ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H05B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H05B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H05B |
---|---|
管理番号 | 1380952 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-07-19 |
確定日 | 2021-12-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6822463号発明「点灯装置および照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6822463号の請求項に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6822463号の請求項1〜4に係る特許についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成26年2月5日に出願した特願2014−20487号(以下、「原出願A」という。)の一部を、平成28年12月6日に新たな特許出願とした特願2016−236523号(以下、「原出願B」という。)の一部を、平成29年3月29日に新たな特許出願とした特願2017−65186号(以下、「原出願C」という。)の一部を、平成30年12月25日に新たな特許出願としたものであって、令和3年1月12日に特許権の設定登録がされ、同年1月27日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1〜4に係る特許に対し、令和3年7月19日に特許異議申立人川崎安代(以下、「申立人」という。また、申立人の「崎」は、正しくは、この字の「大」を「立」に置き換えたものである。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第6822463号の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 前記点灯制御部の制御に関連する外部機器と接続し前記外部機器への給電を行うとともに前記給電により作動する前記外部機器が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された端子部と、 第2スイッチング電源を含む回路を用いて、前記外部機器への前記給電のために前記端子部に供給される第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部と、 を備える点灯装置。 【請求項2】 前記制御電源部は、前記点灯回路部に含まれる配線から取り出された主電圧を降圧するように構築された前記第2スイッチング電源である第一電源変換部と、前記第一電源変換部で降圧された電圧を異なる電圧に変換する第二電源変換部と、を含み、 前記第一電源変換部により得られた電源と前記第二電源変換部により得られた電源とが前記第一電源および前記第二電源として前記端子部と前記点灯制御部とに分配されるように構築された請求項1に記載の点灯装置。 【請求項3】 光源と、 前記光源を点灯させる点灯装置と、 を備え、 前記点灯装置は、 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 前記点灯制御部の制御に関連する外部機器と接続し前記外部機器への給電を行うとともに前記給電により作動する前記外部機器が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された端子部と、 第2スイッチング電源を含む回路を用いて、前記外部機器への前記給電のために前記端子部に供給される第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部と、 を備える照明器具。 【請求項4】 前記制御電源部は、前記点灯回路部に含まれる配線から取り出された主電圧を降圧するように構築された前記第2スイッチング電源である第一電源変換部と、前記第一電源変換部で降圧された電圧を異なる電圧に変換する第二電源変換部と、を含み、 前記第一電源変換部により得られた電源と前記第二電源変換部により得られた電源とが前記第一電源および前記第二電源として前記端子部と前記点灯制御部とに分配されるように構築された請求項3に記載の照明器具。」 第3 申立理由の概要 申立人は、以下の甲第1号証〜甲第7号証(以下、それぞれ、「甲1」〜「甲7」ということがある。)を提出して、以下の申立理由により請求項1〜4に係る特許を取り消すべきである旨主張する。 1 証拠方法 甲1:特開2011−29094号公報 甲2:特開2014−22304号公報 甲3:特開2013−33717号公報 甲4:特開2010−33817号公報 甲5:特開2015−149152号公報 甲6:特開2017−69219号公報 甲7:特開2017−117807号公報 2 申立理由 (1)申立理由1−1(新規性、進歩性欠如、甲1を主引用文献とする場合。) 本件発明1、3は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、請求項1、3に係る特許は、同法第29条1項の規定に違反してされたものであるから、 また、本件発明1〜4は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1〜4に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 (2)申立理由1−2(進歩性欠如、甲2を主引用文献とする場合。) 本件発明1〜4は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1〜4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 (3)申立理由2(サポート要件違反、明確性要件違反。) 本件発明1〜4は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また明確ではないので、請求項1〜4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。 (4)申立理由3(分割要件違反による新規性欠如) 本件特許出願は、分割要件を満たさないので、その出願日は平成30年12月25日となるから、本件発明1〜4は、甲5に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるので、請求項1〜4に係る特許は、同法第29条1項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 第4 証拠の記載事項等 1 甲1について (1)甲1の記載事項 甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、センサの信号を用いて光源の点灯動作を制御する点灯装置と、点灯装置と照明負荷とを備えた照明装置と、照明装置と照明装置が装着される器具本体とを備えた照明器具に関するものである。」 「【0031】 本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、昼夜を問わず常に待機電力を低減させた点灯装置および、これを備えた照明装置、照明器具を提供することにある。」 「【0083】 本実施形態は、センサ部11の出力信号に基づいて、マイコンIC1への制御電圧Vcc2の印加のオン・オフと、直流電源部23の駆動をオン・オフすることを特徴とした、蛍光灯LA2を照明負荷とするセンサ機能付きの照明装置5である。照明装置5は、点灯装置3と照明負荷部4とで構成され、点灯装置3は、照明負荷の点灯状態を制御する点灯制御装置1と、商用電源ACに接続され、点灯制御装置1からの制御によって蛍光灯LA2を点灯させる点灯回路装置2とを備えている。 【0084】 点灯制御装置1は、センサ部11と、点灯制御部12と、制御電源部16と、センサ電源部17と、スイッチ回路部SWとで構成されている。点灯回路装置2は、入力保護部21と、整流平滑部22と、直流電源部23と、インバータ部24とで構成されている。以下に、図4を用いて、各部の概略構成を説明する。 【0085】 照明負荷部4は、蛍光灯LA2で構成されている。 【0086】 センサ部11は、照明装置5の周囲の検知エリアにおいて、人から放射される赤外線を検知することで、人の存否を検知する焦電型PIRを有した人体センサ部111と、照明装置5の周囲の照度を検出するフォトICダイオードPDからなる人体センサ部112とで構成されている。また、焦電型PIRは人を検知するとHighレベルの人検知信号S1を出力し、フォトICダイオードPDは照度に応じて照度電圧V1を出力する。 【0087】 点灯制御部12は、蛍光灯LA2の点灯状態を制御するマイコンIC1で構成されており、点灯回路装置2に負荷駆動信号S2を出力することで、蛍光灯LA2の点灯状態を制御している。 【0088】 制御電源部16は、降圧チョッパ回路を構成するスイッチング電源回路IC4(以下、電源回路IC4と称す)、インダクタL161、高速ダイオードD161、D162等で構成されており、後述する直流電源23で生成された直流電圧VDCを降圧して、点灯制御部12に印加する制御電圧Vcc2を生成する。 【0089】 センサ電源部17は、後述する直流電源23で生成された直流電圧VDCを基に、センサ部11に印加するセンサ電源電圧Vcc1を生成する。 ・・・ 【0092】 直流電源部23は、インダクタL231と、MOSFETで構成されたスイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aと、アルミ電解コンデンサC232と、昇圧チョッパ回路23aおよび後述のインバータ回路24aを制御する制御回路IC3等で構成されており、直流電圧VDCを生成している。また、制御回路IC3は、制御電源部16で生成される制御電圧Vcc3が印加されることで駆動 する。 【0093】 インバータ部24は、MOSFETからなるスイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aと、直流カット用コンデンサC241とで構成されており、直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加する。 【0094】 照明負荷部4は、インバータ部24の出力端に、共振用インダクタL41と共振用コンデンサC41が接続され、共振用コンデンサC41と並列に照明負荷である蛍光灯LA2が設けられている。」 図4 (2)甲1の記載から認められること ア 【0083】の記載によれば、点灯装置3は、点灯制御装置1と点灯回路装置2を備え、【0084】によれば、点灯制御装置1は、センサ部11と、点灯制御部12と、制御電源部16と、センサ電源部17とを有するから、点灯装置3は、点灯回路装置2と、点灯制御部12と、センサ部11と、センサ電源部17と、制御電源部16とを備えることが認められ、図4も参照すると、センサ部11は、センサ部11と点灯制御部12を接続する配線を介して、出力信号を点灯制御部12に出力することが認められる。 イ 【0084】の記載によれば、点灯回路装置2は、直流電源部23と、インバータ部24を有し、【0092】の記載によれば、直流電源部23は、インダクタL231と、スイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aを有し、【0093】の記載によれば、インバータ部24は、スイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aを有し、直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加するから、点灯回路装置2は、インダクタL231と、スイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aを有する直流電源部23と、スイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aを有するインバータ部24を有し、直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加することが認められる。 ウ 【0087】の記載によれば、点灯制御部12は、点灯回路装置2を制御することが認められ、【0088】の記載によれば、制御電源部16は、スイッチング電源回路IC4等で構成され、点灯制御部12に印加する制御電圧Vcc2を生成することが認められる。 エ 【0089】及び図4の記載によれば、センサ電源部17は、センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線を介してセンサ部11に印加するセンサ電源電圧Vcc1を生成することが認められる。 (3)甲1発明1 上記(2)ア〜エを総合すると、甲1には、点灯装置3として、以下の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 「インダクタL231と、スイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aを有する直流電源部23と、スイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aを有するインバータ部24を有し、直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加する点灯回路装置2と、 点灯回路装置2を制御する点灯制御部12と、 センサ部11と点灯制御部12を接続する配線を介して、出力信号を点灯制御部12に出力するセンサ部11と、 センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線を介してセンサ部11に印加するセンサ電源電圧Vcc1を生成するセンサ電源部17と、 スイッチング電源回路IC4等で構成され、点灯制御部12に印加する制御電圧Vcc2を生成する制御電源部16と、 を備える点灯装置3。」 (4)甲1発明2 上記(1)(特に、【0083】参照。)及び(3)を総合すると、甲1には、照明装置5として、以下の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 「照明負荷部4と、 点灯装置3と、 を備え 点灯装置3は、 インダクタL231と、スイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aを有する直流電源部23と、スイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aを有するインバータ部24を有し、直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加する点灯回路装置2と、 点灯回路装置2を制御する点灯制御部12と、 出力信号を点灯制御部12に出力するセンサ部11と、 センサ部11に印加するセンサ電源電圧Vcc1を生成するセンサ電源部17と、 スイッチング電源回路IC4等で構成され、点灯制御部12に印加する制御電圧Vcc2を生成する制御電源部16と、 を備える照明装置5。」 2 甲2について (1)甲2の記載事項 甲2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、照明装置に関し、特に、制御回路とセンサユニットとの接続状態を検査する技術に関するものである。」 「【0008】 本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、センサと制御部との接続状態の検査の簡易化および当該検査に要する時間の大幅な短縮を図ることができる照明装置を提供することを目的とする。」 「【発明を実施するための形態】 【0013】 <実施の形態1> <1>回路構成 本実施の形態に係る照明装置の回路図を図1に示す。 照明装置は、制御回路(制御部)106およびスイッチ(受付手段)SW1,SW2,SW3を有する点灯装置1と、第1発光部11と、第2発光部(光源)12と、センサユニット21と、受信部31と、ブザー41とを備える。点灯装置1が有する制御回路106とセンサユニット21とは、信号線Lを介して接続されている。 【0014】 ここで、点灯装置1は、センサユニット21から出力される電圧信号に応じて第1発光部11の調光率を自動的に増減させる「自動調光機能」を有している。これにより、第1発光部11の調光率は、自動的に照明装置の周囲の明るさに応じた最適値に設定される。 <1−1>第1発光部 第1発光部11は、互いに直列に接続された複数のLED11aからなる。この第1発光部11は、例えば、30個のLED11aから構成される。 【0015】 <1−2>第2発光部 第2発光部12は、互いに直列に接続された複数のLED12aからなる。この第2発光部12は、例えば、6個のLED12aから構成され、いわゆる常夜灯として機能する。・・・」 「【0016】 ・・・ <1−5>センサユニット センサユニット21は、点灯装置1の動作状態を表示する表示灯22と、センサユニット21の周囲の明るさを検知する明るさセンサ23とを備える。ここで、「動作状態」とは、点灯装置1の自動調光機能が働いている状態や、点灯装置1が自動調光機能により第1発光部11の調光率を増減している状態をいう。 【0017】 表示灯22は、点灯装置1に接続されており、点灯装置1により点灯制御される。表示灯22は、LEDから構成されている。なお、表示灯22は、LEDに限定されるものではなく、例えば、EL素子や豆電球等を用いたものであってもよいが、電力消費量やコスト等を総合的に考慮するとLEDが好ましい。 明るさセンサ23は、接地端子te230と、電源端子te231と、第1信号端子te232と、第2信号端子te233とを備え、周囲の明るさに応じた電圧信号を、第1信号端子te232と第2信号端子te233との間に出力する。また、明るさセンサ23は、制御回路106から問合せ信号が入力されると、信号線Lに応答信号を出力する機能も有する。この明るさセンサ23の詳細な構成については後述する。 【0018】 <1−6>点灯装置 図1に示すように、点灯装置1は、整流回路101と、PFC(Power Factor Correction)回路102と、第1降圧チョッパ回路103と、第2降圧チョッパ回路104と、レギュレータ105と、制御回路106とを備える。 <整流回路> 整流回路101は、外部電源ACから供給される交流を整流して直流に変換する。整流回路101は、例えば、ダイオードブリッジから構成されるものであってもよい。整流回路101は、例えば、外部電源ACからAC100Vの交流電圧が入力されると、100Vの直流電圧を出力する。」 「【0020】 <第1降圧チョッパ回路> 第1降圧チョッパ回路103は、PFC回路102から出力される電圧を降圧して(例えば、100Vに降圧)第1発光部11に出力する。第1降圧チョッパ回路103は、インダクタ、スイッチング素子、ダイオードおよびスイッチング素子の駆動回路を備える。 また、第1チョッパ回路103は、PWM制御方式により出力が制御されている。具体的には、制御回路106から駆動回路にPWM信号が入力されると、駆動回路は、当該PWM信号に基づいてスイッチング素子をオンオフさせる。このとき、第1降圧チョッパ回路103は、PWM信号のオンデューティにより定まる所定の大きさの電圧を第1発光部11に出力し、第1発光部11が調光点灯する。一方、制御回路106から駆動回路に入力されるPWM信号が遮断されると、駆動回路は、スイッチング素子をオフで維持する。このとき、第1降圧チョッパ回路103が第1発光部11への電圧出力を停止し、第1発光部11が消灯する。 【0021】 <第2降圧チョッパ回路> 第2降圧チョッパ回路104は、PFC回路102から出力される電圧を降圧して(例えば、15Vに降圧)第2発光部12やレギュレータ105に出力する。第2降圧チョッパ回路104は、インダクタ、ダイオードおよび電源用IPD(Intelligent Power Device)を備える。電源用IPDとは、スイッチング素子とその駆動回路の機能が一体化された電源用の集積回路である。第2降圧チョッパ回路104の高電位側の出力端は、限流用の抵抗R104を介して第2発光部12の高電位側に接続されている。これにより、第2降圧チョッパ回路104は、その高電位側の出力端から抵抗R104を介して第2発光部12への電流を供給することができる。 【0022】 <レギュレータ> レギュレータ105は、例えば、バンドギャップレギュレータからなり、第2降圧チョッパ回路104の出力端間に接続されている。レギュレータ105は、第2降圧チョッパ回路104から出力される電圧よりも低い一定の電圧を出力する。例えば、第2降圧チョッパ回路104から15Vの電圧が入力されると、レギュレータ105は、5Vの一定の電圧を出力する。レギュレータ105の出力電圧は、制御回路106が正常に駆動するように設定されている。」 「【0029】 端子te0は、第2降圧チョッパ回路104の低電位側の出力端に接続されている。 端子te1は、レギュレータ105の出力端に接続されている。 端子te2は、第1降圧チョッパ回路103に接続されている。端子te2からは、PWM信号が出力され、第1降圧チョッパ回路103の一部を構成する駆動回路に入力される。」 図1 (2)甲2の記載から認められること ア 【0013】及び【0018】の記載によれば、点灯装置1は、第1降圧チョッパ回路103と、レギュレータ105と、制御回路106とを備え、信号線Lが接続することが認められる。 イ 【0020】の記載によれば、第1降圧チョッパ回路103は、スイッチング素子の駆動回路を備え、所定の大きさの電圧を第1発光部11に出力することが認められる。また、制御回路106からのPWM信号により、第1降圧チョッパ回路103は第1発光部11の点灯・消灯を制御することから、制御回路106は、第1降圧チョッパ回路103を制御することが認められる。 ウ 【0017】、【0022】、【0029】及び図1の記載によれば、レギュレータ105は、明るさセンサ23の電源端子te231に信号線Lを介して接続するとともに、制御回路106の端子te1とに接続して所定の電圧を出力するものであるから、レギュレータ105は、信号線Lと制御回路106とに所定の電圧を出力することが認められ、また、信号線Lは、センサユニット21に接続しセンサユニット21への給電を行うとともにセンサユニット21が出力した信号を制御回路106へ伝達することが認められる。 (3)甲2発明1 上記(2)ア〜ウを総合すると、甲2には、点灯装置1として、以下の発明(以下、「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。 「スイッチング素子の駆動回路を備え、所定の大きさの電圧を第1発光部11に出力する第1降圧チョッパ回路103と、 第1降圧チョッパ回路103を制御する制御回路106と、 信号線Lと制御回路106とに所定の電圧を出力するレギュレータ105と、を備え、 センサユニット21に接続しセンサユニット21への給電を行うとともにセンサユニット21が出力した信号を制御回路106へ伝達する信号線Lが接続する点灯装置1。」 (4)甲2発明2 上記(1)(特に、【0013】参照。)及び(3)を総合すると、甲2には、照明装置として、以下の発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。 「第1発光部11と、 点灯装置1と、 を備え、 点灯装置1は、 スイッチング素子の駆動回路を備え、所定の大きさの電圧を第1発光部11に出力する第1降圧チョッパ回路103と、 第1降圧チョッパ回路103を制御する制御回路106と、 信号線Lと制御回路106とに所定の電圧を出力するレギュレータ105と、を備え、 センサユニット21に接続しセンサユニット21への給電を行うとともにセンサユニット21が出力した信号を制御回路106へ伝達する信号線Lが接続する照明装置。」 3 甲3について 甲3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 この発明は、照明器具に取り付けられて用いられ、複数のLED(発光ダイオード)チップを有するLEDランプに関する。」 「【0027】 ケース4の両端部には、コネクタ15に対応する開口16が下方側(照明対象領域に対向する位置)に形成されている。人感センサモジュール11は、開口16を通ってコネクタ15に結合されて、このコネクタ15に電気的に接続されている。実際の使用時には、一対のコネクタ15のうちのいずれか一方が人感センサモジュール11の接続のために用いられる。すなわち、いずれか一方のコネクタ15に人感センサモジュール11が接続される。未使用のコネクタ15には、開口16に整合し、かつコネクタ15に結合可能なコネクタキャップ17が装着されてもよい。」 「【0029】 照度センサモジュール12および温度センサモジュール13は、たとえば、ケース4の一端部に取り付けられている。これらのセンサモジュール12,13も、人感センサモジュール11と同様に、ケース4の両端部に着脱自在に取り付け可能としてもよい。・・・」 「【0036】 図7は、LEDランプ1の電気的構成を説明するためのブロック図である。LEDランプ1は、制御装置としてのマイクロコンピュータ50と、マイクロコンピュータ50によって制御されるLEDドライバ51とを有している。口金6の端子6a,6bからの交流電力(たとえば100V)は、AC/DCコンバータ52によって直流電力(たとえば5V)に変換されてマイクロコンピュータ50等に供給される。この電力を受けて、マイクロコンピュータ50、人感センサモジュール11、照度センサモジュール12および温度センサモジュール13が動作する。センサモジュール11,12,13の出力信号は、マイクロコンピュータ50に入力されている。一方、口金6の端子6a,6bからの交流電力は、リレー53を介して、LEDドライバ51に供給されている。」 4 甲4について 甲4には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、センサが脱着自在に取り付けられるセンサ脱着式照明器具に関する。」 「【0009】 (第1の実施形態) 図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンサ脱着式照明器具(以下、照明器具という)10を斜め下から見た構成概要を示す。照明器具10は、光源としての照明ランプ11と、照明ランプ11を点灯制御するためのセンサ12と、センサ12を器具筐体13に脱着自在に取り付けるためのセンサ取付部14とを備える。センサ12は、その検出部12a、12bが露出するようにセンサ取付部14に取り付けられる。また、照明器具10は、外形がセンサ12と略同形状を有し、センサ12がセンサ取付部14に取り付けられていないときのダミーとなるダミー部15をさらに備える。センサ12とダミー部15は、置き換え自在にセンサ取付部14に取り付けられる。 【0010】 照明ランプ11は、蛍光管、白熱球、LED等である。照明器具10は、センサ12の出力信号に基づいて照明ランプ11を点灯制御する点灯制御回路等を器具筐体13内に備える。その点灯制御は、例えば、オン・オフ制御、位相制御、パルス幅制御、振幅制御等である。」 図1 第5 当審の判断 1 申立理由1−1(甲1を主引用文献とするもの) (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、後者の「直流電源部23」、「インバータ回路24a」は、それぞれ、スイッチング素子Q231、スイッチング素子Q241、Q242を有するから、後者の「直流電源部23」と「インバータ部24」からなる構成は、その機能及び構造からみて、前者の「第1スイッチング電源」に相当し、以下同様に、「照明負荷部4」は「光源」に、「点灯回路装置2」は「点灯回路部」に、「点灯制御部12」は「点灯制御部」に、「センサ電源部17」及び「制御電源部16」は「制御電源部」に、「点灯装置3」は「点灯装置」に、それぞれ相当する。 後者の「インダクタL231と、スイッチング素子Q231と、高速ダイオードD231とからなる昇圧チョッパ回路23aを有する直流電源部23と、スイッチング素子Q241、Q242で構成されたインバータ回路24aを有するインバータ部24を有」することは、前者の「少なくとも第1スイッチング電源を有」することに相当し、後者の「直流電圧VDCを高周波電圧に変換して、照明負荷部4に印加する」ことは、前者の「光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する」ことに相当する。 前者の「第一電源」は、制御電源部によって生成され、第二電源は第一電源と異なる電圧を持つものであることを勘案すると、後者の「センサ電源電圧Vcc1」、「制御電源圧Vcc2」は、それぞれ、前者の「第一電源」、「第二電源」に相当する。 前者の「点灯制御部の制御に関連する外部機器」と後者の「センサ部11」は、「点灯制御部の制御に関連する信号出力手段」である点で共通し、後者の「センサ部11と点灯制御部12を接続する配線」及び「センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線」は、前者の「端子部」と、「伝達手段」という点で共通するから、後者の「センサ部11に印加する」ために用いられる「センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線」及び「出力信号を点灯制御部12に出力する」ために用いられるセンサ部11と点灯制御部12を接続する配線」は、前者の「点灯制御部の制御に関連する外部機器と接続し前記外部電子機器への給電を行うとともに前記給電により作動する前記外部機器が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された端子部」と、「点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段」という点で共通する。 甲1の【0088】、【0089】を参酌すると、後者の「センサ電源電圧Vcc1」、と「制御電源圧Vcc2」が、異なる電圧であることは明らかであるから、後者の「センサ部11に印加するセンサ電源電圧Vcc1を生成するセンサ電源部17と、スイッチング電源回路IC4等で構成され、点灯制御部12に印加する制御電圧Vcc2を生成する制御電源部16」は、前者の「第2スイッチング電源を含む回路を用いて、前記外部機器への前記給電のために前記端子部に供給される第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部」と、「第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部」という点で共通する。 そうすると、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 <一致点1> 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段と、 第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部と、 を備える点灯装置。 <相違点1−1> 本件発明1は、信号出力手段が「外部機器」であり、伝達手段が「端子部」であるのに対し、甲1発明1は、信号出力手段が「センサ部11」であり、伝達手段が「センサ部11と点灯制御部12を接続する配線」及び「センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線」である点。 <相違点1−2> 制御電源部が第一電源を生成するのに際して、本件発明1では、第2スイッチング電源を含む回路を用いるのに対し、甲1発明1では、スイッチング電源を含む回路を用いていない点。 イ 判断 相違点1−1及び1−2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明1ではない。 (ア)相違点1−1について 甲3(例えば、【0027】、【0029】)や甲4(例えば、【0009】)を参照すると、照明器具等において、人感センサ等を外部機器として、コネクタ(端子部)を介して着脱自在に接続することは、周知技術であると認められるから、甲1発明1において、該周知技術を適用して、相違点1−1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点1−2について スイッチング電源を含む回路を用いて、第二電源だけでなく第一電源をも生成する点は、甲2〜4のいずれにも記載や示唆はなく、また周知技術であると認めるに足る証拠もない。 そうすると、仮に、甲1発明1に甲2〜4に記載された事項を適用しても、相違点1−2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 (ウ)小括 以上によれば、本件発明1は、甲1発明1及び甲2〜4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の全ての構成を有し、本件発明1の構成を更に限定するものであるから、上記(1)イで説示したとおり、本件発明2も、甲1発明1及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲1発明2とを対比すると、本件発明1と共通する点については、上記(1)アのとおりであり、それ以外については、後者の「点灯装置3」は、照明負荷4を点灯させるものであるから、前者の「前記光源を点灯させる点灯装置」に相当し、後者の「照明装置5」は、前者の「照明器具」に相当する。 そうすると、本件発明3と甲1発明2との一致点及び装置点は、以下のとおりとなる。 <一致点2> 光源と、 前記光源を点灯させる点灯装置と、 を備え、 前記点灯装置は、 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段と、 第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部と、 を備える照明器具。 <相違点2−1> 本件発明3は、信号出力手段が「外部機器」であり、伝達手段が「端子部」であるのに対し、甲1発明2は、信号出力手段が「センサ部11」であり、伝達手段が「センサ部11と点灯制御部12を接続する配線」及び「センサ部電源部17とセンサ部11を接続する配線」である点。 <相違点2−2> 制御電源部が第一電源を生成するのに際して、本件発明3では、第2スイッチング電源を含む回路を用いるのに対し、甲1発明2では、スイッチング電源を含む回路を用いていない点。 イ 判断 相違点2−1及び2−2は、実質的な相違点であるから、本件発明3は、甲1発明2ではない。 また、相違点2−2は、相違点1−1と実質的に同じであるから、上記(1)イで説示したのと同じ理由により、本件発明3は、甲1発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、甲1発明2及び甲2〜4に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の全ての構成を有し、本件発明3の構成を更に限定するものであるから、上記(3)イで説示したとおり、本件発明4も、甲1発明2及び甲2〜4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明1ではなく、本件発明3は、甲1発明2ではなく、本件発明1、2は、甲1発明1及び甲2〜4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明3、4は、甲1発明2及び甲2〜4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 申立理由1−2(甲2を主引用文献とするもの) (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明1とを対比すると、後者の「スイッチング素子の駆動回路」は、前者の「第1スイッチング電源」に相当し、以下同様に、「備え」ることは「有」することに、「第1発行部11」は「光源」に、「第1降圧チョッパ回路103」は「点灯回路部」に、「制御回路106」は「点灯制御部」に、「レギュレータ105」は「制御電源部」に、「接続する」ことは「備える」ことに、「点灯装置1」は「点灯装置」に、それぞれ相当する。 後者の「スイッチング素子の駆動回路を備え」ることは、前者の「少なくとも第1スイッチング電源を有」するに相当し、後者の「所定の大きさの電圧を第1発光部11に出力する」ことは、前者の「光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する」ことに相当する。 後者の「センサユニット21」は、信号を制御回路106に出力し、制御回路106は該信号を制御に用いるものであるから、前者の「外部機器」とは、「前記点灯制御部の制御に関連する信号出力手段」という点で、共通する。また、後者の「信号線L」は、センサユニット21への給電と、センサユニット21からの信号を制御回路106に伝達するものであるから、後者の「センサユニット21に接続しセンサユニット21への給電を行うとともにセンサユニット21が出力した信号を制御回路106へ伝達する信号線L」と前者の「前記点灯制御部の制御に関連する外部機器と接続し前記外部機器への給電を行うとともに前記給電により作動する前記外部機器が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された端子部」は、「前記点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段」という点で共通する。 そして、後者の「信号線Lと制御回路106とに所定の電圧を出力するレギュレータ105」と前者の「第2スイッチング電源を含む回路を用いて、前記外部機器への前記給電のために前記端子部に供給される第一電源と、前記第一電源とは異なる電圧を持ち前記点灯制御部に供給される第二電源と、を生成する制御電源部」とは、「前記伝達手段と前記点灯制御部に供給される電圧を生成する制御電源部」という点で共通する。 そうすると、本件発明1渡航2発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 <一致点3> 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 前記点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段と、 前記伝達手段と前記点灯制御部に供給される電圧を生成する制御電源部と、 を備える点灯装置。 <相違点3−1> 本件発明1は、信号出力手段が「外部機器」であり、伝達手段が「端子部」であるのに対し、甲2発明1は、電子機器が「センサユニット21」であり、伝達手段が「信号線L」である点。 <相違点3−2> 制御電源部において、本件発明1では、「第2スイッチング電源を含む回路を用いて」、前記端子部に供給される「第一電源」と、「前記第一電源とは異なる電圧を持ち」前記点灯制御部に供給される「第二電源」とを生成するのに対し、甲2発明1では、スイッチング電源を含む回路を用いずに、信号線Lと制御回路106とに「所定の電圧」を出力する点。 イ 判断 相違点3−2に係る本件発明1の構成は、相違点1−1に係る本件発明1の構成よりも多くの構成を含むのは明らかであるところ、上記1(1)イで説示したとおり、甲1には、相違点1−1に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていないから、甲2発明1において、甲1に記載された事項を適用しても、相違点3−2に係る本件発明1の構成とならないことは明らかである。また、上記1(1)イで説示したとおり、甲3、4にも、相違点1−1に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。 よって、本件発明1は、甲2発明1及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の全ての構成を有し、本件発明1の構成を更に限定するものであるから、上記(1)イで説示したとおり、本件発明2も、甲2発明1及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲2発明2とを対比すると、本件発明1と共通する点については、上記(1)アのとおりであり、それ以外については、後者の「点灯装置1」は、第1発光部11を点灯させるものであるから、前者の「前記光源を点灯させる点灯装置」に相当し、後者の「照明装置」は、前者の「照明器具」に相当する。 そうすると、本件発明3と甲2発明2との一致点及び装置点は、以下のとおりとなる。 <一致点4> 光源と、 前記光源を点灯させる点灯装置と、 を備え、 前記点灯装置は、 少なくとも第1スイッチング電源を有し、光源が接続される光源用端子に点灯用の電力を出力する点灯回路部と、 前記点灯回路部を制御する点灯制御部と、 前記点灯制御部の制御に関連する信号出力手段と接続し前記信号出力手段への給電を行うとともに前記給電により作動する前記信号出力手段が出力した信号を受け入れて前記点灯制御部に伝達するように構築された伝達手段と、 前記伝達手段と前記点灯制御部に供給される電圧を生成する制御電源部と、 を備える照明装置。 <相違点4−1> 本件発明3は、信号出力手段が「外部機器」であり、伝達手段が「端子部」であるのに対し、甲2発明2は、電子機器が「センサユニット21」であり、伝達手段が「信号線L」である点。 <相違点4−2> 制御電源部において、本件発明3では、「第2スイッチング電源を含む回路を用いて」、前記端子部に供給される「第一電源」と、「前記第一電源とは異なる電圧を持ち」前記点灯制御部に供給される「第二電源」とを生成するのに対し、甲2発明2では、スイッチング電源を含む回路を用いずに、信号線Lと制御回路106とに「所定の電圧」を出力する点。 イ 判断 相違点4−2は、相違点3−2と実質的に同じであるから、上記(1)イで説示したのと同じ理由により、本件発明3は、甲2発明2及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の全ての構成を有し、本件発明3の構成を更に限定するものであるから、上記(3)イで説示したとおり、本件発明4も、甲2発明2及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件発明1、2は、甲2発明1及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明3、4は、甲2発明2及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 申立理由2(サポート要件違反、明確性要件違反。) 申立人は、特許異議申立書において、請求項1、3には、「外部機器」と記載されているが、本件明細書において、【課題を解決するための手段】及び【発明の効果】の欄以外には、「外部機器」なる語句が記載されておらず、上記「外部機器」がどのようなものを意味するのか、当業者でも理解できないから、本件発明1〜4は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、明確でもなく、特許法第36条第6項1号及び第2号の規定を満たしていない旨主張する。 しかしながら、本件明細書には、例えば、 「 図3には、接続ユニット100も図示されている。接続ユニット100は、制御端子台30を介して複数の端子31〜36と接続可能に構成されており、点灯装置10およびこれを備えた照明器具1の機能を拡張することができる。一例としては、接続ユニット100は、人の存在を検知する人感センサとすることができる。人感センサとしての接続ユニット100は、その内部回路が基準電位端子31を介してグランドに接続され、制御電源端子36から電源の供給を受け、入力端子33を介してセンサ信号をLED制御回路70に入力する。LED制御回路70は、人感センサとしての接続ユニット100による検知結果に基づいて点灯制御を行う。ただし本発明はこれに限られるものではなく、人検知以外の各種の拡張機能を実現するために様々な機能を備えた接続ユニット100を準備すればよく、これにより取付工事をした後などの事後的な場面において、点灯装置10および照明器具1の機能拡張が容易となる。」(【0019】)と記載されており、上記接続ユニット100が、「外部機器」に対応するものであると解されるところ、上記接続ユニット100について、申立人は、点灯装置10及びこれを備えた照明器具3について、各種の拡張機能を実現するために、点灯装置10の端子と接続可能に構成され、様々な機能を備えた装置であると認識する(特許異議申立書25ページ参照)が、該認識は、「外部機器」の定義としても適切であると認められる。 したがって、請求項1、3における「外部機器」なる記載は明確であり、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、申立人の上記主張は、当を得たものとはいえず、採用できない。 4 申立理由3(分割要件違反による新規性欠如) 申立人は、特許異議申立書において、本件明細書に記載の発明の目的(【0005】)及び発明の効果(【0008】)は、原出願A〜Cのそれぞれの出願当初の明細書に開示されたものではないから、分割要件を満たしておらず、本件の出願日は、原出願A〜Cの出願日には遡及せず、平成30年12月25日となり、本件発明1〜4は、原出願Aの公開公報である甲5に記載された発明となる旨主張する。 まず、本件明細書に記載の発明の目的について検討する。本件明細書の【0005】には、発明の目的について、「本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、接続ユニットと点灯装置が持つ点灯制御部とを作動させるための電源を確保できるように改良された点灯装置および照明器具を提供することを目的とする。」と記載されている。一方、原出願A〜Cのそれぞれの出願当初の明細書(それぞれ、甲5〜7参照。)には、照明器具やその点灯装置において、接続ユニットを設けるニーズがある旨(甲5〜7の【0004】)が記載されており、照明器具やその点灯装置において、接続ユニットを実現するためには、接続ユニットへの電源を確保することが必要な事項の1つであることは、当業者にとって自明であるといえる。そうすると、本件明細書に記載の上記発明の目的は、原出願A〜Cのそれぞれの出願当初の明細書に示唆されていると認められる。 次に、本件明細書に記載の発明の効果について検討する。本件明細書の【0008】には、発明の効果として、「本発明によれば、点灯制御部用の電源の大きさと外部機器用の電源の大きさとが相違していても、それぞれに必要な電源を確保して点灯制御部と接続ユニットとを適切に作動させることができる。」と記載されている。一方、原出願A〜Cのそれぞれの出願当初の明細書の【発明を実施するための形態】は、全て同じ(甲5、6は【0010】〜【0019】、甲7は【0009】〜【0018】。)であり、甲5、6の【0015】及び図3等、甲7の【0014】及び図3等には、それぞれ、接続ユニットが接続される端子台への出力電圧と、点灯制御部への出力電圧とが異なることが開示されているから、本件明細書に記載の上記発明の効果は、原出願A〜Cのそれぞれの出願当初の明細書に開示されていると認められる。 また、原出願Cについて、甲7の公開公報の公開後に、提出された手続補正書(平成30年2月1日の手続補正書及び平成30年8月29日の手続補正書)では、明細書は、【0006】及び【0007】しか補正されていないから、本件の出願直前の原出願Cの明細書にも、本件明細書の記載の発明の目的及び発明の効果は、示唆又は開示されていると認められる。 したがって、申立人の上記主張は、前提において根拠を欠くものであるから、採用できない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立理由1−1〜3及び証拠によっては、請求項1〜4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2021-12-08 |
出願番号 | P2018-241221 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(H05B)
P 1 651・ 121- Y (H05B) P 1 651・ 113- Y (H05B) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
島田 信一 |
特許庁審判官 |
八木 誠 芦原 康裕 |
登録日 | 2021-01-12 |
登録番号 | 6822463 |
権利者 | 三菱電機株式会社 三菱電機照明株式会社 |
発明の名称 | 点灯装置および照明器具 |
代理人 | 特許業務法人高田・高橋国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人高田・高橋国際特許事務所 |