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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1077916 |
異議申立番号 | 異議2000-74430 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-07-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-12-12 |
確定日 | 2003-03-19 |
異議申立件数 | 3 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3050862号「遊技機」の請求項1乃至10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3050862号の請求項1乃至9に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3050862号の請求項1乃至10に係る発明は、平成11年1月13日に特許出願され、平成12年3月31日にその設定登録がなされ、その後、弓桁忠、東信雄、及び菊池淑乃より特許異議の申立てがなされ、平成13年4月17日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年6月26日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 i.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するCMOS論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され」と訂正する。 ii.訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するTTL論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され」と訂正する。 iii.訂正事項c 特許請求の範囲の請求項5を削除するとともに、請求項6乃至10を請求項5乃至9に繰り上げる。 iv.訂正事項d 繰り上げた特許請求の範囲の請求項9中の、 「サブ基板は、マイクロプロセッサが搭載されている全ての基板である」を、「サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外の基板であって、マイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である」と訂正する。 v.訂正事項e 特許明細書の【課題を解決するための手段】にかかる段落【0013】中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するCMOS論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され」と訂正し、 段落【0014】中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するTTL論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され」と訂正し、 段落【0016】及び【0017】の内容を新たに段落【0015】及び【0016】の内容とし、 段落【0018】を削除し、段落【0019】乃至【0021】の内容を新たに段落【0017】乃至【0019】の内容とし、 段落【0022】の「遊技制御基板およびサブ基板は、遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部でも情報が論理反転しないように構成されていてもよい。」を、段落【0020】として「遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されていてもよい。」と訂正し、 段落【0027】の「そして、サブ基板は、遊技制御基板以外のマイクロプロセッサが搭載されている全ての基板であってもよい。」を、段落【0021】として「そして、サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外のマイクロコンピュータが搭載されている全ての基板であってもよい。」と訂正する。 vi.訂正事項f 特許明細書の【発明の効果】にかかる段落【0160】の「以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板におけるコマンド出力部が論理レベルが確定する論理回路を含み、サブ基板におけるコマンド入力部が単方向に信号を伝達可能なCMOS論理ICまたはTTL論理ICを含むように構成したので、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる効果がある。」を、段落【0154】として「以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板におけるコマンド出力部がマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバが論理レベルが確定するCMOS論理ICまたはTTL論理ICで構成され、サブ基板におけるコマンド入力部が単方向に信号を伝達可能な論理回路を含むように構成したので、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる効果がある。また、遊技制御基板における前記コマンド出力部が、出力ポートと出力ドライバとを含む構成であるから、コマンド出力部が2段階構成になって、外部からの不正信号の入力をより効果的に防止できる。」と訂正し、 段落【0161】乃至【0164】の内容を新たに段落【0155】乃至【0158】の内容とし、 段落【0165】を削除し、段落【0166】乃至【0168】の内容を新たに段落【0159】乃至【0161】の内容とし、 段落【0169】の「遊技制御基板およびサブ基板が、遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部でも情報が論理反転しないように構成されている場合には、さらに設計のしやすい遊技機を実現できる。」を、段落【0162】として「遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されている場合には、さらに設計のしやすい遊技機を実現できる。」と訂正し、 段落【0174】の内容を新たに段落【0163】の内容とするとともに、当該段落中の「マイクロプロセッサ」を「マイクロコンピュータ。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否 上記訂正事項a及びbは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されていた発明を「マイクロコンピュータを含む遊技制御手段」及び「マイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」に具体化限定するとともに、請求項5に記載されていた事項を付加して限定しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、上記訂正事項cは、特許請求の範囲の請求項5の削除であるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、ついで、上記訂正事項dは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項10の記載のサブ基板は遊技制御基板以外の基板であることを明りょうにするための訂正であり、さらに、上記訂正事項e及びfは、特許請求の範囲の請求項1乃至10の減縮及び明りょうでない記載の釈明に伴って、訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるため、課題を解決するための手段及び発明の効果を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、そして、これらの訂正事項a乃至fは、特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)むすび したがって、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立てについての判断 (1)本件特許発明 訂正により特許明細書の特許請求の範囲の請求項5が削除されるとともに請求項6乃至10が請求項5乃至9に繰り上げられたので、訂正後の本件請求項1乃至9に係る発明は、その訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された以下の事項により特定されるものである。 【請求項1】 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、前記遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され、前記サブ基板における前記遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項2】 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、前記遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され、前記サブ基板における前記遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項3】 サブ基板のコマンド入力部はCMOS論理ICを含む請求項1または請求項2記載の遊技機。 【請求項4】 サブ基板のコマンド入力部はTTL論理ICを含む請求項1または請求項2記載の遊技機。 【請求項5】 遊技制御基板とサブ基板との間では、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能である請求項1ないし請求項4記載の遊技機。 【請求項6】 遊技制御基板のコマンド出力部は、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみ信号を通過させる請求項5記載の遊技機。 【請求項7】 遊技制御手段からサブ基板の制御手段に出力された情報は、遊技制御手段とサブ基板の制御手段との間で論理反転しない請求項1ないし請求項6記載の遊技機。 【請求項8】 遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しない請求項7記載の遊技機。 【請求項9】 サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外の基板であって、マイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である請求項1ないし請求項8記載の遊技機。 (2)取消理由の概要 当審が平成13年4月17日付けで通知した取消理由は、本件請求項1乃至10(その後、訂正請求により前記の請求項1乃至9に訂正された。)の発明は、刊行物である下記の第1引用例乃至第8引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められので、本件請求項1乃至10の発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきというものである。 第1引用例.特開平10-118281号公報(弓桁忠提示、甲第1号証) 第2引用例.特開平9-262350号公報(東信雄提示、甲第1号証) 第3引用例.特開昭63-33922号公報 第4引用例.特開平4-105109号公報 第5引用例.特開平5-283607号公報 第6引用例.「基礎からのディジタルIC」、(株)技術評論社発行、 昭和62年5月10日初版第6刷、第81~130頁 第7引用例.特開平8-289961号公報(菊池淑乃提示、甲第1号証) 第8引用例.「ハイスピードCMOSデータブック」日本モトローラ(株)発行 1996年12月30日第6版第2刷、第346~350頁 (東信雄提示、甲第3号証) (3)第1引用例に記載の発明 i.第1引用例〔特開平10-118281号公報〕には、以下の記載が認められる。 「【請求項1】 遊技領域に打玉を打込んで遊技が行なわれる弾球遊技機を含む遊技用装置であって、前記弾球遊技機の遊技状態を制御する遊技制御手段と、前記遊技領域に設けられ、打玉が入賞可能な入賞領域と、該入賞領域に入賞した入賞玉に基づいて有価価値の付与動作を行なうために該入賞玉を処理する入賞玉処理装置と、前記有価価値の付与動作の制御を行なう価値付与動作制御手段とを含み、前記入賞玉処理装置は、入賞玉を検出する入賞玉検出手段を有し、前記遊技制御手段は、前記入賞玉検出手段が入賞玉を検出したことを条件として、入賞玉を検出した旨の入賞玉情報と当該入賞玉に対応して付与すべき有価価値の大きさを特定可能な付与価値情報とを前記価値付与動作制御手段に出力し、前記価値付与動作制御手段は、前記入賞玉情報と前記付与価値情報とが入力されたことを条件として、該付与価値情報に従った大きさの有価価値を付与する制御を行ない、 前記遊技制御手段と前記価値付与動作制御手段との間での情報通信を、前記遊技制御手段から前記価値付与動作制御手段への一方向シリアル通信としたことを特徴とする、遊技用装置。」(第1引用例第2頁右欄第2~26行)、 「【0019】上記のように構成される遊技盤30の遊技内容は、打玉が始動入賞口34に入賞して始動入賞玉検出器46をONさせると、可変表示装置33の回転ドラム機構が回転を開始し、一定時間(たとえば5秒)が経過したときにその回転を停止する。そして、停止時の可変表示装置33に表示される図柄の組合せが予め定められた大当り図柄の組合せであるときに特定遊技状態(大当り遊技状態とも言う)となって可変入賞球装置35の開閉板36を一定時間(たとえば30秒間)が経過するまで、または所定個数(たとえば10個)の入賞玉が発生するまで開放する。そして、開閉板36の開放中に打玉が特定入賞領域に入賞して特定入賞玉検出器38をONすると、継続権が発生し、再度開閉板36の上記した開放動作を繰返す。この継続権の発生は、所定回数(たとえば16回)許容される。したがって、大当り遊技状態になると、短い間に多量の入賞玉を獲得するチャンスがある。」(同第4頁右欄第37行~第5頁左欄第3行)、 「【0062】図12は、払出制御回路基板152とカードユニット50に設けられているカードユニット制御基板210aと遊技制御基板199とに設けられている制御回路を示すブロック図である。」(同第11頁右欄第24~27行)、 「【0065】払出制御回路基板152には、フォトカプラで構成される信号回路216が設けられており、カードユニット制御用マイクロコンピュータ210と払出制御用マイクロコンピュータ220との間で、前記信号回路214,216を介して、ユニット接続信号(VL),ユニット動作信号(B RDY),玉貸要求信号(BRQ),玉貸完了信号(EXS),P機動作信号(P RDY)の各信号が送受信される。」(同第12頁左欄第8~15行)、 「【0068】遊技制御基板199には、ワンチップ化された遊技制御用マイクロコンピュータ202が設けられている。この遊技制御用マイクロコンピュータ202には、CPU203,RAM205,I/Oポート206,セキュリティ回路204等が設けられている。そして、ワンチップ化された遊技制御用マイクロコンピュータ202の外部にROM207と、アドレスデコード回路208とが設けられている。」(同第12頁右欄第3~10行)、 「【0070】前記ROM207には、打玉がどの入賞領域に入賞したかに応じて払出すべき景品玉の数である賞球個数データが記憶されている。そして、入賞玉検出器122(図7参照)が入賞玉を検出してその検出信号がスイッチ回路229を介して遊技制御用マイクロコンピュータ202に入力されてくれば、遊技制御用マイクロコンピュータ202は、打玉が入賞した入賞領域に対応する賞球個数データをROM207から読出して、信号回路209,217(ともにフォトカプラで構成されている)を介して払出制御用マイクロコンピュータ220に返信する。本実施例では、賞球個数信号は、図示するように4本の信号線からなる4ビットデータ(D0~D3)の形で払出制御用マイクロコンピュータ220に伝送される。」(同第12頁右欄第34~47行)、 「【0246】 【課題を解決するための手段の具体例の効果】 請求項1に関しては、遊技制御手段から価値付与動作制御手段への情報通信をシリアル通信にしたために、たとえばパラレル通信に比べて通信用信号線の本数を極力削減し得る。また、入賞玉に基づいた価値付与動作制御を行なうに際し、前記価値付与動作制御手段から前記遊技制御手段への情報の送信を何ら行なうことなく価値付与動作のための制御が行なわれ、価値付与動作制御手段側に異常が発生した場合に遊技制御手段が誤動作することを極力防止し得る。」(同第33頁右欄第2~12行)。 ii.第1引用例における前記摘示の記載及び図面1,12図によれば、第1引用例には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示装置33を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される図柄の変動を開始し、図柄の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ202および前記遊技制御用マイクロコンピュータ202の外に設けられたフォトカプラで構成された信号回路209を搭載した遊技制御基板199と、前記遊技制御用マイクロコンピュータ202からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する払出制御部の制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ220が搭載された払出制御回路基板152とを有し、前記遊技制御基板199におけるコマンド出力部は前記遊技制御用マイクロコンピュータ202の内に設けられたI/Oポート206と前記遊技制御用マイクロコンピュータ202の外に設けられたフォトカプラで構成された信号回路209とからなり、前記払出制御回路基板152における前記遊技制御基板199からのコマンドを受信するコマンド入力部はフォトカプラで構成された信号回路217で構成されている遊技機。」(以下、「引用発明」という。) (4)本件請求項1の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項1の発明と引用発明との対比 本件請求項1の発明と引用発明とを対比すると、引用発明における、「可変表示装置33」、「遊技制御用マイクロコンピュータ202および信号回路209を搭載した遊技制御基板199」、「払出制御用マイクロコンピュータ220が搭載された払出制御回路基板152」は、それぞれ、本件請求項1の発明における、「可変表示部」、「マイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板」に相当する。 また、引用発明における「遊技制御用マイクロコンピュータ202の内に設けられたI/Oポート206」は、本件請求項1の発明における「マイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部に含まれる出力ポート」と対比して、いずれも出力ポート機能を実行する「出力ポート」である点で一致するとともに、引用発明における「フォトカプラで構成された信号回路209」は、本件請求項1の発明における「論理レベルが確定するCMOS論理IC」と対比して、いずれも出力ドライバ機能を実行する「出力ドライバ」である点で一致するから、この限りにおいて引用発明における「I/Oポート206」と「フォトカプラで構成された信号回路209」とからなる「コマンド出力部」は、本件請求項1の発明における「出力ポート」と「出力ドライバ」とを含む「コマンド出力部」に相当する。 さらに、引用発明における「フォトカプラで構成された信号回路217で構成されたコマンド入力部」は、フォトカプラの信号伝達特性により単方向に信号を伝達可能な構成としているので、本件請求項1の発明における「単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されているコマンド入力部」に相当する。 そうすると、本件請求項1の発明と引用発明の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。 ii.一致点及び相違点 一致点.「表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、前記遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICを含み、前記サブ基板における前記遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されていることを特徴とする遊技機。」 相違点A.遊技制御基板における出力ドライバが、本件請求項1の発明では、論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成されるのに対して、引用発明では、フォトカプラで構成された信号回路209で構成される点。 相違点B.遊技制御基板における出力ポートと出力ドライバとを含むコマンド出力部が、本件請求項1の発明では、出力ポートと出力ドライバの両者がマイクロコンピュータの外に設けられる構成であるのに対して、引用発明では、コマンド出力部を構成する出力ポートがマイクロコンピュータの内に設けられるとともにコマンド出力部を構成する出力ドライバがマイクロコンピュータの外に設けられる構成である点。 iii.相違点の検討 (ア)相違点Aについて 一般にマイクロコンピュータを構成要素とする半導体装置の技術分野において、出力ドライバを論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成することは周知技術(例えば、第3引用例〔特開昭63-33922号公報〕、第4引用例〔特開平4-105109号公報参照。以下、周知技術Aという。〕、第5引用例〔特開平5-283607号公報〕)である。 そして、半導体装置を搭載した基板等からの信号出力状態を外部に付属装置を接続することなく単体で検査できるようにするという課題は、特定の技術分野に限定されない一般的な技術課題であって、半導体装置の出力ドライバとしてCMOS論理ICを採用するとその出力レベルが確定するから、出力ドライバとしてオープンドレイン構造の半導体素子を採用するときのように半導体装置の外部に電源及びプルアップ抵抗等の付属装置を接続する必要がなく、半導体装置の信号出力状態をそのまま検査できるという作用効果を奏することは、当業者にとって技術常識(例えば、特開平3-19274号公報)である。 また、コマンドを出力する出力ドライバとしてCMOS論理ICを採用したときに、それに適合するようにコマンドを受信するコマンド入力部の構成を考慮することは単なる設計的事項に過ぎないし、この点についてさらに付言すると、CMOS回路によりフォトカプラを駆動する技術も周知(例えば、実願平1-47021号(実開平2-138929号)のマイクロフィルム)である。 そうすると、半導体装置を搭載した基板等を単体で検査できるようにするという一般的な技術課題に基づいて、引用発明に示される、マイクロコンピュータを構成要素とする半導体装置を搭載した基板における出力ドライバとして、前記周知技術Aのごとき論理レベルが確定するCMOS論理ICを採用して、相違点Aにかかる本件請求項1の発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 そして、本件請求項1の発明の、出力ドライバが論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成されることで、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができるという作用効果は、引用発明及び前記周知技術Aとその一般的な技術課題の認識に基づいて当業者が容易に予測できることと認められる。 (イ)相違点Bについて マイクロコンピュータの外に出力ポートを設けることは周知技術(例えば、第7引用例〔特開平8-289961号公報〕、特開平8-224339号公報(弓桁忠提示、甲第2号証)参照。以下、周知技術Bという。)であるから、引用発明の出力ポートについて、マイクロコンピュータの内に設けることに代えて前記周知技術Bのようにマイクロコンピュータの外に設ける構成を採用し、これをもってマイクロコンピュータの外に設けられる出力ドライバとともにコマンド出力部を構成するようにして、相違点Bにかかる本件請求項1の発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 そして、本件請求項1の発明の、コマンド出力部が出力ポートと出力ドライバの2段階構成になるとともに出力ポートをマイクロコンピュータの外に設けることで、マイクロコンピュータを異常電圧に対して保護できるという作用効果は、引用発明及び前記周知技術Bに基づいて当業者が容易に予測できることと認められる。 iv.よって、本件請求項1の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)本件請求項2の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項2の発明と引用発明との対比 本件請求項2の発明と引用発明との対比にあたって、まず本件請求項2の発明と本件請求項1の発明の構成要件について対比検討すると、遊技制御基板における出力ドライバに含まれる、論理レベルが確定する論理ICが、本件請求項2の発明ではTTL論理ICであるのに対して本件請求項1の発明ではCMOS論理ICである点で相違し、その余については本件請求項2の発明と本件請求項1の両発明の構成要件が一致するから、前記(4)i.で本件請求項1の発明と引用発明とを対比した結果を踏まえると、結局、本件請求項2の発明と引用発明は、以下の点で相違(以下相違点C、Dという。)し、その余の点で一致していると認められる。 ii.相違点 相違点C.遊技制御基板における出力ドライバが、本件請求項2の発明では、論理レベルが確定するTTL論理ICで構成されるのに対して、引用発明では、フォトカプラで構成された信号回路209で構成される点。 相違点D.遊技制御基板における出力ポートと出力ドライバとを含むコマンド出力部が、本件請求項2の発明では、出力ポートと出力ドライバの両者がマイクロコンピュータの外に設けられる構成であるのに対して、引用発明では、コマンド出力部を構成する出力ポートがマイクロコンピュータの内に設けられるとともにコマンド出力部を構成する出力ドライバがマイクロコンピュータの外に設けられる構成である点。 iii.相違点の検討 (ア)相違点Cについて 一般にディジタルICの技術分野において、出力ドライバに含まれる、論理レベルが確定する論理ICを、TTL論理IC又はCMOS論理ICで構成することは周知技術(例えば、第6引用例〔基礎からのディジタルIC〕参照。以下、周知技術Cという。)であり、しかも、論理ICを構成するトランジスタタイプとして周知の互換手段であるから、前記相違点Aについて検討したように、コマンドを出力する出力ドライバとしてTTL論理ICを採用して、それに適合するようにコマンドを受信するコマンド入力部の構成を考慮することは単なる設計的事項に過ぎない。 そうすると、半導体装置を搭載した基板等を単体で検査できるようにするという一般的な技術課題に基づいて、引用発明に前記周知技術A及びCを適用して前記相違点Cにかかる本件請求項2の発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 そして、本件請求項2の発明の、出力ドライバがTTL論理ICで構成されることで、遊技制御基板から出力される信号出力状態を問題なく検査することができるという作用効果は、引用発明及び前記周知技術A及びCとその一般的な技術課題の認識に基づいて当業者が容易に予測できることと認められる。 (イ)相違点Dについて 相違点Dは、前記相違点Bと実質的に相違がないから、前記相違点Bの検討を踏まえると、引用発明に前記周知技術Bを適用して相違点Dにかかる本件請求項2の発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 そして、本件請求項2の発明の、マイクロコンピュータの外に出力ポートと出力ドライバの2段階構成を設けることで、マイクロコンピュータを異常電圧に対して保護できるという作用効果は、前記相違点Bについて検討したように引用発明及び前記周知技術Bに基づいて当業者が容易に予測できることと認められる。 iv.よって、本件請求項2の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (6)本件請求項3の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項3の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項3の発明が請求項1または請求項2を引用した部分における一致点及び相違点は前記(4)及び(5)のとおりであり、さらに、本件請求項3の発明と引用発明は、サブ基板のコマンド入力部が、本件請求項3の発明では、CMOS論理ICを含む構成であるのに対して、引用発明では、前記構成を備えていない点で相違(以下相違点Eという。)し、両者はその余の点で一致していると認められる。 そこで、前記各相違点を検討すると、相違点A、B、C、Dについては、既に検討したとおりであり、又、相違点Eについては、コマンド入力部をCMOS論理ICで構成することは、前記周知技術A、Cを例示したのと同一の文献に示されるように周知技術(以下、周知技術Eという。)であるから、引用発明に前記周知技術Eを適用して相違点Eにかかる本件請求項3の発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項3の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (7)本件請求項4の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項4の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項4の発明が請求項1または請求項2を引用した部分における一致点及び相違点は前記(4)及び(5)のとおりであり、さらに、本件請求項4の発明と引用発明は、サブ基板のコマンド入力部が、本件請求項4の発明では、TTL論理ICを含む構成であるのに対して、引用発明では、前記構成を備えていない点で相違(以下相違点Fという。)し、両者はその余の点で一致していると認められる。 そこで、前記各相違点を検討すると、相違点A、B、C、Dについては、既に検討したとおりであり、又、相違点Fについては、コマンド入力部をTTL論理ICで構成することは、前記周知技術Cを例示したのと同一の文献に示されるように周知技術(以下、周知技術Fという。)であるから、引用発明に前記周知技術Fを適用して相違点Fにかかる本件請求項4の発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項4の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (8)本件請求項5の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項5の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項5の発明における、請求項1ないし請求項4を引用した部分を除く特徴部分である「遊技制御基板とサブ基板との間では、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能である」構成は、引用発明にフォトカプラで構成された信号回路209,217により遊技制御基板199から払出制御回路基板152への方向に一方向通信を行うことが開示されているのみならず、このように遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能とすることは周知技術(例えば、第2引用例〔特開平9-262350号公報〕、特開平8-224339号公報(弓桁忠提示、甲第2号証))であるから、本件請求項5の発明は、引用発明に前記各周知技術を適用して、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項5の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (9)本件請求項6の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項6の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項6の発明における、請求項5を引用した部分を除く特徴部分である「遊技制御基板のコマンド出力部は、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみ信号を通過させる」構成は、本件請求項5の発明を前提にコマンド出力部の具体的構成として一方向にのみ信号を通過させる特性のCMOS論理ICあるいはTTL論理ICを採用したことによるものに過ぎないから、本件請求項6の発明は、引用発明に前記各周知技術を適用して、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項6の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (10)本件請求項7の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項7の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項7の発明における、請求項1ないし請求項6を引用した部分を除く特徴部分である「遊技制御手段からサブ基板の制御手段に出力された情報は、遊技制御手段とサブ基板の制御手段との間で論理反転しない」構成は、第7引用例〔特開平8-289961号公報〕に記載されており、また、ディジタルICの技術分野において非反転出力型のバッファ/ドライバは周知技術(例えば、第8引用例〔ハイスピードCMOSデータブック〕)であるから、本件請求項7の発明は、引用発明に前記第7引用例に記載された発明あるいは前記各周知技術を適用して、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項7の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)、あるいは第1引用例に記載された発明(引用発明)及び第7引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (11)本件請求項8の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項8の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項8の発明における、請求項7を引用した部分を除く特徴部分である「遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しない」構成は、ディジタルICの技術分野において非反転出力型のバッファ/ドライバは前記第8引用例に示されるように周知技術であるから、本件請求項8の発明は、引用発明に前記各周知技術を適用して、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項8の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (12)本件請求項9の発明と引用発明との対比検討 i.本件請求項9の発明と引用発明とを対比すると、本件請求項9の発明における、請求項1ないし請求項8を引用した部分を除く特徴部分である「サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外の基板であって、マイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である」構成は、周知技術(例えば、特開平7-299209号公報(弓桁忠提示、甲第3号証))であるから、本件請求項9の発明は、引用発明に前記各周知技術を適用して、当業者が容易に想到できるものと認められる。 ii.よって、本件請求項9の発明は、第1引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (13)むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1乃至9の発明は、第1引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められので、本件請求項1乃至9の発明についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件請求項1乃至9の発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 遊技機 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、 遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、 前記遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、 前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、 前記出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され、 前記サブ基板における前記遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されている ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、 遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、 前記遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、 前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、 前記出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され、 前記サブ基板における前記遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されている ことを特徴とする遊技機。 【請求項3】 サブ基板のコマンド入力部はCMOS論理ICを含む 請求項1または請求項2記載の遊技機。 【請求項4】 サブ基板のコマンド入力部はTTL論理ICを含む 請求項1または請求項2記載の遊技機。 【請求項5】 遊技制御基板とサブ基板との間では、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能である 請求項1ないし請求項4記載の遊技機。 【請求項6】 遊技制御基板のコマンド出力部は、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみ信号を通過させる 請求項5記載の遊技機。 【請求項7】 遊技制御手段からサブ基板の制御手段に出力された情報は、遊技制御手段とサブ基板の制御手段との間で論理反転しない 請求項1ないし請求項6記載の遊技機。 【請求項8】 遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しない 請求項7記載の遊技機。 【請求項9】 サブ基板は複数あり、 サブ基板は、遊技制御基板以外の基板であって、マイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である 請求項1ないし請求項8記載の遊技機。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。 【0002】 【従来の技術】 遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。 【0003】 特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。 【0004】 大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。 【0005】 また、「大当り」の組合せ以外の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。そして、可変表示部に可変表示される識別情報の表示結果が「リーチ」となる条件を満たさない場合には「はずれ」となり、可変表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。 【0006】 遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータ等による遊技制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、遊技制御手段からの表示制御コマンドデータに従って動作する表示制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、一般に、表示制御用のマイクロコンピュータとマイクロコンピュータの指示に応じて画像データを生成して可変表示装置側に転送するビデオディスプレイプロセッサ(VDP)とによって制御されるが、表示制御用のマイクロコンピュータのプログラム容量は大きい。従って、プログラム容量に制限のある遊技制御手段のマイクロコンピュータで可変表示装置に表示される識別情報等を制御することはできず、遊技制御手段のマイクロコンピュータとは別の表示制御用のマイクロコンピュータ(表示制御手段)が用いられる。 【0007】 従って、遊技の進行を制御する遊技制御手段は、表示制御手段に対して表示制御のための表示制御コマンドを送信する必要がある。上述したように、可変表示部に可変表示される特別図柄は遊技者の利益に大きく関連しているので、表示制御コマンドは、誤りなく遊技制御手段から表示制御手段に伝達されなければならない。従って、遊技制御手段から表示制御手段に伝達される表示制御コマンドのインタフェース部分には、特段の注意が払われなくてはならない。 【0008】 図37は、遊技制御手段を搭載した従来の遊技制御基板における表示制御コマンド送出部分と表示制御手段を搭載した表示制御基板におけるコマンド受信部分を示す回路図である。表示制御コマンドは遊技制御基板からパラレル出力(例えば8ビット単位)される。図37に示す従来例では、遊技制御基板におけるコマンド出力部分にNPNトランジスタ579,580が使用されている。また、表示制御基板において、入力線は抵抗を介してプルアップされている。 【0009】 遊技制御基板において、出力ポート571から「1」が出力されると、NPNトランジスタ579がオンして、表示制御基板における入力ポート110の入力がローレベルになる。このとき、NPNトランジスタ579は、表示制御基板側から電流を引き込む。出力ポート571から「0」が出力されると、NPNトランジスタ579がオフ状態になり、表示制御基板における入力ポート110の入力は、電源(Vdd)レベルと同一になる。すなわち、ハイレベルになる。NPNトランジスタ579として電流駆動能力が比較的大きいものを使用すれば、NPNトランジスタ579のオン時に比較的大きな電流が流れるので、基板間のノイズの影響を低下させることができる。また、NPNトランジスタ579のオフ時には、表示制御基板における入力ポートは電気的には遊技制御基板から遮断されるので、やはり基板間のノイズの影響を低下させることができる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、出力ポート571から「1」が出力されるときには信号受信側から電流を引き込む必要があるので、遊技制御基板と表示制御基板とがケーブル接続されない状態で、遊技制御基板からの信号出力状態を検査することが難しい。一般に、検査機器は、電流供給能力が低いからである。つまり、従来の遊技機には、遊技制御基板単体の表示制御コマンド出力状態の検査を行うことが難しいという課題がある。 【0011】 また、遊技制御手段から賞球制御手段に伝達される賞球制御コマンドも遊技者の利益に密接に関連しているので誤りなく遊技制御手段から賞球制御手段に伝達されなければならない。そして、遊技機から発せられる音声や点滅表示されるランプ等は遊技演出に関連しているので、遊技制御手段からランプ制御手段または音声制御手段に伝達されるコマンドに誤りが生ずると、遊技効果が減退してしまう。遊技制御手段からそれらの基板への信号出力部分にNPNトランジスタ等を用いると、上述した問題と同様の問題が生ずる。 【0012】 そこで、本発明は、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を検査することができる遊技機を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて表示領域に表示される識別情報の変動を開始し識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され、サブ基板における遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されていることを特徴とする。 ここで、論理レベルの確定とは、常にハイレベルまたはローレベルになっていることである。 【0014】 また、遊技機は、表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて表示領域に表示される識別情報の変動を開始し識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板と、遊技制御手段からのコマンドを受信して受信したコマンドに応じて遊技機を構成する各部の制御を行う制御手段が搭載されたサブ基板とを有し、遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され、サブ基板における遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部は単方向に信号を伝達可能な論理回路で構成されていてもよい。 【0015】 サブ基板における遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部はCMOS論理ICを含む構成であってもよい。 【0016】 また、サブ基板における遊技制御基板からのコマンドを受信するコマンド入力部はTTL論理ICを含む構成であってもよい。 【0017】 遊技制御基板とサブ基板との間では、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能であるように構成されていてもよい。 【0018】 遊技制御基板のコマンド出力部は、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみ信号を通過させるように構成されていてもよい。 【0019】 遊技制御基板およびサブ基板は、遊技制御手段からサブ基板の制御手段に出力された情報が遊技制御手段とサブ基板の制御手段との間で論理反転しないように構成されていてもよい。 【0020】 遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されていてもよい。 【0021】 そして、サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外のマイクロコンピュータが搭載されている全ての基板であってもよい。 【0022】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。 まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。 【0023】 図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。 【0024】 遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。 【0025】 可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。 【0026】 遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。 【0027】 そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。 【0028】 カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ152、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。 【0029】 打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。 【0030】 可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。 【0031】 停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。 また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。 【0032】 次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。 可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。 【0033】 機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う賞球制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球制御基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、遊技効果ランプ・LED28a,28b,28c、賞球ランプ51および球切れランプ52に信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。 【0034】 また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。なお、図3には、中継基板33が例示されている。 【0035】 賞球払出制御を行うために、入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、主基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、主基板31から賞球制御基板37に賞球制御コマンドが送られる。例えば、始動口スイッチ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数「6」を示す賞球制御コマンドが出力され、カウントスイッチ23またはVカウントスイッチ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数「15」を示す賞球制御コマンドが出力される。そして、それらのスイッチがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数「10」を示す賞球制御コマンドが出力される。 【0036】 図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。 【0037】 また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。 【0038】 基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。 【0039】 さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。 なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。 【0040】 遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。 【0041】 図5は、サブ基板としての表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82および主基板31の出力バッファ回路63とともに示すブロック図である。表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から入力バッファ回路105を介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ回路105を介して表示制御コマンドを受信する。 【0042】 そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D-A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。 【0043】 なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。 【0044】 入力バッファ回路105は、主基板31から表示制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、表示制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。なお、出力ポート571,572の出力をそのまま表示制御基板80に出力してもよいが、単方向にのみ信号伝達可能な出力バッファ回路63を設けることによって、主基板31から表示制御基板80への一方向性の信号伝達をより確実にすることができる。 【0045】 図6は、主基板31における音声制御コマンドの信号送信部分およびサブ基板としての音声制御基板70の構成例を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技進行に応じて、遊技領域7の外側に設けられているスピーカ27の音声出力を指示するための音声制御コマンドが、主基板31から音声制御基板70に出力される。 【0046】 図6に示すように、音声制御コマンドは、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート(出力ポートE)575から出力される。音声制御基板70において、主基板31からの各信号は、入力バッファ回路705を介して音声制御用CPU701に入力する。なお、音声制御用CPU701がI/Oポートを内蔵していない場合には、入力バッファ回路705と音声制御用CPU701との間に、I/Oポートが設けられる。そして、例えばディジタルシグナルプロセッサによる音声合成回路702は、音声制御用CPU701の指示に応じた音声や効果音を発生し音量切替回路703に出力する。音量切替回路703は、音声制御用CPU701の出力レベルを、設定されている音量に応じたレベルにして音量増幅回路704に出力する。音量増幅回路704は、増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。 【0047】 入力バッファ回路705の存在によって、音声制御基板70側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。従って、音声制御基板70内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。また、主基板31において、出力ポート575の外側に単方向にのみ信号伝達可能な出力バッファ回路71が設けられている。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、音声制御基板70から主基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。 【0048】 図7は、主基板31およびサブ基板としてのランプ制御基板35における信号送受信部分を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技領域7の外側に設けられている遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cの点灯/消灯と、賞球ランプ51および球切れランプ52の点灯/消灯を示すランプ制御コマンドが出力される。 【0049】 図7に示すように、ランプ制御に関するランプ制御コマンドは、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート(出力ポートC)573から出力される。ランプ制御基板35において、主基板31からの制御コマンドは、入力バッファ回路355を介してランプ制御用CPU351に入力する。なお、ランプ制御用CPU351がI/Oポートを内蔵していない場合には、入力バッファ回路355とランプ制御用CPU351との間に、I/Oポートが設けられる。 【0050】 ランプ制御基板35において、ランプ制御用CPU351は、各制御コマンドに応じて定義されている遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cの点灯/消灯パターンに従って、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cに対して点灯/消灯信号を出力する。点灯/消灯信号は、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cに出力される。なお、点灯/消灯パターンは、ランプ制御用CPU351の内蔵ROMまたは外付けROMに記憶されている。 【0051】 主基板31において、基本回路53は、賞球時に賞球ランプ点灯を指示する制御コマンドを出力し、遊技盤裏面の遊技球補給路に設置されている球切れ検出センサがオンすると球切れランプ点灯を指示する制御コマンドを出力する。ランプ制御基板35において、各制御コマンドは、入力バッファ回路355を介してランプ制御用CPU351に入力する。ランプ制御用CPU351は、それらの制御コマンドに応じて、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯/消灯する。 【0052】 入力バッファ回路355の存在によって、ランプ制御基板35側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。たとえ、ランプ制御基板35内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0053】 従って、ランプ制御基板35から主基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができる。すなわち、主基板31からランプ制御基板35への信号の一方向性が確実になり、主基板31における遊技制御に対してランプ制御基板35が影響を及ぼす可能性がなくなる。この結果、例えば、ランプ制御基板35において、主基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号を主基板31に伝えることはできない。さらに、主基板31において、出力ポート573の外側に単方向にのみ信号伝達可能な出力バッファ回路62が設けられている。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、ランプ制御基板35から主基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをより確実になくすことができる。 【0054】 なお、図7では、ランプ制御用CPU351の内蔵出力ポートから遊技効果LED28a、遊技効果ランプ28b,28c、賞球ランプ51および球切れランプ52に点灯または消灯を指示する信号が出力されているが、実際には、出力ポートと各ランプ・LEDとの間にドライバ回路が挿入されている。 【0055】 図8は、サブ基板としての賞球制御基板37および玉払出装置97の構成要素などの賞球に関連する構成要素を示すブロック図である。図8に示すように、入賞球検出スイッチ99および満タンスイッチ402からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。入賞球排出ソレノイド127は、遊技盤裏面の入賞球流下路の途中に設けられている玉止め部材を駆動するものであって、玉止め部材に入賞球が停止している状態で入賞球検出スイッチ99によって入賞球が検出される。また、満タンスイッチ402は、余剰玉受皿4の満タンを検出するスイッチである。 【0056】 球切れ検出スイッチ167および球切れスイッチ187からの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。球切れ検出スイッチ167は景品玉タンク38内の補給玉の不足を検出するスイッチであり、玉切れスイッチ187は、景品玉通路内の景品玉の有無を検出するスイッチである。 【0057】 主基板31のCPU56は、球切れ検出スイッチ167または球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ402からの検出信号が満タン状態を示していると、球貸し禁止を指示する賞球制御コマンドを送出する。球貸し禁止を指示する賞球制御コマンドを受信すると、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、球貸し処理を停止する。 【0058】 さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート57に入力される。また、主基板31のI/Oポート57から入賞球排出ソレノイド127への駆動信号は、中継基板71を介して入賞球排出ソレノイド127に供給される。 なお、賞球カウントスイッチ301Aは、玉払出装置97の賞球機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球を検出する。 【0059】 入賞があると、賞球制御基板37には、主基板31から賞球個数を示す賞球制御コマンドが入力される。賞球個数を示す賞球制御コマンドは、入力バッファ回路373を介してI/Oポート372に入力される。入力バッファ回路373における各バッファは、主基板31から賞球制御基板37へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、賞球制御基板37側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。賞球制御基板37内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。また、主基板31において、賞球制御コマンドを出力する出力ポート574の外側に単方向にのみ信号伝達可能な出力バッファ回路69が設けられている。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、賞球制御基板37から主基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをより確実になくすことができる。 【0060】 また、賞球制御用CPU371は、I/Oポート372を介して、貸し玉数を示す球貸し個数信号をターミナル基板160に出力し、ブザー駆動信号をブザー基板75に出力する。ブザー基板75にはブザーが搭載されている。さらに、I/Oポート372を介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。 【0061】 さらに、賞球制御基板37には、中継基板72を介して、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号および球貸しカウントスイッチ301Cの検出信号が入力される。賞球制御基板37からの賞球モータ289への駆動信号は、中継基板72を介して玉払出装置97の賞球機構部分における賞球モータ289に伝えられる。なお、球貸しカウントスイッチ301Cは、玉払出装置97の球貸し機構部分に設けられ、実際に貸し出された遊技球を検出する。 【0062】 カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、球貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。 【0063】 残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が賞球制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が賞球制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と賞球制御基板37の間では、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)がやりとりされる。 【0064】 パチンコ遊技機1の電源が投入されると、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRQ信号を出力する。そして、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、球貸しモータ289Cを駆動し、所定個の貸し玉を遊技者に払い出す。そして、払出が完了したら、賞球制御用CPU371は、カードユニット50にEXS信号を出力する。 【0065】 以上のように、カードユニット50からの信号は全て賞球制御基板37に入力される構成になっている。従って、球貸し制御に関して、カードユニット50から主基板31に信号が入力されることはなく、主基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。 なお、主基板31および賞球制御基板37には、ソレノイドおよびモータやランプを駆動するためのドライバ回路が搭載されているが、図8では、それらの回路は省略されている。 さらに、この実施の形態では、サブ基板として、遊技機に備えられるすべてのマイクロコンピュータを搭載した基板が対象とされている。しかし、すべてのマイクロコンピュータを搭載した基板を対象とする場合だけでなく、マイクロコンピュータを搭載した一部の基板(単数または複数)を、本発明におけるサブ基板としてもよい。 【0066】 次に遊技機の動作について説明する。 図9は、主基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、クロックモニタ制御を動作可能状態にするために、CPU56に内蔵されているクロックモニタレジスタをクロックモニタイネーブル状態に設定する(ステップS1)。なお、クロックモニタ制御とは、入力されるクロック信号の低下または停止を検出すると、CPU56の内部で自動的にリセットを発生する制御である。 【0067】 次いで、CPU56は、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS2)。この例では、スタックポインタに00FFHが設定される。そして、システムチェック処理を行う(ステップS3)。システムチェック処理では、CPU56は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。 【0068】 次に、表示制御基板80に送出される表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS4)、表示制御コマンドを出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS5)。 【0069】 次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS6)。また、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS8)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS9)。 【0070】 次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。 【0071】 次に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS11)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS12)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。 【0072】 さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、ゲートセンサ12、始動口センサ17およびカウントセンサ23の状態を入力し、各入賞口や入賞装置に対する入賞があったか否か判定する(スイッチ処理:ステップS13)。 【0073】 基本回路53は、さらに、停止図柄の種類を決定する乱数等の表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS15)。 【0074】 また、基本回路53は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS16)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、賞球制御コマンドに応じて玉払出装置97を駆動する。 その後、基本回路53は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS17の表示用乱数更新処理を繰り返す。 【0075】 図10は基本回路53における特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図10に示す特別図柄プロセス処理は、図9のフローチャートにおけるステップS11の具体的な処理である。基本回路53のCPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、特別図柄プロセスフラグの値に応じて、図10に示すステップS30~S37のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。 【0076】 特別図柄変動待ち処理(ステップS30):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り判定用乱数を抽出する。 大当り判定設定処理(ステップS31):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り判定用乱数の値に応じて大当たりとするかはずれとするか決定する。 特別図柄停止図柄設定処理(ステップS32):左右中図柄の停止図柄を決定する。さらに、リーチ動作用乱数の値に応じてリーチ動作の変動態様を決定する。 【0077】 全図柄変動中処理(ステップS33):可変表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、表示制御基板80に対して、左右中最終停止図柄と変動態様を指令する情報とが送信される。また、可変表示部9に背景やキャラクタも表示される場合には、それに応じた表示制御コマンドが表示制御基板80に送出されるように制御する。 【0078】 第1停止図柄停止待ち処理(ステップS34):所定時間が経過すると、可変表示部9において表示される左図柄が停止されるように制御する。 第2停止図柄停止待ち処理(ステップS35):所定時間が経過すると、可変表示部9において表示される右図柄が停止されるように制御する。 全図柄停止待ち処理(ステップS36):所定時間が経過すると、可変表示部9において表示される全図柄が停止されるように制御する。 【0079】 大当たり中処理(ステップS37):停止図柄が大当たり図柄の組み合わせである場合には、大当たり表示の表示制御コマンドが表示制御基板80に送出されるように制御する。そうでない場合には、内部状態をステップS30に移行するように更新する。なお、大当たり図柄の組み合わせば、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、表示御基板80の表示制御用CPUは表示制御コマンドデータに従って、可変表示部9に大当り表示を行う。大当り表示は遊技者に大当りの発生を報知するためになされるものである。 さらに、大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。 【0080】 そして、大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ再度大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS30に移行するように更新する。 【0081】 上記の各ステップの処理に応じて、遊技制御プログラム中の表示制御コマンドを送出する処理を行うモジュール(図9におけるステップS5)は、対応する表示制御コマンドデータを出力ポートに出力するとともに、ストローブ信号を出力ポートに出力する。また、出力データ設定処理を行うモジュール(図9におけるステップS8)は、プロセスタイマのタイムアウトに応じて、ランプ制御コマンドをランプ制御基板35に送出するための設定を行い、音声制御コマンドを音声制御基板70に送出するための設定を行う。 【0082】 図11は、特別図柄プロセス処理において用いられるプロセスデータのデータ構成を示す説明図である。プロセスデータは、基本回路53のROM54に格納されている。そして、特別図柄プロセス処理における各プロセス(ステップS30~S37)は、プロセスデータに設定されている各データに応じて、図柄変動制御、ランプ・LED制御および音声制御を行う。すなわち、各プロセス(ステップS30~S37)に応じたプロセスデータがROM55に格納されている。 【0083】 プロセスデータは、5バイトで構成されるデータグループが1つ以上集まったものである。5バイトで構成されるデータグループの1バイト目および2バイト目には、プロセスタイマ値が設定される。3バイト目には、ランプ制御コマンドデータが設定される。4バイト目には、音声制御コマンドデータが設定される。そして、5バイト目には、特別図柄表示制御データが設定される。また、プロセスデータの最後には、プロセスの終了を示す終了コードが付加されている。 【0084】 音声制御コマンドデータとして、例えば、図12に示すようなデータがある。図12に示された各音声制御コマンドデータは7ビットで構成され、それぞれ、効果音の種類を指定する。図11に示されたプロセスデータは、図10に示された各プロセス(S30~S37)のそれぞれに応じて設定されている。そして、各プロセスデータは、それぞれ5バイトからなる1つ以上のデータグループを含む。各データグループの1,2バイト目に格納されているタイマ値にもとづくプロセスタイマがタイムアップすると、次の5バイトのデータグループが使用される。すなわち、そのデータグループ中のランプ制御コマンドデータがランプ制御基板35に送出され、音声制御コマンドデータが音声制御基板70に送出される。 【0085】 図13は、音声制御コマンドのビット構成を示す説明図である。図13に示すように、1バイト中のビット7はINT信号として使用される。また、ビット0~ビット6の6バイトが、図12に示された音声制御コマンドデータ部分として使用される。 【0086】 図14は、各特別図柄プロセス処理(ステップS30~S37)で実行されるプロセスデータ/タイマ設定処理サブルーチンを示すフローチャートである。プロセスデータ/タイマ設定処理において、CPU56は、特別図柄プロセスタイマ設定処理を実行し(ステップS401)、ランプ,音声データ設定処理(特別図柄プロセスデータ設定処理)を実行する(ステップS402)。次いで、プロセスタイマの値を1減算する(ステップS403)。プロセスタイマの値が0でなければ、このプロセスは継続中であるとして(ステップS408)、処理を終了する。 【0087】 プロセスタイマの値が0になったら、データポインタがプロセスデータ中の次のデータグループ(5バイト)を指すように設定する(ステップS405)。そして、データポインタが指すデータグループにおける1,2バイト目の値をプロセスタイマに設定し、このプロセスは継続中であるとして(ステップS408)、処理を終了する(ステップS406)。なお、データポインタが指すデータが終了コードであれば(ステップS407)、このプロセスは終了したとする(ステップS409)。 【0088】 図15は、特別図柄プロセスタイマ設定処理(ステップS401)を示すフローチャートである。特別図柄プロセスタイマ設定処理において、CPU56は、アドレスの変更があったか否か確認する(ステップS421)。ここで、アドレスとはプロセスデータの先頭アドレスのことである。つまり、プロセスの変更があった場合にステップS422~S424の処理が実行される。アドレスの変更がない場合、すなわちプロセスが継続中である場合には、プロセスデータアドレスを設定して(ステップS425)、処理を終了する。ただし、ステップS421から直接ステップS425に分岐する場合には、プロセスデータアドレスの内容は変更されない。 【0089】 アドレスの変更があった場合、すなわちプロセスの切替が行われた場合には、変更後のプロセスに対応したプロセスデータの先頭アドレスをデータアドレスに設定する(ステップS422)。そして、そのプロセスデータ中の1,2バイト目の値を新たにプロセスタイマに設定し(ステップS423)、プロセスタイマの値を保存する(ステップS424)。さらに、データアドレスの値にプロセスデータアドレスを設定する(ステップS425)。 【0090】 図16は、図9に示されたメイン処理における出力データ設定処理(ステップS8)を示すフローチャートである。ただし、ここでは、音声制御基板70およびランプ制御基板35に対する制御コマンドの出力データ設定についてのみ示す。出力データ設定処理において、CPU56は、音声データに変更がないかどうか判定する(ステップS81)。図11に示すプロセスタイマがタイムアップして、プロセスデータ中で使用されるデータグループ(5バイト)が切り替わったときに音声データの変更が生じうる。ただし、データグループの切替があったときでも、切替前後の音声データが同一である場合もある。その場合には、CPU56は、音声データに変更があったとは見なさない。 【0091】 音声データに変更があった場合には、CPU56は、プロセスデータ中の現在使用中のデータグループにおける音声データすなわち音声制御コマンドデータを読み出す(ステップS82)。そして、ビット7を0クリアして(ステップS83)、ポートEデータ格納領域に設定する(ステップS84)。また、ポートE出力要求をセットする(ステップS85)。 【0092】 音声データに変更がなかった場合には、CPU56は、ランプデータに変更がないかどうか判定する(ステップS86)。図11に示されるように、ランプデータの変更も、プロセスタイマがタイムアップして、プロセスデータ中で使用されるデータグループ(5バイト)が切り替わったときに生じうる。ただし、データグループの切替があったときでも、切替前後のランプデータが同一である場合もある。その場合には、CPU56は、ランプデータに変更があったとは見なさない。 【0093】 ランプデータに変更があった場合には、CPU56は、プロセスデータ中の現在使用中のデータグループにおけるランプデータすなわちランプ制御コマンドデータを読み出す(ステップS87)。そして、ビット7を0クリアして(ステップS88)、ポートCデータ格納領域に設定する(ステップS89)。また、ポートC出力要求をセットする(ステップS90)。 【0094】 図17は、図9に示されたメイン処理におけるデータ出力処理(ステップS6)の音声制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。音声制御コマンド出力に関するデータ出力処理において、CPU56は、ポートE出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS601)。ポートE出力要求がセットされている場合には、ポートE出力要求をリセットし(ステップS602)、ポートE格納領域の内容を出力ポート(出力ポートE)575に出力する(ステップS603)。ポートE格納領域のビット0~6には音声制御コマンドデータが設定され、ビット7には0が設定されている。そして、ポートE出力カウンタを+1する(ステップS604)。 【0095】 ポートE出力要求がセットされていない場合には、ポートE出力カウンタの値が0であるか否か判定する(ステップS605)。ポートE出力カウンタの値が0でない場合には、ポートE出力カウンタの値が2であるか否か確認する(ステップS606)。ポートE出力カウンタの値が2ではない、すなわち1である場合には、ポートE出力カウンタの値を1増やす(ステップS607)。 【0096】 ポートE出力カウンタの値が2である場合には、ポートE出力カウンタの値をクリアするとともに(ステップS608)、出力ポート(出力ポートE)575のビット7を1にする(ステップS609)。 【0097】 出力ポートEのビット7は、音声制御基板70に与えられるINT信号を出力するポートである。また、出力ポートEのビット0~6は、音声制御コマンドデータを出力するポートである。そして、この実施の形態では、図17に示されたデータ出力処理は2msに1回実行される。従って、図17に示されたデータ出力処理によって、図18に示すように、音声制御コマンドデータが出力されるときに、4ms間INT信号がローレベルになる。 【0098】 図19は、主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドデータを示す説明図である。図19に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドデータは、表示制御信号CD0~CD7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、INT信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、表示制御基板80の電源となる+5V,+12Vの供給線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。 【0099】 図20は、主基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドデータの送出タイミングを示すタイミング図である。図20に示すように、この実施の形態では、新たな表示制御コマンドデータが出力されてから2ms間INT信号がオン状態(ローレベル)になる。表示制御用CPU101は、INT信号がオンしたことを検出すると、表示制御コマンドデータを取り込む処理を行う。 後述するように、この実施の形態では、表示制御コマンドは2バイト構成であるから、1つの表示制御コマンドが出力される際に、2回INT信号が出力される。なお、図20に示されたポート出力カウンタは、メイン処理における表示制御データ出力処理(ステップS5)で使用されるカウンタである。 【0100】 図21は、表示制御コマンドデータの一例を示す説明図である。図21に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドデータによって、各変動パターンと、左図柄が変動停止すべきことおよびそのときの左停止図柄が指定される。それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「60(H)」である。なお、図21には左図柄の停止に関する表示制御コマンドデータのみが示されているが、その他、右図柄の停止に関する表示制御コマンドデータ、中図柄の停止に関する表示制御コマンドデータ、左右中図柄の表示に関する表示制御コマンドデータ、リーチ種類を示す表示制御コマンドデータ、キャラクタの登場を指示する表示制御コマンドデータ、大当り遊技中のラウンド表示や大入賞口開放回数を指示する表示制御コマンドデータ等が用意されている。 【0101】 また、この実施の形態では表示制御コマンドデータは2バイト構成であるが、表示制御コマンドデータが2バイトを越える構成であってもよい。 【0102】 図22は、ランプ制御コマンドの一例を示す説明図である。各ランプ制御コマンドデータは7ビットで構成され、それぞれ、遊技の進行に応じたランプ・LEDの点灯パターンおよび消灯を指定する。ただし、図22に示された例は、ある特定の遊技機に応じたパターンであって、他の機種の遊技機では、定義が異なる各ランプ制御コマンドデータが使用されうる。例えば、図22に示された例では特殊変動時ランプ指定が4種類(05H~08H)あるが、特殊変動のパターンがそれよりも多い遊技機では、より多くの種類のランプ制御コマンドデータに特殊変動のパターンを割り当てればよい。あるいは、全ての遊技機で使用される可能性があるランプ制御データを定義しておき、そのうちから、各機種で必要に応じて使用するランプ制御データを選択するようにしてもよい。 【0103】 図23は、ランプ制御コマンドのビット構成を示す説明図である。図23に示すように、1バイト中のビット7はINT信号として使用される。また、ビット0~ビット6の6バイトが、図22に示されたランプ制御コマンドデータ部分として使用される。 【0104】 図24は、図9に示されたメイン処理におけるデータ出力処理(ステップS6)のランプ制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。ランプ制御コマンド出力に関するデータ出力処理において、CPU56は、ポートC出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS621)。ポートC出力要求は、図16に示された出力データ設定処理において、ランプデータに変更があった場合にセットされる。また、この実施の形態では、図11に示すプロセスタイマがタイムアップして、プロセスデータ中で使用されるデータグループ(5バイト)が切り替わったときに、ランプデータの変更が生じうる。 【0105】 ポートC出力要求がセットされている場合には、ポートC出力要求をリセットし(ステップS622)、ポートC格納領域の内容を出力ポート(出力ポートC)573に出力する(ステップS623)。ポートC格納領域のビット0~6にはランプ制御コマンドデータが設定され、ビット7には0が設定されている。そして、ポートC出力カウンタを+1する(ステップS624)。 【0106】 ポートC出力要求がセットされていない場合には、ポートC出力カウンタの値が0であるか否か判定する(ステップS625)。ポートC出力カウンタの値が0でない場合には、ポートC出力カウンタの値が2であるか否か確認する(ステップS626)。ポートC出力カウンタの値が2ではない、すなわち1である場合には、ポートC出力カウンタの値を1増やす(ステップS627)。 【0107】 ポートC出力カウンタの値が2である場合には、ポートC出力カウンタの値をクリアするとともに(ステップS628)、出力ポート(出力ポートC)573のビット7を1にする(ステップS629)。 【0108】 出力ポートCのビット7は、ランプ制御基板35に与えられるINT信号を出力するポートである。また、出力ポートCのビット0~6は、ランプ制御コマンドデータを出力するポートである。そして、この実施の形態では、図24に示されたデータ出力処理は2msに1回実行される。従って、図24に示されたデータ出力処理によって、図25に示すように、ランプ制御コマンドデータが出力されるときに、4ms間INT信号がローレベルになる。 【0109】 図26は、賞球制御コマンドのビット構成を示す説明図である。図26に示すように、1バイト中のビット7はINT信号として使用される。また、ビット0~ビット6の6バイトが、賞球制御コマンドデータ部分として使用される。そして、ビット0~ビット6のうちの上位3ビットは制御指定として使用される。すなわち、ビット6,5,4が「0,0,0」であれば通常払出指定(賞球個数出力)を示し、「0,0,1」であれば補正払出指定を示し、「0,1,0」であれば球貸し禁止指定を示し、「1,1,1」であれば球貸し禁止指定解除を示す。なお、球貸し禁止指定は、余剰玉受皿4が満タンになって満タンスイッチ402がオンしたとき、および球切れ検出スイッチ167または球切れスイッチ187がオンしたときに、主基板31の基本回路53から送信される。そして、それらのスイッチがオフ状態になると、球貸し禁止指定解除が送信される。 【0110】 賞球制御コマンドは、主基板31から賞球制御基板37に、図8に示されたように、出力ポート(ポートD)574を介して送信される。そして、この実施の形態では、図27に示すように、主基板31から賞球制御コマンドデータが出力されるときに、4ms間INT信号がローレベルになる。 【0111】 次に、図28~図30のフローチャートを参照して、主基板31における入賞球信号処理を説明する。入賞球信号処理は、図9に示されたステップS16の処理であり、2msに1回実行される。最初に、使用される各タイマについて説明する。 (1)タイマT1:賞球カウントスイッチ301Aのオフ時にセットされ、タイムアウトすると払出個数のチェックが行われる。 (2)タイマT4:賞球制御コマンド送出時にセットされ、タイムアウトするまでに賞球カウントスイッチが1回もオンしない場合にエラーとされる。 (3)タイマT5:エラー検出時にセットされ、タイムアウトするまでエラー表示が行われる。 (4)タイマT6:タイムアウトする度に繰り返し再起動され、タイムアウト時に累積エラー回数が所定回数を越えていたら復帰不能なエラーとなる。 (5)タイマT7:入賞球排出ソレノイド127の駆動開始時にスタートされ、タイムアウトするまでに入賞球の排出が確認されなければエラーと判定される。 【0112】 入賞球信号処理において、主制御基板31におけるCPU56は、まず、タイマT4が動作中であるか否か確認する(ステップS201)。動作中であれば、タイマT4がタイムアウトしたか否か確認する(ステップS202)。タイマT4がタイムアウトした場合には、エラー状態に入る(ステップS203)。 【0113】 タイマT4が動作中ではないか、または動作中でタイムアウトしていない場合には、タイマT6がタイムアウトしたか否か確認する(ステップS204)。タイムアウトしていた場合には、賞球エラーカウンタの値をチェックする(ステップS205)。賞球エラーカウンタの値が所定値を越えていた場合には、エラー状態に入る(ステップS208)。エラー状態では、基本回路53はホールト状態(HALT状態)になる。例えば、動作停止フラグをセットする。 【0114】 タイマT6がタイムアウトしたときに、賞球エラーカウンタの値が所定回を越えていなければ、賞球エラーカウンタは初期化され(ステップS206)、再度タイマT6がスタートされる(ステップS207)。 【0115】 後述するように、賞球エラーカウンタの値は、賞球個数の過多が検出されるとカウントアップされる。従って、所定時間内に(タイマT6のカウントアップ時間内に)所定回数を越える賞球過多エラーが生ずると、定期リセット信号によっても解除されない状態になる。このように、賞球過多エラーが生じたときに直ちにホールト状態とならず、頻繁に賞球過多エラーが生じた場合にホールト状態となるように構成すると、一時的生じ自然復旧するようなエラーでは遊技機は動作不能状態にならない。また、頻繁に賞球過多エラーが生ずる場合には点検等を要することが多いので、そのような場合には遊技機が動作不能状態になるようにすることができる。 【0116】 次いで、CPU56は、タイマT7が動作中であるか否か確認する(ステップS210)。動作中であれば、タイマT7がタイムアウトしたか否か確認する(ステップS211)。タイマT7がタイムアウトした場合には、入賞球排出ソレノイド127の駆動開始後所定時間内に入賞球が排出されなかったことになるのでエラーとする(ステップS211)。タイマT7がタイムアウトしていなければ、入賞球検出スイッチ99がオフしたか否か確認する(ステップS213)。オフしていれば、入賞球排出ソレノイド127の駆動を停止するとともに(ステップS214)、タイマT7を停止する(ステップS215)。 【0117】 次に、賞球払出中フラグがオンしているか否か確認する(ステップS216)。オンしている場合には、ステップS230に移行する。賞球払出中フラグがオンしていない場合には、入賞球検出スイッチ99がオンしているか否か確認する(ステップS216)。オンしていなければ処理を終了する。オンしていれば、カウントスイッチ23および始動口スイッチ17の状態を確認する(ステップS218,S220)。 【0118】 この実施の形態では、大入賞口を経た入賞については15個の賞球を払い出し、始動入賞口14を経た入賞については6個の賞球を払い出し、その他の入賞口24および入賞球装置を経た入賞については10個の賞球を払い出すとする。よって、カウントスイッチ23がオンしていたときには賞球予定数に15を設定し(ステップS219)、始動口スイッチ17がオンしていたときには賞球予定数に6を設定する(ステップS221)。その他の場合には、賞球予定数に10を設定する(ステップS222)。賞球予定数を設定するとは、具体的には、ポートD格納領域に「通常払出指定」のデータと「個数指定」を設定することである(図33参照)。なお、カウントスイッチ23および始動口スイッチ17がオンしたことは、図9に示されたスイッチ処理(ステップS13)で検出され、所定のRAM領域にそのことが記憶されている。 【0119】 そして、CPU56は、ポートD出力要求をセットする(ステップS223)。また、T4タイマをセットする(ステップS224)。ここで、CPU56は、入賞球検出スイッチ99がオフしていないかどうか確認する(ステップS225)。オフしていたら、入賞球排出処理を開始していないにも関わらず入賞球が抜けたことになるのでエラーとする(ステップS226)。エラーでなければ、入賞球処理装置における玉止部に停留している入賞球を排出するために入賞球排出ソレノイド127の駆動を開始する(ステップS227)。 【0120】 そして、CPU56は、賞球払出中フラグをオンしておく(ステップS228)。さらに、入賞球排出監視のためのタイマT7をスタートし(ステップS229)、処理を終了する。なお、次に、入賞球信号処理が実行されると、ステップS213で入賞球検出スイッチ99のオフ確認が行われるとともに、賞球払出中フラグがオンしているので、ステップS216からステップS230に移行する。 【0121】 ステップS230において、CPU56は、エラー表示フラグがオンしているか否か確認する。オンしていれば、ステップS245に移行する。なお、エラー表示フラグについては後で説明する。エラー表示フラグがオンしていなければ、賞球カウントスイッチ301Aがオンするのを待つ(ステップS231)。賞球カウントスイッチ301Aのオンを検出すると、T4タイマをストップし(ステップS232)する。そして、賞球カウントスイッチ301Aのオフを待ち(ステップS233)、オフしたら賞球カウント数を+1する(ステップS234)。 【0122】 そして、タイマT1を起動する(ステップS235)。タイマT1は、賞球カウントスイッチ301Aの出力がオンした後オフする度に起動または再スタートされる。ステップS231において賞球カウントスイッチ301Aがオンしていなければ、タイマT1が動作中か否か確認する(ステップS236)。タイマT1が動作中であれば、CPU56は、タイマT1がタイムアウトしたか否か確認する(ステップS240)。タイムアウトしていなければ処理を終了する。なお、次に、入賞球信号処理が実行されると、賞球払出中フラグがオンしているので、やはりステップS216からステップS230に移行する。 【0123】 タイマT1の値(起動時からタイムアウトするまでの時間)は、正常に払出が行われている場合には払出周期(賞球カウントスイッチ301Aがオンしてから次にオンするまでの期間)よりも長く設定されている。従って、正常に払出が行われているときには、最後の払出を除いて、タイマT1がタイムアウトするよりも前に、次の賞球カウントスイッチ301Aのオン(ステップS231)が発生する。すなわち、正常に払出が行われているときには、タイマT1は、最後の払出が行われた後に初めてタイムアウトする。 【0124】 ステップS240において、タイマT1がタイムアウトすると、CPU56は、賞球カウント数と賞球予定数または補正個数とを比較する(ステップS241)。正常に払出が完了した場合には、それらは一致する。従って、賞球払出フラグをオフして処理を終了する(ステップS243)。 【0125】 タイマT1がタイムアウトしたときに賞球カウント数と賞球予定数または補正個数とが一致していなかった場合には、CPU56は、どちらが多いのかチェックする(ステップS244)。賞球カウント数が賞球予定数または補正個数に満たない場合、すなわち払出不足と判断される場合には、補正個数出力要求をセットして(ステップS246)、タイマT4をスタートする(ステップS247)。なお、補正個数出力要求をセットする際に、ポートD格納領域に、「補正払出指定」のデータを設定するとともに「個数指定」をセットする(図26参照)。 【0126】 ステップS244において、賞球カウント数が賞球予定数または補正個数よりも多い場合、すなわち払出過多と判断される場合には、エラー表示処理を行う(ステップS245)。 【0127】 図30は、エラー表示処理の一例を示すフローチャートである。エラー表示処理において、CPU56は、まず、タイマT5が動作中であるかどうか確認する(ステップS251)。動作中でなければ、エラー表示フラグをオンし(ステップS252)、エラー表示要求をセットする(ステップS253)。そして、発生したエラーが自動復旧させるエラーか否か判定する(ステップS254)。この実施の形態では、自動復旧させるエラーは払出過多のエラーである。自動復旧させるエラーであれば、タイマT5(例えば3秒)を起動する(ステップS256)。また、賞球エラーカウンタの値を+1する(ステップS257)。賞球エラーカウンタの値は、ステップS205でチェックされ、所定時間内にその値が所定値を越えると自動復旧しない完全エラー状態とされる。 なお、エラー表示要求がセットされると、例えば、ランプ制御基板35に「エラー時ランプ指定」のランプ制御コマンドが送出される。 【0128】 ステップS251においてタイマT5が動作中である場合には、CPU56は、タイマT5がタイムアウトしているか否か確認する(ステップS260)。タイムアウトした場合には、エラー表示要求をリセットするとともに(ステップS261)、エラー表示中フラグをオフする(ステップS262)。また、賞球払出中フラグをオフする(ステップS263)。よって、遊技機は、再度入賞球検出と賞球払出制御を行える状態に復帰する。なお、エラー表示フラグがオンしているときには、遊技進行は中断されている。 【0129】 ステップS254において自動復旧させないエラー(ハードウェア的なエラー)と判定された場合には、ハードウェアの回復を待つ(ステップS255)。つまり、ステップS211のエラー状態(入賞球排出ソレノイド127を駆動したにも関わらず入賞球検出スイッチ99がオフしなかった=入賞球が抜けなかった)、およびステップS226のエラー状態(入賞球排出ソレノイド127を駆動していないにも関わらず入賞球検出スイッチ99がオンした=入賞球が抜けた)については、例えば、エラー表示やエラー報知が行われるとともに、ハードウェア故障が回復するまでホールト状態になるように制御される。 【0130】 なお、この実施の形態では上記のようなハードウェアエラーを例示したが、その他に、賞球カウントスイッチ301Aのオン状態が所定時間以上継続した場合にはエラーとしたり、賞球動作を開始していないにも関わらず賞球カウントスイッチ301Aがオンした場合にエラーとしてもよい。 【0131】 図31は、図9に示されたメイン処理におけるデータ出力処理(ステップS6)の賞球制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。賞球制御コマンド出力に関するデータ出力処理において、CPU56は、ポートD出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS671)。ポートD出力要求は、図28に示された入賞球信号処理において、賞球予定数の決定があった場合にセットされる(ステップS223)。 【0132】 ポートD出力要求がセットされている場合には、ポートD出力要求をリセットし(ステップS672)、ポートD格納領域の内容を出力ポート(出力ポートD)574に出力する(ステップS673)。ポートD格納領域のビット0~6には賞球制御コマンドデータが設定され、ビット7には0が設定されている。そして、ポートD出力カウンタを+1する(ステップS674)。 【0133】 ポートD出力要求がセットされていない場合には、CPU56は、補正個数出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS675)。補正個数出力要求は、図28,図29に示された入賞球信号処理において、賞球予定数までの賞球が行われなかったことが検出されるとセットされる(ステップS244,S246)。 【0134】 補正個数出力要求がセットされている場合には、補正個数出力要求をリセットし(ステップS676)、ポートD格納領域の内容を出力ポート(出力ポートD)574に出力する(ステップS677)。そして、ポートD出力カウンタを+1する(ステップS678)。 【0135】 ポートD出力要求も補正個数出力要求もセットされていない場合には、ポートD出力カウンタの値が0であるか否か判定する(ステップS681)。ポートD出力カウンタの値が0でない場合には、ポートD出力カウンタの値が2であるか否か確認する(ステップS682)。ポートD出力カウンタの値が2ではない、すなわち1である場合には、ポートD出力カウンタの値を1増やす(ステップS683)。 【0136】 ポートD出力カウンタの値が2である場合には、ポートD出力カウンタの値をクリアするとともに(ステップS684)、出力ポート(出力ポートD)574のビット7を1にする(ステップS685)。 【0137】 出力ポートDのビット7は、賞球制御基板37に与えられるINT信号を出力するポートである。また、出力ポートDのビット0~6は、賞球制御コマンドデータを出力するポートである。そして、この実施の形態では、図31に示されたデータ出力処理は2msに1回実行される。従って、図31に示されたデータ出力処理によって、図27に示すように、賞球制御コマンドデータが出力されるときに、4ms間INT信号がローレベルになる。 【0138】 なお、ここでは、賞球制御コマンド出力処理部分の処理として、賞球個数および補正個数を含む賞球制御コマンドを出力する場合につい説明したが、「球貸し禁止指定」および「球貸し禁止指定解除指定」の送出要求を受けたら、それらを含む賞球制御コマンドを出力する。 【0139】 図32は、図5~図8に示された主基板31の出力バッファ回路62,63,69,71とサブ基板の入力バッファ回路105,355,373,705の構成例を示す回路図である。なお、サブ基板とは、この実施の形態では、マイクロプロセッサを搭載しているランプ制御基板35、賞球制御基板37、音声制御基板70および表示制御基板80を指す。 【0140】 図32に示された構成では、主基板31の出力バッファ回路62,63,69,71として、C-MOSIC例えば74HC244が用いられる。そして、74HC244の制御端子はグラウンドレベルに固定される。従って、出力ポート571,572,573,574または575から「1」が出力されると出力バッファ回路62,63,69,71の出力はハイレベルとなり、出力ポート571,572,573,574または575から「0」が出力されると出力バッファ回路62,63,69,71の出力はローレベルとなる。すなわち、出力バッファ回路62,63,69,71の出力は論理反転せず、また、出力はハイレベルまたはローレベルに確定している。 【0141】 サブ基板35,37,70,80において、入力バッファ回路105,355,373,705として、C-MOSIC例えば74HC244が用いられる。そして、74HC244の制御端子はグラウンドレベルに固定される。よって、入力バッファ回路105,355,373,705の出力も論理反転しない。さらに、図32に示された例では、入力バッファ回路105,355,373,705の入力側に、高周波信号を遮断するノイズフィルタが設けられている。ノイズフィルタと、して3端子コンデンサやフェライトビーズ等が使用される。 【0142】 上述したように、可変表示部に可変表示される特別図柄は遊技者の利益に大きく関連しているので、表示制御コマンドは、誤りなく主基板31から表示制御基板80に伝達されなければならない。また、賞球制御基板37に伝達される賞球制御コマンドも遊技者の利益に密接に関連しているので誤りなく遊技制御手段から表示制御手段に伝達されなければならない。そして、遊技機から発せられる音声や点滅表示されるランプ等は遊技演出に関連しているので、主基板31からランプ制御基板35または音声制御基板70に伝達されるコマンドにノイズ等に起因する誤りが生ずると、遊技効果が減退してしまう。 【0143】 しかし、この実施の形態では、ノイズフィルタが設けられているので、サブ基板で受信されるコマンドに対するノイズの影響を防止することができる。なお、サブ基板において、74HC244の入力端に、信号反射防止等の目的で終端抵抗を設けてもよい。また、ノイズフィルタは信号インタフェース部分に存在すればよいので、主基板31の出力端に設けてもよい。 【0144】 図32に示された例では、出力バッファ回路および入力バッファ回路にCMOSICを使用したが、入力バッファ回路としてTTLIC例えば74LS244を用いてもよい。図33は、そのような構成を示す回路図である。その動作については、図32に示された構成における動作と同じである。 【0145】 また、図34に示すように、出力バッファ回路および入力バッファ回路にTTLIC例えば74LS244を用いてもよい。動作については、図32,図33に示された構成における動作と同じである。 【0146】 さらに、図35に示すように、出力バッファ回路にTTLIC例えば74LS244を用い、入力バッファ回路にC-MOSIC例えば74HC244を用いてもよい。動作については、図32,図33,図34に示された構成における動作と同じである。ただし、TTLICでは出力ハイレベルがCMOSICのしきい値3.5Vよりも低くなる可能性があるので、図35に示すように、主基板31においてプルアップしておくことが望ましい。 【0147】 図32ないし図35に示されたようなインタフェース構成によれば、主基板31からの信号出力レベルはハイレベルまたはローレベルに確定しているので、主基板31の信号出力コネクタ部分に検査装置を接続して出力状態を検査することができる。図36は、検査時の接続形態の一例を示す説明図である。図に示すように、検査装置200からのプローブ200a~200nを主基板31の信号出力コネクタ部分に接続するだけで主基板31の出力信号を測定することができる。しかも、各実施の形態の構成によれば、出力論理レベルを確定しておくことによって外部からの不正信号を効果的に防止できる。また、主基板31からサブ基板に至るコマンドに誤りが生ずると遊技者に対して不利益が生ずる等の問題が発生するが、信号インタフェース部分にノイズフィルタを設ける等の対策を施すことによって、ノイズの影響を防止することができる。 【0148】 なお、図32ないし図35に示された各構成のうちのいずれを採用するのかは、各機種における事情に応じて決定される。例えば、あるサブ基板ではTTLICが多く用いられている場合には、そのサブ基板では入力バッファ回路としてTTLICを用いるように決定される。 【0149】 以上のように、上記の各実施の形態では、主基板31から出力されるコマンドを構成する信号が常にハイレベルまたはローレベルに確定しているので、通常の検査装置によって主基板31からの信号を検査することができる。そして、主基板31における出力バッファ回路に論理反転しない素子を用い、サブ基板における入力バッファ回路にも論理反転しない素子を用いているので、遊技制御手段が扱う論理(「1」または「0」)と、サブ基板のCPUが扱う論理を一致させることができる。なお、従来のオープンコレクタでのNPNトランジスタ等を使用した場合には、そこで論理が反転していた。 【0150】 なお、この実施の形態では、主基板31の内部すなわちCPU56および出力ポートにおいても信号論理の反転はない。サブ基板の内部すなわち入力ポートおよび各CPUにおいても同様である。 【0151】 また、サブ基板において入力ポート(外付けポートを用いない場合にはCPUの内蔵ポート)の前段に信号伝達が一方向性の入力バッファ回路があるので、サブ基板から主基板31に信号が伝達することはできない。従って、サブ基板に不正な改造が加えられても、主基板31に不正信号を供給することはできない。 【0152】 主基板31の信号出力部分を、出力ポートの信号がそのまま出力されるように構成してもよいが、信号伝達が一方向性の出力バッファ回路が設けられている場合には、各コマンドの単方向性をより確実にすることができる。つまり、基板間に不正基板が取り付けられるような場合であっても、不正基板からの信号を主基板31の内部に送り込むことはできない。なお、従来のオープンコレクタでのNPNトランジスタ等を使用した場合には、オープンコレクタ状態では出力論理が確定していないので、信号の一方向性が完全には担保されていない。それに対して、本発明によれば、主基板31からサブ基板への信号の一方向性がより確実になり、不正基板等による不正をより確実に排除できる。 【0153】 なお、上記の各実施の形態の遊技機、すなわち図1の正面図に示されたパチンコ遊技機は、始動入賞にもとづいて画像表示部9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。 【0154】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板におけるコマンド出力部がマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバが論理レベルが確定するCMOS論理ICまたはTTL論理ICで構成され、サブ基板におけるコマンド入力部が単方向に信号を伝達可能な論理回路を含むように構成したので、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる効果がある。また、遊技制御基板におけるコマンド出力部が、出力ポートと出力ドライバとを含む構成であるから、コマンド出力部が2段階構成になって、外部からの不正信号の入力をより効果的に防止できる。 【0155】 遊技制御基板のコマンド出力部がCMOS論理ICを含む構成である場合には、遊技制御基板においてCMOS回路が多用されているときに同種のICを用いることによって遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる環境を構築できる。 【0156】 また、遊技制御基板のコマンド出力部がTTL論理ICを含む構成である場合には、遊技制御基板においてTTL回路が多用されているときに同種のICを用いることによって遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる環境を構築できる。 【0157】 サブ基板のコマンド入力部がCMOS論理ICによる構成である場合には、遊技制御基板からサブ基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる環境下で、サブ基板でCMOS回路が多用されているときにコマンド入力部を同種のICで構成することができる。 【0158】 また、サブ基板のコマンド入力部がTTL論理ICによる構成である場合には、遊技制御基板からサブ基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる環境下で、サブ基板でTTL回路が多用されているときにコマンド入力部を同種のICで構成することができる。 【0159】 遊技制御基板とサブ基板との間では、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみデータが転送可能であるように構成されている場合には、遊技制御手段に対して不正信号が入力されない状態となって、不正行為を確実に防止できる。 【0160】 遊技制御基板のコマンド出力部が、遊技制御基板からサブ基板への方向にのみ信号を通過させるように構成されている場合には、不正行為をさらに確実に防止できる。 【0161】 遊技制御基板およびサブ基板が、遊技制御手段からサブ基板の制御手段に出力された情報が遊技制御手段とサブ基板の制御手段との間で論理反転しないように構成されている場合には、基板内の論理レベルと基板間の論理レベルとが一致して設計のしやすい遊技機を実現できる。 【0162】 遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されている場合には、さらに設計のしやすい遊技機を実現できる。 【0163】 そして、サブ基板が、遊技制御基板以外のマイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である場合には、不正改造によって不正信号を出力する可能性のある基板との間の信号インタフェース部分を不正行為を受けにくくすることができるとともに、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる環境を構築できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。 【図2】 パチンコ遊技機の遊技盤を正面からみた正面図である。 【図3】 パチンコ遊技機を背面からみた背面図である。 【図4】 遊技制御基板(主基板)の回路構成を示すブロック図である。 【図5】 主基板における表示制御コマンドの信号送信部分および表示制御基板の構成例を示すブロック図である。 【図6】 主基板における音声制御コマンドの信号送信部分および音声制御基板の構成例を示すブロック図である。 【図7】 主基板およびランプ制御基板における信号送受信部分を示すブロック図である。 【図8】 賞球制御基板および玉払出装置の構成要素などの賞球に関連する構成要素を示すブロック図である。 【図9】 遊技制御基板における基本回路の動作を示すフローチャートである。 【図10】 特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。 【図11】 特別図柄プロセス処理において用いられるプロセスデータのデータ構成を示す説明図である。 【図12】 音声制御コマンドの例を示す説明図である。 【図13】 音声制御コマンドのビット構成を示す説明図である。 【図14】 特別図柄プロセス処理で実行されるプロセスデータ/タイマ設定処理サブルーチンを示すフローチャートである。 【図15】 特別図柄プロセスタイマ設定処理を示すフローチャートである。 【図16】 音声制御基板およびランプ制御基板に対する出力データ設定処理を示すフローチャートである。 【図17】 データ出力処理の音声制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。 【図18】 音声制御コマンドデータの出力の様子を示すタイミング図である。 【図19】 主基板から表示制御基板に送信される表示制御コマンドデータを示す説明図である。 【図20】 表示制御コマンドデータの送出タイミングを示すタイミング図である。 【図21】 表示制御コマンドデータの一例を示す説明図である。 【図22】 ランプ制御コマンドの一例を示す説明図である。 【図23】 ランプ制御コマンドのビット構成を示す説明図である。 【図24】 データ出力処理のランプ制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。 【図25】 ランプ制御コマンドデータの出力の様子を示すタイミング図である。 【図26】 賞球制御コマンドのビット構成を示す説明図である。 【図27】 賞球制御コマンドデータの出力の様子を示すタイミング図である。 【図28】 入賞球信号処理を示すフローチャートである。 【図29】 入賞球信号処理を示すフローチャートである。 【図30】 入賞球信号処理におけるエラー処理を示すフローチャートである。 【図31】 データ出力処理の賞球制御コマンド出力処理部分を示すフローチャートである。 【図32】 主基板の出力バッファ回路とサブ基板の入力バッファ回路の構成例を示す回路図である。 【図33】 主基板の出力バッファ回路とサブ基板の入力バッファ回路の他の構成例を示す回路図である。 【図34】 主基板の出力バッファ回路とサブ基板の入力バッファ回路のさらに他の構成例を示す回路図である。 【図35】 主基板の出力バッファ回路とサブ基板の入力バッファ回路のさらに他の構成例を示す回路図である。 【図36】 検査時の接続形態の一例を示す説明図である。 【図37】 従来の遊技制御基板における表示制御コマンド送出部分と表示制御基板におけるコマンド受信部分を示す回路図である。 【符号の説明】 1 パチンコ遊技機 31 主基板 35 ランプ制御基板 37 賞球制御基板 53 基本回路 56 CPU 70 音声制御基板 80 表示制御基板 101 表示制御用CPU 351 ランプ制御用CPU 371 賞球制御用CPU 701 音声制御用CPU 62,63,69,71 出力バッファ回路 105,355,373,705 入力バッファ回路 571~575 出力ポート |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正の内容 i.訂正事項a 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するCMOS論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され」と訂正する。 ii.訂正事項b 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項2中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するTTL論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「前記遊技制御基板における前記コマンド出力部は前記マイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、前記出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され」と訂正する。 iii.訂正事項c 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項5を削除するとともに、請求項6乃至10を請求項5乃至9に繰り上げる。 iv.訂正事項d 明りようでない記載の釈明を目的として、繰り上げた特許請求の範囲の請求項9中の、 「サブ基板は、マイクロプロセッサが搭載されている全ての基板である」を、「サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外の基板であって、マイクロコンピュータが搭載されている全ての基板である」と訂正する。 v.訂正事項e 明りようでない記載の釈明を目的として、特許明細書の【課題を解決するための手段】にかかる段落【0013】中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するCMOS論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するCMOS論理ICで構成され」と訂正し、 段落【0014】中の、 「遊技の進行を制御する遊技制御手段を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部は論理レベルが確定するTTL論理ICを含み」を、それぞれ、「遊技の進行を制御するマイクロコンピュータを含む遊技制御手段およびマイクロコンピュータの外に設けられたコマンド出力部を搭載した遊技制御基板」、「遊技制御基板におけるコマンド出力部はマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバは論理レベルが確定するTTL論理ICで構成され」と訂正し、 段落【0016】及び【0017】の内容を新たに段落【0015】及び【0016】の内容とし、 段落【0018】を削除し、段落【0019】乃至【0021】の内容を新たに段落【0017】乃至【0019】の内容とし、 段落【0022】の「遊技制御基板およびサブ基板は、遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部でも情報が論理反転しないように構成されていてもよい。」を、段落【0020】として「遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されていてもよい。」と訂正し、 段落【0027】の「そして、サブ基板は、遊技制御基板以外のマイクロプロセッサが搭載されている全ての基板であってもよい。」を、段落【0021】として「そして、サブ基板は複数あり、サブ基板は、遊技制御基板以外のマイクロコンピュータが搭載されている全ての基板であってもよい。」と訂正する。 vi.訂正事項f 明りようでない記載の釈明を目的として、特許明細書の【発明の効果】にかかる段落【0160】の「以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板におけるコマンド出力部が論理レベルが確定する論理回路を含み、サブ基板におけるコマンド入力部が単方向に信号を伝達可能なCMOS論理ICまたはTTL論理ICを含むように構成したので、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる効果がある。」を、段落【0154】として「以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板におけるコマンド出力部がマイクロコンピュータからのコマンドを出力する出力ポートと出力ドライバとを含み、出力ドライバが論理レベルが確定するCMOS論理ICまたはTTL論理ICで構成され、サブ基板におけるコマンド入力部が単方向に信号を伝達可能な論理回路を含むように構成したので、遊技制御基板と他の基板とがケーブル接続されない状態でも、遊技制御基板から他の制御基板に出力される信号出力状態を問題なく検査することができる効果がある。また、遊技制御基板における前記コマンド出力部が、出力ポートと出力ドライバとを含む構成であるから、コマンド出力部が2段階構成になって、外部からの不正信号の入力をより効果的に防止できる。」と訂正し、 段落【0161】乃至【0164】の内容を新たに段落【0155】乃至【0158】の内容とし、 段落【0165】を削除し、段落【0166】乃至【0168】の内容を新たに段落【0159】乃至【0161】の内容とし、 段落【0169】の「遊技制御基板およびサブ基板が、遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部でも情報が論理反転しないように構成されている場合には、さらに設計のしやすい遊技機を実現できる。」を、段落【0162】として「遊技制御手段およびサブ基板の制御手段の内部で情報は論理反転しないように構成されている場合には、さらに設計のしやすい遊技機を実現できる。」と訂正し、 段落【0174】の内容を新たに段落【0163】の内容とするとともに、当該段落中の「マイクロプロセッサ」を「マイクロコンピュータ。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-09-04 |
出願番号 | 特願平11-7072 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(A63F)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
村山 隆 松川 直樹 |
登録日 | 2000-03-31 |
登録番号 | 特許第3050862号(P3050862) |
権利者 | 株式会社三共 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 岩壁 冬樹 |
代理人 | 岩壁 冬樹 |