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審決分類 審判 訂正 判示事項別分類コード:813 訂正する B65H
審判 訂正 旧特126条1項1号 請求の範囲の減縮 訂正する B65H
管理番号 1045820
審判番号 訂正2001-39039  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-20 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-03-16 
確定日 2001-06-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2971659号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2971659号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2971659号発明(平成4年1月31日特許出願、平成11年8月27日設定登録。)の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項aないし訂正事項eのとおりに訂正することを求めるものである。
訂正事項a;請求項3を削除する。
訂正事項b;請求項1については、訂正をしない。
訂正事項c;請求項2の記載の内、「前記装置本体側に給紙される方向、及び/又は前記装置本体より排紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」との記載を、「前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」と訂正し、又、「前記ユニット内の該記録紙」との記載を、「前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙」と訂正する。
訂正事項d;前記訂正事項cの請求項2の訂正に対応させて明細書の発明の詳細な説明の段落【0011】を下記のとおり訂正する。
「そして、請求項2に係る第二の発明の特徴とする所は、
(ロ) 前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする。」
訂正事項e;前記訂正事項aの請求項3の削除に対応させて、訂正前の明細書の発明の詳細な説明の段落【0012】、段落【0013】、段落【0018】及び段落【0040】を削除する。
2.当審の判断
2-1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
そこで、上記訂正事項aないし訂正事項eについて検討する。
上記訂正事項aは、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する訂正である。
上記訂正事項bは、請求項1の記載を何ら訂正しないことを記載したにすぎないものである。
上記訂正事項cは、請求項2の記載の内、「前記装置本体側に給紙される方向、及び/又は前記装置本体より排紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」との記載を、「前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」と訂正し、又、「前記ユニット内の該記録紙」との記載を、「前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙」と訂正するものであるが、前者の訂正は、一又は複数のユニットの搬送速度がどの方向の搬送速度であるかを限定することによって、記載を明りょうにするものであり、また、後者の訂正は、「前記ユニット内の該記録紙」の意味を明りょうにして記録紙を限定するものである。
したがって、訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮と明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。
上記訂正事項dは、上記訂正事項cの訂正に対応させて発明の詳細な説明の記載を整合させるために段落【0011】を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。
上記訂正事項eは、上記訂正事項aの訂正に対応させて発明の詳細な説明の記載から削除した請求項3に関する記載を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。
そして、上記訂正事項aないし訂正事項eは、願書に最初に添付した明細書又は図面の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-2.独立特許要件について
本件特許第2971659号発明については、訂正前の請求項2,3に係る発明について異議申立てがなされ、訂正前の請求項2,3に係る発明について取消理由の通知がなされ、訂正前の請求項2,3に係る発明について取消決定がなされ、その後、権利者を原告として東京高等裁判所に平成13年(行ケ)21号として出訴されている。
そして、訂正された請求項1に係る発明(以後、「本件訂正発明1」という。)については、実質的に訂正されておらず、何ら独立特許要件がないとする証拠は発見しないものであるから、上記訂正事項cで訂正された請求項2に係る発明について異議申立の証拠に基づいて独立特許要件の有無を検討する。
2-2-1.訂正後の請求項2に係る発明
本件の訂正後の請求項2に係る発明(以後、「本件訂正発明2」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項2】 外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、
前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、
前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする画像形成システム。」
2-2-2.刊行物の記載事項
異議申立人の提出した刊行物1(特開昭63-112326号公報)には、片面記録済みの用紙を表裏反転して再給紙する両面装置を記録装置本体に組合せて成る両面記録装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
記載事項ア;「記録装置本体はレーザ光書込装置3により感光体ドラム4に書込みを行なうプリンタ1であり、片面記録された用紙を表裏反転して再給紙する両面装置はオプションテーブル2中に設けられている。感光体ドラム4に対する記録紙の給紙は、プリンタ本体1に設けられた第1,第2給紙カセット11,12からのみならず、オプションとして別に組合された大量給紙トレイ13からも行なわれる。」(第2頁左上欄4行~12行)
記載事項イ;「給紙カセット11,12又は13から給紙コロ24により送り出された用紙はレジストローラ8の直前にあるレジストセンサ23により先端が検知されると、・・・中略・・・レジストローラ8が回転すると遅滞なく、感光体ドラムに送り出され、転写器6の作用により感光体ドラム4上に現像器5により現像されて形成されたトナー像が転写される。トナー像の転写された用紙は定着器7で定着され、・・・中略・・・両面プリントの場合は、片面記録の定着後、切換爪14により、下向きの経路を選択され、用紙はこの経路を搬送され搬送ローラ16によりオプションテーブル2の両面装置に送り込まれる。」(第2頁左上欄14行~右上欄15行)
記載事項ウ;「両面記録時片面記録済みの用紙の先端が反転センサ17で検知されると、両面装置の図示しないCPUにより各用紙サイズ毎に定められた時間の後(用紙後端が本体側の最後の搬送ローラ16を抜ける迄の時間の後)、パルスモータの回転速度を、記録装置本体1の搬送速度より速い搬送速度になるように切換える。用紙が反転ガイド19に完全に挿入されると駆動源は一たん停止し逆転する。これにより用紙は反転ガイド19から戻されて、両面搬送部21を経てレジストローラ8に達し、その先端が喰え込まれ、再スタートすると、両面装置の駆動源は元の速度に切換えられる。このように両面装置の駆動源の速度を切換えることにより、用紙が記録装置本体の搬送ローラと両面装置の搬送ローラの両方に跨って搬送されるときは両装置の搬送速度は等しくなり、用紙に無理が掛ることなく、用紙が両面装置の搬送ローラのみによって搬送されるときは搬送速度を速くして、プリント速度を速くすることが可能となる。」(第3頁左上欄10行~右上欄9行)
同じく提出した刊行物2(特開平2-204066号公報)には、両面プリント機能を有する画像形成装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
記載事項エ;「なお、60はレジストセンサ,61は定着出口センサである。
次に、テーブル10内には、反転用搬送路65及び待機用搬送路66と、ペーパ進路変更爪67と、搬送手段である3組のクラッチ付き搬送ローラ路68,69,70及び給紙ローラ75,76と、両面入口センサ71及び両面出口センサ72,テーブル出口センサ78,両面用ドライブモータ73等からなる両面プリント用ユニット(DPX)6を内蔵し、さらに大量給紙ユニット(LCIT)7からのペーパを給紙するための給紙コロ74及びLCITドライブモータ77等も内蔵している。
なお、両面用ドライブモータ73は搬送ローラ68及び搬送ローラ69,70とギヤ等を介して連結され、それらを回転駆動するためのモータでるが、搬送ローラ69,70との間にはワンウエイクラッチを介装しており、このモータ73の正回転時には各搬送ローラ68,69,70がいずれも用紙を矢印a方向に送るように回転されるが、モータ73の逆回転時には搬送ローラ68のみが用紙を矢印b方向に送るように回転され、搬送ローラ69,70は回転しない。
また、LCITドライブモータ77は、給紙コロ74及び給紙ローラ75,76を回転駆動するためのモータである。
そして、これらの両面用ドライブモータ73及びLCITドライブモータ77は、ステッピングモータ等の速度制御が可能なモータからなる。」(第3頁左下欄14行~第4頁左上欄1行)
記載事項オ;「プリントシーケンスが開始されると、所定のタイミングで給紙コロ19,20,74のいずれかを駆動して、上給紙カセット2,下給紙カセット3,あるいはLCIT7のいずれか選択されたものから給紙を開始し、給紙ローラ21,22,75のいずれかによってペーパ(用紙)を給送し、レジストローラ23に突き当てた状態で一時停止させる。
一方、感光体ドラム29は第3図の矢示方向へ回転し、帯電部チャージャ34によって帯電された表面に、レーザ書込みユニット40によって画像データに応じて変調されたレーザビームをドラム軸方向に主走査しながら照射して露光し、潜像を形成する。
その潜像を現像ユニット35からのトナーによって現像し、レジストローラ23によって所定のタイミングで給送されるペーパに、転写チャージャ30によって転写する。
その転写されたペーパを感光体ドラム29から剥離して、搬送ベルト24によって定着器31へ搬送し、定着器31で加熱定着した後送出ローラ25によって排紙部へ送出する。」(第4頁右上欄12行~左下欄13行)
記載事項カ;「両面プリントが選択されている時には、片面にプリントされたペーパは下搬送ローラ28によって本体1内からテーブル10内の両面プリント用ユニット6に送り込まれる。
そして、まず反転用搬送路65に送り込まれた後、搬送方向を逆転して待機用搬送路66へ搬送されて待機し、所定のタイミングで給紙ローラ76によって本体1へ送りこまれて、前述と同様にして他方の面にプリントされ、その後いずれかの排紙トレイに排紙される。」(第4頁右下欄8行~17行)
記載事項キ;「第11図は第5図のテーブルCPUによるこの発明係る制御処理のフローチャートであり、両面プリントが開始されると、図示しないドライバを介して両面用ドライブモータ73を低速で逆回転させ、両面プリント用ユニット6内の搬送ローラ68による用紙の搬送速度が本体1内の下搬送ローラ28による用紙の搬送速度と略等速となるように搬送ローラ68の回転を制御する。
したがって、片面にプリントがなされた後、下搬送ローラ28によって本体1内から両面プリント用ユニット6に送られた用紙は、下搬送ローラ28と搬送ローラ68とによって(用紙の後端が下搬送ローラ28を離脱した後は搬送ローラ68のみによって)本体1内における搬送速度と略同一の速度で反転用搬送路65内に搬送される。
また、テーブルCPU120は、図示しないドライバを介してLCITドライブモータ77を高速で回転させ、給紙ローラ76による用紙の搬送速度が、本体1内におけるレジストローラ23,搬送ベルト24,送出ローラ25,下搬送ローラ28等による用紙の搬送速度よりも速くなるように給紙ローラ76の回転を制御する。
次に、上述のように反転用搬送路65に送られた用紙の後端が両面入口センサ71に到達したか否かを、第9図(イ)に示す両面入口センサ71の検出信号から判定する。そして、未だ用紙の後端が両面入口センサ71に到達していなければこの判定を繰り返し、到達したと判断した場合には、両面用ドライブモータ73の回転を第9図(ロ)に示すように高速の正回転に切換える。
このようにして両面用ドライブモータ73の回転が高速の正回転に切換えられることによって、搬送ローラ68,69,70は用紙を第3図の矢印a方向に搬送するように高速で回転し、反転用搬送路65内から用紙を本体1内における用紙の搬送速度より速い速度で待機用搬送路66内へ搬送する。
次に、待機用搬送路66内を搬送された用紙の先端がテーブル出口センサ78に到達したか否かを、第10図(ロ)に示すテーブル出口センサ78の検出信号から判定する。そして未だ用紙の先端がテーブル出口センサ78に到達していなければその判定を繰り返し、到達したと判断した場合には、所定の時間(用紙の先端が給紙ローラ75,76からレジストローラ23に到るまでの時間内で任意に設定される時間)経過時にLCITドライブモータ77の回転を第10図(ハ)に示すように高速から低速に切換える。
したがって、給紙ローラ75,76は、用紙の先端がテーブル出口センサ78に到達した後所定の時間が経過するまでは高速で回転され、用紙を両面プリント用ユニット6内から本体1内に、本体1内における用紙の搬送速度よりも速い搬送速度で送り出す。そして用紙の先端がレジストセンサ60(レジストローラ23)に到達するまでには、第10図(イ),(ハ)に示すようにLCITドライブモータ77の回転が低速に切換えられて、給紙ローラ75,76の回転が低速にされるので、用紙は給紙ローラ75,76によって、本体1内における用紙の搬送速度と略等速でレジストローラ23に供給されることになる。」(第7頁右下欄4行~第8頁左下欄4行)
記載事項ク;「また、本体1内の搬送手段である下搬送ローラ28と両面プリント用ユニット6内の搬送手段である搬送ローラ68の両方によって用紙が搬送されている場合、本体1内のレジストローラ23と両面プリント用ユニット6内の給紙ローラ76の両方によって用紙が搬送されている場合には、搬送ローラ68及び給紙ローラ76は、それぞれ下搬送ローラ28及びレジストローラ23による用紙の搬送速度と略等速で用紙を搬送するようにその用紙が制御される。従って、搬送ローラ68あるいは給紙ローラ76による用紙の搬送速度と、下搬送ローラ28あるいはレジストローラ23による用紙の搬送速度に差があることにより生ずる搬送ローラ68と下搬送ローラ28間及び給紙ローラ76とレジストローラ23間における用紙の引張りよる破断,あるいは用紙の撓み,折れ曲り等が防止される。」(第8頁右下欄4行~20行)
記載事項ケ;「本体1内から両面プリント用ユニット6内に送られてきた用紙の先端が、両面入口センサ71に到達したことを第12図(イ)に示す両面入口センサ検出信号から検知すると、上記用紙サイズ情報に基づいてその時点から用紙の後端が下搬送ローラ28を離脱するまでの時間を算出し、その時間が経過した時に図示しないドライバを介して両面用ドライブモータ73の逆回転速度を第13図(ロ)に示すように上げてやる。」(第9頁左上欄7行~15行)
記載事項コ;「エンジンドライバ110のシーケンス制御部111が、第3図に示した定着出口センサ61による第13図(イ)に示す検出信号から、用紙の後端定着出口がセンサ61を通過したことを検知すると、シーケンス制御部111またはテーブルCPU120は、その時点から用紙の後端が下搬送ローラ28を離脱するまでの時間を算出する。そして、その算出した時間が経過すると、テーブルCPU120は図示しないドライバを介して両面用ドライブモータ73の逆回転速度を第13図(ハ)に示すように上げてやる。」(第9頁右上欄6行~17行)
同じく提出した刊行物3(特開昭64-46770号公報)には、定着後の用紙を速やかに搬出する用紙搬送装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
記載事項サ;「前記第1ガイド板21の入口部には定着装置16から排出される用紙を検出する用紙検出センサS1が配置され、第4ガイド板24の出口部には用紙の排出完了を検出する用紙検出センサS2が配設されている。
一方、前記中継搬送ローラ25は、第1図及び第2図に示す変速手段40により複写機本体の複写速度と等しい第1の速度と上記第2の速度に切換えることができるように成されている。」(第3頁左上欄16行~右上欄4行)
記載事項シ;「ステップ#3で用紙検出センサS1のオフ・エッジを検出し、用紙後端が通過したことを検出すると、ステップ#4で電磁クラッチ41をオンし、用紙搬送速度をより速い第2の速度にする。その結果、用紙は次の用紙に影響されることなく、そのまま第2の速度で第1、第2搬出ローラ26、27及び排出ローラ28で搬送されて速やかに排出される。」(第3頁左下欄15行~右下欄2行)
記載事項ス;「上記実施例では複写機本体内に設けられた用紙搬送装置の例を示したが、ソーター等、複写機本体に接続される各種用紙処理装置にも同様に適用し得ることは言うまでもない。」(第3頁右下欄18行~第4頁左上欄1行)
同じく提出した刊行物4(特開平4-20442号公報)には、画像形成装置における用紙搬送装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
記載事項セ;「1.互いに圧接した状態で回転して用紙を搬送する2対以上の搬送ローラ対を有する画像形成装置において、
前記各搬送ローラ対は、となり同士の搬送ローラ対の用紙搬送速度が異なる速度で回転し、前記用紙を前記搬送ローラ対にまたがって搬送する時、用紙が下流側の搬送ローラ対に到達した時に少なくとも上流側の搬送ローラ対から用紙が離脱する間、上流側の搬送ローラ対の用紙搬送速度が下流側の搬送ローラ対の用紙搬送速度に等しくなるように制御したことを特徴とする用紙搬送装置。
2.前記上流側の搬送ローラ対の用紙搬送速度が下流側の搬送ローラ対の用紙搬送速度に対して速い回転速度であることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。」(特許請求の範囲の欄)
2-2-3.対比・判断
上記刊行物1に記載された記載事項ア~ウからみて、刊行物1に記載された発明の「プリンタ1(記録装置本体)」、「オプションテーブル2の両面装置」、「パルスモータの回転速度を記録装置本体1の搬送速度より速い速度になるように切換えること」及び「両面記録装置」は、各々本件訂正発明2の「画像形成装置本体」、「紙反転ユニット」、「ユニットの搬送速度を装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成すること」及び「画像形成システム」に相当し、また、刊行物1に記載された発明のオプションテーブル2の両面装置も、プリンタ1の下面に連設されて積層配置されるものであるから、本件訂正発明2の用語を使用して本件訂正発明2と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体に複数の給紙ユニット及び一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、前記一の紙反転ユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一の紙反転ユニットとを積層配置させ、前記一の紙反転ユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した画像形成システム。」で一致しており、下記の点で相違している。
相違点;本件訂正発明2では、装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の給紙される方向における搬送速度を第1の搬送速度から第2の搬送速度に速度切換え可能に構成しているのに対して、刊行物1に記載された発明では、反転センサ17によって定着手段出口側の最後の搬送ローラ16の出口側に用紙(記録紙)後端が到達した事を検知して、オプションテーブル2内の両面記録装置での当該用紙の搬送速度を第1の搬送速度から第2の搬送速度に速度切換え可能に構成している点。
上記相違点について検討するに、刊行物1に記載された発明では、反転センサ17による最後の搬送ローラ16の出口側に用紙の後端が到達した事を検知する技術的意義は、用紙が本体側の最後の搬送ローラ16を抜けたときに当該用紙の搬送速度を増速(第1の搬送速度から第2の搬送速度への速度切換え)するためのものであって、本件訂正発明2の定着手段出口側に設ける検知手段のように反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の給紙される方向における搬送速度を増速(第1の搬送速度から第2の搬送速度への速度切換え)させるための検出手段ではないから、刊行物1に記載された技術事項からは、記録紙の定着手段からの抜け出しを検知して反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の給紙される方向における搬送速度を増速するという技術事項を想到するための契機がないものである。
刊行物2~4にも、上記記載事項エ~セとして摘記したように、定着手段出口側を抜け出した用紙それ自体について増速することが記載されているにとどまるものである。
そうすると、刊行物1~4には、本件訂正発明2のように記録紙の定着装置からの抜け出しを検知することによって、反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の給紙される方向における搬送速度を増速するという技術事項を想到させるための記載或いは示唆する事項がないものであるから、例え、当業者が刊行物1~4に記載された技術事項を総合勘案したとしても本件訂正発明2の上記相違点については容易に想到することができるものとは認めることができない。
したがって、本件訂正発明2は、刊行物1~4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができない。
また、他に本件訂正発明2について、独立特許要件がないとする証拠も発見しない。
2-2-4まとめ
よって、本件訂正発明1,2が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、平成6年法附則第6条第1項によるなお従前の例によるとされる特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項~第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、
前記装置本体に組込まれたレジスト手段入口側に記録紙始端が到達した事を検知する第1検知手段と、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する第2検知手段とを具え、
前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
少なくとも前記装置本体側に給紙される方向における一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前位の記録紙が前記装置本体内において前記第1検知手段で検知してから前記第2検知手段で検知するまでの間(以下、画像形成中)か否かを検知し、
前位の記録紙が画像形成中の場合は前記一又は複数のユニット内の後位の記録紙の前記装置本体への搬送速度を前記第1の搬送速度とし、前位の記録紙を前記第2検知手段で検知してから、前記後位の記録紙を前記第1検知手段で検知するまでの間、前記後位の記録紙の前記装置本体への搬送速度を前記第2の搬送速度に切り換えるように構成した事を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】 外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、
前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、
前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は画像形成装置本体に給紙ユニット、及び/又は紙反転ユニット又は必要に応じて前記ユニットの一部をなす記録紙搬送ユニットあるいはソータユニットの内、選択された一又は複数のユニットを連設配置してなる画像形成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より複写機、プリンタ等を形成する画像形成装置においては、装置本体自体の機能を極力最小限に押え、ユーザの使用目的により給紙カセットが収納された給紙ユニット、両面印刷を行なうために印刷後の記録紙を反転させて装置本体に戻入させる紙反転ユニット、及び印刷後の記録紙の仕分けを行なうソータ等を夫々ユニット化し、該ユニットを適宜選択して装置本体側に装着する事により、使用目的に合致した画像形成システムが形成し得るように構成したものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さて前記システムの内、給紙ユニットとともに紙反転ユニットを装着したシステムにおいては、装置本体より排出された記録紙が、該ユニット内でスイッチバックした後、再度装置本体に戻入される構成を取るために、その搬送距離が無用に延びる。
この為例えば実公平2-29063号に示す如く、搬送路が最も長くなる紙反転ユニットを装置本体に隣接配置し、一方給紙ユニットはその下方に配置し、全体としての搬送速度のバランスを取っているが、この様に構成すると、紙反転ユニットの搬送距離の無用な増長を抑える代りに、給紙カセットを収納した給紙ユニット内と装置本体間距離が大になり、時間当たりのプリント枚数が大幅に低下する。
かかる欠点を解消するために、前記印字速度自体を早くすると、装置本体内に配設した潜像書込み、現像、転写、及び定着等の各プロセス手段の品質要求が厳しくなり、コストアップにつながる。
【0004】
又、装置本体側の印字速度と、ユニット側の搬送速度を異ならせる方法も考えられるが、このような方法を取ると両者の整合性を取るのが中々困難であり、特に連続印刷する場合には、前位の記録紙をレジスト中に後位の記録紙がレジスト位置に到達し、いわゆる記録紙の重合が生じてしまう恐れが大である。
【0005】
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、印字速度自体の高速化を図る事なく、又装置本体と各ユニット間の搬送距離が長くなっても円滑な所定印字枚数を確保し得る画像形成システムを提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
請求項1に係る本発明は、外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムに適用されるものである。
すなわち、図1に示すように、手差し給紙ユニット7、あるいは給紙ユニット3A、3B等により外部から記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えている。
そして、装置本体に一又は複数の給紙ユニットが連設する場合、一の紙反転ユニットが連設する場合、また、一の紙反転ユニットと一又は複数の給紙ユニットが連設する場合を含むものである。
【0007】
また、請求項1は、前記装置本体に組込まれたレジスト手段入口側に記録紙始端が到達した事を検知する第1検知手段と、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する第2検知手段とを具え、
前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させて構成している。
【0008】
そして、請求項1に係る第一の発明の特徴とする所は、
(イ) 装置本体側に給紙される方向における一又は複数の前記ユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前位の記録紙が前記装置本体内において前記第1検知手段で検知してから前記第2検知手段で検知するまでの間(以下、画像形成中)か否かを検知し、
前位の記録紙が画像形成中の場合は前記一又は複数の前記ユニット内の後位の記録紙の前記装置本体への搬送速度を前記第1の搬送速度とし、前位の記録紙を前記第2検知手段で検知してから、前記後位の記録紙を前記第1検知手段で検知するまでの間、前記後位の記録紙の前記装置本体への搬送速度を前記第2の搬送速度に切り換えるように構成した点にある。
【0009】
また、請求項2に係る本発明は、外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムに適用されるものである。
すなわち、図1に示すように、手差し給紙ユニット7、あるいは給紙ユニット3A、3B等により外部から記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えている。
そして、装置本体に一又は複数の給紙ユニットが連設する場合、一の紙反転ユニットが連設する場合、また、一の紙反転ユニットと一又は複数の給紙ユニットが連設する場合を含むものである。
【0010】
また、請求項2は、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、
前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させて構成している。
【0011】
そして、請求項2に係る第二の発明の特徴とする所は、
(ロ) 前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明は前記課題を達成するために、請求項1に記載するように、給送速度を工夫し、少なくとも装置本体側に給紙される方向における一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成し、前記装置本体内の記録紙が画像形成中か非画像形成時かによって、後位の記録紙のレジストローラヘの搬送速度を切り換えることができる。
尚、画像形成中か否かは、前記装置本体に組込まれたレジスト手段入口側に記録紙始端が到達した事を検知する第1検知手段と、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する第2検知手段とにより、前位の記録紙が前記装置本体内において前記レジスト手段入口側に始端が到達してから前記定着手段出口側に後端が到達するまでの間を画像形成中と認識することによって検知することができる。
【0013】
よって、1枚の記録紙をレジストで搬送中か否かによって(すなわち、前位の記録紙が画像形成中か否かによって)、別の記録紙をユニットから搬送する速度を切り換えることができ、非画像形成時においては、前記後位の記録紙の前記装置本体への搬送速度を前記第2の搬送速度に切り換えて、レジスト手段入口側まで高速で搬送し、搬送時間を短縮することができる。
【0014】
これにより、前位と後位の記録紙との間の間隔を維持しながら前位の記録紙の印字を行なう事が出来、いわゆる、記録紙の重合が生じてしまう恐れを解消し得る。
そして、かかる構成により印字速度を高速度化する事なく、給送速度のみを高速化し得るために、装置本体側の品質要求やコストアップを抑えつつ給紙速度の向上により前記欠点の解消を図る事が出来る。
【0015】
また、本発明は、請求項2に記載するように、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、該検知手段よりの信号に基づいて、速度切換え可能に構成することにより、次の印字も開始されない場合には、両面印字の場合高速で再び前記装置本体まで搬送し、裏面の印字をスムーズに行うことができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0017】
図1及び図2は本発明の実施例に係るシステムプリンタで、上方よりパスユニット2が排紙側に取付けられた装置本体1、一又は複数の給紙ユニット3A、3B、紙反転ユニット4、及びソータユニット5を位置決めピン9を介して順次積層配置されている。
尚、6は給紙ユニット3A、3B内の小サイズの紙を給紙する場合に必要なローラユニット、7はエンベロップフィーダ兼用の手差し給紙ユニット、8は排紙トレーでパスユニット2若しくは装置本体1の排出口に選択的に接続される。
【0018】
次に記録紙の流れに従って各ユニットを説明するに、装置本体1は内蔵カセット11と手差し給紙ユニット7若しくは下段側の給紙ユニット3A、3Bより選択的に給紙ローラ13を介してレジスト位置まで記録紙を給紙された後、感光体ドラム14のトナー像に同期させてレジストローラ15を回転させる事により該記録紙が転写位置に導かれ、前記トナー像を転写器16により転写させた後、定着ローラ17に挿通させながら画像定着を行ない、排紙ローラ18を介して分岐位置に導かれる。そして分岐レバー61のレバー操作により反転排紙ガイド19若しくはパスユニット2側に排紙される。
反転排紙ガイド19に挿通された記録紙はそのまま上面の排紙トレー部20に挿通され、反転排紙される。
【0019】
一方パスユニット2に挿通された記録紙はレバー62の操作によりそのまま排紙トレー8に排紙されるか、若しくは搬送ローラ22を介して給紙ユニット3Aの搬送路73側に挿通されるか選択され、給紙ユニット3A側に選択された場合は第1の給紙ユニット3Aの搬送ローラ31A、第2の給紙ユニット3Bの搬送ローラ31Bを介して、紙反転ユニット4の搬送ローラ41より分岐レバー63位置に導かれる。
【0020】
そして前記記録紙が片面印刷を行なう場合は、そのまま搬送ローラ51を介してソータユニット5側に導かれ、搬送ローラ56及び57を介してソータニット5の各ビン54に挿通され順次仕分け作業を行なうか、若しくは他の搬送ローラ52を介してストッカ55に排紙される。
【0021】
一方両面印刷を行なう場合は前記分岐レバー63の切換えによりスイッチバック路42に導かれ、スイッチバックローラ43により一旦該バック路42内に退避させた後、レバー44の切換えと同時に前記スイッチバックローラ43を反転させ、中間ローラ45、46及び排出ローラ47を介して前面側の給紙ユニット3Bの給送路74に導き、該前面側に位置する給紙ユニット3A、3Bの給送ローラ32A、32Bを介して装置本体1のレジストローラ15入口端に導く。
【0022】
一方、給紙ユニット3A、3B内には適宜サイズの用紙が収納可能なカセット30A、30Bが内蔵されており、給紙ローラ34A、34Bの駆動回転により夫々給送路側に導かれ、装置本体1側に給送可能に構成している。
そして装置本体1内の内蔵カセット11は前壁1aより、又給紙ユニット3A、3Bについてはカセット30A、30Bが、更に紙反転ユニット4についてはそのユニット要部40が夫々前壁3Aa、3Ba、4aより引出し可能に構成され、記録紙の交換とジャム処理の容易化を図っている。
【0023】
次に前記給紙ユニット3A、3Bの構成について図3に基づいて説明する。
前記したように給紙ユニット3A、3Bは、ユニット後壁側に夫々記録紙が挿通されるスリット81を開口すると共に、該スリット81の所定箇所にローラ31(A、B)を配設し、排紙側の記録紙搬送路となすとともに、該ローラの駆動力の伝達が紙反転ユニット4側より取れるように、歯車列311をユニット下面側まで延設し、紙反転ユニット4側の伝導系(不図示)と歯合可能に構成する。そして前記後壁側のスリット81の前方には仕切壁83を介してカセット収納空間が形成されており、不図示のガイド手段を利用して給紙カセット30(A、B)が前壁より引き出し可能に構成されている。
そして前記仕切壁83とカセット後壁面間には、カセットを前方に付勢する一対のコイルバネ84と、カセット後壁面301に固設したコの字状係合輪302に係合可能な係合爪85が配設され、前記係合爪85は支軸86及びリンク部材87を介してソレノイド80と連結させる。そして該ソレノイド80は、カセット前面に設けたカセット取り出しボタン303のボタン操作により通電制御可能に構成し、これにより該ボタン操作によりソレノイド80がONされるとリンク部材87を介して前記係合爪85が揺動して係合輪302との係合が解除され、コイルバネ84の付勢力により自動的に前記カセット30が前方に飛出し、カセットの取り出しが可能となる。
又前記カセット30の前壁とユニット3上下両壁には記録紙を紙反転ユニット4側から装置本体1側に給送する為のスリット82が開口されるとともに、該上壁側のスリット開口82とカセット30側のスリット開口82の間には該ユニット内のモータM3により駆動制御されるローラ部材32(A、B)を配している。
【0024】
次に前記各ユニットの紙検知センサの配設位置について説明する。
該センサは主としてパス切換えタイミング制御とともに、ジャム検出、更には後記する搬送速度の切換え制御に用いるもので、省部品化を図るためにその為装置本体1側と紙反転ユニット4、及びソ-タユニット5にのみ配設し、給紙ユニット3A、3Bには配設しない。
その配設位置を簡単に説明するに、
▲1▼は手差し給送ローラの入口側に配したプリンタの給紙センサ、▲2▼はレジストローラの入口側に配したレジストセンサで、該センサ検知によりレジスト動作を開始させると共に、対応するユニットの搬送速度の切換え制御を行なう。
▲3▼は定着ローラ17の出口側に配設した排紙センサで、ジャム検知と共に分岐レバー61、62のタイミング制御を行ない、更に記録紙の後端が該排紙センサ▲3▼を通過した時点で対応するユニットの搬送速度の切換え制御を行なう。
▲4▼はパスユニット2の排紙センサ、▲5▼は紙反転ユニット4の給紙センサで分岐レバー63のタイミング制御と反転整合準備を行なう。▲6▼は紙反転ユニット4の給紙/再給紙センサで整合動作と再給紙完了検知を行なう反転検知センサである。
▲7▼はソータユニット5の給紙センサで分岐レバー64のタイミング制御とソート動作準備を行なう。▲8▼及び▲9▼はソータユニット5のビン給紙センサである。
【0025】
さて、前記各ユニット内には夫々CPUよりの制御信号に基づいて印加電圧を切換え可能な駆動モータが内蔵されており、クラッチ及び歯車列等により構成される伝導系を介して、前記した各搬送ローラを駆動制御可能に構成されている。その構成及び作用を図4に基づいて説明する。
装置本体1内に内蔵されたモータM1は印字速度に対応する電圧が印加され、レジストローラ15、感光体ドラム14、定着ローラ17、排紙ローラ18等を駆動制御しながら所定の電子写真プロセスに基づく印字動作を行なう。
そして前記印字動作中、パスユニット2内の駆動モータM2も駆動しているが、その印加電圧は印字速度に対応する電圧V1に設定され、前記印字速度と同期して回転している。
そして前記定着ローラ17の出口側に位置するセンサ▲3▼が記録紙の後端を検知した段階で、CPU90を介して速度切換え用の制御信号をパスユニット2のモータ駆動回路S2に送出し、その印加電圧をV1からV2に変更し、例えば印字速度(60mm/sec)の3~5倍の高速搬送速度(250mm/sec)に切換える。
と同時に紙反転ユニット4及びソータユニット5の駆動モータM4、M5もCPU90より駆動回路S4、S5に送出される制御信号に基づき、高速搬送速度に対応する電圧V2が印加され駆動が開始される。
【0026】
そして前記記録紙をソータユニット5側に搬送する際は、前記紙反転ユニット4の伝導系D4内のクラッチD41の制御により第1及び第2の給紙ユニット3A、3Bの搬送ローラ31A、31Bと紙反転ユニット4の搬送ローラ41のみを駆動させ、そのまま搬送ローラ51を介してソータユニット5側に導き、高速搬送速度でクラッチD51、D52の制御により前記したソーティング動作を行なう。
一方両面印刷を行なう場合は前記レバー63切換えと同期させて前記クラッチD41を連結させる事により、スイッチバック路42内のローラ43が駆動し、高速搬送速度で一旦該バック路42内に退避させた後、レバー44の切換えと同時に反転クラッチ等D42を利用して前記スイッチバックローラ43を反転させ、中間ローラ45、46及び排出ローラ47を介して給紙ユニット3Bの給送路74に導き、給紙ユニット3A、3Bの給送ローラ32A、32Bを介して装置本体1内にレジストローラ15入口側に導く。
尚、給紙ユニット3A、3Bの給送ローラ32A、32Bは反転検知センサ▲6▼の信号に基づいて駆動回路S3A、S3B、モータM3A、M3B及び伝導系D3A、D3Bを介して高速搬送速度に対応する回転速度で駆動が開始される訳であるが、この際給紙ローラ34A、34BはクラッチD31のON状態にあるために駆動力の伝達が解除されており、回転はしない。
【0027】
そして記録紙始端が前記レジストローラ15入口端で検知センサ▲2▼を作動させると、CPU90を介して速度切換え用の制御信号を紙反転ユニット4及び給紙ユニット3A、3Bのモータ駆動回路S4、S3A、S3Bに送出し、その印加電圧をV2からV1に変更し、高速搬送速度から印字速度に切換える。
これにより反転ユニット4から所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の給送速度がダウンし、レジスト位置での重合を避ける事が出来る。
【0028】
一方、給紙ユニット3A、3B内のカセット30A、30Bより記録紙を給送する場合は、前記定着ローラ17の出口側に位置するセンサ▲3▼が前位の記録紙の後端を検知した段階で、後位の記録紙の搬送速度を高速搬送速度にし、後位の記録紙の始端が前記レジストローラ15入口端で検知センサ▲2▼を作動させるまで高速給紙を行なう。しかしながら、給紙ユニット3A、3Bと装置本体1間が連設して上下に積層配置しているために、前記した速度切り換えを必ずしも行なわなくてもよく、画像形成速度で後位の記録紙を前記レジストローラ15入口端に向かって搬送してもよい。
尚、給紙ユニットのカセット30は前記給紙及び排紙動作中若しくは反転動作中CPU90を介して前記ソレノイド駆動回路91にロック信号を送出する事により、前記カセット取り出しボタン303のボタン操作によってもソレノイド80が作動しないように構成し、カセット30の取り出しを阻止する。
【0029】
そして前記ソレノイド80のロックは、ソータユニット5入口側に配したセンサ▲7▼を記録紙が通過するまで継続し、該センサ▲7▼を記録紙が通過した後、CPU90を介して前記ソレノイド駆動回路91にロック解除信号を送出し、前記カセット30取り出しを許容させる。
【0030】
尚、上述した実施例においては、前記給紙ユニットを装置本体と紙反転ユニット間に介装した場合、最も問題となるのが該ユニット内に内蔵した給紙カセットである。
即ち給紙カセットは記録紙交換若しくはジャム処理の為に、適宜ユニットより引出さざるを得ず、この為該給紙カセット収納部を迂回して搬送路を形成せねばならず、結果として搬送距離が増加しやすい。
【0031】
そこで、給紙カセット内に直接搬送路を設け、該搬送路を例えば紙反転ユニットより装置本体側へ記録紙を搬送させる導通路を形成したために、前記導通路を迂回させる事なく最も短距離で前記導通路が形成できる。
又ジャム等が発生した場合においても前記カセット取り出しにより容易に導通路が開放され、ジャム処理が可能となる。
【0032】
また、本実施例においては、最も使用頻度の高い給紙ユニットを装置本体下面に直接連設させて、その下に紙反転ユニットを積層配置することができる。
かかる構成によれば、従来技術とは逆に紙反転ユニットと装置本体間の距離が大になるが、使用頻度の高い給紙ユニット側の給送距離が小になる為に使用頻度を加味したトータルとしての搬送時間は大幅に減少する。
しかしながら前記の構成を取るからには紙反転ユニットと装置本体間の距離とその搬送に要する時間を極力小にする工夫を懲らさなければ、紙反転ユニット側の犠牲が余りにも大きくなる。
そこで、前記一又は複数のユニットの搬送速度を切換え可能に構成することにより、片面の画像形成を終了した記録紙を画像形成時よりも高速で搬送するように構成している。
【0033】
【発明の効果】
以上記載の如く、本発明によれば、記録紙の搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成して、状況によって搬送速度を切り換えているので、給送速度のみを高速化し得るために、装置本体側の品質要求やコストアップを抑えつつ給紙速度の向上により前記欠点の解消を図る事が出来る。
【0034】
また、請求項1記載の発明は、ユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成し、前記装置本体内の記録紙が画像形成時か非画像形成時かによって、後位の記録紙のレジストローラヘの搬送速度を切り換えることができるので、1枚の記録紙をレジストで搬送中でない場合には、後位の記録紙を前記第2の搬送速度で搬送することができ、搬送時間を短縮することができる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明によれば、レジスト手段入口側に記録紙始端が到達した事を検知して、記録紙の搬送速度が切り換えできるので、レジスト手段入口側に記録紙始端が到達するまでは高速搬送した記録紙を印字速度に切換えることができ、前位と後位の記録紙との間の間隔を維持しながら印字を行なう事が可能であり、前位の記録紙と後位の記録紙との重合が生じてしまう恐れを解消し得る。
【0036】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知する検知手段を具え、該検知手段よりの信号に基づいて、速度切換え可能に構成することにより、次の印字も開始されない場合には、両面印字の場合高速で再び前記装置本体まで搬送し、裏面の印字をスムーズに行うことができる。
等の種々の著効を有す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るプリンタシステムの内部構成を示す全体図。
【図2】 図1に示すプリンタシステムの個々のユニットの取付け状態を示す外観図。
【図3】 図2に使用する給紙ユニットの内部状態を示す分解斜視図。
【図4】 図1に示すプリンタシステムにおける搬送系のブロック図。
【符号の説明】
1 装置本体
3A、3B 給紙ユニット
4 紙反転ユニット
5 ソータユニット
30 給紙カセット
72~77 搬送路
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項1;
特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項3削除する。
訂正事項2;
請求項1については訂正しない。
訂正事項3;
特許請求の範囲の減縮と明りょうでない記載の釈明を目的として、請求項2の記載の内、「前記装置本体側に給紙される方向、及び/又は前記装置本体より排紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」との記載を、「前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を」と訂正し、又、「前記ユニット内の該記録紙」との記載を、「前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙」と訂正する。
訂正事項4;
明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0011】を下記のとおり訂正する。
「そして、請求項2に係る第二の発明の特徴とする所は、
(ロ) 前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする。」
訂正事項5;
明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正前の明細書の発明の詳細な説明の段落【0012】、段落【0013】、段落【0018】及び段落【0040】を削除する。
審理終結日 2001-04-26 
結審通知日 2001-05-15 
審決日 2001-05-28 
出願番号 特願平4-40635
審決分類 P 1 41・ 811- Y (B65H)
P 1 41・ 813- Y (B65H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関谷 一夫  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 吉国 信雄
市野 要助
登録日 1999-08-27 
登録番号 特許第2971659号(P2971659)
発明の名称 画像形成システム  
代理人 高橋 昌久  
代理人 高橋 昌久  

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