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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A61K 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 訂正を認める。無効としない A61K 審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない A61K |
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管理番号 | 1093889 |
審判番号 | 審判1999-35493 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-06-15 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-09-13 |
確定日 | 2003-12-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第1988234号発明「殺菌剤組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第1988234号に係る発明は、昭和62年12月10日に特許出願され、出願公告(特公平7-2646号)後、平成7年11月8日に特許権の設定登録がなされた。 これに対して、平成11年9月13日に請求人により特許の無効の審判が請求され、被請求人は答弁書と同時に平成12年1月28日付けで訂正の請求書を提出して、明細書の訂正を請求した。請求人は、平成12年10月13日付けで弁駁書を提出し、平成12年12月15日に口頭審理が行われた。その後、平成13年6月12日付けで当審の職権審理による無効理由の通知がされ、被請求人は、指定された期間内である平成13年6月22日に、先の訂正請求を取り下げると共に、新たな訂正請求を行った。請求人は、これに対してさらに弁駁書を提出した。 2.当事者適格について 被請求人は、請求人の当事者適格について争っているので、この点について検討する。 請求人が提出した甲第21号証である「ノバファーム社技術取締役、スチーヴェン・クリッツラー氏の2000年1月16日付宣誓供述書」の記載によれば、請求人 ノバファーム リサーチ(オーストラリア)ピーティワイ リミッテッドは、殺菌/消毒薬組成物及び化合物の製造に関するノウハウ及び特許権の所有者であり、ジョンソン エンド ジョンソン メディカル ディヴィジョン オブ エチコン インコーポレイテッドとの間で、日本を含む世界各国を対象地域として、前記ノウハウ及び特許権に関する実施契約を結んでいる者と認められる。すなわち、本件特許発明である「殺菌剤組成物」の技術分野と、請求人の行っている殺菌/消毒薬組成物及び化合物の製造に関する事業の技術分野は同一であることから、請求人は、本件特許の存否に利害関係を有しているものと認められる。 3.訂正請求について (1)訂正の内容 訂正事項a 特許請求の範囲第1項が「ポビドンヨード0.2~30(w/v)%と、アニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とを含有していることを特徴とする、殺菌剤組成物。」とあるのを、「殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみと、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とからなる殺菌剤組成物。」と訂正する。 訂正事項b 特許請求の範囲第2項を削除する。 訂正事項c 明細書3頁1~4行(公告公報2頁3欄3~11行参照)に「本発明による殺菌剤組成物は、ポビドンヨード0.2~30(w/v)%と、アニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とを含有していることを特徴としている。本発明による殺菌剤組成物において、アニオン系界面活性剤としては、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等を例示することができ、これらは単独で使用され若しくは2種又はそれ以上を併用することができる。」とあるのを、「本発明による殺菌剤組成物は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみと、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とからなることを特徴としている。本発明による殺菌剤組成物において、アニオン系界面活性剤としては、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質が用いられる。」と訂正する。 訂正事項d 明細書6頁(公告公報2頁参照)の表1-aにおける「成分」欄のアニオン系界面活性剤のうち、「ポリオキシラウリルエーテル硫酸ナトリウム」を「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」と訂正する。 (2)訂正の適否 訂正事項aは、殺菌剤組成物中の殺菌剤としての成分を「ポビドンヨード」に限定し、殺菌剤組成物中に必須の成分として配合する「アニオン系界面活性剤」の種類を特許請求の範囲第2項に記載された「ジオクチルソジウムスルホサクシネート」、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」に限定するものであることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書(以下、特許明細書という)に記載した事項の範囲内のものである。 訂正事項bは請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 訂正事項cは、特許請求の範囲の記載を訂正したことに伴って、発明の詳細な説明の欄の記載を整合させるものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、特許明細書に記載した事項の範囲内のものである。 訂正事項dは、「ポリオキシラウリルエーテル硫酸ナトリウム」を「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」と訂正するものであるが、「ポリオキシラウリルエーテル硫酸ナトリウム」というアニオン系界面活性剤が存在せず、特許明細書の記載全体から表1-a中の「ポリオキシラウリルエーテル硫酸ナトリウム」が「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」の誤記であることは明らかであることから、本訂正は誤記の訂正を目的とするものであって、特許明細書に記載した事項の範囲内のものである。 また、これらの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 さらに、後記「7.対比・判断」の項に記載したとおり、訂正後における特許請求の範囲に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律116号による改正前の特許法第134条第2項ただし書並びに同条第5項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、訂正を認める。 4.本件特許発明の要旨 本件特許発明の要旨は、訂正明細書の特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認める。 「殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみと、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とからなる殺菌剤組成物。」(以下、本件発明という。) 5.請求人の主張の概要 請求人は、「特許第1988234号特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、次の3つの無効理由を挙げて、本件特許は特許法第123条第1項第2号又は第4号の規定により無効とすべきである旨を主張している。 無効理由1 本件発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。 無効理由2 本件発明は、甲第1乃至8号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 無効理由3 本件明細書の発明の詳細な説明には、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されていないから、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 6.甲第1乃至8号証の記載 甲第1号証(LAUTIER F., 'Iodinated antiseptics. dermal toxicity and consequences of chronic cutaneous applications on the thyroid function in guinea-pigs.' In: Proceedings of the International Symposium on Povidone, University of Kentucky, College of Pharmacy, Lexington, Kentucky, U.S.A., April 17-20, 1983, Edited by G. A. Digenis et al.: p. 326-333. (1983年9月28日 アメリカ合衆国、国会図書館受入れ)) 甲第1号証の332頁2~14行には、 「A.ヨウ素化した防腐剤の組成 ベタダイン スクラブ用市販溶液(Ref. 42741) フランス メリニャック33701、ラドラトワール ザルゲ -ポビドンヨード 4g -アルキルフェノキシポリエチレンエタンの硫酸エステル、 アンモニウム塩60%溶液 12.50g -ラウリル酸とジエタノールアミンの縮合物 2g -苛性ソーダ-水溶液で 100mlにする ベタダイン スクラブ実験用溶液(Ref. 42859) フランス メリニャック33701、ラドラトワール ザルゲ アルキルフェノキシポリエチレンエタンの硫酸エステル、アンモニウム塩60%溶液(12.50gの代わりに6gとする)以外は上記の組成物と同一の組成」 が記載されている。 甲第2号証(WINICOV M., 'New low iodine products based on stabilized Povidone-iodine solution.' In: Proceedings of the 2nd International Symposium on Povidone, University of Kentucky, College of Pharmacy, Lexington, Kentucky, U.S.A., April 12-15, 1987, Edited by G. A. Digenis et al.: p. 57-64. (1987年8月13日 アメリカ合衆国、国会図書館受入れ)) 甲第2号証の58頁16行~59頁21行には「殺菌用手洗浄液」と題する事項が記載されており、その59頁1~11行には「0.5%ポビドンヨード手洗浄液の典型的な処方」として: 「成分 量(%w/w) ポビドンヨード 0.50% アニオン洗剤1(100%基準) 3~6% 泡安定剤2 0~3% 緩衝剤3 0.1~1% 粘度形成剤4 0~1% ヨウ素酸カリウム 0.05~0.20% 水 100%にする 1. 典型的なアニオン洗剤はラウリル硫酸アンモニウム、硫酸化したアルキル エトキシレート及び硫酸化したノニルフェノール エトキシレートである。」 が記載されている。 また、甲第2号証の60頁13~24行には、「5%ポビドンヨード外科用洗浄液の典型的な処方」として: 「成分 量(%w/w) ポビドンヨード 5.0% アニオン洗剤1(100%基準) 5~15% 非イオン洗剤2 0~10% 泡安定剤3 0~4% 緩衝剤4 0.1~1% 粘度形成剤5 0~2% ヨウ素酸カリウム 0.05~0.25% 水 100%にする 1. 典型的なアニオン洗剤は硫酸化したアルキル エトキシレート及び硫酸化したノニルフェノール エトキシレートを含む。」 が記載されている。 甲第3号証(後藤稠ほか編「最新医学大辞典」、医歯薬出版株式会社、1987年6月15日発行、1337頁、「防腐薬」の項) 甲第3号証には、 「防腐薬 antiseptic 局所的感染薬 微生物の増殖を抑制する静菌作用あるいは死滅させる殺菌作用をもつ化学的物質で、主に生体の局所の感染に適用されるものをいう。…」と記載されている。 甲第4号証(米国特許第4,130,640号明細書) 甲第4号証の「発明の要約」の項には「本発明は、半固体状の、新規な殺菌洗浄剤組成物に関するものであって、その殺菌作用は、ヨードホールまたは無機ヨウ素およびヨウ素化合物と洗浄作用をもつ成分との組み合わせに基づくものである。」(1欄5~10行)、「本発明の新規な組成物は、本質的に以下の組み合わせからなる: (a) 少なくとも20重量%の、炭素原子14ないし26個の脂肪族アルコールの硫酸エステル及び炭素原子12ないし24個の脂肪族アルコールのスルホサクシネートから選択された1種又は2種の化合物: (b) 1ないし20重量%の、有機ヨウ素複合体又は可溶化無機ヨウ素: (c) 約10重量%を超えない量の水 (d) 少なくとも約20重量%の、炭素原子14ないし26個の飽和脂肪族アルコール、炭素原子14ないし20個の飽和脂肪酸、および炭素原子10ないし24個の脂肪族アルコールのサクシネート又はマレエートから選択された1種類又はそれ以上の化合物。好適なヨウ素化合物はヨードホールであり、例えば、PVP-ヨード…である。」(1欄19~36行)と記載されている。また、上記(a)成分の配合量に関しては、1欄下から5~2行及び請求項1に20~70重量%とも記載されている。 さらに、甲第4号証には「スルホサクシネート及び(又は)サクシネートの存在は、本発明の新規な組成物の洗浄性を高め、そしてこの混合物の相乗的な性質によりその殺菌性を増加させる。」(1欄下から13~9行)、「スルホサクシネートは、下記式の、脂肪族アルコールのモノ-及び/又はジ-スルホ-サクシネートである。 … Na-SO3-CH(COOR1)-CH2-COOR2 式中、R1及びR2は、同一又は異なり、それぞれ、アルキル基又はアルコキシル化されたアルキル基を示す。」(2欄12行~下から34行)、「…脂肪族アルコールのスルホサクシネートは…この新規な組成物に主要な洗浄性を添加する。」(2欄下から12~9行)と記載されている。 甲第5号証(国際公開第86/05359号パンフレット) 甲第5号証の請求項1には「少なくとも1つのヨウ素複合体、少なくとも1つの残効性殺菌剤、及び薬学的、獣医学的又は農学的に利用可能なキャリア又は希釈剤を含む殺菌剤組成物。」と記載されており、また、その5頁下から15~14行には「好ましい制菌剤の例としては2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニル エーテル(トリクロサン)、…がある。」と、7頁1~5行には「洗浄効果が必要な組成物に当該効果を付与する為に界面活性剤が用いられる場合、界面活性剤は飽和化合物であるのみならず…pH6未満の溶液中で安定である必要がある。」と記載されている。そして、その実施例5には 「外科手術前の皮膚洗浄及びシャワー製剤 有効ヨウ素10.0%w/vを含有するポビドンヨード 10.0g 非イオン界面活性剤 5.0g ソジウム ラウリルエトキシサルフェート* 30.0g 椰子油ジエタノールアミド 2.0g プロピレングリコール 10.0mL トリクロサン 1.0g リン酸を加えて pH4.5にする 水を加えて 100.0mLとする *(Albright&Wilson社から入手できるEmpigen SQ25)」 と記載されている。 甲第6号証(Albright&Wilson 社の "EMPIMIN (Alkyl ethoxysulphates)"の製品説明書) 甲第6号証には、EMPIMIN SQ25の化学名がソジウム アルキル エトキシサルフェートであり、CTFA名がSodium Laureth Sulphateであることが記載されている。 甲第7号証(日本公定書協会編「化粧品原料基準 第二版注解I」、薬事日報社、1984年、1057~1059頁、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」の項) 甲第7号証には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのCTFA名がSodium Laureth Sulfateであることが記載されている。 甲第8号証(米国特許第4,027,083号明細書) 甲第8号証の1欄3~7行には「本発明は、一般にPVP-Iと呼ばれ、その殺菌、殺細菌、殺かび及び消毒の性質により有用性が増大しているポリビニルピロリドンと元素状ヨウ素の反応生成物に関する。」と記載されており、また、その実施例12には 「PVP-I溶液 10.5%の有効ヨウ素含量を有する粉末状PVP-I1kgを、あらかじめ燐酸トリナトリウム60gを加えた水5リットルに溶解する。続いてラウリル硫酸ナトリウム20mlを加え、そして10リットルの容積にする。この溶液は1.0%の有効ヨウ素含量を有する。」と記載されている。 7.対比・判断 無効理由1について 本件発明と甲第1号証に記載のものを対比する。 甲第1号証には、溶液100ml中にポビドンヨード4g含有する防腐剤(ベタダイン スクラブ用市販溶液(Ref. 42741)及びベタダイン スクラブ実験用溶液(Ref. 42859))が記載されている。ここで、甲第3号証の記載を勘案すると、防腐剤と殺菌剤は実質的に同一の作用を有する薬剤であることから、甲第1号証には、ポビドンヨードを4(w/v)%を含有する殺菌剤組成物が記載されているものと認められる。 そうすると、両者は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード4(w/v)%のみを含有する殺菌剤組成物である点において一致し、本件発明は、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%を含有するものであるのに対して、甲第1号証に記載のものはアルキルフェノキシポリエチレンエタンの硫酸エステルを含有し、前述のジオクチルソジウムスルホサクシネート又はポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有しない点において相違する。 したがって、本件発明は甲第1号証に記載されたものではない。 本件発明と甲第2号証に記載のものを対比する。 甲第2号証には、ポビドンヨード0.50(w/w)%、典型的なアニオン洗剤として硫酸化したアルキル エトキシレート、すなわちポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩3~6(w/w)%及びヨウ素酸カリウム0.05~0.20(w/w)%を含有する殺菌用手洗浄液の処方、並びに、ポビドンヨード5.0(w/w)%、硫酸化したアルキル エトキシレート、すなわちポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩5~15(w/w)%及びヨウ素酸カリウム0.05~0.25(w/w)%を含有する外科用洗浄液の処方が記載されている。ここで、甲第2号証に記載された処方の濃度の単位は(w/w)%であるが、前記殺菌用手洗浄液又は外科用洗浄液の比重は1と大きく相違しないと考えられることから、これら処方の濃度の単位は(w/v)%にほぼ等しいものと認められ、また、これら殺菌剤組成物に含まれるヨウ素酸カリウムは、乙第6号証として提出された試験結果より殺菌成分と認められる。 そうすると、両者は殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード約0.5又は5(w/v)%と、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩約3~6又は約5~10(w/v)を含有する殺菌剤組成物である点において一致し、本件発明は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードのみを含有し、かつ、アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、すなわち炭素原子数12のラウリル基を有する物質を含有するものであるのに対して、甲第2号証に記載のものは、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードに加えてヨウ素酸カリウムを含有し、かつ、アニオン系界面活性剤として含有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩におけるアルキル基の炭素原子数に関する記載がない点において相違する。 したがって、本件発明は甲第2号証に記載されたものではない。 本件発明と甲第4号証に記載のものを対比する。 甲第4号証には、脂肪族アルコールのスルホサクシネートは、下記式 Na-SO3-CH(COOR1)-CH2-COOR2 式中、R1及びR2は、同一又は異なりアルキル基を示すものであると記載されている(第2欄12行~下から34行)が、発明の要約、請求の範囲、第4欄における処方例の一覧表の記載をみると、甲第4号証に記載された発明において使用する脂肪族アルコールのスルホサクシネートにおける脂肪族アルコールの炭素原子数は12ないし24であると記載されていることから、甲第4号証には、PVP-ヨード、すなわちポビドンヨードを1~20重量%、炭素原子12ないし24個の脂肪族アルコールのスルホサクシネートを少なくとも20重量%含有する殺菌洗浄剤組成物が記載されているものと認められる。 そうすると、両者は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード約1~20(w/v)%のみを含有する殺菌剤組成物である点において一致し、本件発明はジオクチルソジウムスルホサクシネート、すなわち炭素原子数8の脂肪族アルコールのスルホサクシネートを0.025~10(w/v)%含有するものであるのに対して、甲第4号証に記載のものは炭素原子数12ないし24の脂肪族アルコールのスルホサクシネートを少なくとも20重量%含有し、炭素原子数8の脂肪族アルコールのスルホサクシネートを含有しない点において相違する。 したがって、本件発明は甲第4号証に記載されたものではない。 本件発明と甲第5号証に記載のものを対比する。 甲第6号証及び甲第7号証の記載を総合すると、甲第5号証の実施例5に記載されたソジウム ラウリルエトキシサルフェートはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムと認められるので、甲第5号証には、溶液100.0ml中に、ポビドンヨード10.0g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム30.0g及びトリクロサン(制菌剤であり、甲第5号証の請求項1記載の残効性殺菌剤と認められる)1.0gを含有する殺菌剤組成物、すなわちポビドンヨード10.0(w/v)%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム30.0(w/v)%及び残効性殺菌剤1.0(w/v)%を含有する殺菌剤組成物が記載されているものと認められる。 そうすると、両者は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード10.0(w/v)%と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する殺菌剤組成物である点において一致し、本件発明は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードのみを含有し、かつ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムの配合量が0.025~10(w/v)%であるのに対して、甲第5号証に記載のものは、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードに加えて他の殺菌剤である「トリクロサン」を含有し、かつ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムの配合量が30.0(w/v)%である点において相違する。 したがって、本件発明は甲第5号証に記載されたものではない。 本件発明と甲第8号証に記載のものを対比する。 甲第8号証には、PVP-I1kg、すなわちポビドンヨード10(w/v)%、ラウリル硫酸ナトリウム20ml、燐酸トリナトリウム60gに水を加えて10リットルとした殺菌剤溶液が記載されているものと認められる。 そうすると、両者は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード10(w/v)%のみを含有する殺菌剤組成物である点において一致し、本件発明は、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%を含有するものであるのに対して、甲第8号証に記載のものはラウリル硫酸ナトリウムを含有し、前述のジオクチルソジウムスルホサクシネート又はポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有しない点において相違する。 したがって、本件発明は甲第8号証に記載されたものではない。 無効理由2について 本件発明と、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証及び甲第8号証に記載のものは、上記「無効理由1について」の項で述べたとおりの相違点を有する。そこで、この相違点を検討する。 ポビドンヨードを含有する殺菌剤組成物にアニオン系界面活性剤を配合する目的又は効果に関する甲第1乃至8号証の記載としては、上記に摘記したように甲第4号証に「脂肪族アルコールのスルホサクシネートは…この新規な組成物に主要な洗浄性を添加する。」と、甲第5号証に「洗浄効果が必要な組成物に当該効果を付与する為に界面活性剤が用いられる場合、…」と、いずれも組成物に洗浄作用を与える旨の記載があるのみであり、これら甲号証にはポビドンヨードとアニオン系界面活性剤を共存させると殺菌力が増強する点については何ら記載されていない。 また、甲第2号証にはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を配合する殺菌剤組成物が、甲第5号証にはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを30.0(w/v)%配合する殺菌剤組成物は記載されているものの、甲第2号証及び甲第5号証に記載の組成物はいずれもポビドンヨードに加えて他の殺菌剤成分を含有するものである。そして、甲第2号証に記載のポビドンヨードを含有する殺菌剤は他の殺菌剤成分であるヨウ素酸塩により安定化されたもの、甲第5号証に記載の殺菌剤組成物は少なくとも1つの残効性殺菌剤を含有するものであることから、これらの他の殺菌剤成分はいずれも甲第2号証及び甲第5号証に記載の殺菌剤組成物において必須の成分と認められる。すると、これら甲号証に記載の組成物において必須の成分として配合された他の殺菌剤成分を除き、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードのみを含有する組成物を得ることは、甲第2号証及び甲第5号証の記載からは、当業者が容易に想到することができるものとは認められない。 これに対して、本件発明は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみを含有するものに、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%を共存させることにより、優れた殺菌力を有するものである。(訂正明細書2~6頁の殺菌力試験例1~3参照) そうしてみると、本件発明は、甲第1乃至8号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 なお、請求人は甲第4号証には「スルホサクシネート…の存在は、本発明の新規な組成物の洗浄性を高め、そしてこの混合物の相乗的な性質によりその殺菌性を増加させる。」と記載されており、ポビドンヨードを含有する殺菌剤組成物に脂肪族スルホサクシネートを添加すると、殺菌剤組成物の洗浄性が高められると共に殺菌性が増加することが開示されている旨の主張を行っている。しかし、上記「無効理由1について」の項でも述べたように、本件発明におけるスルホサクシネートと甲第4号証に記載のスルホサクシネートは、スルホサクシネートを構成する脂肪族アルコールの炭素原子数及びスルホサクシネートの配合量において相違することから、甲第4号証の記載から、ポビドンヨード0.2~30(w/v)%にジオクチルソジウムスルホサクシネート0.025~10(w/v)%を共存させ、優れた殺菌力を有する殺菌剤組成物を想到することができたものとは認められない。 無効理由3について 請求人は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムをポビドンヨードと併用した場合に如何なる殺菌力が得られるかについて、本件特許明細書には何ら具体的な試験結果が示されていないので、本件明細書の発明の詳細な説明は特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない旨の主張を行っている。 しかし、訂正明細書2頁下から4行~3頁下から3行には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1.0g及びポビドンヨード10gを含有する殺菌剤組成物(処方7)が記載されており、これらの殺菌剤組成物を試料とし殺菌力に関する試験(殺菌力試験例1)を行った旨が記載されている。 また、本件明細書には「本発明の目的は、有用な殺菌性物質であるポビドンヨードの殺菌力を更に向上させることにある。本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アニオン系界面活性剤を共存させるとポビドンヨードの抗菌力が著しく増強するとの知見を得た。」(訂正明細書1頁下から7~3行)、「本発明による殺菌剤組成物において、アニオン系界面活性剤としては、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質が用いられる。」(訂正明細書2頁11~13行)と記載されており、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムは、本件発明におけるアニオン系界面活性剤の選択肢の1つとしてジオクチルソジウムスルホサクシネートと並列的に記載されている。すなわち、本件発明においては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムはジオクチルソジウムスルホサクシネートと同じように作用し、同等の結果が得られるものとして認識されているものと認められる。そして、ジオクチルソジウムスルホサクシネートとポビドンヨードの併用した場合の殺菌力試験の結果については、表1-b(訂正明細書4頁)にジオクチルソジウムスルホサクシネート1.0g及びポビドンヨード10gを含有する殺菌剤組成物の処方例(処方6)の試験結果が、表2-b(訂正明細書5頁)にジオクチルソジウムスルホサクシネート0.25g、0.5g又は1.0g、及びポビドンヨード10gを含有する殺菌剤組成物の処方例(処方2-1、処方2-2、処方2-3)の試験結果が、表3-b(訂正明細書6頁)にジオクチルソジウムスルホサクシネート0.025g及びポビドンヨード1gを含有する殺菌剤組成物の処方例(処方3-3)の試験結果がそれぞれ記載されている。 このように、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとポビドンヨードを併用した殺菌剤組成物は本件明細書に「処方7」として記載されており、その殺菌力試験の方法が記載されており(殺菌力試験例1の記載参照)、さらに、本件発明においてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムと同じように作用し、同等の結果が得られるものとして認識されているジオクチルソジウムスルホサクシネートに関して、ポビドンヨードと併用した場合の殺菌力試験の結果が記載されていれば、当業者であれば、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する組成物の殺菌効果を追試することができるものと認められ、また、その結果に関しても、ジオクチルソジウムスルホサクシネートと併用した場合の効果の記載があれば、当業者が通常予想できるものと認められる。 そうしてみると、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムをポビドンヨードと併用した場合の具体的な試験結果が明細書に記載されていなくとも、本件発明の詳細な説明の記載は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨードのみとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する殺菌剤組成物について、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されているものと認められる。 そして、乙第4号証として提出された「当社特許(特公平7-2646)に関する殺菌力試験4」における、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1.0g及びポビドンヨード10gを含有する殺菌剤組成物の処方(処方4)の殺菌力試験の結果より、ポビドンヨードとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを併用した殺菌剤組成物が優れた殺菌効果を有することは確認できる。 8.むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 殺菌剤組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみと、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とからなる殺菌剤組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は殺菌剤組成物に係り、殊に沃素系の殺菌剤組成物に係る。 【0002】 【従来の技術】 沃素系の殺菌剤としては種々のものが存在するが、ポビドンヨード(ポリビニルピロリドン-沃素錯体)はその内の典型的なものであり(「メルクインデックス」第10版第1106-1107頁、見出し番号7595、Merck&Co.,Inc.1983年)、種々の形で市販されている[「Physicians’Desk Reference」(PDR)、第31版第1263-1265頁、1977年等]。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、有用な殺菌性物質であるポビドンヨードの殺菌力を更に向上させることにある。 本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アニオン系界面活性剤を共存させるとポビドンヨードの抗菌力が著しく増強するとの知見を得た。 そこでポビドンヨード、アニオン系界面活性剤及び溶媒の配合割合について検討を行った処、これらが一定の割合の場合に抗菌力の向上とコストの低減とのバランスがもたらされることが判明し、本発明を完成するに至った。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明による殺菌剤組成物は、殺菌剤の有効成分としてポビドンヨード0.2~30(w/v)%のみと、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質からなるアニオン系界面活性剤0.025~10(w/v)%と、溶媒とからなることを特徴としている。 【0005】 【発明の実施の形態】 本発明による殺菌剤組成物において、アニオン系界面活性剤としては、ジオクチルソジウムスルホサクシネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択された少なくとも1種類の物質が用いられる。 溶媒としては薬物であるポビドンヨードや界面活性剤と物理的及び化学的な反応を呈さず、且つ薬理学的に認容し得るものであれば何れでも使用することができ、具体例としては各種の緩衝液例えばクエン酸緩衝液、燐酸緩衝液等を挙げることができる。 尚、本発明による殺菌剤組成物においてポビドンヨード及びアニオン系界面活性剤に関する量限定はこれらの配合効果と経済性とを考慮して設定されたものである。又、本発明による殺菌剤組成物のpH値としては、その施用及び応用を考慮する場合に3.0~6.0が適当であるが、これは適当なアルカリ試薬等を用いて調整することができる。 【0006】 【実施例】 次に、製造例及び殺菌力試験例により本発明を更に詳細に説明する。 製造例1及び殺菌力試験例1 下記の表1-aに示される処方に従って各種の殺菌剤組成物を調製した。即ち、ポビドンヨードを適量の精製水に溶解させた後に、燐酸水素ナトリウム及びクエン酸を添加し、更に界面活性剤を添加して混合し、次いで水酸化ナトリウム試液でpHを約5.0に調整することにより各殺菌剤組成物を得た。 【0007】 【表1】 ![]() 【0008】 これらの殺菌剤組成物を試料とし、この試料溶液9mlを分取し、これにスタフィロコッカス・アウレウス菌(黄色ブドウ状球菌)液(107~108cell/ml)を1ml添加し、充分に混合した後に経時的に、この混液0.1mlを採取してHIA平板培地上にガラス棒でひろげて培養し、生菌数を計測した。結果は下記の表1-bに示される通りであり、アニオン系界面活性剤を含有する本発明による殺菌剤組成物(処方例5及び6)の抗菌力は他の殺菌剤組成物と比較して著しく優れていることが判明した。 【0009】 【表2】 ![]() 【0010】 製造例2及び殺菌力試験例2 下記の表2-aに示される処方に従って3種の殺菌剤組成物を調製した。即ち、ポビドンヨードを適量の精製水に溶解させた後にグリセリン、燐酸水素ナトリウム及びクエン酸を添加し、これにアニオン系界面活性剤であるジオクチルソジウムスルホサクシネート(0.25g、0.5g又は1.0g)を添加して混合し、次いで水酸化ナトリウム試液でpHを約5.0に調整することにより各殺菌剤組成物を得た。 これらの殺菌剤組成物を試料とし、殺菌力試験例1と同様にして殺菌力を生菌数から調べた。結果は下記の表2-bに示されており、何れの殺菌剤組成物も良好な殺菌性を示すことが判明した。 【0011】 【表3】 ![]() 【0012】 【表4】 ![]() 【0013】 製造例3及び殺菌力試験例3 下記の表3-aに示される処方に従って3種の殺菌剤組成物を調製した。即ち、ポビドンヨードを適量の精製水に溶解させた後に燐酸水素ナトリウム及びクエン酸を添加し、更にアニオン系界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム又はジオクチルソジウムスルホサクシネートを添加して混合し、次いで、水酸化ナトリウム試液でpHを約5.0に調整することにより各殺菌剤組成物を得た。 これらの殺菌剤組成物を試料とし、殺菌力試験例1におけると同様にして殺菌力を生菌数から調べた。結果は下記の表3-bに示される通りであり、アニオン系界面活性剤が共存すればその量割合がかなり低くともポビドンヨードの殺菌力増強に寄与し、その下限量は黄色ブドウ状球菌を対象とする場合には0.025(w/v)%程度であることが判明した。 【0014】 【表5】 ![]() 【0015】 【表6】 ![]() 【0016】 遊離沃素測定試験例 処方1,3及び5による殺菌剤組成物を対象とし、又処方3-1及び3-3による殺菌剤組成物を対象とし、TAKIKAWA,K「Chem.Pharm.Bull.」第26巻第874頁(1978年)に記載の方法に従って遊離沃素濃度を測定した結果は下記の表4に示される通りであり、各グループに属する殺菌剤組成物相互間において遊離沃素の濃度に有意の差はなかった。このことはアニオン系界面活性剤を共存させたことによるポビドンヨードの殺菌力増強効果が遊離沃素とは無関係であることを示している。 【0017】 【表7】 ![]() 【0018】 【発明の効果】 本発明による殺菌剤組成物においては、アニオン系界面活性剤が共存する結果、ポビドンヨードの殺菌力が増強する。従って、一定の殺菌力を有するポビドンヨード製剤を製造する場合にはポビドンヨードの所要量を従来よりも減ずることができるので価格の低減がもたらされる。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2001-11-20 |
結審通知日 | 2001-11-26 |
審決日 | 2001-12-07 |
出願番号 | 特願昭62-310968 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
YA
(A61K)
P 1 112・ 531- YA (A61K) P 1 112・ 113- YA (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松浦 新司 |
特許庁審判長 |
宮本 和子 |
特許庁審判官 |
深津 弘 大宅 郁治 |
登録日 | 1995-11-08 |
登録番号 | 特許第1988234号(P1988234) |
発明の名称 | 殺菌剤組成物 |
代理人 | 小田島 平吉 |
代理人 | 矢野 裕也 |
代理人 | 矢野 裕也 |
代理人 | 江角 洋治 |
代理人 | 久保田 藤郎 |
代理人 | 久保田 藤郎 |
代理人 | 小田嶋 平吾 |