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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04H
審判 査定不服 証拠 特許、登録しない。 E04H
管理番号 1117205
審判番号 不服2003-11209  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-18 
確定日 2005-05-10 
事件の表示 平成11年特許願第197362号「駐輪装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年1月23日出願公開、特開2001-20550〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年7月12日の出願であって、その各請求項に係る発明は、平成15年1月14日付手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】地面又は床面に自転車の車輪の軸間距離と同程度の間隔で少なくとも一対平行に設置され上下一対の平行な水平面と該水平面と一体の垂直面が形成されたレールと、前記自転車を載置する駐輪台の幅以上に長く形成されその両方の端部に前記一対のレールの内側の前記水平面上を転動するガイドローラと前記一対のレールの外側の前記垂直面上を転動するガイドローラとが一対ずつ回動自在に取り付けられ前記レールに夫々取り付けられた一対のガイド部材と、該一対のガイド部材上に固定された駐輪台とを備えたことを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

【2】刊行物記載の発明
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された、実願昭63-3510号(実開平1-108886号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「1は自転車の駐車場……の床面2上に所定長さでかつ所定方向でもつて互い平行に敷設された一対の案内レールである。3はこの案内レール1に案内されて駐輪スペース全長に亘つて移動自在にされた移動台車である。……。この移動台車3の台車本体4は一対の平行部材5A,5Bとこれら平行部材5A,5B同志を連結する連結部材6とから構成されるとともに、この連結部材6は水平面内で案内レール1に対して65°~70°の角度範囲をもつて傾斜して配置されている。また、この平行部材5A,5Bの両端近傍部には上記案内レール1の走行溝7を転動自在な一対の案内車輪8A,8Bがそれぞれ設けられている。また、台車本体4の連結部材6の一端側上部には、連結部材6の配置方向と同一方向のガイド溝9が形成されている。なお、このガイド溝9は連結部材6に、C形鋼を使用することによつて形成され、勿論その上面に開口部6aがくるように配置される。
10は上記ガイド溝9によつて案内される第1支持体で、直方体形状の移動台11と、この移動台11の前後左右に取付けられてガイド溝9内を転動自在にされた案内車輪12とから構成されている。そして、この移動台11の上面には、自転車の前輪を支持する前輪支持台13が水平面内で揺動自在に設けられ、またこの前輪支持台13は、移動台11が……移動したときに所定方向に所定角度でもつて揺動されるようにしている。」(明細書4頁末行~6頁9行)
「31は上記移動台車3の他端側すなわち後端側に設けられた第2支持体で、連結部材6上に載置された取付枠32と、……後輪載置台……34と、……第2水平支持軸35と、……揺動アーム36と、……引張ばね……37と、……後輪保持フレーム38と、……ガイドフレーム39とから構成されている。」(同7頁13行~8頁18行)
そして、第1図の記載によれば、案内レール1,1に対して65°~70°の角度で配置された連結部材6の上側に載置された自転車の車輪の軸間距離が案内レール1,1の間隔よりある程度小さいことから、自転車の車輪の軸間距離と案内レール1,1の間隔とが同程度であることが当業者に明らかな事項である。
したがって、上記摘記個所を含む明細書全体及び図面の記載、及び上記当業者に明らかな事項からみて、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「床面に、自転車の車輪の軸間距離と同程度の間隔で少なくとも一対平行に設置され、上下一対の平行な水平面と該水平面と一体の垂直面が形成されたレール1,1と、
後記の連結部材6の幅以上に長く形成され、その両方の端部に、前記一対のレール1,1の外側の水平面上を転動するガイドローラ8Aと前記一対のレール1,1の前記垂直面の外側面を転動するガイドローラ8Bとが一対ずつ回動自在に取付けられ、前記レール1,1に夫々取付けられた一対の平行部材5A,5Bと、
該一対の平行部材5A,5B上に固定され、自転車の各車輪を載置する前輪支持台13と後輪支持台34とを有する連結部材6と、
を備えた、駐輪装置。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、「自転車バイク駐車場 No.235(1999年7月号)」(p.21~23、再開発振興株式会社、平成11年6月30日発行。以下、「刊行物2」という。)には、「電動2段式駐輪機「ちゃらく」」について記載されており、22,23頁の説明文と写真、及び、22頁の「数台を楽にスライド出来るローラーベース図」を参照すると、以下の発明が記載されていると認められる。
「上下2段に駐輪装置を有し、
下段の駐輪装置は、自転車を載置する各ラックが一対のレールに沿って左右にスライドするものであり、
そのスライド機構は、
上下一対の平行な水平面と該水平面と一体の垂直面が形成された、互いに平行な一対のレールと、
レールの内側の前記水平面上を転動するガイドローラと、レールの外側の前記垂直面上を転動するガイドローラとが回動自在に取り付けられ、前記レールに夫々取り付けられた一対のガイド部材と、
を備えたスライド機構である、駐輪装置。」

【3】対比・判断
本願発明と、上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「前輪支持台13と後輪支持台34とを有する連結部材6」、及び「平行部材5A,5B」は、本願発明の「駐輪台」、及び「一対のガイド部材」にそれぞれ相当するから、両者は、
「床面に自転車の車輪の軸間距離と同程度の間隔で少なくとも一対平行に設置され上下一対の平行な水平面と該水平面と一体の垂直面が形成されたレールと、前記自転車を載置する駐輪台の幅以上に長く形成されその両方の端部に前記一対のレールの前記水平面上を転動するガイドローラと前記一対のレールの前記垂直面上を転動するガイドローラとが一対ずつ回動自在に取り付けられ前記レールに夫々取り付けられた一対のガイド部材と、該一対のガイド部材上に固定された駐輪台とを備えた、駐輪装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:各「ガイドローラ」が、本願発明では、レールの内側の水平面上及びレールの外側の垂直面上を転動するのに対して、刊行物1記載の発明では、レールの外側の水平面上及びレールの垂直面の外側面を転動する点

上記相違点について検討する。
駐輪台が、一対のレール上をスライドするように構成した駐輪装置において、ガイド部材に設けた各ガイドローラが、レールの内側の水平面上及びレールの外側の垂直面上を転動するようにしたものは、上記のとおり刊行物2に記載されており、この刊行物2記載の発明を刊行物1記載の発明に適用して本願発明とすることは、当業者において何らの困難性も認められず、また本願発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

請求人は、審判請求書(平成15年8月29日付けの手続補正書並びに手続補足書)において、甲第1~6号証を提示し、刊行物2は、請求人の意に反して発行されたため特許法第29条第1項第3号に該当するに至ったものであり、本願は、その発行日から6月以内に出願したものであるから、同法第30条第2項に規定する要件を満たすものであるから、同法第29条第2項の要件の審査にあたり、引用できないものである旨、主張する。
しかし、同法第30条第2項の規定は、本願発明が刊行物2記載の発明との関係において同法第29条第1項各号の一に該当する場合に適用し得るのであって、同法第29条第2項の要件に関しては参酌し得ないものであり、請求人の主張は、失当である。
なお、仮に、本願発明が刊行物2記載の発明と同一であったとしても、請求人が提出した甲号各証をみても、刊行物2が請求人の意に反して発行されたものということはできず、いずれにしても、請求人の主張には、理由がない。
すなわち、甲第1号証の1,2は(株)オービック・ジャパンの「ちゃらく」のカタログ、甲第2号証は該「ちゃらく」の写真、甲第3号証は請求人が該「ちゃらく」に使用されていると主張する直動ベアリング「プラリニア」のカタログ(但し、「プラリニア」が「ちゃらく」に使用されていることを示す直接的記載はない。)にすぎない。甲第4号証は、請求人が刊行物2の発行者に対して平成13年11月20日付けで送付した、刊行物2の記事について「記載記事の虚偽の訂正」を求めた書面と思われるが、この書面の記載内容では、記事が虚偽であることの事情説明が明確ではない上、その後、刊行物2の発行者がどのような対応をしたのかも不明である。また、甲第5号証は、「平成11年7月1日新東亜交易でのスライドラック販売会議記録」と標記された書面であるが、この書面がどのような意図・経緯で作成されたか不明である上、この書面の記載内容と、刊行物2が請求人の意に反して発行されたことと、どのような関連があるのか全く不明である。さらに、甲第6号証は、請求人がオービックジャパンに対して平成12年6月8日付けで宛てた「名誉毀損及び営業妨害行為に対する謝罪請求」と標記された書面であるが、甲第5号証同様、この書面の記載内容と、刊行物2が請求人の意に反して発行されたことと、どのような関連があるのか全く不明である。
このように、甲第1~6号証からは、刊行物2が請求人の意に反して発行されたことを示す客観的事実を読みとることができない。

【4】むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、上記刊行物1,2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-17 
結審通知日 2004-06-22 
審決日 2004-07-07 
出願番号 特願平11-197362
審決分類 P 1 8・ 06- Z (E04H)
P 1 8・ 121- Z (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊波 猛  
特許庁審判長 山 田 忠 夫
特許庁審判官 田 中 弘 満
新 井 夕起子
発明の名称 駐輪装置  
代理人 内田 和男  

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