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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G
管理番号 1380236
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-06 
確定日 2021-12-15 
事件の表示 特願2017−558690「位置に基づくディスプレイ特性の環境適応を伴う電子ディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日国際公開、WO2017/031237、平成30年 9月 6日国内公表、特表2018−525650〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)8月17日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2015年8月17日、2016年2月12日(2件)及び2016年3月28日、いずれも(US)アメリカ合衆国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成29年12月25日 :翻訳文の提出
平成30年 9月20日付け:拒絶理由通知書
平成31年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月26日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 9月 3日 :査定の謄本の送達)
令和 2年 1月 6日 :審判請求書の提出
令和 2年12月21日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 3月 1日 :意見書の提出


第2 本件発明
本願の請求項1〜19に係る発明は、平成31年3月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜19に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1〜19の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。

「【請求項1】
電子ディスプレイと、
前記電子ディスプレイがバックライトによって直接バックライトで照らされるように、前記電子ディスプレイの後ろに配置される前記バックライトと、
前記電子ディスプレイと電気接続するディスプレイ・コントローラであって、
現在の時間が日没と日の出の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく夜間指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示し、
現在の時間が日の出と日没の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく日中指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示するように、
構成された前記ディスプレイ・コントローラと、
を含み、
前記夜間指示は、低周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、
前記日中指示は、高周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、
前記ディスプレイ・コントローラは、前記所望のガンマ設定を自動的に調整するように構成され、
ガンマは、表示される画像におけるグレー・レベルのスケーリングを変換する冪関数Sγの数学的指数を指す、電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項2】
前記夜間指示が、低周囲光条件中の前記ディスプレイの所望の黒レベルを含み、
前記日中指示が、高周囲光条件中の前記ディスプレイの所望の黒レベルを含む、請求項1に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項3】
前記ディスプレイ・コントローラが、各日の日の出時間および日没時間を判定する、請求項1又は2に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項4】
前記ディスプレイ・コントローラが、日の出式を計算することにより各日の日の出時間および日没時間を判定する、請求項3に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項5】
前記ディスプレイ・コントローラが、
現在の時間が日没移行期間中であるか日の出移行期間中であるかを判定し、
前記日没移行期間中である場合に日没についての人工周囲センサ・データ(AAS)を計算し、
前記日の出移行期間中である場合に日の出についての人工周囲センサ・データ(AAS)を計算し、
前記AASデータに基づいて動作するよう前記ディスプレイに指示するように、
更に構成され、
前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を考慮する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項6】
前記ディスプレイ・コントローラが、
人工周囲センサ・データ(AAS)を計算し、
前記AASデータに基づいて所望のガンマ設定を判定し、
前記所望のガンマ設定を使用して前記電子ディスプレイを駆動するように、
更に構成され、
前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項7】
前記ディスプレイ・コントローラが、
局地気象情報を判定し、
前記局地気象情報に基づいて人工周囲センサ・データ(AAS)を計算し、
前記AASデータに基づいて所望のガンマ設定を判定し、
前記所望のガンマ設定を使用して前記電子ディスプレイを駆動するように、
更に構成され、
前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、雲量を近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する、請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項8】
前記所望のガンマ設定が、前記AASデータを環境中の周囲光とガンマの対応する値との所定の関係と比較することにより判定される、請求項5乃至7の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項9】
前記ディスプレイ・コントローラが、前記AASデータに基づいて黒レベル・オフセットを判定するように、更に構成される、請求項5乃至8の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項10】
前記電子ディスプレイ・コントローラがGPSデバイスを通じて前記電子ディスプレイの位置データを判定できるように、前記電子ディスプレイ・コントローラと電気接続する前記GPSデバイスを
を更に含む請求項1乃至9の何れか1項に記載の電子ディスプレイ・アセンブリ。
【請求項11】
電子ディスプレイがバックライトによって直接バックライトで照らされるように、前記電子ディスプレイと、前記電子ディスプレイの後ろに配置される前記バックライトと、を提供するステップと、
1日の日没時間および日の出時間を判定するステップと、
現在の時間が日の出と日没の間であるか日没と日の出の間であるかを判定するステップと、
現在の時間が日の出と日没の間である場合に周囲光センサからの入力を受け入れることなく日中指示に基づくか現在の時間が日没と日の出の間である場合に周囲光センサからの入力を受け入れることなく夜間指示かに基づいて前記ディスプレイのガンマを自動的に選択するステップと、
前記選択されたガンマで前記ディスプレイを駆動するステップと、
を含み、
前記夜間指示は、低周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、
前記日中指示は、高周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、
ガンマは、表示される画像におけるグレー・レベルのスケーリングを変換する冪関数Sγの数学的指数を指す、電子ディスプレイ特性の環境適応のための方法。
【請求項12】
夜間から日の出に移行するときに前記ディスプレイの前記ガンマを徐々に変化させるステップと、
日中から日没に移行するときに前記ディスプレイの前記ガンマを徐々に変化させるステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1日の日没時間および日の出時間を判定する前記ステップが、日の出式を計算することにより実行される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
現在の時間が日の出と日没の間であるか日没と日の出の間であるかに基づいて前記ディスプレイの黒レベル・オフセットを選択するステップと、
前記選択された黒レベル・オフセットで前記ディスプレイを駆動するステップと、
をさらに含む請求項11乃至13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
現在の時間が日没移行期間中であるか日の出移行期間中であるかを判定するステップと、
前記日没移行期間中である場合に日没についての人工周囲センサ・データ(AAS)を計算するステップと、
前記日の出移行期間中である場合に日の出についての人工周囲センサ・データ(AAS)を計算するステップと、
現在の時間が前記日没移行期間中または前記日の出移行期間中である場合に、前記AASデータに基づいて前記ディスプレイのガンマを選択するステップと、
現在の時間が前記日没移行期間中または前記日の出移行期間中である場合に、前記選択されたガンマで前記ディスプレイを駆動するステップと、
をさらに含み、
前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記没移行期間を考慮する、請求項11乃至14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
局地気象情報を判定するステップと、
前記局地気象情報に基づいて人工周囲センサ・データ(AAS)を計算するステップと、
前記AASデータ、および現在の時間が日の出と日没の間であるか日没と日の出の間であるかに基づいて、前記ディスプレイのガンマを選択するステップと、
前記選択されたガンマで前記ディスプレイを駆動するステップと、
をさらに含み、
前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、雲量を近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する、請求項11乃至15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
AASデータに基づいて前記ディスプレイのガンマを選択する前記ステップが、前記AASデータを環境中の周囲光とガンマの対応する値との所定の関係と比較することにより実行される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記AASデータに基づいて前記ディスプレイの黒レベル・オフセットを判定するステップを
さらに含む請求項15乃至17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
GPSデバイスを通じてディスプレイの位置データを判定するステップを
をさらに含む請求項11乃至18の何れか1項に記載の方法。」


第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が令和2年12月21日付けで通知した拒絶の理由である理由1及び理由2の概要は、次のとおりである。

1 理由1
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項1〜19に対して
・引用文献
1.米国特許出願公開第2015/0070337号明細書
2.特開2005−338266号公報
3.特開平5−18767号公報

2 理由2
明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。



(1) 請求項5〜9、15〜18の記載において、「人工周囲センサ・データ(AAS)」の概念範囲が明確でないから、前記請求項又は当該請求項を直接又は間接的に引用する請求項である、請求項5〜10及び請求項15〜19に係る発明は明確でない点。
(2) さらに、請求項5、6、7及び請求項15、16の記載において、下記ア〜オの記載の意味が不明であり、前記請求項又は当該請求項を直接又は間接的に引用する請求項である、請求項5〜10及び請求項15〜19に係る発明は明確でない点。
(「AASデータは、・・・・・・を考慮する」の意味が不明である。
また、「AASデータは、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ」の意味、特に「近似する」の意味が不明である。)
ア 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を考慮する」(請求項5)
イ 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する」(請求項6)
ウ 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、雲量を近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する」(請求項7)
エ 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記没移行期間を考慮する」(請求項15)
オ 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、雲量を近似するデータ、日の出移行期間及び日没移行期間を考慮する」(請求項16)


第4 理由1についての当審の判断
1 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
本願の優先日より前の2015年3月12日に発行された米国特許出願公開第2015/0070337号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。摘記箇所の後の括弧内に当審による日本語訳を示す。下線は、当審が付したものであり、後述の引用発明の認定に直接用いるところに付してある。
「 BACKGROUND

[0001] Portable electronic devices are used in a multitude of ambient light conditions, which can significantly affect a user's perception of the displayed content on such devices. The human vision system has some ability to adapt to these different ambient lighting conditions. However, even with these adaptive abilities, in different ambient light conditions a user will perceive the display differently, and in some ambient light conditions the user's perception of the display will be degraded. For example, in bright ambient light a dim display may be hard to see.」
( 背景

[0001] 携帯電子機器は、様々な周囲光条件において使用され、周囲光条件は、機器上に表示されるコンテンツのユーザの知覚に著しく影響を及ぼし得る。人間の視覚システムは、これらの異なる周囲照明条件に適応する能力をいくらか有する。しかしながら、これらの適応能力があっても、異なる周囲光条件では、ユーザは、ディスプレイを異なって知覚し、いくつかの周囲光条件では、ディスプレイのユーザの知覚は、劣化するであろう。例えば、明るい周囲光では、薄暗いディスプレイは見えにくい場合がある。)

「[0002] One mobile phone device that attempts to address this issue uses an ambient light detector to measure a current brightness level of the ambient light. The mobile phone then bins the current brightness level into one of a plurality of brightness ranges, and adjusts a backlight brightness value for the display based on the ambient brightness range in which the detected current ambient brightness level falls. This prior approach has the advantages of improving the display visibility based on the detected current brightness of the ambient light, and saving battery power when a fully bright display is not required.」
([0002] この問題に対処しようとする一つの携帯電話機器は、周囲光の現在の輝度レベルを測定するために周囲光検出器を使用する。次いで、携帯電話は、現在の輝度レベルを複数の輝度範囲のうちの一つにビンし、検出された現在の周囲輝度レベルが入る周囲輝度範囲に基づいて、ディスプレイのバックライト輝度値を調整する。この従来の手法は、検出された周囲光の現在の輝度に基づいてディスプレイの可視性を改善し、完全に明るいディスプレイが必要とされないときにバッテリ電力を節約するという利点を有する。)

「[0003] However, one drawback of such devices is that since the display brightness is adjusted based on a current ambient brightness level, when a user travels from a bright environment to a dark one, or vice versa, the display may be either too bright or too dim for the user, because the user's eyes have not yet adjusted to the new ambient light environment. Another drawback is that the user's perception of the color of the display may be degraded by the color of ambient light. For example, a user viewing a display in tungsten light may perceive a display's colors to be shifted toward a blue region of the color spectrum as compared to when viewing the same display in daylight. Similarly, a user viewing a display in the light of early morning or late evening, which has a different color profile than midday light, may perceive the colors of the display as altered as compared to midday.」
([0003] しかしながら、そのような機器の一つの欠点は、ディスプレイ輝度が現在の周囲輝度レベルに基づいて調整されるので、ユーザが明るい環境から暗い環境に、又はその逆に移動するとき、ユーザの眼が新しい周囲光環境にまだ調整されていないので、ディスプレイがユーザにとって明るすぎるか又は薄すぎるかのいずれかであり得ることである。別の欠点は、ディスプレイの色のユーザの知覚が、周囲光の色によって劣化され得ることである。例えば、タングステン光でディスプレイを見るユーザは、昼光で同じディスプレイを見るときと比較して、ディスプレイの色が色スペクトルの青色領域に向かってシフトされるように知覚し得る。同様に、昼の光とは異なる色プロファイルを有する早朝又は夕暮れの光の下でディスプレイを見ているユーザは、ディスプレイの色が昼と比較して変化していると知覚し得る。)

「[0004] According to another prior approach, a geographic location is entered into a software program on a computing device, along with a type of night time light source. The software program calculates a preset twenty four hour color shift curve. The software program then proceeds to shift the color of the display according to the preset twenty four hour color shift curve throughout the day and night. While such an approach attempts to adjust the display to a color that is closer to the daylight or night time light source by which the user views the device, the approach nonetheless suffers from the drawback that the color shifting curve is preset and as a result differences between the actual ambient light conditions and the display as modified by the color shifting curve often and inevitably result. These differences can cause the display to appear to be too red or too yellow, for example, resulting in a sub-optimal display viewing experience.」
([0004] 別の従来の手法によれば、地理的位置が、夜間光源のタイプとともに、コンピューティング機器上のソフトウェアプログラムに入力される。ソフトウェアプログラムは、予め設定された24時間の色シフト曲線を計算する。次に、ソフトウェアプログラムは、昼夜を通して、予め設定された24時間の色変化曲線に従ってディスプレイの色を変化させる。そのような手法は、ユーザが機器を見る光である、昼光又は夜間光源により近い色にディスプレイを調整しようと試みるが、それにもかかわらず、当該手法は、色シフト曲線が事前設定され、結果として、実際の周囲光条件と、色シフト曲線によって修正されたディスプレイとの間の差が、多くの場合、必然的に生じるという欠点を被る。これらの差は、例えば、ディスプレイは、過度に赤色又は過度に黄色に見えるようにさせ、最適でないディスプレイ視認体験をもたらし得る。)

「[0005] As a result of these wide variances in user perception of displayed images in different ambient light conditions, the user's experience with the portable electronic device may be degraded, potentially frustrating both the user, and the sales of the portable electronic device.」
([0005] 異なる周囲光条件における表示された画像のユーザ知覚のこれらの幅広い変化の結果として、携帯電子機器を用いたユーザの経験を劣化させて、ユーザと携帯電子機器の販売の両方をくじいている可能性がある。)

「 SUMMARY

[0006] To address these issues, systems and methods for adjusting a display to account for ambient light are provided. For example, one disclosed embodiment provides a method comprising, at a portable electronic device, determining an ambient light history including a plurality of ambient light color conditions sensed over a duration of device operation by a light sensor, reading a display-ready image having a plurality of pixels from an image source, and adjusting a manner in which the display-ready image is displayed on the portable electronic device by color-shifting at least a subset of the plurality of pixels based on the plurality of ambient light color conditions in the ambient light history to thereby generate a color-modified image. The color-modified image is then displayed on the display of the portable electronic device.」
( 概要

[0006] これらの問題に対処するために、周辺光を考慮するようにディスプレイを調整するためのシステム及び方法が提供される。例えば、一つの開示される実施形態は、携帯電子機器において、光センサによって機器動作の持続時間にわたって感知された複数の周辺光色状態を含む周辺光履歴を決定するステップと、画像ソースから複数のピクセルを有する表示準備完了画像を読み取るステップと、周辺光履歴内の複数の周辺光色状態に基づいて複数のピクセルの少なくともサブセットを色シフトすることによって、表示準備完了画像が携帯電子機器上に表示される様式を調整し、それによって、色修正画像を生成するステップとを含む方法を提供する。次に、色修正された画像は、携帯電子機器のディスプレイ上に表示される。)

「[0007] This Summary is provided to introduce a selection of concepts in a simplified form that are further described below in the Detailed Description. This Summary is not intended to identify key features or essential features of the claimed subject matter, nor is it intended to be used to limit the scope of the claimed subject matter. Furthermore, the claimed subject matter is not limited to implementations that solve any or all disadvantages noted in any part of this disclosure.」
([0007] この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の集合を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。さらに、特許請求される主題は、本開示の任意の部分において言及される任意の又は全ての欠点を解決する実装形態に限定されない。)

「[0021] FIGS. 1 and 2 illustrate one embodiment of a portable electronic device 10 with a display 12 configured to adapt its output based upon a history of ambient light conditions to enhance the perception of the display by a user. Although a smartphone is depicted, it will be appreciated that the portable electronic device 10 may be of other types, including a tablet computing device, laptop computer, personal data assistant, etc. The internal hardware configuration of portable electronic device 10 is described in more detail below with reference to FIG. 13.」
([0021] 図1及び図2は、ユーザによるディスプレイの知覚を向上させるために、光条件の履歴に基づいてその出力を適応させるように構成されたディスプレイ12を有する携帯電子機器10の一実施形態を示す。スマートフォンが示されているが、携帯電子機器10は、タブレットコンピューティング機器、ラップトップコンピュータ、パーソナルデータアシスタントなどを含む他のタイプのものであってもよいことが理解されよう。携帯電子機器10の内部の内部ハードウェア構成は、以下で、図13を参照してより詳細に説明される。)

「[0022] Along with display 12, portable electronic device 10 includes an ambient light sensor 14 and a front camera 16 disposed on a front side of the device, as shown in FIG. 1, and a rear camera 18 disposed on a rear side of the device, as shown in FIG. 2. The front camera 16, rear camera 18, and ambient light sensor 14 constitute a plurality of light sensors 20 provisioned on the portable electronic device 10, which can be used to provide information about the ambient light conditions in the surrounding environment to the device. Ambient light sensor 14 typically is a small group of photodetectors with optical filtering that is configured to sense both luminance and also a color condition such as a correlated color temperature (CCT) of the detected ambient light. Front camera 16 and rear camera 18 may be any suitable type of camera, and may include a CMOS and/or CCD light sensor. Images captured by front and rear cameras 16 and 18 may be analyzed to determine the ambient light conditions surrounding the display 12 upon capture. To accomplish this, software and/or hardware logic may be utilized to determine the luminance and also correlated color temperature of the images captured by front camera 16 and rear camera 18. It will be appreciated that other light characteristics may also be determined through an analysis of the images captured by front and rear cameras 16 and 18, and through analysis of data captured by ambient light sensor 14. Light characteristics determined via analysis of such data may be used to adjust the color properties (e.g., white point) of a displayed image on the display 12.」
([0022] 携帯電子機器10は、ディスプレイ12とともに、図1に示すように、機器の前面に配置された周囲光センサ14及びフロントカメラ16を含み、図2に示すように、装置後方には、後方カメラ18を含んでいる。前方カメラ16、後方カメラ18、及び周囲光センサ14は、携帯電子機器10上に設けられた複数の光センサ20を構成し、これらの光センサは、周囲環境における周囲光条件に関する情報を機器に提供することに使用され得る。周囲光センサ14は、典型的には、輝度と、検出された周囲光の相関色温度(CCT)などの色状態との両方を感知するように構成された光学フィルタリングを有する光検出器の小グループである。前方カメラ16及び後方カメラ18は、任意の適切なタイプのカメラであってもよく、CMOS及び/又はCCD光センサを含んでもよい。前方カメラ16及び後方カメラ18によってキャプチャされた画像は、キャプチャ時にディスプレイ12を取り囲む周辺光条件を決定するために分析され得る。これを達成するために、ソフトウェア及び/又はハードウェア論理を利用して、前方カメラ16及び後方カメラ18によって取り込まれた画像の輝度及び相関色温度を決定することができる。他の光特性もまた、前方カメラ16及び後方カメラ18によって捕捉された画像の分析を通して、並びに周囲光センサ14によって捕捉されたデータの分析を通して決定され得ることが理解されるであろう。そのようなデータの分析を介して決定される光特性は、ディスプレイ12上に表示される画像の色特性(例えば、白色点)を調整するために使用され得る。)

「[0023] As schematically illustrated in FIG. 3, portable electronic device 10 can be picked up by a user 5 and carried into a wide variety of ambient lighting conditions, such as midday sunlight, fluorescent lighting, and evening sunlight, to name a few. To overcome the challenges discussed in the Background above, and to generally enhance the user's perception of the display 12 of the portable electronic device 10, the portable electronic device of the present disclosure is configured to detect a history of the color conditions (such as correlated color temperatures) and luminance of the ambient light via the light sensors 20 discussed above, and make appropriate modifications to the image presented on the display and/or the display itself. As described in more detail below, these modifications may include adjusting color properties of the image itself (e.g., white point, color rendering, and peak luminance), and/or adjusting one or more settings of the display itself (e.g. display gamma and backlight level). In FIG. 3, the portable electronic device 10 is illustrated making two ambient light transitions. In the first, after a sudden transition from bright midday sunlight to dim fluorescent light, the device 10 applies a first color shift to display warmer (e.g., having a white point substantially of 3500K) colors and a gradual dimming profile which gradually dims the brightness of display 12 to a brightness appropriate for the brightness of the ambient light. In the second, after a transition from the dim fluorescent light to a slightly brighter warm evening sunlight, the device 10 applies a second color shift to display increasingly warmer (e.g., having a white point substantially of 2500K) colors to match the evening sunlight.」
([0023] 図3に模式的に示されるように、携帯電子機器10は、ユーザ5によって持ち上げられ、いくつか例を挙げると、日中の太陽光、蛍光灯、及び夕方の太陽光などの多種多様な周囲照明条件に持ち込まれ得る。上記の背景技術で説明した課題を克服するために、また携帯電子機器10のディスプレイ12のユーザの知覚を全般的に高めるために、本開示の携帯電子機器は、上記で説明した光センサ20を介して周囲光の色状態(相関色温度など)及び輝度の履歴を検出し、ディスプレイ上に提示される画像及び/又はディスプレイ自体に適切な修正を行うように構成される。以下でより詳細に説明するように、これらの修正は、画像自体の色特性(たとえば、白色点、演色、及びピーク輝度)を調整すること、及び/又はディスプレイ自体の一つ又は複数の設定(たとえば、ディスプレイガンマ及びバックライトレベル)を調整することを含み得る。図3では、携帯電子機器10は、二つの周囲光遷移を行うように示されている。第1に、明るい日中の太陽光から薄暗い蛍光への突然の遷移の後、機器10は、より暖かい(例えば、実質的に3500Kの白色点を有する)色を表示するための第1の色シフトと、ディスプレイ12の輝度を周囲光の明るさに適切な輝度に徐々に暗くする漸進的調光プロファイルとを適用する。第2に、薄暗い蛍光からわずかに明るい暖かい夕方の太陽光への遷移の後、機器10は、第2の色シフトを適用して、夕方の太陽光に一致するようにますます暖かくなる(例えば、実質的に2500Kの白色点を有する)色を表示する。)

「[0024] Turning now to FIG. 4, to achieve this adaptive display functionality, portable electronic device 10 includes an adaptive display module 22 configured to receive ambient light data 24 from at least one of the light sensors 20. The ambient light data 24 includes an indication of the brightness and color of ambient light surrounding device 10 sensed by light sensors 20, encoded respectively in luminance data 25 and ambient light color condition 23. The ambient light color condition 23 may indicate the white point of ambient light in the form of a CCT, for example. The ambient light data 24 is collected over a duration of operation of the device 10 and stored in an ambient light history 26, and may be collected in a substantially continuous manner or as a plurality of discrete data samples at intervals throughout the duration of device operation. One example of an ambient light history is illustrated in FIG. 7, discussed below in greater detail. In some embodiments, changes in ambient brightness above a threshold level are stored while those below the threshold level are discarded. Elapsed times or timestamps may be associated with ambient brightness measurements. These are especially useful for measurements straddling a brightness threshold change to facilitate adaptive display modification.」
([0024] ここで図4を参照すると、この適応ディスプレイ機能を達成するために、携帯電子機器10は、光センサ20のうちの少なくとも一つから周辺光データ24を受信するように構成された適応型ディスプレイモジュール22を含む。周囲光データ24は、輝度データ25及び周囲光色状態23にそれぞれ符号化された、光センサ20によって感知された機器10の周囲の周囲光の輝度及び色の指示を含む。周囲光色条件23は、例えば、CCTの形態で周囲光の白色点を示すことができる。周囲光データ24は、機器10の動作の持続時間にわたって収集され、周囲光履歴26に記憶され、実質的に連続的に、又は、機器動作の持続時間全体にわたって間隔を置いて複数の離散データサンプルとして収集され得る。周囲光履歴の一例は、より詳細に後で説明される図7に例示される。いくつかの実施形態では、閾値レベルを上回る周囲輝度の変化が記憶されるが、閾値レベルを下回る変化は破棄される。経過時間又はタイムスタンプは、周囲輝度測定値に関連付けられ得る。これらは、適応ディスプレイ修正を容易にするために輝度閾値変化にまたがる測定に特に有用である。)

「[0026] The adaptive display module 22 of portable electronic device 10 further includes an image transform module 34, which is configured to adjust display 12 of the portable electronic device by color-shifting at least a subset of the plurality of pixels of the image 28 based on the plurality of ambient light color conditions in the ambient light history, thereby generating a color-modified image 36. Pixels may be further adjusted based on the luminance data in the ambient light history and on display settings of display 12 described below. As examples, the color and brightness of at least a subset of the pixels in the display-ready image may be modified. In some examples, all or substantially all of the pixels in the display-ready image are modified to produce color-modified image 36.」
([0026] 携帯電子機器10の適応ディスプレイモジュール22は、周辺光履歴内の複数の周辺光色条件に基づいて画像28の複数のピクセルの少なくとも一部を色シフトすることによって携帯電子機器のディスプレイ12を調整し、それによって色修正画像36を生成するように構成された画像変換モジュール34をさらに含む。ピクセルは、周囲光履歴内の輝度データと、以下で説明するディスプレイ12のディスプレイ設定とに基づいてさらに調整され得る。例として、表示準備完了画像内のピクセルの少なくとも一部の色及び輝度が修正され得る。いくつかの例では、表示準備完了画像内のピクセルの全て又は実質的に全てが、色修正画像36を生成するように修正される。)

「[0027] The image transform module 34 may include a white point mapping tool, a tonescale shaping tool, a color reproduction adjusting tool, and a peak luminance adjusting tool. These tools are respectively configured to programmatically adjust the white point, tonescale, color reproduction, and peak luminance of the display-ready image 28, to thereby generate color-modified image 36. An example flowchart illustrating the functions of the white point mapping tool is illustrated at FIG. 12.」
([0027] 画像変換モジュール34は、白色点マッピングツール、トーンスケール整形ツール、色再現調整ツール、及びピーク輝度調整ツールを含むことができる。これらのツールはそれぞれ、表示準備完了画像28の白色点、トーンスケール、色再現、及びピーク輝度をプログラム的に調整し、それによって色修正画像36を生成するように構成される。白色点マッピングツールの機能を示す例示的なフローチャートが図12に示される。)

「[0028] The adaptive display module 22 further includes a display settings module 38, configured to generate transform settings 39 based on a plurality of brightness conditions and/or ambient light color conditions recorded in the ambient light history 26, and further based on settings of display 12 including display gamma adjustments and backlight level adjustments. As transform settings 39 are based upon data regarding ambient light conditions and display adjustments, the transform settings prescribe all changes that are implemented in image transforms 34 including changes in display white point, tonescale, color reproduction, and peak luminance. It can be readily appreciated that for display technologies that are self-emissive, operations such as the backlight level adjustment will have correlates to adjust the emission level and hence the luminance of the displayed image.」
([0028] 適応型ディスプレイモジュール22は、周辺光履歴26に記録された複数の輝度条件及び/又は周辺光色条件に基づいて、さらにディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整を含むディスプレイ12の設定に基づいて、変換設定39を生成するように構成されたディスプレイ設定モジュール38をさらに含む。変換設定39は、周囲光条件及びディスプレイ調整に関するデータに基づくので、変換設定は、ディスプレイ白色点、トーンスケール、色再現、及びピーク輝度の変化を含む、画像変換34において実施される全ての変化を規定する。自発光型であるディスプレイ技術の場合、バックライトレベル調整などの動作は、発光レベル、したがって表示画像の輝度を調整する相関関係を有することが容易に理解されよう。)

「[0029] The adaptive display module 22 passes the color modified image 36 to the display 12, which displays the color-modified image. Modified display settings 40 may be further passed to the display from display settings module 38, and may include adjustments specific to display 12, such as display gamma adjustments and backlight level adjustments. In other embodiments, however, modified display settings 40 may be bundled with the data associated with color-modified image 36 and passed to display 12 from image transforms 34.」
([0029] 適応型ディスプレイモジュール22は、色修正された画像36を、色修正画像を表示するディスプレイ12に渡す。修正されたディスプレイ設定40は、ディスプレイ設定モジュール38からディスプレイにさらに渡されてよく、ディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整など、ディスプレイ12に固有の調整を含み得る。しかしながら、他の実施形態では、修正された表示設定40は、色修正された画像36に関連付けられたデータとバンドルされ、画像変換34からディスプレイ12に渡され得る。)

「[0030] To enable the user to turn on or off the various types of ambient light adjustment provided by the portable electronic device 10, the portable computing device 10 may include an adaptive display settings graphical user interface (GUI) 42 configured to receive user input in the form of mode settings 44. FIG. 5, discussed below, shows one example of the adaptive display settings GUI 42, with example modes of operation listed therein.」
([0030] 携帯電子機器10によって提供される様々なタイプの周辺光調整をユーザがオン又はオフにすることを可能にするために、携帯コンピューティング機器10は、モード設定44の形態のユーザ入力を受信するように構成された適応ディスプレイ設定グラフィカルユーザインターフェース(GUI)42を含み得る。以下で説明する図5は、適応ディスプレイ設定GUI42の一例を示し、例示的な動作モードがそこに列挙されている。)

「[0031] The portable computing device 10 may further include one or more contextual data sources 46, such as a global positioning satellite (GPS) unit 48, clock 50, and weather module 52. The GPS unit 48 may output one or more of a latitude, longitude, and altitude of the portable computing device. The clock 50 reports the current time and date, while the weather module 52 may estimate typical lighting conditions associated with the current weather proximate the portable computing device. These contextual data sources 46 provide contextual data 54 to the adaptive display module 22, facilitating display and/or image modification in a manner adaptive to the ambient light conditions surrounding the portable computing device, even in scenarios in which output from the ambient light sensor 14, front camera 16, and rear camera 18 is unavailable.」
([0031] 携帯コンピューティング機器10は、地球測位衛星(GPS)ユニット48、クロック50、及び気象モジュール52など、一つ又は複数のコンテキストデータソース46を更に含み得る。GPSユニット48は、携帯コンピューティング機器の緯度、経度、及び高度のうちの一つ又は複数を出力することができる。時計50は、現在の日時を報告し、一方、天候モジュール52は、携帯コンピューティング機器の現在の天候に関連する典型的な照明条件を推定することができる。これらのコンテキストデータソース46は、コンテキストデータ54を適応ディスプレイモジュール22に提供し、周辺光センサ14、フロントカメラ16、及びリアカメラ18からの出力が利用できないシナリオにおいても、携帯コンピューティング機器を取り囲む周辺光条件に適応する方法で表示及び/又は画像修正を容易にする。)


「[0032] It will be appreciated that, in some embodiments, content properties of the image 28 to be adjusted are received by the adaptive display module 22. The content properties may include the pixel values of the image including a color value associated with each pixel. The color values may be encoded as RGB values, for example. As one non-limiting example in which the content properties of the image are utilized to produce color-modified image 36, an image dominated by dark tones may be mapped through a different gamma table set for outdoor ambient light conditions than for indoor ambient light conditions. An outdoor gamma table may boost the luminance of darker tones in proportion to the estimated ambient brightness so that they are visible over the ambient glare on the surface of the display.」
([0032] いくつかの実施形態では、調整されるべき画像28のコンテンツ特性は、適応型ディスプレイモジュール22によって受信されることが理解されよう。コンテンツプロパティは、各ピクセルに関連付けられた色値を含む画像のピクセル値を含むことができる。色値は、例えばRGB値として符号化され得る。画像のコンテンツ特性が色修正画像36を生成するために利用される一つの非限定的な例として、暗いトーンによって支配される画像は、屋内周囲光条件の場合とは異なる屋外周囲光条件の場合のガンマテーブルセットを通してマッピングされ得る。ディスプレイの表面上の周囲のグレアに打ち勝って見えるようにするため、屋外ガンマテーブルは、推定された周囲の明るさに比例して、より暗いトーンの輝度を増加し得る。)

「[0035] Turning now to FIG. 6, a flowchart illustrating an exemplary method 600 by which a display and an image displayed thereon may be adjusted to account for ambient light surrounding the display is shown. Although method 600 is described as being implemented on device 10 of FIG. 1, it will be appreciated that the method may be executed on other suitable hardware.」
([0035] 次に図6を参照すると、ディスプレイ及びその上に表示される画像が、ディスプレイを取り囲む周辺光を考慮するように調整され得る、例示的方法600を図示するフローチャートが示される。方法600は、図1の機器10上で実施されるものとして説明されているが、この方法は、他の適切なハードウェア上で実行され得ることが理解されよう。)

「[0036] At 602, ambient light data is received, which may include an ambient light color condition indicating the ambient white point (e.g., represented by a CCT) and brightness. The ambient light data may be obtained substantially continuously or sampled at intervals during the duration of operation of device 10 as described above, and may be received from a light sensor such as an ambient light sensor, front camera, and or rear camera.」
([0036] 602において、(例えば、CCTによって表される)周囲白色点及び輝度を示す周囲光色状態を含み得る周囲光データが受信される。周囲光データは、上述したように、機器10の動作期間中に実質的に連続的に取得されるか、又は間隔を置いてサンプリングされてもよく、周囲光センサ、フロントカメラ、及び/又はリアカメラなどの光センサから受信されてもよい。)

「[0037] In one additional embodiment, the ambient light data may be derived from images of the face of user 5 of FIG. 3. For example, front camera 16 of FIG. 1 may capture one or more images whose contents may be analyzed to detect the face of user 5. Regions of the captured image(s) surrounding the detected face may then be analyzed to determine an estimate of ambient light conditions (e.g., white point). The image may be analyzed to determine a pair of color chromaticity coordinates associated with the user's face. Since skin tones from all races map into a narrow chromaticity range, the deviation from typical skin tone can be inferred to be a result of the present lighting conditions. A sample chromaticity centroid for skin tones is CIE x,y [0.400, 0.370].」
([0037] 一つの追加の実施形態では、周囲光データは、図1のユーザ5の顔の画像から導出され得る。例えば、図1のフロントカメラ16は、ユーザ5の顔を検出するためにコンテンツが分析され得る一つ又は複数の画像をキャプチャし得る。検出された顔を取り囲むキャプチャされた画像の領域は、次いで、周辺光条件(例えば、白色点)の推定値を決定するために分析され得る。画像を分析して、ユーザの顔に関連する一対の色度座標を決定することができる。全ての人種からの肌色は狭い色度範囲にマッピングされるので、典型的な肌色からの偏差は、現在の照明条件の結果であると推測することができる。肌色のサンプル色度図心は、CIE x,y [0.400,0.370]である。)

「[0038] Next, at 604, the ambient light data is stored in an ambient light history in memory or on a mass storage device of the portable electronic device. An example of ambient light history is illustrated in FIG. 7. The ambient light data may include indications of the color condition (e.g., white point) and brightness of ambient light surrounding the portable electronic device, encoded respectively in color condition 23 and luminance data 25 of FIG. 4, for example.」
([0038] 次に、604において、周辺光データは、携帯電子機器のメモリ又は大容量記憶デバイスの周辺光履歴に記憶される。周囲光履歴の例を図7に示す。周辺光データは、例えば、図4の色状態23及び輝度データ25にそれぞれ符号化された、携帯電子機器を取り囲む周辺光の色状態(例えば、白色点)及び輝度の指示を含み得る。)

[0039] Next, at 606, contextual data may be optionally received. The contextual data may be leveraged most in embodiments in which ambient light data from one or more of an ambient light sensor, front camera, and rear camera is unavailable. The contextual data may include an indication of the geographic location of the portable electronic device, the current time and date, and typical lighting conditions associated with the current weather proximate the portable electronic device. Such data may be respectively provided via GPS unit 48, clock 50, and weather module 52 of FIG. 4, for example. The contextual data may be used to compute an estimated white point of ambient light at the time and date indicated by clock 50, at the location detected by the GPS unit 48 on the device, and/or given the local weather determined by the weather module 52. In some cases one or more of these contextual data sources may be used to augment or refine an ambient light reading detected by light sensors on the portable electronic device.」
([0039] 次に、606において、コンテキストデータを任意選択で受信することができる。コンテキストデータは、周辺光センサ、フロントカメラ、及びリアカメラのうちの一つ又は複数からの周辺光データが利用不可能である実施形態において最も活用され得る。コンテキストデータは、携帯電子機器の地理的ロケーション、現在の日時、及び携帯電子機器に近接する現在の天候に関連する典型的な照明条件の指示を含み得る。そのようなデータは、例えば、図4のGPSユニット48、時計50、及び気象モジュール52を介してそれぞれ提供され得る。コンテキストデータは、クロック50によって示される日時、機器上のGPSユニット48によって検出されるロケーション、及び/又は気象モジュール52によって決定されるローカル天候において、周辺光の推定白色点を計算するために使用され得る。場合によっては、これらのコンテキストデータソースのうちの一つ又は複数を使用して、携帯電子機器上の光センサによって検出された周辺光読取り値を増強又は改良することができる。)

「[0040] Next, at 608, a display-ready image is received from a program, file store, on-board camera, or other source. The display-ready image may have been previously adapted to a standard illuminant--e.g., D65 having a white point of approximately 6500K.」
([0040] 次に、608において、表示準備完了が、プログラム、ファイルストア、オンボードカメラ、又は他のソースから受信される。表示準備完了は、標準光源、例えば、約6500Kの白色点を有するD65に予め適合されていてもよい。)

「[0041] Next, at 610, it is determined whether an ambient light matching mode is activated, which may be the ambient light matching mode activated by a user in FIG. 5 and encoded in mode settings 44 of FIG. 4. If the ambient light matching mode is activated (Y), the method proceeds to 612. If the ambient light matching mode is not activated (N), the method proceeds to 618.」
([0041] 次に、610において、周辺光マッチングモードがアクティブ化されるかどうかが決定される。これは、図5においてユーザによってアクティブ化され図4のモード設定44において符号化された、周辺光マッチングモードであり得る。周囲光マッチングモードが起動されている場合(Y)、方法は、612に進む。周囲光整合モードが起動されていない場合(N)、方法は、618に進む。)

「[0042] At 612, it is determined whether a new white point of the ambient light has been recorded in a recent portion of the ambient light history. The recent portion of the ambient light history may be a first predetermined time period extending from the most recently collected ambient light data (e.g., ambient light data received at 602) to any suitable previous time in the ambient light history. The previous time to which the recent portion extends may be chosen such that ephemeral changes in ambient white point do not cause inappropriate and disorienting display and/or image adjustments--for example, a time period spanning 30 seconds or one minute. Further, changes below a threshold value in ambient white point in the recent portion of the ambient light history may be ignored for the same reason. Since the extent to which the human visual system perceives changes in brightness depends on the brightness level itself, this threshold value may be a proportional, scaled threshold adapted to the brightness recorded in the recent portion of the ambient light history. For example, the threshold value may be set to a relatively lower value in dim ambient light as changes in brightness in these conditions are more easily perceptible. Conversely, the threshold value may be set to a relatively higher value in bright ambient light as changes in brightness in these conditions are less perceptible. If a new white point has been recorded in the recent portion of the ambient light history (Y), the method proceeds to 614. If a new white point has not been recorded in the recent portion of the ambient light history (N), the method proceeds to 618.」
([0042] 612において、周辺光の新しい白色点が周辺光履歴の最近の部分に記録されたかどうかが判定される。周辺光履歴の最近の部分は、直近に収集された周辺光データ(例えば、602において受信された周辺光データ)から周辺光履歴内の任意の適切な以前の時間まで延びる第1の予め定められた期間であり得る。最近の部分が拡張される、以前の時間は、周囲の白色点の短時間の変化が表示及び/又は画像の不適切で混乱した調整を引き起こさないように選択されてもよく、例えば、30秒又は1分に及ぶ期間である。さらに、周囲光履歴の最近の部分における周囲白色点の閾値を下回る変化は、同じ理由で無視され得る。人間の視覚システムが明るさの変化を知覚する程度は、明るさレベル自体に依存するので、この閾値は、周囲光履歴の最近の部分に記録された明るさに適合された比例的なスケーリングされた閾値であり得る。例えば、しきい値は、これらの条件における明るさの変化がより容易に知覚可能であるので、周囲光において比較的低い値に設定されてもよい。逆に、閾値は、明るい周囲光において、これらの条件における明るさの変化があまり知覚できないので、比較的高い値に設定されてもよい。新しい白色点が周辺光履歴の最近の部分に記録されている場合(Y)、方法は、614に進む。新しい白色点が周辺光履歴の最近の部分に記録されていない場合(N)、方法は、618に進む。)

「[0043] At 614, the display-ready image received at 608 is color-shifted based on the ambient light history and particularly based on the recent portion of the ambient light history. As described above, at least a subset of pixels in the display-ready image may be color-shifted, and in most scenarios, substantially all of the pixels of the image may be color-shifted. As one non-limiting example, a new white point may be detected in a recent portion of ambient light history which indicates that the portable electronic device is in an environment which is lit by a substantially orange light. An image displayed on the portable electronic device may be color-shifted in this example by determining the difference between the image's white point, 6500K and the white point of the light source, e.g. 2800K. The image would be shifted to the ambient white point so that all colors in the image continue to appear vivid, accurate, and easily perceptible in the environment. Methods for image white point shifting are well known in color science, with one exemplary method described below with reference to FIG. 12.」
([0043] 614において、608において受信された表示準備完了画像は、周辺光履歴に基づいて、特に周辺光履歴の最近の部分に基づいて色シフトされる。上述したように、準備完了画像内の画素の少なくとも一部は、色シフトされてもよく、ほとんどのシナリオでは、画像の画素の実質的に全てが、色シフトされてもよい。一つの非限定的な例として、携帯電子機器が実質的に橙色の光によって照らされる環境にあることを示す周囲光履歴の最近の部分において、新しい白色点が検出され得る。携帯電子機器上に表示される画像は、この例では、画像の白色点6500Kと光源の白色点、例えば2800Kとの間の差を決定することによってカラーシフトされ得る。画像は、周囲の白色点にシフトされ、その結果、画像中の全ての色は、鮮明に、正確に、そして環境中で容易に知覚可能に見え続ける。画像白色点シフトのための方法は、色彩科学において周知であり、図12を参照して一つの例示的な方法が以下で説明される。)

「[0044] Next, at 616, one or more display settings associated with the display (e.g., display 12 of FIG. 4) of the portable electronic device are adjusted. As described above, such adjustments may include adjusting the gamma curves and backlight output level associated with the display. The backlight level may be altered based on image content evaluation per well-known content-adaptive backlight control (CABC) algorithms. CABC algorithms serve to optimize the backlight level for minimum battery consumption based on image tonal range. The gamma curves associated with the display may be adjusted by modifying or selecting one or more gamma curves associated with the display, for example, where a given gamma curve may take the form of a power function whose power is determined by the gamma level. This may be done to maintain visibility of darker tones that might otherwise be lost due to surface glare in bright environments.」
([0044] 次に、616において、ディスプレイ(例えば、図4のディスプレイ12)に関連付けられた一つ以上の、携帯用電子装置のディスプレイ設定が調整される。上述したように、そのような調整は、ディスプレイに関連するガンマ曲線及びバックライト出力レベルを調整することを含み得る。バックライトレベルは、周知のコンテンツ適応バックライト制御(CABC)アルゴリズムごとの画像コンテンツ評価に基づいて変更され得る。CABCアルゴリズムは、画像階調範囲に基づいて、最小バッテリ消費のためにバックライトレベルを最適化する役割を果たす。ディスプレイに関連するガンマ曲線は、ディスプレイに関連する一つ又は複数のガンマ曲線を修正又は選択することによって調整され得、例えば、所与のガンマ曲線は、その指数がガンマレベルによって決定される指数関数の形態をとり得る。これは、そうでなければ明るい環境における表面グレアのために失われ得るより暗いトーンの可視性を維持するために行われ得る。)

「[0050] FIG. 7 illustrates one example of indications of the white point and brightness of ambient light contained within an ambient light history. On the left in the figure, a plurality of color temperature ranges 700, or bins, is represented (e.g., in the form of CCTs), while a plurality of brightness ranges 701, or bins (e.g., luminance ranges), is shown on the right. Over time, the detected white point and brightness 702 (shown for illustrative purposes as a single combined measurement) of the ambient light sensed by light sensor 20 (FIG. 1) of the portable electronic device 10 is shown to rise. In one embodiment, the adaptive display module 22 of FIG. 4 analyzes the ambient light history to determine whether the ambient white point and brightness has changed from a first range 704 to a second range 706 within the plurality of ranges 700, and whether the ambient white point and brightness remains in the second range for a predetermined time 708. After determining that this has occurred, the adaptive display module 22 adjusts the white point and/or brightness of the display-ready image 28 of FIG. 4 and/or the display 12 of FIG. 1 to representative value(s) (e.g., a white point of 2850K and a display luminance of 200 Cd/m.sup.2 in the illustrated example) for the second range 706, as shown by a bold dashed line. Likewise, it is detected that the ambient white point and brightness transitions from the second range 706 to a third range 710 for a predetermined period of time 712, and accordingly the white point and/or brightness of the image and/or display is adjusted to representative value(s) for the third range (e.g., a white point of 6500K and a display luminance of 350 Cd/m.sup.2 in the illustrated example). In this manner, the display is adjusted in a stepwise fashion, and rapid adjustments for short periods of time such as when the ambient white point and brightness of the detected ambient light strayed from the second range for less than the predetermined time period at 714 are ignored to prevent disorienting image and/or display adjustment. It will be appreciated that other patterns in the ambient light history may also be examined and used as a trigger for subsequent white point and/or brightness modifications in the image and/or display. As discussed above, the predetermined period of time 708 and 712 may be within a range of 15 seconds to 1 minute, or longer, and in some embodiments may be about 30 seconds. In other embodiments a smoothing strategy may be employed, such that the adaptive display module 22 reads a detected white point and brightness over a period of time in the ambient light history, and applies a smoothing algorithm thereto, applying a modified white point and/or brightness to an image and/or display as indicated at 716. While the example of FIG. 7 has been described showing both white point and brightness being detected and modified, it will be appreciated that in alternative embodiments only white point may be detected or only brightness may be detected, and the modifications to the displayed image may be made to either white point or brightness instead of both.」
([0050] 図7は、周囲光履歴内に含まれる周囲光の白色点及び輝度の指示の一例を示す。図の左側には、複数の色温度範囲700又はビンが(例えば、CCTの形態で)表されており、右側には、複数の輝度範囲701又はビン(例えば、輝度範囲)が示されている。時間とともに、携帯電子機器10の光センサ20(図1)によって感知された周囲光の検出された白色点及び輝度702(単一の組み合わされた測定値として例示の目的で示されている)は、上昇することが示されている。一実施形態では、図4の適応ディスプレイモジュール22は、周囲光履歴を分析して、周囲白色点及び輝度が複数の範囲700内で第1の範囲704から第2の範囲706に変化したかどうか、及び周囲白色点及び輝度が所定の時間708にわたって第2の範囲内に留まるかどうかを決定する。これが発生したと判定した後、適応ディスプレイモジュール22は、図4の表示準備完了画像28及び/又は図1の表示装置12の白色点及び/又は輝度を第2の範囲706に対して代表的な値(例えば、示された例において、白色点2850K、表示輝度200 Cd/m2)に調整する。同様に、周囲の白色点及び輝度が、所定の期間712の間、第2の範囲706から第3の範囲710に遷移することが検出され、したがって、画像及び/又はディスプレイの白色点及び/又は輝度は、第3の範囲に対して代表的な値(例えば、示された例において、6500Kの白色点及び350Cd/m2のディスプレイ輝度)に調整される。このようにして、ディスプレイは段階的に調整され、周囲白色点及び検出された周囲光の輝度が、714における所定の時間期間未満の間、第2の範囲から逸脱したとき等の短期間の迅速な調整は、画像及び/又はディスプレイ調整の方向を乱すことを防止するために無視される。周囲光履歴内の他のパターンも、画像及び/又はディスプレイにおける後続の白色点及び/又は輝度修正のためのトリガとして調べられ、使用され得ることが理解されよう。上述したように、所定の期間708及び712は、15秒?1分の範囲内又はそれ以上であってもよく、いくつかの実施形態では、約30秒であってもよい。他の実施形態では、適応ディスプレイモジュール22が、周囲光履歴内のある期間にわたって検出された白色点及び輝度を読み取り、それに平滑化アルゴリズムを適用し、716に示されるように、修正された白色点及び/又は輝度を画像及び/又はディスプレイに適用するように、平滑化戦略が採用されてもよい。なお、図7の例では、白色点及び輝度の両方が検出及び修正されることを示して説明されたが、代替実施形態では、白色点のみが検出されてもよく、又は輝度のみが検出されてもよく、表示される画像への修正は、両方ではなく、白色点又は輝度のいずれかに行われてもよいことを理解されたい。)

「[0095] "Gamma level" as used herein generally refers to an exponent that shapes the image's contrast. More precisely, gamma level may refer to the value assumed by γ in the following relation: VOUT = C*(Vin)γ, where C is a constant, Vin is a brightness of a pixel or subpixel of an input image, and Vout is a corresponding brightness of a pixel or subpixel of an output image. This relation may be used to form one or more gamma curves for a given gamma level and range of inputs and outputs. The gamma curves may in turn be used to pre-compute look-up tables and/or adjusted transfer functions with which gamma correction may be performed to control display contrast.」
([0095] 本明細書で使用されるガンマレベルは、一般に、画像のコントラストを形成する指数を指す。より正確には、ガンマレベルは、次の関係: VOUT=C*(Vin)γ (式中、Cは定数であり、Vinは入力画像のピクセル又はサブピクセルの輝度であり、Voutは出力画像のピクセル又はサブピクセルの対応する輝度である)においてγによって想定される値を指し得る。ガンマ曲線は、ディスプレイコントラストを制御するためにガンマ補正が実行され得るルックアップテーブル及び/又は調整された伝達関数を事前計算するために使用され得る。)





















引用発明の認定
引用文献1の前記アの記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「 ユーザによるディスプレイの知覚を向上させるために、光条件の履歴に基づいてその出力を適応させるように構成されたディスプレイ12を有する携帯電子機器10であって([0021])、
携帯電子機器10は、光センサ20のうちの少なくとも一つから周辺光データ24を受信するように構成された適応型ディスプレイモジュール22を含み([0024])、
適応型ディスプレイモジュール22は、周辺光履歴26に記録された複数の輝度条件及び/又は周辺光色条件に基づいて、さらにディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整を含むディスプレイ12の設定に基づいて、変換設定39を生成するように構成されたディスプレイ設定モジュール38を含み([0028])、
修正されたディスプレイ設定40は、ディスプレイ設定モジュール38からディスプレイにさらに渡されてよく、ディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整を含み([0029])、
ディスプレイの表面上の周囲のグレアに打ち勝って見えるようにするため、屋外ガンマテーブルは、推定された周囲の明るさに比例して、より暗いトーンの輝度を増加し得るものであり([0032])、
周囲光マッチングモードが起動されている場合(Y)に行われるディスプレイ設定の調整は、ディスプレイに関連するガンマ曲線及びバックライト出力レベルを調整することを含み得るものであり、ディスプレイに関連するガンマ曲線は、ディスプレイに関連する一つ又は複数のガンマ曲線を修正又は選択することによって調整され得、例えば、所与のガンマ曲線は、その指数がガンマレベルによって決定される指数関数の形態をとり得、これは、そうでなければ明るい環境における表面グレアのために失われ得るより暗いトーンの可視性を維持するために行われ得るものであり([0041]、[0044])、
ガンマレベルは、一般に、画像のコントラストを形成する指数を指し、より正確には、ガンマレベルは、次の関係: VOUT=C*(Vin)γ (式中、Cは定数であり、Vinは入力画像のピクセル又はサブピクセルの輝度であり、Voutは出力画像のピクセル又はサブピクセルの対応する輝度である)においてγによって想定される値を指し得るものであり、ガンマ曲線は、ディスプレイコントラストを制御するためにガンマ補正が実行され得るルックアップテーブル及び/又は調整された伝達関数を事前計算するために使用され得るものである([0095])、
携帯電子機器10。」

(2) 引用文献2に記載された事項
引用文献2(特開2005−338266号公報)には、次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等の輝度を調整する輝度調整装置、表示装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーションシステム等の車載装置には、バックライトを備えた液晶表示装置が搭載されている。
この液晶表示装置におけるバックライトの明るさは、周囲の明るさに応じて調整する必要がある。つまり、液晶表示装置の周囲が明るい場合は、ある程度バックライトの輝度を上げないと表示が見にくくなってしまう。逆に、夜間など、周囲が暗い場合は、バックライトの輝度が高すぎると、画面が白くなって視認性が悪くなってしまう。
【0003】
そこで、バックライトの輝度を調整するための輝度調整装置が用いられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−117999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液晶表示装置の周囲の明るさは時刻等に応じて絶えず変化するので、液晶表示装置の視認性を良好に保つためには、周囲の明るさが変わるたびに、ユーザがバックライトの輝度を頻繁に調整し直さねばならず、面倒であった。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、周囲の明るさに応じ、常に視認性が良くなるように、表示装置の輝度を調整することができる輝度調整装置、表示装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1の発明では、時刻情報を取得し、その時刻情報に応じて表示装置の輝度を調整することができる。具体的には、周囲が明るい時刻(例えば昼間)である場合は表示装置の輝度を上げるとともに、周囲が暗い時刻(例えば、早朝、夕刻、夜間)である場合は表示装置の輝度を下げる。そのことにより、本発明の輝度調整装置は、表示装置の視認性を常に良好に保つことができる。
【0007】
前記表示装置としては、例えば、カーナビゲーション等の車載装置が備える表示装置、室内外で使用する製品(例えば、液晶テレビ、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等)が挙げられる。
【0008】
また、表示装置の形式としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等が挙げられる。
(2)請求項2の発明では、表示装置の周囲が明るい時刻には表示装置の輝度を高くし、周囲が暗い時刻には輝度を低くすることにより、表示装置の視認性を常に良好に保つことができる。」
(3)請求項3発明は、外光検出手段を備え、その外光検出手段で検出した明るさに基づいて表示装置の輝度調整を行うことができるが、制御手段が外光検出手段を異常であると判断した場合は、外光検出手段を用いず、時刻情報に基づいて表示装置の輝度を調整する。そのことにより、外光検出手段が異常である(故障している)場合に、外光検出手段が出力する誤った信号により、表示装置の輝度を不適切な値にしてしまうようなことがない。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の輝度調整装置、表示装置、及びプログラムの形態の例(実施例)を説明する。
【実施例1】
【0012】
a)まず、本実施例1の液晶表示装置1の構成を図1のブロック図を用いて説明する。
液晶表示装置1は、画像を表示するとともに、タッチパネルとしても機能する液晶パネル3と、液晶パネル3に光を照射するバックライト5と、バックライト5を駆動する駆動回路7と、駆動回路7に電力を供給する電源回路9と、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えて他の部位を制御し、後述する処理を実行する制御回路(制御手段)11と、
外光の明るさを検出する外光センサ(外光検出手段)13と、ユーザが各種情報を入力することができる外部入力装置15と、メモリ17と、GPS受信アンテナ19とを備えている。
【0013】
メモリ17は、日付を記憶する日付記憶部21と、液晶表示装置1が出荷される国名を記憶する国名記憶部23と、時刻を記憶する時刻記憶部25と、バックライト5のDUTY値を定めるDUTY値テーブルを記憶したDUTY値テーブル記憶部27を備えている。このDUTY値テーブルは、図2に示すように、国ごとに作成され(図2は日本の場合のDUTY値テーブル)、日付(月)と時刻とを決めれば、早朝、夕刻、昼間のうちのどの時間帯に属するかが定まるようになっている。そして、液晶表示装置1の周囲が比較的暗い早朝、夕刻の時間帯では、DUTY値を50%という低い値としており、周囲が明るい昼間の時間帯では、DUTY値を90%という高い値としている。
【0014】
また、メモリ17は、制御部11が後述する処理を行うためのプログラムを記憶したプログラム記憶部29を有する。
尚、液晶表示装置1のうち、制御回路11と、外光センサ13と、外部入力装置15と、メモリ17とが輝度調整装置に該当する。
【0015】
本実施例1の液晶表示装置1は、その他に、画像データを液晶パネル3に出力し、画像を表示させる等の種々の機能を実現させることができるが、本発明とは関係ないので省略する。
【0016】
b)次に、本実施例1の液晶表示装置1の制御回路11がバックライト5の輝度を調整する処理を図3のフローチャートを用いて説明する。
本処理は、液晶表示装置1の電源をONにすることにより開始される。また、液晶表示装置1がカーナビゲーションシステムなどの車載装置である場合は、車両のイグニッションがONとなったときに開始するようにしてもよい。
【0017】
ステップ100では、バックライトの輝度に関して、外光センサ13による自動調光制御を実施するか否かを判断する。具体的には、液晶パネル3に図4 に示すメニュー画面を表示し、ユーザが、ONスイッチ31を押した場合は、外光センサ13による自動調光制御を実施すると判断し、ステップ110に進む。ユーザがOFFスイッチ33を押した場合は、外光センサ13による自動調光制御を実施しないと判断し、ステップ180に進む。
・・・(中略)・・・
【0025】
ステップ130では、メモリ17の日付記憶部21から、日付(日付情報)を読み出す。尚、日付情報は、予め、ユーザが外部入力装置15や液晶パネル3のタッチパネルから入力日付記憶部21に記録しておくことができる。
【0026】
ステップ140では、メモリ17の国名記憶部23から、国名(地域情報)を読み出す。尚、国名については、液晶表示装置1を出荷する前に、予め出荷先の国名を国名記憶部23に記録しておくことができる。また、ユーザが、液晶表示装置1がその時点で存在している国名を外部入力装置15や液晶パネル3のタッチパネルから入力してもよい。
【0027】
ステップ150では、メモリ17の時刻記憶部25から時刻を読み出す。尚、時刻は、GPS受信アンテナ19が受信した時刻を時刻記憶部25に記録しておくことができる。また、ユーザが外部入力装置15や液晶パネル3のタッチパネルから入力した時刻情報を、図示しない時計機能により適宜更新してもよい。
【0028】
ステップ160では、メモリ17のDUTY値テーブル部27から、DUTY値テーブルを読み出す。
ステップ170では、バックライト5のDUTY値を設定する。具体的には、以下のようにする。まず、ステップ160で読み出したDUTY値テーブルの中から、ステップ140で読み出した国名に対応するものを選択する。例えば、読み出した国名が日本である場合は、図2に示す、日本のDUTY値テーブルを選択する。
【0029】
次に、DUTY値テーブルにおいて、ステップ130で読み出した日付と、ステップ150で読み出した時刻とに対応するDUTY値を設定する。例えば、読み出した日付が5月であり、読み出した時刻が5:00である場合は、図2のDUTY値テーブルにおいて、早朝の時間帯(周囲が暗い状況)に属するので、DUTY値として低い値(50%)を設定する。
【0030】
また、例えば、読み出した日付が5月であり、読み出した時刻が12:00である場合は、図2のDUTY値テーブルにおいて、昼間の時間帯(周囲が明るい状況)に属するので、DUTY値として高い値(90%)を設定する。
【0031】
尚、読み出した日付、時刻がDUTY値テーブルにおける早朝、夕刻、昼間のいずれにも属さなかった場合(すなわち夜間の場合)は、バックライト5の輝度は、車両のインパネが備える計器等の輝度と同一とされる。ステップ170が終了するとステップ150に戻る。
【0032】
一方、前記ステップ100にて、外光センサ13による自動調光制御をOFFとした場合はステップ180に進み、手動によるバックライト5の輝度調整を行うか否かを判断する。具体的には、液晶パネル3に図6に示す画面を表示し、ユーザが、YESスイッチ35 を押した場合は、手動によるバックライト5の輝度調整を行うと判断し、ステップ190に進む。ユーザがNOスイッチ37を押した場合は、手動によるバックライト5の輝度調整を行わないと判断し、ステップ130に進む。
【0033】
ステップ190では、ユーザの手動入力に応じて、バックライト5の輝度を調整する。具体的には、液晶パネル3に、図7に示す手動調整画面を表示し、ユーザがdownスイッチ39を一度押すと、バックライト5の輝度を1段階低下させる。また、ユーザがupスイッチ41を一度押すと、バックライト5の輝度を1段階増加させる。尚、図7の手動調整画面では、ユーザがその時点での輝度を知ることができるように、インジケータ43がバックライト5の輝度を表示している。
【0034】
c)次に、本実施例1の液晶表示装置1が奏する効果を説明する。
(i)本実施例1の液晶表示装置1は、日付、国名、時刻を取得し、それらの情報に基づいてバックライト5の輝度を調整する。具体的には、日付、国名、時刻が、周囲が明るい状況(例えば、昼間)に対応するものである場合はバックライト5の輝度を上げるとともに、周囲が暗い場状況(例えば、早朝、夕刻)に対応するものである場合はバックライト5の輝度を下げる。このことにより、本実施例1の液晶表示装置1は、液晶パネル5の視認性を常に良好に保つことができる。
【0035】
特に本実施例では、時刻だけでなく、日付や国名も含めて周囲の明るさを判断するので、季節により同じ時刻でも明るさが変化したり、国によって同じ時刻でも明るさが変化するような場合でも、周囲の明るさを正確に把握し、バックライト5の輝度を適切に制御できる。
【0036】
つまり、図2に示すようなDUTY値テーブルは、国名ごとに作成されており、読み込んだ国名情報により選択する。そのことにより、どの国においても周囲の明るさを正確に把握し、バックライト5の輝度を適切に制御できる。
【0037】
また、図2に示すように、DUTY値テーブルは、月ごとに早朝、夕刻、昼間の時間帯を適切に設定しているので、どの月においても、周囲の明るさを正確に把握し、バックライト5の輝度を適切に制御できる。
【0038】
(ii)本実施例1の液晶表示装置1は、図3のステップ110において外光センサ13の故障を検出した場合は、外光センサ13による自動調光制御を行わないようにする。
そのため、外光センサ13が故障している場合に、外光センサ13が出力する誤った信号により、バックライト5の輝度を不適切な値にしてしまうようなことがない。
【0039】
(iii)本実施例1の液晶表示装置1は、図1のステップ100及びステップ180にて手動調整を選択すれば、バックライト5の輝度をユーザが手動で調整することができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0040】
例えば、前記実施例において、液晶表示装置1は、車載装置の表示装置には限定されず、室内外で使用する製品(例えば、液晶テレビ、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等)であってもよい。
【0041】
また、本発明は、液晶表示装置のバックライトの輝度調整だけではなく、有機ELディスプレイやCRTディスプレイの輝度調整にも用いることができる。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



(3) 引用文献3に記載された事項
引用文献3(特開平5−18767号公報)には次の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】一般に、車載用のナビゲーションシステムとしてGPS装置を有するナビゲーションシステムが知られている。ナビゲーションシステムは自己の現在位置を地図データと共に画像表示するためのディスプレイを備えている。ナビゲーションシステムは昼夜の区別なく使用されるが、表示内容を見易くするためには周囲の明るさに応じてディスプレイ画面の明るさ(輝度)調整が必要であり、かつ、その明るさ調整も自動的に行われるものが好ましい。
・・・(中略)・・・
【0005】そこで、本発明の目的は、GPSデータを有効に利用して、格別な付加装置を設ける必要もなく、ディスプレイ画面の明るさを自動的に調整することができるナビゲーションシステムを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1に第1の発明の原理説明図を示す。ナビゲーションシステム100Aは、GPS衛星からの測位用電波に基づいて生成された自己の現在位置データおよび地図データをディスプレイDの画面上に表示するためのディスプレイ表示制御装置101Aを含み、ディスプレイ表示制御装置101Aは、前記測位用電波に含まれるGPS時データに基づいて現在の時刻が昼間または夜間のいずれに属するかを判別して昼夜判別信号を出力する判別手段102と、前記昼夜判別信号に基づいてディスプレイDの画面の明るさを調整する調整信号を前記ディスプレイDに出力する明るさ調整手段103と、を備えて構成する。
・・・(中略)・・・
【0009】
【作用】第1の発明によれば、判別手段102は、前記測位用電波に含まれるGPS時データに基づいて現在の時刻が昼間または夜間のいずれに属するかを判別して昼夜判別信号を出力する。明るさ調整手段103は、前記昼夜判別信号に基づいてディスプレイDの画面の明るさを調整する調整信号をディスプレイDに出力する。
【0010】したがって、明るさ調整手段は、昼間か夜間かによって自動的にディスプレイの画面の明るさ調整を行うことができる。
【0021】図6の動作フローチャートを参照して本発明の動作について説明する。マイクロコンピュータ5は、GPSレシーバからGPSデータP1 を受取り、現在位置データ(緯度データ、経度データ)並びに現在の月日および時刻を示す現在時刻データ得る(ステップS1)。
【0022】次に、マイクロコンピュータ5は判別手段として機能し、現在時刻データにより示される月日および図示しないメモリの日の出時刻データおよび日の入り時刻データから、現在位置データに対応する現在位置における日の出、日の入り時刻を求める(ステップS2)。
【0023】続いて、マイクロコンピュータ5は、現在時刻が日の入り後であるか否かを判別する(ステップS3)。
日の入り後である場合には、マイクロコンピュータ5はカラーデータ変更手段として機能し、夜間用の表示を行わせるためのカラーパレット制御データDcpを出力し、カラーパレット8は、夜間用のカラー表示データを出力することとなる。これによりカラーディスプレイ10は夜間用表示を行うこととなる(ステップS4)。より具体的には、カラーディスプレイ10の画面上に"白"を表示させる場合に、昼間であればカラーパレット8から出力されるカラーデータがRGBで"FFF"(16進数表示)だとすれば、夜間にはカラーパレット8から出力されるカラーデータをRGBで"999"とすることにより、明るい白から暗い白になるようにする。
【0024】日の入り後では無い場合には、マイクロコンピュータ5は、現在時刻が日の出後であるか否かを判別する(ステップS5)。
日の出後では無い場合には、ステップS4の処理に移行し、上述したように夜間用の表示を行わせるようにする。
【0025】日の出後である場合には、昼間用の表示を行わせ(ステップS6)、上述の例の場合には、カラーディスプレイ10の画面上に"白"を表示させる場合に、カラーパレットから出力されるカラーデータがRGBで"FFF"となるようにする。
【0026】このように、現在位置における日の出時刻および日の入り時刻を用いて、ディスプレイの制御を行うことにより、地球上のいずれの場所であっても、GPS衛星の電波を受信可能な場所であれば、何ら調整をせずに正しいディスプレイの制御を行うことが可能となる。
【0027】以上の実施例においては、カラーパレットを用いて輝度調整を昼間と夜間で異なるように構成していたが、カラーパレットを有しない装置においても、あらかじめカラーディスプレイ10の図示しない輝度調整回路に昼間と夜間で輝度を異ならせるための切換スイッチを設けておき、マイクロコンピュータからの指令によりこの切換スイッチを切り替えるように構成することも可能である。
・・・(中略)・・・
【0030】また、以上の実施例においては、ディスプレイとしてカラーディスプレイを用いた場合についてのみ説明したが、白黒ディスプレイに本発明を適用することも可能である。この場合にはディスプレイ調整装置は主としてコントラスト調整を行うこととなる。さらにディスプレイとして、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いることも可能である。さらにまたバックライトタイプの液晶ディスプレイ等を用いる場合には、バックライトの輝度を昼間と夜間で異なるように調整するように構成することも可能である。
【0031】
【発明の効果】第1の発明によれば、明るさ調整手段は、GPSデータを有効に利用して昼夜を判別し、ディスプレイの明るさをその周囲の明るさに応じて自動的に調整する。その結果、視認性の高い表示を容易に行わせることができるという効果を奏する。」

「【図1】


「【図6】



(4) 周知の技術事項の認定
前記(2)及び(3)に摘記した引用文献2及び引用文献3に記載された事項に例示されるように、次の事項は、ディスプレイの分野において周知の技術事項であると認められる。

「ディスプレイの周囲の明るさに応じた調整において、周囲光センサの情報を利用せず、昼と夜などの時刻情報に基づいて、ディスプレイの輝度を調整すること。」

2 本件発明と引用発明の対比
(1) 本件発明と引用発明の本件発明の分説に沿っての対比
以下、本件発明と引用発明を、本件発明の分説に沿って対比する。
ア 引用発明においては、「修正されたディスプレイ設定40」は、「バックライトレベル調整」を含むことから、引用発明が「バックライト」を含むことは明らかである。引用発明における「ディスプレイ12」のうち「バックライト」を除いた前側部分(以下「パネル部分」という。)は、本件発明における「電子ディスプレイ」に相当する。
これらの点も踏まえると、「電子ディスプレイ・アセンブリ」の発明である本件発明と、「携帯電子機器10」の発明である引用発明は、「電子ディスプレイを含む電子ディスプレイ・アセンブリ」の点で一致する。

イ 引用発明における「バックライト」がパネル部分の後ろにあって、パネル部分を直接照らすことは、自明である。したがって、本件発明と引用発明は、「前記電子ディスプレイがバックライトによって直接バックライトで照らされるように、前記電子ディスプレイの後ろに配置される前記バックライト」を含む点で一致する。

ウ 引用発明の「適応型ディスプレイモジュール22」は、本件発明の「ディスプレイ・コントローラ」に相当する。「携帯電子機器10」の発明である引用発明において、「適応型ディスプレイモジュール22」が「ディスプレイ12」に電気接続することは自明のことであるから、本件発明と引用発明は、「前記電子ディスプレイと電気接続するディスプレイ・コントローラ」を含む点で一致する。

エ 引用発明における「ディスプレイガンマ調整」は、本件発明における「ガンマ設定」に相当する。そして、引用発明においては、「適応型ディスプレイモジュール22は、周辺光履歴26に記録された複数の輝度条件及び/又は周辺光色条件に基づいて、さらにディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整を含むディスプレイ12の設定に基づいて、変換設定39を生成するように構成されたディスプレイ設定モジュール38を含み」、「修正されたディスプレイ設定40は、ディスプレイ設定モジュール38からディスプレイにさらに渡されてよく、ディスプレイガンマ調整及びバックライトレベル調整を含み」、「周囲光マッチングモードが起動されている場合(Y)に行われるディスプレイ設定の調整は、ディスプレイに関連するガンマ曲線及びバックライト出力レベルを調整することを含み得るものであり、ディスプレイに関連するガンマ曲線は、ディスプレイに関連する一つ又は複数のガンマ曲線を修正又は選択することによって調整され得、例えば、所与のガンマ曲線は、その指数がガンマレベルによって決定される指数関数の形態をとり得、これは、そうでなければ明るい環境における表面グレアのために失われ得るより暗いトーンの可視性を維持するために行われ得るものであ」るから、引用発明の「適応型ディスプレイモジュール22」は、所望の設定となるように、ガンマ設定を自動的に行っているということができる。
したがって、本件発明と引用発明は、「前記ディスプレイ・コントローラは、前記所望のガンマ設定を自動的に調整するように構成され」ている点で一致する。

オ 引用発明において、「ガンマレベルは、一般に、画像のコントラストを形成する指数を指し、より正確には、ガンマレベルは、次の関係: VOUT=C*(Vin)γ (式中、Cは定数であり、Vinは入力画像のピクセル又はサブピクセルの輝度であり、Voutは出力画像のピクセル又はサブピクセルの対応する輝度である)においてγによって想定される値を指し得るものであり、ガンマ曲線は、ディスプレイコントラストを制御するためにガンマ補正が実行され得るルックアップテーブル及び/又は調整された伝達関数を事前計算するために使用され得るものである」ことは、本件発明における「ガンマは、表示される画像におけるグレー・レベルのスケーリングを変換する冪関数Sγの数学的指数を指す」ことに相当する。

(2) 本件発明と引用発明の一致点及び相違点
上記(1)の検討結果を総合すると、本件発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「 電子ディスプレイと、
前記電子ディスプレイがバックライトによって直接バックライトで照らされるように、前記電子ディスプレイの後ろに配置される前記バックライトと、
前記電子ディスプレイと電気接続するディスプレイ・コントローラ
を含み、
前記ディスプレイ・コントローラは、前記所望のガンマ設定を自動的に調整するように構成され、
ガンマは、表示される画像におけるグレー・レベルのスケーリングを変換する冪関数Sγの数学的指数を指す、電子ディスプレイ・アセンブリ。」

<相違点>
ディスプレイ・コントローラが、
本件発明は、
「 現在の時間が日没と日の出の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく夜間指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示し、
現在の時間が日の出と日没の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく日中指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示するように、構成され」ており、
「前記夜間指示は、低周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、
前記日中指示は、高周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含」むのに対して、
引用発明は、光条件の履歴に基づいてその出力を適応させるように、周辺光履歴26に記録された複数の輝度条件及び/又は周辺光色条件に基づいて指示するように構成されている点。

進歩性の判断
(1) 相違点についての判断
前記引用文献2、3に記載されているように、ディスプレイの周囲の明るさに応じた調整において、「周囲光センサの情報を利用せず、昼と夜などの時刻情報に基づいて、ディスプレイの輝度を調整すること」は、周知の技術事項である。
してみれば、引用発明において、周辺光履歴26に記録された複数の輝度条件及び/又は周辺光色条件に基づいてガンマ設定をすることに代えて、昼と夜などの時刻の情報のみに基づいてガンマ設定をするようにすることは、当業者にとっては、自明の設計上の選択肢の中での変更にすぎない。
すなわち、引用発明において、ディスプレイ・コントローラが、「現在の時間が日没と日の出の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく夜間指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示し、現在の時間が日の出と日没の間である場合に、周囲光センサからの入力を受け入れることなく日中指示によって動作するよう前記電子ディスプレイに指示するように、構成されており、前記夜間指示は、低周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含み、前記日中指示は、高周囲光条件中の前記ディスプレイの所望のガンマ設定を含」むように変更することには、発想の困難性を認めることはできない。

(2) 請求人の主張について
ア 請求人の主張の概要
請求人は、令和3年3月1日提出の意見書において、次の点を主張している。
<請求人の主張>
本件発明に到達するために引用文献2、3との組み合わせで引用文献1のシステムを変更する動機づけはない。
日の出および日没に基づいてディスプレイのガンマ調整を行うとするような引用文献1のシステム変更は、周囲光条件に基づいてディスプレイのガンマを調整するという引用発明の動作原理(引用文献1に開示される発明の目的(周囲光だけでは調整が足りず、周囲光を実際に測定して周囲光履歴を作り、その履歴を考慮してディスプレイを調整するためのシステムを提供すること(引用文献1の段落[0001]〜[0006]参照)))に反することとなり、引用発明と引用文献2、3との組み合わせには、いわゆる阻害要因が存在する。
仮に、引用文献1に引用文献2、3を適用すれば、引用文献1の発明の要旨である周囲光の履歴を得ることができず、このような引用文献1の動作原理を不適切に変更することは、当業者にとって困難であり、いわゆる本件発明の構成を見た後での後知恵的なものにすぎない。

イ 請求人の主張について
引用文献1の段落[0002]及び[0003]を参酌すると、引用発明は、ディスプレイ輝度が現在の周囲輝度レベルに基づいて調整される従来の手法の欠点として、ユーザが明るい環境から暗い環境に、又はその逆に移動するとき、ユーザの眼が新しい周囲光環境にまだ調整されていないので、ディスプレイがユーザにとって明るすぎるか又は薄すぎるかのいずれかであり得るという欠点が記載され、引用発明は当該欠点を解決する一手法であることが理解される。すなわち、引用発明は、ディスプレイの輝度の調整について周囲光環境の変化に即時に応答しないことを要請していると理解できる。また、周囲光環境が例えば昼と早朝又は夕暮れで変化すること、すなわち時刻により変化することについても示されている。そして、周知技術は、昼と夜などの時刻情報に基づいて、ディスプレイの輝度を調整するものであるから、周囲光環境の変化に即時に応答したものではないという点で、引用発明の上述の要請と軌を一にすることは、当業者には自明である。
また、引用文献1の段落[0007]に「特許請求される主題は、本開示の任意の部分において言及される任意の又は全ての欠点を解決する実装形態に限定されない。」と記載されていることからも明らかなように、引用文献に複数の課題が記載されているときに、当該課題の取捨選択を行って設計変更し、技術手段のバリエーションを増やそうとすることは、当業者にとっては、常のことであるから、周辺光環境の変化を、現実の測定から検知するのではなく、日中か夜間かという時間形式で定型化して判別可能とすることに当業者ならば格別の困難性はないというべきである。
したがって、引用発明の制御方法に代えて、周知の、時間の情報のみに基づいてディスプレイを制御するという方法に代えることには、動機があるというべきであって、阻害要因があるということはできず、これと反する請求人の主張は、いずれも採用できない。

(3) 本件発明の進歩性の判断の小括
以上検討のとおり、相違点は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本件発明の奏する効果には、当業者の予測を超える格別顕著なものは認められない。
したがって、本件発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 理由2についての当審の判断
1 「人工周囲センサ・データ(AAS)」について
(1) 請求人の主張
請求人は、次の点を主張している。
<請求人の主張1>
請求項5、6、15に関しては、「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を考慮する、」の構成で、AASデータを定義する。換言すれば、AASデータは、周囲光センサから受信されない推定周囲光データを指し(すなわち、AASデータは、実際の周囲光センサーデータの代替である)、このことは、当業者が明細書の記載及び図面の内容から容易に理解できるものである。例えば、本願明細書の段落[0114]、[0116]は、周囲光センサからの実際のデータの使用を必要としないことを開示する。さらに、例えば、本願明細書の段落[0117]〜[0123]で、具体的な実施形態を開示する。
さらに、AASデータの定義につき、本願のパテントファミリーにおいて、例えば、米国特許第10,593,255号、米国特許第10,607,520号、オーストリア特許第2016308187号、韓国特許第10−2130667号で、許可されている。他の特許庁において、言い換えれば、他国で想定される当業者は、請求項で定義されるAASデータを容易に理解することができる。このことからも、本願の請求項5〜9、15〜18の記載は、明確であると思料する。」

(2) 当審の判断
まず、特許請求の範囲においては、「人工周囲センサ・データ(AAS)」の用語が用いられている一方、本願明細書の段落[0114]及び[0116]においては、「人工周囲光センサ・データ(AASデータ)」(下線は当審による。)及び「人工周囲光センサ・データ(AAS)」(下線は当審による。)が用いられており、「光」の文字が現れる。また、本願明細書の段落【0117】及び段落【0124】においては、それぞれ「人工周囲センサ・データ」及び「人工周囲センサ(AAS)データ」が用いられており、「光」の文字は現れない。このように、明細書に記載の「人工周囲」と「センサ」と「データ」が組み合わされた用語には、「光」の文字があるものとないものが混在しているところ、このデータが光の状態・属性を表す物理量のデータであるのか、それとも、光に限らないデータであるのか、不明である。
また、「人工周囲センサ・データ(AASデータ)」が「光」の状態・属性を表す物理量のデータであるとしても、どのような次元の物理量であるのか不明である。
したがって、「人工周囲センサ・データ(AAS)」の概念範囲は、明確でない。
なお、請求人は、「AASデータ」は、「周囲光センサから受信されない推定周囲光データを指し(すなわち、AASデータは、実際の周囲光センサーデータの代替である」)と主張するが、「人工」の意味がどうして「推定」であると理解できるのか不明であり、請求人の主張するとおりであれば、「周囲光センサから受信されない、推定された、周囲光のデータ」である旨、特許請求の範囲に明示すればよいところ、そのような不明瞭な記載を放置したままにすることは、正当化されるべきではない。そして、当該請求人の主張は「人工周囲センサ・データ(AAS)」の概念範囲が明確でないとする上記の理由を左右するものではないから、請求人の主張を参酌しても依然として、「人工周囲センサ・データ(AAS)」の概念範囲は明確でない。
よって、請求項5〜9、15〜18の記載において、「人工周囲センサ・データ(AAS)」の概念範囲が明確でないから、これらの請求項及び当該請求項の記載を直接又は間接的に引用する請求項である、請求項5〜10及び請求項15〜19に係る発明は明確でない。

2 「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を考慮する」等の不明瞭性について
(1) 請求人の主張
請求人は、次の点を主張している。
<請求人の主張>
「考慮する」、「近似する」の用語は、日本国内の特許公報の請求項において、多数存在する(令和3年2月26日現在で、2008年1月1日以降の登録公報発行日で「考慮する」は、2,904件、2013年1月1日以降の登録公報発行日で「近似する」は、2,868件である)。
また、考慮とは、例えば広辞苑第四版で「かんがえをめぐらすこと。」、近似とは、例えば広辞苑第四版で「ものごとが非常によく似通っていること。」と定義され、本願明細書の記載及び図面の内容からすれば、考慮とは、より一般的な用語で言えば、例えば、基づく、近似とは、より一般的な用語で言えば、例えば、推定する、という意味であることが、当業者は、容易に理解できるものと思料する。

(2) 当審の判断
ア 「考慮」及び「近似」という単語自体が、それぞれ、「かんがえをめぐらすこと。」、及び、「ものごとが非常によく似通っていること。」の意味であるとしても、請求項5等の「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を考慮する」との記載は、日本語として正確な記載ではなく、その意味を明瞭に把握することはできない。
例えば、「前記AASデータ」は人ではないところ、データが「ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ」、「前記日の出移行期間」及び「前記日没移行期間」を考慮するとはどのような意味であるのか不明である。
すなわち、請求人の主張を参酌して、請求人の主張する言葉に置き換えると「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを近似するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間についてかんがえをめぐらす」になるところ、「データ」が「かんがえをめぐらす」とはどのような意味であるのか、理解できない。
さらに、請求人の他の主張を参酌して、「考慮」を「基づく」に、「近似する」を「推定する」に置き換えてみても、「前記AASデータは、1日の時間に応じて、ディスプレイ環境の周辺光レベルを推定するデータ、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を基づく」では、意味が不明である。
百歩譲って、請求人の主張は、当該部分の記載は「前記AASデータは、1日の時間に応じて、前記日の出移行期間及び前記日没移行期間を基づき、ディスプレイ環境の周辺光レベルとして推定されたデータ」の意味であるとの主張であると善解したとしても、当該部分の記載の意味がこのような意味であるとは必ずしも理解できることではなく、特許権が設定登録された後、特許請求の範囲の記載は特許発明の技術的範囲を定める基準となる重要な記載であるところ(特許法70条)、このような重要な記載について、日本語として正確でない不明瞭な記載のまま放置することを正当化する理由はない。
以上のとおり、請求人の主張を参酌しても依然として、請求項5、6、7及び請求項15、16の記載の意味が不明であり、当該請求項又は当該請求項の記載を直接又は間接的に引用する請求項である、請求項5〜10及び請求項15〜19に係る発明は、明確でない。


第6 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
また、請求項5〜10及び請求項15〜19に係る発明は、明確でない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 中塚 直樹
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-07-08 
結審通知日 2021-07-13 
審決日 2021-07-29 
出願番号 P2017-558690
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09G)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱野 隆
岡田 吉美
発明の名称 位置に基づくディスプレイ特性の環境適応を伴う電子ディスプレイ  
代理人 奈良 如紘  
代理人 下田 容一郎  
代理人 下田 憲雅  
代理人 瀧澤 匡則  
代理人 住吉 勝彦  

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