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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1179823
審判番号 不服2004-23423  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-16 
確定日 2008-05-09 
事件の表示 平成 6年特許願第514472号「多重スペクトルで導かれた照明を用いるビデオ検査システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 6月23日国際公開、WO94/14053、平成 8年 7月23日国内公表、特表平 8-506891〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1993年12月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1992年12月14日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成16年8月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月16日に拒絶査定不服審判の請求が行われたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?39に係る発明は、明細書、請求の範囲及び図面の記載からみて、1994年4月28日に国際事務局によって受理された補正書の翻訳文の請求の範囲の請求項1?39に記載されたものと認められるところ、請求項1に記載された事項は次のとおりである。(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)
「1.複数の選択された波長量の照明を与えるように適合された光放射ダイオードの第1のアレイと、
該第1のアレイの照明領域に配置された協同する標本を照射するように該第1のアレイを確保するように適合された第1の保持手段と、
第1および第2の波長からなる選択光を有する検査光を発生するように該第1のアレイに電流を選択的に与える手段と、
協同する標本に光を照射後、該検査光を受容するように適合されたビデオ受容手段とを有する改善されたビデオ検査照明システム。」

3.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平2-221844号公報(以下「引用刊行物」という。)には、「欠陥検出装置」の発明が記載されており、図面と共に次の記載がある。
ア.「1.品物及びそのいかなる欠陥をも検知する光センサ手段と、第1及び第2波長の放出を前記の品物に向けてこの放出光を品物の表面から反射させる照明手段と、この反射光を受けこの反射光を前記の光センサ手段に向け該光センサ手段が反射光の量を測定し前記の品物の欠陥を検出するようにするビューワ手段とを具える欠陥検出装置において、
前記の第1波長の光を放出する第1装置及びこの第1波長とは異なる前記の第2波長の光を放出する第2装置を有する複数個の発光半導体装置と、
電気パルスを前記の発光半導体装置に供給し前記の第1及び第2装置を動作させるパルサ手段と
が設けられていることを特徴とする欠陥検出装置。
2.請求項1に記載の欠陥検出装置において、前記のパルサ手段は前記の第1及び第2装置を互いに異なる時間で動作させるようになっていることを特徴とする欠陥検出装置。
・・・・・・
6.請求項1に記載の欠陥検出装置において、前記の発光半導体装置が発光ダイオードであることを特徴とする欠陥検出装置。」(特許請求の範囲)
イ.「第2及び第3図に示すように、各欠陥検出装置10はフレンチフライポテト片16の両側にある左側ビューワ38及び右側ビューワ40内にそれぞれ入れられている2つの光センサを具えている。・・・更に、このような欠陥検出装置はポテト片16の左側を照射する発光ダイオード(LED )としうる発光半導体装置の2つの左側群42及び44と、右側照射発光ダイオードの2つの右側群46及び48と、上側照射発光ダイオードの2つの上側群50及び52とを有している。これらの発光ダイオード群はフレンチフライポテト片16がコンベヤ14上で矢印20の方向に欠陥検出装置の下側を通過する際にポテト片の上側及び左右両側に光を照射する。」(第5頁右上欄第1?14行)
ウ.「第4図に示すように、左側の発光ダイオード群44、上側の発光ダイオード群52及び右側の発光ダイオード群48は3つの別々の群で共通支持プレート74上に支持されており、この共通支持プレートは、その上に設けたパルサ回路に対するこれらの発光ダイオードの接続線を有するプリント回路板とすることができる。他の支持板(図示せず)により他の3つの発光ダイオード群42,46及び50を同様に支持する。
上側の発光ダイオード群52はこの群の両端に2つの緑発光ダイオード76A及び76Bと、この群の中央に黄発光ダイオード72及び赤発光ダイオード78を含んでおり、これらすべての発光ダイオードは異なる波長の可視光を放出する。570ナノメートルの波長を有する黄発光ダイオードにより放出される光は緑発光ダイオードの光に加わり、その強度を高めるとともに約565ナノメートルの波長を有する合成された輝度の緑色光を生じるということに注意すべきである。その理由は、これらの光すべてがパルスにより同時にオン状態になる為である。赤発光ダイオード78は660ナノメートルの波長を有する赤色の光を放出する。更に発光ダイオード80が880ナノメートルの波長を有する近赤外線(NIR)領域の不可視光を放出し、発光ダイオード82が940ナノメートルの波長のNIR光を放出する。
左側の発光ダイオード群44は2つの黄発光ダイオード72A及び72Bと、2つの赤発光ダイオード78A及び78Bと、3つの緑発光ダイオード76A,76B及び76Cとを有する。この発光ダイオード群は880ナノメートルの波長の赤外線を放出するNIR発光ダイオード80と940ナノメートルの波長の赤外線を放出するNIR発光ダイオード82とをも有する。右側の発光ダイオード群48は発光ダイオードの間隔及び位置において左側の発光ダイオード群と同様である為、対応する発光ダイオードは同じ番号にダッシュ符号を付して示してある。しかし、発光ダイオード80′及び82′の垂直方向位置は発光ダイオード群44における発光ダイオード80及び82と逆であることに注意すべきである。発光ダイオードの各々はその外匣と一体に形成したプラスチックレンズ38を有しており、このレンズにより発光ダイオードから放出された光を約20度のビーム角に集束させる。」(第5頁右下欄第5行から第6頁右上欄第8行)
また、上記摘記事項ウ.及びFIG.4から、複数個の発光ダイオードの照明領域に配置された品物を照射するように複数個の発光ダイオードを保持する手段、を有することは明らかである。
したがって、これらの記載から、引用刊行物には「第1波長の光を放出する第1装置及びこの第1波長とは異なる第2波長の光を放出する第2装置を有する複数個の発光ダイオードと、該複数個の発光ダイオードの照明領域に配置された品物を照射するように該複数個の発光ダイオードを保持する手段と、第1波長および第2波長の検査光を発生するように前記複数個の発光ダイオードに電気パルスを供給するパルサ手段と、品物からの反射光を受ける光センサ手段とを有する欠陥検出装置。」(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

4.対比・判断
本願発明と引用刊行物記載の発明とを対比する。
引用刊行物記載の発明の「発光ダイオード」が本願発明の「光放射ダイオード」に相当することが明らかであるから、引用刊行物記載の発明の「第1波長の光を放出する第1装置及びこの第1波長とは異なる第2波長の光を放出する第2装置を有する複数個の発光ダイオード」は、本願発明の「複数の選択された波長量の照明を与えるように適合された光放射ダイオードの第1のアレイ」に相当するものである。
また、引用刊行物記載の発明の「複数個の発光ダイオードの照明領域に配置された品物を照射するように該複数個の発光ダイオードを保持する手段」は、本願発明の「第1のアレイの照明領域に配置された協同する標本を照射するように該第1のアレイを確保するように適合された第1の保持手段」に相当するものである。
そして、引用刊行物記載の発明の「第1波長および第2波長の検査光を発生するように前記複数個の発光ダイオードに電気パルスを供給するパルス手段」と、本願発明の「第1および第2の波長からなる選択光を有する検査光を発生するように該第1のアレイに電流を選択的に与える手段」とは、第1の波長および第2の波長からなる検査光を発生するように第1のアレイに電流を選択的に与える手段という点で共通する。
また、引用刊行物記載の発明の「品物からの反射光を受ける光センサ手段」と、本願発明の「協同する標本に光を照射後、該検査光を受容するように適合されたビデオ受容手段」とは、協同する標本に光を照射後、該検査光を受容するように適合された光センサ手段という点で共通するものである。
さらに、引用刊行物記載の発明の「欠陥検査装置」は、検査照明システムという意味で、本願発明の「ビデオ検査照明システム」と対応するものである。
してみると、両者は「複数の選択された波長量の照明を与えるように適合された光放射ダイオードの第1のアレイと、
該第1のアレイの照明領域に配置された協同する標本を照射するように該第1のアレイを確保するように適合された第1の保持手段と、
第1の波長および第2の波長からなる検査光を発生するように該第1のアレイに電流を選択的に与える手段と、
協同する標本に光を照射後、該検査光を受容するように適合された光センサ手段とを有する検査照明システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
検査光を発生するように第1のアレイに電流を選択的に与える手段が、本願発明では、第1および第2の波長からなる選択光を有する検査光を発生するものであり、この記載からは必ずしも明確でないが、明細書の実施例を参酌すれば、第1および第2の波長からなる選択光を同時に有する検査光を発生するのに対して、引用刊行物記載の発明は、第1の波長からなる検査光と第2の波長からなる検査光とを、異なる時間に発生している点。
(相違点2)
光センサ手段が、本願発明では「ビデオ受容手段」であり、したがって本願発明が「ビデオ検査照明システム」であるのに対して、引用刊行物記載の発明では単なる「光センサ手段」である点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について、
複数の波長の光を照射してスペクトル分析を行う際に、同時に複数の波長の光を照射し、反射光をフィルタ等により分離して検出することは、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭59-52735号公報や特開昭60-3542号公報、さらには特開平3-122556号公報(第6頁右下欄第19行から第7頁左上欄第2行に「発光色の異なるLEDアレイ(例えば赤色、黄色、緑色等)を複数列併設し、それらのLEDアレイを同時若しくは交互に発光させて、あらゆる色の異物に対応させることも可能である。」と記載されている。)に見られるように周知の技術であるから、引用刊行物記載の発明において、第1の波長からなる検査光と第2の波長からなる検査光とを異なる時間に照射するに代えて、第1および第2の波長からなる選択光を同時に有する検査光を照射するようにすることは当業者ならば容易に想到し得たものと認められる。
相違点2について、
本願発明の「ビデオ受容手段」及び「ビデオ検査照明システム」という用語は、必ずしも明確でないが、明細書を参酌すれば、「ビデオカメラ」及び「ビデオカメラを利用した検査システム」と解することができる。そして、光を照射して物品を検査する装置において、光センサ手段として「ビデオカメラ」を用いて、2次元的に検査を行うことは、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭59-52735号公報(撮像素子16e?16hの記載参照)や特開平1-313745号公報(テレビカメラ41及びCCDカメラ61の記載参照)、さらには特開平3-122556号公報(第1カメラ5及び第2カメラ11の記載参照)に見られるように周知の技術である。そして、引用刊行物記載の欠陥検査装置においても、実施例に記載されているのはフレンチフライポテト片の検査であり、2次元的な検査を行うという課題があることも明らかであるから、引用刊行物記載の発明において、単なる光センサ手段に代えて、ビデオカメラを用いることは当業者ならば容易に想到し得たものと認められる。
そして、本願発明の作用効果も、引用刊行物記載の発明及び上記周知技術から当業者であれば予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2?39に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-23 
結審通知日 2006-08-24 
審決日 2006-09-05 
出願番号 特願平6-514472
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
樋口 宗彦
発明の名称 多重スペクトルで導かれた照明を用いるビデオ検査システム  
代理人 川北 武長  

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