して説明する。ユーザは新たな予定の用件、時間、場所などを予定入力部101から入力する(ステップ201)。予定処理部104は入力された予定を表示部105に表示し(ステップ202)、予定蓄積部102に予定が既に蓄積されているかどうか調べる(ステップ203)。蓄積されていなければ、予定を予定蓄積部102に蓄積し(ステップ207)、表示部105に、入力された予定が登録されたことを表示する(ステップ208)。ステップ202で、入力された予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部102に登録されていれば、予定蓄積部102から登録済みの予定の時間と場所の情報を読出し、移動時間算出部103に渡す(ステップ204)。移動時間算出部103は、入力された予定と登録済みの予定の間のユーザの移動時間を算出する(ステップ205)。場所が同じであれば移動時間は勿論ゼロとなる。予定処理部104は移動時間を入力された予定と登録済みの予定の間の空き時間と比較する(ステップ206)。直前および/また直後の予定全てについて、空き時間と移動時間の差が所定の時間T以上であれば、入力された予定を予定蓄積部102に登録し(ステップ207)、表示部105に予定が登録されたことを表示する(ステップ208)。いずれかの空き時間と移動時間の差がTより短かければ、表示部105に、予定を登録できないことを表示する(ステップ209)。この場合、ユーザが入力部101より予定を修正すると、修正後の予定についてステップ202以降の処理が繰り返される。
【0020】ここで、具体例により説明する。登録済みの2つの予定(13:00-14:00と17:00-18:00)の間に、新規の予定を入れるとする。移動時間はともに30分とする。所定の時間Tは10分とする。
【0021】ケース1:15:00-16:00の予定空き時間60分は移動時間30分+所定時間10分より大きいため登録可能ケース2:15:35-16:00の予定
前の予定(14時までの予定)との空き時間35分は、移動時間30分+所定時間10分より小のため登録不可ケース3:15:45-16:25の予定後の予定(17時からの予定)との空き時間35分は、移動時間30分+所定時間10分より小のため登録不可なお、所定の時間Tは、10分のように固定値とは限らず、移動時間が長ければ、大きめな値とすることも考えられる。
第2の実施形態
図3を参照すると、本発明の第2の実施形態のスケジュール管理装置は、移動時間算出部103が移動経路毎の移動時間を算出し、予定蓄積部102に予定とともに、移動経路と移動時間が登録される点が第1の実施形態と異なっている。
【0022】図4は本実施形態の動作を示すフローチャートである。第1の実施形態のステップ205,206(図2)の代りにステップ210,211の処理が行なわれ、ステップ212と213の処理が追加になった点が第1の実施形態と異なる。すなわち、ステップ204の後、移動時間算出部103は、入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間をデータベース(不図示)を参照して算出する(ステップ210)。予定処理部104は算出された、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べる(ステップ211)。あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部102に登録した後(ステップ212)、表示部105に表示する(ステップ213)。
・・・・・
【0026】なお、以上、図2、図4、図6、図8に示した処理はスケジュール管理プログラムとして、フロッピィディスク、CD-ROM、光磁気ディスク等の記録媒体に記録してパソコン等のコンピュータ上で実施できる。

甲1の段落【0018】、図3の記載によると、甲1には、ユーザが予定を入力、修正するため入力部と、予定が登録される予定蓄積部と、ある予定が終った後次の予定の場所まで移動するのに必要な時間を算出する移動時間算出部と、入力された予定の登録処理を行う予定処理部と、入力部から入力された予定および予定処理部における処理結果を表示する表示部とを有する、スケジュール管理装置が記載され、段落【0026】によると、図2、図4の処理は、スケジュール管理プログラムとしてコンピュータで実行してもよく、上記の「予定を登録する予定蓄積部」、「表示部」は、コンピュータが備えるハードウェアであるから、甲1には、「予定を登録する予定蓄積部と表示部とを備えるコンピュータを、ユーザが予定を入力、修正するため入力部と、ある予定が終った後次の予定の場所まで移動するのに必要な時間を算出する移動時間算出部と、入力された予定の登録処理を行う予定処理部として機能させるためのスケジュール管理プログラム。」が記載されている。
また、甲1の段落【0019】の記載によると、上記の「入力部」は、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を受け付ける」ものであり、「予定処理部」は、「入力部から入力された予定を予定蓄積部に蓄積し、入力された予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部に登録されていれば、予定蓄積部から登録済みの予定の時間と場所の情報を読出し、移動時間算出部に渡す」ものである。
また、甲1の段落【0022】の記載によると、上記の「移動時間算出部」は、「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間を算出する」ものであり、上記の「予定処理部」は、「移動時間算出部で調べられた移動経路とその移動時間のうち、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ、あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部に登録した後、表示部に表示する」ものである。
以上によれば、甲1には、
「予定を登録する予定蓄積部と表示部とを備えるコンピュータを、
ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を受け付ける入力部と、
入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積し、入力された予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部に登録されていれば、予定蓄積部から登録済みの予定の時間と場所の情報を読出し、移動時間算出部に渡し、移動時間算出部で調べられた移動経路とその移動時間のうち、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ、あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部に登録した後、表示部に表示する予定処理部と、
入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間を算出する移動時間算出部、
として機能させるためのスケジュール管理プログラム。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

(2)甲2(特開2002-73758号公報)
甲2には、以下のとおりの記載がある。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出発地から目的地までの経路検索を行う経路検索システムに係り、詳しくは外部端末からの要求に従って出発地から目的地までの経路検索を行い、検索結果を外部端末に通知する経路検索システムに関するものである。
【0005】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、指定の条件により、交通機関を利用する移動と徒歩による移動とを組み合わせて経路検索及び検索結果の提供を端末に対して行う情報提供システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の構成と、それに基づく作用及び効果は以下の通りである。請求項1に記載の発明は、ネットワークを介して端末に情報を提供する情報提供システムであって、出発地の情報を受入れる出発地受付手段と、目的地の情報を受入れる目的地受付手段と、前記出発地から前記目的地までの経路間で利用可能な交通機関を検索する交通機関検索手段と、交通機関を利用して移動する区間について経路を検索する交通機関利用経路検索手段と、交通機関を利用せずに移動する区間について経路を検索する徒歩経路検索手段とを有することを要旨とする。
【0007】従って、請求項1に記載の発明によれば、交通機関を利用して移動する区間についての交通機関利用経路検索と、交通機関を利用せずに移動する区間についての徒歩経路検索とを組み合わせることができる。つまり、出発地から目的地までの交通機関及び徒歩の少なくとも一方を利用する場合について経路検索を行うことができ、移動手段や目的地等に対応した自在な組み合わせが可能になる。
【0011】従って、請求項3に記載の発明によれば、GPS等の現在位置検出手段により出発地を特定することができ、その特定を容易かつ正確に行うことができる。請求項4に記載の発明は、請求項1?3のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、検索条件の入力を受入れる検索条件受入手段をさらに有し、前記交通機関経路検索手段及び徒歩経路検索手段の少なくとも一方は、入力された検索条件に基づいて検索を行うことを要旨とする。
【0012】従って、請求項4に記載の発明によれば、入力された検索条件に基づいて経路検索を行うことができ、時間や費用等の要件を検索条件とすればその要件を優先した検索が行われ、使い勝手が向上する。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1?4のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、外部端末から入力された個人のスケジュールを記憶するスケジュール記憶手段をさらに有し、前記目的地受付手段は、そのスケジュール記憶手段に記憶されたスケジュール内の目的地情報を受入れることを要旨とする。
【0014】従って、請求項5に記載の発明によれば、入力された個人スケジュール内の目的地を経路検索における目的地とすることができる。このためスケジュールに沿った検索が、目的地を入力することなく可能となり、ユーザの手間を省くことができる。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項1?5のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、顧客の個人情報を記憶する個人情報記憶手段をさらに有し、前記交通機関経路検索手段及び徒歩経路検索手段の少なくとも一方は、個人情報記憶手段に記憶された個人情報から顧客が希望すると予想される条件に基づいて検索を行うことを要旨とする。
【0016】従って請求項6に記載の発明によれば、個人情報記憶手段に記憶された個人情報から顧客が希望すると予想される条件に基づいて経路検索を行うことができる。このため、ユーザからの条件設定項目を少なくでき、ユーザの負担を減らすことができる。
【0025】請求項11に記載の発明は、請求項5?10のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、前記スケジュール記憶手段に記憶された検索対象の目的地が複数存在する場合は、各目的地を巡回する経路検索を行うことを要旨とする。
【0026】従って請求項11に記載の発明によれば、入力された個人スケジュール内の目的地が複数存在する場合は、各目的地を巡回する経路検索を行うことができる。このため、各目的地間の検索のための作業をユーザに強いる必要がなく、ユーザの負担を軽減できる。
【0029】請求項13に記載の発明は、請求項1?12のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、前記交通機関経路検索手段及び前記徒歩経路記憶手段の少なくとも一方は、複数の経路を検索することを要旨とする。
【0030】従って請求項13に記載の発明によれば、複数の経路を検索することができる。このため、ユーザはその複数の経路の中から適切な経路を選択することが可能となる。
【0031】請求項14に記載の発明は、請求項7?13のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、前記交通機関経路検索手段及び前記徒歩経路記憶手段の少なくとも一方は、複数の経路を検索し、検索した複数の経路から選択された一つの経路を受入れる手段をさらに有し、選択された経路を前記検索履歴記憶手段に記憶することを要旨とする。
【0032】従って請求項14に記載の発明によれば、複数の経路を検索し、検索した複数の経路から選択された一つの経路を記憶することができる。このため、この記憶された経路情報を次回の検索に利用でき、検索動作の効率化に寄与できる。
【0059】経路の検索条件は、端末12からの入力により指定することができる。検索条件としては、最低費用経路、最短時間経路、交通機関指定経路等の条件の他、「海岸沿いの道路」というようなユーザの希望に沿った指定もできる。経路検索処理は、指定された検索条件を満足するように行われる。最低費用経路検索では、出発地から目的地までの移動費用が最低となる経路を検索する。最短時間経路検索では、出発地から目的地までの移動時間が最短となる経路を検索する。検索条件として交通機関が指定されている場合は、その交通機関を利用できる移動についての経路検索を行う。「海岸沿いの道路」というようなユーザ希望が指定された場合は、指定を満足する経路を検索する。なお、検索条件の指定内容は個人情報記憶部22に記憶される。
【0060】出発地から目的地までの経路検索において検索処理の各段階で検索条件に適合する複数の候補がある場合には、その複数の候補についての経路検索を行う。その結果、出発地から目的地までの経路が指定の検索条件に最も適合するものとして、複数の経路が得られた場合、それらを端末12に表示させて、ユーザの選択に委ねる。最低費用経路又は最短時間経路が検索条件である場合、検索結果の費用又は時間の差が所定値以下である場合も同様に複数の検索結果を端末12に表示させて、ユーザの選択に委ねる。
【0061】経路検索は、各地点間の移動にかかるコストが最低となる経路を求めることによって行われる。ここでコストとは、各経路に設定された数値をいう。例えば、最短時間検索では、移動時間に対応したコストが各経路に設定され、コストの総計が最低となる、最短の移動時間の経路が検索される。一方、ユーザ希望条件に対応した経路検索においては、ユーザの希望条件に該当する経路に対し、移動時間に対応したコストよりも低いコストに設定を変更することで、その経路が選択される可能性を高めた上で経路検索が行われる。例えば、「海岸沿いの道路」というユーザ希望が指定された場合、海岸沿いの道路について、より低いコストに設定を変更することにより、検索処理の際に海岸沿いの道路が選択される可能性が高められる。
【0070】次に、出発時刻又は到着時刻、出発地の最寄駅、目的地の最寄駅、出発地から出発地の最寄駅までの移動時間及び目的地の最寄駅から目的地までの移動時間をもとに、出発地の最寄駅から目的地の最寄駅までの間の乗換経路の検索を行う(S209)。乗換経路の検索は検索条件を加味して行う。
【0071】出発地から目的地までのすべての経路検索を終了すると、管理サーバ11は図6のS605?S608に示すような検索結果表示画面を生成し、端末12に送信することにより端末12に表示させる(S210)。ここで、検索の結果、妥当な経路が複数存在する場合には、複数の経路を表示する。ユーザが端末12より経路のひとつを選択すると、管理サーバ11は選択された経路の詳細情報を端末12に表示させ、同時に検索結果を検索履歴として個人情報記憶部22に格納する(S212)。
【0079】次に、本発明を具体化した第2実施形態を図5に従って説明する。複数の目的地を巡回する場合、管理サーバ11は、個人情報記憶部22に記憶された個人スケジュールを用いることにより、一回の検索要求によりスケジュールに従い、全区間について移動経路の検索及び情報提供を行う。それぞれの区間における検索処理及びタクシーの配車予約処理は、第1実施形態における出発地から目的地までの検索処理及びタクシーの配車予約処理と同様に行う。
【0080】個人スケジュールは、端末12から入力することにより個人情報記憶部22に登録される。管理サーバ11は登録された個人スケジュールの内容により、経路検索処理を行う。ここで、複数の目的地を巡回するように設定することができ、登録された目的地を経由地として扱い、経由地間の経路検索を行う。経路検索の結果、宿泊を伴う場合には、管理サーバ11が、宿泊施設予約管理コンピュータ25に端末12を接続させることにより、端末12と宿泊施設予約管理コンピュータ25との間の処理により宿泊施設の予約が行われる。
【0081】図5に示すように、端末12において個人スケジュールメニューを選択し(S501)、出発地、目的地及び目的地到着時間等を入力すると(S502)、端末12より管理サーバ11に入力された個人スケジュールの内容が送信される。管理サーバ11は、個人スケジュールに入力された目的地の数が一つかどうかを判断し(S503)、目的地の数が1つでない場合、目的地到着予定時間順に目的地を経由地として設定する(S504)。管理サーバ11は、目的地又は経由地への到着予定時間等から宿泊が必要であるかどうかの判断を行う(S505)。宿泊が必要である場合には(S505でYES)、管理サーバ11が宿泊施設予約管理コンピュータ25に端末12を接続させることにより、端末12と宿泊施設予約管理コンピュータ25との間で宿泊施設予約処理が行われる(S506)。次に、第1実施形態で示した出発地から目的地までの経路検索と同様の方法で、経由地間の経路検索を行う(S507)。複数の目的地を巡回する場合には、巡回するすべての区間について経路検索を行う。宿泊が不要である場合(S505でNO)には、宿泊施設の予約処理を行わずに、経路検索処理(S507)に移行する。管理サーバ11は経路検索の結果を端末12に表示させ(S508)、ユーザは、端末12により経路確認を行い、表示された経路で良いかどうかを入力する(S509)。経路検索の結果、検索条件に該当する複数の経路の候補がある場合には、複数の検索結果を端末12に表示させ、ユーザがいずれかひとつを選択して端末12から入力することにより経路を決定する。ユーザが検索された経路を了承する場合には(S510でYES)、管理サーバ11は経路検索結果を個人スケジュールに組込み、個人情報記憶部22に格納する(S511)。提示された経路検索の内容をユーザが了承しない場合には(S510でNO)、経路検索処理(S507)に戻り、処理を繰り返す。
【0086】・ユーザの経路検索条件の選択については、個人情報記憶部22に記憶された個人情報又は検索履歴により、ユーザが使用すると推測される経路検索条件を管理サーバ11において判断して検索条件を設定すること。このようにすることで、ユーザの入力負担を軽減することができる。
【0086】・ユーザの経路検索条件の選択については、個人情報記憶部22に記憶された個人情報又は検索履歴により、ユーザが使用すると推測される経路検索条件を管理サーバ11において判断して検索条件を設定すること。このようにすることで、ユーザの入力負担を軽減することができる。

以上、甲2の記載によると、甲2には、出発地から目的地までの経路検索を行う経路検索システムにおいて、個人情報記憶部に記憶された個人スケジュールを用い、一回の検索要求により、全区間について移動経路の検索及び情報提供を行い、経路検索の結果、検索条件に該当する複数の経路の候補がある場合には、複数の検索結果を端末に表示させ、ユーザがいずれかひとつを選択して入力することにより経路を決定し、ユーザが検索された経路を了承する場合には、経路検索結果を個人スケジュールに組込み、個人情報記憶部に格納し、提示された経路検索の内容をユーザが了承しない場合には、経路検索処理に戻り、処理を繰り返すこと、及び、ユーザの検索履歴に基づいて、ユーザが使用すると推測される検索条件を設定して経路探索を行うことが記載されている。

(3)甲3(特開2012-33040号公報)
甲3には、以下のとおりの記載がある。
【0005】
しかしながら、従来のシステムにおいては、顧客住所を出発地とし、店舗住所を目的地とした経路探索条件を満たした案内経路を提示することができるものの、店舗までの移動手段や店舗の利用時間等を加味した詳細な案内情報を、利用者に提供することができない、という問題点を有していた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、店舗等の施設までの移動手段や施設の利用時間等を加味した詳細な案内情報を、利用者に提供することができる、案内情報提供システム、経路情報提供サーバ、顧客サーバ、案内情報提供装置、案内情報提供方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の案内情報提供システムは、制御部を少なくとも備えた顧客サーバ、および、制御部と記憶部を少なくとも備えた経路情報提供サーバを、通信可能に接続した案内情報提供システムであって、上記経路情報提供サーバの上記記憶部は、交通網を規定するネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、施設の地点に関する施設地点情報に対応付けて、当該施設の施設詳細情報を記憶する施設情報記憶手段と、を備え、上記経路情報提供サーバの上記制御部は、上記顧客サーバから送信される、顧客の地点に関する顧客地点情報を受信する顧客情報受信手段と、上記顧客情報受信手段により受信された上記顧客地点情報による上記顧客の上記地点を出発地とし、上記施設地点情報による上記施設の上記地点を目的地とする経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段と、上記施設地点情報に対応付けられた上記施設詳細情報に基づいて、上記出発地および上記目的地以外の詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定する詳細条件追加設定手段と、上記ネットワークデータ記憶手段に記憶された上記ネットワークデータに基づいて、上記詳細条件追加設定手段により上記詳細条件が追加された上記経路探索条件を満たす、上記出発地から上記目的地までの案内経路を含む経路探索結果を取得する経路探索手段と、上記経路探索手段により取得された上記経路探索結果を示す案内情報を作成する案内情報作成手段と、を備え、上記顧客サーバの上記制御部は、上記顧客地点情報を、上記経路情報提供サーバに送信する顧客情報送信手段、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の案内情報提供システムは、上記記載の案内情報提供システムにおいて、上記施設詳細情報は、上記施設への利用可能な移動手段に関する情報であり、上記詳細条件追加設定手段は、上記施設地点情報に対応付けられた上記施設詳細情報に基づいて、上記移動手段に関する上記詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の案内情報提供システムは、上記記載の案内情報提供システムにおいて、上記施設詳細情報は、上記施設の利用時間に関する情報であり、上記詳細条件追加設定手段は、上記施設地点情報に対応付けられた上記施設詳細情報に基づいて、上記利用時間に関する上記詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の案内情報提供システムは、上記記載の案内情報提供システムにおいて、上記顧客詳細情報は、上記顧客の利用可能な移動手段に関する情報であり、上記詳細条件追加設定手段は、上記顧客地点情報に対応付けられた上記顧客詳細情報に基づいて、上記移動手段に関する上記詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、交通網を規定するネットワークデータを記憶し、施設の地点に関する施設地点情報に対応付けて、当該施設の施設詳細情報を記憶し、顧客サーバから送信される、顧客の地点に関する顧客地点情報を受信し、受信した顧客地点情報による顧客の地点を出発地とし、施設地点情報による施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定し、施設地点情報に対応付けられた施設詳細情報に基づいて、出発地および目的地以外の詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定し、ネットワークデータに基づいて、詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの案内経路を含む経路探索結果を取得し、取得した経路探索結果を示す案内情報を作成する。これにより、本発明は、出発地や目的地以外にも、施設等の詳細条件に従って経路探索を行った結果を示す案内情報を、利用者に提供することができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明によれば、施設詳細情報は、施設への利用可能な移動手段に関する情報であり、経路情報提供サーバにおいて、施設地点情報に対応付けられた施設詳細情報に基づいて、移動手段に関する詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定する。これにより、施設への利用可能な移動手段を使った経路を示す案内情報を、利用者に提供することができるという効果を奏する。
【0033】
また、本発明によれば、施設詳細情報は、施設の利用時間に関する情報であり、詳細条件追加設定手段は、施設地点情報に対応付けられた施設詳細情報に基づいて、利用時間に関する詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定する。これにより、施設の利用時間に施設に到達する経路探索結果を示す案内情報を、利用者に提供することができるという効果を奏する。
【0034】
また、本発明によれば、顧客サーバにおいて、顧客地点情報に対応付けて、顧客の顧客詳細情報を記憶し、顧客地点情報に対応付けて顧客詳細情報を送信し、経路情報提供サーバにおいて、更に、顧客地点情報に対応付けられた顧客詳細情報に基づいて、詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定する。これにより、顧客等の詳細条件に従って経路探索を行った結果を示す案内情報を、利用者に提示することができるという効果を奏する。
【0035】
また、本発明によれば、顧客詳細情報は、顧客の利用可能な移動手段に関する情報であり、経路情報提供サーバにおいて、顧客地点情報に対応付けられた顧客詳細情報に基づいて、移動手段に関する詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定する。これにより、顧客の利用可能な移動手段を使った経路を示す案内情報を、利用者に提供することができるという効果を奏する。
【0051】
[経路情報提供サーバ200の構成]
ここで、図1 において、経路情報提供サーバ200は、顧客サーバ100から送信される、顧客の地点に関する顧客地点情報を受信し、受信した顧客地点情報による顧客の地点を出発地とし、記憶部106に記憶する施設地点情報による施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定し、施設地点情報に対応付けられた施設詳細情報に基づいて、出発地および目的地以外の詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定し、記憶部106に記憶するネットワークデータに基づいて、詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの案内経路を含む経路探索結果を取得し、取得した経路探索結果を示す案内情報を作成する等の機能を有する。経路情報提供サーバ200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク300を経由し、顧客サーバ100や端末装置600等の外部システムと相互に通信可能に接続されており、制御部202と記憶部206とを備える。また、ネットワーク300は、経路情報提供サーバ200と、顧客サーバ100、および、端末装置600等の外部機器とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網および一般電話回線網等)、イントラネット、または、電力線通信(PLC)等であってもよい。また、経路情報提供サーバ200は、入出力制御インターフェース部208を備え、入出力制御インターフェース部208を介して、プリンタや印刷機等の印刷部214の制御を行う。
【0056】
また、イベント・施設データベース206bは、施設の地点に関する施設地点情報に対応付けて、当該施設の施設詳細情報を記憶する施設情報記憶手段である。ここで、「施設」には、イベント開催地やイベント施設等の施設を含む。また、イベント・施設データベース206bには、各施設の施設地点情報(施設の住所や緯度経度や位置座標など)に対応付けて、当該施設の施設詳細情報が格納される。ここで、施設詳細情報は、施設地点情報以外の、施設に関する詳細情報であり、施設やイベント等の名称やID等のほか、施設への利用可能な移動手段に関する情報(徒歩圏内に駅があるか否か等の情報)や、施設の利用時間に関する情報(イベント開始時刻、開場時刻、開館時間、閉館日など)等である。ここで、図2および図3は、イベント・施設データベース206bに格納される施設詳細情報および施設地点情報の一例を示す図である。
【0057】
図2および図3に一例として示すように、イベント・施設データベース206bは、イベント・施設のID、名称、場所、および、移動手段または開催時刻の項目に分けて、施設地点情報(項目「場所」に格納される情報)および施設詳細情報(その他の項目に格納される情報)が対応付けて格納される。なお、図2の例では、項目「移動手段」に、施設への利用可能な移動手段に関する情報(利用不可能な移動手段や、利用可能な移動手段を特定する情報)が格納される。例えば、施設IDが001であるAA結婚式場については、自家用車での来場を禁止していることを意味している。また、施設IDが002のBBレストランについては、有効な移動手段だけを登録している。また、上述の例に限らず、「施設への利用可能な移動手段に関する情報」は、施設への利用可能な移動手段を間接的に類推させるような情報(例えば、駐車場が無いことや、イベントの類別「飲食パーティ」や、施設の類別「居酒屋」など飲酒することが予想される場合など、移動手段として自家用車が利用できないことを類推させる情報、あるいは、引き出物等の荷物が提供される予定の場合など、自家用車を利用することが好ましいことを類推させる情報)であってもよい。
【0058】
また、図3の例では、項目「開催時刻」に、施設の利用時間に関する情報(利用可能時間)が格納される。例えば、施設IDがa01のAA結婚式場はAM10:00から利用可能であること(例えば、受付開始時刻などの開催時刻)を意味している。また、結婚式やパーティのように日時が特定されたイベントである場合には、日付情報も一緒に関連付けて登録する。その他、混雑が予想されるイベントの場合には、混雑緩和を目的として、分散したいくつかの時刻を登録可能としてもよい。
【0063】
また、詳細条件追加設定部202cは、施設地点情報に対応付けてイベント・施設データベース206bに記憶された施設詳細情報に基づいて、出発地および目的地以外の詳細条件を、経路探索条件設定部202bにより設定された経路探索条件に追加して設定する詳細条件追加設定手段である。ここで、詳細条件は、出発地および目的地以外の経路探索条件であり、例えば、移動手段(車、バス、電車、バリアフリー優先など)や、到着時刻や、経由地などの条件等である。詳細条件追加設定部202cは、経路探索条件設定部202bにより設定された経路探索条件の目的地の施設地点情報に対応付けられた施設詳細情報に基づいて、当該施設に関する詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定してもよい。例えば、イベント・施設データベース206bに施設地点情報に対応付けて、施設への利用可能な移動手段に関する施設詳細情報が記憶されている場合、詳細条件追加設定部202cは、当該移動手段を詳細条件として、経路探索条件に追加して設定してもよい。また、イベント・施設データベース206bに施設地点情報に対応付けて、施設の利用時間に関する施設詳細情報が記憶されている場合、詳細条件追加設定部202cは、当該利用時間を詳細条件(到着時刻の条件など)として、経路探索条件に追加して設定してもよい。
【0081】
そして、経路情報提供サーバ200の経路探索条件設定部202bは、顧客情報受信部202aにより受信された顧客地点情報による顧客の地点を出発地とし、イベント・施設データベース206bに記憶された施設地点情報による施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定する(ステップSA-3)。ここで、経路探索条件設定部202bは、対象の施設がチェーン店等のように複数ある場合、一の顧客の出発地に対して、複数の施設の地点を目的地として設定してもよく、所定の距離範囲内や最寄りの施設の地点を目的地として設定してもよい。また、顧客情報受信部202aにより顧客情報とともに施設の指定情報が受信された場合は、経路探索条件設定部202bは、当該指定情報により指定された施設の施設地点情報のみを目的地に設定してもよい。
【0082】
そして、経路情報提供サーバ200の詳細条件追加設定部202cは、施設地点情報に対応付けてイベント・施設データベース206bに記憶された施設詳細情報に基づいて、出発地および目的地以外の詳細条件を、経路探索条件設定部202bにより設定された経路探索条件に追加して設定する(ステップSA-4)。例えば、詳細条件追加設定部202cは、詳細条件として、移動手段(車、バス、電車、バリアフリー優先など)や、到着時刻や、経由地などの条件等を追加して経路探索条件に設定してもよい。
【0083】
ここで、イベント・施設データベース206bに施設地点情報に対応付けて、施設への利用可能な移動手段に関する施設詳細情報が記憶されている場合、詳細条件追加設定部202cは、当該移動手段を詳細条件として、経路探索条件に追加して設定してもよい。例えば、上述した図2の施設ID:001の場合、移動手段として自家用車は利用できないので、詳細条件追加設定部202cは、移動手段として自家用車を使用しないという詳細条件を設定する。また、イベント・施設データベース206bに施設地点情報に対応付けて、施設の利用時間に関する施設詳細情報が記憶されている場合、詳細条件追加設定部202cは、当該利用時間を詳細条件(到着時刻の条件など)として、経路探索条件に追加して設定してもよい。例えば、上述した図3の施設ID:a01の場合、開催時刻がAM10:00?であるので、詳細条件追加設定部202cは、到着時刻をAM10:00、あるいは、少し余裕をもたせて開催時刻より所定時間前に到着すべきとして詳細条件を設定してもよい。
【0084】
また、ここで、詳細条件追加設定部202cは、経路探索条件設定部202bにより設定された経路探索条件の出発地の顧客地点情報に対応付けて顧客情報受信部202aにより受信された顧客詳細情報に基づいて、当該顧客に関する詳細条件を、当該経路探索条件に追加して設定してもよい。例えば、顧客情報受信部202aにより施設地点情報に対応付けて、施設への利用可能な移動手段に関する施設詳細情報が受信された場合、詳細条件追加設定部202cは、当該移動手段を詳細条件として、経路探索条件に追加して設定してもよい。上述した図4の顧客ID:10aの場合、移動手段として自家用車は利用できないので、詳細条件追加設定部202cは、移動手段として自家用車を使用しないという詳細条件を設定する。
【0085】
そして、経路情報提供サーバ200の経路探索部202dは、ネットワークデータベース206aに記憶されたネットワークデータに基づいて、詳細条件追加設定部202cにより詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの案内経路を含む経路探索結果を取得する(ステップSA-5)。ここで、経路探索部202dにより取得される案内経路は、経路探索条件に従った最適な案内経路が少なくとも1つあればよいが、複数の経路探索条件や優先順位度に従って、複数の案内経路が取得されてもよい。例えば、経路探索部202dは、経路探索条件を満たす複数の案内経路を含む経路探索結果を取得してもよく、所要時間や移動距離や乗換回数等を考慮して最適な案内経路を経路探索結果として取得してもよい。また、経路探索部202dは、経路探索条件を満たす一の案内経路について、出発時刻や移動手段が異なる複数の経路探索結果を取得してもよい。
【0106】
そして、経路探索部402dは、ネットワークデータベース406aに記憶されたネットワークデータに基づいて、詳細条件追加設定部402cにより詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの案内経路を含む経路探索結果を取得する(ステップSB-4)。ここで、経路探索部402dにより取得される案内経路は、経路探索条件に従った最適な案内経路が少なくとも1つあればよいが、複数の経路探索条件や優先順位度に従って、複数の案内経路が取得されてもよい。例えば、経路探索部402dは、経路探索条件を満たす複数の案内経路を含む経路探索結果を取得してもよく、所要時間や移動距離や乗換回数等を考慮して最適な案内経路を経路探索結果として取得してもよい。また、経路探索部402dは、経路探索条件を満たす一の案内経路について、出発時刻や移動手段が異なる複数の経路探索結果を取得してもよい。
【0107】
そして、案内情報作成部402eは、経路探索部402dにより取得された経路探索結果を示す案内情報を作成する(ステップSB-5)。ここで、案内情報作成部402eにより作成される案内情報は、出発地および目的地を含む経路探索条件に加えて、詳細条件追加設定部402cにより追加された、出発地および目的地以外の詳細条件を満たす経路案内結果を反映した情報である。例えば、詳細条件追加設定部402cにより施設への利用可能な移動手段や利用者が利用可能な移動手段が詳細条件として経路探索条件に追加された場合、経路探索部402dによる経路探索結果に従って、当該移動手段を利用する案内経路等を示す案内情報が案内情報作成部402eにより作成される。また、一例として、詳細条件追加設定部402cにより施設の利用時間を詳細条件として経路探索条件に追加された場合、当該利用時間に間に合うための出発時刻等を含む経路探索結果を示す案内情報が案内情報作成部402eにより作成される。このように、案内情報作成部402eは、施設詳細情報や顧客詳細情報等を反映した経路探索結果を示す案内情報を作成する。また、案内情報作成部402eは、経路探索部402dにより取得された案内経路のうち一部または全部を示す案内情報をテキスト形式で作成してもよい。また、案内情報作成部402eは、案内情報を取得することが可能なURLを含む二次元コード(QRコード(登録商標)等)を当該案内情報に格納してもよい。例えば、二次元コードには、経路情報提供装置400に接続するためのURLと、経路探索条件を定義したURL等を格納したコードであってもよい。また、案内情報作成部402eは、経路探索部402dにより取得された一部(目的地周辺など)または全体の案内経路を、地図データベース406cに記憶された地図データの地図上に示す案内情報を作成してもよい。地図上に示す案内情報は、出発地から目的地までの距離や移動手段に応じて、編集されていてもよい。例えば、案内情報作成部402eは、交通手段をテキスト表示したり、複数の案内情報から選択できるようにしたり、出発地と目的地とを1つの地図に含めた表示になるように編集してもよい。このほか、案内情報作成部402eは、招待状等の定型文や、イベント・施設データベース406bに記憶された施設詳細情報の施設の名称、開催時刻、住所等、および、顧客情報取得部402aにより顧客地点情報に対応付けて取得された顧客の氏名や宛先住所等を、案内情報に格納してもよい。

以上、甲3の記載によると、甲3には、
出発地から目的地までの案内情報を提供する案内情報提供装置において、顧客の地点を出発地とし、施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段と、出発地および目的地を含む経路探索条件に加えて、施設の利用時間に関する情報(イベント開始時刻、開場時刻、開館時間、閉館日など)、施設への利用可能な移動手段に関する情報(利用不可能な移動手段や、利用可能な移動手段を特定する情報)に基づいて、出発地及び目的地以外の詳細条件を、経路探索条件に追加して設定する追加条件設定手段とを備え、追加条件設定手段により詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの複数の案内経路を含む経路探索結果を提供する案内情報提供装置が記載され、「施設への利用可能な移動手段に関する情報」は、施設への利用可能な移動手段を間接的に類推させるような情報(例えば、駐車場が無いことや、イベントの類別「飲食パーティ」や、施設の類別「居酒屋」など飲酒することが予想される場合など、移動手段として自家用車が利用できないことを類推させる情報、あるいは、引き出物等の荷物が提供される予定の場合など、自家用車を利用することが好ましいことを類推させる情報)であってもよいことが記載されている。

(4)甲4(木村聡子、“移動時間も含めたムダの無いスケジュール管理を可能にするGoogleマップとGoogleカレンダーの合わせ技”)
甲4には、以下のとおりの記載がある。
私はアポイント(どこそこに行く、誰々と会う)は、Googleカレンダーで管理をしています。その時に気をつけることは、アポイントの時間だけでなく、移動時間もカレンダーに入力すること。
例えば、渋谷で11:00から1時間程度のミーティングがある場合は、11時から12時までのアポイントとせず、移動時間も含めて10:15から12:45までのスケジュールとして入力します。
1)まず、スマートフォンのGoogleマップで、現在地(事務所所在地)から行きたい場所までの移動時間を調べます。到着時刻を指定して調べると便利です。
2)候補のルートの中から、最適なルートを選びます。
3)おや?画面の下のほうに「カレンダーに追加」という項目が。
4)「カレンダーに追加」をタップして、カレンダーアプリに追加するか、Googleカレンダーに追加するか選びます。
5)さあ、Googleカレンダーを見てみましょう。移動時間がカレンダーに登録されています!
6)ありがたいことに、カレンダーの「説明」欄に、乗換経路も詳しく書かれています。

以上、甲4の記載によると、甲4には、Googleカレンダーに移動時間を含めたアポイントをスケジュールとして入力し、Googleマップで現在地から行きたい場所までの移動時間を調べ、候補のルートの中から最適なルートを選択し、「カレンダーに追加」をタップして、Googleカレンダーに追加すると、Googleカレンダーに選択した移動経路、移動時間が登録されることが記載されている。

(5)甲5(特開2011-203784号公報)
甲5には、以下のとおりの記載がある。
【0010】
そこで本発明の目的は、カーナビによる迂回ルートの案内(誘導)および情報提供の仕組みと企業ポイントのスキームを有機的に組み合わせた迂回ルート誘導システムおよび企業ポイント管理サーバならびに企業ポイント管理プログラムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態による迂回ルート誘導システムは、ナビゲーションシステムと、消費者による商品/サービスの購入に対して複数の企業で共通の企業ポイントを付与する企業ポイントサービスとを組み合わせて、前記消費者が目的地へ移動する際の交通渋滞を回避するための迂回ルートへの誘導を支援する迂回ルート誘導システムであって、以下の特徴を有するものである。
【0013】
すなわち、迂回ルート誘導システムおいて、前記ナビゲーションシステムは、前記消費者からの目的地の指定に基づいて、前記消費者の現在位置から前記目的地までのルートを検索して地図情報にマッピングし、さらに前記地図情報に前記ルート上に存在する前記企業に係る情報をマッピングして、前記消費者が使用する端末の画面上に表示する機能を有する。
【0014】
さらに、迂回ルート誘導システムは、以下の特徴を有する企業ポイント管理サーバを有する。すなわち、企業ポイント管理サーバは、前記企業ポイントサービスを運営する事務局によって運用され、前記企業に関する情報および前記企業が保有する前記企業ポイントに関する情報と、前記企業が販売する商品/サービスの情報および前記商品/サービスの価格と前記企業ポイントの付与数に関する情報と、前記企業ポイントサービスの会員である前記消費者が保有する前記企業ポイントに関する情報とを保持および管理する管理部を有する。
【0015】
また、前記消費者が前記企業からの前記商品/サービスを購入した際は、前記管理部が保持する情報において、前記企業から前記消費者に、前記商品/サービスについての前記付与数に相当する前記企業ポイントを移動させ、また、前記消費者が保有する前記企業ポイントを使用した際は、前記管理部が保持する情報において、前記消費者から前記企業に、前記消費者が使用した前記企業ポイントを移動させるポイント利用処理部と、前記各企業からの前記企業ポイントの売買の注文を受け付けて記録し、記録された前記売買の注文における取引価格の条件が合致するものをマッチングして成立させ、成立した前記注文については、成立した数量に基づいて、前記管理部が保持する情報において、売却した前記企業から購入した前記企業に前記企業ポイントを移動させることで、前記企業ポイントを前記企業間で売買するためのポイント市場を形成するポイント市場管理部とを有する。
【0016】
また、前記ナビゲーションシステムから前記ルートに係る情報を取得し、前記管理部から、前記ルート上に存在する前記企業に係る情報、および前記各企業が販売する前記商品/サービスと、前記消費者が前記各商品/サービスを購入した際に付与する前記企業ポイントおよび前記消費者が前記ルート上に存在する前記各企業において前記商品/サービスを購入した上で前記目的地に到達した場合に付与する割増ポイントの情報を取得して、前記ナビゲーションシステムに出力し、さらに、交通渋滞であるもしくは交通渋滞が予見される渋滞ルートを検知した場合に、前記渋滞ルート上に存在する前記企業において前記消費者が前記商品/サービスを購入した際に付与する前記割増ポイントを、前記渋滞ルートに対する前記迂回ルート上の前記企業において前記商品/サービスを購入した際に付与するように変更するナビゲーション連携部とを有することを特徴とする。また、本発明は、コンピュータを上記のような企業ポイント管理サーバとして機能させるプログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
本発明の代表的な実施の形態によれば、カーナビの利用者(消費者)が迂回ルートを利用した際に企業ポイントを付与することにより、交通渋滞の際に利用者が迂回ルートを積極的に利用するよう誘導し、交通渋滞の緩和や温暖化ガスの排出量削減に寄与することが可能となる。また、カーナビによって目的地として設定される施設等が、自身の施設等への訪問者を効果的に迂回ルートに誘導することが可能となる。また、警察庁を始め、国土交通省や自治体、環境省など、道路交通状況の管理に関係する組織・団体が迂回ルートへの誘導に積極的に関与することが可能となる。
【0117】
<迂回ルートへの誘導における処理内容>
以下では、本実施の形態でのナビゲーションシステムと企業ポイントによる迂回ルートへの誘導における具体的な処理内容の一例について説明する。消費者20に対する共通ポイントや割増ポイントの付与に関する基本的な処理内容は、上述した誘導における処理内容と同様である。
【0118】
ここでは、迂回ルート誘導システム1が交通渋滞を検知した場合に、交通渋滞を緩和するために迂回ルートへの誘導を行う。交通渋滞の区間には、カーナビ21においてルート検索を行う際に現に渋滞している区間と、この先渋滞が予見される区間とがある。渋滞が予見される区間には、例えば、カーナビ21(もしくはナビゲーションサーバ200)が取得した現在の道路状況等の各種測定情報に基づいて渋滞が予見されるものと、カーナビ21によるルート検索や情報提示による誘導の結果として渋滞が予見されるものとがある。
【0119】
カーナビ21によるルート検索や情報提示による誘導の結果として渋滞が予見されるものとしては、例えば、図12の例に示したように、目的地41は、ルート上の店舗30での商品の購入に対して割増ポイントを付与(負担)することで、訪問者の増加を図ることができるが、店舗30aでの購入に割増ポイントを付与する状態が続くと、消費者20はルートAを選択する可能性が高くなり、結果としてルートAが渋滞することが予見される。また、共通ポイントや割増ポイントを付与する店舗30が多数存在するルートについても同様に渋滞することが予見される。さらに、ナビゲーションサーバ200に接続してルート検索を行う複数のカーナビ21による実際のルート検索の結果として検索もしくは選択された回数が多いルートも渋滞することが予見される。
【0120】
図20は、上記のような場合における迂回ルートへの誘導の例を示した図である。例えば目的地41は、渋滞が予見されるルートA上の店舗30aでの商品の購入に対して付与する割増ポイントの付与を、渋滞が予見されないルートB上の店舗30bでの商品の購入に対して付与するように変更することにより、消費者20を迂回ルートであるルートB(ルートB上の店舗30b)に誘導する。付与する割増ポイントの数を通常時よりも増やすことによってより高い誘導効果を得ることも可能である。
【0121】
上記のような変更は、目的地41が手動で行ってもよいし、ナビゲーションサーバ200が、各カーナビ21が検索もしくは選択したルートのパターンを蓄積しておき、対象のルートが検索もしくは選択された回数が所定の回数を超えた場合は、迂回ルートを検索して対象のルートの情報とともに企業ポイント管理サーバ100のナビゲーション連携部150に渡し、ナビゲーション連携部150が、対象のルート上の店舗30で付与される割増ポイントを、迂回ルート上の店舗30で付与されるように自動で変更してもよい。また、例えば、各ルート上で付与される共通ポイントや割増ポイントの合計が所定の基準以上になるルート上の店舗30で付与される割増ポイントを、迂回ルート上の店舗Bで付与されるようにナビゲーション連携部150が自動で行ってもよい。
【0122】
このように、自動もしくは手動により目的地41が割増ポイントを付与する店舗30を変更することで、消費者20がより多くの共通ポイントを取得可能なルート(迂回ルート)を選択するように誘導し、交通状況をコントロールすることができる。
【0123】
なお、上記のルート検索においては、例えば、ナビゲーションサーバ200は、ルートが検索もしくは選択された回数が所定の回数を超えたルートについては、ルート検索時に対象から除外するなどして、当該ルートが検索もしくは選択されないようにすることも可能である。
【0124】
一方、消費者20がカーナビ21においてルート検索する際に、ナビゲーションサーバ200が現に渋滞している区間もしくは上記のような渋滞が予見される区間を検知した場合、ナビゲーションサーバ200は、迂回ルートを検索してカーナビ21上に表示させることができる。図21は、迂回ルートへの誘導の別の例を示した図である。図21の例では、ルートA上に渋滞区間があり、これに対して迂回ルートが検索されてカーナビ21上に表示されていることを示している。
【0125】
ここで、消費者20が実際に迂回ルートを通過した場合に、例えば、消費者20が商品を購入しない場合でも共通ポイント(もしくは割増ポイント)を付与する。このとき、消費者20に対する共通ポイントの付与は、道路管理団体42(例えば警察庁や環境省など)が行うものとする。従って、道路管理団体42も共通ポイントを保有する必要があり、企業連合に参画する必要がある。なお、消費者20が実際に迂回ルートを通過したか否かの判定は、例えば、ナビゲーションサーバ200がカーナビ21からのGPS等による現在位置情報を取得して判定することができる。
【0126】
図22は、割増ポイント情報151のデータ構成と具体的なデータの別の例について示した図である。消費者20が迂回ルートを通過した場合に付与する共通ポイントは、商品の購入と関連しないため、例えば、割増ポイント情報151に割増ポイントとして設定して管理するものとする。図22の例では、来訪者が多いテーマパークCについて、割増ポイントを付与する対象商品の項目を便宜的に区間a?cの迂回ルート(迂回ルートを識別する情報)として登録している。このとき、割増ポイントを付与する負担企業は、道路管理団体42(図22の例では組織a、b)となる。なお、この場合の割増ポイントは、例えば、通常ルートから迂回ルートに入った時点で仮付与し、迂回ルートを全て通過した時点で本付与するなどとすることができる。
【0127】
このように、迂回ルートを通過することによって共通ポイント(割増ポイント)を付与することで、消費者20が交通渋滞の際に積極的に迂回ルートを選択するよう誘導することができる。

以上、甲5の記載によると、甲5には、カーナビゲーションシステムにおいて、渋滞している区間又は渋滞が予見される区間を検知した場合、迂回ルートを検索してカーナビ上に表示させるとともに、迂回ルート上の店舗での商品の購入に対して割り増しのポイントを付与することにより、又は、迂回ルートを通過することによってポイントを付与することにより、消費者が交通渋滞の際に積極的に迂回ルートを選択するように誘導することが記載されている。

(6)甲6(特開2019-53432号公報)
甲6には、以下のとおりの記載がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞回避支援システムおよび渋滞回避支援方法に関するものであり、具体的には、道路状況と共に移動者の動向やポリシーを踏まえつつ、効果的なインセンティブの付与を行い、効率的に渋滞回避を図る技術に関する。
【0020】
また、ナビゲーション端末300は、自動車のドライバーが経路検索等に利用するナビゲーション装置である。詳細は後述するが、このナビゲーション端末300は、上述の渋滞回避のリクエストやナビゲーション対象の自動車の動向に基づいて、迂回経路を生成し、当該ドライバーに提示して迂回行動を誘引する。またナビゲーション端末300は、サービス事業者装置100から配信されたクーポンの情報を保持しておき、実際に迂回経路を走行した場合に、当該クーポンを当該ドライバー向けに取得し使用可能とする。
【0041】
上述の機能部のうちポリシーマッチング実行部310は、サービス事業者装置100から配信されたクーポンを受信し、受信したクーポンのうち、対応するリクエストにおける渋滞回避対象(例:分散台帳50のリクエスト情報51が示す迂回依頼時間や迂回依頼エリアなど)とドライバーにおける実際の移動動向(ドライバーDB325の移動ライフログ情報3252)とがマッチするもので、かつ、当該リクエストにおける所定属性(例:分散台帳50のリクエスト情報51が示すリクエスト種類)とドライバーの移動ポリシー(ドライバーDB325におけるポリシー情報3253およびポリシー定義情報3254で特定。例:“通学路とスクールバス経路を避ける”)がマッチするものを特定する機能部である。
【0042】
また、ルート生成部311は、GPSユニット308と協働して自車位置から所定目的地までの経路探索を行い、ドライバー向けの経路情報を生成する一般的な機能に加え、上述のポリシーマッチング実行部310が特定したクーポンと当該クーポンに対応するリクエストとに基づいて迂回経路を、一般的な経路探索アルゴリズムで特定し、当該迂回経路の情報を出力装置306に出力する機能部である。
【0043】
また、ドライバー対応処理部312は、ドライバーが、ルート生成部311によって生成された迂回経路に沿って走行したか否か、つまり、迂回経路に対するドライバーの対応状況を、移動ライフログ情報3252に基づき特定し、ドライバーが迂回経路に沿って走行した場合、該当クーポンを当該ドライバーが取得した旨のトランザクションデータを、ネットワーク1に配信し、正当性判定を経た上で、分散台帳50のクーポン情報52におけるクーポン取得情報522に保持する機能部である。
また、リクエスト管理部313は、リクエスト元の渋滞回避のリクエストを分散台帳50のリクエスト情報51にて管理する機能部である。

以上、甲6の記載によると、甲6には、自動車のドライバーが経路検索等に利用するナビゲーション装置において、渋滞回避のリクエストやナビゲーション対象の自動車の動向に基づいて、迂回経路を生成し、ドライバーに提示して迂回行動を誘引し、実際に迂回経路を走行した場合に、クーポンを当該ドライバー向けに取得し使用可能とすることが記載されている。

(7)甲7(特開2002-202137号公報)
甲7には、以下のとおりの記載がある。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複数の経路を探索し、その中から好みの経路を選択できるようにしたナビゲーション装置および記録媒体に関する。
【0026】図8は一度の探索による複数のルート探索結果を示す図である。上記のように、一度の探索において求められた探索コストを各ノードに記憶させておき、これを少なくともルート案内開始まで保持しておくことにより、ノード(または交差点)を選択することにより、複数のルートを探索してその結果を表示させることができる。図のAは各ノードをたどったとき最小コストとなる組み合わせのルートを示し、Bは次に最小コストとなる組み合わせのルートを示している。
【0027】図9はカーソルによる複数ルートの選択方法を説明する図である。前述したように本発明においては一度の探索処理により複数のルートが求められるので、コスト小の順にソートし、図示するように最小コストのルートをデフォルト表示する。そして、出発地側から探索したルートと目的地側から探索したルート上の各ノード(または交差点)に直前ノード(または直前交差点)と探索コストが記憶されているので、出発地側からの探索ルートと目的地側からの探索ルートが交わるノード(または交差点)を、例えば画面上のカーソルキーにより指定すると、そのノード(または交差点)を通るルートが算出されるので、このルートを表示する。さらに他のルートを選択したい場合には、他のノードをカーソルで指定することにより、そのノード(または交差点)を通るルートが表示される。そして、画面上の決定キーを押すことにより表示されているルートが案内ルートとして確定し、案内が開始される。複数ルートの探索データは少なくともこの時点まで保持しておく必要がある。なお、前述したように、出発地側からの探索を目的地まで、目的地側からの探索を出発地まで行うことにより、出発地側からのルートと目的地側からのルートが交わる領域を出発地と目的地の中間領域に限らず、全領域に広げることができるので、画面上のどの領域においてノード(または交差点)を指定してもそこを通るルートを算出することが可能である。
【0028】図10は道路名称により複数ルートを選択する例を説明する図である。この例では、道路名称選択のための画面上の道路名称キーを選択すると、主要道路名称リストが表示される。図示の例では、東名高速道路、名神高速道路、国道1号線、国道23号線、県道48号線が表示され、さらに、上側或いは下側へスクロール表示可能である。この例においても、最小コストのルートがデフォルト表示され、他のルートはトーンダウン表示されており、このとき主要道路名を選択すると、それに対応するルートが強調表示されて他のルートがトーンダウン表示される。そして、画面上の決定キーを操作することにより、強調表示されているルートが案内ルートとして確定する。
【0032】次に、図9?図14に示した複数ルートの選択方法の処理フローについて図15?図19により説明する。図15はカーソルによるルート選択の処理フローを示す図である。この処理は図9に示したカーソルによるルート選択処理に対応するものである。出発地側からと目的地側から各ノードに対する探索コスト付けを行い(ステップS1)、最小コストのルートを求めてデフォルト表示する(ステップS2)。ルート選択のためのカーソルキーが押されたか否か判断し(ステップS3)、カーソルキーが押されるとカーソルを最小コストのノード付近に表示し(ステップS4)、次いで、カーソル移動があった否か判断し(ステップS5)、カーソル移動があった場合、移動したカーソル付近にコスト付けしたノードがあるか否か判断し(ステップS6)、ノードが見つかるまでカーソル移動を繰り返す。そして、カーソル付近にコスト付けしたノードがあると、そのノードからルートをたどる処理を行い(ステップS7)、次いで、たどったルートを画面に表示する(ステップS8)。次いで、ルート決定のための決定キーが押されたか否か判断し(ステップS9)、押されたならば選択ルートを案内ルートとする(ステップS10)。ルート決定のための決定キーが押されない場合、他のルートを選択するものとしてカーソル移動があったか否か判断して同様の処理を繰り返す。なお、ステップS5においてカーソル移動がない場合はステップS9に移ってルート決定のための決定キーが押されたか否か判断する。また、ステップS3において、ルート選択のためのカーソルキーが押されない場合、ルート決定のための決定キーがおされたか否か判断し、押された場合は処理は終了し、押されない場合は、ルート選択のためのカーソルキーが押されるのを待つことになる。

以上、甲7の記載によると、甲7には、複数の経路を探索し、その中から好みの経路を選択できるようにしたナビゲーション装置において、異なる主要道路を経路とする複数の経路のうち最小コストのルートがデフォルト表示され、他のルートはトーンダウン表示されており、このとき主要道路名を選択すると、それに対応するルートが強調表示されて他のルートがトーンダウン表示され、画面上の決定キーを操作することにより、強調表示されているルートを案内ルートとして確定することが記載されている。

(8)甲8(トヨタ純正SDナビゲーション型番NSZT-ZA4Tアルファード・ヴェルファイア専用取扱書)
甲8には、次の事項が記載されている。
カーナビゲーションシステムにおいて、ルート探索が終了すると、「推奨ルート」が表示される全ルート図表示画面となり(第107頁)、当該画面において「案内開始」ではなく「5ルート」表示が選択される(第108頁)と、「推奨」、「有料優先」、「一般優先」、「距離優先」、「別ルート」の5つのルートが5色に色分けされて表示され、ルート名称にタッチすると、タッチしたルートの全ルート表示画面が表示される(第111頁)。

(9)甲9(特開2017-96636号公報)
甲9には、以下のとおりの記載がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、推奨予定経路取得システム、方法およびプログラムに関する。
【0004】
・・・・・
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、移動手段についての嗜好と所要時間の要望との双方に配慮した経路を取得する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、推奨予定経路取得システムは、複数の移動手段についての利用者の嗜好度を取得する嗜好度取得部と、少なくとも一部の区間において移動手段が異なる複数の予定経路を取得する予定経路取得部と、予定経路毎の所要時間を取得する所要時間取得部と、予定経路毎の所要時間の大小関係を判断基準と比較することによって推奨予定経路を取得する推奨予定経路取得部と、予定経路で利用される移動手段についての嗜好度に応じて判断基準を変更する判断基準変更部と、を備える。
【0014】
また、携帯端末Sは、当該アプリケーションプログラムの処理により、利用者に対して出発を促す案内を行うことが可能であるとともに、推奨予定経路取得処理を実行することが可能である。携帯端末Sは、出発地から目的地までの経路や推奨予定経路に沿って車両を誘導するための案内を行うことが可能である。なお、本実施形態において、携帯端末Sは、移動手段を車両または電車に設定して経路を特定し、案内を行うことが可能であり、出発地から目的地までの経路の一部が車両、一部が電車などのように、複数の移動手段を利用する経路を設定して案内することも可能である。
【0015】
さらに、携帯端末Sは、既定のタイミングで推奨予定経路取得システム10と通信を行って、利用者が移動した移動経路に関する履歴情報(プローブ情報)を推奨予定経路取得システム10に送信する機能を有している。すなわち、携帯端末Sは、携帯端末Sの時刻毎の位置の履歴を取得して保持し、所定の送信タイミングで推奨予定経路取得システム10に対して送信する。なお、本実施形態において、携帯端末Sから送信される履歴情報には、利用者を示すID(ナビゲーションシステム毎のIDや利用者毎のID等)および各位置における移動手段(車両または電車)を示す情報が含まれている。
【0016】
以上の構成において、推奨予定経路取得システム10は、利用者が所望の到着時刻まで
に目的地に到着することを意図しながら日常生活している状況において、既定の出発地(利用者の自宅等)から当該目的地までの経路を推奨予定経路とし、到着希望時刻に間に合うように携帯端末Sに案内させる機能を有している。このために、ROMまたは記録媒体30には推奨予定経路取得プログラム21が記録されており、制御部20は、当該推奨予定経路取得プログラム21を実行することによって、当該案内を行うことができる。
【0017】
推奨予定経路取得プログラム21は、嗜好度取得部21aと予定経路取得部21bと所要時間取得部21cと推奨予定経路取得部21dと判断基準変更部21eと案内部21fとを備えている。嗜好度取得部21aは、複数の移動手段についての利用者の嗜好度を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、嗜好度取得部21aの処理により、通信部40を介して携帯端末Sから移動履歴を示す履歴情報を取得し、記録媒体30に記録する(履歴情報30a)。
【0018】
履歴情報30aには移動手段が電車、車両のいずれであるのかを示す情報が含まれている。そこで、制御部20は、嗜好度取得部21aの処理によって履歴情報30aを参照し、電車が利用された比率によって利用者の電車の嗜好度を取得する。ここでは、利用者が電車を好む度合いを示す嗜好度が取得されれば良く、本実施形態においては、電車を利用する経路が選択された回数を携帯端末Sの稼働日数で除した値が既定値(例えば、1/10)を超えていた場合に、利用者が電車を好むことを示すフラグが設定される。従って、本実施形態においては、利用者が電車の利用を好む、または好まないことがフラグで示され、電車を好む利用者は車両よりも電車を好むと解釈される。むろん、嗜好度は、他の手法で特定されても良く、多段階に設定されても良いし連続的に変化する値で表現されてもよい。
【0028】
具体的には、制御部20は、電車の嗜好度が高い場合(電車の嗜好度が車両の嗜好度より高い)場合の判断基準を、電車の嗜好度が低い場合の判断基準よりも小さくする。本実施形態においては、判断基準としての閾値になり得る値が予め2 種類用意されている(第1 の値および第2の値(>第1の値))。そこで、制御部20は、利用者の嗜好を示すフラグを参照し、利用者が電車を好むとことがフラグによって設定されている場合、閾値を第1の値に設定し、利用者が電車を好むとことがフラグによって設定されていない場合、閾値を第2の値に設定する。この結果、利用者が電車が好む場合、好まない場合よりも閾値の値が小さくなる。
【0029】
本実施形態においては、所要時間の比が閾値よりも大きい場合に電車使用の予定経路が推奨予定経路となり、当該比において分母が電車使用の予定経路の所要時間である。従って、利用者が電車を好む場合、電車を好まない場合よりも電車を含む予定経路が選ばれやすくなっている。すなわち、制御部20は、予定経路で利用される移動手段についての嗜好度が高い場合、嗜好度が低い場合よりも当該移動手段が選ばれやすくなるように判断基準を変更する。以上の結果、利用者の嗜好によって容易に所要時間に基づく判断を補正することが可能になる。また、所要時間のみに着目した場合には選択されるインセンティブが低い予定経路であっても、利用者が嗜好する移動手段で移動可能なのであれば推奨予定経路として選択され易くなる。

以上、甲9の記載によれば、甲9には、推奨予定経路取得システムにおいて、移動手段が電車、車両のいずれであるかの移動履歴を示す履歴情報を取得し、利用者が電車を利用した比率によって、利用者の電車の嗜好度を取得し、電車を好む場合、電車を好まない場合よりも電車を含む予定経路を推奨予定経路として選択され易くすることが記載されている。

(10)甲10(特開2009-58468号公報)
甲1には、以下のとおりの記載がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通機関を用いた経路検索を行う技術に関し、特に天気に応じて受ける影響を考慮しながら経路検索を行う技術に関する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、天気を考慮するモードが選択可能であり、そのモードが選択されたときには、各地の時々刻々変化する天気により受ける影響を考慮して、交通機関を用いた経路検索を行うことである。
【0007】
本発明の一つの実施態様に従う経路案内システムは、出発地、目的地、日時に関する指定及び天気に応じて受ける影響を考慮する天気対応モードか否かの指定を含み、前記出発地から前記目的地までの交通機関を利用した移動経路の検索要求を受け付ける手段と、前記受け付けた検索要求に基づいて移動経路の検索を行って、前記日時に関する指定に従う、前記出発地から前記目的地までの交通機関を利用した一つ以上の移動経路を抽出する手段と、天気予報に関する情報を取得する手段と、前記天気対応モードが指定されているとき、前記抽出された一つ以上の移動経路において、交通機関の乗換駅または前記目的地のそれぞれの到着予定日時における天気予報を考慮して移動経路の選択を行う手段と、前記天気対応モードが指定されているときは、前記選択手段によって選択された移動経路を出力する手段と、を備える。
【0008】
好適な実施態様では、前記天気対応モードは、雨天時に雨の影響を受けない移動経路を優先する雨回避モードであり、前記選択手段は、屋外の徒歩移動を含まない移動経路、または、屋外の徒歩移動が含まれるときは、当該徒歩移動地点の到着予定日時における天気予報が雨でない移動経路を優先的に選択するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施態様では、前記選択手段は、前記屋外の徒歩移動が含まれる移動経路については、当該徒歩移動地点の到着予定日時における降水確率に応じて当該移動経路の優先度を定め、優先度が高い移動経路を選択するようにしてもよい。
【0010】
好適な実施態様では、前記天気対応モードが指定されているとき、前記移動経路の抽出手段は、前記乗換地での徒歩による移動ルートに、屋外ルートと屋内ルートとがあるときは、屋内ルートを含む移動経路を抽出するようにしてもよい。
【0018】
経路情報データベース19は、出発地から目的地までの移動経路及び利用する交通機関を特定するために必要な経路情報を記憶する。例えば、鉄道、バスなどの交通機関の路線、時刻表、料金、乗換可能駅などを含む。さらに、乗換可能駅については、乗り換える駅間の距離(徒歩による移動距離)、徒歩による移動ルート、移動ルートごとに屋内か屋外かの区別などを含む。
【0019】
経路抽出部13は、ユーザ端末装置3からの移動経路の検索リクエストに応じて、移動経路を抽出する。例えば、ユーザ端末装置3からのリクエストには、出発地、目的地、日時に関する指定(例えば、出発日時または到着日時)等の検索条件が含まれる。経路抽出部13は、例えば、経路検索リクエストに含まれる検索条件に従って、鉄道を用いて移動する場合の移動経路を一つ以上抽出する。
【0020】
ここで、検索条件には、天気情報を考慮して移動経路を抽出する「天気対応モード」とするか否かの選択がさらに含まれる。また、検索条件には、最も料金が安くなる移動経路を優先させる「料金重視モード」、最も移動時間が短くなる「時間重視モード」、及び徒歩移動が最も少なくなる「徒歩最短モード」などを含んでも良い。複数モードが同時に選択される場合は、モード同士の優先順位が定められるようにしても良い。
【0021】
経路抽出部13は、「料金重視モード」、「時間重視モード」、または「徒歩最短モード」が選択されているときは、各モードに従って、移動経路を抽出する。
【0022】
天気対応モード処理部15は、外部の天気情報提供システム5から天気情報を取得する。ここで取得する天気情報は、例えば、様々な場所における、日時ごとの天気、気温、降水確率、及び実況(現在の天気)などの天気予報情報が含まれる。
【0023】
天気対応モード処理部15は、「天気対応モード」が指定されているときに、天気情報を考慮した移動経路の選択を行う。例えば、「天気対応モード」の一例として、「雨回避モード」が設定されているとき、天気対応モード処理部15は、経路抽出部13が抽出した移動経路の中から、雨天時に傘を差さずに移動できる経路を優先して選択する。なお、「天気対応モード」とともに他のモードも同時に選択された場合も、「天気対応モード」と他の選択されたモードとの優先順位を定められるようにしても良い。
【0024】
例えば、天気対応モード処理部15は、ある移動経路の中に、駅間の乗り換え時に屋外の移動ルートを通る経路が含まれているとき、その乗換駅のあたりの、乗換日時における天気予報に基づいて、この移動経路をユーザへ提示するか否かを判定する。つまり、天気対応モード処理部15は、その乗換駅地点の、乗換日時における天気予報が雨だったり、あるいは降水確率が所定以上であったりすれば、その移動経路を採用せず、屋外の徒歩移動を含まない移動経路、または屋外の徒歩移動が含まれるときは、徒歩移動地点の到着予定日時における天気予報が雨でないあるいは降水確率が所定以下の移動経路を優先的に選択する。

以上、甲10の記載によると、甲10には、出発地、目的地、日時に関する指定を受け、出発地から目的地までの交通機関を利用した移動経路を検索し、日時に関する指定に従う出発地から目的地までの交通機関を利用した一つ以上の移動経路を抽出する経路案内システムにおいて、天気に応じて受ける影響を考慮する天気対応モードを指定することができ、天気対応モードが指定されているとき、前記抽出された一つ以上の移動経路において、交通機関の乗換駅または前記目的地のそれぞれの到着予定日時における天気予報を考慮して移動経路の選択を行うことが記載されている。

(11)甲11(特開2002-277268号公報)
甲11には、以下のとおりの記載がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置と、ナビゲーション装置に通信可能なサーバ装置とを備える渋滞回避システムであって、前記ナビゲーション装置は、車両の現在地から目的地までのルートを探索するルート探索手段と、この探索されたルートの情報を、前記サーバ装置に送信するナビ側通信手段とを含むことを特徴とする渋滞回避システムである。
【0030】ルート探索手段10は、車両の現在位置から、ユーザによって入力された目的地に至るまでのルートを複数、抽出する。ルート探索手段10によって候補に挙げられた複数のルートは表示手段16に表示され、ユーザはこの表示手段16に表示された候補ルートを参照して希望するルートを決定する。
【0034】通信手段21は、前述したナビゲーション装置2から送信されたルート情報および走行情報を受信するとともに、渋滞予測手段23によって作成された渋滞予測情報および第2記憶手段に記憶された標準旅程情報を、ナビゲーション装置2に送信する。
【0035】通信手段21がルート情報を受信すると、渋滞予測手段23が、この受信したルート情報に基づいて渋滞予測情報を作成する。さらに詳しく説明すると、複数台の車両にそれぞれ搭載された各ナビゲーション装置2からのルート情報が、それぞれサーバ装置3に送信され、渋滞予測手段23はこれらの複数のルート情報に基づいて、現在よりも未来で渋滞が予測される路線と時刻とを予測して、渋滞予測情報を作成する。渋滞予測手段23によって作成された渋滞予測情報は、処理手段18によって、通信手段21を介してナビゲーション装置2に送信される。
【0040】サーバ装置3から送信された渋滞予測情報と標準旅程情報とを、ナビゲーション装置本体22の通信手段18が受信すると、到着時刻予測手段25が、渋滞予測情報および標準旅程情報に基づいて、目的地への車両の到着時刻を予測する。この予測された到着時刻が、表示手段16に表示される。
【0041】次に図2のフローチャートを参照して、渋滞回避システム1の渋滞回避方法の一例について説明する。ステップa0で、車両に乗載しているユーザが、ナビゲーション装置本体22の入力手段(図示せず)を使用して目的地を入力してステップa1に進む。
【0042】ステップa1で、ルート探索手段10が、車両の現在位置から目的地へ至る複数のルートを探索する。これらの候補に挙げられた複数のルートは、表示手段16に表示され、ユーザは表示手段16を参照して希望のルートを決定する。
【0043】ステップa2で、ユーザによって決定されたルートのルート情報が作成され、この作成されたルート情報を、通信手段8および移動体通信機器13を介してサーバ装置3に送信する。なお、ユーザが目的地に到着する前に経由地に立ち寄る場合には、ステップa0で経由地と、経由地での予定滞在時間が、ユーザによって入力される。
【0044】ステップa3で、サーバ装置3の通信手段21がルート情報を受信すると、ステップa4に進む。ステップa4で、渋滞予測手段23が、受信したルート情報に基づいて、渋滞予測情報を作成する。この作成された渋滞予測情報は、通信手段21を介してナビゲーション装置2の送信するとともに、第1記憶手段19にストアされる。ステップa4に並行して、ステップa5が行われる。ステップa5では、抽出手段24が、ユーザの決定したルートの距離と、非渋滞状態においてこの距離を移動するために必要な移動時間とを抽出して標準旅程情報を作成し、この標準旅程情報を、通信手段21を介して、ナビゲーション装置2に送信する。
【0045】ステップa6で、ナビゲーション装置2の通信手段8が、渋滞予測情報と標準旅程情報とを受信すると、制御手段6は表示制御手段11を制御して、表示手段16に受信した渋滞予測情報と標準旅程情報とを、表示手段16に表示させて、ユーザに通知する。
【0046】ステップa7で、到着時刻予測手段25が、渋滞予測情報および標準旅程情報とに基づいて、ユーザが決定したルートでの目的地への到着予測時刻を算出する。制御手段6は表示制御手段11を制御して、算出した到着予測時刻を表示手段16に表示させて、ユーザに通知する。
【0047】ステップa8で、ユーザは表示手段16に表示された渋滞予測情報、標準旅程情報および到着予測時刻を参照して、ルートを変更するか否か決定する。ステップa8でルートを変更しないことを決定すると、ユーザは車両を目的地に向けて移動させる。
【0052】ステップa8で、ユーザがルートを変更することを決定すると、ステップa12に進む。ステップa12で、ルート探索手段10は、ステップa6で受信した渋滞予測情報に基づいて、渋滞が予測される路線および時間を除き、かつ最短時間で目的地に到着するルートを探索し設定する。
【0053】最短ルートが設定されると、ステップa13で、この最短ルートのルート情報を作成し、この作成したルート情報をサーバ装置3に送信して、ステップa9に進む。その後、前述したステップa9?ステップa11の処理を実行する。このようにして、渋滞が予測される路線および時刻を回避することができる。つまり本発明によれば、渋滞が予測される路線と時間とを回避するので、先行技術の現在渋滞している路線を回避して渋滞を回避するシステムに比較して、より渋滞を回避することができる。

以上、甲11の記載によると、甲11には、車両に搭載されるナビゲーション装置と、ナビゲーション装置に通信可能なサーバ装置とを備える渋滞回避システムにおいて、渋滞が予測される路線および時間を除き、最短時間で目的地に到着するルートを探索し設定することが記載されている。

(12)甲12(特開2019-105454号公報)
甲12には、以下のとおりの記載がある。
【0007】
本発明のいくつかの態様は前述の課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの目的地への出発に応じた処理を好適に行うことを可能とする車両システム、情報処理装置、及び車両を提供することを目的の1つとする。
【0018】
もし車両100が自宅にあると判断できれば、サーバ200は、車両100又はユーザの識別情報に基づき、スケジューラから当該ユーザの直近の予定情報(スケジュールの情報)を取得する。予定情報には、予定の開始時間及び開催場所(目的地)の情報を含むことができる。図1の例では、現在時刻は9時30分であり、直近の予定として、11時過ぎから、アウトレット○○店での買い物(ショッピング)が予定されている。
【0019】
サーバ200は、この予定情報と、車両100の位置情報とに基づき、車両100が予定に登録された目的地に至る経路探索を行うことにより、車両100が当該目的地に到着するのに必要な所要時間を求める。また、当該所要時間を現在時刻に加算することにより、現在時刻に車両100が現在位置を出発した場合に、当該目的地に車両100が到着する到着予想時刻をサーバ200は求める。例えば図1の例では、自宅位置から目的地である「アウトレット○○店」への所要時間は90分であり、現在時刻が9時30分であるため、到着予想時刻は11時となる。
【0020】
この結果、起動直後にある車両100が、現在時刻において目的地に到着する到着予想時刻が11時であり、当該目的地に係る直近の予定の開始時刻が11時過ぎであることから、サーバ200は、当該目的地に向けて出発するために、ユーザが車両100を起動させた可能性が高いと判別することができる。よって、サーバ200は車両100に対し、車両100の起動目的は目的地への出発のためである旨の判定結果を、出発情報として通知する。
【0021】
起動目的が目的地への出発のためである旨の判定結果である出発情報を受信した車両100は、自宅内の戸締まりや家電の情報を収集可能な宅内情報機器から、戸締まりや家電の状態に関する情報を受信し、表示装置にそれらの情報を表示させる。これにより、ユーザは自宅からの出発時に、自宅の戸締まりや家電の情報を把握することができる。一方で、自宅からの出発時ではない場合(例えば、目的地へ向かう道中の一時駐車や、車庫で一時的に起動させた場合等)には、ユーザは戸締まりや家電の情報の報知を受けないため、必要でない情報の報知を受ける煩わしさを避けることが可能である。
【0022】
[2 機能構成]
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る車両システム1の機能構成を説明する。車両システム1は、先述の通り、車両100及びサーバ200を含む。車両100及びサーバ200は、インターネットや公衆電話網等の図示しないネットワークにより相互に通信可能である。
【0031】
予定情報取得部203は、車両100を利用するユーザの、現在時刻の直近の予定情報(スケジュール情報)をスケジューラから取得する。予定情報には、予定の名称、開始時刻及び終了時刻、場所等の情報を含むことができる。例えば、ユーザが外部のサーバが提供するスケジューラサービスを利用している場合には、当該スケジューラサービスから予定情報を読み込むためのIDやパスワード等の情報の登録を予めユーザから受け、ユーザ情報213の一部として管理しておけば良い。車両100から車両100又はユーザの識別情報を受信した場合には、予定情報取得部203は、当該識別番号に基づいてユーザ情報213を参照した上で、ユーザ情報213に含まれるIDやパスワードを用いてスケジューラサービスにログインした上で、当該スケジューラサービスから直近の予定情報を読み込めば良い。或いは、サーバ200自身が、スケジューラサービスを提供することも考えられる。その場合には、予定情報取得部203は、ユーザ情報213の一部として管理される予定情報を参照すれば良い。

以上、甲12の記載によると、甲12には、ユーザの目的地への出発に応じた処理を好適に行うことを可能とする車両とサーバとからなる車両システムにおいて、サーバが、車の位置とユーザのスケジューラからの直近の予定情報に基づいて、目的地に向けて出発するために、ユーザが車両を起動させた可能性が高いと判定した場合、車両は、自宅内の戸締まりや家電の情報を収集可能な宅内情報機器から、戸締まりや家電の状態に関する情報を受信し、表示装置にそれらの情報を表示し、ユーザが外部のサーバが提供するスケジューラサービスを利用している場合には、サーバは、スケジューラサービスから予定情報を読み込むためのIDやパスワード等の情報の登録を予めユーザから受けて管理し、外部のスケジューラサービスにログインして、直近の予定情報を読み込むことが記載されている。

5 理由1についての当審の判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「予定蓄積部」は「記憶手段」といえるから、甲1発明の「予定を登録する予定蓄積部と表示部とを備えるコンピュータを、」「機能させるためのスケジュール管理プログラム」は、本件発明1と同様の「記憶手段を備えるコンピュータを、」「機能させるためのプログラム」であるといえる。
イ 甲1発明において、「入力された」「新たな」「予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合、他の予定は、新たな予定の入力よりも前に、入力部により要件、時間、場所などの入力が受け付けられ、予定処理部により、予定蓄積部に登録されたものであり、新たな予定の場所と他の予定の場所とは、異なっていてもよく、新たな予定の時間は、他の予定の後でもよいものである。
よって、甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」は、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」ということができる。
ここで、甲1発明の「要件、時間、場所を含む他の予定」、「他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定」は、それぞれ、本件発明1の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュール」、「第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュール」に相当するから、甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」、すなわち、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」の構成は、本件発明1の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段」に相当する。
ウ 甲1発明の「移動時間算出部」において、「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間」が算出され、「予定処理部」において、調べられた「移動経路毎の移動時間の中」の「前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のもの」は、前後の予定の空き時間で移動可能な移動経路であるから、甲1発明の「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間を算出する移動時間算出部」と「移動時間算出部で調べられた移動経路とその移動時間のうち、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ」る「予定処理部」の構成は、本件発明1の「前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段」に相当する。
エ 甲1発明の「移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ、あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部に登録」する「予定処理部」の構成と、本件発明1の「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」とは、いずれも、「前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」である点で共通する。

オ 以上、ア?エによると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
として機能させるためのプログラム。
[相違点1-1]
本件発明1は、「検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段」を備えるのに対し、甲1発明では、そのような手段を備えていない点。
[相違点1-2]
「追加手段」により「記憶手段に記憶」される「検索手段の検索結果」が、本件発明1では、「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた」「検索結果」であるのに対し、甲1発明では、「移動時間が最も短かい」「検索結果」である点。

カ まず、上記[相違点1-1]について検討する。
甲3には、上記のとおり、出発地から目的地までの案内情報を提供する案内情報提供装置において、顧客の地点を出発地とし、施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段と、出発地および目的地を含む経路探索条件に加えて、施設の利用時間に関する情報(イベント開始時刻、開場時刻、開館時間、閉館日など)、施設への利用可能な移動手段に関する情報(利用不可能な移動手段や、利用可能な移動手段を特定する情報)に基づいて、出発地及び目的地以外の詳細条件を、経路探索条件に追加して設定する追加条件設定手段とを備え、追加条件設定手段により詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの複数の案内経路を含む経路探索結果を提供する案内情報提供装置が記載され、「施設への利用可能な移動手段に関する情報」は、施設への利用可能な移動手段を間接的に類推させるような情報(例えば、駐車場が無いことや、イベントの類別「飲食パーティ」や、施設の類別「居酒屋」など飲酒することが予想される場合など、移動手段として自家用車が利用できないことを類推させる情報、あるいは、引き出物等の荷物が提供される予定の場合など、自家用車を利用することが好ましいことを類推させる情報)であってもよいことが記載されている。
そうすると、甲3には、目的地の場所が「居酒屋」である場合に、「検索手段」に対して、出発地と目的地の経路探索条件に加えて、移動手段として自家用車を利用できないという追加の条件を付加して経路探索することは記載されているが、この追加の条件は、検索結果が一つか複数かに関係なく検索手段に対して追加の検索条件として付加されるものであって、検索手段による検索結果が複数存在する場合に、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出するためのものではない。
また、甲2及び甲4にも、検索結果が複数存在する場合、目的地の場所の種類に基づき、検索手段による複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出することは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明、甲2?甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点1-1]に係る構成を容易に想到し得た事項であるとはいえない。
よって、上記[相違点1-2]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2?4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
本件発明2と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「予定蓄積部」は「記憶手段」といえるから、甲1発明の「予定を登録する予定蓄積部と表示部とを備えるコンピュータを、」「機能させるためのスケジュール管理プログラム」は、本件発明2と同様の「記憶手段を備えるコンピュータを、」「機能させるためのプログラム」であるといえる。
イ 甲1発明において、「入力された」「新たな」「予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合、他の予定は、新たな予定の入力よりも前に、入力部により要件、時間、場所などの入力が受け付けられ、予定処理部により、予定蓄積部に登録されたものであり、新たな予定の場所と他の予定の場所とは、異なっていてもよく、新たな予定の時間は、他の予定の後でもよいものである。
よって、甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」は、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」ということができる。
ここで、甲1発明の「予定」の「要件」は、本件発明の「ユーザの目的情報」に相当するものであり、甲1発明の「要件、時間、場所を含む他の予定」、「他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定」は、それぞれ、本件発明2の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュール」、「第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報及び当該第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報を含む第二スケジュール」に相当するから、甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」、すなわち、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」の構成は、本件発明2の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報及び当該第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段」に相当する。
ウ 甲1発明の「移動時間算出部」において、「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間」が算出され、「予定処理部」において、調べられた「移動経路毎の移動時間の中」の「前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のもの」は、前後の予定の空き時間で移動可能な移動経路であるから、甲1発明の「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間を算出する移動時間算出部」と「移動時間算出部で調べられた移動経路とその移動時間のうち、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ」る「予定処理部」の構成は、本件発明2の「前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段」に相当する。
エ 甲1発明の「移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ、あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部に登録」する「予定処理部」の構成と、本件発明2の「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」とは、いずれも、「前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」である点で共通する。

オ 以上、ア?エによると、本件発明2と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報及び当該第二場所が示す場所でのユーザの目的情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
として機能させるためのプログラム。
[相違点2-1]
本件発明2は、「検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記目的情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段」を備えるのに対し、甲1発明では、そのような手段を備えていない点。
[相違点2-2]
「追加手段」により「記憶手段に記憶」される「検索手段の検索結果」が、本件発明2では、「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた」「検索結果」であるのに対し、甲1発明では、「移動時間が最も短かい」「検索結果」である点。

カ まず、上記[相違点2-1]について検討する。
甲3には、上記のとおり、出発地から目的地までの案内情報を提供する案内情報提供装置において、顧客の地点を出発地とし、施設の地点を目的地とする経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段と、出発地および目的地を含む経路探索条件に加えて、施設の利用時間に関する情報(イベント開始時刻、開場時刻、開館時間、閉館日など)、施設への利用可能な移動手段に関する情報(利用不可能な移動手段や、利用可能な移動手段を特定する情報)に基づいて、出発地及び目的地以外の詳細条件を、経路探索条件に追加して設定する追加条件設定手段とを備え、追加条件設定手段により詳細条件が追加された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの複数の案内経路を含む経路探索結果を提供する案内情報提供装置が記載され、「施設への利用可能な移動手段に関する情報」は、施設への利用可能な移動手段を間接的に類推させるような情報(例えば、駐車場が無いことや、イベントの類別「飲食パーティ」や、施設の類別「居酒屋」など飲酒することが予想される場合など、移動手段として自家用車が利用できないことを類推させる情報、あるいは、引き出物等の荷物が提供される予定の場合など、自家用車を利用することが好ましいことを類推させる情報)であってもよいことが記載されている。
そうすると、甲3には、目的地でのユーザの目的情報が「飲食パーティ」である場合に、「検索手段」に対して、出発地と目的地の経路探索条件に加えて、移動手段として自家用車を利用できないという追加の条件を付加して経路探索することは記載されているが、この追加の条件は、検索結果が一つか複数かに関係なく検索手段に対して追加の検索条件として付加されるものであって、検索手段による検索結果が複数存在する場合に、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出するためのものではない。
また、甲2及び甲4にも、検索結果が複数存在する場合、目的地でのユーザの目的情報に基づき、検索手段による複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出することは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明、甲2?甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点2-1]に係る構成を容易に想到し得た事項であるとはいえない。
よって、上記[相違点2-2]について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲2?4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3について
本件発明3と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「予定蓄積部」は「記憶手段」といえるから、甲1発明の「予定を登録する予定蓄積部と表示部とを備えるコンピュータを、」「機能させるためのスケジュール管理 プログラム」は、本件発明3と同様の「記憶手段を備えるコンピュータを、」「機能させるためのプログラム」であるといえる。
イ 甲1発明において、「入力された」「新たな」「予定の直前および/または直後に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合、他の予定は、新たな予定の入力よりも前に、入力部により要件、時間、場所などの入力が受け付けられ、予定処理部により、予定蓄積部に登録されたものであり、新たな予定の場所と他の予定の場所とは、異なっていてもよく、新たな予定の時間は、他の予定の後でもよいものである。
よって、甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」は、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」ということができる。
ここで、甲1発明の「要件、時間、場所を含む他の予定」、「他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定」は、それぞれ、本件発明3の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュール」、「第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュール」に相当するから、甲1発明の甲1発明の「新たな」「予定の直前に他の予定が予定蓄積部に登録されてい」る場合に、「ユーザから、新たな予定の要件、時間、場所などの入力を」「入力部」により受け付け、「入力部で入力された予定を予定蓄積部に蓄積」する「予定処理部」、すなわち、「要件、時間、場所を含む他の予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積し、前記他の予定と場所が異なり、時間が後の、要件、時間、場所を含む新たな予定の入力を入力部により受け付け、予定蓄積部に蓄積する予定処理部」の構成は、本件発明3の「第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段」に相当する。
ウ 甲1発明の「移動時間算出部」において、「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間」が算出され、「予定処理部」において、調べられた「移動経路毎の移動時間の中」の「前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のもの」は、前後の予定の空き時間で移動可能な移動経路であるから、甲1発明の「入力された予定の場所と登録済みの予定の場所の間の移動経路とその移動時間を算出する移動時間算出部」と「移動時間算出部で調べられた移動経路とその移動時間のうち、移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ」る「予定処理部」の構成は、本件発明3の「前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段」に相当する。
エ 甲1発明の「移動経路毎の移動時間の中に前後の予定の空き時間との差が所定の時間T以上のものがあるかどうか調べ、あれば、そのうちで移動時間が最も短かい移動経路をその移動時間とともに予定蓄積部に登録」する「予定処理部」の構成と、本件発明3の「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた場合に、前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」とは、いずれも、「前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段」である点で共通する。
オ 以上、ア?エによると、本件発明3と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
記憶手段を備えるコンピュータを、
第一場所情報を含むユーザの第一スケジュールと、当該第一スケジュールよりも後の当該ユーザの第二スケジュールであって、前記第一場所情報とは異なる第二場所情報を含む第二スケジュールを受け付けて前記記憶手段に記憶する受付手段、
前記第一スケジュールの第一場所情報が示す場所から、前記第二スケジュールの第二場所情報が示す場所までの移動経路であって、当該第一スケジュールと当該第二スケジュールの間で移動可能な移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段の検索結果を、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールとの間の前記ユーザの移動スケジュールとして前記記憶手段に記憶する追加手段、
として機能させるためのプログラム。
[相違点3-1]
本件発明3は、「検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中から一つの検索結果を前記ユーザに提案し、前記ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果を当該ユーザに提案する提案手段」を備えるのに対し、甲1発明では、そのような手段を備えていない点。
[相違点3-2]
「追加手段」により「記憶手段に記憶」される「検索手段の検索結果」が、本件発明3では、「前記提案手段による提案に対して前記ユーザの承認が得られた」「検索結果」であるのに対し、甲1発明では、「移動時間が最も短かい」「検索結果」である点。
[相違点3-3]
本件発明3では、「提案手段による提案に対してユーザの承認が得られた場合に当該ユーザに報酬を付与する付与手段」を備えるのに対し、甲1発明では、そのような手段を備えていない点。

カ まず、上記[相違点3-3]について検討する。
甲5には、上記のとおり、カーナビゲーションシステムにおいて、渋滞している区間又は渋滞が予見される区間を検知した場合、迂回ルートを検索してカーナビ上に表示させるとともに、迂回ルート上の店舗での商品の購入に対して割り増しのポイントを付与すること、又は、迂回ルートを通過することによってポイントを付与することにより、消費者が交通渋滞の際に積極的に迂回ルートを選択するように誘導することが記載されている。
また、甲6には、上記のとおり、自動車のドライバーが経路検索等に利用するナビゲーション装置において、渋滞回避のリクエストやナビゲーション対象の自動車の動向に基づいて、迂回経路を生成し、ドライバーに提示して迂回行動を誘引し、実際に迂回経路を走行した場合に、クーポンを当該ドライバー向けに取得し使用可能とすることが記載されている。
そうすると、甲5、6には、カーナビゲーションシステムにおいて、交通渋滞時に迂回経路を表示し、ユーザが自動車で迂回経路を走行した場合に、ユーザにポイントやクーポンを付与することは記載されているが、ポイントやクーポンは、自動車で迂回経路を走行した場合に付与されるのであって、提案手段による提案に対してユーザの承認が得られた場合に付与されるものではない。
また、甲2、4、7、8にも、提案手段による提案に対してユーザの承認が得られた場合にユーザに報酬を付与することは記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明、甲2、甲4?8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点3-3]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。
よって、上記[相違点3-1]、上記[相違点3-2]について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲2、4?8に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1?3のいずれかを引用し、さらに、「前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」という限定を付加したものである。
甲9は、本件発明1の上記[相違点1-1]に係る構成、本件発明2の上記[相違点2-1]に係る構成、本件発明3の上記[相違点3-3]に係る構成のいずれも開示するものではない。
したがって、本件発明4は、上記(1)?(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4、9に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明5について
本件発明5は、本件発明1?4のいずれかを引用し、さらに、「前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの移動経路の履歴に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」という限定を付加したものであり、本件発明1?3のいずれかの構成を備えている。
甲9は、本件発明1の上記[相違点1-1]に係る構成、本件発明2の上記[相違点2-1]に係る構成、本件発明3の上記[相違点3-3]に係る構成のいずれも開示するものではない。
したがって、本件発明5は、上記(1)?(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4、9に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1?5のいずれかを引用し、さらに、「前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記第一スケジュールと前記第二スケジュールの間の時間帯の天候情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」という限定を付加したものであり、本件発明1?3のいずれかの構成を備えている。
甲10は、本件発明1の上記[相違点1-1]に係る構成、本件発明2の上記[相違点2-1]に係る構成、本件発明3の上記[相違点3-3]に係る構成のいずれも開示するものではない。
したがって、本件発明6は、上記(1)?(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4、10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明7について
本件発明7は、本件発明1?6のいずれかを引用し、さらに、「前記検索結果が複数存在する場合、複数のユーザのスケジュールに基づき、複数の検索結果に係る移動経路の混雑状況を予測する予測手段」、「前記提案手段は、前記予測手段が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」という限定を付加したものであり、本件発明1?3のいずれかの構成を備えている。
甲11は、本件発明1の上記[相違点1-1]に係る構成、本件発明2の上記[相違点2-1]に係る構成、本件発明3の上記[相違点3-3]に係る構成のいずれも開示するものではない。
したがって、本件発明7は、上記(1)?(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4、11に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明8について
本件発明8は、本件発明1?7のいずれかを引用し、さらに、「前記受付手段は、通信ネットワークを介して前記記憶手段とは異なる他の記憶手段から前記ユーザのスケジュールを取得して、前記第一スケジュール又は前記第二スケジュールとして受け付け、前記検索手段は、前記受付手段が前記他の記憶手段から前記ユーザのスケジュールを取得したときに、前記移動経路を検索する」という限定を付加したものであり、本件発明1?3のいずれかの構成を備えている。
甲12は、本件発明1の上記[相違点1-1]に係る構成、本件発明2の上記[相違点2-1]に係る構成、本件発明3の上記[相違点3-3]に係る構成のいずれも開示するものではない。
したがって、本件発明8は、上記(1)?(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4、12に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(9)本件発明9について
本件発明9は、本件発明1の「プログラム」の発明を「情報処理装置」として記載した発明であって上記[相違点1-1]及び上記[相違点1-2]に係る構成を有しているから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(10)本件発明10について
本件発明10は、本件発明2の「プログラム」の発明を「情報処理装置」として記載した発明であって上記[相違点2-1]及び上記[相違点2-2]に係る構成を有しているから、上記(2)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2?4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(11)本件発明11について
本件発明11は、本件発明3の「プログラム」の発明を「情報処理装置」として記載した発明であって上記[相違点3-1]、上記[相違点3-2]及び上記[相違点3-3]に係る構成を有しているから、上記(3)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2、4?8に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(12)理由1についてのまとめ
以上によれば、本件発明1?本件発明11は、甲1?甲12の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 理由2についての当審の判断
(1)本件明細書の記載
本件明細書には以下のとおりの記載がある。
【0041】
予測手段58は、検索手段56の検索結果が複数存在する場合、複数のユーザのスケジュール50Dに基づき、複数の検索結果に係る移動経路の混雑状況を予測する機能手段である。例えば、予測手段58は、検索に係るユーザ以外の他のユーザのスケジュール50Dにおいて検索結果に係る移動経路を通ることが把握できた場合、当該移動経路の利用人数をインクリメントする。そして、移動経路の利用人数が閾値を超えない場合、その移動経路の混雑状況を「少」として予測し、移動経路の利用人数が閾値を超えた場合、その移動経路の混雑状況を「多」として予測する。
【0042】
提案手段60は、検索手段56の検索結果をユーザに提案する機能手段である。具体的には、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。嗜好情報は、ユーザのスケジュール50Dの履歴(特に移動スケジュールの移動履歴)に基づいて提案手段60が判定してもよいし、ユーザが入力操作により、ユーザ情報50Cの一部として記憶していてもよい。例えば、提案手段60は、ユーザの移動履歴に基づき、月に10回以上タクシーを利用しているから、嗜好情報として、このユーザはタクシーを使用することを好むと判定したり、安くいける電車の乗換を月に1回も利用してないので、嗜好情報として、このユーザは早く行くことを好むと判定したりする。
【0043】
また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの移動スケジュールの履歴、すなわち移動経路の履歴に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。例えば、提案手段60は、ユーザのバスの利用が他の移動手段よりも閾値以上高い場合、複数の検索結果の中からバスを利用するものを抽出してもよい。また、提案手段60は、ユーザの各駅停車の電車よりも所定駅を通過する電車を所定回数以上利用している場合、複数の検索結果の中から所定駅を通過する電車を利用するものを抽出してもよい。また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第一スケジュールと第二スケジュールの間の時間帯の天候情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出する。例えば、提案手段60は、天候情報が雨を示す場合、バスよりもタクシーを利用するものを抽出したり、値段が高くても乗換が少ない電車を抽出したりする。なお、天候情報は、通信ネットワークNTを介して外部のサーバ装置から取得される。
【0044】
また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。例えば、提案手段60は、第二場所情報が示す場所が会社関連の場所である場合には、遅れないようにタクシーを利用するものを抽出する。また、例えば、提案手段60は、第二場所情報が示す場所が遊園地等の遊戯関連の場所である場合には、乗換が多くても安く行けるものを抽出する。
【0045】
また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。例えば、提案手段60は、目的情報が示す目的が「会議」である場合には、遅れないようにタクシーを利用するものを抽出する。また、例えば、提案手段60は、目的情報が示す目的が「飲み会」である場合には、遅れる可能性があっても安く行けるものを抽出する。
【0046】
また、提案手段60は、予測手段58が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。例えば、提案手段60は、予測手段58が予測した混雑状況が、他の移動経路と比較して混雑していない移動経路を抽出する。また、例えば、提案手段60は、予測手段58が予測した混雑状況(利用人数)が閾値以下の移動経路を抽出する。
【0047】
また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中からユーザに最適な一つの検索結果をユーザの端末装置12に提案(出力)し、ユーザの承認が得られなかった場合に、複数の検索結果を当該ユーザの端末装置12に提案(出力)してもよい。
【0074】
(ステップSP44)
提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの嗜好情報、ユーザの移動経路の履歴、天候情報、第二場所情報が示す場所の種類、目的情報、及び/又は、予測手段58 が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する一又は複数の検索結果を抽出する。本実施形態では、提案手段60は、ユーザに最適な一つの検索結果を抽出する。そして、処理は、ステップSP46の処理に移行する。

(2)本件発明4について
ア 申立人の主張する理由
本件発明4について、申立人の主張する理由は、嗜好情報に基づいた検索結果の絞り込みについて規定した本件発明4は、第二場所情報が示す場所の種類に基づいた検索結果の抽出について規定した本件発明1と、第二場所情報が示す場所での目的情報に基づいた検索結果について規定した本件発明2と、一つの検索結果に対してユーザの承認が得られなかった場合に複数の検索結果を提案することについて規定した本件発明3を引用しているが、発明の詳細な説明では、場所の種類や目的情報に基づいて抽出された検索結果または一つの検索結果に対するユーザの承認が得られなかった場合に提案された複数の検索結果に対し、さらに嗜好情報を利用した絞り込みをする旨の記載はないというものである。
イ 本件明細書の記載
本件明細書の段落【0042】には、「提案手段60は、検索手段56の検索結果をユーザに提案する機能手段である。具体的には、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。」と記載され、段落【0044】には、「また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。」と記載され、段落【0045】には、「また、提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第二場所情報が示す場所でのユーザの目的情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。」と記載され、段落【0047】には、「提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中からユーザに最適な一つの検索結果をユーザの端末装置12に提案(出力)し、ユーザの承認が得られなかった場合に、複数の検索結果を当該ユーザの端末装置12に提案(出力)してもよい。」と記載され、段落【0074】には、「提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの嗜好情報、ユーザの移動経路の履歴、天候情報、第二場所情報が示す場所の種類、目的情報、及び/又は、予測手段58 が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する一又は複数の検索結果を抽出する。」と記載されている。
ウ 請求項1の記載を引用する本件発明4について
本件明細書の段落【0042】、【0044】、【0074】の記載によると、本件明細書の発明の詳細な説明には、検索結果が複数存在する場合、「第二場所情報が示す場所の種類とユーザの嗜好情報」に基づき、複数の結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段が記載されている。
したがって、請求項1の記載を引用する本件発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
エ 請求項2の記載を引用する本件発明4について
本件明細書の段落【0042】、【0045】、【0074】の記載によると、本件明細書の発明の詳細な説明には、検索結果が複数存在する場合、「ユーザの目的情報とユーザの嗜好情報」に基づき、複数の結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段が記載されている。
したがって、請求項2の記載を引用する本件発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
オ 請求項3の記載を引用する本件発明4について
本件明細書の段落【0042】、【0047】、【0074】の記載によると、本件明細書の発明の詳細な説明には、検索結果が複数存在する場合、「ユーザの嗜好情報」に基づき、複数の結果の中から一つの検索結果をユーザに提案し、ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果をユーザに提案する提案手段が記載されている。
したがって、請求項3の記載を引用する本件発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
カ 申立人の主張について
本件発明4は、請求項1乃至3の何れか1項を引用するものであり、請求項1乃至3の何れか1項に記載の「提案手段」を限定したものである。
(ア) 請求項1には、「前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記第二場所情報が示す場所の種類に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する提案手段」と記載され、請求項4は、当該提案手段について、「前記検索手段の」「前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」と限定したものである。
請求項1及び請求項4の「提案手段」は、いずれも、「前記検索結果が複数存在する場合、」「複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果抽出する」ことを特定したものであって、請求項1は、「第二場所情報が示す場所の種類」に基づいて抽出することを特定したものであり、請求項4は、「ユーザの交通に係る嗜好情報」に基づいて抽出することを特定したものであるから、請求項1を引用する本件発4の「提案手段」は、「前記検索結果が複数存在する場合、」「第二場所情報が示す場所の種類」及び「ユーザの交通に係る嗜好情報」に基づいて、「複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果抽出する」ことを特定したものである。
よって、請求項1を引用する本件発明4の「提案手段」は、検索手段の検索結果を「場所の種類」及び「ユーザの交通に係る嗜好情報」に基づいて抽出することを特定したものであって、提案手段により場所の種類に基づいて抽出した検索結果に対して、さらに嗜好情報を利用した絞り込みをするものではない。
(イ) 請求項2を引用する本件発明4の「提案手段」は、上記(ア)と同様に、「前記検索結果が複数存在する場合、」「前記目的情報」及び「ユーザの交通に係る嗜好情報」に基づいて、「複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果抽出する」ことを特定するものであるから、提案手段により目的情報に基づいて抽出された検索結果に対して、さらに嗜好情報を利用した絞り込みをするものではない。
(ウ) 本件発明3は、「提案手段」について、「前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、複数の検索結果の中から一つの検索結果を前記ユーザに提案し、前記ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果を当該ユーザに提案する提案手段」と特定している。
一方、本件発明4は、「提案手段」について、「前記提案手段は、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中から前記ユーザに提案する検索結果を抽出する」と特定している。
そうすると、本件発明3の「提案手段」は、複数の検索結果の出力について特定したものであり、本件発明4の「提案手段」は、複数の検索結果からユーザに提案する検索結果の抽出について特定したものである。本件発明3の「提案手段」が、出力について特定したものであることは、本件明細書の段落【0047】に「複数の検索結果の中からユーザに最適な一つの検索結果をユーザの端末装置12に提案(出力)し、ユーザの承認が得られなかった場合に、複数の検索結果を当該ユーザの端末装置12に提案(出力)してもよい。」と記載され、「提案」と「出力」とを同じ意味で記載していることから、本件明細書の記載とも整合する。
したがって、請求項3の記載を引用する本件発明4は、請求項3の「提案手段」の「複数の検索結果の中から一つの検索結果」を抽出することについて特定するものであって、「前記検索手段の検索結果を前記ユーザに提案する提案手段であって、前記検索結果が複数存在する場合、前記ユーザの交通に係る嗜好情報に基づき、複数の検索結果の中から一つの検索結果を抽出して前記ユーザに提案し、前記ユーザの承認が得られなかった場合に、当該複数の検索結果を当該ユーザに提案する提案手段」と特定したものであり、提案手段により、一つの検索結果に対するユーザの承認が得られなかった場合に提案された複数の検索結果に対して、さらに、嗜好情報を利用した絞り込みをするものではない。

(3)本件発明5について
本件明細書の段落【0043】には、「提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、ユーザの移動スケジュールの履歴、すなわち移動経路の履歴に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。」と記載され、段落【0074】には、「検索結果が複数存在する場合、ユーザの嗜好情報、ユーザの移動経路の履歴、天候情報、第二場所情報が示す場所の種類、目的情報、及び/又は、予測手段58 が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する一又は複数の検索結果を抽出する。」と記載されているから、場所の種類と移動経路の履歴、目的情報と移動経路の履歴、嗜好情報と移動経路の履歴、場所の種類と嗜好情報と移動経路の履歴、目的情報と嗜好情報と移動経路の履歴に基づいて、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出することが記載されている。
したがって、上記(2)に示した理由と同様に、請求項1乃至4の何れか1項の記載を引用する本件発明5は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(4)本件発明6について
本件明細書の段落【0043】には、「提案手段60は、検索結果が複数存在する場合、第一スケジュールと第二スケジュールの間の時間帯の天候情報に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出する。」と記載され、段落【0074】には、「検索結果が複数存在する場合、ユーザの嗜好情報、ユーザの移動経路の履歴、天候情報、第二場所情報が示す場所の種類、目的情報、及び/又は、予測手段58 が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する一又は複数の検索結果を抽出する。」と記載されている。
したがって、上記(2)、(3)に示した理由と同様に、請求項1乃至5の何れか1項の記載を引用する本件発明6は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(5)本件発明7について
本件明細書の段落【0041】には、「予測手段58は、検索手段56の検索結果が複数存在する場合、複数のユーザのスケジュール50Dに基づき、複数の検索結果に係る移動経路の混雑状況を予測する機能手段である。」と記載され、段落【0046】には、「提案手段60は、予測手段58が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する検索結果を抽出してもよい。」と記載され、段落【0074】には、「検索結果が複数存在する場合、ユーザの嗜好情報、ユーザの移動経路の履歴、天候情報、第二場所情報が示す場所の種類、目的情報、及び/又は、予測手段58 が予測した各移動経路の混雑状況に基づき、複数の検索結果の中からユーザに提案する一又は複数の検索結果を抽出する。」と記載されている。
したがって、上記(2)?(4)に示した理由と同様に、請求項1乃至6の何れか1項の記載を引用する本件発明7は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(6)理由2についてのまとめ
以上によると、本件発明4?7は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、本件発明4?7について、本件特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。

7 理由3についての当審の判断
申立人の主張する理由3は、本件発明4?本件発明7について、発明の詳細な説明は、場所の種類や目的情報に基づいて抽出された結果または一つの検索結果に対するユーザの承認が得られなかった場合に提案された複数の検索結果に対し、さらに嗜好情報を利用した絞り込みをする旨等の記載はないことを理由として、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明4?本件発明7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないというものである。
しかしながら、上記「6 理由2についての当審の判断」において示したとおり、本件発明4?本件発明7は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、申立人の理由3についての上記の主張は成立しないから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明4?本件発明7を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしている。

8 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-01-14 
出願番号 特願2019-132605(P2019-132605)
審決分類 P 1 651・ 536- Y (G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松田 岳士  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 岡 裕之
高瀬 勤
登録日 2020-02-28 
登録番号 特許第6667863号(P6667863)
権利者 株式会社MaaS Tech Japan
発明の名称 プログラム及び情報処理装置  
代理人 小林 功  

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