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関連判例 | 平成15年(行ケ)44号審決取消請求事件 |
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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 H04N 審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1102872 |
異議申立番号 | 異議2001-72243 |
総通号数 | 58 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-04-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-08-13 |
確定日 | 2002-07-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3135532号「ネットワークファクシミリ装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3135532号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3135532号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成10年9月29日に特許出願され、平成12年12月1日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人相原光政より特許異議の申し立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年2月14日に訂正請求がされた後、訂正拒絶理由が通知されたものである。 2.訂正の適否についての判断 ア.訂正の内容 平成14年2月14日付けの訂正請求書において、特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を以下のとおり訂正する。 「【請求項1】 自己の状態の変化を監視するプリンタ部と、HTML等の文書構造記述言語により前記プリンタ部のステータス情報を生成するHTML生成手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段とを備え、 前記ステータス情報は、前記プリンタ部における記録用紙の有無を表す画像情報を含んで構成され、前記HTML生成手段は、前記プリンタ部の状態変化から前記記録用紙の有無に合わせて前記画像情報を差し替える、ことを特徴とするネットワークファクシミリ装置。」 (2)訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2を以下のとおり訂正する。 「【請求項2】 自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するスキャナ部と、自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するプリンタ部と、HTML等の文書構造記述言語により前記スキャナ部、前記プリンタ部のステータス情報を生成するHTML生成手段と、前記スキャナ部、前記プリンタ部から変化内容が通知されると、前記HTML生成手段に前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新させて前記スキャナ部、前記プリンタ部の状態変化を前記ステータス情報に反映させる更新手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段と、を備えたネットワークファクシミリ装置。」 (3)訂正事項c 特許明細書の[0021]段落を以下のとおり訂正する。 「【0021】 請求項1記載のネットワークファクシミリ装置の発明は、自己の状態の変化を監視するプリンタ部と、HTML等の文書構造記述言語により前記プリンタ部のステータス情報を生成するHTML生成手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段とを備え、前記ステータス情報は、前記プリンタ部における記録用紙の有無を表す画像情報を含んで構成され、前記HTML生成手段は、前記プリンタ部の状態変化から前記記録用紙の有無に合わせて前記画像情報を差し替える構成とした。」 (4)訂正事項d 特許明細書の[0022]段落を以下のとおり訂正する。 「【0022】 この構成により、ネットワーククライアントのWWWブラウザソフトからエラー発生等の本装置の状態を参照できるため、遠隔より容易に装置の状態を知ることができる。また、プリンタ部の状態変化から記録用紙の有無に合わせて変化後の状態を表す画像情報へ差し替えることができ、クライアント側ではネットワークファクシミリ装置のホームページを表示し、最新の記録用紙の有無に関する状態を絵で表示させることができる。」 (5)訂正事項e 特許明細書の[0023]段落を以下のとおり訂正する。 「【0023】 請求項2記載の発明は、自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するスキャナ部と、自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するプリンタ部と、HTML等の文書構造記述言語により前記スキャナ部、前記プリンタ部のステータス情報を生成するHTML生成手段と、前記スキャナ部、前記プリンタ部から変化内容が通知されると、前記HTML生成手段に前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新させて前記スキャナ部、前記プリンタ部の状態変化を前記ステータス情報に反映させる更新手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段とを備える構成とした。」 (6)訂正事項f 特許明細書の[0024]段落を以下のとおり訂正する。 「【0024】 この構成により、スキャナ部及びプリンタ部は自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知し、前記スキャナ部、前記プリンタ部から変化内容が通知されると、前記スキャナ部、前記プリンタ部の状態変化をステータス情報に反映させるので、スキャナ部及びプリンタ部の状態に関して常に最新の装置状態に基づいたホームページデータを作成し、ネットワーククライアントのWWWブラウザソフトから閲覧可能となるため、遠隔より本装置の最新の状態を参照できる。」 イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1)訂正事項aについて 本件明細書の訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、 「【請求項1】 HTML等の文書構造記述言語により装置のステータス情報を生成するHTML生成手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段とを備えたネットワークファクシミリ装置。」と記載され、 また、本件発明の特許公報の段落【0052】~【0054】には、 「【0052】次に、ネットワークファクシミリ装置が装置状態をHTMLファイルで生成する動作について図9のフロー図に従って説明する。ST901において、スキャナ部8、プリンタ部6、パネル部7、FAX・音声通信部9はそれぞれ常時自己の状態の変化を監視している。 【0053】ST902~ST903において、例えば、プリンタ部6が用紙切れとなった場合など状態に変化が生じたとき、プリンタ部6は変化の内容をHTMLファイル生成部11に通知する。 【0054】ST904において、HTMLファイル生成部11は、予めステータス(装置状態)情報を表示するためのHTMLファイル並びに状態を絵で表したGIFファイルを多数保持しているので、状態の変化に合わせて常時、HTMLファイルの内容の更新及びGIFファイルの差し替えを行っている。」 と記載されている。 これらの記載より、本件発明の詳細な説明に記載された、「ステータス情報」に関連した記載として、「プリンタ部6が用紙切れとなった場合など状態に変化が生じたとき、プリンタ部6は変化の内容をHTMLファイル生成部11に通知する。」との記載、および、「HTMLファイル生成部11は、予めステータス(装置状態)情報を表示するためのHTMLファイル並びに状態を絵で表したGIFファイルを多数保持しているので、状態の変化に合わせて常時、HTMLファイルの内容の更新及びGIFファイルの差し替えを行っている。」との記載より、「HTMLファイル並びに状態を絵で表したGIFファイル」との記載はあると認められるが、「ステータス情報」が「画像情報」であるとの記載はない。 したがって、訂正事項aが、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。 特許権者は、平成14年4月23日付けの意見書で、『上記訂正内容に係る「画像情報」とは、状態を表した「絵」のことであります。記録用紙の有無を表した「絵」を「記録用紙の有無を表す画像情報」と表現しても、単なる表現形式の相違であり、同一の技術的事項を指していることは明らかであります。』と主張しているが、明細書には「画像情報」との表現自身が存在せず、「画像情報」とは「絵」に限定されないことは明らかであるから、画像情報と訂正することは、明細書に記載した事項の範囲内において訂正したものとは認められない。 (2)訂正事項bについて 本件明細書の特許請求の範囲の請求項2には、 「【請求項2】 装置状態の変化に基づき前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新する更新手段を備えた請求項1記載のネットワークファクシミリ装置。」と記載され、また、本件発明の特許公報の段落【0052】~【0054】には上記のように記載されている。 ここで、「ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新する更新手段」についてのどのように記載されているかを検討すると、段落【0054】には、「HTMLファイル生成部11は、予めステータス(装置状態)情報を表示するためのHTMLファイル並びに状態を絵で表したGIFファイルを多数保持しているので、状態の変化に合わせて常時、HTMLファイルの内容の更新及びGIFファイルの差し替えを行っている。」と記載されている。 訂正事項bの請求項2の記載は、「【請求項2】 自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するスキャナ部と、自己の状態の変化を監視して変化があればその内容を通知するプリンタ部と、HTML等の文書構造記述言語により前記スキャナ部、前記プリンタ部のステータス情報を生成するHTML生成手段と、前記スキャナ部、前記プリンタ部から変化内容が通知されると、前記HTML生成手段に前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新させて前記スキャナ部、前記プリンタ部の状態変化を前記ステータス情報に反映させる更新手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段と、を備えたネットワークファクシミリ装置。」であるから、この構成をみてみると、 「・・・・・・スキャナ部と、 ・・・・・・プリンタ部と、 ・・・・・・HTML生成手段と、 ・・・・・・更新手段と、 ・・・・・・WWWサーバ手段と、 を備えたネットワークファクシミリ装置。」 となり、HTML生成手段と、更新手段とが別構成となっており、これは明細書の記載と一致しない。 したがって、訂正事項bが、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。 特許権者は、平成14年4月23日付けの意見書で、『本件発明の特許公報の段落【0023】において、「装置状態の変化に基づき前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新する更新手段を備える構成」と記載されています。すなわち、HTML生成手段とは別個の発明特定事項として「更新手段」を備えたインターネットファクシミリ装置の発明が明確に記載されています。さらに、特許公報の段落【0054】において「更新手段」の機能が具体的に記載されています。段落【0054】には、「HTMLファイル生成部11は、予めステータス(装置状態)情報を表示するためのHTMLファイル並びに状態を絵で表したGIFファイルを多数保持しているので、状態の変化に合わせて常時、HTMLファイルの内容の更新及びGIFファイルの差し替えを行っている。」と記載されています。すなわち、HTMLファイル生成部11は、(1)多数保持しているHTMLファイル並びにGIFファイルを実際に操作してステータス情報を生成する部分と、(2)プリンタ部6から通知される変化内容をモニ夕していて通知があれば上記(1)の処理へ移行させる部分と、に機能分けすることができます。このような考えに基づいて、本件明細書の特許請求の範囲は記載されていて、請求項1は、上記(1)部分を「HTML生成手段」として発明特定事項に記載し、請求項2は、・上記(2)部分を「更新手段」として発明特定事項に記載しています。したがって、訂正請求に係る特許請求の範囲においてHTML生成手段と更新手段とが別構成となっていても、何ら明細書の記載と一致しないものではなく、HTML生成手段と更新手段とを具備するインターネットファクシミリ装置の発明は願書に添付した明細書又は図面に記載されていると思料します。』と主張しているが、 段落【0023】で記載されている、「更新手段」は、訂正前の請求項2に記載される「更新手段」であり、ここで、訂正前の請求項2は請求項1を引用しており、「更新手段」が「HTML生成手段」に含有されている。訂正後の請求項2は請求項1とは独立しており、訂正前の請求項2に記載されているからといって、独立型式にした補正後の請求項2に、「HTML生成手段」と別構成の「更新手段」を記載してよいとの理由にはならない。 明細書又は図面には、「HTML生成手段」と「更新手段」とが別構成であるとは何処にも記載されていないし、HTMLファイル生成部11を機能分けすることについても記載されていないから、HTML生成手段と、更新手段とを別構成とすることは明細書の記載と一致しない。 ウ.むすび 以上のとおりであるから、当該訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同第126条第2項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。 3.特許異議申立について ア.本件発明 特許第3135532号の請求項1~4に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 HTML等の文書構造記述言語により装置のステータス情報を生成するHTML生成手段と、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するWWWサーバ手段とを備えたネットワークファクシミリ装置。 【請求項2】 装置状態の変化に基づき前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを更新する更新手段を備えた請求項1記載のネットワークファクシミリ装置。 【請求項3】 電話回線を介したファクシミリ通信手段と、ネットワークを介したネットワーク通信手段と、前記ファクシミリ通信手段および前記ネットワーク通信手段からの受信データを記憶領域に蓄積する蓄積手段とを備え、前記HTML生成手段は前記受信データの管理情報をHTML等の文書構造記述言語により生成し、前記WWWサーバ手段は生成した文書構造記述言語ファイルおよび前記受信データを送出する請求項1記載のネットワークファクシミリ装置。 【請求項4】 前記端末からの指示を受け、前記受信データの印刷を行う印刷手段と、前記受信データの送信を行う送信手段とを備えた請求項3記載のネットワークファクシミリ装置。」 イ.申立の理由の概要 異議申立人相原光政は、本件請求項1~4に係る発明についての特許に対して、証拠として甲第1号証(特開平10-149270号公報)、甲第2号証(特開平10-173890号公報)、甲第3号証(特開平10-150462号公報)、甲第4号証(特開平9-231022号公報)、甲第5号証(「秘伝HTML,CGI,PerlによるWebプログラミング」(株)ビー・エヌ・エヌ発行)、甲第6号証(特開平11-196214号公報)を提出し、本件請求項1ないし4に係る発明の特許は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、さらに、本件請求項1および2に係る発明の特許は、甲第6号証の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、本件請求項1乃至4に係る発明についての特許を取り消すべき旨主張している。 ウ.取消理由の概要 平成13年12月10日付の取消理由通知書では、異議申立人が提出した証拠である、刊行物1(特開平10-149270号公報)、刊行物2(特開平10-173890号公報)、刊行物3(特開平10-150462号公報)、刊行物4(特開平9-231022号公報)、刊行物5(「秘伝HTML,CGI,PerlによるWebプログラミング」(株)ビー・エヌ・エヌ発行P293-316)、先願として特願平9-369269号(特開平11-196214号公報)とを示し、 『(理由1) 本件の請求項1乃至4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物1乃至5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 尚、詳細な理由については異議申立人相原光政の特許異議申立書の記載の理由を援用する。 (理由2) 本件の請求項1、2に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた先願の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 尚、詳細な理由については異議申立人相原光政の特許異議申立書の記載の理由を援用する。』との理由により取り消すべきものと理由を通知した。 エ.引用刊行物記載の発明 (1)刊行物1(特開平10-149270号公報)(甲第1号証)には、 (a)【0002】 「【従来の技術】事務機器、家庭用機器、研究所用機器や、さまざまな他の種類の装置を含め、広範囲のさまざまな装置は一般に、装置特有のユーザインターフェース機能を備える。そのような装置はガジェットと呼ぶこともできる。事務機器には例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機、さまざまな種類の通信装置および電話装置が含まれる。家庭用装置には、テレビジョン、ビデオプレーヤおよびビデオレコーダ、オーディオプレーヤおよびオーディオレコーダなどの家庭娯楽機器や、セキュリティシステム、自動車、電気器具、サーモスタット、ホットタブが含まれる。研究所用機器には、オシロスコープ、分光分析計、その他の種類の測定機器や、ネットワーク化機器が含まれる。」 (b)【0012】 「【発明の実施の形態】図1は、装置特有のユーザインターフェース機能を備える組み込み(embedded)ウェブアクセス機能を含む装置10を示す。装置10は、ネットワークインターフェース12とウェブサーバ14をモニタ16と共に含む。ネットワークインターフェース12によって、通信経路22を介した通信が可能になる。モニタ16は、装置10のさまざまな装置特有の機能を制御し、装置10に関する1組の情報を制御/モニタ経路20を介して監視する。ウェブサーバ14は、通信経路22を介してウェブクライアントにウェブサーバ機能を与える。ウェブサーバ14は、ハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)に従ってウェブサーバ機能を与える。」 (c)【0013】 「ウェブサーバ14は、装置10用の所定のユニバーサルリソースロケータ(URL)を指定するネットワークインターフェース12を通じてHTTPコマンドを受信する。HTTPコマンドは、装置状況情報などの情報を装置10から読み取るためにウェブクライアントによって使用することができる。HTTPコマンドは、装置10の機能または動作状態を制御する情報などの情報を装置10へ転送するために使用することもできる。そのようなHTTPコマンドには、HTTP GETコマンドとHTTP POSTコマンドとHTTP PUTコマンドとが含まれる。」 (d)【0014】 「装置10へ送られたHTTPコマンドに応答して、ウェブサーバ14は、装置10用の1組のユーザインターフェース機能を定義するウェブページ18を生成する。ウェブページ18とは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)ファイルである。ネットワークインターフェース12は、ウェブページ18を通信経路22を介して要求側HTTPクライアントへ転送する。」 (e)【0015】 「ウェブサーバ14は、ウェブページ18を、モニタ16によって維持される装置10に関する情報の更新済み状態を反映するように動的に生成する。ウェブページ18は、装置10用のさまざまな制御機能を通信経路22を介してウェブクライアントから開始できるようにするHTTPプロトコルに従って制御ボタンを定義することもできる。ウェブページ18は、HTTPプロトコルおよびHTMLプロトコルによってサポートされるテキストや、画像、マルチメディアファイル、フォーム、テーブル、オブジェクトタイプを含むことができる。」 (f)【0016】 「また、ウェブページ18は、装置10内に配置された追加ウェブページを指定する1つまたは複数のURLを含むことができる。ウェブページ18は、他の位置、すなわち装置10の外部に配置された追加ウェブページを指定する1つまたは複数のURLを含むこともできる。装置10の外部の追加ウェブページは例えば、ローカル通信網またはインターネットWWW上に配置することができる。」 (g)【0017】 「装置10は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機、通信装置、電話装置などの装置、テレビジョン、ビデオ装置、オーディオ装置などの家庭娯楽装置、冷蔵庫や洗濯機などの電化製品、セキュリティシステム、自動車、ホットタブを含め、さまざまな装置を表す。装置10は、オシロスコープ、分光分析計、その他のタイプの測定装置を含め、さまざまな計器を表す。また、装置10は、回転媒体記憶装置などの大容量記憶装置を含め、さまざまなコンピュータ周辺装置を表す。」 (h)刊行物1には、次のことが記載されている。 「装置10は、ネットワークインターフェース12とウェブサーバ14をモニタ16と共に含む。 HTTPコマンドは、装置状況情報などの情報を装置10から読み取るために使用することができる。 装置10へ送られたHTTPコマンドに応答して、ウェブサーバ14は、装置10用の1組のユーザインターフェース機能を定義するウェブページ18を生成する。 ウェブページ18とは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)ファイルである。 ネットワークインターフェース12は、ウェブページ18を通信経路22を介して要求側HTTPクライアントへ転送する。 装置10は、ファクシミリ装置を含めさまざまな装置を表す。」 (2)刊行物2(特開平10-173890号公報)(甲第2号証)には次の記載がある (a)段落【0001】 「【発明の属する技術分野】本発明は、ファクシミリ装置に関する。特に、利用者がパーソナルコンピュータなどから遠隔地にいる場合に、このパーソナルコンピュータ内部のファイルをその遠隔地のファクシミリ装置において取り出すことが可能なファクシミリ装置に関する。」 (b)段落【0017】 「本実施の形態においては、FAXサーバ10は、WWWサーバを利用して実現されている。このように、本実施の形態においてはWWWサーバの機能を利用してリモート操作可能なファクシミリ装置が実現されているため、クライアントとしては、WWWブラウザを利用することが可能となる。」 (c)段落【0018】 「図1に示されているように、本実施の形態に係るFAXサーバ10は、ハイパーテキストトランスポートテキストデーモン(httpd)のプログラムが稼動している。このhttpd12が稼動していることにより、WWWサーバとしての機能を果たしている。」 (d)段落【0020】 「クライアントは、このブラウザ100を用いてFAXサーバ10のhttpd12に対し、接続要求を行う(URL(ユニフォームリソースロケータ)指示)。ここで、クライアントはWWWサーバに対する接続の要求をする際のURLとしてFAXサーバ10のURLを指示することにより、FAXサーバ10の機能を利用することが可能となる。ブラウザ100を介して指示されたURLの内容にしたがって、httpd12は、FAX送信画面をブラウザ100(クライアント上で稼働している)に送信する。このFAX送信画面はHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)で記述されている。このFAX送信画面は、httpd12がHTMLファイル14からHTMLで記述されたファイルを取り出し、ブラウザ100に返送することにより行われる。クライアント上で稼働しているブラウザ100は返送されてきたHTMLのファイルに基づき、ユーザに対しFAX送信画面を表示する。このようなFAX送信画面の例が図2に示されている。」 (e)段落【0043】 「ステップS4-15においては、ファクシミリの送信の結果の確認が行われる。そして、ステップS4-16においてはファクシミリ送信結果をクライアント側に送信するのである。具体的にはこのファクシミリの送信結果を表示する画面をHTMLで記述し、係るHTMLをクライアント側のブラウザ100に送信するのである。」 (f)上記の記載より刊行物2には次のことが記載されている。 「FAXサーバ10は、ハイパーテキストトランスポートテキストデーモン(httpd)のプログラムが稼動するWWWサーバを利用している。クライアントはFAXサーバ10のURL(ユニフォームリソースロケータ)を指示することで、FAXサーバ10の機能を利用することが可能となる。ブラウザ100を介して指示されたURLの内容にしたがって、httpd12は、FAX送信画面をブラウザ100(クライアント上で稼働している)に送信する。さらに、ファクシミリの送信結果を表示する画面をHTMLで記述し、係るHTMLをクライアント側のブラウザ100に送信する。」 (3)刊行物3(特開平10-150462号公報)(甲第3号証)には次の記載がある (a)段落【0001】 「【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク及び一般公衆回線の両方に接続され、複数のパーソナルコンピュータ(以下PCと略記)及びワークステーション(以下WSと略記)をクライアントとしてファクシミリ通信に関するサービスを提供する装置であるファクシミリサーバに関し、特に受信した画像データの配信に関する。」 (b)段落【0009】 「【発明の実施の形態】図1は、本発明の1実施の形態によるネットワーク構成の例を示す図である。ファクシミリサーバ1は一般公衆回線2及びLAN3に接続されている。LAN3にはクライアントとしてPC4、PC5及びWS6が接続されている。またLAN3はインターネット7を介してLAN8と接続されており、LAN8にはPC9及びWS10が接続されている。本発明によれば、ファクシミリサーバ1と同一のLAN3に接続されたPC4、PC5及びWS6だけでなく、異なるLAN8に接続されたPC9及びWS10もファクシミリサーバ1のクライアントとしてサービスを利用することができる。」 (c)段落【0017】 「メッセージ解析部33は、ファクシミリ通信情報のヘッダー情報及び画像情報の1ページ目のいずれかまたは両方より、受取人の氏名、メールアドレスなど受取人に関する情報と、ファクシミリの受信日時、ファクシミリ番号などの送信元情報、タイトルなど受信したファクシミリ通信情報に関する情報からなるファクシミリ関連情報を作成する。ファクシミリ関連情報はヘッダー情報内のサブアドレスから取得、画像情報の1ページ目を文字認識して取得、或いは独自のプロトコルを定めて取得する(S2)。宛先が特に指定されていない場合は、宛先不明のファクシミリの通知先としてあらかじめ指定されたユーザを受取人とする。」 (d)段落【0018】 「画像情報の2ページ目以降はメッセージ変換部23に渡される。メッセージ変換部23は画像情報をGIFなどPCやWSで一般的に用いられている画像フォーマットに変換した後(S3)、変換後の画像情報を埋め込んだ形のHTML(Hyper Text Markup Language)文書のメッセージ情報を作成する(S4)。このメッセージ情報はロケーション情報であるURL(Uniform Resource Locator)とともにファイルシステム35に蓄積される(S5)。」 (e)段落【0021】 「第2の実施例は、WWWサーバ36に受信ファクシミリのリストを掲載したWWWのページであるファクシミリリストページを用意した例である。これにより、ユーザはファクシミリ受信通知を参照しなくても外出先からファクシミリリストページを見ることでメッセージ情報を確認できる。この場合、ファクシミリリストページにはファクシミリ関連情報が表示され、これをクリックすることで該当するメッセージ情報を閲覧できる。第2の実施例の場合は、ファクシミリ受信通知の送信は必ずしも必要ないので、ロケーション情報送信部34は省略することができる。」 (f)以上の記載より刊行物3には次のことが記載されている。 「ファクシミリサーバ1は一般公衆回線2及びLAN3に接続されている。受信したメッセージから、受信人に関する情報、送信元情報等を含むファクシミリ関連情報を作成するとともに、画像情報をGIF等の画像フォーマットに変換し、変換後の画像情報を埋め込んだ形のHTML文書のメッセージ情報を作成して、URLとともにファイルシステム35に蓄積する。そして、ファクシミリ関連情報を表示するためのWWWのページであるファクシミリリストページを表示し、これをクリックすることで該当するメッセージ情報を閲覧する。」 (4)刊行物4(特開平9-231022号公報)(甲第4号証)には次の記載がある (a)段落【0001】 「【発明の属する技術分野】本発明は遠隔印刷システムの文書蓄積装置に関し、特に文書閲覧装置からの閲覧要求に従って蓄積された文書を印刷前に利用者に提供し、文書閲覧装置では印刷イメージの表示(印刷プレビュー)に基づいた印刷条件の指定が可能な遠隔印刷システムの文書蓄積装置に関する。」 (b)段落【0025】 「図2はサーバクライアントシステムの構成例を示すブロック図である。図示のサーバクライアントシステムは、ユーザの端末であるクライアント10と、ファイルサーバ20と、プリントサーバ30と、これらを接続したLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)と呼ばれるネットワーク40とによって構成されている。クライアント10は文書閲覧装置として機能するもので、ネットワーク上に複数存在するが、図示の例では1つのみを示してある。」 (c)段落【0056】 「図13は遠隔印刷処理の流れを示すフローチャートである。閲覧要求に遠隔印刷要求が含まれていた場合、たとえば閲覧要求に、プリントサーバアドレスとともに「r-print」が指定されていた場合には、閲覧対象の電子文書ファイルをオープンし(ステップS111)、文書データ部の文書全体の印刷画像データPDを読み込む(ステップS112)。通常は、全ページの印刷を要求する場合が多いので、文書データ部に格納されている文書全体の画像データ(たとえば、PostScriptによるPDLデータ)を読み込むが、特定のページまたはページ範囲の印刷が要求された場合には、電子文書のページ部からここに格納されている該当ページの印刷画像データを読み込む。また、必要なら、閲覧要求にカラー・解像度・フォーマットなどの印刷品質の指定をすることもできるので、その場合は、読み込まれた文書全体または指定ページの画像データは要求に応じて加工される。次に、閲覧要求に指定されていたプリントサーバアドレスのプリントサーバにおける印刷情報受信部に対して印刷画像データPDを送信する(ステップS113)。そして、クライアントに送信可否の結果を伝える応答用文書データを作成する(ステップS114)。 (d)段落【0057】 「図14はファクシミリ送信処理の流れを示すフローチャートである。閲覧要求にファクシミリ送信要求が含まれていた場合、たとえば、閲覧要求が「http://www.fx.co.jp/A.mp?send-FAX@03-zzzz-zzzz」のように、ファクシミリ送信指示があった場合、まず、閲覧対象の電子文書ファイルをオープンし(ステップS121)、文書データ部の文書全体の印刷画像データPDを読み込む(ステップS122)。読み込んだ印刷画像データPDをファクシミリ送信データに加工する(ステップS123)。印刷画像データがたとえば、PostScriptによるPDLデータならば、PostScriptからMMR圧縮データへの変換が行われる。その後、ファクシミリ送信部50により、閲覧要求に指定されたファクシミリ番号のファクシミリ受信装置にそのファクシミリ送信データを送信する(ステップS124)。最後に、クライアントに送信可否の結果を伝える応答用文書データを作成する(ステップS125)。」 (e)上記の記載より刊行物4には次のことが記載されている。 遠隔印刷システムの文書蓄積装置に関し、WWWサーバ機能を有しネットワーク40に接続されるとともに公衆回線45に接続しファクシミリ通信が可能なファイルサーバ20が設けられ、指示によって文書ファイルを印刷し、また、指示によって文書ファイルをファクシミリ送信する点が記載されている。 (5)刊行物5(「秘伝HTML,CGI,PerlによるWebプログラミング」(株)ビー・エヌ・エヌ発行P293-316)(甲第5号証)には次の記載がある 刊行物5の294頁第26行~第295頁第31行には、Webに基づいたファックスゲートウェイが示されている。 そして、第303頁第31行からの「ファックス管理画面:GET-FAX.PL」の項には、ユーザにファックスの一覧を提示し、その一覧表のファックスの表示、削除等の機能を実現する技術が解説されている。 特に、第305頁第19行~第306頁第22行に記載されたプログラムによれば、第306頁の図11-1に示されるように、ファックスゲートウェイで受信したファックスのリストをその受信時間等の管理情報とともに、ブラウザで表示させることが可能になる点が記載されている。 また、第309頁第29行~第310頁第17行に記載されたプログラムによれば、第310頁の図11-2に示されるように受信したファックスを表示させることが可能になる点が記載されている。 また、第315頁第16~23行の「印刷オプション」の項には、受信したファックスを印刷させる点が記載され、第316頁第1~5行の「ファックス転送オプション」の項には、受信したファックスを別の人にファックス転送する点が記載されている。 このように、刊行物5は、ブラウザで受信データの管理情報を表示させること等をファクシミリゲートウェイにおいて実現するためのプログラムを持たせるものである。 (6)先願の特願平9-369269号(特開平11-196214号公報)には次の記載がある (a)段落【0019】~【0022】 「【0019】図3は本発明によるファクシミリ装置の第2実施形態を示すブロック図である。本実施形態のファクシミリ装置60はLAN70に接続されており、LAN70にはWWW(World-Wide Web)ブラウザがインストールされた複数のWWWクライアント端末(ここでは、WWWクライアント端末80のみが図示されている)が接続されている。また、ファクシミリ装置60は電話回線網40に接続され、外部のファクシミリ装置50とFAX送受信を行うことができる。 【0020】ファクシミリ装置60はネットワークインタフェース601によりLAN70に接続され、ネットワーク制御部602は所定のプロトコル(TCP/IP)に従ってネットワーク通信制御を行う。更に、サーバ部603は、後述するように、ファクシミリ装置の実行状態情報をWWWクライアント端末へ提供したり、WWWクライアント端末からの種々の実行要求の受付処理を行う。 【0021】ファクシミリ装置60はファクシミリインタフェース604を介して電話回線網40に接続され、ファクシミリ通信制御部605によってファクシミリ送信及び受信が実行される。ファクシミリ通信監視部606は、ファクシミリ通信制御部105の実行状態(例えば送信待ち、送信中、受信中、受信終了など)をモニタし、実行状態が変化した時に新たな実行状態を実行状態情報取得部607へ通知する。実行状態情報を取得すると、実行状態情報取得部607はHTML文書作成部608へ転送する。HTML文書作成部608は、受け取った実行状態情報をHTML形式に変換し、WWWサーバ部603からの閲覧を可能にする。WWWサーバ部603はWWWクライアント端末80から参照要求を受信すると、その要求に応じてHTML文書作成部608を参照し、現在の実行状態を示す実行状態データを当該WWWクライアント端末80へLAN70を通して返信する。 【0022】また、WWWサーバ部603がWWWクライアント端末80からある実行要求(例えば再送信要求)を受信すると、WWWサーバ部603はCGI(Common Gateway Interface)プログラム部609へ当該動作要求を通知する。CGIプログラム部609は、クライアントからの要求を解析し、その実行要求を実行指示部610へ通知する。実行指示部610はクライアントの要求に従ってファクシミリ通信制御部605へ指示を出し、例えばクライアントの指定した文書の再送信を実行する。」 (b)上記の記載より先願特願平9-369269号(特開平11-196214号公報)には次のことが記載されている。 「HTML文書作成部608は、受け取った実行状態情報をHTML形式に変換し、 WWWサーバ部603はWWWクライアント端末80から参照要求に応じてHTML文書作成部608を参照し、現在の実行状態を示す実行状態データを当該WWWクライアント端末80へLAN70を通して返信する。」 エ.対比・判断 【29条第2項について】 (1)請求項1について 本件請求項1係る発明と、刊行物1とを比較すると、 刊行物1の「装置状況情報などの情報」は、請求項1に係る発明の「装置のステータス情報」に相当し、 刊行物1では、ウェブサーバ14は、装置状況情報などの情報を装置10から読み取るために使用されるHTTPコマンドに応答して、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)ファイルである、ウェブページ18を生成しているから、これは、請求項1に係る発明の「HTML等の文書構造記述言語により装置のステータス情報を生成する」に相当し、 また、刊行物1の、ウェブページ18を通信経路22を介して要求側HTTPクライアントへ転送するは、請求項1に係る発明の「前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出する」に相当するから、 両者は、 「HTML等の文書構造記述言語により装置のステータス情報を生成し、 端末に対し前記ステータス情報の文書構造記述言語ファイルを送出するネットワークファクシミリ装置。」 で一致し、次の点で相違する。 (相違点) (相違点1)本件請求項1に係る発明が、HTML生成手段により、装置のステータス情報を生成するのに対して、刊行物1では、ウェブサーバ14が生成する点。 (相違点2)本件請求項1に係る発明が、URLアドレスにより本装置に接続する端末に対しファイルを送出するWWWサーバ手段を備えているのに対して、刊行物1では、明確な記載がない点。 上記相違点を検討する。 (相違点1)について 刊行物1でも、ウェブページ18とは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)ファイルであるから、ウェブページ18を生成するものを、HTML生成手段とすることは当業者が容易に考えられることである。 (相違点2)について、 HTTPにおいてURLアドレスを特定して情報を転送することは周知なことであり、ワールドワイドウェブ(WWW)についても、刊行物1には記載されており、WWWサーバ手段を備えることは当業者が容易に考えられることである。 (2)請求項2について 本件請求項2に係る発明と、上記認定した刊行物1とを比較すると、上記相違点1、2に加えて、下記の相違点3で相違する。 (相違点3)本件請求項2に係る発明は、更新手段を設けているのに対して、刊行物1には明記されていない点。 上記相違点3を検討すると、刊行物1には、上記のように刊行物1の段落【0015】に「ウェブサーバ14は、ウェブページ18を、モニタ16によって維持される装置10に関する情報の更新済み状態を反映するように動的に生成する。」と記載されているから、更新手段を設けてこのようなことを行わせることは当業者が容易に推考することができることである。 (3)請求項3について 本件請求項3に係る発明と、刊行物1とを比較すると、上記相違点1、2に加えて、下記の相違点4で相違する。 (相違点4)本件請求項3に係る発明が、電話回線を介したファクシミリ通信手段と、ネットワークを介したネットワーク通信手段と、前記ファクシミリ通信手段および前記ネットワーク通信手段からの受信データを記憶領域に蓄積する蓄積手段とを備え、前記HTML生成手段は前記受信データの管理情報をHTML等の文書構造記述言語により生成し、前記WWWサーバ手段は生成した文書構造記述言語ファイルおよび前記受信データを送出するのに対して、刊行物1のものにはそれらのことが記載されていない点。 上記相違点4を検討すると、一般的に、ファクシミリサーバ等において、ファクシミリ通信手段、ネットワーク通信手段、蓄積手段とを備え、受信データ管理情報を生成し、ファイルおよび受信データを送信することは、例えば、刊行物3等により周知のことであるから、刊行物1のものをファクシミリ装置としたときに、ファクシミリ通信手段、ネットワーク通信手段、蓄積手段とを備え、受信データ管理情報を生成するようにすることは当業者が容易に推考することができることである。 (4)請求項4について 本件請求項4に係る発明と、刊行物1とを比較すると、上記相違点1、2、4に加えて、下記の相違点5で相違する。 (相違点5)本件請求項4に係る発明が、端末からの指示を受け、受信データの印刷を行う印刷手段と、受信データの送信を行う送信手段とを備えているのに対して、刊行物1には印刷手段、送信手段については記載されていない点。 上記相違点5を検討すると、ファクシミリサーバ等において、受信データの印刷を行う印刷手段、受信データの送信を行う送信手段を設けることは周知のことであるから、刊行物1のものに、印刷手段、送信手段を設けることは当業者が容易に推考することができることである。 (5)むすび 以上のとおり,本件請求項1乃至4に係る発明は上記刊行物1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1乃至4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 【29条の2について】 (1)請求項1について 本件請求項1に係る発明と、先願発明とを比較すると、 先願発明の、HTML文書作成部608は、受け取った実行状態情報をHTML形式に変換するから、請求項1のHTML生成手段に相当し、先願発明の、WWWサーバ部603はWWWクライアント端末80から参照要求に応じてHTML文書作成部608を参照し、現在の実行状態を示す実行状態データを当該WWWクライアント端末80へLAN70を通して返信するから、請求項1のWWWサーバ手段に相当する。 したがって、本件請求項1に係る発明は、先願明細書に記載された発明と同一である。 (2)請求項2について 本件請求項2に係る発明と、先願発明とを比較すると、請求項2の更新手段について明確な記載がないが、先願の段落【0021】「ファクシミリ通信監視部606は、ファクシミリ通信制御部105の実行状態(例えば送信待ち、送信中、受信中、受信終了など)をモニタし、実行状態が変化した時に新たな実行状態を実行状態情報取得部607へ通知する。実行状態情報を取得すると、実行状態情報取得部607はHTML文書作成部608へ転送する。」と記載されており、これは実行状態が変化したことにより更新するのであるから、更新手段である。 したがって、本件請求2に係る発明は、先願明細書に記載された発明と同一である。 (3)したがって、本件特許請求項1、2に係る発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本件発明の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件請求項1、2に係る発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。 オ.尚、訂正後の請求項の特許性についての検討 訂正請求は上記の理由で、認めることはできないが、その特許性について検討すると、ファクシミリ装置において、用紙の有無を電子メールで通知することは周知技術であるから(例えば、特開平5-34677号公報等を参照。)、刊行物1のものにおいて、記録用紙の有無を表す画像情報で通知することは当業者が容易に考えられることである。 また、刊行物1には、既に述べたことであるが、段落【0015】の1~3行に「ウェブサーバ14は、ウェブページ18を、モニタ16によって維持される装置10に関する情報の更新済み状態を反映するように動的に生成する。」と記載するように、更新をしており、刊行物1のものに更新手段を設けることは当業者が容易に推考することができることである。 したがって、訂正後の請求項1~4に係る発明のものは、上記刊行物1~5に基づいて当業者が容易に考えられることである。 カ.むすび 以上のとおり,本件請求項1乃至4に係る発明は上記刊行物1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1乃至4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 また、本件請求項1、2に係る発明は、上記先願発明と同一であるので、本件請求項1、2に係る発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1乃至4に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-05-15 |
出願番号 | 特願平10-274920 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(H04N)
P 1 651・ 161- ZB (H04N) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 堀井 啓明 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
関川 正志 江頭 信彦 |
登録日 | 2000-12-01 |
登録番号 | 特許第3135532号(P3135532) |
権利者 | 松下電送システム株式会社 |
発明の名称 | ネットワークファクシミリ装置 |
代理人 | 鷲田 公一 |