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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G01B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G01B
管理番号 1371667
異議申立番号 異議2020-700238  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-06 
確定日 2020-12-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6590455号発明「検査ユニット、プログラム及び記憶媒体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6590455号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-8〕について訂正することを認める。 特許第6590455号の請求項1、2、3、7、8に係る特許を維持する。 特許第6590455号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6590455号(以下「本件特許」という。)の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成31年2月26日に出願され、令和元年9月27日にその特許権の設定登録がされ、同年10月16日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての手続の経緯は、次のとおりである。
令和2年 4月 6日 :特許異議申立人平田崇子による請求項1-4、 7-8に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年 8月31日付け:取消理由通知書
令和2年10月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、上記訂正請求書による請求の内容は、実質的に、取消理由が通知された請求項を削除する訂正のみであるから、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情がある場合(特許法120条の5第5項)に該当すると認め、特許異議申立人が意見書を提出する機会は、設けなかった。


第2 訂正の適否
1 本件訂正の内容
令和2年10月22に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件訂正前(本件特許の特許権の設定の登録の時をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項2-8について訂正するものである。
本件訂正は、それぞれ独立型式の請求項である請求項2及び請求項3の訂正を含み、本件訂正前の請求項4-8は、本件訂正前の請求項2及び請求項3を直接又は間接的に引用して記載されているから、本件訂正前の請求項2-8は、一群の請求項である。したがって、本件訂正の請求は、本件訂正前の請求項2-8について請求項ごとにする訂正の請求であり、かつ、本件訂正前の請求項2-8の一群の請求項ごとにする訂正の請求である。

(1)本件訂正前後の特許請求の範囲の記載
本件訂正前及び本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、それぞれ、次のとおりである。下線は、訂正箇所を示すために当審が付した。

ア 本件訂正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置と、処理装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項2】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして、前記投影装置に対して静止した前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影する検査ユニット。
【請求項3】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、発光素子が発光する光の輝度分布をシフト方向に沿ってシフトすることにより、投影画像を、前記シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影する
検査ユニット。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項5】
請求項1又は請求項4記載の検査ユニットであって、
前記検査準備処理は、前記投影準備処理に加えて、撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理の前に、前記撮影準備第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影装置における明るさを規定する撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第1処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影パラメータ調整第1処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記撮影パラメータの仮設定値を取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記撮影装置によって、前記撮影パラメータの前記仮設定値を使用して撮影し、
前記処理装置は、前記投影準備処理の後に、前記撮影準備第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータを変更しつつ、
1回以上の撮影パラメータ調整第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第2処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータ調整第2処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記検査処理における前記撮影パラメータの設定値を取得する
検査ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の検査ユニットであって、
前記撮影パラメータは、前記撮影装置の露光時間及び感度である
検査ユニット。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1又は請求項4から請求項6までのいずれかの検査ユニットにおける処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7のプログラムを記憶した記憶媒体。」

イ 本件訂正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置と、処理装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項2】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして、前記投影装置に対して静止した前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項3】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、発光素子が発光する光の輝度分布をシフト方向に沿ってシフトすることにより、投影画像を、前記シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の検査ユニットであって、
前記検査準備処理は、前記投影準備処理に加えて、撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理の前に、前記撮影準備第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影装置における明るさを規定する撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第1処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影パラメータ調整第1処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記撮影パラメータの仮設定値を取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記撮影装置によって、前記撮影パラメータの前記仮設定値を使用して撮影し、
前記処理装置は、前記投影準備処理の後に、前記撮影準備第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータを変更しつつ、
1回以上の撮影パラメータ調整第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第2処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータ調整第2処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記検査処理における前記撮影パラメータの設定値を取得する
検査ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の検査ユニットであって、
前記撮影パラメータは、前記撮影装置の露光時間及び感度である
検査ユニット。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から請求項3までのいずれか又は請求項5又は請求項6の検査ユニットにおける処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7のプログラムを記憶した記憶媒体。」

(2)訂正事項
本件訂正は、次の訂正事項1から訂正事項5を内容とするものである。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に請求項4の特徴の全て、すなわち、次の技術事項を付加する。なお、訂正後の請求項2は、実質的には、請求項4のうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改めたものと同じである。請求項2を直接又は間接的に引用する請求項5-8も同様に訂正する。
「 前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に請求項4の特徴の全て、すなわち、次の技術事項を付加する。なお、訂正後の請求項3は、実質的には、請求項4のうち、請求項3を引用するものについて、独立形式に改めたものと同じである。請求項3を直接又は間接的に引用する請求項5-8も同様に訂正する。
「 前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」。

ウ 訂正事項3
請求項4を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5が引用する請求項を「請求項1又は請求項4」から「請求項1から請求項3までのいずれか」に訂正する。また、請求項5を引用する請求項6も同様に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7が引用する請求項を「請求項1又は請求項4から請求項6までのいずれか」から「請求項1から請求項3までのいずれか又は請求項5又は請求項6」に訂正する。また、請求項7を引用する請求項8も同様に訂正する。

2 本件訂正についての当審の判断
本件訂正は、本件訂正前の請求項2-8について請求項ごとに請求されたものであり、かつ、本件訂正前の請求項2-8の一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法120条の5第3項及び4項に規定する要件を満たしている。

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項2について、次の、本件訂正前の請求項4に記載されていた技術事項を付加して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号の特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
「 前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」。
そして、訂正後の請求項2は、実質的には、請求項4のうち請求項2を引用するものについて独立形式に改めたものと同じであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。したがって、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
請求項2を直接又は間接的に引用する請求項5-8についての訂正も同様である。
したがって、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし第1号の特許請求の範囲の減縮に該当し、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項3について、次の、本件訂正前の請求項4に記載されていた技術事項を付加して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号の特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
「 前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」。
そして、訂正後の請求項3は、実質的には、請求項4のうち請求項3を引用するものについて独立形式に改めたものと同じであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。したがって、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
請求項3を直接又は間接的に引用する請求項5-8についての訂正も同様である。
したがって、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項4を削除する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号の特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項3は、請求項を削除する訂正であることから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。したがって、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、形式的には、請求項5が引用する請求項を「請求項1又は請求項4」から「請求項1から請求項3までのいずれか」に訂正するものであって、本件訂正後の請求項5には内容上の実質的な変更はなく(前記(1)及び(2)を参照)、訂正事項3による請求項4の削除に伴う不合理を解消することを目的としたものであり、特許法120条の5第2項ただし書3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項4による訂正後の請求項5は、当該訂正により内容上の実質的な変更はなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。したがって、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
請求項5を引用する請求項6についての訂正も同様である。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、形式的には、請求項7が引用する請求項を「請求項1又は請求項4から請求項6までのいずれか」から「請求項1から請求項3までのいずれか又は請求項5又は請求項6」に訂正するものであって、本件訂正後の請求項7には内容上の実質的な変更はなく前記(1)及び(2)を参照)、訂正事項3による請求項4の削除に伴う不合理を解消することを目的としたものであり、特許法120条の5第2項ただし書3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項5による訂正後の請求項7は、当該訂正により内容上の実質的な変更はなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。したがって、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
請求項7を引用する請求項8についての訂正も同様である。

(6)独立特許要件について
本件の特許異議の申立てにおいては、請求項1-4、7、8について特許異議の申立てがされているから、本件訂正後における請求項2-4、7、8に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
また、異議申立てがされていない請求項5、6についての訂正は、前記(4)に説示したとおり、特許法120条の5第2項ただし書3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。

(7)小括
以上検討のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。そして、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-8〕について訂正することを認める。


第3 本件特許に係る発明
前記第2のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1から請求項8は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲(前記第2の1(1)イ参照)の請求項1から請求項8に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下、本件特許の請求項1から8に係る発明を、請求項の番号に従って、それぞれ、「本件発明1」などという。)。


第4 取消理由通知で通知した取消理由について
1 取消理由の要旨
訂正前の請求項2、3に係る特許に対して、当審が令和2年 8月31日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由1(新規性)
本件特許の請求項2、3に係る発明は、下記に示すとおり、特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。



甲第1号証:特開2009-168454号公報

理由2(明確性)
請求項2及び3には、「検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能」であることが記載されており、「検査処理」においては、「前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し」と記載されている一方、「検査準備処理」においては、「投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影する」と記載されており、両者の処理内容に実質的な差異が認められない。その結果、「検査準備処理」が、「検査」に関していかなる「準備」を行う「処理」なのか把握できず、請求項2及び3に係る発明は明確でない。
したがって、請求項2、3に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。


理由3(サポート要件)
請求項2及び3に記載されている「検査準備処理」について、発明が解決しようとする課題として、発明の詳細な説明の【0005】には、「対象物に投影されるパターンの明るさ、撮影における露光時間及び感度等の様々な検査パラメータを設定する必要がある」こと、【0006】には、「本発明は、検査に熟練した者でなくても欠陥を精度よく検出可能な検査ユニットを提供することを目的とする」ことが記載されている。
請求項2及び3には、発明の詳細な説明の【0010】に記載されているような、当該課題を解決するための手段が記載されていないから、請求項2及び3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
したがって、請求項2、3に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。


2 理由1について
(1)引用文献に記載された発明等
甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。

「【0001】
本発明は、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物を光学的な手段により撮像して、当該被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法に関する。」

「【0035】
【数1】

数式(1)において、aは輝度振幅、φは位相値、bは背景輝度を示す。
【0036】
本実施形態では、縞状パターンの縞の濃淡の輝度は、図2に示すように、縞の延在方向については同じ輝度を有し、縞の延在方向の直交方向に対して周期式が既知の正弦波となるパターンを有している。」

「【0038】
スクリーン3に投影された縞状パターンの光は、スクリーン3A面で反射して載置台4の上に置かれた被検査物100に到達する。被検査物100は、表面が鏡面反射の性質を有し、自動車のボディや樹脂板など光沢のある金属、プラスチック、窯材、ガラス、フィルムなどが例示できる。」

「【0045】
次に、図1Bに示す表面欠陥検査装置1Bについて、縞状パターンの光を被検査物100に投影する構成について説明する。
【0046】
図1Bの表面欠陥検査装置1Bは、フラットパネルディスプレイ3B,載置台4,撮像部5,制御演算部6Bを備える。制御演算部6Bは、フラットパネルディスプレイ3Bと撮像部5に接続されており、フラットパネルディスプレイ3Bに所定のパターンを表示させると共に撮像部5によって撮像された画像の分析を行う。フラットパネルディスプレイ3Bを用いることで、プロジェクターを必要としないため、ディスプレイのみで所定のパターンを表示することができる。
【0047】
フラットパネルディスプレイ3Bとしては、制御演算部6Bからの出力信号を受けて、所定のパターンを有する光を被検査物100にそのパターンを写すことができる程度の輝度をもって発光できるものであればよい。具体的には、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。また、液晶ディスプレイを用いた場合には、液晶により偏光された縞パターンがディスプレイの表示面に表示されるので、被検査物100と干渉することがある。これを防止するために、液晶ディスプレイの表面にポリエステルフィルムを貼着などの手段により設け、液晶ディスプレイから発光した光を無偏光の状態とすることができる。または偏光フィルムを液晶ディスプレイ表面に貼り付けることにより、偏光特性をもつようなサンプルとの干渉を避けることができる。
【0048】
次に、撮像部5が撮像した画像に基づいて、制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理について説明する。図5は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bの機能ブロックを示す図であり、図6は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理フローである。
【0049】
図5に示すように、制御演算部6A,6Bは、CPU10と発光出力部16と制御プログラム格納部17と撮像出力部18と画像受信部19とを備える。CPU10は、制御プログラムからのプログラムシーケンスに基づいて、装置の制御演算を司り、それぞれの機能部ロックとして、発光制御部11,撮像制御部12,画像分析部13、振幅画像作成部14、欠陥判断部15としての各機能を実現する。
【0050】
発光出力部16は、プロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bと接続し、発光制御部11で作成された所定の縞状パターンを表示するための出力信号をプロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bに出力する。
【0051】
撮像出力部18は、撮像部5と接続され、撮像制御部12によって作成された撮像のためのトリガー信号を所定のタイミングで出力する。画像受信部19は、撮像部5によって撮像され、画像分析部13などで行われる表面欠陥検査に用いられる画像を受信する。
【0052】
制御演算部6A,6Bは、表面欠陥検査のための処理として、まず、発光制御部11によって作成された周期式が既知の縞パターンを有する画像信号を、発光出力部16を通してプロジェクター2などに送信し、スクリーンなどに所定のパターンを表示する(#1)。発光制御部11により作成されるパターンは、上記数式(1)に示される正弦波状の輝度変化を有する縞パターンであり、輝度振幅、位相値とも既知のものである。
【0053】
次に、制御演算部6A,6Bは、撮像制御部12により所定の撮像タイミングで発行されたトリガー信号を撮像出力部18を介して撮像部5に送信する。撮像部5は、トリガー信号を受信すると被検査物100の撮像を行い、撮像画像を画像受信部19に送信する(#2)。撮像部5によって撮像された被検査物に写し出される所定の縞パターンは、どの位相値を有しているかが既知であるため、撮像画像と、縞パターンのシフト量(最初の画像はシフト量0である)を対応づけて格納する。
【0054】
上記撮像を所定枚数の画像が得られるまで繰り返す。このとき、制御演算部6A,6Bは、撮像される縞パターンの位相値を2/πずつずらした状態となるように撮像する。すなわち、発光出力部16が所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させる。この動作の途中で、最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで撮像制御部12がトリガー信号を発行し、撮像部5により所定枚数例えば、4枚(1周期分)の撮像画像を撮影する。
【0055】
このようにして得られた複数枚の撮像画像は、画素を1つの分割領域として、以下の分析が行われ(#5)、画素ごとの位相値と振幅が演算される(#6)。
図7は、初期位相を持つ点における位相シフト量と輝度変化の関係を示す図である。まず、最初の任意の1画素について、連続して得られた撮像画像から輝度値を測定し、既知の周期式に当てはめて位相を演算する。すなわち、得られた4枚の撮像画像は、全ての分割領域(画素)について輝度は1周期分変化するため、その輝度変化から画素ごとに独立して、すなわち、周囲の画素の輝度変化の情報を使わずに位相値を求めることができる。」

「【0064】
この振幅aの演算を全ての画素について繰り返し行う(#7,#8)。全ての画素について、振幅aの演算が終了すると、振幅画像作成部14は、画素ごとの振幅値を画像の輝度に変換して振幅画像を作成する(#9)。振幅画像は、上記の演算により求められた振幅値aを画像解像度(8ビットまたは16ビット)に変換した画像であり、振幅が大きいほど明度を高くするように構成された画像である。
(中略)
【0066】
図8Aは、縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像の例を示す図である。図8Bは、図8Aの画像に基づいて作成された振幅画像の例を示す図である。図8Bの振幅画像によれば、図8Aの縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像と比較して被検査物である光ディスクケースの表面に存在する傷などの欠陥が可視できる状態に表されていることが分かる。欠陥判断部15は、得られた振幅画像に基づいて、表面の欠陥の有無を判断する。」

「【図1B】

【図2】



(2)甲第1号証に記載された発明
ア 甲第1号証の【0054】には、「発光出力部16が所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させる。この動作の途中で、最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで撮像制御部12がトリガー信号を発行し、撮像部5により所定枚数例えば、4枚(1周期分)の撮像画像を撮影」することが記載されているが、「縞パターンを所定の周期でずらす」ことは、「縞パターン」を一定方向に移動させることに他ならない。また、甲第1号証における「発光出力部16が所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させる」ということを、【0046】に記載されているように、「フラットパネルディスプレイ3B」で実現する場合、「フラットパネルディスプレイ3Bを構成する各発光素子が発光する光の輝度分布(縞パターン)を一定方向に沿って移動させる」ことにより実現していることは明らかである。

イ 甲第1号証の【0038】、【0045】、【0046】、【図1B】に記載されている装置構成、及び、【0054】の「所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させ」るという記載から、「フラットパネルディスプレイ3B」自体は静止していると認められ、当該「フラットパネルディスプレイ3B」は、「縞パターン」を「フラットパネルディスプレイ3B」に対して静止した「非検査物100」の表面に投影していることは、明らかである。

ウ 上記のア、イを踏まえつつ、前記(1)の記載をまとめると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する表面欠陥検査装置1Bであって(【0001】、【0045】)、
表面欠陥検査装置1Bは、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ3B、被検査物100の撮像を行う撮像部5(【0046】、【0047】、【0053】)を含み、
制御演算部6Bは、フラットパネルディスプレイ3Bと撮像部5に接続されており(【0046】)、
発光制御部11によって作成された、正弦波状の輝度変化を有する縞パターンを有する画像信号を、発光出力部16を通して送信し、フラットパネルディスプレイ3Bに前記縞パターンを所定の周期でずらしながら投影し(【0035】、【0052】、【0054】)、
フラットパネルディスプレイ3Bは、前記縞パターンを、フラットパネルディスプレイ3Bに対して静止した非検査物100に投影しており(【0038】、【0045】、【0046】、【0054】、【図1B】)、
フラットパネルディスプレイ3Bを構成する各発光素子が発光する光の輝度分布(正弦波状の輝度変化を有する縞パターン)を一定方向に沿って移動させ、この動作の途中で、最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで撮像制御部12がトリガー信号を発行し、撮像部5により所定枚数例えば、4枚(1周期分)の撮像画像を撮影し(【0036】、【0054】)、
4枚の撮像画像について、画素ごとの振幅が演算され、画素ごとの振幅値を画像の輝度に変換して振幅画像を作成し、得られた振幅画像に基づいて、表面の欠陥の有無を判断する(【0055】、【0064】、【0066】)表面欠陥検査装置1B」

(3)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明を対比すると、以下のとおりである。

(ア)甲1発明における「フラットパネルディスプレイ3B」、「撮像部5」は、それぞれ本件発明2における「投影装置」、「撮影装置」に相当する。

(イ)甲1発明における「被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する表面欠陥検査装置1B」は、本件発明2の「対象表面の欠陥を検出するための検査ユニット」に相当する。

(ウ)甲1発明において、「フラットパネルディスプレイ3B」は、「正弦波状
の輝度変化を有する縞パターン」を投影しているところ、当該「正弦波状」の「縞パターン」のうち輝度の明るいπ/2位相範囲の領域(例えば、【図2】の白色で表される領域)は、本件発明2の「明部」に相当する。また、甲1発明における「正弦波状」の「縞パターン」のうち輝度の暗いπ/2位相範囲の領域(例えば、【図2】の黒色で表される領域)は、本件発明2の「暗部」に相当する。甲1発明における「縞パターン」は、上記の明暗部を含む「縞パターン」を投影しているから、本件発明2における「1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含」む「投影画像」に相当する。

(エ)甲1発明において、「フラットパネルディスプレイ3B」は、「正弦波状の輝度変化を有する縞パターン」を、自身に対して「静止した非検査物100に投影可能」であることは、本件発明2において、「投影装置は、投影画像を、前記投影装置に対して静止した前記対象表面に投影可能」であることに相当する。また、「フラットパネルディスプレイ3B」は、「正弦波状の輝度変化を有する縞パターンを一定方向に沿って移動させ」るようにしていることは、本件発明2において、「投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして」いることに相当する。

(オ)甲1発明において、「フラットパネルディスプレイ3B」は、「縞パター
ンを所定の周期でずらしながら」「正弦波状の輝度変化を有する縞パターンを一定方向に沿って移動させ」るようにして「非検査物100に投影」し、「最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで」「4枚(1周期分)の撮像画像を撮影」しており、このとき、上記(ウ)で認定した甲1発明の「輝度の明るいπ/2位相範囲の領域」と、「輝度の暗いπ/2位相範囲の領域」は、「非検査物100」の全ての位置に投影されることとなる。よって、甲1発明の上記の事項は、本件発明2の「投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能」であることに相当する。

(カ)甲1発明において、「撮像部5」は「被検査物100の撮像」を行っていることは、本件発明2における「撮影装置は、前記対象表面を撮影可能」であることに相当する。

(キ)甲1発明において、「表面欠陥検査装置1B」が「被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する」処理が実行されていることは、本件発明2において、「検査ユニットは、検査処理を実行可能である」ことに相当する。

(ク)甲1発明において、「表面欠陥検査装置1B」は、「フラットパネルディ
スプレイ3B」によって「正弦波状の輝度変化を有する縞パターンを一定方向に沿って移動させ」るようにして、「非検査物100に投影」し、「撮像部5」により「4枚(1周期分)の撮像画像を撮影」し、「得られた振幅画像に基づいて、表面の欠陥の有無を判断する」ことが行われていることは、本件発明2における「検査ユニットは前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出」することに相当する。

(ケ)甲1発明における「制御演算部6B」は、本件発明2における「処理装置」に相当する。したがって、甲1発明における「制御演算部6Bは、フラットパネルディスプレイ3Bと撮像部5に接続されており」は、本件発明2における「検査ユニットは、処理装置を備えており」及び「前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており」に相当する。

イ 一致点及び相違点
前記アの対比の結果をまとめると、本件発明2と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(ア)一致点
「 対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして、前記投影装置に対して静止した前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理を実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されている
前記検査ユニット」

(イ)相違点
本件発明2の「検査ユニット」は、
「検査準備処理を実行可能であり、」
「前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、」「前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」のに対して、
甲1発明はこのような「検査準備処理」を「実行可能」であるとは認められない点。

ウ 判断
本件発明2は、上記(イ)の相違点を備える点において、甲1発明と異なるものであるから、特許法29条1項3号に該当するとは認められない。

(4)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1発明を対比すると、甲1発明おける「フラットパネルディスプレイ3Bを構成する各発光素子が発光する光の輝度分布(正弦波状の輝度変化を有する縞パターン)を一定方向に沿って移動させ」は、本件発明3における「前記投影装置は、発光素子が発光する光の輝度分布をシフト方向に沿ってシフトすること」に相当する。
この点及び前記(3)アの対比の結果の点をまとめると、本件発明3と甲1発明は、前記(3)のイ(イ)の相違点の点において相違する。

イ 判断
本件発明3は、前記(3)のイ(イ)の相違点を備える点において、甲1発明と異なるものであるから、特許法29条1項3号に該当するとは認められない。

3 理由2について
本件発明2及び本件発明3における検査準備処理は、
「投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」
ものであるから、検査準備処理が行う「投影準備処理」の内容は明確になっている。
したがって、特許請求の範囲の請求項2、3の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていると認められる。


4 理由3について
請求項2及び3に記載されている「検査準備処理」について、発明が解決しようとする課題として、発明の詳細な説明の【0005】には、「対象物に投影されるパターンの明るさ、撮影における露光時間及び感度等の様々な検査パラメータを設定する必要がある」こと、【0006】には、「本発明は、検査に熟練した者でなくても欠陥を精度よく検出可能な検査ユニットを提供することを目的とする」ことが記載されている。
本件発明2及び本件発明3の「検査ユニット」は、当該課題を解決するための構成として、
「検査準備処理を実行可能であり、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する」、
という構成を備えており、当該構成は、発明の詳細な説明に記載されたものであると認められる。
したがって、特許請求の範囲の請求項2、3の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていると認められる。


第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立人が提出した証拠とその理由の概要
(1)証拠
甲第1号証:特開2009-168454号公報
甲第2号証:特開2009-264800号公報
甲第3号証:特開2000-009454号公報

(2)申立て理由の概要
本件訂正前の請求項1-4、7、8に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-4、7、8に係る発明の特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2 申立て理由についての当審の検討
(1)各刊行物に記載された技術事項
ア 甲第2号証に記載された技術事項
甲第2号証には、次の技術事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
「【0007】
以上説明したように、明部と暗部の境界における画素値の変化の度合いを解析することにより凹凸欠陥を検出する従来の表面検査方法では、明部と暗部の境界に存在する凹凸欠陥のみを検出する。したがって、微小な凹凸欠陥の検出漏れを防ぐには、微小な凹凸欠陥が明部または暗部に完全に含まれてしまうことがないように、可能な限り明暗パターンを微細にする必要がある。しかしながら、明暗パターンが微細になるに連れて、撮影された画像のコントラストが全体的に小さくなり、誤検出・検出漏れの可能性が高まるため、明暗パターンを極端に微細化することはできず、微小な凹凸欠陥の検出漏れを回避することはできなかった。
【0008】
また、濃度ヒストグラムを作成して凸状欠陥を検出する従来の表面検査方法では、暗部に存在する凹状の欠陥(凹状欠陥)を検出できないという問題があった。すなわち、一般的に、明暗パターンを撮影した画像上において、明部に存在する凹状欠陥は暗くなるため欠陥として認識できるが、暗部に存在する凹状欠陥は明るくならず暗いままであるので欠陥として認識できない。したがって、この従来の表面検査方法においても、微小な凹状欠陥の検出漏れを防ぐには、微小な凹状欠陥が暗部に完全に含まれてしまうことがないように、可能な限り明暗パターンを微細にする必要がある。しかしながら、上記したように、明暗パターンが微細になるに連れて、撮影された画像のコントラストが全体的に小さくなり、誤検出・検出漏れの可能性が高まるため、明暗パターンを極端に微細化することはできず、微小な凹状欠陥の検出漏れを回避することはできなかった。」
「【0032】
図3(b)?図3(d)に示すように、検査対象物5の表面に写した明暗パターンを撮影した画像上において、明部14に存在する凹凸欠陥は暗くなるので認識できるが、暗部15に存在する凹凸欠陥は暗いままであるため認識できず、暗部15の幅よりも微小な凹凸欠陥11が暗部15に完全に含まれてしまうと(図3(d)を参照)、その凹凸欠陥11は検出することができない。このような検出漏れの可能性を低減させるためには、少なくとも暗部の幅は検出すべき凹凸欠陥のサイズより小さくする必要がある。しかしながら、スリット3aの間隔が小さい場合には光の回折の影響が大きく現れるようになり、また検査対象物5の表面が粗い場合には拡散反射成分が増えるため、画像のコントラストが低下して、凹凸欠陥の誤検出や検出漏れを引き起こす可能性がある。そのためスリット3aの幅および間隔は、線状の光源2や検査対象物5の特性に合わせて適宜決定する必要があり、検出できる凹凸欠陥のサイズには限界がある。
【0033】
そこで、ここでは、スリット板3を平行移動させるスリット板駆動機構4を設けることにより、同じ位置の検査対象物5に対して、明暗の位置が互いに異なる少なくとも2種類の線状の光(照射光)を照射できるようにし、明暗の位置をずらして撮影した検査画像から、明部14における明度の低い箇所を凹凸欠陥として検出する。例えば、図3に示すように明部14と暗部15の幅の比が1:1の場合には、図3(c)に示す検査画像P1、および図3(c)に示す明暗の位置に対して明部14の幅分だけ明暗の位置をずらして撮影した図3(d)に示す検査画像Q1を用いる。すなわち、明部と暗部の幅の比が1:1の場合、明部の幅分だけ明暗の位置をずらした2種類の明暗パターンの光を順次照射することで、検査対象物の全面に明暗パターンの明部の光を照射することになるので、凹凸欠陥の誤検出・見落としが少なく信頼性の高い凹凸欠陥検査が可能となる。
【0034】
続いて、明暗パターンの明部における明度の低い箇所を凹凸欠陥として検出するための具体的な方法について説明する。ここでは、表面に欠陥が存在しない基準物に対して検査対象物に照射する明暗パターンの光と同じ明暗パターンの光を照射し、その基準物からの反射光を撮影して取得した基準画像と、検査対象物を撮影して取得した検査画像との差分絶対値を演算して差分絶対画像(差分画像)を作成し、その差分絶対画像から凹凸欠陥を検出する。なお、基準画像は、予め撮影して、画像処理部10内部の記憶装置や、画像処理部10からアクセス可能な外部の記憶装置等に記憶させてもよい。また基準画像の撮影には、例えば本表面検査装置を用いてもよい。以下に、差分絶対画像を用いて凹凸欠陥を検出する方法について、図面を用いて説明する。
【0035】
図4(a)、図4(b)は、明部と暗部の幅の比が1:1の明暗パターンの光を照射して撮影した基準物の画像(基準画像)の模式図であり、図4(b)には、図4(a)に示す明暗の位置に対して明部の幅分だけ明暗の位置をずらして撮影した場合の画像を示している。また、図4(c)、図4(d)は、明部と暗部の幅の比が1:1の明暗パターンの光を照射して撮影した検査対象物の画像(検査画像)の模式図であり、図4(d)には、図4(c)に示す明暗の位置に対して明部の幅分だけ明暗の位置をずらして撮影した場合の画像を示している。図4(a)に示す明暗パターンは図4(c)に示す明暗パターンと同一であり、図4(b)に示す明暗パターンは図4(d)に示す明暗パターンと同一である。また、図4(c)、図4(d)に示すように、検査対象物の表面には、明暗パターンの暗部15の幅よりも小さいサイズの凹凸欠陥が存在している。
【0036】
画像処理部10は、凹凸欠陥検査時に、図4(c)、図4(d)に示す検査画像P1、Q1の各々と、図4(a)、図4(b)に示す基準画像P0、Q0の各々との差分絶対値を演算して、差分絶対画像を作成する。図4(a)に示す基準画像P0と図4(c)に示す検査画像P1とを用いて作成した差分絶対画像P2を図4(e)に、図4(b)に示す基準画像Q0と図4(d)に示す検査画像Q1とを用いて作成した差分絶対画像Q2を図4(f)にそれぞれ示す。
【0037】
図4に示すように、検査画像P1、Q1上の明部14における明度が低い箇所は、差分絶対画像P2、Q2上では明度が高くなる。よって、画像処理部10において、差分絶対画像上で明度の高い箇所(基準画像と検査画像間で明度の差が大きい箇所)を凹凸欠陥として検出することができる。具体的には、画像処理部10において、差分絶対画像に二値化処理を施し、明度が所定のしきい値以上となる白画素の連結成分をラベリングし、そのラベリングされた連結成分の画素数をカウントし、そのカウント値が一定値以上となる連結成分を凹凸欠陥として検出する処理を実行すればよい。
【0038】
なお、ここでは、明部と暗部の幅の比が1:1の場合について説明したが、無論、明部と暗部の幅の比は1:1に限定されるものではなく、他の比率であってもよい。明部と暗部の幅の比の他の例として、明部と暗部の幅の比が1:2の場合について、図5を用いて説明する。但し、図5には、明部および暗部の明度が一定の理想的な画像の模式図を示している。
【0039】
図5(a)は、検査対象物5の表面に存在する互いに大きさが異なる凹凸欠陥11、12、13を示す模式図である。また、図5(b)は、図5(a)に示す検査対象物5上の凹凸欠陥11、12、13を本表面検査装置により撮影して得た検査画像の模式図である。また、図5(c)は、図5(a)に示す検査対象物5上の凹凸欠陥11、12、13を本表面検査装置により撮影して得た検査画像の模式図であり、図5(b)に示す明暗の位置に対して右方向に明部の幅分だけ明暗の位置をずらして撮影した場合の画像を示している。また、図5(d)は、図5(a)に示す検査対象物5上の凹凸欠陥11、12、13を本表面検査装置により撮影して得た検査画像の模式図であり、図5(b)に示す明暗の位置に対して右方向に明部の幅2つ分だけ明暗の位置をずらして撮影した場合の画像を示している。
【0040】
明部と暗部の幅の比が1:2の場合、図5(b)?図5(d)に示すように、明暗の位置を明部14の幅分ずつ3段階にずらした3種類の照射光を順次照射することで、検査対象物の全面に明暗パターンの明部の光を照射することになるので、これらの照射光ごとに撮影された検査画像上の明部における明度の低い箇所を凹凸欠陥として検出することで、凹凸欠陥の誤検出・見落としが少なく信頼性の高い凹凸欠陥検査が可能となる。
【0041】
また、以上説明したように、明暗パターンを変更して撮影した検査画像ごとの差分絶対画像から個別に凹凸欠陥を検出してもよいが、それらの差分絶対画像を合成した画像から凹凸欠陥を検出してもよい。図6(a)に、図4(e)と図4(f)に示す2つの差分絶対画像P2、Q2を加算して作成した合成画像S2を示す。また、図6(b)に、図5(b)?図5(d)に示す3つの検査画像P1、Q1、R1とそれらに対応する基準画像とを用いて作成した3つの差分絶対画像を加算して作成した合成画像S2を示す。図6に示すように、明部と暗部の幅の比が1:1と1:2のいずれの場合も、凹凸欠陥が合成画像上に明度の高い箇所として同様に現われる。したがって、画像処理部10において、差分絶対画像の合成画像を作成して、その合成画像から凹凸欠陥を検出することができる。」
「【図3】

【図4】


【図5】



イ 甲第3号証に記載された技術事項
甲第3号証には、次の技術事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被測定面が平面であるか曲面であるかを問わず、均一な精度で欠陥の検出が可能な表面欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の表面欠陥検査装置としては、特開平8-285559号公報、および特開平9-79988号公報に開示されているものがある。これらは、被検査面にストライプ模様を映し出し、このストライプ模様をCCDカメラに取り込んで画像処理し、この処理結果に基づいて欠陥を検出する装置に関するものであるが、被検査面が傾斜、湾曲している場合でも、欠陥の検出精度が低下しないように工夫されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の欠陥検査装置にあっては、被検査面の傾斜、湾曲の状態に基づいてCCDカメラに取り込まれるストライプ模様の均一化、つまり、ストライプのピッチの均一化を図っているが、被検査面の形状は、車種や部位により形状差が大きいために、ストライプピッチの均一化を図ることができてもCCDカメラに取り込まれるストライプの本数が異なってしまうことが多いため、欠陥の検出精度は完全に安定したものであるということはできない。これは、ストライプの端に位置する欠陥の検出が困難であることから、ストライプの本数が増えるとその分、検出精度が低下することに起因する。
【0004】本発明では、このような従来の不具合を解決するためになされたものであり、CCDカメラに取り込まれるストライプの本数が常に一定になるようにして、被測定面が平面であるか曲面であるかを問わず、均一な精度での欠陥の検出を可能にする表面欠陥検査装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、次のように構成される。
【0006】請求項1に記載の発明は、被検査面上にストライプ模様を形成するストライプ模様形成手段と、前記被検査面上に映っているストライプ模様を入力するストライプ模様入力手段と、前記ストライプ模様入力手段によって入力されるストライプの数が一定の数になるように、前記ストライプ模様形成手段によって形成されるストライプのピッチや幅を制御する制御手段とを有することを特徴とする。」
「【0022】たとえば、図5に示すように、車体の被検査面が平坦であるときには、CCDカメラは図のような幅のストライプ模様を入力することになるが、図6に示すような曲面になると、CCDカメラがその視野に捕らえるストライプ模様の幅は、被測定面が平坦の場合に比較して狭くなる。もっと曲面の曲率が小さくなると線のような細いストライプ模様がたくさん映るようになる。このように、ストライプの本数が多くなると、欠陥とストライプの境界線が一本化してしまい、欠陥が孤立点として現れなくなる可能性が増える。上記のステップの処理では、このような不具合がなくなるようにしている。」
「【図5】

【図6】



(2)進歩性についての検討
本件発明1-3、7、8は、いずれも前記第4の2(3)イ(イ)の相違点に係る構成を備えているから、当該相違点の容易想到性について検討する。
甲1発明と甲第2号証に記載された技術は、検査対象物の表面の欠陥の検査に関する技術であり、一見、技術的に共通するもののようではあるものの、甲第2号証に記載された技術は、段落【0008】に「暗部に存在する凹状欠陥は明るくならず暗いままであるので欠陥として認識できない。」と記載されていることからも明らかなように、位相シフト法を用いた甲1発明とは異なるものであり、直ちに適用できるものではない。そして、明部と暗部の幅の比が1:1のものと、1:2のものが記載されているものの、段落【0038】に「なお、ここでは、明部と暗部の幅の比が1:1の場合について説明したが、無論、明部と暗部の幅の比は1:1に限定されるものではなく、他の比率であってもよい。」と記載されているように、明部と暗部の幅の比が異なるものはあくまで例示であって、検査に先立ち、明部と暗部の幅の比が異なるパターンを複数回試して、最適な明部と暗部の幅の比を求めるものではない。
したがって、甲第2号証に記載の技術事項は、本件発明1-3、7、8が備える相違点に係る構成を甲1発明において備えることを示唆する記載であるとは認められない。
甲第3号証に記載された技術もまた、検査対象物の表面の欠陥の検査に関する技術であり、一見、甲1発明と技術的に共通するもののようではあるものの、甲第3号証に記載の技術は、段落【0001】に「被測定面が平面であるか曲面であるかを問わず、均一な精度で欠陥の検出が可能な表面欠陥検査装置に関する」と記載されているように、被測定面が平面である甲1発明とは異なるものであり、被測定面に投影するストライプ模様の幅を変えることが記載されているとしても、本件発明1-3、7、8が備える相違点に係る構成を甲1発明において備えることを示唆する記載であるとは認められない。
以上検討のとおり、本件発明1-3、7、8は、甲1発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

第6 むすび
以上検討のとおり、取消理由通知で通知した取消理由及び特許異議申立書で申し立てられた特許異議申立理由に照らしても、本件発明1-3、7、8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1-3、7、8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項4は、本件訂正により削除されたことにより、本件特許異議の申立てにおける請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置と、処理装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項2】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、投影画像を、シフト方向に沿ってシフトするようにして、前記投影装置に対して静止した前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項3】
対象表面の欠陥を検出するための検査ユニットであって、
前記検査ユニットは、投影装置と、撮影装置とを備えており、
前記投影装置は、発光素子が発光する光の輝度分布をシフト方向に沿ってシフトすることにより、投影画像を、前記シフト方向に沿ってシフトするようにして前記対象表面に投影可能であり、
前記撮影装置は、前記対象表面を撮影可能であり、
前記投影画像は、1以上の明部と、前記明部よりも低い輝度を有する1以上の暗部とを含んでおり、
前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影することにより、前記対象表面における全ての位置に前記明部及び前記暗部を投影可能であり、
前記検査ユニットは、検査処理と、検査準備処理とを実行可能であり、
前記検査ユニットは、前記検査処理において、前記投影装置によって、前記投影画像を前記シフト方向に沿って1回以上シフトするようにして前記対象表面に投影し、前記撮影装置によって、前記対象表面を撮影し、これにより前記欠陥を検出し、
前記検査ユニットは、前記検査準備処理において、前記投影装置によって、前記対象表面における少なくとも1つの所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置によって、2以上の画像を撮影し、
前記検査ユニットは、処理装置を備えており、
前記処理装置は、前記投影装置及び前記撮影装置の夫々と通信可能に接続されており、
前記検査準備処理は、投影準備処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記シフト方向における前記暗部のサイズである暗部幅を変更しつつ、1回以上の暗部幅調整処理を行い、
前記処理装置は、前記暗部幅調整処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、前記明部及び前記暗部の夫々を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した2以上の前記画像によって、前記所定位置における輝度の最大値と輝度の最小値との差であるコントラストを取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記暗部幅調整処理によって取得した1以上の前記コントラストに基づいて、前記検査処理における前記暗部幅を取得する
検査ユニット。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の検査ユニットであって、
前記検査準備処理は、前記投影準備処理に加えて、撮影準備第1処理及び撮影準備第2処理を含んでおり、
前記処理装置は、前記投影準備処理の前に、前記撮影準備第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影装置における明るさを規定する撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第1処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第1処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第1処理において、前記撮影パラメータ調整第1処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記撮影パラメータの仮設定値を取得し、
前記処理装置は、前記投影準備処理において、前記撮影装置によって、前記撮影パラメータの前記仮設定値を使用して撮影し、
前記処理装置は、前記投影準備処理の後に、前記撮影準備第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータを変更しつつ、1回以上の撮影パラメータ調整第2処理を行い、
前記処理装置は、前記撮影パラメータ調整第2処理の夫々において、前記投影装置によって、前記所定位置に対して、少なくとも前記明部を1回以上投影し、前記撮影装置が撮影した1以上の画像によって、前記所定位置における輝度の最大値である最大輝度を取得し、
前記処理装置は、前記撮影準備第2処理において、前記撮影パラメータ調整第2処理によって取得した1以上の前記最大輝度に基づいて、前記検査処理における前記撮影パラメータの設定値を取得する
検査ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の検査ユニットであって、
前記撮影パラメータは、前記撮影装置の露光時間及び感度である
検査ユニット。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から請求項3までのいずれか又は請求項5又は請求項6の検査ユニットにおける処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7のプログラムを記憶した記憶媒体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-11-26 
出願番号 特願2019-32741(P2019-32741)
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (G01B)
P 1 652・ 121- YAA (G01B)
P 1 652・ 113- YAA (G01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 九鬼 一慶  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 岸 智史
岡田 吉美
登録日 2019-09-27 
登録番号 特許第6590455号(P6590455)
権利者 バイスリープロジェクツ株式会社
発明の名称 検査ユニット、プログラム及び記憶媒体  
代理人 山崎 拓哉  
代理人 渡邉 久典  
代理人 山崎 拓哉  
代理人 渡邉 久典  
代理人 松本 健志  
代理人 松本 健志  

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