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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1088913
審判番号 不服2000-20149  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-06-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-21 
確定日 2003-12-17 
事件の表示 平成 3年特許願第342275号「遊技機」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 6月22日出願公開、特開平 5-154238]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願の請求項1に係る発明
本願は、平成3年11月30日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成14年7月29日に提出された手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】 可変表示装置の表示結果が予め定めた特定図柄を表示したときに可変入賞球装置を繰り返して開放することが可能な特定遊技状態を生起せしめる遊技内容を有する遊技機において、
該遊技機には、
前記特定遊技状態の出現する毎に該特定遊技状態の出現原因に関係なく予め定めたサービスを遊技者に提供するか否かを乱数によって選択する選択手段と、
当該遊技機の遊技盤に設けられ且つ前記可変表示装置と異なる表示手段を前記特定遊技状態が終了した後に可変表示して前記選択手段の選択結果と一致する表示結果を導出する表示駆動制御手段と、を設けたことを特徴とする遊技機。」

2.先願明細書に記載された発明
当審の拒絶理由で引用した特願平2-306428号(特開平4-176486号)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている。
a.「(1)パチンコ機等の遊技機がフィバーとなったときに、当該遊技機での遊技の続行を同一遊技者に許諾するか否かの抽選を行なう抽選手段と、この抽選手段に抽選開始信号を出力する信号入力手段と、上記抽選手段による抽選結果を表示する表示手段とを有することを特徴とする・・・パチンコ機等の遊技機におけるフィバー時抽選装置。
(2)上記抽選手段と上記信号入力手段と上記表示手段とを遊技機毎に取り付けたことを特徴とする・・・このフィバー状態検出センサからの検出出力を抽選開始信号として上記抽選手段に入力することを特徴とするパチンコ機等の遊技機におけるフィバー時抽選装置。」
(特許請求の範囲)
b.「本発明は、フィバー後の遊戯機での遊技の続行を同じ遊技者に許諾するか否かの抽選を行なうためのパチンコ機等のフィバー時抽選装置に関する。」(2頁左上欄16~19行)
c.「第1図は、本発明によるフィバー時抽選装置をパチンコ機に適用した場合の構成を示す全体ブロック図である。
この図で、個々のパチンコ機1のフィバー状態は、パチンコ機1毎に設けられるセンサ2によって検出され、このセンサ2から出力されるフィバー状態検出信号が、電流変換部および電圧変換部4を介してパチンコ機1毎に取り付けられる抽選器本体5とフィバー回数表示器6に供給される。
抽選器本体5では、検出信号が入力されると同時に抽選が開始され、抽選結果が表示部に表示される。」(3頁右上欄19~左下欄11行)
d.「抽選器本体5内の制御回路22では、フィバー状態検出信号を受けると、抽選開始信号を抽選回路24とタイマ回路25に出力する。抽選回路24では、これを受けてタイマ回路25で決められる所定時間抽選を行ない、抽選した結果を制御回路22に返送する。
制御回路22では、抽選結果を判定するととともに、抽選結果信号を表示回路26に出力する。表示回路26には、たとえば7セグメントの発光ダイオードからなる3桁の表示部(表示パネル)27が接続されており、表示部27には抽選結果が3桁によりディジタル表示される。
・・・抽選結果の表示が第7図に示すように“777”となったこと、または大当たり表示ランプ29,29の点滅により遊技者は、抽選結果が大当たりとなったことを知ることができ、フィバー状態となった当該パチンコ機1での遊技の続行が許諾される。」(4頁左上欄16~右上欄18行)
e.「また、第11図に示す他の実施例では、センサ2,43によってフィバー状態を検出し、抽選器本体5を作動させるのではなく、パチンコ機1がフィバー状態となり、当該パチンコ機1での遊技が終了したあとに、パチンコ機1の近傍に設置した手動スイッチ44を遊技者等が押すことで、抽選器本体5が作動し、抽選を開始できるようになっている。」(5頁左上欄8~15行)
これらの記載及び第1乃至11図によれば、先願明細書には以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
「パチンコ機等の遊技機がフィバーとなったときにフィバー状態を生起せしめる遊技内容を有する遊技機において、
該遊技機には、
前記フィバー状態の出現する毎に該フィバー状態の出現原因に関係なくフィバー後の遊技機での遊技の続行を同じ遊技者に許諾するか否かを抽選する抽選器本体5の抽選回路24と、
当該遊技機毎に取り付けた抽選器本体5の表示部27を、遊技機がフィバー状態となり遊技機での遊技が終了したあとに抽選器本体5を作動し抽選を開始し、抽選器本体5の抽選回路24の抽選結果を表示部27に表示する抽選器本体の表示回路26と、を設けたことを特徴とする遊技機。」

3.本願発明と先願発明との対比検討
本件発明と先願発明とを比較すると、
先願発明の「フィバー状態」、「フィバー後の遊技機での遊技の続行を同じ遊技者に許諾する」、「抽選」、「抽選器本体5の抽選回路24」、「抽選器本体5の表示部27」、「遊技機がフィバー状態となり遊技機での遊技が終了したあと」、「抽選器本体5の抽選回路24の抽選結果を表示部27に表示する抽選器本体の表示回路26」は、
本件発明の「特定遊技状態」、「予め定めたサービスを遊技者に提供する」、「選択」、「選択手段」、「表示手段」、「特定遊技状態が終了した後」、「選択手段の選択結果と一致する表示結果を導出する表示駆動制御手段」にそれぞれ対応する。
したがって、両者は「特定遊技状態を生起せしめる遊技内容を有する遊技機において、
該遊技機には、
前記特定遊技状態の出現する毎に該特定遊技状態の出現原因に関係なく予め定めたサービスを遊技者に提供するか否かを選択する選択手段と、
該選択手段の選択結果に基づいて、表示手段を特定遊技状態が終了した後に選択手段の選択結果と一致する表示結果を導出する表示駆動制御手段と、
を設けた遊技機。」である点で一致し、
次の点で一応相違する。
(A)本願発明では、「可変表示装置の表示結果が予め定めた特定図柄を表示したときに可変入賞球装置を繰り返して開放することが可能な特定遊技状態を生起せしめる」構成であるのに対して、
先願発明では、どのようなときにどのように特定遊技状態を生起せしめる構成なのか明らかでない点。
(B)選択手段が、本願発明では、「乱数によって選択する」のに対して、
先願発明では、乱数によって選択するかどうか明らかでない点。
(C)表示駆動制御手段が、本願発明では、「遊技機の遊技盤に設けられ」表示手段を可変表示するのに対して、
先願発明では、表示手段を遊技盤に設けたものでなく、表示手段を可変表示するのか明らかでない点。

上記相違点(A)乃至(C)について検討する。
相違点(A)について
特開昭62-144679号公報にも見られるように、パチンコ機の技術分野において、「フィバー」とは「可変表示装置の表示結果が予め定めた特定図柄を表示したときに可変入賞球装置を繰り返して開放することが可能な特定遊技状態」を意味するものであると認められるから、先願発明にも「可変表示装置の表示結果が予め定めた特定図柄を表示したときに可変入賞球装置を繰り返して開放することが可能な特定遊技状態を生起せしめる」構成が実質的に記載されていると認められる。

相違点(B)について
遊技機の技術分野において、「乱数によって選択する選択手段」を設ける構成とすることも周知である(例えば、特開平2-156973号公報、特開平2-257973号公報がある。)。
してみると、先願発明において「乱数によって選択する選択手段」を設ける構成とすることは、単に周知・慣用技術を付加したものにすぎず、前記周知・慣用技術を付加することによって新たな作用効果を奏するものではない。

相違点(C)について
遊技機の遊技盤に様々な表示手段を設ける構成とすることは周知であり(例えば、前記特開平2-220681号公報、前記特開平3-251278号公報がある。)、選択結果を表示する表示手段が可変表示を行なう構成とすることも周知である(例えば、特開平3-80884号公報、特開平3-85号公報がある。)。
してみると、先願発明の遊技機毎に取付けられた表示手段を、可変表示を行う構成として遊技機の遊技盤に設けるとともに、表示駆動制御手段を遊技盤に設けることは、当業者が適宜できる程度の設計変更にすぎない。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願明細書に記載された発明者と同一であるとも、この出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないから、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-05 
結審通知日 2002-09-10 
審決日 2002-09-30 
出願番号 特願平3-342275
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 藤井 靖子
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 今崎 一司  

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