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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29C
審判 一部申し立て 発明同一  B29C
管理番号 1374951
異議申立番号 異議2021-700206  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-25 
確定日 2021-06-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6749012号発明「繊維強化樹脂部材及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6749012号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6749012号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年6月28日の出願であって、令和2年8月13日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年9月2日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和3年2月25日に特許異議申立人 特許業務法人朝日奈特許事務所(以下、「特許異議申立人」という。)より、特許異議の申立て(対象となる請求項:請求項1ないし5)がされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、これらの発明を順に「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などという場合があり、また、これらをまとめて「本件特許発明」という場合がある。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の連続した繊維からなる織物を含有する第1繊維強化材と、
第1樹脂を含有する第1樹脂部と第2樹脂を含有する第2樹脂部を有し、前記第1繊維強化材を被覆する樹脂母材と、
前記樹脂母材に含有され、複数の不連続な繊維からなる第2繊維強化材と、を含み、
前記第1樹脂と前記第2樹脂との界面において、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが、凹凸形状をなして一体化されており、
前記織物の一部が、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを交互に貫通しており、
前記複数の不連続な繊維の一部が、前記界面を介して、前記第1樹脂及び前記第2樹脂の双方に侵入している
ことを特徴とする繊維強化樹脂部材。
【請求項2】
前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部の少なくとも一方が、前記第2繊維強化材を10?50質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂部材。
【請求項3】
前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部の少なくとも一方が、前記第2繊維強化材を15?40質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂部材。
【請求項4】
前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部の双方が、当該繊維強化樹脂部材の厚み方向において、前記織物を貫通していることを特徴とする請求項1?3のいずれか1つの項に記載の繊維強化樹脂部材。
【請求項5】
前記第1繊維強化材が、前記織物を複数含有し、
前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部の双方が、当該繊維強化樹脂部材の厚み方向において、前記複数の織物を貫通していることを特徴とする請求項1?4のいずれか1つの項に記載の繊維強化樹脂部材。」

第3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人が申し立てた請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議申立理由の要旨(下記1?2)及び証拠方法(同3)は、次のとおりである。

1 申立理由1(明確性)
本件特許発明1ないし5の特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、それらの特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
なお、申立理由1の具体的理由は、おおむね次のとおりである。
「本件特許発明1は、以下の構成要件1Dを必須の発明特定事項とする。

(構成要件1D)
前記第1樹脂と前記第2樹脂との界面において、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが、凹凸形状をなして一体化されている。

しかしながら、第1樹脂と第2樹脂とが一体化された「凹凸形状」とは、いかなる形状であるか明確でない。・・・具体的に、どの程度の大きさ、深さ、個数やピッチなどの凹凸を、本件特許発明における「凹凸形状」と称しているか、何ら明確な定義がない。」

2 申立理由2(拡大先願)
本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、甲第1号証の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「甲1当初明細書」という。)に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

3 証拠方法
甲第1号証:特願2015-56373号(特開2016-175244号公報)
なお、上記証拠の表記は、特許異議申立書における記載にしたがった。

第4 特許異議申立理由についての判断
1 申立理由1(明確性)について
(1) 明確性の判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
そこで、検討する。

(2) 判断
「凹凸形状」について、本件特許の明細書には、「凹凸形状」との表記はあるものの、「凹凸形状」が具体的にどのような形状であるかについての記載はない。
ところで、「凹凸」とは、一般に「表面が平らでないこと。でこぼこ。」(デジタル大辞泉)を意味するから、本件特許発明の「凹凸形状」は表面が平らではない形状であればよく、深さ、個数、ピッチなどとは無関係であって、そのような意味において上記「凹凸形状」は明確である。

さらに、本件特許明細書には、
「例えば、凹凸形状をなさずに一体化されている場合には、界面において対向する樹脂側に侵入する樹脂が殆どないので、界面に応力が加わると界面からの破壊が生じる。一方、凹凸形状をなして一体化されている場合には、界面において対向する樹脂側に侵入する樹脂が一体化を維持しようとするアンカー機能を発揮する。そのため、界面に応力が加わっても破壊が生じにくい。」(段落【0023】)
と、第1樹脂と第2樹脂との界面において、第1樹脂と第2樹脂とが、凹凸形状をなさない場合に比して凹凸形状をなす場合には、アンカー効果機能を発揮することが記載されている。
凹凸形状によるアンカー効果について、凹凸の大きさや深さ、数、ピッチなどは、アンカー効果の強さに影響するものであることは、当業者において広く知られているところであるが、凹凸形状をなさない場合に比して、凹凸形状を設けた場合には定性的にアンカー効果が得られることもまた、当業者において広く知られていることである。
そして、本件特許発明は、本件特許明細書の段落【0023】に記載されるとおり、凹凸形状をなさずに一体化されている場合に比して、凹凸形状をなして一体化することによりアンカー効果を得るものであるから、表面に「凹凸形状」をなしていれば事足りることは、当業者であれば理解できるものであり、機能発現の点から見ても、明確である。

したがって、本件特許発明1ないし5に関して、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。

(3) 申立理由1のまとめ
上記のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。申立理由1には理由がない。

2 申立理由2(拡大先願)について
(1) 甲第1号証の記載事項
甲1当初明細書には、次の記載がある。(決定注:下線は合議体が付したものである。)

「【請求項1】
繊維を含む熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂の融解温度よりも低い融解温度を有し繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物と、が溶着により接合した樹脂接合体。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維が、織布である請求項1に記載の樹脂接合体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂に含まれる繊維が、不織布である請求項1又は請求項2に記載の樹脂接合体。」

「【0001】
本発明は、樹脂接合体、樹脂接合体の製造方法及び車両用構造体に関する。」

「【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物とが接着剤又はリベット等の締結部材を用いることなく接合された樹脂接合体及びその製造方法並びにこの樹脂接合体を用いた車両用構造体を提供することを目的とする。」

「【0012】
以下、本発明の樹脂接合体、樹脂接合体の製造方法及び車両用構造体の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
<樹脂接合体及びその製造方法>
本実施形態に係る樹脂接合体は、繊維を含む熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂の融解温度よりも低い融解温度を有し繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物と、が溶着により接合したものである。本実施形態に係る樹脂接合体は、繊維を含む熱可塑性樹脂と繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物とが接着剤又はリベット等の締結部材を用いることなく溶着により接合されているため、繊維を含む熱可塑性樹脂と繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物を接合する際の接着剤又はリベット等の締結部材の使用による質量増加が抑制される。さらに、接着剤の強度で接合部の強度が決定されることがなく、適切な樹脂を選択することにより樹脂接合体の接合強度を向上させることができる。また、リサイクル性、ハイサイクル性に優れる熱可塑性樹脂の採用可能範囲を拡大することが可能となる。
・・・
【0021】
本実施形態に係る樹脂接合体においては、熱硬化性樹脂硬化物の融解温度は熱可塑性樹脂の融解温度よりも低い。熱硬化性樹脂硬化物の融解温度と熱可塑性樹脂の融解温度との差は特に限定されるものではない。熱硬化性樹脂硬化物の融解温度と熱可塑性樹脂の融解温度との差の下限値としては、例えば、50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。熱硬化性樹脂硬化物の融解温度と熱可塑性樹脂の融解温度との差の上限値は特に限定されるものではないが、樹脂の入手容易性の観点から250℃以下とされる。
・・・
【0023】
なお、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維は、織布であることが好ましい。熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維として織布を用いることで、織布を構成する繊維に熱可塑性樹脂に含まれる繊維が絡みやすくなり、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物との間により大きな接合強度が生じやすくなるものと推察される。
【0024】
また、熱可塑性樹脂に含まれる繊維は、不織布であることが好ましい。熱可塑性樹脂に含まれる繊維として不織布を用いることにより、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維と熱可塑性樹脂に含まれる繊維とが絡みやすくなり、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物との間により大きな接合強度が生じやすくなるものと推察される。
【0025】
さらには、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維が織布であり、熱可塑性樹脂に含まれる繊維が不織布であることがより好ましい。熱可塑性樹脂よりも融解温度の低い熱硬化性樹脂硬化物が溶着の際に先に溶融するか又は燃焼により消失しやすいため、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる織布がむき出しになりやすい。このむき出しになった織布における繊維の網目に不織布が入り込むことで、織布には不織布がより絡み合いやすい。そのため、強固な結合が生じやすい。その結果、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物との間により大きな接合強度が生じやすくなると推察される。
・・・
【0027】
本実施形態においては、熱可塑性樹脂の融解温度よりも熱硬化性樹脂硬化物の融解温度の方が低いことから、接合工程において溶着により当該樹脂同士を接合する際に、熱可塑性樹脂よりも先に熱硬化性樹脂硬化物が溶融するか又は燃焼により消失しやすい。熱硬化性樹脂硬化物が先に溶融するか又は燃焼により消失することで、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維がむき出しになる。むき出しになった熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維に、熱可塑性樹脂及びこれに含まれる繊維が絡み合うことで、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物との間に接合強度が生ずる。そのため、本実施形態に係る樹脂接合体は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物とを、接着剤又はリベット等の締結部材を用いることなく接合可能になるものと推察される。
・・・
【0029】
図1は、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維を織布とし、熱可塑性樹脂に含まれる繊維を不織布とした本実施形態に係る樹脂接合体の接合部の断面写真の一例である。図1の断面写真において、上側が熱可塑性樹脂であり下側が熱硬化性樹脂硬化物である。下側の熱硬化性樹脂硬化物には、織布由来の規則的な繊維の断面が観察されている。
図2は、図1の記号Aを付された楕円で囲まれた付近の拡大写真である。図2の溶着面において、熱可塑性樹脂(図2中「熱可塑」と表記されたもの)に含まれる不織布と熱硬化性樹脂硬化物(図2中「熱硬化」と表記されたもの)に含まれる織布とが絡み合った部分(繊維絡み部)が存在することがわかる。」

「【図1】



「【図2】



(2) 甲1当初明細書に記載された発明
上記(1)の記載、特に、請求項1、段落【0027】、【0029】の記載を中心に整理すると、甲1当初明細書には次の発明(以下、「甲1先願発明」という。)が記載されているものと認める。

「繊維を含む熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂の融解温度よりも低い融解温度を有し繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物と、が溶着により接合した樹脂接合体であって、
熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維を織布とし、熱可塑性樹脂に含まれる繊維を不織布とし、
接合工程において溶着により当該樹脂同士を接合する際に、熱硬化性樹脂硬化物が消失することで、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維がむき出しになり、むき出しになった熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維に、熱可塑性樹脂及びこれに含まれる繊維が絡み合った樹脂接合体。」

(3) 判断
ア 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1先願発明とを対比する。
甲1先願発明の「織布」、「不織布」、「樹脂接合体」は、それぞれ、本件特許発明1の「複数の連続した繊維からなる織物を含有する第1繊維強化材」、「複数の不連続な繊維からなる第2繊維強化材」、「繊維強化樹脂部材」に相当する。
また、甲1先願発明の「織布」を含む「熱硬化性樹脂硬化物」、「不織布」を含む「熱可塑性樹脂」は、それぞれ、本件特許発明1の「第1樹脂を含有する第1樹脂部」、「第2樹脂を含有する第2樹脂部」に相当し、かつ、甲1先願発明の「熱硬化性樹脂硬化物」および「熱可塑性樹脂からなるものは、本件特許発明1の「第1繊維強化材を被覆する樹脂母材」にも相当する。
さらに、甲1先願発明の「熱硬化性樹脂硬化物」と「熱可塑性樹脂」との界面は、図1および図2から見るに、平らではなく、凹凸をなして一体化していることが見てとれるから、本件特許発明1の「前記第1樹脂と前記第2樹脂との界面において、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが、凹凸形状をなして一体化されており」との特定事項を満たすことも明らかである。
してみると、両者は、
「複数の連続した繊維からなる織物を含有する第1繊維強化材と、
第1樹脂を含有する第1樹脂部と第2樹脂を含有する第2樹脂部を有し、前記第1繊維強化材を被覆する樹脂母材と、
前記樹脂母材に含有され、複数の不連続な繊維からなる第2繊維強化材と、を含み、
前記第1樹脂と前記第2樹脂との界面において、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが、凹凸形状をなして一体化されている、
繊維強化樹脂部材。」
との点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
繊維強化樹脂部材について、本件特許発明1では、「前記織物の一部が、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを交互に貫通しており」と特定されるのに対して、甲1先願発明にはそのような特定がない点。

(相違点2)
繊維強化樹脂部材について、本件特許発明1では、「前記複数の不連続な繊維の一部が、前記界面を介して、前記第1樹脂及び前記第2樹脂の双方に侵入している」と特定されるのに対して、甲1先願発明にはそのような特定がない点。

事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
甲1先願発明では、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂硬化物を溶着により接合するにあたり、熱硬化性樹脂硬化物が消失することで、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維がむき出しになり、むき出しになった熱硬化性樹脂硬化物に含まれる繊維に、熱可塑性樹脂及びこれに含まれる繊維が絡み合ったものとなっている。
すると、熱可塑性樹脂に含まれる繊維は、熱硬化性樹脂硬化物が消失してむき出しになった織布の繊維と絡み合うものの、熱硬化性樹脂硬化物は消失しているため、絡み合う部分において熱硬化性樹脂硬化物に「侵入」することはない。すなわち、甲1先願発明の「熱可塑性樹脂に含まれる繊維」(不織布。本件特許発明1の「複数の不連続な繊維からなる第2繊維強化材」。)は、その一部が熱可塑性樹脂(第2樹脂)に侵入しているとはいえるものの、熱硬化性樹脂硬化物(第1樹脂)に侵入していないと解される。
してみれば、甲1先願発明は、「前記複数の不連続な繊維の一部が、前記界面を介して、前記第1樹脂及び前記第2樹脂の双方に侵入している」との構成を有しておらず、相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1と甲1先願発明とは同一ではないと判断される。

イ 本件特許発明2ないし5について
本件特許発明2ないし5はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものである。
そして、上記アで検討のとおり、本件特許発明1は甲1先願発明と同一ではないから、本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2ないし5についても同様に、甲1先願発明と同一ではないと判断される。

(4) 申立理由2のまとめ
上記のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるとはいえない。申立理由2には理由がない。

第5 結語
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-05-28 
出願番号 特願2016-127953(P2016-127953)
審決分類 P 1 652・ 537- Y (B29C)
P 1 652・ 161- Y (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浅野 昭  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 植前 充司
相田 元
登録日 2020-08-13 
登録番号 特許第6749012号(P6749012)
権利者 日産自動車株式会社 ルノー エス.ア.エス.
発明の名称 繊維強化樹脂部材及びその製造方法  
代理人 的場 基憲  
代理人 的場 基憲  

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