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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1006774 |
審判番号 | 審判1994-4048 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1994-03-07 |
確定日 | 1999-10-28 |
事件の表示 | 平成2年特許願第132779号「ケーブルテレビジョンにおけるコンバータ遠隔制御方法とケーブルテレビジョンコンバータ、ケーブルテレビジョンヘッドエンド装置」拒絶査定に対する審判事件(平成3年1月29日出願公開、特開平3-21184)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明の要旨 本願は、平成2年5月24日(パリ条約による優先権主張1989年5月25日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成6年3月7日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「ケーブルテレビジョンヘッドエンドからダウンロードされたファームウエアの受信手段と、 この受信手段にファームウエアを記憶するために設けられた格納手段と、 ファームウエアの完全性の確認手段と、 ファームウエアによって指令された1以上の機能をコンバータに付与するために、ファームウエアにアクセスし実行するため前記格納手段に結合されたプロセッサと、 コンバータのためのデフォルト機能ソフトウエアを記憶させておくため、プロセッサに結合された持久性メモリーと、 ファームウエアの完全性証明のない場合に、前記プロセッサがファームウエアの替わりにデフォルト機能ソフトウエアを実行させるために設けられる前記確認手段に対する応答手段と、 からなることを特徴とする遠隔操作による機能変更可能なケーブルテレビジョンコンバータ。」 2.引用例の記載 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭59-15348号公報(以下、引用例という)には、下記の事項が記載されている。 「ブートストラップROM317は十分なファームウェアのみを備え、CPUが立上り動作を制御したり、ヘッドエンドのコントローラから送信されてきてケーブルからダウンロードされ、特定の加入者を指定し、データ取得回路314で必要とされる初期制御信号を蓄積するのを容易にするものである。」(第12頁左上欄第8行~第14行) 「ブートストラップROM317はまた、CPU324がI/Oポート回路325を制御しダウンコンバータ302を制御するのを可能にするための制御信号などを十分に蓄積していなければならず、それによってテレビジョンチャンネル変換サービスの提供が可能になる。初期化後、追加制御信号がRAM315に蓄積され、それによって有料TVアンスクランブラサービス、情報、コンピュータゲーム、ソフトウエアサービスなどの追加変換サービスを購入している加入者にそれらのサービスが提供される。」(第12頁右上欄第1行~第11行) 「データ取得回路314と関係するメモリの好ましい形式を第3A図に示す。そのメモリは、DACバッファ、待機ページバッファ、ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域、入力出力ソフトウエア用の領域、選択テーブル領域、および他の入力出力ソフトウエアとリードオンリメモリ(ROM)部分のための領域に分割されている。」(第12頁左下欄第4行~第10行) 「データパケットはヘッドエンドから論理アドレスの加入者局へ送られてくる。加入者局がパケットを受信する毎に、データ取得回路はCRC回路(後で第8図を参照して説明する)においてそのデータをチェックしてパケットにエラーがないこと、およびプロトコルも正しいことを確める。」(第12頁右下欄第11行~第16行) 「もし、多項式計算によるCRC回路からの残余出力がローであれば、フリップフロップ802のQ出力がハイとなり、CPUに対し全受信入力データがエラーを含まないものであることを指示することになる。しかし、もし残余があればフリップフロップ802は状態を変え、CPUにはデータが不完全であるという指示が与えられる。」(第17頁左下欄第6行~第13行) 3.対比・判断 本願の請求項1の発明(以下、前者という)と上記引用例記載のもの(以下、後者という)を比較すると、両者は、いずれもケーブルテレビジョンヘッドエンドからソフトウエア又はファームウエアをダウンロードして機能変更可能なケーブルテレビジョンコンバータであって、引用例の「データ取得回路」、メモリの「ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域」、「CRC回路」、「CPU」、「テレビジョンチャンネル変換サービス」、「ROM」は、それぞれ本願の「ファームウエアの受信手段」、「ファームウエアを記憶するために設けられた格納手段、「ファームウエアの完全性の確認手段」、「ファームウエアによって指令された1以上の機能をコンバータに付与するために、ファームウエアにアクセスし実行するため前記格納手段に結合されたプロセッサ」、「デフォルト機能」、「コンバータのためのデフォルト機能ソフトウエアを記憶させておくため、プロセッサに結合された持久性メモリー」に対応しており、 両者は、「ケーブルテレビジョンヘッドエンドからダウンロードされたファームウエアの受信手段と、 この受信手段にファームウエアを記憶するために設けられた格納手段と、 ファームウエアの完全性の確認手段と、 ファームウエアによって指令された1以上の機能をコンバータに付与するために、ファームウエアにアクセスし実行するため前記格納手段に結合されたプロセッサと、 コンバータのためのデフォルト機能ソフトウエアを記憶させておくため、プロセッサに結合された持久性メモリーと、 を有する遠隔操作による機能変更可能なケーブルテレビジョンコンバータ。」 である点で一致し、 前者は、「ファームウエアの完全性証明のない場合に、前記プロセッサがファームウエアの替わりにデフォルト機能ソフトウエアを実行させるために設けられる前記確認手段に対する応答手段」を有するのに対して、 後者は、ダウンロードされたソフトウエアの完全性証明のない場合、すなわちエラーがある場合に、デフォルト機能ソフトウエアを実行させることが明確には記載されていない点で相違している。 上記相違点について検討すると、付加的な機能を実現するソフトウエアのロード時にエラーが検出された場合に、基本(デフォルト)ソフトウエアを実行させることは、例えば特開昭59-111539号公報、特開昭60-7532号公報に記載されているように、情報機器を設計する場合の慣用的手法であることは明らかであるから、このようにすることが、格別困難であるとは認められない。 4.むすび したがって、本願の請求項1の発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1998-01-21 |
結審通知日 | 1998-02-03 |
審決日 | 1998-02-10 |
出願番号 | 特願平2-132779 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 聡史、東 次男 |
特許庁審判長 |
逸見 輝雄 |
特許庁審判官 |
丹治 彰 石川 伸一 |
発明の名称 | ケーブルテレビジョンにおけるコンバータ遠隔制御方法とケーブルテレビジョンコンバータ、ケーブルテレビジョンヘッドエンド装置 |
代理人 | 大内 康一 |