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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1126672
審判番号 不服2002-24967  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-07-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-26 
確定日 2005-11-14 
事件の表示 特願2001-337455「インク容器およびそれを用いる印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月10日出願公開、特開2002-192754〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願の経緯及び本願発明
本願は、平成10年11月2日に特許出願された特願平10-311671号、平成10年11月26日に特許出願された特願平10-336330号、平成10年11月26日に特許出願された特願平10-336331号及び平成11年10月18日に特許出願された特願平11-296012号を優先権主張の基礎として平成11年11月2日に特許出願された特願平11-312314号の一部を、平成13年11月2日に新たな特許出願(特願2001-337455号)として出願したものであって、その請求項1乃至36に係る発明は、平成14年9月9日に補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至36に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。なお、本審決では、「発明を特定するための事項」という意味でも「構成」という用語を用いることを予めことわっておく。

「【請求項1】 印刷装置に着脱可能に装着されるインク容器であって、
印刷用インクを収容するインク収容部と、
少なくとも前記インク収容部内のインク量情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶部とを備えると共に、
前記記憶部はクロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされると共に、前記印刷装置によって最先に書き込みアクセスされる位置に前記インク量情報を書き換え可能に格納するインク量情報記憶領域を有するインク容器。」

2.引用刊行物1の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である平成2年11月15日に頒布された特開平2-279344号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。

〈記載事項1〉「本発明はインクジェット印刷ヘッド等の印刷アッセンブリーに関し、さらに具体的には、かかるアッセンブリーをそれらを用いる印刷装置に特性化する技術に関する。」(第1頁右下欄第14行〜同欄第17行)
〈記載事項2〉「個々の印刷ヘッドの相対位置を精密に位置決めする必要がある。かかる精密な相対位置決めの必要性へのアプローチとして、必要なオリフィスのすべてが形成された単一のオリフィス板を用いて、印刷ヘッドの一部または全部を一つのアッセンブリーに構成することが行われてきた。」(第2頁左上欄第14行〜同欄第20行)
〈記載事項3〉「印刷アッセンブリー12は、ハウジング20を備えたインクジェット印刷ヘッド、インク室22、インク室と流体を連通する複数のオリフィス26を有するオリフィス板24、及びインクをオリフィスから噴出させるための複数の噴射用抵抗28を備えている。印刷ヘッドのハウジング上には、複数のアラインメント機構30が配設されており、関連するキャリッジ34内の対応するアラインメント機構32と協働して、印刷ヘッドが印刷装置10内をキャリッジによって運ばれる際の適正な機械的アラインメントを確実にしている」(第3頁左上欄第19行〜同頁右上欄第9行)
〈記載事項4〉「印刷ヘッド12のハウジングには、記憶素子14が取りつけてあり、この記憶素子は、たとえば、磁性媒体片、半導体メモリー、・・・等によって構成される。このメモリーには印刷ヘッドに関するデータが記憶される。かかる情報は、印刷ヘッドの本性(製造日、製造場所、ロット番号、シリアル番号、その他)、あるいは印刷ヘッドのある種の動作特性(オリフィスのアライメント、インク色、インクの液位、動作周波数、インクの希釈度、その他)を特性化する。このデータは印刷ヘッドから読み取られ、所望に応じ使用または表示されうる。」(第3頁右上欄第13行〜同頁左下欄第4行)
〈記載事項5〉「信号発生回路38の出力には、印刷ヘッドが印刷するよう命令されているインク滴の数をカウントする監視回路42が接続されている。この数は与えられた印刷作業の間に印刷ヘッドによって消費されるインクの量に直接関係している。印刷ヘッドのメモリー14は、インク室に残っているインクの相対量を示すデータをもっていることが望ましい(このデータはまず製造過程でロードされ、インクの全充填値に一致するように設定される)。監視回路42によって計測された数は、このデータの定期的更新に用いることができる。」(第3頁左下欄第16行〜同頁右下欄第6行)
〈記載事項6〉「図示した実施例では、この更新はキャリッジ34の通路近傍に取りつけられ印刷ヘッドがその位置を通過する都度印刷ヘッドの磁気片メモリー14を読み書きする磁気読取/書込みヘッド44によって行われる。好適には、プリンター10が電源投入される都度、印刷ヘッド12がこの読取/書込みヘッド44を通過し、印刷ヘッドの磁気片メモリー上のインクの液位のデータが読みとられるのが望ましい。このデータは監視回路42に付随する揮発性メモリー46にロードされる。以降、プリンターが使用されると、監視回路は印刷ヘッドからのインクの噴出を反映して、このメモリー46を減少していく。印刷ヘッドが読取/書込みヘッド44を通過する都度、この減少された値はプリンター内部の揮発性メモリー46から印刷ヘッドの磁気片14に転送され、前の値を更新していく。」(第3頁右下欄第7行〜第4頁左上欄第2行)
〈記載事項7〉「印刷ヘッドをプリンターから外し他のプリンターに使用する場合、インクの残存量を示すデータは印刷ヘッドとともに新規のプリンターに移ることになる。」(第4頁左上欄第12行〜同欄第15行)
〈記載事項8〉「印刷ヘッドのメモリー14はまた、印刷ヘッド本体20上のオリフィス板のアラインメントに関するデータを含んでいる。・・・印刷ヘッド本体上のオリフィス板のミスアラインメントによって起こりうる印刷の低下を最小限にするため、ミスアラインメントを特性化するデータを磁気媒体14に記憶させ、それを印刷ヘッドに与えられる噴射用パルスを前補償するのに使用できる。」(第4頁右上欄第13行〜同頁左下欄第5行)
〈記載事項9〉「印刷ヘッドの磁気片14に記憶されたデータは、電源投入時磁気片が読取/書込みヘッド44によって読まれるとき、その印刷ヘッドを使用しているプリンターによって使用されうる。」(第4頁右下欄第7行〜同欄第11行)

3.引用刊行物1記載の発明の認定
上記記載事項3中の「印刷装置10」、記載事項6中の「プリンター10」、記載事項7中の「プリンター」、及び記載事項9中の「プリンター」が、同一の装置を指していることは明らかである。
また、上記記載事項3及び7から、「印刷アッセンブリー12」は「印刷装置10」に着脱可能に装着されるものであることが把握でき、さらに、「印刷装置10」から「印刷アッセンブリー12」が取り外されても、「記憶素子14」に記憶されたデータは保持されること、すなわち、「記憶素子14」はデータを不揮発的に記憶するものであることが把握できる。
したがって、上記記載事項1乃至9を含む引用刊行物1の全記載及び図示によれば、引用刊行物1には次の発明が記載されていると認めることができる。

「印刷装置10に着脱可能に取りつけられる印刷アッセンブリー12であって、ハウジング20を備えたインクジェット印刷ヘッド、インク室22、インク室と流体を連通する複数のオリフィス26を有するオリフィス板24、及びインクをオリフィスから噴出させるための複数の噴射用抵抗28を備えるとともに、ハウジング20に読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶素子14が取りつけてあり、この記憶素子14には、インクの液位、インク色、製造日等の複数のデータが記憶されている印刷アッセンブリー12。」

4.本願請求項1に係る発明と引用刊行物1記載の発明の対比
引用刊行物1記載の発明における「印刷装置10」、「インク」、及び「インク室22」は、その機能からみて、本願請求項1に係る発明の「印刷装置」、「印刷用インク」、及び「インク収容部」に相当するものであることは、明らかである。
また、引用刊行物1記載の発明における「インク容器」と、本願請求項1に係る発明の「印刷アッセンブリー12」とは、印刷装置に装着される部材であって、かつ、インクを収容している「カートリッジ」であるという点において、共通する。
また、引用刊行物1記載の発明における「記憶素子14」と、本願請求項1に係る発明の「記憶部」とは、「所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶手段」である点において、共通する。
また、引用刊行物1記載の発明における「記憶素子14」に記憶された「インクの液位」のデータは、記載事項5及び6からみて、インク室22内のインクの量(残量)を示すものであり、また、本願請求項1に係る発明の「インク量情報」は、本願明細書の段落【0053】の「このEEPROM90には、黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fにおけるインク量に関連する情報(インク残量またはインク消費量)等の所定情報を記憶しておく。」との記載を参酌すると、「インク容器」内のインクの量(残量)を示すものであるから、この限りにおいて、引用刊行物1記載の発明における「インクの液位」のデータと、本願請求項1に係る発明の「インク量情報」との間に、相違はない。
さらに、引用刊行物1記載の発明における「記憶素子14」に、「インクの液位」のデータが記憶され、該データが更新可能であるということは、当該記憶素子14に、インクの液位のデータを「書き換え可能に格納するインク量情報記憶領域」が設けられているということに他ならない。
してみると、本願請求項1に係る発明と、引用刊行物1記載の発明とは、
「印刷装置に着脱可能に装着されるカートリッジであって、印刷用インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部内のインク量情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段は前記インク量情報を書き換え可能に格納するインク量情報記憶領域を有するカートリッジ。」である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉本願請求項1に係る発明の「カートリッジ」が「インク容器」であるのに対して、引用刊行物1記載の発明の「カートリッジ」が、印刷ヘッドやインク室22等も含めて構成される「印刷アッセンブリー」である点
〈相違点2〉本願請求項1に係る発明の「記憶手段」が、クロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であるのに対して、引用刊行物1には、「記憶手段」として半導体メモリーが例示されてはいるものの、該半導体メモリーとしてどのような構造のものを採用しているのか不明であるため、引用刊行物1記載の発明の「記憶手段」が、クロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であるのか否か、定かではない点
〈相違点3〉本願請求項1に係る発明の「記憶手段」に設けられた「インク量情報記憶領域」は、印刷装置によって最先に書込アクセスされる位置に設けられているのに対して、引用刊行物1記載の発明においては、「インク量記憶情報領域」が記憶素子14内のどのような位置に設けられているのか、定かではない点

5.当審の判断
(1)相違点1について
印刷装置において、印刷ヘッド等とインク容器とを別体とし、インク容器を印刷装置に装着するよう構成する技術、及び、印刷ヘッド等とインク容器とを一体のアッセンブリーとし、当該アッセンブリーを印刷装置に装着するよう構成する技術は、いずれも、例示するまでもなく、本願の優先権主張の日前に周知の技術であって、かつ、これらは相互に置換可能なものであるから、引用刊行物1記載の発明において、印刷アッセンブリー12の代わりにインク容器を印刷装置に装着するよう構成を変更すること、すなわち、引用刊行物1記載の発明において、相違点1に関する本願請求項1に係る発明の構成を採用することは、単なる周知技術の置換にすぎない。(なお、上記周知技術の置換に際して、記憶素子14に記憶する情報として引用刊行物1に例示された情報のうち、印刷ヘッドに関する情報である「オリフィスのアライメント」、「動作周波数」については、当該記憶素子14に記憶する必要が無くなるが、「インクの液位」、「インクの色」等については、インクに関する情報であるのだから、依然として記憶素子14に記憶する必要があることは言うまでもない。)

(2)相違点2について
印刷装置に装着されるとともにインクを収容しているカートリッジに、インク量情報(インクの残量)を記憶するための記憶部を設ける際に、当該記憶部として、「クロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部」、すなわち、一般的にシリアルアクセス方式のメモリーと呼ばれている記憶部を採用することは、本願の優先権主張の日前に周知の技術である(必要ならば、特開平9-309213号公報(段落【0018】)、特開平8-197748号公報(段落【0021】)、特開昭62-184856号公報(第3図)等を参照されたい。)。そして、引用刊行物1には、記憶素子14として半導体メモリーが例示されており、上記周知の技術のシリアルアクセス方式のメモリーは半導体メモリーの一種であるのだから、引用刊行物1記載の発明の「記憶手段」として、周知のシリアルアクセス方式のメモリーを採用すること、すなわち、引用刊行物1記載の発明において、相違点2に関する本願請求項1に係る発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
本願明細書には、相違点3に関する本願請求項1に係る発明の構成を採用することによって生じる技術的効果について「インク残量データの書き換え途中で電源プラグがコンセントから抜かれてデータが破壊してしまうと、それ以降、インク残量の監視が行なえなくなる。しかしながら、本実施例では、記憶素子80内の記憶領域650、660、750、760においてインク残量データが記憶領域の先頭領域に配置されるように配列されているので、電源プラグがコンセントから抜かれる前の短時間の内にデータの書き換えを完了することができる。この結果、データの書き換え異常が発生しにくいという利点を有する。」(段落【0085】)、及び「電源がOFFされた後、インク残量データを迅速に記憶素子1080、1082に対して書き込むことが可能となり、電源OFF後、すぐに電源プラグがコンセントから抜かれるような状況であっても十分にインク残量データを記憶素子1080、1082に対して書き込むことができる。また、上記制御IC200から記憶素子1080、1082への書き込み処理ルーチンは、電源OFFの操作が実行されることなく電源プラグがコンセントから抜かれた場合や、停電時にも実行される。かかる条件においてもNMI命令が発せられるのは既述の通りであり、また、プリンタ本体100の補償電源によってプリントコントローラ40に対して0.3秒間にわたり電力が供給される。このとき、本実施例では、インク残量データは記憶素子1080、1082に対して最初に書き込みされるので、電力が供給されている期間に十分その書き込み処理を終了することができる。」(段落【0115】及び【0116】)と記載されている。
この点に関して、本願請求項1を引用する形式で記載された請求項20や、本願明細書の発明の詳細な説明(段落【0026】、【0067】、【0083】、【0125】)には、「記憶部」として「EEPROM」を用いることが記載されているが、「EEPROM」は、一般的に、データの修正を行う際には、修正するデータが例え1ビットのデータサイズであったとしても、EEPROM内の全データを消去してから、修正するデータを含む全データを入力しなければならない構造になっており、例え、インク残量データを記憶領域の先頭領域に配置したとしても、インク残量データを書き換える際には、全データの消去及び全データの書込みが必要になるものであるから、データの書込み処理が短時間に完了することはない(インク残量データの部分だけをみると短時間に書き換えられるようにもみえるが、「インク種データ」等の他のデータの保存が後回しとなるだけであり、データの書込み処理が早期に完了するわけではない。結果として、平成15年1月22日付手続補正書により補正された審判請求の理由の欄において出願人自身がインクの残量データ以上に重要なデータであると指摘している「インク種データ」等が壊れてしまう危険性が高まるものと考えられる。)。
そして、本願請求項1には、「記憶部」の構成として、データの修正時にどのような単位での修正ができるものであるのか規定されていない以上、本願請求項1に係る発明の「記憶部」は、上記「EEPROM」のような、データの修正時に全データの消去及び全データの書込みが必要なメモリーをも包含するものであって、本願請求項1に係る発明は本願明細書に記載された「短時間の内にデータの書き換えを完了することができ」、「電力が供給されている期間に充分書き込み処理を終了することができる」という効果を有さないものをも包含するものと解され、そもそもデータをどのような配置でメモリに格納するかは当業者が適宜決定し得るものであって、相違点3に関する本願請求項1に係る発明の構成を採用することによって技術的効果が生じないのであれば、当該構成は単なる設計事項にすぎないのではないかとも考えられるが、仮に、本願請求項1に係る発明の「記憶部」が、データの書込み時に、必要な部分だけを書き換えることが可能な記憶装置を意味するものであり、上記本願明細書に記載された効果を有するものだとしても、必要な部分だけを書き換えることが可能な記憶装置は、例示するまでもなく、本願の優先権主張の日前に周知の技術であり、また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である平成8年7月12日に頒布された特開平8-177608号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、アドレス及びデータをクロック同期で1ビットずつ転送するものであるシリアル通信方式のEEPROM内に、複数のデータを格納する際に、使用頻度(読み出しの頻度)の高いデータが記憶される第1エリアを、アドレス領域の先頭から前半の部分に格納する技術が開示されており(特に、段落【0006】及び【0017】を参照されたい。)、かつ、引用刊行物1記載の発明においては、上記記載事項5、6及び9からみて、「インクの液位」データを含む全データが電源投入時に読み出され、「インクの液位」データは、定期的に書き換えられるものであることは明らかであって、記憶素子14に記憶するデータとして例示されたもののうち、最も頻繁にアクセスされるデータが、「インクの液位」データであることは容易に把握できることであるから、引用刊行物1記載の発明において、データの早期書き換え完了を目的として、記憶素子として、書込み時に必要な部分だけを書き換えることが可能な記憶装置を採用し、かつ、当該記憶装置内に、「インクの液位」データを、アクセスされる最先の位置に格納するよう構成することは、引用刊行物1及び引用刊行物2に接した当業者であれば、容易に想到し得る事項である。
そして、上記本願明細書に記載された効果は、引用刊行物1記載の発明において、記憶素子として、書込み時に必要な部分だけを書き換えることが可能な記憶装置を採用し、かつ、当該記憶装置内に、「インクの液位」データを、アクセスされる最先の位置に格納するよう構成したものが、当然に有する効果である。

以上のとおりであるから、引用刊行物1記載の発明において、相違点3に関する本願請求項1に係る発明の構成を採用することは、少なくとも、引用刊行物2に記載された事項及び周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

(5)本願請求項1に係る発明の進歩性の判断
以上のとおり、引用刊行物1記載の発明において、相違点1乃至相違点3に係る本願請求項1に係る発明の構成を採用することは、少なくとも、引用刊行物2に記載された事項や周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得た事項であり、これら相違点に係る本願請求項1に係る発明の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願請求項1に係る発明は、少なくとも、引用刊行物1、2記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
本願請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-03-02 
結審通知日 2004-03-09 
審決日 2004-03-29 
出願番号 特願2001-337455(P2001-337455)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門 良成尾崎 俊彦  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 中村 圭伸
清水 康司
発明の名称 インク容器およびそれを用いる印刷装置  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

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