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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B23K
管理番号 1086405
異議申立番号 異議2002-73160  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-12-20 
確定日 2003-09-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3309245号「プロジェクションナットの供給方法とその装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3309245号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3309245号発明は、平成8年12月28日の出願であって、同14年5月24日にその特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人西野茂美より、全請求項である請求項1〜請求項4に係る発明についての特許に対して、特許異議の申立てがなされた。そして、当審より平成15年4月16日付で取消しの理由を通知したところ、その指定期間内である同15年6月23日に特許権者より特許異議意見書及び全文訂正明細書を添付した訂正請求書が提出された。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正事項
(1)訂正事項a
本件特許の設定登録時の明細書(以下「登録明細書」という。)の特許請求の範囲に記載の、
「【請求項1】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させ、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されており、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすことを特徴とするプロジェクションナットの供給方法。
【請求項2】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置し、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【請求項3】 請求項2において、ストッパ面に当たって一時係止されている正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔軸心とガイドロッドの軸心とが同軸とされていることによりプロジェクションナットの所定位置が設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【請求項4】 請求項3において、計測手段は送出通路に閉断面状の形態で設置され、プロジェクションナットの高さあるいは幅が正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させる構造とされていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。」を、
「【請求項1】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させ、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されており、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすことを特徴とするプロジェクションナットの供給方法。
【請求項2】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置し、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【請求項3】 請求項2において、ストッパ面に当たって一時係止されている正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔軸心とガイドロッドの軸心とが同軸とされていることによりプロジェクションナットの所定位置が設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【請求項4】 請求項3において、計測手段は送出通路に閉断面状の形態で設置され、プロジェクションナットの高さあるいは幅が正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させる構造とされていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。」
と訂正する。
(アンダーラインを付した部分は、訂正箇所である。)
(2)訂正事項b
登録明細書の段落0006の記載を次の如く訂正する。
「【0006】
【問題を解決するための手段とその作用】
本発明は、以上に述べた問題点を解決するために提供されたもので、請求項1は、円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジュクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させ、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されており、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジュクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすことを特徴とするプロジェクションナットの供給方法であり、パーツフィーダにおいてあらかじめ正規寸法以上のナットを意図的に排除しておき、その後、正規寸法以下のナットを供給ロッドの箇所で供給をさせないようにするもので、パーツフィーダ側と供給ロッド側とに連携性を持たせているのである。
請求項2は、円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置し、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、上記請求項1のような作用を果たすのである。
請求項3は、請求項2において、ストッバ面に当たって一時係止されている正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔軸心とガイドロッドの軸心とが同軸とされていることによりプロジェクションナットの所定位置が設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、上記のような寸法関係にしておくことによって、正規寸法以下のナットがストッパ面に当たってそこで一時係止がなされたとき、ガイドロッドが進出してくると、その先端部はナットの上面に当たるので、これによってナットへの串刺しはなされずに弾き飛ばされて、鋼板部品の方へ供給されないのである。
請求項4は、請求項3において、計測手段は送出通路に閉断面状の形態で設置され、プロジェクションナットの高さあるいは幅が正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させる構造とされていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、パーツフィーダ側においていわゆる通過規制を行っているのである。」
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項a
訂正事項aは、登録明細書の請求項2の「パーツフィーダの送出通路に設置し、ガイドロッドの外径は」の記載を、「パーツフィーダの送出通路に設置し、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすガイドロッドの外径は」と訂正して、「ガイドロッド」の「ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナット」との関連構成を限定するもので、特許請求の範囲を減縮している。
そして、この訂正は、登録明細書の段落【0013】〜段落【0016】における記載に基づいている。
上記の如く、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項b
訂正事項bについては、上記の特許請求の範囲の記載を訂正することに伴い、明細書の発明の詳細な説明の欄の記載の整合性を確保しようとするものであり、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、及び同第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第3 特許異議の申立て及び取消しの理由についての判断
1 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人西野茂美は、異議申立の証拠として次の甲第1号証〜甲第9号証を提出している。
(1) 甲第1号証:特開平7-215429号公報
(2) 甲第2号証:特開平5-69929号公報
(3) 甲第3号証:特開平8-143127号公報
(4) 甲第4号証:特公昭49-22747号公報
(5) 甲第5号証:実願昭52-31088号(実開昭53-126272号)のマイクロフィルム
(6) 甲第6号証:機械設計,日刊工業新聞社発行,1973年11月号,第17巻第11号,p.17-25,27-29,34,53-54,92
(7) 甲第7号証:特公昭47-41655号公報
(8) 甲第8号証:特公平7-63856号公報
(9) 甲第9号証:実願昭59-38479号(実開昭60-151821号)のマイクロフィルム
そして、特許異議申立人西野茂美は、本件特許の請求項1〜請求項4に係る発明は、甲第1号証〜甲第9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであると主張している。
2 取消しの理由の概要
取消しの理由は、特許異議申立人西野茂美の提出した特許異議申立書の取消し理由に沿ったものである。
3 本件特許発明
上記のように本件特許については訂正が認められており、本件特許の請求項1〜請求項4に係る発明(以下「本件発明1〜4」という。)は、上記第2の1(1)に記載された、訂正後の請求項1〜請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
4 各甲号証の記載
上記甲第1号証〜甲第9号証を以下刊行物1〜刊行物9という。
(1)刊行物1
刊行物1には、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 整列手段より送り出された表裏を有する物品を、物品加工機へ送り込むための供給手段へ搬送する物品自動供給装置用シュートにおいて、整列手段と供給手段との間へ着脱自在に設けた所定長さの主体と、この主体の長さ方向に設けて前記物品が内部に収容されて移動自在となる移送空間と、該主体の移送空間内に設けて物品の表側または裏側のみが干渉する位置決め部材とを備えさせたことを特徴とする物品自動供給装置用シュート。
【請求項2】 主体の端部と、整列手段および供給手段の一方またはその両方に設けた取付位置合わせ手段とを備えさせたことを特徴とする請求項1記載の物品自動供給装置用シュート。」(特許請求の範囲、請求項1、請求項2)
イ 「 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、産業機械の部品製造業界において用いる物品自動供給装置用シュートに関する。」(段落0001)
ウ 「【0017】
【実施例】
次に本発明に関する物品自動供給装置用シュートの実施の一例を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1および図6においてAは、物品加工機Bへ物品wを送り込む物品自動供給装置で、例えば、自動車工業界において、図4に示すような自動車部品cの製造に採用されるものであって、整列手段1と、供給手段2と、シュート3とによりなる。
【0019】
この装置Aおよび加工機Bにおいて供給・加工される物品wは、例えば、図5に示すような自動車部品cにおけるナットであり、図4に示すような、成形板材dに溶着されるものであって、このナットwは、その本体eの外側周縁部へ複数の溶接用の突起fを突出してある。
【0020】
このナットwを、該突起fが成形板材d面に対応するように供給して、図1および図6に示すような、物品加工機Bである抵抗溶接機によって突起fがスポット溶接される。」(段落0017〜0020)
エ 「 【0021】
そして、前記した整列手段1は、機台4の上部に設けたホッパー5の下部に、回転式の振動コンベアからなるボウル6を設け、このボウル6内に投入されたナットwを、その倒立または縦横の選別と、前記した突起fの向きを一方向に整列して、送出部材7へ送り管8を介して送るもので、送出部材7には、ナットwの突起fの整列有無を検知する検出部材(図示せず)を内蔵してある。
【0022】
前記した供給手段2は、整列手段1の送出部材7からシュート3を介して送られたナットwを、一旦、複数個蓄溜して一個ずつ間隔的(溶接の実行毎)に抵抗溶接機Bへ送り込む。
【0023】
また、受入部9に送り込まれたナットwは、エアシリンダ等の突き出し部材10における送出杆11の先端部に、そのねじ孔12が係合されて全体が保持され、後記する抵抗溶接機Bの下電極のガイドピンまで送られる。
【0024】
前記したシュート3は、整列手段1と供給手段2との間へ着脱自在に設けて、ナットwを内装しつつ搬送するものであって、主体13と、移送空間14と、位置決め部材15とにより基本的に構成される。」(段落0021〜0024)
オ 「【0027】
したがって、図3(a) に示すように、ナットwが加工機Bに対して希望する姿勢により移送された場合は、該ナットwの外周縁に形成された突起fによって、該突起fが移送空間14における一側壁に当接したとき、主体13と一側壁との間に前記した位置決め部材15が干渉しない隙間が形成されて、ナットwの移送空間14内の移動が妨げられない。
【0028】
しかし、図3(b) に示すように、ナットwが加工機bに対して非正常姿勢により移送された場合は、該ナットwの外周縁に形成された突起fが移送空間14における他側壁に当接し、突起fとは反対側が位置決め部材15に対応して干渉を受けるので、ナットwの移送空間14内の移動が妨げられる、すなわち、移送空間14内の移動ができない。
【0029】
そのため、供給手段2における受入部9へ送られることがなく、抵抗溶接機Bにはナットwが供給されない。」(段落0027〜0029)
カ 「 【0032】
なお、前記した抵抗溶接機Bは、図1および図6に示すように、機体19へ下電極20と上電極21とを対抗するように取り付け、板材d上に供給されたナットwを下電極20より立設させたガイドピン23へ、そのねじ孔12を挿嵌して位置決めした後、上電極21の昇降部材24を操作させて、該上電極21をナットwの上面に対して加圧させて両電極20,21を通電させると、該ナットwが板材dに溶着されて自動車部品cが製造される。」(段落0032)
キ 図1を参照すると、ナットwを所定位置に停止させるストッパ面が、供給手段2の下方に形成されていることが認められる。
ク 図6を参照すると、ボウル6は、円形であることが認められる。
上記ア〜クの記載事項より刊行物1には、次の発明A及びBが記載されていると認められる。
発明A
円形のボウルに振動を与えてナットを送出する整列手段と、この整列手段からのナットをストッパ面にあてて所定位置に停止させ、その後、送出杆先端部をナットのねじ孔内に係合させてナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、送出部材に設置した検出部材により、正規寸法の整列したナットを通過させるナットの供給方法。
発明B
円形のボウルに振動を与えてナットを送出する整列手段と、この整列手段からのナットをストッパ面にあてて所定位置に停止させ、その後、送出杆先端部をナットのねじ孔内に係合させてナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、送出部材に設置した検出部材により、正規寸法の整列したナットを供給する装置。
(2)刊行物2
刊行物2には、次の事項が記載されている。
「【従来の技術】従来のこの種のパーツフィーダの上部概略斜視図を図3に、その素子ゲート部分の平面図を図4に示す。これらの図において、1はパーツフィーダで、本体部11により全体を振動させ、素子収集部12に収集された素子3を順次素子ゲート2に送って素子ゲート2の出口から一個-個送出される構造となっている。すなわち、パーツフィーダ1の上部周囲には台状部13が螺旋状に形成されており、素子収集部12に収集された素子3が、振動により遠心力と前進方向の力を与えられて螺旋状の台状部13を進行するように、パーツフィーダ1が振動するようになっている。」(段落0002)
(3)刊行物3
刊行物3には、次の事項が、記載されている。
「【従来の技術】パーツフィーダは、扁平な円筒形の内周面に設けられたらせん状の斜面をバイブレータにより振動させることにより、一定方向に整列したパーツのみが斜面を昇りながら進行し、シュートを通って加工機械へ供給される装置であって、バイブレータは上記した扁平な円筒形の下方に配設され、その外径は円筒形の外径よりも小さい。」(段落0002)
(4)刊行物4
刊行物4には、次の事項が、記載されている。
ア 「本発明は.例えば一定間隔で間歇的に移送されるボルトの軸部に座金又はナットを一個づつ嵌めていくとか.或いは板金工作物にナット又は座金類をスポット溶接する溶接機において、その電極個所にナット又は座金額を一個づつ供給するような場合に使用するナット又は座金類の自動供給装置に関するものである。」(第1欄第17〜23行)
イ 「次に本発明を実施例の図面に就いて詳述すれば、フイダ-(図示せず)から案内シュート2及び通孔1′を介して目的のナットNを導入するようした供給ヘッド1の上面に莢管3を螺着し、莢管3内にスリーブ4を摺動自在に嵌挿してその外周に発条5を被嵌し、該スリーブ4内に摺動自在に嵌挿した細径スピンドル6を莢管3の上端に螺着したエアーシリンダー7のピストン桿8に連結し、エアーシリンダー7の作動によって、スピンドル6が下降し、次いでスリーブ4がピストン桿8に押圧されて下降するようなし、供給ヘッド1 の下面には平面U字型の板発条9を設けて、スピンドル6直下位置で目的のナットNを一時係止せしめるようになしたものであり、之を用いて頭記スポット溶接機の芯金個所にナットを供給するに際しては.第4図に示す如く、スピンドル6をスポット溶接機の上下両電極B,C の軸芯に対し適宜角度傾斜せしめると共に其の下降下限でスピンドル6底端が下部電極Bの芯金B1に接触するよう取り付けたのち、エアーシリンダー7を上向きに作動させてスピンドル6の底端を通孔1′の上部にまで引き込めると案内シュート2及び供給ヘッド1内通孔1′にあるナットNは前進して其の最前部のものが其の中心をスピンドル6の中心に合致して板発条9上に載置される。此処で又エアーシリンダー7を下向きに作動させるとスピンドル6は最前部ナットNの中心孔を串刺しにして降下し、スピンドル6の底端が下部電極の芯金B1に接触すると続いてピストン桿8がスリーブ4を押圧して、板発条に一時係止されているナットNを離脱させるのである。すると該スピンドル6に嵌まったナットNは第4図に二点鎖線で示す如くスピンドル6に沿って辷り落ち芯金B1に自動的に嵌まり込み.板金工作物Aのナット溶接個所に正しく,一個供給されるのであり、・・・ 」(第2欄第16行〜第3欄第13行)
ウ 「そして案内シュート2を介して送られる目的のナット等を、スピンドル6の直下で一時的に係合するのに本発明では板発条9を使用しているが之に代え、第5図に示す如く当該個所に磁石10を設け、該磁石10によって一時的に磁着させるか(この場合、ヘッド1及びスピンドル6は銅合金の如き非磁性体材料で造られる)又は其の他の機構によって一時的に係止するようにしても同様の効果が得られることはいう迄もなく、・・・」(第4欄第2〜10行)
(5)刊行物5
刊行物5には、次の事項が、記載されている。
ア 「この考案は主として溶接ナット(プロジェクションナット)の表裏及び大小を選別して整列した後、溶接ナットの大小に応じて複数の排出口から、各々 別個に、連続的又は間欠的にスポット溶接機等へ送給するパーツフィーダのボウルに関する。」(第1頁第15〜19行)
イ 「底面10にナット50を投入した後、パーツフィーダの駆動部2を作動させると、山積みになったナット50群は底面10の中央が曲面状に膨出されているため、しだいに外側へ移動しながら、二重三重に折り重なったり横立したりした状態でトラック11を順次A方向に上昇移動する。トラック11は外側下向に傾斜する斜面をもつため、ガイドレール等(後述)による選別時以外にはナット50が落下することはない。ナット50群はトラック11上を未整列状態で上昇すると第一ガイドレール31に達し、ここで第一ガイドレール31と接触して折り重なったり横立したナットが適宜底面10に落下され、一列で一層に整列された状態となる。この整列されたナット50群は更にトラック11を上昇移動し、第二ガイドレール32及び第三ガイドレール33を通過して第一ガイドプレート41に達する。ナット50群はすでに第一ガイドレール31にて一列一層に整列されているため、特別な整列を施こすことなく第一ガイドプレート41に達する。すなわち、ガイドレール32,33は、第一ガイドレール31の補助的役割を果たし、移動中に万一未整列状態となった場合にのみナット50群を整列する。このとき、ナット50群に混入したキリコやゴミ等は上昇移動中に異動排出孔15,16から適宜排出される。」(第6頁第9行〜第7頁第14行)
ウ 「第一ガイドプレート41に達したナット50群のうち、特大ナット(例えばM10以上)は溝41cに接触し不安定な状態となり落下し、M8以下のナットが溝41cを通過し滑降山部17に達する。滑降山部17においては、ナットの自重とボウル1の振動により、所望する例えばM6のナツト及びM6の表向き50aのナットは、滑降山部17の斜面を内側に向かつて滑り落ち、プレート41bと周壁13との間から落下し除去される。一方、M6の裏向き50b及びM8以上のナットは、その脚50cがプレート41bに接触したまま滑降山部17を越えて、第-ゲートプレート51を通過する(第4図A,B参照)。すなわち、ここで裏向き50bでM6及びM8以上のナットのみが通過され、他は落下される。第一ゲートプレート51を通過したナット50群は整列された状態でトラック11を上昇移動し、段差18に達する。すると、この段差18に脚50cが接触し表向き50aのナットは落下し、裏向き50bのナットのみが選別されて通過し(第5図参照)、ナット50群はすべて裏向き50b状態で-列一層に整列されて第四ガイドレール34に達する。すでに前工程にてナット50群は、M6・M8ですべて裏向き50bでかつ一列一層に整列されているため、特別に整列を施こすことなく上昇移動される。すなわち、第四ガイドレール34は、万一M10以上の特大ナットが混入したり横立ち状態のナットが存在したりした場合にのみ、それらを除去する役割を果たす(第6図参照)。第四ガイドレール34を通過したナット50群は、第五ガイドレール35を通過した後開口61に達し、チェックゲート62にて小ナットM6のみが選択されて排出口6から裏向き状態で、連設するスポット溶接機等(図示せず)に送給される。このとき、小ナットM6の許容される寸法誤差内のナットもすべて排出されるように設けるとよい(第7図A,B参照)。」(第7頁第15行〜第9頁第11行)
エ 「一方、大ナットM8は、チェックゲート62に接触し内側に押しもどされたり、開口61 内に脚50c先端が入り込んだりして横立ち状態となる場合があるが、脚50cが第五ガイドレール35に接触して保持されるため(第6図参照)、横立ち状態になることはない。大ナットは更にトラック11を上昇移動し、第二ガイドプレート42に達する。ここで、M6以下のナット及びM8の表向き50aのナットは、自重とボウル2の振動により滑降山部19に沿って落下し、他はガイドプレート42に接触した状態で滑降山部19を越えて、第二ゲートプレート52を通過し、トラック11最終端の開口71に達する(第4図A,B及び第8図A参照)。チェックゲート71にて裏向き50bでM8のナットのみ選別されて排出口7から同様にしてスポット溶接機等(図示せず)に送給され、他はすべて落下される。このとき、許容される寸法誤差内のナットも同時に裏向き50b状態で排出口7から送給される(第8図A,B参照)。なお、万一混入された特大ナット(M10以上)は、溝42cに接触して落下し除去される。
なお、選別を所望するナットの大小に応じて、ガイドレール,ガイドプレート,ゲートプレート及びチェックゲートはそれぞれ交換すればよく、また、排出口も二個所のみならず三個所にすれば、例えばM6,8,10のナットが、さらに四個所にすればM5,6,8,10のナットを送給可能となる。また、図例の四角ナットばかりでなく、他のナットや座金等の選別送給用のボウルとしても利用可能であることは言うまでもない。」(第9頁第11行〜第11頁第1行)
オ 「この考案によれば、二種類以上のナットの表裏及び大小選別ができ、かつ選別したナットを大小に応じて各々別個の排出口から送給することができ、従来の二個以上のボウルに匹敵する作用を一個のボウルにて行なうことができ、小型で高性能なボウルを提供することができる。また、多種類のナットの選別ができるため、スポット溶接機等には一個のボウルのみを設置すればよく、設置場所も狭くてすみ、パーツフィーダのボウルの駆動部も一個所ですみ、経済的である等の優れた効果がある。」(第11頁第2〜12行)
(6)刊行物6
刊行物6には、次の事項が、記載されている。
ア 「 1.振動ボウルホッパフィーダ
振動ボウルホッパフィーダ,略してボウルフィーダ(図3参照)は部品整列供給用のフィ-ダとして,もっも広く用いられているものである.・・・・・・ボウルフィ-ダの特徴は,振動と摩擦との巧みな利用によって,部品を坂道を昇らせていくことである.らせん状になった昇り坂を部品が前進していくので,途中に設けた整列機構によって除かれた不良姿勢の部品はボウルの底まで落下し,ふたたび坂道を上っていく.整列を十分に行なわせるためにはこのような「循環」を行なわせることが必須条件であって,これが振動の利用によって無理なく行なわれていることがボウルフィーダの大きな特徴であろう.」(第19頁左欄第4〜22行)
イ 「オリエンテーション
ボウル内の通路にガイドや,障害物(アタッチメント)を設け,希望する姿勢の方向を通し,他はふたたびボウル底に,あるいはトラック上に方向を是正して落し,方向選別を行う.ボウル内のオリエンテーションは,部品の形状や用途は多種多様であるので,部品ごと,実際にそれを手にしながら,オリエンテーションの設計や加工を行なう。」(第28頁右欄第5行〜第29頁左欄第3行)
ウ 「3.ゲート
整列された部品のみ通過させるためのゲートの形状は,ちょうど姿ゲージのようなもので,整列された部品のシルエットよりやや大きめの切欠きにしてある.
この方法で問題となるのは,類似形状でサイズが異なるような異種部品が混入している場合である.その大きいものはゲートでひっかかりシュートへ送り出されないが,ゲートの切欠き形状を通過するような小さいものは整列された部品と同様,シュートへ送り出されるので,そのようなおそれのある部品については,あらかじめ選別しておく必要がある.」(第54頁右欄第29〜39行)
(7)刊行物7
刊行物7には、次の事項が、記載されている。
ア 「スポット溶接機(図示せず)の上下両電極1,2の軸芯に対して適宜角度α其の竪片を傾斜せしめた直角L型の非磁性体供給ヘッド3に竪軸芯に沿った外側壁面が平面の摺動孔4と横軸芯に沿った供給ナットと同じ断面形状の通路溝9とをそれぞれ交叉するよう穿設し、交叉箇所外端部には磁石を其の表面が摺動孔4の外側壁面と同一平面上にあらしめるよう装着して其の外側をボルト8締めし、摺動孔4内には非磁性体製スピンドル5を摺動自在に嵌挿し、スピンドル5には其の中心を貫通して目的ナットの螺糸孔よりも稍小径の案内棒を嵌着してスピンドルの下降下限に於いて案内棒の下端が下部電極1の芯金1′上端に合致するようなし、通路溝9内には目的のナット10を案内シュート11を介して導入して成る装置である。従って導入ナット群の最前端のものは其の側辺を磁石7に吸引されて摺動孔内に位置することになる。」(第2欄第1〜18行)
イ 「次に斯くなされた本発明ナット供給装置の作用に就いて述べるに、下部電極1上に板金工作用12を其のパルト孔に芯金1′を嵌挿してスイッチペタルを踏めば、先ずスピンドル5が下降行程に入り其の下部に設けた案内棒6が第2図に示す如く直下のナット10孔を貫通して其の下端が芯金1′に接触合致する迄下降する。すると磁石7により吸着係止されていた最前部のナット10は案内棒に嵌まった状態のまま押し下げられて磁石7による吸着係止から外脱し、第4図に示す如く案内棒6に沿って辷り落ち芯金1′に自動的に嵌り込み、板金工作物12のナット溶接個所に正しく一個だけ供給される、そして此の操作が終りスピンドル5が上昇行程に入って上限に復帰すれば、第5図に示す如くスピンドル5の直下に次のナット10′が磁石7に吸着され、該ナット10′を次の下降行程で芯金上に供給する態勢を完了し、上部電極2が下降して芯金1′に嵌まっているナット10を工作物12にスポット溶接して上限に復帰し、工作物を移動すれば又スピンドルが下降する順序を繰り返し、以後電極に連動して下部電極上の工作物にナットを一個ずつ正確に供給する・・・・」(第2欄第19行〜第3欄第3行)
(8)刊行物8
刊行物8には、次の事項が、記載されている。
「本発明のナットフィーダの供給ヘッドによれば、ロッドの先端には棒部の先にぎぼし状頭部を有するナット支持部が設けられ、そのぎぼし状頭部の元部の径を、棒部の径より僅かに大きく且つナットの孔径より僅かに小さく形成し、その棒部の長さをナットの厚さより僅かに長く形成し、ロッドの押出し時、そのナット支持部をナットに挿通させ、その棒部でナットを支持して供給するように構成したから、電磁コイルによる磁力を使用せずにナットをワーク上の定位置まで送ることができ、ロッドの材質を磁性体以外の材質としてもよく、供給ヘッドの構造を簡単で軽量化することかでき、電磁コイルを制御する制御回路も不要となる。また、従来の串刺し方式に比べ、ナットを自重で落下させずに、ロッド先端のナット支持部で支持しながらワーク上まで送るため、ナットを安定してワーク上の定位置に載置することができる。」(第6欄第18〜33行)
(9)刊行物9
刊行物9には、次の事項が、記載されている。
ア 「傾斜状態とされた螺旋形段部に沿ってガイド溝またはガイド突条を設け、ガイド溝またはガイド突条と交叉する向きにナットの正常な通過形状を付与したチェックゲージを設け、チェックゲージで異常な表裏状態と判定されたナットが螺旋形段部から滑り落るように前記傾斜状態が設定されていることを特徴とするプロジェクションナット用パーツフィーダー。」(実用新案登録請求の範囲)
イ 「第1図はパーツフィーダー1の外観図であって、起振部2の上側にボウル3が設置されている。ボウル3は円形であってその内周部に螺旋形段部が設けてあり、その終端部から送出用の供給管4が伸びている。第2図は螺旋形段部(以下段部と略称する)5の上部終端付近の拡大平面図であって、段部5の終端付近は図示のごとく拡幅され、その段部5に沿ってガイド溝6が形成してある。」(第2頁第14行〜第3頁第2行)
ウ 「第7図はガイド溝の代りにガイド突条12が段部5に沿って設けられている場合であり、ナットNが裏向きになっていると、ガイド突条12の高さ分だけナットNが高くなるので、この部分が前述と同様に接触するのである。
第6図および第7図のチェックゲージは、いわゆる門型の形状であるが、このゲージはナットの通過を許すか許さないかの役目を果すものであるから、第8図のようなほぼL字型の形状であってもよい。」 (第4頁第9〜18行)
5 対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1(前者)と刊行物1に記載の発明A(後者)を対比すると、後者のナット、整列手段、送出杆は、それぞれ前者のプロジェクションナット、パーツフィーダ、供給ロッドに相当し、両者は、次の構成で一致している。
円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ係合させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおける、正規寸法のプロジェクションナットを通過させるプロジェクションナットの供給方法。
そして、次の点で相違している。
ア 前者は、プロジェクションナットを目的箇所へ供給する際に、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させて係合するのに対して、後者は、送出杆先端部をナットのねじ孔内に係合させる点。(相違点1)
イ 前者は、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させるのに対し、後者は、この構成が不明である点。(相違点2)
ウ 前者は、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に、正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されているのに対して、後者は、この構成が不明である点。(相違点3)
エ 前者は、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすのに対して、後者は、この構成が不明である点。(相違点4)
上記相違点について検討するに、刊行物7には、相違点1の前者の構成について記載されているものの、相違点2〜相違点4の前者の構成は記載されていない。そして、相違点4の前者の「ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばす」という構成は、すくなくとも相違点2及び相違点3の前者の二つの構成を有した場合に可能となるものであるから、相違点2〜4の前者のこれらの構成は、相互に関連し、密接不可分なものであるといえる。
そして、相違点2〜4の前者の構成は、刊行物2〜6及び刊行物8〜9にも記載されておらず、また、これを示唆する記載も認められない。そして、本件発明1は、訂正明細書の段落0014に記載の「本発明によれば、パーツフィーダに設置した計測手段で正規寸法以上のプロジェクションナットを予め排除しておき、正規寸法あるいはそれ以下のナットだけをストッパ面に到達させて位置決めを行い、その後、供給ロッドを進出させるものであるから、正規寸法のナットが一時係止されているときには正常なガイドロッドの串刺し作用がなされて、正しい部品供給がなされる。もし、正規寸法以下のナットがストッパ面に一時係止されているときには、ねじ孔がストッパ面側へ偏心しているので、ガイドロッドの先端部がナットの上面かまたはねじ孔の角部に当たり、串刺し作用が生じることなくナットは弾き飛ばされてしまう。したがって、前述のような異常寸法のナットが目的箇所へ供給されたり、溶接されるようなことが回避できるのである。」という、刊行物1〜9ににはみられない格別な効果を奏するものであるから、本件発明1を刊行物1〜9に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(2)本件発明2について
本件発明2(前者)と刊行物1に記載の発明B(後者)を対比すると、後者のナット、整列手段、送出杆、及び供給する装置は、それぞれ前者のプロジェクションナット、パーツフィーダ、供給ロッド、及び供給装置に相当し、両者は、次の構成で一致している。
円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ係合させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおける、正規寸法のプロジェクションナットを通過させるプロジェクションナットの供給装置。
そして、次の点で相違している。
ア 前者は、プロジェクションナットを目的箇所へ供給する際に、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させて係合するのに対して、後者は、送出杆先端部をナットのねじ孔内に係合させる点。(相違点1)
イ 前者は、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置しているるのに対して、後者は、この構成が不明である点。(相違点2)
ウ 前者のガイドロッドは、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすものであり、その外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されているのに対して、後者は、この構成が不明である点。(相違点3)
上記相違点について検討するに、刊行物7には、相違点1の前者の構成について記載されているものの、相違点2及び相違点3の前者の構成について記載されていない。そして、相違点3の前者の構成のうちの、ガイドロッドは、「ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばす」という構成(この構成を「相違点3のの構成A」という。)は、相違点2の前者構成と、相違点3の前者の構成のうちの、「ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に、正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されている」という構成(この構成を「相違点3の構成B」という。)との、すくなくともこれらの二つの構成を有した場合に可能となるものであるから、相違点3の構成Aと、相違点2及び相違点3の構成Bの構成は、相互に関連し、密接不可分なものであるといえる。
そして、相違点2〜3の前者の構成は、刊行物2〜6及び刊行物8〜9にも記載されておらず、また、これを示唆する記載も認められない。そして、本件発明2は、訂正明細書の段落0014に記載の「本発明によれば、パーツフィーダに設置した計測手段で正規寸法以上のプロジェクションナットを予め排除しておき、正規寸法あるいはそれ以下のナットだけをストッパ面に到達させて位置決めを行い、その後、供給ロッドを進出させるものであるから、正規寸法のナットが一時係止されているときには正常なガイドロッドの串刺し作用がなされて、正しい部品供給がなされる。もし、正規寸法以下のナットがストッパ面に一時係止されているときには、ねじ孔がストッパ面側へ偏心しているので、ガイドロッドの先端部がナットの上面かまたはねじ孔の角部に当たり、串刺し作用が生じることなくナットは弾き飛ばされてしまう。したがって、前述のような異常寸法のナットが目的箇所へ供給されたり、溶接されるようなことが回避できるのである。特に、パーツフィーダにおける計測機能と一時係止状態にあるナットへのガイドロッドの作動とが有機的に関連付けられているので、一連の作動がシステマティックに行われ、しかも正規寸法以下のナットを排除するための特別な機構などが全く不要なので、装置の簡素化にとって非常に有利である。」という、刊行物1〜9ににはみられない格別な効果を奏するものであるから、本件発明2を刊行物1〜9に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(3)本件発明3〜4について
本件発明3〜4は、本件発明2の請求項2を直接又は間接に引用しているので、本件発明2と同様に、刊行物1〜9に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プロジェクションナットの供給方法とその装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させ、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されており、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすことを特徴とするプロジェクションナットの供給方法。
【請求項2】 円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置し、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするプロジェクショナットの供給装置。
【請求項3】 請求項2において、ストッパ面に当たって一時係止されている正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔軸心とガイドロッドの軸心とが同軸とされていることによりプロジェクションナットの所定位置が設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【請求項4】 請求項3において、計測手段は送出通路に閉断面状の形態で設置され、プロジェクションナットの高さあるいは幅が正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させる構造とされていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクションナットを供給する分野におけるものであり、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させて、ナット供給を行うものに関している。
【0002】
【従来の技術】
円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーだとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいては、前記ガイドロッドの外径がプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大幅に小さく設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
パーツフィーダのボウル内へ入れられるプロジェクションナットは、常に同一寸法の正規のものばかりであればよいのであるが、搬送中に何等かの原因で正規寸法以外のものが混入することがある。たとえば、ねじ孔内径が8mmの正規寸法のナットを入れた部品箱とねじ孔内径が6mmの異常寸法のナットを入れた部品箱とを並べて自動車の荷台に積載しているようなときには、走行中に荷台が振動するとナットが跳ねて隣の部品箱に入ることがある。あるいは、作業車がまちがって異常寸法のものを正規寸法のところへ入れることもある。このような現象により異常である6mmのものがストッパ面に停止しても、ガイドロッドが細すぎるために串刺しにしてしまって通常通りに供給し、目的箇所の鋼板部品上に載置されてプロジェクション溶接がなされてしまう。このような現象が生じると、後工程でボルトを捩じ込もうとしても正規の8mm用ボルトが入らないというトラブルが発生する。
【0004】
プロジェクションナットは製品の種類によって色々な寸法のものが採用されるのであるが、たとえば、自動車のドアーであればねじ孔内径が6mm、8mm、10mmといった3種類のナットが採用され、各ナットの高さや幅がねじ孔内径に応じて大きくなっており、ある箇所へのナットは8mmが正規のもので、他派異常寸法ということになる。このような状況であるので上記のようなトラブルに対処しなければならないことになるのである。
【0005】
さらに、従来のプロジェクションナットの供給をシステムとして見てみると、パーツフィーダ側の送出コントロールと供給ロッドの構造・寸法との有機的な関連性が設定されていないので、異常寸法のナットに対する解決策が満足にとれていないという問題がある。
【0006】
【問題を解決するための手段とその作用】
本発明は、以上に述べた問題点を解決するために提供されたもので、請求項1は、円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、パーツフィーダに設置した計測手段により正規寸法以上のプロジェクションナットを排除して正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットだけを通過させ、ガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されており、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にそのガイドロッド先端部で弾き飛ばすことを特徴とするプロジェクションナットの供給方法であり、パーツフィーダにおいてあらかじめ正規寸法以上のナットを意図的に排除しておき、その後、正規寸法以下のナットを供給ロッドの箇所で供給をさせないようにするもので、パーツフィーダ側と供給ロッド側とに連携性を持たせているのである。
請求項2は、円形のボウルに振動を与えてプロジェクションナットを送出するパーツフィーダとこのパーツフィーダからのプロジェクションナットをストッパ面に当てて所定位置に停止させ、その後、供給ロッドのガイドロッドをプロジェクションナットのねじ孔内へ串刺し状に貫通させてプロジェクションナットを目的箇所へ供給する形式のものにおいて、正規寸法以上のプロジェクションナットを排除し正規寸法あるいはそれ以下のプロジェクションナットを通過させる計測手段をパーツフィーダの送出通路に設置し、ストッパ面に位置決めされた正規寸法以下のプロジェクションナットを供給ロッドの進出時にその先端部で弾き飛ばすガイドロッドの外径は正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりもわずかに小さく設定されていると共に正規寸法以下のプロジェクションナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、上記請求項1のような作用を果たすのである。
請求項3は、請求項2において、ストッパ面に当たって一時係止されている正規寸法のプロジェクションナットのねじ孔軸心とガイドロッドの軸心とが同軸とされていることによりプロジェクションナットの所定位置が設定されていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、上記のような寸法関係にしておくことによって、正規寸法以下のナットがストッパ面に当たってそこで一時係止がなされたとき、ガイドロッドが進出してくると、その先端部はナットの上面に当たるので、これによってナットへの串刺しはなされずに弾き飛ばされて、鋼板部品の方へ供給されないのである。
請求項4は、請求項3において、計測手段は送出通路に閉断面状の形態で設置され、プロジェクションナットの高さあるいは幅が正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させる構造とされていることを特徴とするプロジェクションナットの供給装置であり、パーツフィーダ側においていわゆる通過規制を行っているのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、発明の実施の形態を図示の実施例にしたがって説明する。まず、図2の供給ロッドの作動ユニットについて説明すると、固定電極1と可動電極2とが同軸上に配置され、固定電極1上に鋼板部品3が載置してあり、その上に置かれたプロジェクションナット4に可動電極2が密着して電気抵抗溶接がなされる。供給ロッドの作動ユニットは符号5で全般的に示されている。作動ユニット5は主として供給ロッド6とそれを案内するガイド管7と後述のパーツフィーダに接続されているナット供給管8および磁石9からなっている。
【0008】
作動ユニット5の詳細構造を図1で説明すると、ガイド管7の端面10に矩形断面のナット供給管8の先端部分を密着させて溶接してある。ナット4は図3の二点鎖線図示のごとく正方形の形でねじ孔の軸線方向に所定の高さを有しており、こにような形状のナットを表裏や向きを正しく維持するために、ナット供給管8は矩形断面とされている。ナット供給管8の先端部には仮止室11を形成する切欠き12が設けてある。ガイド管7の下部には切除部13によって平面14が形成され、この平面はナット供給管8の端面15と一連の同一平面を形成している。やや偏平な直方体をなした厚板状の磁石(永久磁石)9は、図1や図3から明らかなように平面14と端面15に押し付けた状態で固定されている。この固定方法の一例として、押え金具16をボルト17でねじ止めする方法を採用した。磁石9はやや厚い基板18に孔19を明け、そこに磁石20をはめ込み、左右から被覆板21、22を密着させたもので、溶接でこの密着がなされている。磁石20がナット4に対応した位置におかれ、被覆板22の表面がストッパ面28とされていて、ナットが磁石で吸着されて一時係止されていることにより、仮止室11内における位置決めがなされている。
【0009】
ガイド管7内のガイド孔23内に挿入された供給ロッド6は、大径のロッド部24と小径でナット4のねじ孔29に進入するガイドロッド25からなり、両者の境界部に押出し面26が設けてある。ガイドロッド25の外径は正規寸法のナットのねじ孔29の内径よりもわずかに小さく設定してある。その寸法を例示すると、ガイドロッド25の外径は7.4mm、ナットのねじ孔内径は8mmである。また、ガイドロッド25の外径は正規寸法以下のナットのねじ孔の内径よりも大きく設定されている。図1は、ナット4が磁石9に吸引されて仮止室11内に一時係止されている状態であり、このときにはガイドロッド25の軸心とねじ孔29の軸心とが同軸になっている。換言すると、このような同軸状態が得られるようにガイドロッド25の軸心とストッパ面28との間隔が設定されているのである。
【0010】
供給ロッド6が進出してくると、ガイドロッド25がナット4のねじ孔内に進入して押出し面26でナット4を押し下げてゆき、ガイドロッド25の先端が固定電極1のがガイドピン30の直近で停止すると、今度はナット4がガイドピン25を滑動してナットのねじ孔29がガイドピン30に嵌まり合うのである。供給ロッド6が進出中にナット4を押出し面26に接触させておくために、供給ロッド6の進出速度をナットの落下速度とほぼ同じかまたはそれよりも速く設定してある。なお、供給ロッド6の進退作動は、図2に示したようなエアシリンダ27で行わせるのが適当である。
【0011】
つぎに、図6〜図10にしたがってパーツフィーダ側について説明すると、円形のボウル31の内側に螺旋形の送出通路32が段状に形成され、この通路32にナット供給管8が連続的に接続されている。ボウル31の下側には起振部33が設置され、円弧方向と上下方向との合成振動をボウル31に伝達してナット送出を行うのである。計測手段34はパーツフィーダに設置されているもので、具体的には送出通路32に取り付けてある。図9、図10に計測手段の具体例が図示されており、L字型のゲージ部材35を鋼板を折り曲げて図9の符号36の箇所で溶接してある。このようにゲージ部材35によって閉断面状の形態になっており、図9のごとく正規寸法あるいはそれ以下のナット4は通過させるが、正規寸法以上のナットは通過させないで排除するのである。この排除を行わせるために、ゲージ部材35の上流側端縁が傾斜部37とされ、正規寸法よりも大きいナット38が来たら、傾斜部37を摺動しながら送出通路32からずれてゆき、最後にはボウル31の底部へ転落する。図9の計測手段34はナット4の高さと幅の両方を計測する形式であるが、これを高さだけあるいは幅だけで選別することも容易に実施できる。
【0012】
本発明の作動を説明すると、まず、正規寸法以上のナット38が進んで来たときには、図10のようにして排除される。そして、正規寸法のナット4は図9および図10のごとく計測手段34を通過して図1にようにストッパ面28に一時係止されて、供給ロッド6の進出により前述のように正常な供給が果たされる。そのときの過渡状況は図4の通りであり、ねじ孔29とガイドロッド25との隙間はごく僅かであり、前述の例示寸法からすると片側の隙間は0.3mmである。
【0013】
今度は、正規寸法以下のナットは計測手段34を通過して図5のようにストッパ面28に一時係止されるが、同図の二点鎖線図示の正規寸法のナットと異常ナットとの寸法差は符号Lで示されており、したがって、ねじ孔29もストッパ面28側に偏心していて、供給ロッド6が進出するとガイドロッド25の先端部がナットの上面に当たることになり、これによってナットは弾き飛ばされ、目的箇所へは供給されない。
【0014】
【効果】
本発明によれば、パーツフィーダに設置した計測手段で正規寸法以上のプロジェクションナットを予め排除しておき、正規寸法あるいはそれ以下のナットだけをストッパ面に到達させて位置決めを行い、その後、供給ロッドを進出させるものであるから、正規寸法のナットが一時係止されているときには正常なガイドロッドの串刺し作用がなされて、正しい部品供給がなされる。もし、正規寸法以下のナットがストッパ面に一時係止されているときには、ねじ孔がストッパ面側へ偏心しているので、ガイドロッドの先端部がナットの上面かまたはねじ孔の角部に当たり、串刺し作用が生じることなくナットは弾き飛ばされてしまう。したがって、前述のような異常寸法のナットが目的箇所へ供給されたり、溶接されるようなことが回避できるのである。特に、パーツフィーダにおける計測機能と一時係止状態にあるナットへのガイドロッドの作動とが有機的に関連付けられているので、一連の作動がシステマティックに行われ、しかも正規寸法以下のナットを排除するための特別な機構などが全く不要なので、装置の簡素化にとって非常に有利である。
【0015】
ガイドロッドの外径は、正規寸法のナットのねじ孔内径よりもわずかに小さく設定してあるので、正規寸法以下のナットに対してガイドロッドの先端部が確実に干渉して弾き飛ばしがなされ、信頼性の高い作動が実現する。
これは実施例について述べることのできる効果であるが、ストッパ面とガイドロッドの軸心との距離が、正規寸法のナットに合致させて設定してあるから、正規寸法以下のナットは上記距離を下回り、しかもねじ孔の内径も正規のものよりも小さくなるので、ガイドロッドの先端部はナットを確実に弾き飛ばすことになるのである。
【0016】
さらに、ガイドロッドの外径は、正規寸法以下のナットのねじ孔内径よりも大きく設定してあるから、仮にねじ孔の軸心とガイドロッドの軸心とが同軸になったとしても、串刺し作用はなされずに確実に弾き飛ばしがなされる。
【0017】
計測手段は、送出通路に閉断面状の形態で設置されているので、ナットの高さあるいは幅で正規寸法またはそれ以下のものだけを通過させることが確実に達成でき、前述の一連の作動の初期の機能を高い信頼性のもとに果たさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図2】
作動ユニット全体を示す側面図である。
【図3】
図1の部分を下から見た平面図である。
【図4】
正規寸法のプロジェクションナットに供給ロッドが貫通している状態を部分的に示す縦断側面図である。
【図5】
正規寸法以下のプロジェクションナットと供給ロッドとの位置関係を示す部分的な縦断側面図である。
【図6】
パーツフィーダの簡略的な平面図である。
【図7】
パーツフィーダの簡略的な側面図である。
【図8】
図6の(8)-(8)断面図である。
【図9】
図6の(9)-(9)断面図である。
【図10】
計測手段を拡大した部分的な平面図である。
【符号の説明】
31 ボウル
4 プロジェクションナット
28 ストッパ面
6 供給ロッド
25 ガイドロッド
29 ねじ孔
34 計測手段
32 送出通路
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-19 
出願番号 特願平8-359913
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B23K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 林 直生樹横溝 顕範  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 三原 彰英
林 茂樹
登録日 2002-05-24 
登録番号 特許第3309245号(P3309245)
権利者 青山 好高
発明の名称 プロジェクションナットの供給方法とその装置  
代理人 熊野 剛  
代理人 城村 邦彦  
代理人 田中 秀佳  
代理人 山根 広昭  
代理人 城村 邦彦  
代理人 熊野 剛  
代理人 江原 省吾  
代理人 江原 省吾  
代理人 白石 吉之  
代理人 田中 秀佳  
代理人 白石 吉之  
代理人 山根 広昭  

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