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審決分類 審判 一部無効 1項1号公知 無効としない A61C
審判 一部無効 2項進歩性 無効としない A61C
審判 一部無効 1項2号公然実施 無効としない A61C
管理番号 1101029
審判番号 無効2002-35148  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-03-09 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-04-18 
確定日 2004-08-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第2873725号発明「根管長測定器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許第2873725号(平成2年7月13日出願、平成11年1月14日設定登録。)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「根管内に挿入されている測定電極の先端位置に対応した測定データを逐次検出するデータ検出手段と、
上記データ検出手段で得られる測定データを逐次補正し、補正後データが測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータとなるように処理するデータ処理手段と、
上記データ処理手段で得られた補正後データを表示する表示手段、
とを備えたことを特徴とする根管長測定器。」

2.請求人の主張
これに対して、請求人は、甲第1号証乃至甲第5号証を提出すると共に、以下の理由を挙げ、本件発明に係る特許を無効とすべき旨主張している。
(1) 本件発明は、本件特許出願前に公然知られた又は公然実施をされた「エンドドンティックメーターSII」に係る発明であるから、特許法第29条第1項第1号又は第2号の規定により、特許を受けることができないものである(以下、「無効理由1」という。)。
(2) 本件発明は、本件特許出願前に公然知られた又は公然実施をされた「エンドドンティックメーターSII」に係る発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである(以下、「無効理由2」という。)。

3.被請求人の主張
被請求人は、平成14年7月22日付けの答弁書において、乙第1号証及び乙第2号証を提出すると共に、以下の理由を挙げ、請求人の主張は失当である旨主張している。
(1) 「エンドドンテイックメーターSII」は、本件発明の「データ検出手段で得られる測定データを逐次補正し、補正後データが測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータとなるように処理するデータ処理手段」に相当する構成を有していないため、本件発明が「エンドドンティックメーターSII」に係る発明でないことは明らかである。
(2) 「エンドドンテイックメーターSII」は本件発明の「データ処理手段」に相当するものは備えておらず、そのような技術的思想も存在しないため、本件発明は、「エンドドンティックメーターSII」に係る発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.甲各号証
(1) 甲第1号証[第一通信機製作所作成「エンドドンティックメーターSII」の電気回路解析結果報告書]は、「エンドドンティックメーターSII(小貫医器有限会社製)を解析して書き起こしたとされる回路図であり、該回路図には、抵抗R1〜R3、R5、キャパシタC1、C2、演算増幅器IC1などにより構成される発振回路から出力される交流信号が1kΩの可変抵抗器および0.15μFのキャパシタを介してINPUT部の第1端子に供給され、INPUT部の第2端子からの信号が可変抵抗器VR2、抵抗器R6及び680pFのキャパシタを介して、330kΩの抵抗器、ダイオード、4.7μFの2つのキャパシタ、抵抗器R7、演算増幅器IC2からなる回路で検波と増幅の処理を受けて、メーター(uA)に送られるようにした回路構成が示されている。
(2) 甲第2号証[「日本歯科保存学雑誌」第32巻第3号、第811〜832頁、1989年6月]には、電気的根管長測定法に関するものであって、第813頁右欄第25〜31行に、「より小型化し,さらに全体の回路構成を低消費電力型とし,動作時の安定性を追求したのがエンドドンティックメーターSおよびエンドドンティックメーターSIIである.特にエンドドンティックメーターSIIにおいては,マイクロパワーICを採用したため,電源スイッチを切らなくても長期間(約1年間)使用することができる.」と記載されている。
(3) 甲第3号証[「エンドドンティックメーターSII」の検出抵抗器VR2の値を2.57kΩから28kΩまで変化させた場合における根尖位置までの距離に対するメーター指示値(電流値)の変化を示す測定結果]には、検出抵抗器VR2を種々変化させた場合とされる、根尖位置までの距離(mm)、検出抵抗値(kΩ)及び指示値(μA)の関係が表として示されている。
(4) 甲第4号証[甲第3号証の表をグラフ化したもの]には、甲第3号証の表に基づき、根尖位置までの距離(mm)と指示値(μA)の関係が、検出抵抗値毎にグラフ化したとされるものが示されている。
(5) 甲第5号証[東京都立産業技術研究所作成の成績証明書(13産技技評証第12号)]には、小貫医器有限会社製の根管長測定器「エンドドンティックメーターSII(番号P638410)」における根管長と指示目盛との関係を測定した結果が記載されている。

5.当審の判断
(1) 無効理由1について
甲第2号証によれば、「エンドドンティックメーターSII」なる根管長測定器が、本件特許出願前に公然知られ又は公然実施をされたことは明らかであるものの、甲第1号証の回路図を作成するために解析され又は甲第5号証の測定に供された「エンドドンティックメーターSII」の現品が、本件特許出願前に製造販売されたものであること、及び、甲第1号証の回路図が、本件特許出願前に製造販売された「エンドドンティックメーターSII」の回路を正確に表していること、に関しては、これを証明する証拠が不十分であり、直ちに是認できないところではある。
しかしながら、仮に、それらの事実が認められるとしても、甲第1号証乃至甲第5号証からは、少なくとも本件発明の「データ検出手段で得られる測定データを逐次補正し、補正後データが測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータとなるように処理するデータ処理手段」に相当する構成が、本件特許出願前に公然知られ又は公然実施をされた「エンドドンティックメーターSII」に具備されているとの心証を得ることはできない。
確かに、甲第1号証の回路図には、INPUT部の第2端子からの信号が可変抵抗器VR2を介して演算増幅器IC2等からなる回路で検波及び増幅されてメーターに送られるようにした回路構成が示されており、この可変抵抗器VR2を可変操作すれば、該第2端子からの信号は、その大きさが変更されてメーターに供給されることが理解できるが、この回路構成中、特に上記可変抵抗器VR2については、具体的に、如何なる意図で、如何なるタイミングで、如何なる信号又はデータに基いて、人・器械その他の如何なる手段で可変操作を行うのかが全く不明であり、このような回路構成をもって本件発明の上記「データ処理手段」が開示されているとは到底いえない。
また、甲第2号証は、「エンドドンティックメーターSII」が、小型で低消費電力型であることに触れただけのものであり、その具体的な構成について何等開示するものではない。
また、甲第3号証は、甲第1号証の回路図に基いて製作した回路構成と「エンドドンティックメーターSII」の現品との何れを測定対象として、周波数等如何なる測定条件で、且つ、誰が何処で測定したものであるのか不明であり、かかる測定結果をグラフ化したとされる甲第4号証と共に、本件発明の新規性を否定する証拠としては採用し難いところではあるが、甲第4号証のグラフ及びその基データである甲第3号証の測定結果を参酌したとしても、一部の領域でほぼリニアに変化する様子が窺えるものの、全体的に見て、これらが「測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータ」に相当するものとは認められない。
さらに、甲第5号証の「エンドドンティックメーターSII」における根管長と指示目盛との関係を測定した結果を見ても、それが、「補正後データが測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータ」に対応するものであると認められないばかりでなく、該データを得るための「データ処理手段」の存在及び構成を特定するに足る根拠となり得ないことは明らかである。
なお、請求人は、『「エンドドンティックメーターSII」における可変抵抗器VR2の機能を解析すると、甲第4号証のグラフから明らかなように、・・・検出抵抗器VR2は測定信号を検出する機能のみならず、その抵抗値を調整することにより測定信号を加工処理する機能をも持っていることが認められる。』(請求書第4頁第10〜15行)、さらに、『上述の加工処理する機能は、検出抵抗器VR2の値を調整することにより達成される機能であって、測定電極先端と根尖間の距離に応じてほぼリニアに変化するデータとなるように処理する機能に相当する。』(同書第4頁第22〜25行)と主張している。
しかしながら、甲第4号証のグラフを参照しても、これが「測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータ」に対応しているとは認められず、また、上記可変抵抗器(検出抵抗器)VR2を、測定電極先端と根尖間の距離に応じてほぼリニアに変化するデータとなるように処理するために使用することが示唆されていない以上、上述の加工処理する機能が、上記可変抵抗器(検出抵抗器)VR2の機能に相当するとは到底考えられないため、請求人の上記主張を採用することはできない。
したがって、本件発明が、本件特許出願前に公然知られた又は公然実施をされた「エンドドンティックメーターSII」に係る発明であるとは認められない。
(2) 無効理由2について
上記(1)の項で検討したように、「エンドドンティックメーターSII」には、少なくとも本件発明の「データ検出手段で得られる測定データを逐次補正し、補正後データが測定電極先端と根尖間の距離に応じてリニアまたはほぼリニアに変化するデータとなるように処理するデータ処理手段」が具備されているとは認められず、また、かかるデータ処理手段が自明のもの又は適宜採用しうるものであると認定するに足る証拠も提出されていない。
そして、本件発明は上記のデータ処理手段を具えたことにより、「測定電極先端の位置と表示値との相関が明瞭になると共に、最初は出力がほとんど変化しないで根尖付近で急激に変化するという測定原理に起因する表示値の急変がなくなる」という明細書に記載の効果を奏するものである。
したがって、本件発明が、本件特許出願前に公然知られた又は公然実施をされた「エンドドンティックメーターSII」に係る発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件発明についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用する。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-20 
結審通知日 2002-09-26 
審決日 2002-10-08 
出願番号 特願平2-186329
審決分類 P 1 122・ 121- Y (A61C)
P 1 122・ 111- Y (A61C)
P 1 122・ 112- Y (A61C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 寛治  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 和泉 等
千壽 哲郎
登録日 1999-01-14 
登録番号 特許第2873725号(P2873725)
発明の名称 根管長測定器  
代理人 野河 信久  
代理人 河野 登夫  
代理人 篠田 實  
代理人 福原 淑弘  
代理人 鈴江 武彦  
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