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関連判例 | 平成13年(行ケ)19号審決取消請求事件 |
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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない E21B |
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管理番号 | 1043983 |
審判番号 | 訂正2000-39080 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-03-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2000-07-21 |
確定日 | 2001-07-31 |
事件の表示 | 特許第2789379号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第2789379号は、平成2年8月9日に出願され、平成10年6月12日に特許の設定登録がなされたものであって、三和機材株式会社から特許異議の申立がなされ、特許庁において平成11年異議第70611号事件として審理され、平成12年2月9日に「特許第2789379号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との異議の決定があったが、請求人はこれを不服として出訴し、東京高等裁判所において平成12年(行ケ)第116号事件として審理されているところである。 本件訂正審判請求は、平成12年7月21日付けで、特許第2789379号の明細書を訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであり、当審において平成12年8月24日付けで訂正拒絶理由通知が出され、平成12年10月17日付けで意見書とともに訂正審判請求書及び訂正明細書を補正する手続補正書が提出された。 2.訂正拒絶理由通知の内容 平成12年8月24日付けの訂正拒絶理由通知の内容は、下記のとおりである。 記 訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1および3における「対応深度範囲毎における、杭穴掘削時の掘削機の使用電流値(単位、アンペア×秒)・を、・・・表示する」という事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた訂正ではない(いわゆる「新規事項」である)から、本件訂正は、特許法第126条第2項の規定に適合しない。 第1図に、「A・sec」という記載および対応深度の電流値のグラフは記載されているが、対応深度範囲毎における、杭穴掘削時の掘削機の使用電流値(単位、アンペア×秒)が表示されているとはいえない。 3.手続補正書の補正の内容の検討 (1)平成12年10月17日付け手続補正書において、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項3中、「同一現場の標準貫入試験におけるN値と、対応深度範囲毎における」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「同一現場の標準貫入試験におけるN値と、対応深度毎における」と補正することを補正事項の一部としている。 (2)しかしながら、上記のように特許請求の範囲を補正することは、訂正審判書における訂正事項の削除や軽微な瑕疵の補正にとどまらず、特許請求の範囲の訂正事項を変更するものであり、請求書の要旨を変更するものである。 したがって、特許請求の範囲の当該補正を含む平成12年10月17日付け手続補正書は、訂正審判書の要旨を変更するものであって、特許法第131条第2項の規定により適法なものとは認められない。 4.訂正拒絶理由通知の適正性について (1)上記3に記載したように、平成12年10月17日付け手続補正書は適法なものとは認められないことから、本件訂正請求書により訂正しようとする特許請求の範囲は、平成12年7月21日付け訂正審判請求書に添付された明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりと認められる。 (2)そして、上記2に記載したように、当審において、平成12年7月21日付け訂正審判請求書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1および3における「対応深度範囲毎における、杭穴掘削時の掘削機の使用電流値(単位、アンペア×秒)・を、・・・表示する」という事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた訂正ではない(いわゆる「新規事項」である)から、先の訂正拒絶理由通知における判断は適正なものであり、本件訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しないので、本件訂正請求による訂正は適法な訂正とは認められない。 (3)平成12年10月17日付け意見書において、審判請求人は、参考資料1ないし3を添付するとともに、 『単位、アンペア×時間について 従来「アンペア×時間」の単位は、積算電流計で使用され、「回路の電流の時間についての積分値(つまり電気量)を測定する計測器の単位」(単位A・h)としてふつうに使用されている(参考資料1)。従って単位A・hが記載されて居れば、当然一義的に積算値と読まれる。また電気量の単位はA・s(アンペア・秒)であるから(参考資料2、3)、前記A・hと、A・sが使用されることは明らかである。前記のように、本件発明の図面に示された電流値A・sは、所定の深さ範囲の積算電流値であり、該電流値をプロットして折線グラフを描いたものである。前記において、一定の深さ範囲の電流値(積算)は、地層の性質によって異なる。例えば堅い地層を掘削する場合は大きな積算電流値となり、軟らかい地層を掘削する場合は小さな積算電流値となるので、N値と対応することになる。一方瞬間的電流値(一般電流計)の場合には、所定深度(一点)の電流の多寡を示すもので、地層の性質を表すものではないから、地層の性質を示すN値との関連性はなく、地質の推定もできないということができる。』旨 主張している。 (4)しかしながら、「アンペア×時間」の単位は、積算電流計で使用され、「回路の電流の時間についての積分値(つまり電気量)を測定する計測器の単位」(単位A・h)としてふつうに使用されていること、電気量の単位はA・s(アンペア・秒)であり、A・hと、A・sが使用されることが従来から知られているとしても、本件特許において、第1図に「A・sec」という記載はあるが、この欄は「電流記録値」の欄であり、明細書に、「電流記録値は、杭穴掘削時の電流測定値をそのまま描かせ、又は電流測定値のグラフを対比深度に合わせて貼着する。」(特許公報第2頁第3欄30行~第4欄第1行)と記載されているだけで、積算電流計を使用すること及び所定の深さ範囲の電流値であって、かつ積算電流値(つまり電気量)を描かせることについては何ら記載はなく、さらに、「所定の深さ範囲」と、「積算時間」との関係も不明であるから、請求人の上記主張は採用できない。 5.まとめ 以上のように、本件訂正審判請求による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた訂正ではなく、本件訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しないので、適法な訂正とは認められない。 |
審理終結日 | 2000-11-07 |
結審通知日 | 2000-11-17 |
審決日 | 2000-11-28 |
出願番号 | 特願平2-210746 |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Z
(E21B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川島 陵司 |
特許庁審判長 |
片寄 武彦 |
特許庁審判官 |
斎藤 利久 鈴木 憲子 |
登録日 | 1998-06-12 |
登録番号 | 特許第2789379号(P2789379) |
発明の名称 | ボーリングデーターの表示方法 |
代理人 | 涌井 謙一 |
代理人 | 鈴木 正次 |