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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 B01D |
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管理番号 | 1062931 |
異議申立番号 | 異議1998-74452 |
総通号数 | 33 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-01 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-09-04 |
確定日 | 2000-12-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2733708号「排気口のフィルター装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2733708号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
(1)手続の経緯 特許第2733708号の特許請求の範囲第1項ないし第3項に記載の発明は、平成2年9月22日に特許出願され、平成10年1月9日にその特許の設定登録がなされたものである。 これに対し、その後東洋アルミホイルプロダクツ株式会社より請求項1に対し特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年3月4日に訂正請求がなされたが、この訂正請求に対し訂正拒絶理由通知がなされ、平成11年9月28日付で意見書が提出されている。 (2)訂正の適否 (訂正請求の内容) 訂正請求は、特許請求の範囲の滅縮および明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるところ、その訂正された請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「(1)難燃性の不織布からなって、排気口より広いシート状のフィルター部材と、前記排気口に直接被せた状態の前記フィルター部材の周辺部のみに散在的に配置され、該フィルター部材を前記排気口の周辺部のみに止める強力磁石及び該強力磁石が中央に配置される鉄製缶を備えて、個々に独立した複数のマグネットホルダーと、からなることを特徴とする排気口のフィルター装置。」 (独立特許要件の判断) 訂正明細書の請求項1に係る発明に対して、平成11年7月5日付けで通知した訂正拒絶理由に引用された、刊行物1(特許異議申立人が提 出した「実願昭63-35574号(実開平1-139811号)のマイクロフィルム」)には、「レンジフード(B)の開口部(4)に配設して枠体(2)表面を全面的に被覆可能な大きさに形成された1枚の不織布からなるフィルター主体(7)と、」(第1頁参照)、「(9)、(9)・・・(9)は磁石片であって、フィルター主体(7)をレンジフード開口部(4)の枠体(2)表面に密着固定するために使用されるものである。これらの磁石片(9)(9)・・・(9)は、前記レンジフード開口部(4)に配設されたフィルター主体(7)上に適宜箇所から枠体(2)に任意に吸着させて、該フィルター主体(7)を固定するものである。」(第9頁参照)と記載されている。 また、同じく刊行物2(特許異議申立人が提出した「実願昭62-53583号(実開昭63-160917号)のマイクロフィルム」)には、断面コ字状とした取付金具(4a)に接着剤や両面粘着テープを用いて固着された永久磁石片(4)を用いてフィルター部材(2)をレンジフードに装着することが記載されている(第8頁参照)。 (対比・判断). 訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明とを対比すると、両者は磁石を用いて排気口に取り付けられる不織布からなる排気口のフィルター装置である点で一致し、前者では、鉄製缶の中に配置されマグネットホルダーを備えているのに対し、後者では、磁石片がそのまま用いられている点で相違する。この相違点につき検討すると、刊行物2には磁石を取付金具(鉄製缶に相当)に配置して用いることが記載されており、また、磁石にホルダーを取り付けることも周知であるから、この相違点に格別困難性があるとすることはできない。 (むすび) よって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1、2に記載の事実及び周知の事実に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、上記訂正は特許法第120条の4第3頃で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、上記訂正は認められない。 (3)特許異議申立てについての判断 (請求項1に係る発明) 請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。 「【請求項1】難燃性の不織布からなって、排気口より広いシート状のフィルター部材と、前記排気口に直接被せた状態の前記フィルター部材の周辺部のみに散在的に配置されて、該フィルター部材を前記排気口の周辺部のみに止める強力磁石を備え個々に独立した複数のマグネットホルダーとからなることを特徴とする排気口のフイルター装置。」 (取消理由通知の概要) 請求項1に係る発明は刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当する。 (刊行物記載の発明) 当審が通知した取消理由に引用された刊行物1は、同じく当審が通知した訂正拒絶理由に引用された上記刊行物1と同一の刊行物であり、上記刊行物1には、上記「訂正の適否」において示したとおりの発明が記載されている。 請求項1に係る発明は、強力磁石がマグネットホルダーを備えている点で、刊行物1記載の発明と相違するが、マグネットホルダーは周知のものであるから、この相違点に格別困難性があるとすることはできない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は刊行物1記載の発明及び周知の事実に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-11-01 |
出願番号 | 特願平2-253324 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
ZB
(B01D)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 大黒 浩之 |
特許庁審判長 |
沼澤 幸雄 |
特許庁審判官 |
野田 直人 山田 充 |
登録日 | 1998-01-09 |
登録番号 | 特許第2733708号(P2733708) |
権利者 | カースル産業株式会社 |
発明の名称 | 排気口のフィルター装置 |
代理人 | 葛西 ▲泰▼二 |
代理人 | 中前 富士男 |
代理人 | 坂上 好博 |
代理人 | 羽立 幸司 |