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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1076410
異議申立番号 異議2000-73277  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-05-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-24 
確定日 2003-04-28 
異議申立件数
事件の表示 特許3015862号「コンピュータのプログラム処理信号入力方法及びその装置」の請求項1~6に係る特許に対する異議事件(平成7年7月4日出願、平成11年12月24日設定登録)についてした平成13年11月27日付けの決定に対し、東京高等裁判所において決定取消の判決(平成14年(行ケ)第36号、平成14年12月3日判決言渡し)があったので、更に審理の結果、次のとおり決定する。 
結論 特許第3015862号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許3015862号の請求項1~6に係る発明についての出願は、平成7年7月4日の出願であって、平成11年12月24日にその発明について特許の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人岡林茂により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、指定期間内である平成13年3月23日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、平成13年6月6日に訂正拒絶理由に対して手続補正書が提出されたが、平成13年11月27日付けで全請求項について取消の決定がなされ、該決定に対し、東京高等裁判所において決定取消の判決(平成14年(行ケ)第36号、平成14年12月3日判決言渡し)があったものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正請求に対する補正の適否について
2-1-イ.訂正請求に対する補正の内容
特許権者は、全文訂正明細書を以下のように補正することを求めたものである。
補正点(1):請求項1の「……前記応用プログラムのデータ入力処理のため、機能名を現在の画像に合わせて表示する前記表示ステップと、その表示名に一致する機能を現在の表示毎に付与する前記機能ステップと、その状態でファンクションキーを押下する前記実行ステップとをそれぞれ繰返す各ステップによりデータ入力する……」を、「……前記応用プログラムのデータ入力処理のため、現在のプログラムの処理機能名を各ファンクションキーパターン毎に表示する前記表示ステップと、その表示名に一致する機能を現在の表示画像毎に付与する前記機能付与ステップと、その状態でファンクションキーを押下する前記実行ステップとをそれぞれ繰返す各ステップによりデータ入力する……」と補正する点。
補正点(2):請求項4の「……前記応用プログラムのデータ入力処理のため、その応用プログラムが予め定めた機能名を現在の各画像に合わせてファンクションキー列パターンへ表示する表示制御手段と、そのファンクション列キーパターンのキー押下により、その機能のプログラム処理を行わせる前記制御手段をそれぞれ繰返す各手段によりデータ入力する……」を、「……前記応用プログラムのデータ入力処理のため、現在のプログラムの処理機能名を各ファンクションキーパターン毎に表示する表示制御手段と、そのファンクション列キーパターンのキー押下により、その機能のプログラム処理を行わせる前記制御手段をそれぞれ繰返す各手段によりデータ入力する……」と補正する点。
2-1-ロ.訂正請求に対する補正の適否
補正点(1)、(2)の補正は、訂正事項の削除、及び訂正請求書の要旨を変更しない範囲での軽微な瑕疵の補正とは認められず、新たに訂正事項を加える、あるいは訂正事項を変更するものと認められ、請求書の要旨の変更と認められる。
したがって、上記補正は、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、採用しない。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
2-2-イ.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)請求項1の記載を
「コンピュータ表示装置面内にウインドウ枠を設けたウインドウ表示内でポインテイングデバイス入力手段を使用して応用プログラム処理を行えるウインドウ構造体のデータ構造を有するウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力方法であって、プログラム処理により機能を設定できるファンクションキーを有するキー入力装置の前記ファンクションキー列パターンとその各キー毎に現在の応用プログラム処理機能名とを前記ウインドウ表示内に表示する表示ステップと、前記キー入力装置のファンクションキー列の各キーの機能は前記ウインドウ表示内に表示された前記機能名に一致させる機能付与ステップと、前記ファンクションキーを押下することによって、その機能のプログラム処理が行える実行ステップとを備え、前記ウインドウ表示内に表示する表示ステップは、その応用プログラムの画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ上/下/左/右に移動させる機能名表示ステップと、前記ファンクションキー列のパターンを、前記ウインドウ枠の上/下/左/右の各枠のいずれかに並行させるパターン表示ステップと、該ファンクションキー列パダーンの各キー間の位置間隔の比は使用キー入力装置の各キー間の位置間隔の比に一致するように、前記使用キー入力装置の種類のパターンを前記プログラム処理に際して設定するパターン設定手段を備え、前記パターン設定手段によって前記使用キー入力装置のファンクションキーと同じ前記間隔の比のパターンを前記ウインドウ表示内に表示させる間隔表示ステップとを備え、前記応用プログラムのデータ入力処理のため、機能名を現在の画像に合せて表示する前記表示ステップと、その表示名に一致する機能を現在の表示画像毎に付与する前記機能付与ステップと、その状態でファンクションキーを押下する前記実行ステップとをそれぞれ繰返す各ステップによりデータ入力することを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力方法。」と訂正する。
(2)請求項4の記載を、
「コンピュータ表示装置のウインドウ表示画面で主としてポインティングデバイス入力手段により応用プログラム処理を行うウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力装置であって、プログラム処理機能を入力できるファンクションキー列を有するキー入力装置と、前記ウインドウ表示画面に前記ファンクションキー列のパターンを表示し現在の応用プログラム処理機能名を前記ファンクションキー毎に表示する表示制御手段と、ファンクションキー列パターンへのポインテイングデバイス入力手段によるクリックあるいはファンクションキーの押下によって、その機能のプログラム処理を行わせる制御手段とを備え、前記表示制御手段は、その応用プログラムの画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ移動させる機能名表示手段と、前記ファンクションキー列パターンを前記ウインドウ表示画面の上、下、左、右の各枠の少くとも一つに並行して表示するパターン表示手段と、該前記ファンクションキー列パターンを表示するに際して、前記ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比を、使用している前記キー入力装置のファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比に一致するように表示する間隔表示手段とを備え、前記応用プログラムのデータ入力処理のため、その応用プログラムが予め定めた機能名を現在の各画像に合せてファンクションキー列パターンへ表示する表示制御手段と、そのファンクションキー列パターンのキー押下により、その機能のプログラム処理を行わせる前記制御手段をそれぞれ繰返す各手段によりデータ入力することを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力装置。」と訂正する。
(3)明細書段落番号【0009】の記載を、
「【課題を解決するための手段】本発明に係るコンピュータのプログラム処理信号入力方法は、コンピュータ表示装置面内にウインドウ枠を設けたウインドウ表示内でボインティングデバイス入力手段を使用して応用プログラム処理を行えるウインドウ構造体のデータ構造を有するウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力方法であって、プログラム処理により機能を設定できるファンクションキーを有するキー入力装置の前記ファンクションキー列パターンとその各キー毎に現在の応用プログラム処理機能名とを前記ウインドウ表示内に表示する表示ステップと、前記キー入力装置のファンクションキー列の各キーの機能は前記ウインドウ表示内に表示された前記機能名に一致させる機能付与ステップと、前記ファンクションキーを押下することによって、その機能のプログラム処理が行える実行ステップとを備え、前記ウインドウ表示内に表示する表示ステップは、その応用プログラムの画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ上/下/左/右に移動させる機能名表示ステップと、前記ファンクションキー列のパターンを、前記ウインドウ枠の上/下/左/右の各枠のいずれかに並行させるパターン表示ステップと、該ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔の比は使用キー入力装置の各キー間の位置間隔の比に一致するように、前記使用キー入力装置の種類のパターンを前記プログラム処理に際して設定するパターン設定手段を備え、前記パターン設定手段によって前記使用キー入力装置のファンクションキーと同じ前記間隔の比のパターンを前記ウインドウ表示内に表示させる間隔表示ステップとを備え、前記応用プログラムのデータ入力処理のため、機能名を現在の画像に合せて表示する前記表示ステップと、その表示名に一致する機能を現在の表示画像毎に付与する前記機能付与ステップと、その状態でファンクションキーを押下する前記実行ステップとをそれぞれ繰返す各ステップによりデータ入力することを特徴とする。」と訂正する。
(4)明細書段落番号【0014】の記載を、
「本発明に係るコンピュータのプログラム処理信号入力装置は、コンピュータ表示装置のウインドウ表示画面で主としてポインティングデバイス入力手段により応用プログラム処理を行うウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力装置であって、プログラム処理機能を入力できるファンクションキー列を有するキー入力装置と、前記ウインドウ表示画面に前記ファンクションキー列のパターンを表示し現在の応用プログラム処理機能名を前記ファンクションキー毎に表示する表示制御手段と、ファンクションキー列パターンへのポインテイングデバイス入力手段によるクリックあるいはファンクションキーの押下によって、その機能のプログラム処理を行わせる制御手段とを備え、前記表示制御手段は、その応用プログラムの画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ移動させる機能名表示手段と、前記ファンクションキー列パターンを前記ウインドウ表示画面の上、下、左、右の各枠の少くとも一つに並行して表示するパターン表示手段と、該前記ファンクションキー列パターンを表示するに際して、前記ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比を、使用している前記キー入力装置のファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比に一致するように表示する間隔表示手段とを備え、前記応用プログラムのデータ入力処理のため、その応用プログラムが予め定めた機能名を現在の各画像に合せてファンクションキー列パターンへ表示する表示制御手段と、そのファンクションキー列パターンのキー押下により、その機能のプログラム処理を行わせる前記制御手段をそれぞれ繰返す各手段によりデータ入力することを特徴とする。」と訂正する。
2-2-ロ.当審の判断
上記訂正事項(1)(2)は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正であり、上記訂正事項(3)及び(4)は、訂正後の特許請求の範囲の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正であるので、上記訂正事項(1)及び(2)について検討する。
上記訂正事項(1)は、「応用プログラムのデータ入力処理のため、機能名を現在の画像に合せて表示する前記表示ステップ」と訂正し、上記訂正事項(2)は、「応用プログラムのデータ入力処理のため、その応用プログラムが予め定めた機能名を現在の各画像に合せてファンクションキー列パターンへ表示する表示制御手段」と訂正しており、以下「機能名を現在の画像に合せて」表示することについて検討する。願書に添付した明細書又は図面の段落番号【0024】には「コンピュータのプログラム処理信号入力装置によれば、表示制御手段によりウインドウ表示画面上で応用プログラムにおけるプログラム処理機能を入力するファンクションキー列のパターンを表示し現在のプログラム処理機能名を前記ファンクションキー毎に表示し、制御手段によりキー入力装置のファンクションキーの押下でも、そのキーに対応して前記応用プログラムにおける前記プログラム処理機能を実行できるので、マウスによる前記ファンクションキー機能使用頻度が多く、しかもキー入力装置よりの文字・数字の入力がファンクションキーの押下が多い場合などでは、マウスを使用せず、キー入力装置のファンクションキー押下とすれば、すべてキー入力装置で処理が可能となり全体的にボタン操作に伴う肉体的な負担が軽減される。」と記載され、同段落番号【0030】には、「図2は、本実施例のコンピュータのプログラム処理信号入力装置におけるWINDOWSなどのウインドウ形式オペレーティングシステム8aとアプリケーションソフトウェア8bとの関係を模式的に示した説明図であり、図において21はウインドウ形式オペレーティングシステム8aとアプリケーションソフトウェア8bによって制御されているコンピュータ本体、22は後述するウインドウ表示画面25上でアプリケーションソフトウェアを実行したときにそのアプリケーションソフトウェア上のプログラム処理機能を入力するためのファンクションキー列パターンを表示すると共に、現在のプログラム処理機能を各ファンクションキーパターン毎に表示する表示制御手段、」と記載されているように、「現在のプログラム処理機能を各ファンクションキーパターン毎に表示する」ことは記載されている。しかしながら、「機能名を画像に合わせて」表示することは、願書に添付した明細書又は図面には記載されておらず、上記のように訂正することは、新規事項の追加であり、特許請求の範囲を変更するものである。
2-2-ハ.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同第126条第2、3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.特許異議の申立てについて
3-1.本件発明
特許第3015862号の請求項1~6に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】コンピュータ表示装置面内にウインドウ枠を設けたウインドウ表示内でポインティングデバイス入力手段を使用してプログラム処理を行えるウインドウ構造体のデータ構造を有するウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力方法であって、プログラム処理により機能を設定できるファンクションキーを有するキー入力装置の前記ファンクションキー列パターンとその各キー毎に現在のプログラム処理機能名とを前記ウインドウ表示内に表示するステップと、前記キー入力装置のファンクションキー列の各キーの機能は前記ウインドウ表示内に表示された前記機能名に一致させるステップと、前記ファンクションキーを押下することによって、その機能のプログラム処理が行えるステップとを備え、前記ウインドウ表示内に表示するステップは、その画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ上/下/左/右に移動させる機能名表示ステップと、前記ファンクションキー列のパターンを、前記ウインドウ枠の上/下/左/右の各枠のいずれかに並行させるパターン表示ステップと、該ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔の比は使用キー入力装置の各キー間の位置間隔の比に一致するように、前記使用キー入力装置の種類のパターンを前記プログラム処理に際して設定するパターン設定手段を備え、前記パターン設定手段によって前記使用キー入力装置のファンクションキーと同じ前記間隔の比のパターンを前記ウインドウ表示内に表示させる間隔表示ステップとを備えることを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力方法。
【請求項2】請求項1記載のコンピュータのプログラム処理信号入力方法において、前記ウインドウ表示内に表示された機能名のあるファンクションパターン表示位置に前記ポインティングデバイス入力手段でポインタを合せて入力処理が行えることを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力方法。
【請求項3】請求項1または2記載のコンピュータのプログラム処理信号入力方法において、前記ポインティングデバイス入力手段はマウスポインティングデバイスであることを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力方法。
【請求項4】コンピュータ表示装置のウインドウ表示画面で主としてポインティングデバイス入力手段によりプログラム処理を行うウインドウ形式オペレーティングシステムに制御されたコンピュータのプログラム処理信号入力装置であって、プログラム処理機能を入力できるファンクションキー列を有するキー入力装置と、前記ウインドウ表示画面に前記ファンクションキー列のパターンを表示し現在のプログラム処理機能名を前記ファンクションキー毎に表示する表示制御手段と、ファンクションキー列パターンへのポインティングデバイス入力手段によるクリックあるいはファンクションキーの押下によって、その機能のプログラム処理を行わせる制御手段とを備え、前記表示制御手段は、その画面内の文字列・グラフ・表を所定量ずつ移動させる機能名表示手段と、前記ファンクションキー列パターンを前記ウインドウ表示画面の上,下,左,右の各枠の少くとも一つに並行して表示するパターン表示手段と、該前記ファンクションキー列パターンを表示するに際して、前記ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比を、使用している前記キー入力装置のファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比に一致するように表示する間隔表示手段とを備えることを特徴とするコンピュータのプログラム処理信号入力装置。
【請求項5】前記ポインティングデバイス入力手段はマウスポインティングデバイスであることを特徴とする請求項4記載のコンピュータのプログラム処理信号入力装置。
【請求項6】使用している前記キー入力装置の種類を識別する識別手段と、使用することのできる複数のキー入力装置のファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔比を記憶する記憶手段を備え、ファンクションキー列パターンを表示するに際しては、前記識別手段により使用しているキー入力装置を識別し、前記記憶手段よりその位置間隔比を読出し、前記表示制御手段により前記位置間隔比のファンクションキー列パターンを表示することを特徴とする請求項4または5記載のコンピュータのプログラム処理信号入力装置。」
3-2.特許異議申立ての理由の概要
申立人岡林茂は、証拠として甲第1号証(武井一巳「秀丸参上!」(1994-1-5)ナツメ社 p.15、p.19、p.68-69、p.78、p.114-115、p.198-200、p.213-216 )、甲第2号証(藤田洋史「秀丸エディター&秀Termディスク&マニュアル」(1993-11-30)アスキー出版局 p.31)、甲第3号証(「The Menu2」(平成3年8月)株式会社アイソフト p.6-7)を提出し、本件請求項1~6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
3-3.刊行物に記載された事項
3-3-イ.刊行物1(武井一巳「秀丸参上!」(1994-1-5)ナツメ社 p.15、p.19、p.68-69、p.78、p.114-115、p.198-200、p.213-216 (甲第1号証))
(1)第15頁に記載された上の図には、従来のMS-DOSの画面が示され、下枠に並行させてファンクション列の長方形のパターンが表示され、各パターンには「C1」、「CU」、「CA」、……「^Z」が表示され、[SU]と表示されたパターンと「VOID」と表示されたパターンとの間隔は、他のパターン間の間隔より広くなっていることが示されており、MS-DOSにおいて、表示されたパターン「C1」、「CU」、「CA」、……「^Z」はファンクションキーF1、F2、R3……F10に対応し、プログラム処理機能であることは周知である。
(2)第15頁に記載された下の図には、WindowsのGUI環境としてプログラムマネージャのウインドウが示され、第19頁には「秀丸エディタ」(応用プログラム)がWindows(Windows3.1)上で動くことが記載されている。そしてWindows3.1は、コンピュータ表示装置面内にウインドウ枠を設けたウインドウ表示内でマウス等のポインティングデバイス入力手段を使用してプログラム処理を行えるウインドウ構造体のデータ構造を有するウインドウ形式オペレーティングシステムであることは、周知である。
(3)第68~69頁には、秀丸エディタを動かす際のウィンドウ内の各種動作環境を設定することが記載され、第69頁の上図には、ファンクションキーの表示をすべきか否かを選択し、表示を選択したときに、そのキー数を8、10、12個が選択できることが、示されている。
(4)第78頁には、「ファンクションキー表示(U)」という項で、以下のことが記載されている。
「秀丸にはたくさんの機能がある。また、それらの機能を実行するために、いくつかのメニューを表示させることもある。これらの機能やメニューは、ファンクションキーにも設定されている。デフォルトでは、このファンクションキーは表示されていないが、「ファンクションキー表示」をONにすると、ウィンドウ最終行にファンクションキーが表示される。
この機能では、表示するファンクションキーの数を選ぶことができる。選べるのは8、10、12個のいずれか。後述するが、秀丸にはユーザーが自由にファンクションキーに機能やメニューを割り当てることができる。」(第2~9行目)。
(5)第114~115頁には、「キー割り当ての実際」で、「[f1]キー(実際には四角形内に、f1と記載されているが、以下このように記載する)にファイルメニューを割り当てる」ための手順が記載されている。
(6)「DOSのエディタでも、ファンクションキーをカスタマイズし、好きなキーに好きなメニューや機能を割り当てることができるソフトもあったが、秀丸のカスタマイズは強力だ。ファンクションキーへのメニューや機能の割り当てが、ユーザーの好きなように自由に設定できるようになっているのである。」(第198頁第2段落)、「秀丸ではファンクションキーの表示を行わない設定が可能だが、この4つの状態にメニューや機能をフルに割り付けているようなときには、ファンクションキー表示を行うよう設定したほうがいいだろう。
このファンクションキー表示は、[その他(O)]-[動作環境(E)..].の[ウィンドウ(W)]の設定で、ファンクションキー表示をONにしておけばいい」(第198頁下から第3行目~第199頁第2行目)。
(7)「ファンクションキーはキーボードから押してもいいし、ファンクションキー表示部分にマウスカーソルを合わせてクリックすることで、ファンクションキーを押した状態にすることもできる。」(第200頁第第3~5行目)。
(8)第213~214頁には、「秀丸エディタの操作方法」「その他の機能」として、
「スクロールアップ
画面を1行アップさせる。スクロールアップというのは、文書に対するカーソル位置はそのままで、画面を上に巻くこと。
スクロールダウン
スクロールアップとは逆に、画面が下に降りてくる。これがスクロールダウン。文書に対するカーソル位置はそのままで、画面を1行分おろすことができる。」(第215頁第6~11行目)ようにした機能があり、上記(5)(6)に記載されたことからして、この機能をファンクションキーに割り当てることができるものである。
3-3-ロ.刊行物2(藤田洋史「秀丸エディター&秀Termディスク&マニュアル」(1993-11-30)アスキー出版局 p.31 (甲第2号証))
第31頁の図の下には「秀丸エディターのメニューから、ファイルをマウスでクリックしてみた。ファイル関連のメニューが表示されている。」とあり、そしてウィンドウの下枠に並行させてファンクションキー列の長方形のパターンが表示され、各パターンには「ファイル」、「次の秀…」、「ウィンドウ…」……とプログラム処理名が記載され、パターンは12個あり、4つ目と5つ目のパターンの間隔と8つ目と9つ目のパターンの間隔は、他のパターン間隔より広くなっていることが、図に示されているものと認められる。
3-3-ハ.刊行物3(「Microsoft WINDOWS QUICKユーザーズガイド Version 3.1」(1993-11-25) マイクロソフト株式会社 p.244-246)
Windowsセットアップの場合に、現在Windowsで設定されているキーボードも含めたハードウエアが表示されることが、また基本ハードウエアの変更でキーボードも変更できることが記載され、接続されているキーボードの種類を識別して表示すること、接続され得るキーボードが複数あること、そしてキーボードに関するデータ(ドライバソフト)は、ハードディスクやフロッピーディスクのような記憶装置に記憶されていることが示唆されている。
3-3-ニ.刊行物4(「The Menu2」(平成3年8月)株式会社アイソフト p.6-7 (甲第3号証))
「[ファンクションキーメニュー](四角に囲まれて「ファンクションキーメニュー」とあるが、このように記す)
キーボードの[f・1](四角に囲まれて「f・1」とあるが、以下、このように記す)から[f・10]に割り当てられている機能のアイコン表示です。
キーボードから入力するか、このアイコンをマウスでクリックするとプルダウンメニューが開きます。」(第6頁第1~5行目)、
また、第6~7頁にまたがった図には、上枠に並行させてファンクションキー列のアイコンが表示され、各アイコンにはプログラム処理機能が表示されていることが、記載されている。
3-4.対比・判断
3-4-イ.請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る発明と刊行物1~4に記載された事項とを対比すると、刊行物1~4のいずれにも、使用キー入力装置(キーボード)のファンクションキーの各キー位置間隔と画面のファンクションキー列パターンの位置間隔との関係について記載はなく、本件請求項1に係る発明を特定する事項である、ウインドウに表示された「ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔の比は使用キー入力装置の各キー間の位置間隔の比に一致する」との事項について、記載及び示唆されているということはできない。また刊行物1~4に記載の各発明を、どのように組み合わせても、前記特定構成は得られない。したがって本件請求項1に係る発明は、刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとすることはできない。
3-4-ロ.請求項2、3に係る発明について
請求項2、3に係る発明は、請求項1に係る発明を引用しているものであるから、請求項1に係る発明を特定する事項を全て含み、上記した(3-4-イ.)ように本件請求項1に係る発明が刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものでない以上、請求項2、3に係る発明は、刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
3-4-ハ.請求項4に係る発明について
本件請求項4に係る発明と刊行物1~4に記載された事項とを対比すると、刊行物1~4のいずれにも、使用キー入力装置(キーボード)のファンクションキーの各キー位置間隔と画面のファンクションキー列パターンの位置間隔との関係について記載はなく、本件請求項1に係る発明を特定する事項である、ウインドウに表示された「ファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔の比を、使用しているキー入力装置のファンクションキー列パターンの各キー間の位置間隔の比に一致する」との事項について、記載及び示唆されているということはできない。また刊行物1~4に記載の各発明を、どのように組み合わせても、前記特定事項は得られない。したがって本件請求項4に係る発明は、刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとすることはできない。
3-4-ニ.請求項5、6に係る発明について
請求項5、6に係る発明は、請求項4に係る発明を引用しているものであるから、請求項4に係る発明を特定する事項を全て含み、上記した(3-4-ハ.)ように本件請求項4に係る発明が刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものでない以上、請求項5、6に係る発明は、刊行物1~4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
3-5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1~6に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~6に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-11-27 
出願番号 特願平7-191147
審決分類 P 1 651・ 121- YB (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川嵜 健山崎 慎一  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 片岡 栄一
今井 義男
登録日 1999-12-24 
登録番号 特許第3015862号(P3015862)
権利者 株式会社オービック・ビジネス・コンサルタント
発明の名称 コンピュータのプログラム処理信号入力方法及びその装置  
代理人 瀬谷 徹  
代理人 斎藤 栄一  

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