• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1384749
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-08 
確定日 2022-05-19 
事件の表示 特願2019−120437「液晶硬化膜、液晶硬化膜を含む光学フィルム、及び表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月17日出願公開、特開2019−179267〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2016−145787号(以下「もとの特許出願」という。)は、平成28年7月25日(先の出願に基づく優先権主張 平成27年7月24日)の出願である。
特願2019−120437号(以下「本件出願」という。)は、もとの特許出願の一部を令和元年6月27日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和元年 8月 8日提出:手続補正書
令和2年 5月14日付け:拒絶理由通知書
令和2年 7月27日提出:手続補正書、意見書
令和2年11月 2日付け:拒絶査定
令和3年 2月 8日付け:審判請求書
令和3年 2月 8日付け:手続補正書
令和3年 9月30日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」という。)
令和3年11月26日提出:手続補正書
(この手続補正書による手続補正を、以下「本件補正」という。)
令和3年11月26日提出:意見書


第2 本件発明
本件出願の請求項1〜15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、次のとおりである。

「重合性液晶化合物を重合してなる液晶硬化膜であって、
前記液晶硬化膜が、300nm以上、380nm以下の範囲に極大吸収波長を有し、
式(Y)を満たす液晶硬化膜であり、
前記液晶硬化膜の固形分100質量部に占める、前記重合性液晶化合物の合計の含有量が、70〜99.5質量部であり、
さらに、光重合開始剤組成物を含み、
前記光重合開始剤組成物は、分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤およびα−アセトフェノン化合物を含み、
前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤は、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)の2つの極大吸収波長を有し、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)は、式λ(A)<λ(B)を満たし、前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤の極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)と、前記重合性液晶化合物の極大吸収波長λmax(LC)とが、以下の式を満たし、
20nm<λ(B)−λmax(LC)又は 20nm<λmax(LC)−λ(A)
前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤の含有量は、前記重合性液晶化合物100質量部に対し、3〜18質量部である、液晶硬化膜。
97>(1−P’/P0)×100≧73 …(Y)
(式中、P’は液晶硬化膜の厚さ方向に対して垂直な2つの面におけるP値のうち、値が小さい方の面におけるP値を表す。
P0は上記重合性液晶化合物のP値を表す。
P値は、I(1)/I(2)で表される。
I(1)は赤外全反射吸収スペクトル測定によるエチレン性不飽和結合の面内変角振動由来のピーク強度を表し、I(2)は赤外全反射吸収スペクトル測定による芳香環の不飽和結合の伸縮振動由来のピーク強度を表す。)」


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、本件出願の請求項1〜請求項15に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1 :特開2011−207765号公報
引用文献2 :特開2012−21068号公報
引用文献4 :大和真樹,「光重合開始剤の現状と課題」,日本印刷学会誌,社団法人日本印刷学会,2003年6月30日,第40巻,第3号,168〜175頁
引用文献7 :特開2015−110728号公報
引用文献9 :特開2010−152217号公報
引用文献10:田町知也,「高感度・高解像度な新規重合開始剤の開発」,第29回エレクトロニクス実装学会春季講演大会,2015年3月,102頁〜104頁
引用文献11:特開2000−86589号公報
引用文献12:特開2009−98664号公報
引用文献13:清水正晶,「新規な光重合開始剤の開発」,第26回エレクトロニクス実装学会春季講演大会,2012年3月,233頁〜235頁
引用文献14:特開2007−279421号公報
(当合議体注:引用文献1、2及び9は、それぞれ主引例であり、引用文献9は、副引例又は技術常識を示すための文献でもある。また、引用文献11は、引用文献9を主引例とした場合における副引例であり、引用文献4、7、10、12〜14は、技術常識を示すための文献である。)


第4 当合議体の判断
1 引用文献の記載事項及び引用発明
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由の拒絶の理由において、引用文献2として引用された、特開2012−21068号公報は、先の出願前の平成24年2月2日に、日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及び光学フィルムに関する。
・・・中略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学フィルムでは、高湿高温の条件で保管した場合の耐性(耐湿熱性)について必ずしも十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することができた本発明の組成物は、式(A)で表される化合物、酸化防止剤及び光重合開始剤を含むことを特徴とする。
【0006】
【化1】

[式(A)中、X1は、−S−、−O−又は−NR1−を表す。R1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Y1は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は、炭素数3〜12の芳香族複素環式基を表す。
Q1及びQ2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、1価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NR2R3又は−SR2を表し、Q1及びQ2は、互いに結合して芳香環又は芳香族複素環を形成していてもよい。R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
D1及びD2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−CS−O−、−CR4R5−、−CR4R5−CR6R7−、−O−CR4R5−、−CR4R5−O−CR6R7−、−CO−O−CR4R5−、−O−CO−CR4R5−、−CR4R5−O−CO−CR6R7−、−CR4R5−CO−O−CR6R7−、−NR4−CR5R6−又は−CO−NR4−を表す。
R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
G1及びG2は、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。
L1及びL2は、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、L1及びL2からなる群から選ばれる少なくとも1種が、重合性基を有する基を表す。]
・・・中略・・・
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐湿熱性に優れた光学フィルムを得ることができる。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0014】
1.組成物
本発明の組成物は、式(A)で表される化合物(以下「化合物(A)」という場合がある)、酸化防止剤(B)及び光重合開始剤(C)を含む。
【0015】
1−1.化合物
本発明の組成物は、化合物(A)を含む。
・・・中略・・・
【0195】
化合物(A)の含有量は、固形分に対して、10〜99.9質量%が好ましく、20〜99質量%がより好ましく、50〜97質量%がさらに好ましく、80〜95質量%が特に好ましい。化合物(A)の含有量が前記の範囲であれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能となる。ここで、固形分とは、本発明の組成物から後述する溶剤成分を除く量をいう。化合物(A)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0196】
1−2.酸化防止剤(B)
本発明の組成物は、酸化防止剤(B)を含む。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤が挙げられる。中でも、光学フィルムの着色が少ないという点で、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0197】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
・・・中略・・・
等が挙げられる。
・・・中略・・・
【0206】
1−3.光重合開始剤(C)
本発明の組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、光の作用により活性ラジカルを発生し、化合物(A)の重合を開始しうる化合物である。光重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
【0207】
前記アルキルフェノン化合物としては、α−アミノアルキルフェノン化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物、α−アルコキシアルキルフェノン化合物が挙げられる。前記α−アミノアルキルフェノン化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン等が挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン等が挙げられる。前記α−アミノアルキルフェノン化合物は、イルガキュア(登録商標)369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)、セイクオール(登録商標)BEE(精工化学社製)等の市販品を用いてもよい。
【0208】
前記α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。前記α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物は、イルガキュア184、2959、127(以上、BASFジャパン(株)製)、セイクオールZ(精工化学社製)等の市販品を用いてもよい。前記α−アルコキシアルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記α−アルコキシアルキルフェノン化合物は、イルガキュア651(以上、BASFジャパン(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0209】
前記アルキルフェノン化合物としては、α−アミノアルキルフェノン化合物が好ましく、式(C−1)で表される化合物がより好ましい。これらの化合物であると、得られる光学フィルムの耐熱性、耐湿熱性に優れる。
【0210】
【化128】

[式(C−1)中、Q3は、水素原子又はメチル基を表す。]
【0211】
前記ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
前記オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE−01、OXE−02(以上、BASFジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0212】
前記光重合開始剤は、前記アセトフェノン化合物、前記ベンゾイン化合物、前記ベンゾフェノン化合物、前記オキシム化合物等を、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも光重合開始剤としてアセトフェノン化合物を用いることが好ましい。前記アセトフェノン化合物の使用量は、光重合開始剤全量に対して、90質量部以上であることが好ましく、光重合開始剤全量がアセトフェノン化合物であることがより好ましい。
【0213】
光重合開始剤(C)の含有量は、固形分に対して、好ましくは0 .1質量%〜30質量%であり、より好ましくは0.5質量% 〜10質量%である。上記範囲内であれば、組成物に含まれる重合性成分を重合する際に、化合物(A)の配向を乱すことをより抑制できる。」

ウ 「【実施例】
【0270】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0271】
1.合成例
化合物(A11−1)は下記のスキームに従って合成した。
【0272】


・・・中略・・・
【0280】
2.組成物の調製
表1に示す各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して組成物を調製した。
(合議体注:上記「表1」は、「表2」の誤記である。)
【0281】
【表2】

【0282】
表中のA11−1、v−1、B−1、B−2、C−1〜C−10、BYK361Nは以下の化合物を表す。
【0283】
化合物(A);
A11−1:合成例1で得られた化合物(A11−1)
v−1:式(v−1)で表される化合物
【0284】
【化134】

【0285】
光重合開始剤(B);
B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)
【0286】
【化135】

・・・中略・・・
【0289】
酸化防止剤(C);
C−1:2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(東京化成工業製)
・・・中略・・・
レベリング剤;
BYK361N(ビックケミージャパン社製)
【0290】
3.光学フィルムの作製
ガラス基板に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で60分加熱乾燥し、ガラス基板上に厚さ89nmのポリビニルアルコール膜を得た。続いて、ポリビニルアルコール膜の表面にラビング処理を施した。得られたポリビニルアルコール膜に、組成物をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上140℃で1分間乾燥させた。その後、80℃に加熱しながらUV露光装置(ユニキュア;ウシオ電機(株)製)を用いて2400mJ/cm2(365nm基準)を照射して、光学フィルムを得た。」

(2)引用文献2に記載された発明
上記「(1)ウ」の【表2】によれば、実施例1に係る「組成物」は、「化合物(A)」として「A11−1」を27質量%、「光重合開始剤(B)」として「B−1」を2.7質量%、「酸化防止剤(C)」として「C−1」を0.3質量%、「レベリング剤」として「BYK361N」を0.1質量%、「溶剤」として「シクロペンタノン」を69.9質量%の各成分を混合して得られたものである。
ここで、上記「A11−1」及び上記「B−1」は、それぞれ【0272】及び【0286】に、上記「C−1」及び上記「BYK361N」は、ともに【0289】に記載されたとおりのものである。
そうしてみると、引用文献2には、実施例1として、以下の「組成物」の発明(以下「引用組成物発明」という。)が記載されている。
また、同文献には、引用組成物発明の組成物を用いて、【0290】に記載の方法で作製された、以下の「光学フィルム」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

ア 引用組成物発明
「以下に示す各成分を混合して得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して調製した組成物。
化合物(A);以下の式で表されるA11−1を27質量%

光重合開始剤(B);B−1:以下の式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)を2.7質量%


酸化防止剤(C);C−1:2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(東京化成工業製)を0.3質量%
レベリング剤;BYK361N(ビックケミージャパン社製)を0.1質量%
溶剤;シクロペンタノンを69.9質量%」

イ 引用発明
「ガラス基板に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で60分加熱乾燥し、ガラス基板上に厚さ89nmのポリビニルアルコール膜を得、続いて、ポリビニルアルコール膜の表面にラビング処理を施し、得られたポリビニルアルコール膜に、引用組成物発明の組成物をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上140℃で1分間乾燥させ、その後、80℃に加熱しながらUV露光装置を用いて2400mJ/cm2(365nm基準)を照射して得た、
光学フィルム。」

(3)引用文献4の記載
当審拒絶理由の拒絶の理由において引用され、先の出願前の平成15年6月30日に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、大和真樹著,「光重合開始剤の現状と課題」,日本印刷学会誌,社団法人日本印刷学会発行,2003年,第40巻,第3号,168頁〜175頁(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。

ア 「


(172頁右欄4行〜10行)

イ 「


(170頁)

(4)対比
本件発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 重合性液晶化合物
引用発明の「化合物(A);以下の式で表されるA11−1」は、その化学構造からみて、本件発明の「重合性液晶化合物」に相当する。

イ 光重合開始剤組成物
引用発明の「光重合開始剤(B);B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)」は、技術的にみて、α−アセトフェノン化合物からなる光重合開始剤に該当する。
また、本件出願の明細書の【0073】には、「本発明では、光重合開始剤組成物を使用する。光重合開始剤組成物は、1種の光重合開始剤のみを含んでもよいし、2種以上の光重合開始剤を含んでもよい。」と記載されている。この記載によれば、引用発明の「組成物」のように、光重合開始剤を1種のみ含む組成物の場合、本件発明でいう「光重合開始剤組成物」は、当該光重合開始剤そのものを意味すると解される。そうしてみると、引用発明の「光重合開始剤(B);B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)」は、本件発明の「光重合開始剤組成物」に相当するといえる。
以上総合すると、引用発明の「光重合開始剤(B);B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)」は、本件発明において、「α−アセトフェノン化合物を含み」とされる、「光重合開始剤組成物」に相当する。

ウ 液晶硬化膜
引用発明の「光学フィルム」は、「ガラス基板に、ポリビニルアルコール」「の2質量%水溶液をスピンコート法により塗布した後、」「加熱乾燥し、」「ガラス基板上に厚さ89nmのポリビニルアルコール膜を得、続いて、ポリビニルアルコール膜の表面にラビング処理を施し、得られたポリビニルアルコール膜に、引用組成物発明の組成物をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上140℃で1分間乾燥させ、その後、」「加熱しながらUV露光装置を用いて」(UV光を)「照射して得た」ものであるところ、引用発明の上記「組成物」は、上記「(2)ア」に示される「各成分を混合して得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して調製した組成物」である。ここで、上記「各成分」における固形分は、「A11−1(27質量%)」、「B−1(2.7質量%)」、「C−1(0.3質量%)」及び「BYK361N(0.1質量%)」である。
上記組成物の組成及び製法から、引用発明の「光学フィルム」は、UV光の照射を受けた「光重合開始剤(B);B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)」の働きにより、「化合物(A);以下の式で表されるA11−1」が、重合反応を繰り返して硬化することで得られるフィルムであって、当該光フィルムの固形分100質量部に占める、「A11−1」(重合性液晶化合物)の合計の含有量は、89.7質量部であることが理解される。
さらに、引用発明の「A11−1」の極大吸収波長はλmax(LC)は、350nmと認められるところ、引用発明の「光学フィルム」の全固形分に占める「A11−1」の上記含有割合に照らせば、当該光学フィルムが、300nm以上、380nm以下の範囲に極大吸収波長を有することは明らかである。
(当合議体注:「A11−1」の極大吸収波長が、350nmであることは、本件出願の明細書の【0208】から確認できる事項である。)
以上総合すると、引用発明の「光学フィルム」は、本件発明において、「重合性液晶化合物を重合してなる」、「300nm以上、380nm以下の範囲に極大吸収波長を有し」、「固形分100質量部に占める、前記重合性液晶化合物の合計の含有量が、70〜99.5質量部であり」及び「光重合開始剤組成物を含み」と特定される、「液晶硬化膜」に相当する。

(5)一致点及び相違点
上記(4)によれば、本件発明と引用発明とは、
「重合性液晶化合物を重合してなる液晶硬化膜であって、
前記液晶硬化膜が、300nm以上、380nm以下の範囲に極大吸収波長を有し、
前記液晶硬化膜の固形分100質量部に占める、前記重合性液晶化合物の合計の含有量が、70〜99.5質量部であり、
さらに、光重合開始剤組成物を含み、
前記光重合開始剤組成物は、α−アセトフェノン化合物を含む、
液晶硬化膜。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「光重合開始剤組成物」が、本件発明では、「分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤およびα−アセトフェノン化合物を含み、前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤は、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)の2つの極大吸収波長を有し、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)は、式λ(A)<λ(B)を満たし、前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤の極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)と、前記重合性液晶化合物の極大吸収波長λmax(LC)とが、以下の式を満たし、
20nm<λ(B)−λmax(LC)又は
20nm<λmax(LC)−λ(A)
前記分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤の含有量は、前記重合性液晶化合物100質量部に対し、3〜18質量部である」とされるのに対して、
引用発明では、「光重合開始剤(B);B−1:式(B−1)で表される化合物(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製)」であって、「分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤」を含まない点。

(相違点2)
「液晶硬化膜」が、本件発明では、「式(Y)を満たす」ものであるのに対して、引用発明1では、この要件を満たすか明らかでない点。
(当合議体注:「式(Y)」は、上記「第2」で示したものである。)

(6)判断
ア 相違点1について
(ア)光重合開始剤に関する引用文献2の記載
上記「第4 1(1)イ」によれば、引用文献2には、「本発明の組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、光の作用により活性ラジカルを発生し、化合物(A)の重合を開始しうる化合物である。光重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。」(【0206】)、「前記オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、・・・中略・・・、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE−01、OXE−02(以上、BASFジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。」(【0211】)及び「前記光重合開始剤は、前記アセトフェノン化合物、前記ベンゾイン化合物、前記ベンゾフェノン化合物、前記オキシム化合物等を、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。」(【0212】)と記載されている。

(イ)光重合開始剤についての技術常識
下記a〜cの技術事項は、いずれも先の出願時における当業者の技術常識であったと認められる。
a 高感度の光重合開始剤
オキシム(エステル)型光重合開始剤が、他の型の重合開始剤と比較して、感度の高い重合開始剤であること(必要ならば、例えば、引用文献9の【0204】〜【0208】、引用文献10の102頁の「2.1 高感度化へのアプローチ」(図3を含む。)及び引用文献13の234頁左欄1行〜9行(図5を含む。)等の記載を参照。)。

b オキシム(エステル)型光重合開始剤の極大吸収波長
引用文献13の234頁左欄第3段落〜第6段落、図6及び図7の記載によれば、オキシム(エステル)型光重合性化合物のなかでも、一般的なカルバゾール型オキシムエステル開始剤(例えば、引用文献2の【0211】に列挙された「OXE−02」及び「N−1919」等)の感度は313nm
などの短波長域がメインであって、吸収極大波長も当該波長域近傍に存在すること。

c 光重合開始剤の吸収波長の選択
照射された光のエネルギーを無駄なく重合反応エネルギーに変換して、光重合反応を強化するためには、光重合開始剤の吸収極大波長を、(重合性組成物中の)他の成分の吸収極大波長と異ならせることが好ましいこと。(必要ならば、引用文献7の【0129】、引用文献4の172頁右欄4行〜10行(空行はカウントしていない。)及び引用文献12の【0009】<1>及び【0218】〜【0219】等を参照。)

(ウ)引用発明に内在する技術課題
重合性の液晶性化合物からなる光学異方性層を含む光学フィルムの製造において、照射するUV光の強度を低減することは、一般的な課題であって(例えば、引用文献9の【0005】及び引用文献14の【0005】〜【0006】等を参照。)、このような課題は、技術分野を一にする、引用発明に内在する技術課題といえる。

(エ)上記(ア)〜(ウ)を踏まえ、相違点1に係る本件発明の構成に当業者が容易に想到し得たといえるかについて、以下検討する。
上記(ウ)で述べたとおり、照射するUV光の強度を低減してもなお十分な重合が可能であることは、引用発明(の「組成物」)に内在する課題である。そうすると、引用文献2の上記(ア)の記載に接した当業者であれば、引用発明の「イルガキュア369」に加えて、さらに感度の高い光重合開始剤であって、先の出願当時において入手可能なものの採用を検討すると考えられるところ、上記当業者は、上記(イ)に示される全ての技術常識を備える者でもあるから、感度の高いオキシム(エステル)型光重合開始剤であって、とりわけ極大吸収波長が、引用発明の「A11−1」の極大吸収波長(350nm程度)から十分に離れた、市販品の「OXE−02」又は「N−1919」(2以上の極大吸収波長を有し、最も短波長側の極大吸収波長は少なくとも330nm未満である。)を採用する動機は十分にあるといえる。そして、そのような改良を経た引用発明は、相違点1に係る本件発明の「20nm<λ(B)−λmax(LC)又は20nm<λmax(LC)−λ(A)」との要件のうち、少なくとも後者の式を満たすこととなる。
また、相違点1に係る本件発明の構成は、「分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤の含有量は、前記重合性液晶化合物100質量部に対し、3〜18質量部である」との事項を包含するところ、引用文献2の【0195】には、化合物(A)(引用発明の「A11−1」に相当)の含有量、【0212】には、光重合開始剤全量に対するアセトフェノン化合物の使用量、【0213】には、光重合開始剤の含有量についての好ましい範囲がそれぞれ示唆されている。
したがって、当業者が、上記示唆にしたがい、引用発明の「組成物」の各成分の含有量を調整し、「イルガキュア369」の一部を、「OXE−02」又は「N−1919」に変更することで、相違点1に係る上記事項に想到することに格別の困難性は見いだせない。

イ 相違点2について
引用文献9の【0204】【表1】〜【0208】の記載(実施例1及び比較例1における、DLC−Aの側鎖の不飽和基の消失率%の差)からみて、上記アで述べた理由により、当業者が、引用発明における「光重合開始剤」(組成物)として、「イルガキュア369」及び上記「オキシム(エステル)型光重合開始剤」を併用したものを採用した場合、引用発明の「組成物」は、より低減した露光量で重合することが可能となり、その結果、引用発明の「光学フィルム」について、その式(Y)の値が73以上となることは当業者に自明である。
次に、相違点2のうち、「式(Y)」の上限値(97)について検討する。
式(Y)が重合性液晶化合物の重合度の目安と解されるところ、生産性の観点から、引用発明の「光学フィルム」の製造にあたり、「組成物」の重合度をある程度の範囲内にとどめておくという選択は、当業者の通常の創作能力の範囲内の事項である。また、式(Y)を97未満とすることによる効果について、本件出願の明細書の【0224】及び【0225】【表1】(特に、参考例(2)の最右列)には、式(Y)の値が上記上限値(97)以上の場合、波長分散値(Re(450)/Re(550))が変化して好ましくないことをうかがわせる記載がある。しかしながら、上記記載は、参考例(2)のみの評価結果を示すにとどまるから、式(Y)の値を97未満としたことによる有利な効果を推認するに足りるものではない。

(7)請求人の主張について
令和3年11月26日に提出された意見書3頁〜5頁において、請求人は概略、次の点を主張する(当合議体注:下線は便宜のため当合議体で付与したものである。)。
なお、下記主張は、上記意見書において「引用文献1を主引例とする進歩性欠如の拒絶理由に対する反論」で述べられた事項を含むが、引用文献2を主引例とする場合にも一応妥当するため、検討に含める。

ア 本件発明の効果(効果A)
「本願明細書の[0078]の記載から、分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤を含む光重合開始剤組成物および重合性液晶化合物の混合物は、波長350nm以上の紫外線を効率的に利用でき、その結果、液晶硬化膜の深部での当該重合性液晶化合物の重合反応をより効率的に進行させることができることを理解することができます。
また、本願明細書の[0077]の記載から、α−アセトフェノン化合物を含む光重合開始剤組成物は、波長350nm未満の紫外線を効率的に吸収でき、波長350nm未満の紫外線を効率的に利用できることを理解することができます。
さらに、本願明細書の[0073]〜[0074]の記載から、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)の2つの極大吸収波長を有し、極大吸収波長λ(A)及び極大吸収波長λ(B)が、λ(A)<λ(B)と、20nm<λ(B)−λmax(LC)又は20nm<λmax(LC)−λ(A)と、を満たす光重合開始剤を含む光重合開始剤組成物および重合性液晶化合物の混合物は、光を照射した場合に、重合性液晶化合物の光吸収に阻害されることなく、前記光重合開始剤の光吸収が行われ、重合反応を開始するのに十分な量のラジカルが発生するため、当該重合性液晶化合物の重合反応を好適に行うことができることを理解することができます。
・・・中略・・・
従って、本願発明は・・・中略・・・高温環境に晒された場合の位相差値の低下量をより低減することができるという効果(以下、「効果A」と称する)を奏することを理解することができます。」
「引用文献2には、補正後の請求項1に記載の「λ(A)<λ(B)」と、「20nm<λ(B)−λmax(LC)又は20nm<λmax(LC)−λ( A)」との式を満たすことに関する事項は記載も示唆もされていません。
また、引用文献2には、膜表面および膜深部の両方において、重合性液晶化合物の重合反応を効率的に進行させるために、前記光重合開始剤とα−アセトフェノン化合物とを併用することは記載も示唆もされていません。」

イ 引用発明に(内在する)課題
「「照射するUV光の強度を低減する」との課題を解決することを目的としている引用文献9に記載の発明において、照射するUV光の好ましい強度は、20〜5000mJ/cm2です(引用文献9の[0005]および[0162]を参照)。
また、同様に、前記「照射するUV光の強度を低減する」との課題を解決することを目的としている引用文献14に記載の発明においても、照射するUV光の好ましい強度は、20〜5000mJ/cm2です(引用文献14の[0005]および[0056]を参照)。
一方、引用文献1の実施例44(拒絶理由通知書に記載の引用発明1)では、積算光量が2400mJの紫外線を照射して、光学フィルムを形成しています(引用文献1の[0617]を参照)。当該積算光量は、引用文献9および14に記載された照射するUV光の好ましい強度の範囲内です。」
「引用文献1には、引用文献9および14にて示された、強度が低減されたUV光を使用して光学フィルムを製造したことが示されています。従って、引用文献1に接した当業者は、引用文献1に記載の光学フィルムの製造方法において、照射するUV光の強度を低減させるという課題が存在することを認識することはできません。
それゆえに、引用文献1に記載の光学フィルムの製造方法において、重合開始剤として、引用文献1には開示されていない、オキシム(エステル)型光重合開始剤等のオキシム構造を有する光重合開始剤をわざわざ使用しようとする動機付けとなる事項は、引用文献1には存在しないと考えます。」

上記主張について検討する。
[主張アについて]
請求人は、上記下線部を根拠にして、本件発明の効果Aを主張している。上記根拠は、要するに、分子内にオキシム構造を有する光重合開始剤及びα−アセトフェノン化合物からなる光重合開始剤を併用することで、波長350nm以上及び波長350nm未満の紫外線を効率的に利用することが可能となり、重合性液晶化合物の重合反応をより効率的に進行させることができるというものである。
しかしながら、本件発明は、「光重合開始剤(組成物)」の極大吸収波長の絶対値が具体的に特定されていないから、上記根拠は請求項の記載に基づかないものである。また、重合性液晶化合物の光吸収に阻害されることなく、光重合開始剤の光吸収が行われる点、膜表面および膜深部の両方にて、重合性液晶化合物の重合反応が効率的に進行することによる効果Aは、上記「(6)ア(イ)c」の技術常識を心得た当業者にとっては、引用文献2、4、7、9、10および12〜14に効果A及びその作用機序について明示の記載がなくとも、予想可能なものであって、その程度が格別顕著であるともいえない。
したがって、上記主張アは理由がない。

[主張イについて]
請求人が主張するように、引用発明の「光学フィルタ」の製造時における照射エネルギー密度は、2400mJ/cm2であって、これは引用文献9や引用文献14において、照射するUV光の好ましい強度の範囲内のものともいえる。しかしながら、例えば、引用文献9の【0162】には、「照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。」と記載されているから、引用発明のエネルギー密度が「2400mJ/cm2」であるからといって直ちにそれ以上照射エネルギーを低減する必要がないとはいえず、むしろ、さらに低減する必要があることは上記「さらに好ましい」との記載から明らかである。
したがって、上記主張イは理由がない。
以上のとおり、上記主張ア〜イは、いずれも採用の限りでない。

(8)本件発明の効果
上記(7)の主張アで説示したとおりである。

(9)小括
本件発明は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。


第5 むすび
以上のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-03-02 
結審通知日 2022-03-08 
審決日 2022-03-30 
出願番号 P2019-120437
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 吉孝
特許庁審判官 関根 洋之
里村 利光
発明の名称 液晶硬化膜、液晶硬化膜を含む光学フィルム、及び表示装置  
代理人 長谷川 和哉  
代理人 鶴田 健太郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ