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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1374680
審判番号 不服2020-3357  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-11 
確定日 2021-06-10 
事件の表示 特願2016-81307号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月19日出願公開、特開2017-189455号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年4月14日の出願であって、平成30年3月29日に手続補正書が提出され、同年11月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年1月18日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年6月3日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年1月10日付け(発送日:同年同月21日)で令和1年8月5日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年3月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年3月11日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年3月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲、すなわち平成31年1月18日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2の記載を、以下のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のものに補正するものである(下線は補正箇所を示す。なお、本件補正後のAないしLの符号は合議体により付与されたものである。)。

本件補正前
「【請求項1】
遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
前記遊技盤にその裏側から設けられる裏部品と、
前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる盤面部品とを備える遊技機において、
前記裏部品は、
前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
前記盤面部品用開口部に対向するように支持される磁気センサとを備えており、
前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁石センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁石センサの前記エラー検出信号に基づき、表示することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
前記遊技盤にその裏側から設けられる裏部品と、
前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる盤面部品とを備える遊技機において、
前記裏部品は、
前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
前記盤面部品用開口部に対向するように前記遊技盤の裏面側に支持される磁気センサとを備えており、
前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁石センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁石センサの前記エラー検出信号に基づき、表示することを特徴とする遊技機。」

本件補正後
「【請求項1】
A 遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
B 前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
C 裏部品と、
D 盤面部品と
E を備える遊技機において、
C 前記裏部品は、
F 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
G 前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
H 磁気センサとを備えており、
I 前記盤面部品は、前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開口部にその前側から取り付けられており、
J 前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向しており、
K 前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁気センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
L 前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁気センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する
E ことを特徴とする遊技機。」
(以下、本件補正後の請求項1に記載された事項によって特定される発明を、「本願補正発明」という。)

2 補正の適否について

(1) 補正事項
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。

ア 補正事項ア
本件補正前の請求項2に係る発明を削除する。

イ 補正事項イ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「裏部品」に関して、「前記遊技盤にその裏側から設けられる」の記載を削除する。

ウ 補正事項ウ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「盤面部品」に関して、「前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる」の記載を削除する。

エ 補正事項エ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「磁気センサ」に関して、「前記盤面部品用開口部に対向するように支持される」の記載を削除する。

オ 補正事項オ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「盤面部品」に関して、「前記盤面部品は、前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開口部にその前側から取り付けられており、」との限定事項を追加する。

カ 補正事項カ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「磁気センサ」に関して、「前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向しており、」との限定事項を追加する。

キ 補正事項キ
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記磁石センサ」を、「前記磁気センサ」に補正する。

(2) 新規事項追加の有無について
上記の各補正事項が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて検討する。

補正事項カにおいて、「前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向しており、」との限定事項を追加されたが、当初明細書等には、「直接対向」という記載は無く、「磁気センサ」を「盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から」「対向」させるにあたって、どのように対向させたのかについて説明した記載も存在しない。

この点に関して、請求人は、審判請求書において、
「(1-3)補正の根拠
本願発明は、本審判請求前における本願の特許請求の範囲の旧請求項1の記載及び本願の明細書の各段落番号「0032」、「0037」、「0061」?「0072」の欄等の記載及び本願の図面中図8及び図10との記載に基づく。従って、新規事項の追加には当たらない。」
と主張している。

しかしながら、請求人が主張する上記の箇所には「直接対向」という記載は存在せず、審判請求書において、「直接対向」するとは、どのような態様を表現しているのか、及び、上記の箇所の記載に基づいて、どのようにして「直接対向」する構成が導き出されるのか、十分な説明がなされていない。

してみると、請求人による本件補正の根拠についての主張を参酌しても、本件補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないとする根拠を見いだすことはできない。
したがって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないことから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。

(3) 本件補正の目的について
本件補正の目的について以下に検討する。
上記の各補正事項のうち、補正事項アは、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものである。
上記の各補正事項のうち、補正事項イないしカは、全体として、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記の各補正事項のうち、補正事項キは、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

3 独立特許要件について
本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。

(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の「本件補正後」に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献

ア 引用文献1

(ア) 記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に公開された特開2013-146394号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。

引1-ア
「【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1?図12は本発明をパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の左右一側、例えば左側のヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4とを備えている。
【0014】
内枠4には、その上部側に図2に示す遊技盤5等が、下部側に発射手段(図示省略)等が夫々配置されており、その内枠4の前側には、遊技盤5の前側を覆うガラス扉6と、そのガラス扉6の下側で発射手段等の前側を覆う下部開閉扉7とがヒンジ3と同じ側のヒンジ8により開閉及び着脱自在に枢着されている。ガラス扉6には、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられ、また下部開閉扉7には、発射手段に供給するための遊技球を貯留する貯留皿10、発射手段を作動させるための発射ハンドル11等が設けられている。
【0015】
遊技盤5の前面側には、図2に示すように、発射手段により発射された遊技球を案内するガイドレール12が略環状に配置されており、そのガイドレール12内の遊技領域5aには、中央表示ユニット13、ゲートユニット14、始動入賞口ユニット15、大入賞口ユニット16、普通入賞口ユニット17等の遊技部品が着脱自在に装着されている。また、遊技盤5の裏側には、図3等に示すように、液晶式その他の画像表示手段18を保持する裏ケース19、不正防止センサユニット20等が装着されている。」

引1-イ
「【0017】
中央表示ユニット13は、遊技領域5aの略中央に配置される画像表示手段18の表示枠を構成するもので、遊技盤5に設けられた表示枠装着孔5b(図4)に前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されており、その略中央の表示窓22の他、普通図柄表示手段23、特別図柄表示手段24、普通保留個数表示手段25、特別保留個数表示手段26等の各種表示手段、ステージ27、右普通入賞手段28等が設けられている。
【0018】
また裏ケース19は、図3及び図7に示すように、前側が開放した略箱形に形成され且つその略中央に画像表示手段18の表示画面18aに対応する矩形状の開口部29が形成されており、中央表示ユニット13等の後側を略覆うように遊技盤5の裏側に装着され、その前端側に一体に設けられた鍔状の固定部19aにおいてねじ止め等により遊技盤5に固定されている。画像表示手段18は、演出図柄表示手段30等を構成するもので、その表示画面18aを開口部29に一致させた状態で裏ケース19の背面側に着脱自在に固定されている。」

引1-ウ
「【0036】
普通入賞口ユニット17は、例えば大入賞口ユニット16の左側で内レール12bの内側に沿って配置されており、その長手方向に沿って複数、例えば3つの第1?第3普通入賞手段61a?61cが上部側から下部側にかけて一列状に配置されている。この普通入賞口ユニット17は、遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されている。
【0037】
第1?第3普通入賞手段61a?61cは、図2,図3及び図6に示すように、遊技領域5a内で上向きに開口する第1?第3普通入賞口62a?62cと、第1?第3普通入賞口62a?62cに入賞した(所定部位を通過した)遊技球を検出する近接センサ64a?64cとを備えている。近接センサ64a?64cは、第1?第3普通入賞口62a?62cに入賞した遊技球を夫々遊技盤5の後側まで案内する後方案内通路63の後端側に配置されており、第1?第3普通入賞口62a?62cに入賞した遊技球を遊技盤5の後側で検出するようになっている。
【0038】
近接センサ64a?64cからの検出信号に基づいて遊技球が第1?第3普通入賞口62a?62cに入賞したものと判定された場合には、1個の入賞につき、第1?第3普通入賞口62a?62c毎に設定された所定個数の賞球が払い出される。なお、第1?第3普通入賞口62a?62cのうちの2以上が同じ賞球払い出し個数に設定されている場合には、それらの入賞口に入賞した遊技球を共通の近接センサで検出するようにしてもよい。
【0039】
不正防止センサユニット20は、図3,図7及び図8に示すように、磁気センサ71と、電波センサ72と、それら磁気センサ71と電波センサ72とを例えば遊技盤5の後側で保持するセンサホルダ73とで構成されている。
【0040】
磁気センサ71は、ガラス窓9の前側に強力な磁石が押し当てられたような場合にその磁気を検知するためのもので、図8に示すように例えば長手方向の一端側に接続端子74が設けられた略直方体状に形成されており、接続端子74から所定の信号線を介して例えば主制御基板75に磁気検知信号を出力するように構成されている。なお、この磁気センサ71は、その長手方向前側の検知距離が長手方向に直交する側の検知距離よりも長くなるように、即ち先端面側の方が側面側よりも検知感度が高くなるように構成されている。この磁気センサ71を遊技盤5上又はその近傍に配置することで、例えば「大玉ゴト」の際に磁石を用いて不正球を所定の入賞口に誘導しようとした場合には、その時点でその不正行為を発見することが可能である。」

引1-エ
「【0046】
センサホルダ73は、図7及び図8に示すように、磁気センサ71を保持する磁気センサ保持部81と、電波センサ72を保持する電波センサ保持部82とを備え、例えば普通入賞口ユニット17の後側に対応して裏ケース(電波センサ72を装着する遊技部品の一例)19の前側にねじ止め等により着脱自在に固定されるベース体83と、このベース体83に着脱自在に装着される保持体84とで構成されている。
・・・
【0048】
磁気センサ保持部81は、例えば保持体84上に設けられ、前端部に磁気センサ71の端面を露出させるための前開口部81aが、後端部に、磁気センサ71の接続端子74に接続されるハーネスを引き出すための後開口部81bが夫々設けられた前後方向の角筒状に形成されており、磁気センサ71を、例えばその先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する位置で保持するようになっている。磁気センサ71は、保持体84をベース体83から取り外した状態で、その保持体84上の磁気センサ保持部81に対してその後側の後開口部81bを介して着脱可能である。」

引1-オ
「【0055】
続いて、本パチンコ機の制御系のうち、大玉ゴト等による不正入賞を監視するための構成について説明する。本実施形態の主制御基板75には、図12に示すように、各入賞手段28,41,42,51,61a?61cへの遊技球の入賞に関する処理を行う入賞処理手段91と、普通図柄表示手段23、特別図柄表示手段24の図柄変動に関する処理を行う図柄処理手段92と、下部始動入賞手段42の開閉翼47、大入賞手段51の開閉板54等の動作に関する処理を行う役物処理手段93とが設けられている。また、例えば入賞処理手段91には、磁気センサ71、電波センサ72からの検知信号に基づいて不正行為の蓋然性の高い異常を監視する異常監視手段94が設けられている。」

引1-カ
「【0059】
異常監視手段94は、磁気センサ71から磁気検知信号を受けた場合、及び電波センサ72から電波検知信号を受けた場合に、所定のエラー処理、例えば画像表示手段18へのエラー表示、エラー警告音の出力、外部出力端子からのエラー信号出力等によるエラー報知、払い出し処理の停止等の処理を実行するようになっている。」

引1-キ
「【図1】



引1-ク
「【図2】



引1-ケ
「【図3】




引1-コ
「【図6】



引1-サ
「【図7】



引1-シ
「【図8】



引1-ス
「【図12】



(イ) 認定事項

a 認定事項ア
【0015】における「ガイドレール12内の遊技領域5aには、中央表示ユニット13」「が」「装着され」の記載、【0017】における「中央表示ユニット13は、遊技領域5aの略中央に配置される画像表示手段18の表示枠を構成するもので、遊技盤5に設けられた表示枠装着孔5b(図4)に前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されており、その略中央の表示窓22」「が設けられている。」の記載より、「遊技盤5の遊技領域5aには、画像表示手段18の表示枠を構成する表示窓22が設けられた中央表示ユニット13が装着され」る点が認定できる。

b 認定事項イ
「パチンコ機における遊技盤の正面図」が記載された図2を参照すると、表示窓22を通して、画像表示手段18の表示画面18aを視認可能であることが見て取れる。

c 認定事項ウ
図12には、「パチンコ機の制御系」の構成が図示されており、「パチンコ機」が、「主制御基板75」を有する点が記載されている。

(ウ) 引用発明

上記(ア)における摘記事項、及び、(イ)おける認定事項を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。aないしlの符号は、本願補正発明の構成AないしLに対応させて合議体により付与したものである。

「a ヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4を備え、内枠4に遊技盤5が配置された遊技機本体1と(【0013】、【0014】)、
b その内枠4の前側にヒンジ3と同じ側のヒンジ8により開閉及び着脱自在に枢着され、遊技盤5の前側を覆い、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられたガラス扉6と(【0014】)、
c 遊技盤5の裏側に装着された、画像表示手段18を保持する裏ケース19、及び、不正防止センサユニット20と(【0015】)、
d 遊技盤5の前面側に配置された、発射手段により発射された遊技球を案内するガイドレール12と(【0015】)、そのガイドレール12内の遊技領域5aに着脱自在に装着された普通入賞口ユニット17(【0015】)とを備え、
e 主制御基板75を有するパチンコ機であり(【0013】、図1、認定事項ウ)、
f 裏ケース19は、遊技盤5の裏側に装着され(【0018】)、
g 画像表示手段18は、演出図柄表示手段30等を構成するもので、その表示画面18aを裏ケース19の略中央に形成された矩形状の開口部29に一致させた状態で裏ケース19の背面側に着脱自在に固定され(【【0018】)、遊技盤5の遊技領域5aには、画像表示手段18の表示枠を構成する表示窓22が設けられた中央表示ユニット13が装着され(認定事項ア)、前記表示窓22を通して、画像表示手段18の表示画面18aを視認可能であるように構成され(認定事項イ)、
h 不正防止センサユニット20は、磁気センサ71と、磁気センサ71を遊技盤5の後側で保持するセンサホルダ73で構成され(【0039】)、
i 普通入賞口ユニット17は、3つの第1?第3普通入賞手段61a?61cが上部側から下部側にかけて一列状に配置され、遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定され(【0036】、図6)、
j センサホルダ73は、普通入賞口ユニット17の後側に対応して裏ケース19の前側にねじ止め等により着脱自在に固定されるベース体83と、このベース体83に着脱自在に装着される保持体84とで構成され(【0046】、図7)、磁気センサ保持部81は、保持体84上に設けられ、前端部に磁気センサ71の端面を露出させるための前開口部81aが設けられた前後方向の角筒状に形成されており、磁気センサ71を、その先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する位置で保持するようになっており(【0048】、図8)、
k 磁気センサ71は、ガラス窓9の前側に強力な磁石が押し当てられたような場合にその磁気を検知し、主制御基板75に磁気検知信号を出力するように構成されており(【0040】)、
l 主制御基板75には、入賞処理手段91が設けられ、入賞処理手段91には、磁気センサ71からの検知信号に基づいて不正行為の蓋然性の高い異常を監視する異常監視手段94が設けられ(【0055】)、異常監視手段94は、磁気センサ71から磁気検知信号を受けた場合、画像表示手段18へのエラー表示を実行する(【0059】)、
e パチンコ機(【0013】)。」

イ 引用文献2

(ア) 記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に公開された特開2015-29730号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている

引2-ア
「【0016】
(パチンコ機の概略構成について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、遊技店に設けられた「島」とも称される設置枠台(図示せず)に固定される固定枠としての外枠11と、該外枠11に対して着脱および開閉可能に枢支された本体枠としての中枠12と、該中枠12に着脱交換可能に取り付けられて所要の遊技領域34が画成された遊技盤30(図2参照)と、中枠12の前面側に着脱および開閉可能に枢支され、該中枠12に配設した遊技盤30を透視保護する透明板14が配設される前枠13とを備えている。前枠13の前側には、透明板14が配設された窓口15の下方に、パチンコ球を貯留可能な上球皿16が配設されると共に、該上球皿16の下方に、パチンコ球を貯留可能な下球皿17や、中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)および前枠13に配設された球送り装置(図示せず)を作動させるハンドルユニット18が、左右に並んで配設されている。また、パチンコ機10の後側には、図14に示すように、当該パチンコ機10を総合的に制御するメイン制御基板(制御手段)210、メイン制御基板210からの制御信号に基づき球払出装置217を作動制御する球払出制御基板212、打球発射装置19を制御する発射制御基板213等が配設されていると共に、遊技盤30の後側には、メイン制御基板210からの制御信号に基づき、後述する可動演出装置95や照明装置等を作動制御する統括制御基板211が配設されている。」

引2-イ
「【0025】
(第1始動入賞部)
第1始動入賞部40は、図2、図3および図5に示すように、遊技領域34の第1遊技領域34Aに配設された第1入賞部材41と、該第1入賞部材41の前側に取付けられた装飾部材42とを備えている。第1入賞部材41は、上方に開口した球入口および該球入口に連通して後方へ開口した球出口を備えた第1始動入賞口43と、該第1始動入賞口43に一体に形成された取付ベース部44とを備え、遊技盤30に前後に貫通するよう形成した第1貫通孔37(図5参照)に第1始動入賞口43の球出口を整合させた状態で、取付ベース部44を遊技盤30にネジ止めして該遊技盤30に取付けられる。すなわち、第1始動入賞部40は、第1始動入賞口43が第1遊技領域34A内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口であり、該第1遊技領域34Aを流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。」

引2-ウ
「【0040】
(第1球排出ユニット)
前記第1球排出ユニット110は、図4に示すように、遊技盤30前面の第1遊技領域34Aに配設された第1始動入賞部40に入ったパチンコ球、第1普通入賞口58,58に入ったパチンコ球、第1特別入賞部50に入ったパチンコ球の夫々を、中枠12の後面における遊技盤保持部25の下方に配設された球処理部(図示せず)へ排出する複数の球排出路が形成されたユニット部材である。すなわち、第1球排出ユニット110は、第1始動入賞部40から通出されたパチンコ球を球処理部へ排出する第1球排出路111と、各第1普通入賞口58,58から通出されたパチンコ球を球処理部へ排出する第2球排出路112と、第1特別入賞部50から通出されたパチンコ球を球処理部へ排出する第3球排出路113とが設けられている。また、第1球排出ユニット110には、前記第1始動入賞球検知センサ45を配設するための第1センサ取付部140および第2始動入賞球検知センサ47を配設するための第2センサ取付部145が設けられると共に、第1普通入賞口58に入賞したパチンコ球を検知する第1普通入賞球検知センサ59を配設するための第4センサ取付部165が設けられている。更に、第1球排出ユニット110には、遊技盤30の前面おいて第1始動入賞部40の近傍や第1普通入賞口58の近傍で生じた磁気を検知可能な磁気検知センサ(磁気検知手段)155を配設するための2つの第3センサ取付部(第3取付部)150,150が設けられている。」

引2ーエ
「【図5】



引2-オ
「【図7】



(イ) 認定事項
上記図7には、磁気検知センサ155が、遊技盤30に対して第1始動入賞部40の後方に設けられた点が記載されており、上記図5に記載された磁気検知センサ155と第1貫通孔37の位置関係を参酌すると、第1貫通孔37の開口の範囲内の後方に対向させて磁気検知センサ155が配設されている点(以下、「認定事項エ」という。)が記載されているといえる。

(ウ) 引用文献2記載事項
上記(ア)における摘記事項、及び、(イ)における認定事項を総合すると、引用文献2には以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「所要の遊技領域34が画成された遊技盤30を備えたパチンコ機10であって(【0016】)、
遊技領域34の第1遊技領域34Aに配設された第1入賞部材41を備え(【0025】)、
第1入賞部材41は、上方に開口した球入口および該球入口に連通して後方へ開口した球出口を備えた第1始動入賞口43と、該第1始動入賞口43に一体に形成された取付ベース部44とを備え、遊技盤30に前後に貫通するよう形成した第1貫通孔37に第1始動入賞口43の球出口を整合させた状態で、取付ベース部44を遊技盤30にネジ止めして該遊技盤30に取付けられ(【0025】)、
第1貫通孔37の開口の範囲内の後方に対向させて、遊技盤30の前面において第1始動入賞部40の近傍で生じた磁気を検知可能な磁気検知センサ155が配設された(【0040】、認定事項エ)、
パチンコ機10(【0016】)。」

ウ 引用文献3

(ア) 記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に公開された特開2016-30075号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

引3-ア
「【0001】
本発明は、弾球遊技機(ぱちんこ機)、回胴遊技機(スロットマシン)、封入式遊技機あるいはメダルレススロットマシンに代表される遊技台に関する。」

引3-イ
「【0376】
<エラー報知の一例/磁気検知エラーのみを報知する場合>
【0377】
図36は、図33?図35に示す一遊技中に、磁気検知エラーのみが発生し装飾図柄表示装置208において磁気検知エラー報知を行う場合の表示例である。同図における「主:磁気検知OFF」の記載は、広範囲磁気センサ700から主制御部300に入力される異常な磁気検出信号がない(主制御部300で磁気検知されていない)ことを示し、「主:磁気検知ON」は異常な磁気検出信号がある(主制御部300で磁気検知されている)ことを示す。
・・・略・・・。
【0384】
同図(d)´のように、磁気検知エラーが発生した場合は、装飾図柄表示装置208に表示されている演出表示(装飾図柄、第四図柄、保留アイコン等も含む)を消去し、例えば、背景をブルースクリーンにし「磁石を検知しました」の文字表示を表示するなどの磁石検知エラー用の表示が表示されるようにしてもよい。」

引3-ウ
「【図36】



上記記載より、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「磁気検知エラーが発生した場合は、装飾図柄表示装置208に表示されている演出表示を消去し、背景をブルースクリーンにし「磁石を検知しました」の文字表示を表示するなどの磁石検知エラー用の表示が表示される(【0384】)弾球遊技機(【0001】)。」

(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 本願補正発明の構成Aに関して
引用発明の構成aにおける「遊技機本体1」は、「ヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4を備え、内枠4に遊技盤5が配置され」たものであるから、「遊技機本体1」は「遊技盤5」を備えているといえる。
してみると、引用発明の構成aにおける「遊技機本体1」は、本願補正発明の構成Aにおける「遊技盤を設けてなる遊技機本体」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を有する。

イ 本願補正発明の構成Bに関して
引用発明の構成bにおける「遊技盤5の前側を覆い、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられ」ることは、「ガラス窓9」に透明なガラスが設けられることは当業者の技術常識であるから、本願補正発明の構成Bにおける「遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有」することに相当する。
また、引用発明の構成bにおける「内枠4の前側に」「開閉及び着脱自在に枢着され」ることは、本願補正発明の構成Bにおける「前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成bにおける「遊技盤5の前側を覆い、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられ」、「内枠4の前側に」「開閉及び着脱自在に枢着され」た「ガラス扉6」は、本願補正発明の構成Bにおける「前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Bに相当する構成を有する。

ウ 本願補正発明の構成Cに関して
引用発明の構成cにおける「画像表示手段18」と「画像表示手段18を保持する裏ケース19」と「不正防止センサユニット20」は、いずれも、「遊技盤5の裏側に装着され」るものであるから、それらは、本願補正発明の構成Cにおける「裏部材」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Cに相当する構成を有する。

エ 本願補正発明の構成Dに関して
引用発明の構成dにおける「普通入賞口ユニット17」は、「遊技盤5の前面側に配置された」「ガイドレール12」「内の遊技領域5aに着脱自在に装着され」るものであるから、本願補正発明の構成Dにおける「盤面部品」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Dに相当する構成を有する。

オ 本願補正発明の構成Eに関して
引用発明の構成eにおける「主制御基板75を有するパチンコ機」は、本願補正発明の構成Eにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Eに相当する構成を有する。

カ 本願補正発明の構成Fに関して
引用発明の構成fにおける「遊技盤5の裏側に装着され」る「裏ケース19」は、本願補正発明の構成Fにおける「前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバー」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Fに相当する構成を有する。

キ 本願補正発明の構成Gに関して
引用発明の構成gにおける「演出図柄表示手段30等を構成する」「画像表示手段18」は、本願補正発明の構成Gにおける「演出表示を行う表示装置」に相当する。
また、引用発明の構成gにおける「表示窓22」は、「遊技盤5の遊技領域5a」に「装着され」た「中央表示ユニット13」に設けられたもので「画像表示手段18の表示画面18aを視認可能」とするものであるから、本願補正発明の構成Gにおける「前記遊技盤に形成してな」り、それ「を通してその前方から視認可能なように」「演出表示を行う表示装置」が「組み付けられ」る「中央開口部」に相当する。
そして、引用発明の構成gにおける「裏ケース19の略中央に形成された矩形状の開口部29」は、本願補正発明の構成Gにおける「前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部」に相当する。
したがって、引用発明の構成gにおける「裏ケース19の略中央に形成された矩形状の開口部29に」「表示画面18aを一致させた状態で」「裏面ケース19に」「固定され」、「遊技盤5の遊技領域5a」に「装着され」た「中央表示ユニット13」に設けられた「表示窓22を通して、」「表示画面18aを視認可能であるように構成され」た「画像表示手段18」は、本願補正発明の構成Gにおける「前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有する。

ク 本願補正発明の構成Hに関して
引用発明の構成hにおける「不正防止センサユニット20」を「構成」する「磁気センサ71」は、本願補正発明の構成Hにおける「磁気センサ」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Hに相当する構成を有する。

ケ 本願補正発明の構成Iに関して
引用発明の構成iにおける「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5e」は、本願補正発明の構成Iにおける「盤面部品取り付け用開口部」に相当する。
したがって、引用発明の構成iにおける「普通入賞口ユニット17」が「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定され」ることは、本願補正発明の構成Iにおける「前記盤面部品は、前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開口部にその前側から取り付けられて」いることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Iに相当する構成を有する。

コ 本願補正発明の構成Jに関して
(ア) 引用発明の構成h及び構成jにおける「磁気センサ71を」「保持する」「センサホルダ73」の「ベース体83」が「裏ケース19の前側にねじ止め等により着脱自在に固定される」ことは、本願補正発明の構成Jにおける「前記磁気センサ」が「前記裏カバーに支持され」ることに相当する。
(イ) 引用発明の構成h、構成i及び構成jにおける「磁気センサ71を」「保持する」「センサホルダ73」の「ベース体83」が「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され」る「普通入賞口ユニット17の後側に対応して」「固定される」ことと、本願補正発明の構成Jにおける「磁気センサ」が「前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向して」「支持され」ることとを対比すると、引用発明において、「普通入賞口ユニット17の後側」は、「普通入賞口ユニット17」が「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され」るものであることから、「普通入賞口ユニット装着孔5e」の「後側」であると認められ、また、引用発明における「対応して」「固定される」ことと、本願補正発明における「直接対向して」「支持され」ることは、いずれも、対応させて「支持され」る点で共通することから、両者は、「磁気センサ」が「盤面部品取り付け用開口部に対しその後側」に対応させて「支持され」る点で共通する。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)より、引用発明の構成h、構成i及び構成jにおける「磁気センサ71を」「保持する」「センサホルダ73」の「ベース体83」が「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され」る「普通入賞口ユニット17の後側に対応して」「裏ケース19の前側にねじ止め等により着脱自在に固定される」ことと、本願補正発明の構成Jにおける「前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向して」いることとは、「前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側」に対応させて「支持され」る点で共通する。

サ 本願補正発明の構成Kに関して
引用発明の構成kにおける「磁気センサ71は、ガラス窓9の前側に強力な磁石が押し当てられたような場合にその磁気を検知し、磁気検知信号を出力」することは、遊技盤5の盤面に沿い転動する遊技球を普通入賞口ユニット17の第1?第3普通入賞手段61a?61cに誘導するように当該遊技球に対しガラス窓9を介し磁石を対向させたときにも「その磁気を検知し、磁気検知信号を出力」するから、本願補正発明の構成Kにおける「前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁気センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生」することに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Kに相当する構成を有する。

シ 本願補正発明の構成Lに関して
引用発明の構成lにおける「画像表示手段18」は「磁気センサ71から磁気検知信号を受けた場合、」「エラー表示」が「実行」されることと、本願補正発明の構成Lにおける「前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁気センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する」ことを対比すると、両者は、「前記表示手段は」、「所定のエラー画像を」「前記磁気センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する」点で一致する。

以上のことから、本願補正発明と引用発明は、以下の点で一致する。

<一致点>
「A 遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
B 前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
C 裏部品と、
D 盤面部品と
E を備える遊技機において、
C 前記裏部品は、
F 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
G 前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
H 磁気センサとを備えており、
I 前記盤面部品は、前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開口部にその前側から取り付けられており、
J’ 前記磁気センサは、前記裏カバーに支持されて前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側に対応させて支持されており、
K 前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁気センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
L’ 前記表示装置は、所定のエラー画像を、前記磁気センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する
E 遊技機。」

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1>(構成Jに関して)
磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対しその後側に対応させて支持される点に関して、本願補正発明では、磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対し後側から直接対向しているのに対して、引用発明では、磁気センサ71の先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する位置で保持されているが、磁気センサ71が普通入賞口ユニット装着孔5eの背面に直接対向しているといえるものであるか否かが不明である点。

<相違点2>(構成Lに関して)
エラー画像の表示に関して、本願補正発明では、表示装置の表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、演出表示中の表示内容を視認できないように、表示するのに対して、引用発明ではエラー表示の詳細が不明である点。

(4) 検討

ア 相違点1について
本願補正発明において、「直接対向」することがどのような態様であるのか明確ではなく、「直接対向」することと、単に「対向」することがどのように異なるものであるのか明確ではないが、「直接対向」することには、以下の(ア)及び(イ)に示す2つの態様が推定される。
(ア)磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対しその開口の範囲内の後側に対向していることを、「前記磁気センサは、」「前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向して」いるという。
(イ)磁気センサ自体が露出され、当該露出した部分が盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から対向していることを、「前記磁気センサは、」「前記盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から直接対向して」いるという。
そこで、上記(ア)及び(イ)のそれぞれの場合について検討する。
(ア)の場合について
上記(ア)の場合においては、本願補正発明における相違点1に係る構成は、本願補正発明が、磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対しその開口の範囲内の後側から対向しているのに対して、引用発明は、磁気センサ71が、普通入賞口ユニット装着孔5eの開口の範囲内の後側に対向しているか否か不明である点となる。
そこで、引用文献2記載事項を参照すると、引用文献2記載事項における「磁気検知センサ155」及び「第1貫通孔37」は、それぞれ、本願補正発明の上記相違点1に係る構成における「磁気センサ」及び「盤面部品取り付け用開口部」に相当し、引用文献2記載事項における「磁気検知センサ155が」「第1貫通孔37の開口の範囲内の後方に対向させて」「配設された」構成は、本願補正発明の上記相違点1に係る構成における「磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から」「直接対向している」構成に相当する。
ここにおいて、引用発明と引用文献2記載事項は、いずれも、磁気センサを用いて不正検出を行う遊技機という共通の技術分野に属するものであり、ともに、不正行為を的確に検出するという自明な共通の課題を有するものであるから、引用発明において、磁気センサ71が普通入賞口ユニット装着孔5eに対応させて支持される部位を設定するにあたって、引用文献2記載事項を適用し、磁気センサ71が普通入賞口ユニット装着孔5eに対しその開口の範囲内の後側に直接対向するように構成し、本願補正発明の上記相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。
(イ)の場合について
引用発明は、構成jにおいて、「磁気センサ71の端面」が「前開口部81a」で「露出」され、「その先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する位置で保持」されていることが特定されていることから、引用発明は、「磁気センサ71の端面」を「露出」させて「その先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する」ものであり、その態様は、「磁気センサ71」を「遊技盤5の背面」に直接対向させたものといえる。
してみると、上記(イ)の場合においては、本願補正発明の相違点1に係る構成である「磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対し後側から直接対向している」点のうち、「磁気センサが」「直接対向している」点は、引用発明が有する構成であり、その点は、実質的な相違点とは認められない。
そして、上記相違点1に係る構成のうち、「磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対し後側から」「対向している」点について検討すると、引用発明は、磁気センサ71が、当接又は近接する部位が、普通入賞口ユニット装着孔5eの後側であるか否か不明であるが、引用文献2記載事項は、「磁気検知センサ155が」「第1貫通孔37の」「後方に対向させて」「配設された」ものであり、上記(ア)において検討したように、その構成は、本願補正発明の相違点1に係る構成における「磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対しその後側から」「対向している」構成に相当する。
したがって、引用発明において、先端面が露出された磁気センサ71が、その先端面が遊技盤5の背面に当接又は近接する位置で保持されることによって普通入賞口ユニット装着孔5eに対応させて支持される部位を設定するにあたって、引用文献2記載事項を適用し、磁気センサ71が普通入賞口ユニット装着孔5eの後側に直接対向するように構成し、本願補正発明の上記相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

以上のことから、上記(ア)及び(イ)のいずれの場合においても、本願補正発明の上記相違点1に係る構成は、引用発明に引用文献2記載事項を適用することによって、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について
上記引用文献3記載事項における「装飾図柄表示装置208に表示されている演出表示を消去し、背景をブルースクリーンにし「磁石を検知しました」の文字表示を表示する」することは、本願補正発明の上記相違点2に係る構成における「表示装置の表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、演出表示中の表示内容を視認できないように、表示する」ことに相当する。
ここにおいて、引用発明と引用文献3記載事項は、いずれも、磁気センサを用いて不正検出を行い、不正を検出した場合にエラー画像を表示する遊技機という共通の技術分野に属するものであり、ともに、不正行為を的確に報知するという自明な共通の課題を有するものであるから、引用発明において、磁気センサ71からの検知信号に基づいてエラー表示を実行するにあたって、引用文献3記載事項に記載された技術を適用し、画像表示手段に表示されている演出表示を消去し、磁石検知エラー用の表示が表示されるように構成して、本願補正発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 本願補正発明の作用効果について
本願補正発明の作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、引用文献3記載事項に基づいて当業者が予測できる範囲のものであり、格別なものではない。

(5) 請求人の主張への反論
請求人は、審判請求書において、
「盤面部品取り付け用開孔部の周囲には表示装置や音演出装置が存在するものの、当該盤面部品取り付け用開孔部にはその前側から盤面部品が取り付けられているのみである。従って、当該盤面部品取り付け用開孔部の前後両側においては、盤面部品や磁気センサを除き、他の構成部品やベニヤ板の積層体等の密集した構成が存在することはなく、簡単な構成となっている。
従って、磁気センサを、上述のごとく、裏部品に支持して遊技盤の盤面部品取り付け用開孔部にその後側から直接対向させることで、磁気センサは、上述のような簡単な構成のもと、その磁気の流れを妨げられたり磁気を減少させられたりすることなく、良好な磁気検出機能を発揮し得る。
この点について、詳述すれば、本願発明においては、盤面部品が盤面部品取り付け用開孔部にその前側から取り付けられ、磁気センサが、当該盤面部品取り付け用開孔部にはその後側から直接対向するように裏部品に支持されているのみであって、当該盤面部品取り付け用開孔部は、盤面部品及び磁気センサ以外の他の構成部品やベニヤ板の積層体等により密閉されるものではない。」
と主張している。
しかしながら、本願補正発明において、盤面部品がどのようなものであるのか何ら特定されていないことに加えて、盤面部品の遊技盤の後側の構成が不明であることから、請求人が主張するように、「当該盤面部品取り付け用開孔部は、盤面部品及び磁気センサ以外の他の構成部品やベニヤ板の積層体等により密閉されるものではない」ものであったとしても、磁気センサと盤面部品取り付け用開口部との間に、どのような構成が存在するのかは不明である。
そして、請求人の作用効果についての主張である、「盤面部品及び磁気センサ以外の他の構成部品やベニヤ板の積層体等により密閉されない盤面部品取り付け用開孔部に対しその後側から磁センサを直接対向させた構成と、盤面部品及び磁気センサ以外の他の構成部品ベニヤ板の積層体等により密閉される盤面部品取り付け用開孔部に対し磁気センサを対向させる構成とを比較した場合、前者の構成の方が、後者の構成に比べ、磁気の流れを妨げられたり磁気を減少させられたりする度合いが少なく、磁気センサとしての検出機能の信頼性をより一層高く維持し得る」ことは、盤面部品が、遊技盤の後側には何の構成も有しておらず、磁気センサが遊技盤面に近接する位置で盤面部品取り付け用開口部に対向しているのであれば、実現可能であるとも考えられるが、本願補正発明は、そのような点は特定されていない。
したがって、審判請求書における請求人の主張は、請求項において特定された構成に基づくものではなく採用できない。

(6) 小括
よって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のことから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、当該補正は同法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。
また、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明
令和2年3月11日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成31年1月18日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(上記第2[理由]1の「本件補正前」の記載を参照)(以下「本願発明」という。)であり、分説してA1ないしL1の符号を付与すると、以下のとおりである。

「A1 遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
B1 前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
C1 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏部品と、
D1 前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる盤面部品と
E1 を備える遊技機において、
前記裏部品は、
F1 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
G1 前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
H1 前記盤面部品用開口部に対向するように支持される磁気センサとを備えており、
K1 前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁石センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
L1 前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁石センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する
E1 ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明に対する拒絶の理由を含むものであり、その概要は以下のとおりである。

本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、引用文献2、及び、引用文献3に記載された事項に基づいて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2013-146394号公報
引用文献2:特開2015-29730号公報
引用文献3:特開2016-30075号公報

3 引用文献とそれに記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、引用文献2、及び、引用文献3は、それぞれ、上記第2における引用文献1、引用文献2、及び、引用文献3に対応し、それらの記載事項は、それぞれ、上記第2[理由]3(2)ア、イ及びウに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

ア 本願発明の構成A1、B1、E1、F1及びG1に関して
本願発明の構成A1、B1、E1、F1及びG1は、それぞれ、本願補正発明の構成A、B、E、F及びGに相当する。
よって、前記第2の3(3)ア、イ、オ、カ及びキにおいて検討したように、引用発明は、本願発明の構成A1、B1、E1、F1及びG1に相当する構成を有する。

イ 本願発明の構成C1に関して
引用発明の構成cにおける「画像表示手段18」と「画像表示手段18を保持する裏ケース19」と「不正防止センサユニット20」は、いずれも、「遊技盤5の裏側に装着され」るものであるから、それらは、本願発明の構成C1における「前記遊技盤にその裏側から設けられる裏部材」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成C1に相当する構成を有する。

ウ 本願発明の構成D1に関して
引用発明の構成dにおける「普通入賞口ユニット17」は、構成iにおいて特定されているように「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され」るものであるから、本願発明の構成D1における「前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる盤面部品」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成D1に相当する構成を有する。

エ 本願発明の構成H1に関して
引用発明の構成h及び構成jにおける「普通入賞口ユニット17の後側に対応して裏ケース19の前側に」「ベース体83」により「ねじ止め等により着脱自在に固定される」、「磁気センサ71を遊技盤5の後側で保持するセンサホルダ73」に「保持」された「磁気センサ71」と、本願発明の構成H1における「前記盤面部品用開口部に対向するように支持される磁気センサ」とを対比すると、引用発明は、構成iにおいて「普通入賞口ユニット17」は「遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔5eに対して前側から着脱自在に装着され」るものである点が特定されていることから、引用発明の構成jにおける「普通入賞口ユニット17の後側に対応して」「固定される」ことは、「盤面部品取り付け用開口部」の近傍「の後側に対応して」「固定され」ることであるといえ、また、本願発明の構成H1における「盤面部品取り付け用開口部に対向するように支持される」することも、「盤面部品取り付け用開口部」の近傍に「対向するように支持される」ことであると認められるから、両者は、「盤面部品取り付け用開口部」の近傍「に対向するように支持される磁気センサ」である点で一致する。

オ 本願発明の構成K1に関して
引用発明の構成kにおける「磁気センサ71は、ガラス窓9の前側に強力な磁石が押し当てられたような場合にその磁気を検知し、磁気検知信号を出力」することは、遊技盤5の盤面に沿い転動する遊技球を普通入賞口ユニット17の第1?第3普通入賞手段61a?61cに誘導するように当該遊技球に対しガラス窓9を介し磁石を対向させたときにも「その磁気を検知し、磁気検知信号を出力」するから、本願発明の構成K1における「前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁石センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生」することに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成K1に相当する構成を有する。

カ 本願発明の構成L1に関して
引用発明の構成lにおける「画像表示手段18」は「磁気センサ71から磁気検知信号を受けた場合、」「エラー表示」が「実行」されることと、本願発明の構成L1における「前記表示装置は、その表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、前記演出表示中の表示内容を視認できないように、前記磁気センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する」ことを対比すると、両者は、「前記表示手段は」、「所定のエラー画像を」「前記磁石センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する」点で一致する。

以上のことから、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。

<一致点>
「A1 遊技盤を設けてなる遊技機本体と、
B1 前記遊技盤の盤面に対向可能な透明板を有して、前記遊技機本体に対し前記遊技盤の盤面側にて開閉可能に支持される前扉と、
C1 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏部品と、
D1 前記遊技盤に形成してなる盤面部品取り付け用開孔部にその前側から対向するように前記遊技盤の盤面に設けられる盤面部品と
E1 を備える遊技機において、
前記裏部品は、
F1 前記遊技盤にその裏側から設けられる裏カバーと、
G1 前記遊技盤に形成してなる中央開口部に対向するように前記裏カバーに形成してなる組み付け穴部に前記中央開口部を通してその前方から視認可能なように組み付けられて演出表示を行う表示装置と、
H1’ 前記盤面部品用開口部の近傍に対向するように支持される磁気センサとを備えており、
K1 前記遊技盤の盤面に沿い転動する遊技球を前記盤面部品に誘導するように当該遊技球に対し前記前扉の前記透明板を介し磁石を対向させたとき、前記磁石センサは、前記磁石の磁気を検出してエラー検出信号を発生し、
L1’ 前記表示装置は、所定のエラー画像を、前記磁石センサの前記エラー検出信号に基づき、表示する
E1 遊技機。」

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点A> (構成H1に関して)
磁気センサに関して、本願発明では、磁気センサが盤面部品取り付け用開口部に対し対向しているのに対して、引用発明では、磁気センサ71が普通入賞口ユニット装着孔5eの近傍に対向していると認められるが、普通入賞口ユニット装着孔5eに対向するか否かは不明である点。

<相違点B> (構成L1に関して)
エラー画像の表示に関して、本願発明では、表示装置の表示面の全面に亘り、所定のエラー画像を、演出表示中の表示内容を視認できないように、表示するのに対して、引用発明ではエラー表示の詳細が不明である点。

上記の各相違点について検討すると、相違点A及び相違点Bは、実質的に上記第2の3(3)において検討した本願発明と引用発明との対比における相違点1及び相違点2と同じものであり、それらの相違点については、上記第2の3(4)において検討したとおりである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-03-25 
結審通知日 2021-03-30 
審決日 2021-04-13 
出願番号 特願2016-81307(P2016-81307)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 剛史  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 間瀬 ▲けい▼一郎  

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