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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G02F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G02F 審判 全部申し立て 2項進歩性 G02F |
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管理番号 | 1383228 |
総通号数 | 4 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-07-22 |
確定日 | 2022-02-08 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6635156号発明「調光ユニット、および、調光板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6635156号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜8〕、9について訂正することを認める。 特許第6635156号の請求項1〜9に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許6635156号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜9に係る特許についての出願は、平成30年9月3日に出願され、令和元年12月27日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月22日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 2年 7月22日 :特許異議申立人遠藤眞理子による請求項1〜 9に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 2年10月14日付け:取消理由通知書 令和 2年12月25日 :特許権者による意見書の提出 令和 3年 2月26日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 3年 4月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 3年 7月13日 :特許異議申立人による意見書の提出 令和 3年 9月24日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 3年11月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和3年11月30日付けでなされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)によって、令和3年4月30日付けでなされた訂正請求(以下、「先の訂正請求」という。)は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 なお、本件訂正請求は、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」がある場合に該当し、本件訂正請求後に、改めて、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。すなわち、本件訂正請求に係る特許請求の範囲の訂正は、(i)先の訂正請求に係る特許請求の範囲の訂正における、「表面封止部」が「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲」「のみを覆う」との特定事項における「のみ」を削除し、その他、(ii)先の訂正請求に係る特許請求の範囲の訂正と同一の訂正をしたものである。そして、上記(i)の訂正により、「表面封止部」が「覆う」領域については、訂正がされなかったこととなり、上記(ii)の訂正については、特許異議申立人は、既に、先の訂正請求に対して、令和3年7月13日付けで意見書を提出している。さらに、上記(i)に係る訂正と上記(ii)に係る訂正とは、その内容が特段関連するものではない。したがって、特許異議申立人には、先の訂正請求に対する令和3年7月13日付け意見書の提出をもって、本件訂正請求に対する意見書を提出する機会が与えられたといえる。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所として特許権者が付したものである。)。 なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1〜8〕、9に対してなされたものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、以下のように訂正する。 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光ユニット。」 (請求項1の記載を引用する請求項2〜8も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9を、以下のように訂正する。 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光板。」 2 訂正要件の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に対して、次の内容、すなわち、 (i)「前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面」について、 「透明支持体の表面内に固定される」ことを、 「透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される」ことに限定すること、 (ii)「裏面封止部」について、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である」ものに限定すること、 からなるものである。 そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 (ア)上記ア(i)について a 本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の【0033】には、「透明粘着層60は、調光シート20の裏面20Rと透明板50の表面50Fとに挟まれて、これらの面に接着している。調光シート20の裏面20Rは、第1電極シート22Aの第1透明支持層24Aが構成する面であって、第1透明支持層24Aにおける第1透明電極層23Aに接する面とは反対側の面である。」と記載されている。 したがって、本件特許明細書等には、「第1電極シート22A」における「第1透明電極層23A」が構成する表面とは反対側の面となる「調光シート20の裏面20R」が、「透明粘着層60」を介して「透明板50の表面50F」に「接着して」いることが記載されている。 b よって、上記ア(i)の点は、新規事項を追加するものではない。 (イ)上記ア(ii)について a 本件特許明細書等においては、「裏面封止部」、「表面封止部」及び「透明粘着層」が、異なる用語として使い分けられており(【0043】、【0042】及び【0033】等)、しかも、これらの部位が一体でなければならないことは記載されていないことから、「裏面封止部」が、「表面封止部」及び「透明粘着層」とは「別体」であることも当然に想定されているといえる。 実際、本件特許明細書等のこれらの箇所には、「裏面封止部」、「表面封止部」、「透明粘着層」を構成する例として、それぞれ、「裏面封止部43Aは、耐水性を有する基材と、当該基材の一方の面を覆う粘着層と、当該基材の他方の面を覆う粘着層とを有するシート」であること、「表面封止部42Aは、耐水性を有する基材と、当該基材の一方の面を覆う粘着層とを有するシート」であること、「透明粘着層60」は「OCA(Optical Clear Adhesive)フィルム」であることが記載されており、「裏面封止部」が、「表面封止部」及び「透明粘着層」とは「別体」となっている。 そうすると、「裏面封止部」を、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である」とすることにより、新たな技術的事項が導入されることはない。 b これに対し、特許異議申立人は、本件特許明細書等の【0042】及び【0043】の記載を根拠に、「別体」とは、「表面封止部」及び「裏面封止部」が別々のテープ状部品で構成されていることを意味するから、この点を特定しない本件訂正は、本件特許明細書等に基づく訂正ではなく、訂正要件を満たさない旨主張する(令和3年7月13日付け意見書5頁4行〜同頁15行)。 しかしながら、上記aで示したとおり、本件特許明細書等においては、「裏面封止部」が、「表面封止部」と「別体」であることは当然に想定されているのであって、「表面封止部」及び「裏面封止部」を別々のテープ状部品で構成することは、あくまでも例であり、この構成に限定するものとはいえない。 よって、特許異議申立人の主張は、採用できない。 c よって、上記ア(ii)の点は、新規事項を追加するものではない。 (ウ)小括 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 上記ア及びイにも照らせば、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 エ 訂正事項1の小括 よって、訂正事項1は、訂正要件を満たす。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、本件訂正前の請求項9に対して、次の内容、すなわち、 (i)「前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面」について、 「透明支持体」に「支持」されることを、「透明支持体」に「透明粘着層を介して支持」されること、に限定すること、 (ii)「裏面封止部」について、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である」ものに限定すること、 からなるものである。 そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 上記(1)イで説示したことと同様に、上記ア(i)ないし(ii)の点は、新規事項を追加するものではなく、上記ア(ii)の点で、本件訂正は訂正要件を満たさないとする特許異議申立人の主張についても、そこで説示したとおりである。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 上記ア及びイにも照らせば、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 エ 訂正事項2の小括 よって、訂正事項2は、訂正要件を満たす。 3 訂正の適否の小括 以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たす。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1〜8〕、9について訂正することを認める。 第3 令和3年9月24日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由の概要 先の訂正請求に係る訂正後の請求項1〜9に係る特許に対して、当審が令 和3年9月24日付けで特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)(以下、この通知書を「取消理由通知書(決定の予告)」という。)に係る取消理由の要旨は、次のとおりである。 当該請求項1〜9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(明確性要件違反)。 第4 取消理由通知書(決定の予告)に係る取消理由に対する当審の判断 1 本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1〜9に係る発明(以下「本件訂正発明1」〜「本件訂正発明9」といい、各発明を総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 [本件訂正発明1] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光ユニット。」 [本件訂正発明2] 「前記裏面封止部の全体は、前記透明支持体上において前記調光シートの外側の領域に位置し、 前記延在部の表面と対向する位置から見た平面視において、前記延在部の幅方向の両側に前記裏面封止部がはみ出している 請求項1に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明3] 「前記表面封止部は、前記裏面封止部の全体と重なり、前記幅方向における前記裏面封止部の外側で前記透明支持体の前記表面に固定されている 請求項2に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明4] 「前記表面封止部の厚さは、前記配線基板の厚さよりも大きい 請求項1〜3のいずれか一項に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明5] 「前記表面封止部の厚さは、前記裏面封止部の厚さよりも大きい 請求項1〜4のいずれか一項に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明6] 「前記表面封止部は、基材と、前記基材の一方の面を覆う粘着層とから構成されるシートである 請求項1〜5のいずれか一項に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明7] 「前記裏面封止部は、基材と、前記基材の一方の面を覆う粘着層と、前記基材の他方の面を覆う粘着層とから構成されるシートである 請求項1〜6のいずれか一項に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明8] 「前記配線基板は、フレキシブルプリント基板である 請求項1〜7のいずれか一項に記載の調光ユニット。」 [本件訂正発明9] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光板。」 2 本件訂正発明の記載に対する明確性要件の判断 (1)取消理由通知書(決定の予告)は、先の訂正請求により訂正された請求項1、9における「表面封止部」が「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲のみを覆う」との記載(以下「本件記載」という。)について、要するに、以下の理由により明確でないと判断した。 ア 本件記載では、「のみを覆う」の対象が、 (i)「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲」であるのか、 (ii)「前記延在部の表面とその周囲」に限られ、「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分」を含まないのか、それとも、 (iii)それ以外なのか(その場合、何になるのか) が不明である。 イ 本件記載によれば、「表面封止部」が「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲」(以下、この領域を「基準領域」という。)「のみを覆う」ところ、「表面封止部」が基準領域「を覆う」ではなく、「表面封止部」が基準領域「のみを覆う」と記載されており、当該記載では、基準領域における「周囲」の意味を「すぐ外側に沿ったまわり」と解すると本件特許明細書等の記載と整合せず、しかも、それとは異なるどのような解釈をすれば明らかではないため、「表面封止部」がどこを覆うのかが、不明である。 (2)しかしながら、本件訂正により、先の訂正請求により訂正された請求項1、9における、基準領域「のみを覆う」との記載から、「のみ」が削除された。したがって、本件訂正発明1、9の記載は、上記(1)ア及びイの点で、明確でないことにはならない。そして、本件訂正発明1、9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものといえる。 また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2〜8に係る特許についても同様であって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものといえる。 3 取消理由通知書(決定の予告)に係る取消理由に対する当審の判断についての小括 以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に係る取消理由によっては、本件訂正発明1〜9に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由に対する当審の判断 以下に示すとおり、明確性要件違反、サポート要件違反及び新規性欠如・進歩性欠如に係る特許異議申立理由はいずれも成り立たない。 1 明確性要件違反について (1)特許異議申立人は、本件訂正発明の「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」の記載において、「表面封止部」と「裏面封止部」とがどのように区分けされるのかが明確でない旨主張する。 ア 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 これを本件訂正発明についてみると、本件訂正発明1には、「表面封止部」及び「裏面封止部」について、それぞれ、「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う」及び「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める」と記載されるとともに、そして、「表面封止部」と「裏面封止部」とは「別体」であると記載されている。 (ア)a 上記のとおり、本件訂正発明1には、「表面封止部」が「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲」(以下「第1部分」という。)を覆うことと、「裏面封止部」が「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間」(以下「第2部分」という。)を埋めることが特定されていることから、「表面封止部」は第1部分を覆う部分であり、「裏面封止部」は第2部分を埋める部分である。もっとも、本件訂正発明1には、表面封止部が覆う部分と裏面封止部が埋める部分とが、当該各部分に限定される旨の特定はないことから、「表面封止部」は、少なくとも第1部分を覆うものであり、「裏面封止部」は、少なくとも第2部分を埋めるものであるといえる。 ところで、本件訂正発明1には、「表面封止部」における「表面」と「裏面封止部」における「裏面」が、いかなる意味において、「表面」又は「裏面」であるのかが明示的に特定されていない。しかしながら、第1部分に「延在部の表面」が含まれており、第2部分に「延在部の裏面」が含まれていることに加え、本件訂正発明1には、「表面封止部」及び「裏面封止部」のような「表面」及び「裏面」の文言が対とされる用法が、それ以外には、「延在部の表面」及び「延在部の裏面」のみであることから、「表面封止部」は、少なくとも、「延在部の表面」を含む第1部分を覆うことをもって「表面封止部」とされており、「裏面封止部」は、少なくとも、「延在部の裏面」を含む第2部分を埋めることをもって「裏面封止部」とされていると解するのが自然である。 b そして、「表面封止部」及び「裏面封止部」の技術的意義は、本件特許明細書等の【0009】に「上記構成によれば、表面封止部が配置されていることによって、調光シートに対して透明支持体とは反対側から、接続領域と配線部との接続部の付近へ水分が浸入することが抑えられる。また、裏面封止部が配置されていることによって、調光シートに対して透明支持体の位置する側から、接続領域と配線部との接続部の付近へ水分が浸入することが抑えられる。」として記載されている。 加えて、「表面封止部」及び「裏面封止部」についての上記aの理解は、上記技術的意義にも整合する。すなわち、「表面封止部」は、「調光シートに対して透明支持体とは反対側から」上記接続部の付近への水分の侵入を抑える作用を有するところ、少なくとも第1部分を覆えば、そのようにすることができるといえるし、「裏面封止部」についても同様にいえる。 (イ)次に、「表面封止部」と「裏面封止部」とは「別体」であるところ、本件特許明細書等には、「別体」の文言は用いられておらず、その意味も説明されていない。しかしながら、「別体」の文言が、「一体」の対義語として広く用いられていることに加え、本件特許明細書等には、「表面封止部」及び「裏面封止部」の例として、それぞれ、「耐水性を有する基材と、当該基材の一方の面を覆う粘着層とを有するシート」(【0042】)及び「耐水性を有する基材と、当該基材の一方の面を覆う粘着層と、当該基材の他方の面を覆う粘着層とを有するシート」(【0043】)が記載されており、この例においても、両者は一体でないといえることから、「表面封止部」と「裏面封止部」とが「別体」であるとは、両者が一体ではないことを意味していると解される。 (ウ)このように、本件訂正発明1の「表面封止部」及び「裏面封止部」の記載は、その意味するところが理解でき、その技術的意義も本件特許明細書等に記載されている。そして、両者の関係についても、少なくとも第1部分を覆う「表面封止部」と少なくとも第2部分を埋める「裏面封止部」とが「別体」であるとされており、「別体」の意味は上記(イ)のとおりであることから、理解できるものである。 よって、本件訂正発明1の「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないから、当該記載は明確である。 さらに、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2〜8の記載、及び、本件訂正発明9における、「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」との記載も、本件訂正発明1の記載と同様に明確である。 イ これに対し、特許異議申立人は、「表面封止部」及び「裏面封止部」がどのように区分けされるのかが不明確である旨主張し、その根拠として、概ね、(i)本件特許明細書等に記載された具体例(特許異議申立書29頁に示された下図Aを参照。)においては、「表面封止部」及び「裏面封止部」が、延在部の法線方向において延在部に対して同じ側に存在してしまっていることから、「表面」及び「裏面」という文言によっては、上記区分けができないこと、(ii)当該具体例においては、「表面封止部」及び「裏面封止部」が、本件訂正発明に特定される領域以外にも位置してしまっていることから、当該特定される領域によっても、上記区分けができないこと、(iii)「表面封止部」及び「裏面封止部」を区別して設ける技術的意味が、本件特許明細書等の記載では明確にされていないし、また、本件訂正発明には延在部の周囲を封止部によって取り囲むことが特定されていないことに起因して課題解決との関連からみても当該技術的意味が不明であることから、技術的意味の観点からも、上記区分けができないこと、(iv)「別体」の意味を特定することが不可能であることから、「別体」からも、上記区分けができないこと、を挙げる(特許異議申立書28頁2行〜30頁18行、令和3年7月13日付け意見書4頁下から8行〜6頁12行)。 (ア)しかしながら、(i)について、上記ア(ア)aで示したとおり、「表面封止部」は、「延在部の表面」を含む第1部分を覆うことをもって「表面封止部」とされており、「裏面封止部」は、「延在部の裏面」を含む第2部分を埋めることをもって「裏面封止部」とされているのであって、特許異議申立人が主張するように、「表面封止部」及び「裏面封止部」が存在する位置が、延在部の法線方向において延在部に対して、もっぱら、どちらの側にあるかにより定まるものとは解されない。 (イ)(ii)について、上記ア(ウ)で示したとおり、「表面封止部」は少なくとも第1部分を覆い、「裏面封止部」は少なくとも第2部分を埋めるものであり、両者は別体であるとして理解すれば足り、「表面封止部」又は「裏面封止部」について、本件訂正発明1に明示的に特定される領域以外に位置するものが何らか存在し得ることが、第三者に不測の不利益を及ぼすといえる根拠を見いだせない。 (ウ)(iii)について、「表面封止部」及び「裏面封止部」が明確であることは上記ア(ウ)の判断のとおりであり、特許異議申立人が主張する事項は、上記判断を左右するものではない。 (エ)(iv)について、「別体」の意味は、上記ア(イ)で示したとおりである。 これに対し、特許異議申立人は、「別体」が、「表面封止部」及び「裏面封止部」を別々のテープ状部品で構成することなのか、封止部が互いに離れていることなのか不明である旨主張するが、当該主張は、上記の説示を左右するものではない。 また、特許異議申立人は、「別体」の意味が、その字義のとおりの「異なるかたちを有する」ことであるのかが不明である旨主張する。この点、本件訂正発明1には、「別体」であるものが「裏面封止部」と「表面封止部および透明粘着層」との関係であることが特定されているところ、「裏面封止部」のかたちが、「表面封止部および透明粘着層」のかたちと異ならない状態というのは一般に考えにくいことから、本件特許明細書等の記載に特段の根拠があれば格別、そうでない以上、特許異議申立人が主張するように「別体」を解することは不自然と言わざるを得ない。 さらに、特許異議申立人は、上図Aで示される、明確な界面が観察されない表面封止部と裏面封止部が「別体」に該当するかは不明であり、加えて、同一の材料で異なるタイミングで作製された表面封止部及び裏面封止部までもが「別体」といえるのであれば、表面封止部及び裏面封止部を区分けすることの技術的意味合いが不明であるとも主張する。しかしながら、上記ア(イ)で示したとおり、「別体」とは一体でないと解すれば足りるし、また、界面が観察できないものを、通常、「別体」ということはないと考えられる。そして、「別体」の意味をこのように解することにより、特許異議申立人が主張する上記の態様も含めて、第三者に不測の不利益を及ぼさないようにすることができる。なお、表面封止部及び裏面封止部を区分けする技術的意味合いが理解できるか否かについては、この判断を左右するものではない。 よって、特許異議申立人の主張は、いずれも採用できない。 (2)特許異議申立人は、先の訂正請求により訂正された発明における「表面封止部」を特定する「のみを覆う」との特定事項について、「のみ」により、表面封止部が覆う領域を明確に特定することはできない旨主張する(令和3年7月13日付け意見書6頁下から13行〜7頁16行)。 しかしながら、本件訂正により、先の訂正請求により訂正された発明から「のみ」が削除されたため、この点に関する特許異議申立人の主張を採用することはできない。 (3)明確性要件違反についての小括 したがって、明確性要件違反に係る特許異議申立理由は、成り立たない。 2 サポート要件違反について (1)特許異議申立人は、本件訂正発明には、本件訂正発明の課題を解決するために必要となる、延在部の周囲が封止部によって取り囲まれる旨が特定されておらず、表面封止部と透明支持板との間で、延在部あるいは裏面封止部と幅方向に隣接する領域に水分が侵入する態様(下図C)を含むから、当業者は、本件特許明細書等の記載及び技術常識に基づいて、本件訂正発明が備える解決手段により、上記課題を解決できることを認識できるとはいえない旨主張する(特許異議申立書31頁下から5行〜32頁6行及び令和3年7月13日付け意見書7頁下から1行〜8頁11行)。 ア 本件特許明細書等によれば、本件訂正発明の課題(以下「本件課題」という。)は、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の電極シートであって、各電極シートが透明電極層を有する第1電極シート及び第2電極シートを備える調光シートと、各透明電極層を電源に接続するための配線部とから構成される調光ユニットにおいて、配線部の周囲における防水性が低いこと(【0002】・【0006】)であり、その解決手段(以下「本件解決手段」という。)は、配線部が、表面封止部及び裏面封止部から構成される配線防水部を備えること(【0025】・【0026】)であると認められる。 そして、本件特許明細書等には、本件解決手段によって本件課題が解決できる課題解決原理(以下「本件課題解決原理」という。)として、表面封止部が、接続領域とその周囲、配線部のなかで接続領域上に位置する部分及び延在部の表面とその周囲とを覆うことにより、調光シートの表面側からの、接続領域と配線部との接続部分の付近への水分の浸入を抑え、さらに、裏面封止部が、延在部の裏面と透明支持板との間を埋めることにより、裏面側からの水分の浸入を抑える旨に加え、配線防水部を設けない場合と比較して、当該配線防水部により、配線部の周囲における防水性が高まる旨記載されている(【0066】)。 イ 上記アによれば、本件課題解決原理は、要するに、表面封止部及び裏面封止部からなる配線防水部を備えない場合と比較して、配線防水部を備えることにより水分の浸入を防ぐことにあるところ、当業者は、本件訂正発明で特定される表面封止部及び裏面封止部を備えることにより、配線部の周囲における防水性を高める、との本件課題を解決できることを認識できるといえる。 ウ これに対し、特許異議申立人は、本件訂正発明において、延在部の周囲が封止部によって取り囲まれる旨が特定されておらず、上図Cで示される態様を含むから、当業者は、本件特許明細書等の記載及び技術常識に基づいても、本件訂正発明により、本件課題を解決できることを認識できるとはいえない旨主張する。 しかしながら、上記ア及びイによれば、本件訂正発明が解決しようとする課題は、配線防水部を設けない場合に生じるものであるといえるから、本件訂正発明に含まれる上図Cで示される態様が、上図A(上記1)に示される態様より防水性が劣るとしても、それをもって本件課題を解決できないことにはならない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用できない。 エ よって、当業者は、本件特許明細書等の記載及び技術常識に基づいて、本件解決手段により本件課題を解決できることを認識できるといえる。 したがって、本件訂正発明の記載は、サポート要件を満たすものであり、特許異議申立人の主張は採用できない。 (2)サポート要件違反についての小括 したがって、サポート要件違反に係る特許異議申立理由は成り立たない。 3 新規性欠如・進歩性欠如について 当審は、本件訂正発明1〜9に係る特許は、次に示す証拠によっては、以下に述べるとおり、特許法第29条第1項及び同法同条第2項の規定に違反してされたものではない、と判断する。 [引用文献等一覧] 引用文献1:特開2011−227400号公報(甲第1号証) 引用文献2:特開平2−24630号公報(甲第2号証) 引用文献3:特開平6−186540号公報(甲第3号証) 引用文献4:特開平11−142819号公報(甲第4号証) 引用文献5:特開2002−229054号公報(甲第5号証) 引用文献6:特開2002−244106号公報(甲第6号証) (1)引用文献1の記載事項及び引用発明1 ア 引用文献1には、次の記載がある。(下線は当審で付加した。以下同様。) (ア)「【0001】 本発明は、少なくとも一の基板が透明性を有し、透明電極がそれぞれ配設される電気絶縁性を有する一対の基板(以下、絶縁性基板と称す)の周縁部に配設され、当該一対の絶縁性基板間に挟持される調光層を封止する封止テープ、その封止テープを用いた調光構造体及びその製造方法に関する。」 (イ)「【0022】 調光構造体100は、図4(b)及び図5に示すように、少なくとも一の基板が透明性を有し、透明電極22がそれぞれ配設される絶縁性を有する一対の絶縁性基板21及び当該一対の絶縁性基板21間に挟持される調光層23を備える調光素子20と、一対の絶縁性基板21の周縁部に配設される封止テープ10と、可塑剤を含む中間膜30と、透明性及び剛性を有し、中間膜30を介して調光素子20を挟持する基板(以下、透明剛性基板40と称す)と、を備える。 【0023】 なお、封止テープ10は、剥離材13が剥離されており、基材露出部11bが一対の絶縁性基板21の周縁部における調光層23に対向して配設され、粘着部12が絶縁性基板21に対して基材11を貼着させる。 【0024】 また、本実施形態に係る透明剛性基板40は、ガラス基板を用いているが、透明性及び剛性を有する基板であれば、ガラス基板に限られるものではない。 【0025】 また、調光素子20は、一対の絶縁性基板21が互いに対向しない領域において露出する透明電極22に電気的に接続され、透明電極22に電圧を印加して調光層23の透明状態及び不透明状態を制御する図示しない外部装置(電源回路等)の配線に電気的に接続するための接続端子24を備える。 【0026】 なお、以下の説明においては、一対の絶縁性基板21として両基板とも透明性を有する絶縁性基板(透明絶縁性基板)を用い、調光層23として液晶層23aを用いた、調光素子20(液晶フィルム)について説明するが、この構造に限られるものではない。」 (ウ)「【0039】 中間膜30は、合わせガラスの中間膜として、ガラス基板との接着強度及び透明性(全光線透過率)の性能を有する樹脂であり、例えば、エチレン酢酸ビニル(Ethylene vinylacetate:EVA)共重合体樹脂をフィルム状にした感熱型接着性フィルムを用いて形成する。なお、本実施形態に係る中間膜30は、2枚の感熱型接着性フィルムの中間に調光素子20を挟持させ、一対の透明剛性基板40による合わせガラスを成形している。 ・・・(中略)・・・ 【0041】 絶縁性基板21は、図2(a)に示すように、対向する2辺の一部が切り欠かれ、ハーフカットライン21aが形成されると共に、一方の面のほぼ全領域(全面)に透明電極22が配設され、透明電極22に接続端子24である導電性テープが貼着されている。」 (エ)「【0057】 つぎに、一の透明剛性基板40上に、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、調光素子20、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、及び他の透明剛性基板40を順に積層して、所定の環境下(温度、気圧等)で加熱し、感熱型接着性フィルムを溶解させる。 【0058】 そして、溶解した感熱型接着性フィルムを凝固させ、一対の透明剛性基板40間に中間膜30を介して調光素子20が固着され、図4(b)及び図5に示すように、本実施形態に係る調光構造体100を得ることができる。」 (オ)図2は次のものである。 (カ)図5は次のものである。 (キ)図2(b)によれば、透明電極22に対して接続端子24が接続する領域は調光素子20の最外面である。 (ク)図5(a)によれば、接続端子24は、一対の透明剛性基板40のうち、調光層23の位置を基準として接続端子24に接続する透明電極22の側に位置する透明剛性基板40(当審注:図5(a)の下側の透明剛性基板40であり、後記(7)ア(ア)aの「透明剛性基板A」である。)に沿って、調光素子20の外側へ延びる部位を有しており、当該部位は、中間膜30内に存在することが見て取れる。 また、上記透明剛性基板40と対をなすもう一方の透明剛性基板40と上記部位との間に位置する中間膜30の厚さは、接続端子24の厚さよりも大きいことが見て取れる。 イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。(括弧書きは、参考までに、記載の根拠を示したものである。以下同様。) 「調光構造体であって、(【0001】) 調光構造体100は、少なくとも一の基板が透明性を有し、透明電極22がそれぞれ配設される絶縁性を有する一対の絶縁性基板21及び当該一対の絶縁性基板21間に挟持される調光層23を備える調光素子20と、一対の絶縁性基板21の周縁部に配設される封止テープ10と、可塑剤を含む中間膜30と、透明性及び剛性を有し、中間膜30を介して調光素子20を挟持する透明剛性基板40と、を備え、(【0022】) 調光層23として液晶層23aを用い、(【0026】) 調光素子20はフィルム状であり、(【0026】) 調光素子20は、一対の絶縁性基板21が互いに対向しない領域において露出する透明電極22に電気的に接続され、透明電極22に電圧を印加して調光層23の透明状態及び不透明状態を制御する外部装置の配線に電気的に接続するための接続端子24を備え、(【0025】) 透明電極22に対して接続端子24が接続する領域は調光素子20の最外面であり、(上記ア(キ)) 透明電極22に接続端子24である導電性テープが貼着され、(【0041】) 接続端子24は、一対の透明剛性基板40のうち、調光層23の位置を基準として接続端子24に接続する透明電極22の側に位置する透明剛性基板40に沿って、調光素子20の外側へ延びる部位を有しており、当該部位は、中間膜30内に存在し、(上記同(ク)) 中間膜30は、合わせガラスの中間膜として、ガラス基板との接着強度及び透明性(全光線透過率)の性能を有する樹脂であり、(【0039】) 上記透明剛性基板40と対をなすもう一方の透明剛性基板40と上記部位との間に位置する中間膜30の厚さは、接続端子24の厚さよりも大きく、(上記同(ク)) 一の透明剛性基板40上に、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、調光素子20、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、及び他の透明剛性基板40を順に積層して、所定の環境下で加熱し、感熱型接着性フィルムを溶解させ、(【0057】) 溶解した感熱型接着性フィルムを凝固させ、一対の透明剛性基板40間に中間膜30を介して調光素子20が固着される、(【0058】) 調光構造体100」 (2)引用文献2の記載事項及び引用発明2 ア 引用文献2には、次の記載がある。 (ア)「(3)電極付の基板間に液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるフィルム状液晶層を挟持し、電圧によってその光の透過状態を制御する液晶光学素子であって、基板上の電極が液晶光学素子の側方に延長された端子に接続された液晶光学素子を用い、その側面を絶縁性のシール材でシールし、その液晶光学素子よりも面積の大きな2枚の保護板の間に接着材を介して挟持し、その接着材により接着して一体化して、延長された端子の端部のみが一対の保護板の端部から露出するようにしたことを特徴とする補強液晶光学素子。 ・・・(中略)・・・ (5)請求項1または2または3記載の液晶光学素子の端子を、駆動回路に接続し、電圧を印加した際に透過状態となり、電圧を印加しない際に散乱状態となるようにしたことを特徴とした調光装置。 3.発明の詳細な説明 [産業上の利用分野] 本発明は、電極付の基板間に液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるフィルム状液晶層を挟持し、電圧の印加によりその透過率を制御する液晶光学素子、補強液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを使用した調光装置に関するものである。」(第1頁左下欄19行−第2頁左下欄12行) (イ)「本発明の液晶光学素子としては、電極付の基板間に液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるフィルム状液晶層を挟持し、電圧の印加によりその透過率を制御する液晶光学素子が使用できる。 この電極付の基板としては、通常透明電極付の透明基板、具体的にはITO(In2O3−SnO2)、SnO2等の透明電極付のガラス、プラスチック等の透明基板が使用できる。もっとも、反射型液晶光学素子、調光鏡のような用途の場合には一方の電極を反射電極としたり、一方の基板を不透明な基板や金属基板としてもよい。さらにこの透明電極に金属の細線等の低抵抗リードを積層したり、配線したりしてもよい。」(第3頁右上欄14行−左下欄7行) (ウ)「この保護板を用いる場合の保護板としては、強度が高く、透過性が良いものが好ましく、具体的には、アクリル板、ポリカーポネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板、ガラス板、石英板等の無機材料板等がある。特に、大面積の素子では、耐擦傷性、耐薬品性、剛性等の点からみて、ガラス板の使用が好ましい。」(第5頁左上欄11行−17行) (エ)「液晶光学素子を2枚のガラス体の間に、熱または光により接着力を発揮するシート状接着材を介して挟持し、加熱または光照射によりそのシート状接着材を硬化させて液晶光学素子とガラス体とを接着して一体化する」(第5頁右上欄6行−11行)(当審注:「加熱または光照射ににより」は、「加熱または光照射により」の明らかな誤記であるので、誤記を正した上で摘記した。) (オ)「具体的には、液晶光学素子の基板上の電極に線状、板状の金属片を接着、または基板に孔を開けて嵌込み接続固定して液晶光学素子の側方に取り出されていれば良い。この突起状の端子は、保護板の外まで延長されて、外部の駆動回路に接続されれば良い。」(第6頁左上欄11行−16行) (カ)「第1図(A)、(B)は、本発明の補強液晶光学素子の代表的な構造を示す断面図及び平面図である。 図において、1は液晶光学素子、2A,2Bは保護板、3は接着材、4A,4Bは端子、5A,5Bは電極付の基板、6はフィルム状液晶層、7A,7Bはシール材を示している。 この例では、保護板2A、2Bは、4辺で液晶光学素子1よりも大きくされており、4辺で保護板同志が接着されている。端子4A、4Bは、基板5A、5Bの電極に接続されており、保護板を一体化後に調光装置の側方に突出されている。これにより、信頼性が極めて高い調光装置を得ることができる。」(第6頁右上欄15行−左下欄8行) (キ)「[発明の効果] 以上の如く、本発明の液晶光学素子では、液晶光学素子の側面のフィルム状液晶層が露出している部分をシール材でシールしているため、耐久性に優れ、信頼性が高いものである。 さらに、その両面に保護板を接着することにより、大面積の液晶光学素子としても、液晶光学素子と保護板とが全面で密着していることとなり、平行光線透過率が高く、透過率ムラが少なく、長期間にわたり、安定で信頼性の高いものとなる。」(第10頁左上欄19行−同頁右上欄7行) (ク)第1図は次のものである。 (ケ)第1図(B)によれば、電極付き基板5Bに対して端子4Aが接続する領域は液晶光学素子1の最外面である。 (コ)第1図(A)によれば、端子4Aは、接着材3内において、保護板2Bに沿って液晶光学素子1の外側へ延びる部位を有する。また、保護板2Aと上記部位との間に位置する接着材3の厚さは、端子4Aの厚さよりも大きいことが見て取れる。 (サ)第1図(A)、(B)によれば、電極付き基板5A,5B及び液晶光学素子1はシート状である。 イ 上記アから、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2という。)が記載されていると認められる。 「調光装置に使用される補強液晶光学素子であって、(上記ア(ア)) 電極付の基板5A,5B間に液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるフィルム状液晶層6を挟持し、電圧によってその光の透過状態を制御する液晶光学素子1であって、基板5A,5B上の電極が液晶光学素子1の側方に延長された端子4A,4Bに接続された液晶光学素子1を用い、その側面を絶縁性のシール材7A,7Bでシールし、その液晶光学素子1よりも面積の大きな2枚の保護板2A,2Bの間に接着材3を介して挟持し、その接着材3により接着して一体化して、延長された端子4A,4Bの端部のみが一対の保護板2A,2Bの端部から露出するように構成され、(上記同(ア)、(カ)) 液晶光学素子を2枚のガラス体の間に、熱または光により接着力を発揮するシート状接着材を介して挟持し、加熱または光照射によりそのシート状接着材を硬化させて液晶光学素子とガラス体とを接着して一体化し(上記同(エ))、 電極付き基板5A,5B及び液晶光学素子1はシート状であり、(上記同(サ)) 電極付の基板としては、透明電極付のガラス、プラスチック等の透明基板が使用でき、(上記同(イ)) 端子は液晶光学素子の基板上の電極に線状、板状の金属片を接着して設けられるものであり、(上記同(オ)) 液晶光学素子の両面に保護板を接着することにより、液晶光学素子と保護板とが全面で密着していることとなり、平行光線透過率が高く、(上記同(キ)) 電極付き基板5Bに対して端子4Aが接続する領域は液晶光学素子1の最外面であり、(上記同(ケ)) 端子4Aは、接着材3内において、保護板2Bに沿って液晶光学素子1の外側へ延びる部位を有し、(上記同(コ)) 保護板2Aと上記部位との間に位置する接着材3の厚さは、端子4Aの厚さよりも大きい、(上記同(コ)) 補強液晶光学素子」 (3)引用文献3の記載事項及び引用発明3 ア 引用文献3には、次の記載がある。 (ア)「【請求項2】ガラス又は樹脂でできた透明板又は反射板と、透明電極膜を設けた2枚の可撓性の透明フィルムの間に高分子分散液晶層を挟んだ構造を持ち、光の散乱と透過を電気的に制御すべく前記調光液晶シートに接着剤を介して貼り付けられた調光液晶シートと、前記調光液晶シートの周辺部を封止する絶縁樹脂とを備える複層板。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は調光液晶シートの貼り付け方法に関する。」 (イ)「【0008】【実施例】本発明の実施例を図1を参照しながら説明する。 【0009】透明導電性フィルム1、2によって挟まれた液晶材料層3が、枠4を有するガラス板5に接着剤6によって、貼り付けられている。フィルム1にはリード線7が、フィルム2にはリード線8が取り付けられている。各リード線7、8は電圧を供給するために外側に取り出されている。液晶材料層3の周辺部はテープ9が取り付けてあり、さらに絶縁樹脂10で封止されているフィルム1、2は、透明電極膜を設けた可撓性フィルムであり、透明電極膜が液晶材料層3の両面に接するように挟み込んでいる。」 (ウ)「【0016】接着剤6は、接着剤6を調光液晶シートとガラス板5又は反射板の間に、全面に用いる場合は、透明接着剤を使用するが、周辺部のみに用いる場合は、接着剤6は透明でなくてもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0018】次に、調光液晶シートの貼り付け方法について説明する。 【0019】枠4を有するガラス板5に接着剤6を塗布する。次に、接着剤6を塗布したガラス板5にフィルム1、2の間に液晶材料層3が挟まれた調光液晶シートを貼り付ける。その後に、絶縁樹脂10で調光液晶シートの周辺部を封止する。 【0020】調光液晶シートは、その側面を粘着剤のついたテープ9や樹脂であらかじめ封止して、保護するようにしてもよい。 【0021】調光液晶シートの上面には、調光液晶シートをガラス板5に貼り付けた後、紫外線フィルター、ハードコートフィルム、赤外線カットフィルムなどを取り付てもよい。また、透明樹脂板を調光液晶シートの上面に取り付けて調光液晶シートを保護するようにしてもよい。 【0022】接着剤6をガラス板5に塗布する方法としては、直接ハケで接着剤6をガラス板5に塗ってもよいし、スプレーで吹き付けるようにしてもよい。また両面テープによって貼り付けてもよい。あらかじめ接着剤6が塗ってある調光液晶シートを直接ガラス板5に貼り付けるようにしてもよい。 【0023】絶縁樹脂10で調光液晶シートの周辺部を封止する方法としては、ブチルゴムを調光液晶シートの周辺部に貼り付けてもよいし、シリコーン樹脂などをハケで周辺部に塗った後、シリコーン樹脂を硬化させてもよい。 【0024】絶縁樹脂10で調光液晶シートの周辺部を封止した後、絶縁樹脂10の上を樹脂枠や金属枠で覆うようにしてもよい。 【0025】調光液晶シートを貼り付けるべきガラス板5は、アクリルやポリカーボネートなどの透明な樹脂板であってもよい。又は、鏡のような反射板でもよい。 【0026】以上の構成において、リード線7、8間に電圧を印加しない場合は、液晶化合物が全体としてランダムに配向するため、入射してくる光を散乱する。そしてリード線7、8間に例えば20〜100Vの直流ないし交流電圧を印加すると、液晶の持つ誘電異方性により、液晶は電場に平行に配向し、入射した光を散乱することなく透過する。この現象により調光液晶シートは電圧のオン、オフにより光の透過量を調整することができ、調光液晶シートを貼り付けたガラス板5は、調光窓や調光カーテンなどとして使用できる。 【0027】本発明の実際の作製例として、スリーエム製の粘着層の付いたポリエステルテープで側面を覆い、かつリード線を取り付けた調光液晶シートの片面に、日東電工製の両面粘着剤の付いた透明フィルムを貼り付けた後、枠に既に取り付けられたガラス板に対し、前記調光液晶シートを貼り付けた。更に、調光液晶シートの周辺を信越シリコーン製の絶縁製のシリコーン樹脂にて塗布し、1日放置し硬化させた。 【0028】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、調光液晶シートの周辺部や調光液晶シートから取り出しているリード線が、ガラス板にしっかりと固定され、調光液晶シートが周辺部から剥がれたり、リード線の接触不良などが起こることを防止できる。さらに、調光液晶シートの周辺部に水分が付いて、調光液晶シートがリーク不良を起こしたり、調光液晶シートが腐食したりすることを防止できる。」 (エ)図1は次のものである。 (オ)図1によれば、透明導電性フィルム2に対してリード線8が接続する領域は調光液晶シートの最外面である。 イ 上記アから、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「複層板であって、(【請求項2】) 透明導電性フィルム1、2によって挟まれた液晶材料層3が、枠4を有するガラス板5に接着剤6によって、貼り付けられ、(【0009】) フィルム1にはリード線7が、フィルム2にはリード線8が取り付けられ、(【0009】) 各リード線7、8は電圧を供給するために外側に取り出され、(【0009】) 液晶材料層3の周辺部はテープ9が取り付けてあり、さらに絶縁樹脂10で封止され、(【0009】) フィルム1、2は、透明電極膜を設けた可撓性フィルムであり、透明電極膜が液晶材料層3の両面に接するように挟み込んでおり、(【0009】) 透明導電性フィルム2に対してリード線8が接続する領域は調光液晶シートの最外面であり、(上記ア(オ)) 接着剤6は、接着剤6を調光液晶シートとガラス板5の間に、全面に用いる場合は、透明接着剤を使用する、(【0016】) 複層板」 (4)引用文献4の記載事項及び引用文献4に記載された技術的事項 ア 引用文献4には、次の記載がある。 (ア)「【0185】《表示パネルPNLと駆動回路基板PCB1》図22は図17に示した表示パネルPNLと映像信号駆動回路Hと垂直走査回路Vを接続した状態を示す上面図である。 【0186】CH1は表示パネルPNLを駆動させる駆動ICチップ(下側の5個は垂直走査回路側の駆動ICチップ、左側の10個の映像信号駆動回路側の駆動ICチップ)である。TCPは図15、図16に示したように駆動用ICチップCH1がテープ・オートメイティッド・ボンディング(TAB)法により実装されたテープキャリアパッケージ、PCB1は上記TCPやコンデンサ等が実装された駆動回路基板で、映像信号駆動回路用と走査信号駆動回路用の2つに分割されている。 【0187】FGPはフレームグランドパッドであり、シールドケースSHDに切り込んで設けられたバネ状の破片が半田付けされる。FCは下側の駆動回路基板PCB1と左側の駆動回路基板PCB1を電気的に接続するフラットケーブルである。 【0188】フラットケーブルFCとしては図に示すように、複数のリード線(りん青銅の素材にSn鍍金を施したもの)をストライプ状のポリエチレン層とポリビニルアルコール層とでサンドイッチして支持したものを使用する。 【0189】《TCPの接続構造》前記した図16は、走査信号駆動回路Vや映像信号駆動回路Hを構成する集積回路チップCHIがフレキシブル配線基板に搭載されたテープキャリアパッケージの断面構造を示す図であり、図14はそれを液晶表示パネルの、本例では走査信号回路用端子GTMに接続した状対を示す要部断面図である。 【0190】同図において、TTBは集積回路CHIの入力端子・配線部であり、TTMは集積回路CHIの出力端子・配線部であって、例えばCuから成り、それぞれの内側の先端部(通称インナーリード)には集積回路CHIのボンディングパッドPADが所謂フェースダウンボンディング法により接続される。 【0191】端子TTB、TTMの外側の先端部(通称アウターリード)はそれぞれ半導体集積回路チップCHIの入力及び出力に対応し、半田付け等によりCRT/TFT変換回路・電源回路SUPに、異方性導電膜ACFによって液晶表示パネルPNLに接続される。 【0192】パッケージTCPは、その先端部がパネルPNL側の接続端子GTMを露出した保護膜PSV1を覆うようにパネルにPNLに接続されている。従って、外側接続端子GTM(DTM)は保護膜PSV1かパッケージTCPの少なくとも一方で覆われるので電触に対して強くなる。 【0193】BF1はポリイミド等からなるベースフィルムであり、SRSは半田付けの際、半田が余計な所へ付かないようにマスクするためのソルダレジスト膜である。シールパターンSLの外側の上下ガラス基板の隙間は、洗浄後にエポキシ樹脂EPX等により保護され、パッケージTCPと上側基板SUB2の間には更にシリコン樹脂SILが充填されて保護が多重化されている。」 (イ)図15は次のものである。 (ウ)図16は次のものである。 イ 引用文献4に記載された技術的事項 上記アによれば、引用文献4には、フレキシブル配線基板と異方性導電膜ACFからなる配線構造、との技術的事項が記載されている。 なお、上記異方性導電膜ACFが導電性を備えた接着性をもつ膜であることは技術常識である。 (5)引用文献5の記載事項及び引用文献5に記載された技術的事項 ア 引用文献5には、次の記載がある。 (ア)「【0043】図73は基板12の裏面に回路配線691を形成しドライバ14、電子部品692などを配置した構成である。基板12の配線691aとフレキシブル基板731の配線とは導電性接着剤732または異方向性導電膜で接続する。」 (イ)図73は次のものである。 イ 引用文献5に記載された技術的事項 上記アによれば、引用文献5には、フレキシブル基板731と導電性接着剤732または異方向性導電膜からなる配線構造、との技術的事項が記載されている。 (6)引用文献6の記載事項及び引用文献6に記載された技術的事項 ア 引用文献6には、次の記載がある。 (ア)「【0060】図7(a)のA−A線断面図を図8に示す。青色パネル10のガラス基板1のセグメント電極5aと黄色パネル20のガラス基板2’のセグメント電極5a’をFPC40で接続する。FPC40には異方性導電性フィルム(以下、ACFという)41、41が設けられているので各セグメント電極5a、5a’の端子同士を容易に接続でき、またFPC40は屈曲性があるので青色パネル10と黄色パネル20をFPC40を折り曲げて積層できるが、ときにはFPC40を谷折りして青色パネル10のガラス基板2と黄色パネル20のガラス基板1’を重ね合わせる。また、青色パネル10のガラス基板1のFPC40との接続部とは反対側のセグメント電極5aの端子にはテープキャリアパッケージフィルム(以下、TCPという)60をACF41を介して接続して電圧駆動回路11に接続可能にしている。各液晶層3、3’はシール部材9、9’で漏れ出ないようシールされている。」 (イ)図8は次のものである。 イ 引用文献6に記載された技術的事項 上記アによれば、引用文献6には、FPC40と異方性導電性フィルム41(ACF41)からなる配線構造、との技術的事項が記載されている。 なお、上記異方性導電性フィルム41(ACF41)が導電性を備えた接着性をもつフィルムであることは技術常識である。 (7)引用発明1を主引用発明としたときの対比・判断 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 a 本件訂正発明1の「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、」との特定事項について 以下、説明図に記載するように、引用発明1の「接続端子24が接続する透明電極22」を「透明電極A」という。同様に、透明電極Aが「配設」される「絶縁性基板21」を「絶縁性基板A」といい、透明電極Aと絶縁性基板Aからなる部材を「電極シートA」といい、透明電極Aと対をなすもう一方の「透明電極22」を「透明電極B」といい、透明電極Bが「配設」されるもう一方の「絶縁性基板21」を「絶縁性基板B」といい、透明電極Bと絶縁性基板Bからなる部材を「電極シートB」といい、「一対の透明剛性基板40のうち、調光層23の位置を基準として接続端子24に接続する透明電極22の側に位置する透明剛性基板40」を「透明剛性基板A」といい、透明剛性基板Aと対をなすもう一方の「透明剛性基板40」を「透明剛性基板B」という。 これによれば、引用発明1の「液晶層23aを用い」た「調光層23」、絶縁性基板Aに「配設される」透明電極A、電極シートA、電極シートB及び「フィルム状」の「調光素子20」は、それぞれ、本件訂正発明1の「調光層」、「透明電極層」、「第1電極シート」、「第2電極シート」及び「調光シート」に相当する。 よって、引用発明1は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 b 本件訂正発明1の「前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、」との特定事項について 引用発明1の「調光層23」が、透明電極Aと電極シートBに挟まれる調光領域を有することは明らかである。 また、引用発明1において「透明電極22」(透明電極A)「に対して接続端子24が接続する領域」(本件訂正発明1の「接続領域」に相当。)「は調光素子20の最外面であ」る。 よって、引用発明1は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 c 本件訂正発明1の「前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、」との特定事項について 引用発明1は「一対の透明剛性基板40間に中間膜30を介して調光素子20が固着される」ものであるから、電極シートAの透明剛性基板A側の面は、透明剛性基板Aの表面内に固定されている、とみることができる。 そして、引用発明1における「中間膜30」は「合わせガラスの中間膜として、ガラス基板との接着強度及び透明性(全光線透過率)の性能を有する樹脂であ」るところ、「中間膜30」のうち、電極シートAの透明剛性基板A側の面を透明剛性基板Aの表面内に「固着」する部分は、本件訂正発明1における「透明粘着層」に相当するといえる。 よって、引用発明1は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 d 本件訂正発明1の「前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、」との特定事項について 引用発明1の「接続端子24である導電性テープ」は、本件訂正発明1の「配線部」に相当する。 また、引用発明1の「接続端子24である導電性テープ」について、引用発明1は「透明電極22に接続端子24である導電性テープが貼着され、」「接続端子24は、一対の透明剛性基板40のうち、調光層23の位置を基準として接続端子24に接続する透明電極22の側に位置する透明剛性基板40に沿って、調光素子20の外側へ延びる部位を有しており、当該部位は、中間膜30内に存在」するものであるから、引用発明1は、上記特定事項のうち、「前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部と、」との特定事項を備える。 e 本件訂正発明1の「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、」との特定事項について 引用発明1の「中間膜30」のうち、「接続端子24」と「透明剛性基板B」の間にある「中間膜30」の部分は、「接続端子24」の「透明剛性基板B」側を覆うものであるが、「接続端子24」の「透明剛性基板B」側には、「透明電極22」のうち「接続端子24が接続する領域」とその周囲、「接続端子24」のうち「透明電極22」に接続される領域上に存在する部分、及び、「接続端子24」のうち「調光層23の位置を基準として接続端子24が接続する透明電極22側に位置する透明剛性基板40に沿って、調光素子20の外側へ延びる部位」の「透明剛性基板B」側にある表面とその周囲とが含まれる。 したがって、引用発明1の「中間膜30」のうち、「接続端子24」と「透明剛性基板B」の間にある部分は、本件訂正発明1の「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う」「表面封止部」に相当するといえる。 よって、引用発明1は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 f 本件訂正発明1の「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」との特定事項について 引用発明1の「中間膜30」のうち、「接続端子24」の「調光層23からみて接続端子24が接続する透明電極22側に位置する透明剛性基板40に沿って、調光素子20の外側へ延びる」「透明剛性基板A」側の裏面と、「透明剛性基板A」との間にある部分は、上記裏面と「透明剛性基板A」との間を埋めるものである。したがって、引用発明1の「中間膜30」の上記部分は、本件訂正発明1における「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める」「裏面封止部」に相当するといえる。 しかしながら、引用発明1は、「一の透明剛性基板40上に、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、調光素子20、中間膜30となる感熱型接着性フィルム、及び他の透明剛性基板40を順に積層して、所定の環境下で加熱し、感熱型接着性フィルムを溶解させ、溶解した感熱型接着性フィルムを凝固させ」るものであるから、引用発明1の「中間膜30」のうち、「調光層23」からみて、透明剛性基板B側に位置する部分(本件訂正発明1でいう「表面封止部」を含む部分である。)と、透明剛性基板A側に位置する部分(本件訂正発明1でいう「裏面封止部」と「透明粘着層」を含む部分である。)とは、「加熱し」「溶解させ」「凝固させ」られて、一体となることは明らかである。 したがって、引用発明1は、本件訂正発明1でいう「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める」「裏面封止部」を備えるが、当該「裏面封止部」は、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体」とはいえない。 g 本件訂正発明1の「を備える調光ユニット。」との特定事項について 引用発明1の「調光構造体100」は、「透明剛性基板40」を備えるところ、当該「調光構造体100」から「透明剛性基板40」を除いた部分は、本件訂正発明1の「調光ユニット」に相当する。 よって、引用発明1は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 h 以上より、本件訂正発明1と引用発明1は、下記の点で一致する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める裏面封止部と、 を備える調光ユニット。」 他方、本件訂正発明1と引用発明1は、下記の点で相違する。 [相違点1]「前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部」について 本件訂正発明1では、「前記透明電極層」への「接合」を「導電性接着層」で構成されるものであるとともに、「延在部」を「前記導電性接着層に接合された配線基板」で構成されるものであるのに対し、 引用発明1では、「前記透明電極層」への「接合」と「延在部」を「接続端子24である導電性テープ」で構成されるものである点。 [相違点2]「裏面封止部」について 本件訂正発明1では、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である」のに対し、 引用発明1では、そうとはいえない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、まず、相違点2について判断する。 引用発明1において、上記相違点2に係る構成に至るには、中間膜30を、透明剛性基板B側と透明剛性基板A側で別体としつつ、透明剛性基板A側の内部でも別体の領域を構成することが必要である。 しかしながら、引用文献1には、中間膜30をこのような別体とすることは記載も示唆もされておらず、また、一般に、中間膜30を、わざわざ、このような別体とする必要性があるともいえない。よって、引用発明1の中間膜30を、このような別体とする動機がないから、引用発明1において、上記相違点2に係る構成には至らない。 また、引用文献4ないし6のいずれも、導電性接着層と配線基板からなる配線構造を記載するにとどまるから、これらの文献の記載事項を考慮しても、上記の判断を左右しない。 そうすると、引用発明1において、引用文献1、4ないし6に記載された技術的事項を踏まえて、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 b これに対して、特許異議申立人は、本件訂正発明1の裏面封止部が、表面封止部あるいは透明粘着層と同一の材料を用いて異なるタイミングで作製されたもの、あるいは、表面封止部あるいは透明粘着層と同一の材料を用いて異なるタイミングで作製された後に界面が確認できなくなっているものを含み得るのであれば、このような裏面封止部は、表面封止部や透明粘着層と別体でない裏面封止部と異なる技術的意味合いを有しないのであり、よって、引用文献1に記載された「中間膜30」を透明剛性基板B側と透明剛性基板A側で別体とすることなどは、構造上の微差に過ぎない旨主張する(令和3年7月13日付け意見書10頁4行〜同頁19行)。 しかしながら、引用発明1の「中間膜30」を別体とする動機がないことは、上記aで説示したとおりである。特許異議申立人が主張する技術的意味合いの観点は、上記aの判断を左右することはない。 よって、特許異議申立人の主張は、採用できない。 (ウ)本件訂正発明1の小括 以上のとおりであるから、他の相違点について判断するまでもなく、本件訂正発明1は、引用発明1及び引用文献1、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明2ないし8について 本件訂正発明2ないし8は、いずれも本件訂正発明1を直接又は間接に引用してさらに限定したものである。 そうすると、上記アで説示したことと同様の理由により、本件訂正発明2ないし8は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件訂正発明9について (ア)対比 引用発明1は透明剛性基板Aを備えるから、引用発明1の「調光構造体100」は、本件訂正発明9の「調光板」に相当する。 (イ)一致点及び相違点の認定 上記ア(ア)及び上記(ア)から、本件訂正発明9と引用発明1は、下記の点で一致し、上記ア(ア)で認定した相違点1ないし2で相違する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める裏面封止部と、 を備える調光板。」 (ウ)判断 上記ア(イ)及び(ウ)で説示したことと同様の理由により、本件訂正発明9は、引用発明1及び引用文献1、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件訂正発明1ないし9に対する、引用発明1を主引用発明としたときの対比・判断の小括 本件訂正発明1ないし9は、引用発明1及び引用文献1、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)引用発明2を主引用発明としたときの対比・判断 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 a 本件訂正発明1の「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、」との特定事項について 引用発明2の「フィルム状液晶層6」、「シート状」の「電極付の基板5B」(第1図(A)参照)、「シート状」の「電極付の基板5A」、「シート状」の「液晶光学素子1」は、それぞれ、本件訂正発明1の「調光層」、「第1電極シート」、「第2電極シート」、「調光シート」に相当する。 また、引用発明2は、「電極付の基板としては、透明電極付のガラス、プラスチック等の透明基板が使用でき」るものであるから、引用発明2の「基板」「5B上の電極」は「透明電極」であり、該「電極」は、本件訂正発明1の「透明電極層」に相当する。 よって、引用発明2は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 b 本件訂正発明1の「前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、」との特定事項について 引用発明2の「液晶光学素子1」が、「基板」「5B上の電極」と「電極付の基板5A」に挟まれる調光領域を有することは明らかである。 また、引用発明2において「電極付き基板5Bに対して端子4Aが接続する領域」(本件訂正発明1の「接続領域」に相当。)「は液晶光学素子1の最外面であ」る。 よって、引用発明2は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 c 本件訂正発明1の「前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、」との特定事項について 引用発明2は「液晶光学素子1よりも面積の大きな2枚の保護板2A,2Bの間に接着材3を介して挟持し、その接着材3により接着して一体化」するものであるから、「電極付の基板5B」の「保護板2B」側の面は、「保護板2B」の表面内に固定されている、とみることができる。 そして、引用発明2における「接着材3」の平行光線透過率について、引用発明2の「保護板2A,2B」を「平行光線透過率が高」くしているため、「保護板2A,2Bの間に」存在する「接着材3」の平行光線透過率も、同様に高いことは明らかである。 したがって、引用発明2において、「接着材3」のうちで、「電極付きの基板5B」の「保護板2B」側の面を「保護板2B」の表面内に固定する部分は、本件訂正発明1の「透明粘着層」に相当する。 よって、引用発明2は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 d 本件訂正発明1の「前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、」との特定事項について 引用発明2の「端子4A」は、本件訂正発明1の「配線部」に相当する。 また、引用発明2において「端子は液晶光学素子の基板上の電極に線状、板状の金属片を接着して設けられるものであ」るから、引用発明2の「端子4A」は、本件訂正発明1の「導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板」を備えないものであるが、「基板5A,5B上の電極が液晶光学素子1の側方に延長された端子4A,4Bに接続され」、「端子4Aは、接着材3内において、保護板2Bに沿って液晶光学素子1の外側へ延びる部位を有」するものであるから、引用発明2は、上記特定事項のうち、「前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部と、」との特定事項を備える。 e 本件訂正発明1の「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、」との特定事項について 引用発明2の「接着材3」のうち、「端子4A」と「保護板2A」との間にある部分は、「端子4A」の「保護板2A」側を覆うものであるが、「端子4A」の「保護板2A」側には、「電極付き基板5B」のうち「端子4Aが接続する領域」とその周囲、「端子4A」のうち「電極付き基板5Bに対して接続する領域」上に存在する部分、及び、「端子4A」のうち「保護板2Bに沿って液晶光学素子1の外側へ延びる部位」の「保護板2A」側にある表面とその周囲とが含まれる。 したがって、引用発明2の「接着材3」のうち、「端子4A」と「保護板2A」との間にある部分は、本件訂正発明1の「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う」「表面封止部」に相当するといえる。 よって、引用発明2は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 f 本件訂正発明1の「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」との特定事項について 引用発明2の「接着材3」のうち、「端子4A」の「保護板2Bに沿って液晶光学素子1の外側へ延びる」「保護板2B」側の裏面と、「保護板2B」との間にある部分は、上記裏面と「保護板2B」との間を埋めるものである。したがって、引用発明2の「接着材3」の上記部分は、本件訂正発明1における「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める」「裏面封止部」に相当するといえる。 しかしながら、引用発明2は、「液晶光学素子を2枚のガラス体の間に、熱または光により接着力を発揮するシート状接着材を介して挟持し、加熱または光照射によりそのシート状接着材を硬化させて液晶光学素子とガラス体とを接着して一体化し」ているため、引用発明2の「液晶光学素子1から」みて、保護板2B側に位置する「接着材3」(本件訂正発明1でいう「裏面封止部」と「透明粘着層」を含む部分である。)及び保護板2A側に位置する「接着材3」(本件訂正発明1でいう「表面封止部」を含む部分である。)は一体である。 したがって、引用発明2は、本件訂正発明1でいう「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める」「裏面封止部」を備えるが、当該「裏面封止部」は、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体」とはいえない。 g 本件訂正発明1の「を備える調光ユニット。」との特定事項について 引用発明2の「液晶光学素子1」は、本件訂正発明1の「調光ユニット」に相当する。 よって、引用発明2は上記特定事項を備える。 h 以上により、本件訂正発明1と引用発明2は、下記の点で一致する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める裏面封止部と、 を備える調光ユニット。」 他方、本件訂正発明1と引用発明2は、下記の点で相違する。 [相違点3]「前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部」について 本件訂正発明1では、「前記透明電極層」への「接合」を「導電性接着層」で構成されるものであるとともに、「延在部」を「前記導電性接着層に接合された配線基板」で構成するものであるのに対し、 引用発明2では、「前記透明電極層」への「接合」と「延在部」を「端子4A」で構成されるものである点。 [相違点4]「裏面封止部」について 本件訂正発明1では、「前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である」のに対し、 引用発明2では、そうとはいえない点。 (イ)判断 a 事案に鑑み、まず、相違点4について判断する。 引用発明2において、上記相違点4に係る構成に至るには、接着材3を、保護板2A側と保護板2B側で別体としつつ、保護板2B側の内部でも別体の領域を構成することが必要である。 しかしながら、引用文献2には、接着材3を、保護板2B側及び保護板2A側で別体とすることは記載も示唆もされておらず、一般に、接着材3を、わざわざ、保護板2B側と保護板2A側で別体とする必要性があるともいえない。 よって、引用発明2の接着材3を、保護板2B側及び保護板2A側で別体とする動機がないから、引用発明2において、上記相違点4に係る構成には至らない。 また、引用文献4ないし6のいずれも、導電性接着層と配線基板からなる配線構造を記載するにとどまるから、これらの文献の記載事項を考慮しても、上記の判断を左右しない。 そうすると、引用発明2において、引用文献2、4ないし6に記載された技術的事項を踏まえて、上記相違点4に係る本件訂正発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 b これに対して、特許異議申立人は、上記(7)ア(イ)bと同様の主張をするが、そこで説示したとおりである。 (ウ)本件訂正発明1の小括 以上のとおりであるから、他の相違点について判断するまでもなく、本件訂正発明1は、引用発明2及び引用文献2、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明2ないし8について 本件訂正発明2ないし8は、いずれも本件訂正発明1を直接又は間接に引用してさらに限定したものである。 そうすると、上記アで説示したことと同様の理由により、本件訂正発明2ないし8は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件訂正発明9について (ア)対比 引用発明2は「保護板2B」を備えるから、引用発明2の「補強液晶光学素子」は、本件訂正発明9の「調光板」に相当する。 (イ)一致点及び相違点の認定 上記ア(ア)及び上記(ア)から、本件訂正発明9と引用発明2は、下記の点で一致し、上記ア(ア)で認定した相違点3ないし4で相違する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合され、前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める裏面封止部と、 を備える調光板。」 (ウ)判断 上記ア(イ)及び(ウ)で説示したことと同様の理由により、本件訂正発明9は、引用発明2及び引用文献2、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件訂正発明1ないし9に対する、引用発明2を主引用発明としたときの対比・判断の小括 本件訂正発明1ないし9は、引用発明2及び引用文献2、4ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)引用発明3を主引用発明としたときの対比・判断 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 a 本件訂正発明1の「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、」との特定事項について 引用発明3の「液晶材料層3」、「(透明導電性フィルム2の)透明導電膜」、「透明導電性フィルム2」、「透明導電性フィルム1」、「調光液晶シート」は、それぞれ、本件訂正発明1の「調光層」、「透明電極層」、「第1電極シート」、「第2電極シート」、「調光シート」に相当する。 よって、引用発明3は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 b 本件訂正発明1の「前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、」との特定事項について 引用発明3の「調光液晶シート」が、「透明導電性フィルム1、2」によって挟まれる調光領域を有することは明らかである。 また、引用発明3において「透明導電性フィルム2に対してリード線8が接続する領域」(本件訂正発明1の「接続領域」に相当。)「は調光液晶シートの最外面である」。 よって、引用発明3は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 c 本件訂正発明1の「前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、」との特定事項について 引用発明3の「調光液晶シート」は、「枠4を有するガラス板5に接着剤6によって、貼り付けられ」ていることから、「透明導電性フィルム2」の「ガラス板5」側の面は、「ガラス板5」の表面内に固定されている、とみることができる。 そして、引用発明3の「接着剤6」は、「接着剤6を調光液晶シートとガラス板5の間に、全面に用いる場合は、透明接着剤」であるから、本件訂正発明1の「透明粘着層」に相当する。 よって、引用発明3は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 d 本件訂正発明1の「前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、」との特定事項について 引用発明3の「リード線8が取り付けられ」る構造は、本件訂正発明1の「配線部」に相当する。 そうすると、引用発明3は上記特定事項のうち、「前記接続領域にて接合される配線部と、」との特定事項を備える。 e 本件訂正発明1の「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、」「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、」との特定事項について 引用発明3は、本件訂正発明1の「延在部」に相当する部材を備えないため、上記特定事項を備えるとはいえない。 f 本件訂正発明1の「を備える調光ユニット。」との特定事項について 引用発明3の「調光液晶シート」は、本件訂正発明1の「調光ユニット」に相当する。 よって、引用発明3は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。 g 以上により、本件訂正発明1と引用発明3は、下記の点で一致する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて接合される配線部と、 を備える調光ユニット。」 他方、本件訂正発明1と引用発明3は、下記の点で相違する。 [相違点5] 本件訂正発明1が、「配線部」につき、 「前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備え」、さらに、 「前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、を備える」のに対し、 引用発明3においては、そのような構成を有するとはいえない点。 (イ)判断 上記相違点5について検討する。 a 引用発明3の「各リード線7、8は電圧を供給するために外側に取り出され」るものであるところ、「リード線7、8」には「電圧を供給する」以外の他の機能等は求められていないと解される。そうすると、引用発明3において、「透明導電性フィルム1、2」に「電圧を供給する」ことができるのであれば、「リード線7、8」は任意の配線に替えることができるものと理解できる。そして、当業者は、その状況等に応じて適宜の配線手法を選択できるのであるから、引用発明3の「リード線8が」「フィルム2」に「取り付けられ」る構造を、引用文献4ないし6に例示される周知の配線構造、すなわち配線基板が取り付け先に導電性接着層で取り付けられる構造に替えることは容易である。その際、引用発明3の「リード線8が取り付けられ」る「フィルム2」と、「リード線8」に替わる上記周知の配線基板が、いずれも基板状又はシート状の態様であることを考慮すると、少なくとも導電性接着層を介して接続される「フィルム2」と配線基板との接続箇所付近において、両部材は略平行に配置されることになるから、上記配線基板を、少なくとも上記接続箇所付近で「フィルム2」と略平行かつ外側に延びるように配置し、上記接続箇所を越えたところで、「絶縁樹脂10」を貫通させる、または、「枠4」に必要な加工を施して「枠4」内に配設したのちに外部に露出させる構成とすることに困難はない。 そして、そのようにして得られた構成についてみると、上記配線基板の上記接続箇所付近に位置する「ガラス板5」に沿って「調光液晶シート」の外側へ延びる部位は、本件訂正発明1の「延在部」に相当することとなり、「絶縁樹脂10」のうち、上記配線基板の上記接続箇所付近の上部にある部分は、本件訂正発明1の「表面封止部」に相当することとなるとともに、上記配線基板の上記接続箇所付近の「ガラス板5」に沿って「調光液晶シート」の外側へ延びる部位と「ガラス板5」の間にある部分は、本件訂正発明1の「裏面封止部」に相当することとなる。 さらに、引用発明3における、「絶縁樹脂10」のうち、「調光液晶シート」の外側へ延びる部位と「ガラス板5」の間にある部分と、「接着剤6」は、本件訂正発明1でいう「別体」といえる。 以上によれば、当業者であれば、引用発明3に基づいて、上記相違点5に係る構成のうち、「配線部」につき、「前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備え」、さらに、「表面封止部」と「前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、」「前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、を備える」構成に容易に至るといえる。 b しかしながら、当業者といえども、以下に示すとおり、引用発明3に基づいて、上記相違点5に係る構成のうち、少なくとも、「裏面封止部」を「表面封止部とは別体である」構成(以下、「構成A」という。)に容易に至るとはいえない。 引用発明3において、上記構成Aに至るには、「絶縁樹脂10」のうち、配線基板の接続箇所付近の「ガラス板5」に沿って「調光液晶シート」の外側へ延びる部位と「ガラス板5」の間にある部分(本件訂正発明1の「裏面封止部」に相当)を、「絶縁樹脂10」のうち、配線基板の上記接続箇所付近の上部にある部分(本件訂正発明1の「表面封止部」に相当)と、別体とする必要がある。 しかしながら、「絶縁樹脂10」について、引用文献3には、その【0017】に、その材料について「ブチルゴム、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが使用される。」と記載され、同文献の【0023】に、それによる封止方法について「絶縁樹脂10で調光液晶シートの周辺部を封止する方法としては、ブチルゴムを調光液晶シートの周辺部に貼り付けてもよいし、シリコーン樹脂などをハケで周辺部に塗った後、シリコーン樹脂を硬化させてもよい。」と記載されているにとどまり、「絶縁樹脂10」を、上記のとおり別体とすることは記載も示唆もされていない。 そして、「絶縁樹脂10」を、わざわざ、上記のとおり別体とする必要性があるともいえない。 よって、引用発明3の「絶縁樹脂10」を、上記のとおり別体とする動機がないから、引用発明3において、上記相違点5のうち、少なくとも「裏面封止部」を「表面封止部とは別体である」構成には至らない。 また、引用文献4ないし6のいずれも、導電性接着層と配線基板からなる配線構造を記載するにとどまるから、上記の判断を左右しない。 そうすると、引用発明3において、引用文献3ないし6に記載された技術的事項を踏まえて、上記構成Aを含む上記相違点5に係る本件訂正発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 c これに対して、特許異議申立人は、上記(7)ア(イ)bと同様の主張をするが、そこで説示したとおりである。 (ウ)本件訂正発明1の小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、引用発明3及び引用文献3ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明2ないし8について 本件訂正発明2ないし8は、いずれも本件訂正発明1を直接又は間接に引用してさらに限定したものである。 そうすると、上記アで説示したことと同様の理由により、本件訂正発明2ないし8は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件訂正発明9について (ア)対比 引用発明3は「ガラス板5」を備えるから、引用発明3の「複層板」は、本件訂正発明9の「調光板」に相当する。 (イ)一致点及び相違点の認定 上記ア(ア)及び上記(ア)から、本件訂正発明9と引用発明3は、下記の点で一致し、上記ア(ア)で認定した上記相違点5で相違する。 [一致点] 「液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて接合される配線部と、 を備える調光板。」 (ウ)判断 上記ア(イ)及び(ウ)で説示したことと同様の理由により、本件訂正発明9は、引用発明3及び引用文献3ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件訂正発明1ないし9に対する、引用発明3を主引用発明としたときの対比・判断の小括 本件訂正発明1ないし9は、引用発明3及び引用文献3ないし6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)新規性欠如・進歩性欠如についての小括 以上のとおりであるから、引用発明1〜3のいずれを主引用発明としても、本件訂正発明1〜9に対する新規性欠如・進歩性欠如に係る特許異議申立理由は成り立たない。 4 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由に対する当審の判断についての小括 以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかったいずれの特許異議申立理由によっても、本件訂正発明1〜9に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上によれば、取消理由通知書(決定の予告)に係る取消理由及び特許異議申立書に係る特許異議申立理由のいずれによっても、本件訂正発明1〜本件訂正発明9についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1〜本件訂正発明9についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有し、前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面が透明粘着層を介して透明支持体の表面内に固定される前記調光シートと、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光ユニット。 【請求項2】 前記裏面封止部の全体は、前記透明支持体上において前記調光シートの外側の領域に位置し、 前記延在部の表面と対向する位置から見た平面視において、前記延在部の幅方向の両側に前記裏面封止部がはみ出している 請求項1に記載の調光ユニット。 【請求項3】 前記表面封止部は、前記裏面封止部の全体と重なり、前記幅方向における前記裏面封止部の外側で前記透明支持体の前記表面に固定されている 請求項2に記載の調光ユニット。 【請求項4】 前記表面封止部の厚さは、前記配線基板の厚さよりも大きい 請求項1〜3のいずれか一項に記載の調光ユニット。 【請求項5】 前記表面封止部の厚さは、前記裏面封止部の厚さよりも大きい 請求項1〜4のいずれか一項に記載の調光ユニット。 【請求項6】 前記表面封止部は、基材と、前記基材の一方の面を覆う粘着層とから構成されるシートである 請求項1〜5のいずれか一項に記載の調光ユニット。 【請求項7】 前記裏面封止部は、基材と、前記基材の一方の面を覆う粘着層と、前記基材の他方の面を覆う粘着層とから構成されるシートである 請求項1〜6のいずれか一項に記載の調光ユニット。 【請求項8】 前記配線基板は、フレキシブルプリント基板である 請求項1〜7のいずれか一項に記載の調光ユニット。 【請求項9】 液晶組成物を含む調光層と、透明電極層を備える第1電極シートと、第2電極シートとを備える調光シートであって、前記調光層が前記透明電極層と前記第2電極シートとに挟まれている調光領域と、前記透明電極層が前記調光シートの最外面を構成する接続領域とを有する前記調光シートと、 前記第1電極シートにおける前記透明電極層が構成する表面とは反対側の面を透明粘着層を介して支持して当該面に沿って当該面の外側まで広がる透明支持体と、 前記接続領域にて前記透明電極層に接合された導電性接着層と、前記導電性接着層に接合された配線基板であって前記透明支持体に沿って前記調光シートの外側へ延びる延在部を有する前記配線基板とを備える配線部と、 前記接続領域とその周囲、前記配線部のなかで前記接続領域上に位置する部分、および、前記延在部の表面とその周囲を覆う表面封止部と、 前記延在部の裏面と前記透明支持体との間を埋める、前記表面封止部および前記透明粘着層とは別体である裏面封止部と、 を備える調光板。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-01-25 |
出願番号 | P2018-164739 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(G02F)
P 1 651・ 121- YAA (G02F) P 1 651・ 113- YAA (G02F) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
山村 浩 |
特許庁審判官 |
瀬川 勝久 井上 徹 |
登録日 | 2019-12-27 |
登録番号 | 6635156 |
権利者 | 凸版印刷株式会社 |
発明の名称 | 調光ユニット、および、調光板 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |