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審決分類 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F16B
審判 全部無効 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  F16B
審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  F16B
審判 全部無効 2項進歩性  F16B
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  F16B
管理番号 1258480
審判番号 無効2009-800108  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-05-25 
確定日 2012-06-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4217539号「クランプ装置」の特許無効審判事件についてされた平成22年3月24日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10131号平成23年1月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4217539号の請求項1?5に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

(1)本件特許第4217539号に係る発明についての出願は、平成15年6月2日になされ、平成20年10月10日付けの手続補正を経て、平成20年11月14日にその発明について特許権の設定登録がされたものである。

(2)これに対して、平成21年5月25日付けで株式会社コスメック(以下、「請求人」という。)は、本件特許を無効にするとの審決を求める特許無効審判(以下、「本件無効審判」という。)を請求した。

(3)特許権者であるパスカルエンジニアリング株式会社(以下、「被請求人」という。)は、平成21年8月12日付けで答弁書及び訂正請求書を提出した。

(4)請求人は、平成21年9月15日付けで弁駁書を提出し、平成21年11月26日付けで口頭審理陳述要領書(第1回)及び口頭審理陳述要領書(第2回)を提出し、被請求人は、同じく平成21年11月26日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、同日に口頭審理が行われた。

(5)口頭審理後、請求人は、平成21年12月25日付けで上申書を提出した。これを受けて、被請求人は、平成22年1月4日付けで答弁書を提出した。

(6)その後、平成22年3月24日付けで、訂正を認め、本件審判の請求は、成り立たない旨の審決がなされた。なお、当該審決中の特許請求の範囲の請求項4及び請求項5の削除に係る訂正を認めた部分については、当該審決の送達日である平成22年4月5日に形式的に確定した。

(7)これに対し、請求人は、平成22年4月29日に審決の取消しを求める訴え(平成22年(行ケ)第10131号)を知的財産高等裁判所に提起したところ、当該裁判所は、平成23年1月27日付けで、審決を取消す判決をした。

(8)その後、被請求人は、特許法134条の3第1項の規定により指定された期間内である平成23年2月16日付けで訂正の請求の申立てをし、平成23年3月22日付けで、訂正請求書を提出した。これに対し、請求人は、平成23年4月22日付けで弁駁書を提出した。

2.訂正の許否について

2-1.訂正の内容

上記「1.(8)」の訂正請求書に添付された訂正明細書によると、訂正請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)は、次の内容のものである。

(1)訂正事項1
本件特許第4217539号の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)における特許請求の範囲の請求項1に、

「クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁孔と、
この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、
前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有する、
ことを特徴とするクランプ装置。」とあるのを、

「ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁孔と、
この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、 前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。」と訂正する。(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)

(2)訂正事項2
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項3に、

「クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁座と、
この弁座に対向する弁体部を有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、
前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有する、
ことを特徴とするクランプ装置。」とあるのを、

「ベースに固定されるクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁座と、
この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。」と訂正する。

(3)訂正事項3
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項4及び請求項5を削除する。

(4)訂正事項4
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項6を請求項4に繰り上げると共に、

「前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載のクランプ装置。」とあるのを、

「前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とする請求項1?3の何れかに記載のクランプ装置。」と訂正する。

(5)訂正事項5
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項7を請求項5に繰り上げると共に、

「前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1?6の何れかに記載のクランプ装置。」とあるのを、

「前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1?4の何れかに記載のクランプ装置。」と訂正する。

(6)訂正事項6
本件特許明細書の段落【0010】に、

「【課題を解決するための手段】
請求項1のクランプ装置は、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有することを特徴とするものである。」とあるのを、

「【課題を解決するための手段】
請求項1のクランプ装置は、ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、油圧給排用の油圧ポートと、前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられることを特徴とするものである。」と訂正する。

(7)訂正事項7
本件特許明細書の段落【0012】に、

「ところで、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。このように、弁体部を有する弁部材を直接弁座に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
この流量調整弁においては、油路を流れる油圧が、弁体部と弁孔との間の隙間を流れる他に、この隙間をバイパスするバイパス流路をも流れる。但し、弁部材は、バイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有するので、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合には、逆止弁によりバイパス流路を閉止して、油圧が前記隙間だけを流れることにして隙間を流れる油圧の流量を調整する一方で、油圧シリンダから油圧を排出する場合には、逆止弁を開放してバイパス流路にも油圧を流すことにより油圧を迅速に排出するように構成できる。逆に、排出される油圧の流量を調整する場合も同様である。」とあるのを、

「ところで、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。このように、弁体部を有する弁部材を直接弁孔に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
この流量調整弁においては、油路を流れる油圧が、弁体部と弁孔との間の隙間を流れる他に、この隙間をバイパスするバイパス流路をも流れる。但し、弁部材は、バイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有するので、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合には、逆止弁によりバイパス流路を閉止して、油圧が前記隙間だけを流れることにして隙間を流れる油圧の流量を調整する一方で、油圧シリンダから油圧を排出する場合には、逆止弁を開放してバイパス流路にも油圧を流すことにより油圧を迅速に排出するように構成できる。逆に、排出される油圧の流量を調整する場合も同様である。」と訂正する。

(8)訂正事項8
本件特許明細書の段落【0014】に、

「請求項3のクランプ装置は、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部を有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有することを特徴とするものである。」とあるのを、

「請求項3のクランプ装置は、ベースに固定されるクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、油圧給排用の油圧ポートと、前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロットの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられることを特徴とするものである。」と訂正する。

(9)訂正事項9
本件特許明細書の段落【0015】に、

「この請求項3のクランプ装置において、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部を有する弁部材とを備え、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。その他の作用は、請求項1と略同様であるのでその説明を省略する。」とあるのを、

「この請求項3のクランプ装置において、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部を有する弁部材とを備え、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁座との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。その他の作用は、請求項1と略同様であるのでその説明を省略する。」と訂正する。

(10)訂正事項10
本件特許明細書の段落【0018】に、

「請求項4のクランプ装置は、請求項1?3の発明において、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有することを特徴とするものである。この操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。」とあるのを、

「さらに、請求項1及び請求項3のクランプ装置においては、上記操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。」と訂正する。

(11)訂正事項11
本件特許明細書の段落【0019】に、

「請求項5のクランプ装置は、請求項1?4の発明において、前記クランプ本体に固定された弁ケースに、前記弁部材が前記出力ロッドの長手方向「と交差する方向に螺着されていることを特徴とするものである。このように、弁部材が、弁ケースに、出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁座に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。」とあるのを、

「さらに、請求項1及び請求項3のクランプ装置においては、弁部材が、弁ケースに、出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁孔(または、弁座)に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。」と訂正する。

(12)訂正事項12
本件特許明細書の段落【0020】に、

「請求項6のクランプ装置は、請求項1?5の発明において、前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とするものである。従って、切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。」とあるのを、

「請求項4のクランプ装置は、請求項1?3の発明において、前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とするものである。従って、切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。」と訂正する。

(13)訂正事項13
本件特許明細書の段落【0021】に、

「請求項7のクランプ装置は、請求項1?6の発明において、前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とするものである。」とあるのを、

「請求項5のクランプ装置は、請求項1?4の発明において、前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。

(14)訂正事項14
本件特許明細書の段落【0061】に、

「【発明の効果】
請求項1の発明によれば、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。従って、弁体部を有する弁部材を直接弁座に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
弁部材の内部に、前記隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁が設けられているため、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に排出するように構成できる。さらに、逆止弁を流量調整弁とは別に設ける場合に比べてクランプ装置をコンパクトにすることができる。」とあるのを、

「【発明の効果】
請求項1の発明によれば、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。従って、弁体部を有する弁部材を直接弁孔に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
弁部材の内部に、前記隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁が設けられているため、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に排出するように構成できる。さらに、逆止弁を流量調整弁とは別に設ける場合に比べてクランプ装置をコンパクトにすることができる。」と訂正する。

(15)訂正事項15
本件特許明細書の段落【0063】に、

「請求項3の発明によれば、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整することができ、請求項1と略同様の効果を有する。」とあるのを、

「請求項3の発明によれば、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁座との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整することができ、請求項1と略同様の効果を有する。」と訂正する。

(16)訂正事項16
本件特許明細書の段落【0065】に、

「請求項4の発明によれば、弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有するので、この操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。」とあるのを、

「請求項1及び請求項3の発明によれば、さらに、弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有するので、この操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。」と訂正する。

(17)訂正事項17
本件特許明細書の段落【0066】に、

「請求項5の発明によれば、クランプ本体に固定された弁ケースに、前記弁部材が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁座に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。
請求項6の発明によれば、防塵カバーにより切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。」とあるのを、

「請求項1及び請求項3の発明によれば、さらに、クランプ本体に固定された弁ケースに、前記弁部材が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁孔(または、弁座)に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。
請求項4の発明によれば、防塵カバーにより切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。」と訂正する。

(18)訂正事項18
本件特許明細書の段落【0067】に、

「請求項7の発明によれば、油圧を油路に供給してから、弁部材に螺着されたネジ部材を緩めることで、ネジ部材によりエア抜き孔を閉止する方向に押圧されていたエア抜き用弁体が、油路内の油圧によりエア抜き孔を開放するため、油路内のエアをエア抜き孔から排出できる。また、このようなエア抜き弁が流量調整弁と一体的に組み込まれているため、エア抜き弁を設けてもクランプ装置をコンパクトにすることが可能となる。」とあるのを、

「請求項5の発明によれば、油圧を油路に供給してから、弁部材に螺着されたネジ部材を緩めることで、ネジ部材によりエア抜き孔を閉止する方向に押圧されていたエア抜き用弁体が、油路内の油圧によりエア抜き孔を開放するため、油路内のエアをエア抜き孔から排出できる。また、このようなエア抜き弁が流量調整弁と一体的に組み込まれているため、エア抜き弁を設けてもクランプ装置をコンパクトにすることが可能となる。」と訂正する。

2-2.判断

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、
ア)「クランプ本体」が、「ベースに固定された」ものであること
イ)「クランプ本体」が、油圧給排用の油路と接続された「油圧給排用の油圧ポート」を有すること
ウ)「クランプ本体」が、「油路の途中部に形成され、クランプ本体の側面におけるベースよりも上方に位置する部分に開口し、出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴」を有すること
エ)「弁部材」が、「弁体部の基端に連なる軸部」を有すること
オ)「流量調整弁」が、「油圧シリンダの油室側の小径部と、クランプ本体の側面側の基部とを有し、小径部が装着穴に内嵌状に螺合される弁ケース」を備えること
カ)「流量調整弁」が、「弁部材の外周面と弁ケースの内周面との間をシールするために弁部材に設けられたシール部材とを備え」ること
キ)流量調整弁について、弁部材の「軸部」が、弁ケースの「基部に」、「出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され」ていること
ク)流量調整弁について、弁ケースの「基部」および弁部材の「軸部」が、「クランプ本体から外側に露出」すること
ケ)「弁部材」が、「この弁部材をクランプ本体に対して接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有」すること
コ)「油路」が、「油圧ポートと装着穴の内周面とを接続する第1油路と、油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含」むこと
サ)「バイパス流路」が、「装着穴が延びる方向に延びるように弁体部の内側に形成された第1部分と、第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有」すること
シ)「シール部材」が、「第2部分に対して弁部材の基端側に設けられ」ること
を限定して、構成を特定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、
ア)について、本件特許明細書の段落【0024】に、「クランプ本体2は、その下半部がベース10の収容穴に収容された状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。」と記載されていること
イ)について、本件特許明細書の段落【0025】に、「クランプ本体2の後端部には、図示外の油圧供給源から油路40,41に油圧を供給する油圧ポート21,23が設けられている。」と記載され、同段落【0028】に、「油室20は、クランプ本体2に形成された油路40及び油圧ポート21と接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート21、油路40を介して油室20に油圧が供給される」と記載されていること
ウ)について、本件特許明細書の段落【0031】に、「油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46」と記載され、同段落【0032】に、「装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され」と記載され、本件特許図面の図1及び図2から、装着穴48は、ベース10よりも上方に位置でクランプ本体2側面に開口していることが看取でき、本件特許明細書の段落【0031】に、「流量調整弁42は、クランプ本体2の装着穴48に螺着された筒状の弁ケース45と、油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46と、弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47とを備えている」と記載されていること
エ)について、本件特許明細書の段落【0033】に、「弁部材47は、先端部に形成された筒状の弁体部47aと、この弁体部47aの基端に連なり弁体部47aよりもやや大径の軸部47bとを有する。」と記載されていること
オ)について、本件特許明細書の段落【0031】に、「流量調整弁42は、クランプ本体2の装着穴48に螺着された筒状の弁ケース45と、…弁部材47とを備えている。」との記載があり、同段落【0032】に、「弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45b部との間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している」との記載があること
カ)について、本件特許図面の図6及び図7から、弁ケース45に螺合した弁部材47の外周にシール部材が嵌め込まれていることが看取できること
キ)について、本件特許明細書の段落【0031】に、「弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47」との記載があり、同段落【0032】に、「弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45b部との間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している」との記載があり、本件特許図面の図6及び図7から、弁ケース45の基部45bと弁部材47の軸部47bが螺合していることが看取できること
ク)について、本件特許明細書の段落【0038】に、「弁ケース45及び弁部材47の基端側部分はクランプ本体2から外側へ露出している」との記載があること
ケ)について、本件特許明細書の請求項4に、「前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有する」との記載があること
コ)について、本件特許明細書の段落【0031】に、「装着穴48の前端に連なる弁孔46」との記載があり、同段落【0032】に、「装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され、一方、弁孔46は、その穴径が装着穴48よりも小さく形成され、この弁孔46に油圧シリンダ5の油室20に連なる第2油路40bが接続されている」との記載があること
サ)について、本件特許明細書の段落【0035】に、「バイパス流路51は、弁体部47aの内側に前後に延びるように形成され、バイパス通路52は、バイパス通路51の基端から放射状に径方向外側へ延びるように形成されている」との記載があること
シ)について、本件特許図面の図1、図6及び図7から、弁部材47の外周面に形成された溝に設けられたシール部材が、バイパス通路52に対して弁部材47の基部側に設けられていることが看取できること
以上のことから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。また、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3に記載した発明を特定するために必要な事項について、
訂正事項1のア)?シ)と実質的に同様の限定をして、構成を特定するものであるから、訂正事項2に係る訂正も、訂正事項1と同様、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正前の請求項3に記載した発明は、本件特許明細書の段落【0052】において、「次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。」と記載した上で、段落【0053】に記載した「2]図10に示すように、油路40の途中部に形成された弁座70に対して、弁部材71を接近/離隔する方向に移動させて、弁体部71aと弁座70との間の隙間を調節することにより、油圧の流量を調整するように構成された流量調整弁42Aに本発明を適用することもできる。」と記載したものであるから、訂正事項2に係る訂正も、訂正事項1と同様に、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。また、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、上記のとおり「本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項4及び請求項5を削除する。」というものであるが、本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項4及び請求項5の削除に係る訂正は、「1.手続きの経緯」の(6)に記載したとおり、平成22年3月24日付けの審決の送達日である平成22年4月5日に既に形式的に確定している。

よって、訂正事項3については、訂正の許否判断の対象としない。

(4)訂正事項4及び5について
訂正事項4及び5は、請求項の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものといえる。

よって、訂正事項4及び5に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項6、8、10?13、16、18について
訂正事項6、8、10?13、16及び18の訂正は、特許請求の範囲を訂正したことに基づいて、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させる訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものといえる。

よって、訂正事項6、8、10?13、16及び18の訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(6)訂正事項7、9、14、15
訂正事項7、9、14及び15の「弁座」を「弁孔」にする訂正、並びに訂正事項9及び15の「弁孔」を「弁座」にする訂正は、各段落の記載と比較すると、誤記を訂正するものであって、誤記の訂正を目的としたものといえる。

よって、訂正事項7、9、14及び15に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(7)訂正事項17
訂正事項17の「請求項5の発明によれば、」を「請求項1及び請求項3の発明によれば、さらに、」とする訂正及び「請求項6」を「請求項4」にする訂正は、特許請求の範囲を訂正したことに伴い、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させる訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものといえる。
また、訂正事項17の「弁座」を「弁孔(または、弁座)」とする訂正は、引用する請求項の記載と比較すると、誤記を訂正するものであって、誤記の訂正を目的としたものといえる。

よって、訂正事項17に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

2-3.むすび

以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、また、特許法第134条の2第5項において準用する同法126条第3項及び第4項の規定に適合するものであるから、本件訂正を認める。

3.請求人の主張

請求人は、「特許第4217539号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」(請求の趣旨)との審決を求め、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第49号証を提出し、弁駁書において、無効とすべき理由を次のように主張している。

被請求人が提出した訂正請求書(平成23年3月22日付け)によって訂正された請求項1から5の発明(以下、本件訂正発明1から5ともいう。)は、周知技術の単なる寄せ集めに過ぎず、進歩性がない。

3.1 無効理由1

本件訂正発明1及び本件訂正発明3は、クランプ装置の周知技術としての甲第34号証と、流量調整弁の周知技術(甲第32号証[又は甲第65号証]、甲第64号証、甲第46号証、甲第47号証)及び弁ケースの周知技術(例えば、甲第3号証、甲第4号証、甲第42号証、甲第44号証、甲第58号証、甲第68号証)との組み合わせにすぎない。

3.2 無効理由2

本件訂正発明2は、上記無効理由1の甲各号証に加えて、「切欠状の溝部」に関する周知技術[甲第11号証?甲第17号証]とにより、進歩性がない。

3.3 無効理由3

本件訂正発明4は、上記無効理由1の甲各号証に加えて、「防塵カバー」に関する周知技術[甲第18号証?甲第22号証]とにより、進歩性がない。

3.4 無効理由4

本件訂正発明5は、上記無効理由1の甲各号証に加えて、「エア抜き弁」に関する周知技術[甲第24号証?甲第31号証]とにより、進歩性がない。

なお、請求人は、この理由を補足するために平成23年4月22日付けの弁駁書とともに甲第57?58号証、甲第64?65号証、甲第68?69号証を提出している。(なお、甲第50?56号証、甲第59?63号証、及び甲第66?67号証は、欠番である。)

[証拠方法]

甲第1号証:米国特許第5695177号明細書及び抄訳
甲第2号証:特開2000-145724号公報
甲第3号証:実公昭39-18634号公報
甲第4号証:米国特許第3202060号明細書及び抄訳
甲第5号証:特開2000-199503号公報
甲第6号証:実願昭51-134891(実開昭53-53288号)のマイクロフィルム
甲第7号証:米国特許第5148830号明細書及び抄訳
甲第8号証:米国特許第3605808号明細書及び抄訳
甲第9号証:米国特許第2924237号明細書及び抄訳
甲第10号証:実願昭56-123866(実開昭58-30087号)のマイクロフィルム
甲第11号証:特表2002-501155号公報
甲第12号証:特開平7-91562号公報
甲第13号証:特開平7-180773号公報
甲第14号証:実開昭62-183101号公報
甲第15号証:実願昭59-116035(実開昭61-33107号)のマイクロフィルム
甲第16号証:実開昭59-59578号公報
甲第17号証:実願昭53-94801(実開昭55-12164号)のマイクロフィルム
甲第18号証:特開平10-9717号公報
甲第19号証:特開2000-310460号公報
甲第20号証:特開平11-280905号公報
甲第21号証:特開平9-53749号公報
甲第22号証:実公平1-31823号公報
甲第23号証:実用新案登録第2505941号公報
甲第24号証:特開2003-34500号公報
甲第25号証:米国特許第4328827号明細書及び抄訳
甲第26号証:特開2002-276613号公報
甲第27号証:特開昭61-277582号公報
甲第28号証:実開昭55-177510号公報
甲第29号証:特開平9-79402号公報
甲第30号証:特開平11-132394号公報
甲第31号証:特開平8-312609号公報
甲第32号証:米国特許第3303746号明細書及び抄訳
甲第33号証:特開昭53-109228号公報
甲第34号証:特開2001-107914号公報
甲第35号証:特開平10-315083号公報
甲第36号証:特開平11-19836号公報
甲第37号証:特開2001-113428号公報
甲第38号証:特開2001-113432号公報
甲第39号証:特開2001-138156号公報
甲第40号証:実願昭63-142507号(実開平2-62101号)のマイクロフィルム
甲第41号証:特開2001-271809号公報
甲第42号証:特開平6-249214号公報
甲第43号証:米国特許第3727518号明細書及び抄訳
甲第44号証:米国特許第3122063号明細書及び抄訳
甲第45号証:実願昭50-177133号(実開昭52-88033号)のマイクロフィルム
甲第46号証:ドイツ特許出願公開第3433704号明細書及び抄訳
甲第47号証:ドイツ特許出願公開第1600799号明細書及び抄訳
甲第48号証:特表2002-538390号公報
甲第49号証:米国特許第2922432号明細書及び抄訳
甲第57号証:特開2001-198754号公報
甲第58号証:実願昭61-42224号(実開昭62-153406号)のマイクロフィルム
甲第64号証:特公平6-60693号公報
甲第65号証:実公昭47-7330号公報
甲第68号証:実願昭51-154197号(実開昭53-71198号)のマイクロフィルム
甲第69号証:特開平10-332015号公報

4.被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」(答弁の趣旨)との審決を求め、本件訂正の請求をするとともに、上申書において、次のように主張している。

(1)上記審決取消訴訟の判決(乙第1号証)においても判示されたように、甲34(審決の「甲第34号証」と同じ。以下、同様)発明においては、適宜、両配管ポートに配管を接続することを可能とすることにより、配管接続の自由度を増大させている。
平成23年3月22日付の訂正により、本件発明における「装着穴」の位置が特定された。この結果、甲34発明を出発点として本件発明を得るためには、「側面配管ポート15a,15b」に流量調整弁を設けることが前提となることは明らかである。
すなわち、甲34発明の「固定側部材100」よりも上方に位置する部分において、「側面配管ポート15a、15b」以外に、[ピストンロッド44」の長手方向と交差する方向に延びるように形成された穴をさらに設けることは困難である。設けるとしても、せいぜい、「ピストンロッド44」の長手方向に延びるように形成された穴である。したがって、甲34発明を出発点として本件発明を得ようとするには、「側面配管ポート15a,15b」に流量調整弁を設けるしかない。
しかし、第1次審決で判断されたとおり、甲34発明の「側面配管ポート15a,15b」に流量調整弁を設けると、配管の自由度が低下するため、これを当業者が容易に想到し得たということはできない。すなわち、甲34発明に甲32発明を組み合わせて本件発明を得ることには、阻害要因が存在する。(上申書第5頁第第2?18行)

(2)「弁ケース」を設けたことにより、
(2-1)平成23年3月22日付の訂正後の本件発明では、「弁部材」において、
i)弁体部
ii)バイパス流路の(径方向外側に延びる)第2部分
iii)シール部材
iv)(弁ケースに螺合する)軸部
が「装着穴」の軸方向に並ぶことになる。
したがって、これらを設けるために、「弁部材」が一定の軸長を有する。
本件発明においては、「流量調整弁」に「弁ケース」を設け、「弁ケース」と「弁部材」との螺合部分を「クランプ本体」の外側に露出させることで、「弁部材」の相対移動量を確保しながら、「装着穴」の深さを抑制することが可能となる。結果として、「クランプ本体」が小型化される。(上申書第5頁第20行?第6頁第2行)
(2-2)本件発明においては、「弁ケース」と「弁部材」との間に「シール部材」を配置することにより、「流量調整弁」を「クランプ本体」に取り付けることなく、シールのテストを行なうことができる。(上申書第6頁第3?5行)
(2-3)甲32(審決の「甲第32号証」と同じ。以下、同様)のように「シリンダヘッド4」に設けられた穴の内周面が運動摺動面となる場合、その運動摺動面を精密に加工する必要があり、「シリンダヘッド4」の加工工程が煩雑である。これに対し、本件発明においては、「クランプ本体」に運動摺動面を設ける必要がないため、「クランプ本体」の加工が容易である。(上申書第8頁第6?9行)

(3)本件発明においては、「クランプ本体の小型化」、「単体でのシールテスト」、および「クランプ本体の加工を容易にする」という課題を解決するために「弁ケース」という構成が設けられているのに対し、甲34及び甲32はもとより、請求人が提出するどの証拠にも、上記の課題及び当該課題に対する解決手段としての「弁ケース」は全く示されていない。(上申書第8頁第10?14行)

(4)請求人は、「弁ケース」に対応し得る周知技術として、甲3?甲6を主張する。
しかし、甲3?甲6(審決の「甲第3?6号証」と同じ。以下、同様)には、「クランプ本体の小型化」、「単体でのシールテスト」および「クランプ本体の加工を容易にする」という課題ないし動機付けは、全く示されていない。そもそも、甲3?甲6発明は、いずれも「バイパス流路」を備えるものではなく、弁体部、バイパス流路の第2部分、シール部材、弁ケースに螺合する軸部の4つの要素が装着穴の軸方向に並ぶことがおこり得ない構造であり、上記4つの要素が並ぶことができる「弁部材」の長さを確保するという課題ないし動機づけが存在しないものである。したがって、甲3?甲6の記載を参照しても、甲32発明に「弁ケース」を設けることを容易に想到し得ない。(上申書第8頁第20?28行)

5.本件発明

上記「2.訂正の可否に対する判断」で示したとおり、本件訂正は認めらるので、本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、平成23年3月22日付け訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

(1)本件発明1
「【請求項1】 ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁孔と、
この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、 前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。」

(2)本件発明2

「【請求項2】 前記弁体部に、油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって、先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。」

(3)本件発明3

「【請求項3】 ベースに固定されるクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁座と、
この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。」

(4)本件発明4

「【請求項4】 前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とする請求項1?3の何れかに記載のクランプ装置。」

(5)本件発明5

「【請求項5】 前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1?4の何れかに記載のクランプ装置。」

6.証拠方法

6-1.甲第34号証(特開2001-107914号公報)

甲第34号証には、「クランプシリンダ」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。

あ)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロッドカバーの背面に、機械ベースなどへの取付け面が形成されているクランプシリンダに関する。」

い)「【0007】
【発明の実施の形態】…(一部省略)…。図3に示すように、ロッドカバー7は、外形がシリンダチューブ1の外形よりさらにチューブ半径方向の外側に広がった略矩形を成し、その背面9から前記シリンダ孔5に嵌入される短い嵌入軸部10が突出している。背面9において、前記シリンダチューブ1の端面と対向する部分がシール面11となっている。背面9のシール面11のチューブ半径方向外側部分は、機械ベースなど固定側部材100への取付け面12となっている。シール面11と取付け面12とは同一平面を形成している。
【0008】ロッドカバー7には、その側面7aに一対の側面配管ポート15a,15bが設けてある。一方の側面配管ポート15aは、嵌入軸部10の後端面(図では下端面)に開口して前側シリンダ室P1に連通する第1連通路16aに連通している。他方の側面配管ポート15bは、シール面11に開口して前記シリンダチューブ1の一方の流体通過孔4bに連通する第2連通路16bに連通している。また、取付け面12には、各側面配管ポート15a,15bに連通する端面配管ポート17a,17bが開口している。ロッドカバー7の背面9には、さらに前記シリンダチューブ1のボルト貫通孔3と対向して所定深さの有底のめねじ孔18が形成されている。ロッドカバー7の前面(ピストンロッド44突出側)は、摺動孔8から外方へ向けて傾斜面19が形成されている。傾斜面19には、機械ベースなどの固定側部材への取付けボルト用のボルト孔20が設けてある。
【0009】図5に示すようにシリンダチューブ1の後端(図では下端)を塞ぐ一方のカバー部材としてのヘッドカバー21は、前記センサ取付け溝2と対応してセンサ105を軸線方向から出し入れするためのセンサ挿通溝22とボルト貫通孔3に対応するボルト孔23が断面として形成されているアルミの引き抜き型材から構成され、その型材を必要厚さ(必要軸線方向長さ)に切断し、その切断部材を加工して、シリンダ孔5に嵌まり込む短い嵌入軸部24と、ピストンロッド44の後端部が入りこむ段付孔25と、後側シリンダ室P2と一方の流体通過孔4bとを連通させる連絡溝26と、ボルト孔23の入り口の座ぐり孔27が形成されている。ヘッドカバー21の背面(シリンダチューブ1に対向する面)はすべてシール面28になっており、前記連絡溝26は嵌入軸部24からシール面28にかけて設けてある。ボルト孔23は、その円周の一部が切りかかれた形状となっていてもよい。なお、本実施形態において、他方の流体通過孔4aは使用していない。
【0010】ロッドカバー7の背面9とシリンダチューブ1の前端面(上端面)の間、及び、ヘッドカバー21とシリンダチューブ1の後端面(下端面)との間には、シール材として薄い板状のガスケット30,31が夫々介在される。ガスケット30,31は、弾性を有するゴム材料等から成るシール板の間に薄い金属板(アルミ、あるいは鋼板)を挟んで成る。ヘッドカバー21とシリンダチューブ1との間のガスケット31(図7)は、前記センサ挿通溝22、ボルト孔23、及び連絡溝26に対応する部分22E、23E,26Eが切りかかれており、嵌入軸部24の外側に嵌め込まれる。一方、ロッドカバー21とシリンダチューブ1との間のガスケット30(図6)は、めねじ孔18、第2連通孔16b、端面配管ポート17a,17b、及びボルト孔20に対応する部分18E、16bE、17aE,17bE,20Eが切り欠かれており、嵌入軸部10の外側に嵌め込まれて、シール面11のみならず、その外側の取付け面12全体に広がる大きさになっている。ロッドカバー7、シリンダチューブ1、ヘッドカバー21は、これらのガスケット30,31を挟んでヘッドカバー21のボルト孔23から4本の締結ボルト32を通し、締結ボルト32は、シリンダチューブ1のボルト貫通孔3を通って、先端のおねじ部がロッドカバー7のめねじ孔18にねじ込まれて一体に共締めされてシリンダ本体が構成され、ロッドカバー7、ヘッドカバー21とシリンダチューブ1前後端面間は、ガスケット30,31でシールされる。
【0011】シリンダ孔5には中空のピストン40が軸方向移動自在に嵌装されている。ピストン40外周には軸方向案内溝41が形成され、この案内溝41はシリンダチューブ1に取付けた半径方向のガイドピン42と係合してピストン40を回り止めして直線移動のみさせるようにしてある。ピストン40の中心孔43にピストンロッド44が回転かつ軸方向に移動するように嵌め込まれ、ピストンロッド44はロッドカバー7の摺動孔8を貫通して前方へ突出し、突出部にはクランプアーム45が一体に設けてある。ピストンロッド44には、ピストンロッド44に対するピストン40の前進端を決めるフランジ46が一体に設けてある。ピストンロッド44の後部は細い段付軸47に形成され、段付軸47には、ピストンロッド44に対するピストン40の軸方向後退端を決めるリング状の規制部材48が嵌め込まれ、直径方向の取付ピン49で一体に取付けてある。段付軸47は規制部材48より後方に突出している。
【0012】ピストンロッド44の外周には、断面が半円弧の旋回用案内溝(案内カム溝)51が形成されている。ピストン40には半径方向のガイド部材収容孔52が設けてあり、その収容孔52には、りん青銅から成り、前記旋回用案内溝51に係合する鋼球53を回転自在に支持する球受部材54が、球受部材54とシリンダ孔5との間にウエアリング55を介在して埋設してある。旋回用案内溝51は、後述の2面幅部56が長孔58から軸方向に抜け出た状態で、ピストン40がピストンロッド44に対して後退端から前進端へ移動すると、鋼球53との係合でクランプアーム45(ピストンロッド44)がクランプ角度位置Aからアンクランプ角度位置Bに旋回し、前進端から後退端へ移動するとアンクランプ角度位置Bからクランプ角度位置Aに旋回するように形成されている。」

う)「【0015】…(略)…また、ガスケット30が取付け面12に設けてある端面配管ポート17a,17bと固定側部材100との間をシールするため、従来のようにシールのために小さなOリングが不要である。なお、端面配管ポート17a,17bに配管部材を接続するときには、側面配管ポート15a,15bは埋栓で塞ぐが、この時には、前記ガスケット30が端面配管ポート17a,17bと配管部材との間のシールを兼用する。また、側面配管ポート15a,15bに配管する場合において、端面配管ポート17a,17bが固定側部材100と対向しない場合や、固定側部材の表面が粗い場合などのように、前記ガスケット30で端面配管ポート17a,17bがシール不可能な取付け状態であるとき等には、端面配管ポート17a,17bは埋栓で塞がれる。」

え)「【0016】次に動作を説明する。端面配管ポート17a,17bは固定側部材100で塞がれ、側面配管ポート15a,15bから圧流体を給排するものとする。2面幅部56が係合ブッシュ57から抜け出た状態でアンクランプ角度位置Bとなっている状態(図8)から、ポート15a、第1連通路16aを介して前側シリンダ室P1に流体を供給すると、ピストン40がピストンロッド44に対して前進端から後退する。この時、2面幅部56と長孔58との円周方向の位相がずれていて(図4の二点鎖線B1)、ピストンロッド44は係止端面60と係合ブッシュ57の規制端面59とが当接して後退を阻止され、鋼球53と旋回用案内溝51との係合でクランプアーム45はアンクランプ角度位置Bからクランプ角度位置Aへ水平に旋回する。鋼球53がりん青銅の球受部材52で転動案内されているので、旋回用案内溝51内を転動するとき、転動抵抗が極めて小さく、ピストン40を移動させる流体の作動圧力を小さくできる。クランプ角度位置Aとなるとピストン40が規制部材48に当接し、2面幅部56と長孔58の両側面との位相が一致する。この状態でさらに流体作用でピストン40が後退すると、ピストンロッド44は2面幅部56が係合ブッシュ57の長孔58の対向面により旋回を阻止された状態でピストン40が規制部材48を引っ掛けることで一体に後退し、軸線方向下方に引き込まれてワークWをクランプする(図1の状態)。
【0017】2面幅部56が係合ブッシュ57の長孔58に入りこんで、クランプ角度位置Aでワークをクランプしている状態からポート15b、第2連通路16b、流体通過孔4b、連絡溝26を介して後側シリンダ室P2に圧流体を供給すると、2面幅部56と係合ブッシュ57の長孔58との係合でピストンロッド44が回転阻止されたまま、ピストン40と共に一体に軸線方向に前進(上昇)し、クランプ角度位置Aのまま、ワークWからクランプアーム45が直進して離れる。2面幅部56が係合ブッシュ57の長孔58から軸線方向に抜けるタイミングでフランジ46がロッドカバー7に当接してピストンロッド44は前進を規制され、その状態でピストン40が前進して前記旋回用案内溝51と鋼球53との係合でクランプアーム45がクランプ角度位置Aからアンクランプ角度位置Bへ水平に旋回する。」

以上の記載事項及び図面の記載からみて、甲第34号証には、次の発明(以下、「甲第34号証発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲第34号証発明]
「固定側部材100に固定されたシリンダチューブ1及びロッドカバー7と、このシリンダチューブ1及びロッドカバー7に摺動可能に貫通されたピストンロッド44とを有するクランプシリンダにおいて、
前記ロッドカバー7には、圧流体を給排するために、側面7aに側面配管ポート15a、15b、取付け面12に端面配管ポート17a,17bが設けられ、一方の側面配管ポート15aは、前側シリンダ室P1に連通する第1連通路16aに連通し、他方の側面配管ポート15bは、流体通過孔4b及び連絡溝26を介して後側シリンダ室P2に連通する第2連通路16bに連通しており、端面配管ポート17a,17bは各側面配管ポート15a,15bに連通しているクランプシリンダ。」

6-2.甲第65号証(実公昭47-7330号公報)

米国特許公報である甲第32号証(米国特許第3303746号明細書)に対応する我が国の実用新案公報である甲第65号証には、「流体作動ピストンとシリンダのクッション装置」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。なお、促音及び拗音の表記は適宜小書きとした。

か)「この考案はピストン行程の一端又は他端に於てピストンにクッション作用を与えるため逆止弁と絞り弁を有するクッション装置付き流体圧シリンダに関するもので、特に逆止弁と絞り弁が一体化されたクッション装置に関する。」(第1頁第1欄第24?28行)

き)「第1図および第2図、特に第2図を参照すると一体化された逆止弁および絞り弁6は一つの孔の中に収容されている。その孔の外方開口部22はネジが切られており、中間部23はその上端部24が内側へ向うテーパ状になっており、上部孔25は全長にわたってテーパ状で弁座を形成しその上端はシリンダヘッド4内の室10と連通する。側方に設けられた通路26は孔の中間部23とシリンダ体2およびシリンダヘッド4の右端に於てピストン3の左側とを連通する。
一体化された逆止弁および絞り弁6は孔22,23および25に於て選択的に軸方向に動き得るように組込まれており、一対の中空円筒状部材27および28が互にはまり合った形でその内部に逆止弁室29を有する一つの絞り弁となっている下部部材27は外径にネジを有し孔22内で軸方向に移動でき、その上部は外径が小さくなって孔23に滑合し、Oリング30で周縁をシールされている。上部部材28は、フランジ31が下部部材27にあたるまで部材27にはまりこんでおりその外径は孔23の直径よりも相当小さく、その間に後述するように流体の通路となる空所がある部材28の最上端部32は外周が孔25のテーパーに相当する角度のテーパー状になっており、部材27が孔22内に一ぱいにネジ込まれた時、孔25のテーパー状弁座に着座する絞り弁となっている。孔33は部材28の軸心にあり、弁室29とピストン棒8の周囲の室10との間を孔25を通って連絡している。孔33は室29の直径よりも小さくその両者のつなぎ目の部分で弁座を形成している。球弁34はその直径が孔33よりも大きく室29よりも小さいので、弁室29におかれてばね35により上に押しつけられ、孔33を密封している。ばね35は球弁34と部材27の間に置かれている。一個又は数個の通路36が部材28の側面に設けられ弁室29と孔23との間を連絡し、室10が圧力供給源に連通した時、圧力流体は室10から孔33、球弁34、通路36から通路26を通りピストン面に供給される。シリンダヘッド5にある一体化された逆止弁および絞り弁6は上述のものと全く同じもので上述と同様の方法でシリンダヘッド5に組込まれる。」(第2頁第3欄第40行?同頁第4欄第36行)

く)「この装置を操作するには逆止弁および絞り弁ユニット6を孔22の中で部材27の端面にある切込み37によりねじ調整する。即ちこの切込み37に適合する工具を用いて弁32を弁座25に対して開閉することができる。この弁32が適当な量だけ開いた位置に於て、ピストン3が左方へ運動するとクッションリング13が行程終端近くで孔10にはまりこみ、シリンダ室から孔7を通る流体の排出通路を閉じる。しかしながら流体は尚シリンダ室から通路26、部材28の周囲、開いている弁32、および孔25を通り室10へ流れこの時排出通路となっている給排通路12から排出される。かくしてピストン3のクッション作用は絞り弁32の設定開度に応じて所望の程度になし得る。ピストン3が戻り行程を行うため給排通路12が供給通路として作用する時は圧力流体は室10、孔25、孔33に入り球弁34を押し上げ、通路36および26を通ってピストン3に作用し右方へのピストン運動を開始させる。」(第2頁第4欄第37行?第3頁第5欄第10行)

6-3.甲第1号証(米国特許第5695177号明細書)なお、翻訳は請求人による仮訳である。

甲第1号証には、下記の事項が図面とともに記載されている。
さ)「The flow control means 26 illustrated in FIG. 3 is formed directly in the cylinder body 18 and is provided for selectively varying the rate of hydraulic fluid flow supplied to or discharged from the cylinder body for selectively controlling the speed at which the piston 20 is moved between its clamping and releasing positions.」(図3における流量制御手段26は、シリンダ本体18内に直接形成されて、クランピング位置とリリース位置とにピストン20が移動されるときの速度を選択的に制御できるように、上記シリンダ本体に給排される油の流量を選択的に変化させるために設けられる。)(第4欄第48?53行)

し)「The knob 58 can be manually rotated without the use of tools either clockwise or counter clockwise to shift the needle valve 56 to an infinite number of positions between an unblocking position and a blocking position. When the needle valve 56 is shifted to its unblocking position, it is completely removed from the first or second hydraulic port for permitting a relatively larger rate of hydraulic fluid flow to be supplied to or discharged from the cylinder body 18. Conversely, when the needle valve 56 is shifted toward its blocking position, it extends through the tapered portion 55 of the valve port 52 and at least partially into the first 24 or second hydraulic port for permitting a relatively lower rate of hydraulic fluid flow to be supplied to or discharged from the cylinder body 18.」(ノブ58は、時計回り又は反時計回りに工具を使用せずに手動で回動でき、ニードル弁56を非閉鎖位置と閉鎖位置との間で無段階に移動させることができる。上記のニードル弁56を非閉鎖位置に移動させたときには、そのニードル弁56が第1油圧ポート又は第2油圧ポートから完全に取り外されて上記シリンダ本体に給排される油の流量が比較的に大流量になる。これとは逆に、上記のニードル弁56を閉鎖位置に移動させたときには、そのニードル弁56の少なくとも一部分が弁孔52のテーパ部分55を通って第1油圧ポート24又は第2油圧ポートに突入され、上記シリンダ本体18に給排される油の流量が比較的小流量になる。)(第5欄第11?24行)

6-4.甲第2号証(特開2000-145724号公報)

甲第2号証には、「シリンダ装置」に関して、次の技術事項が記載されている。

た)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ワーク品を固定する治具等の装置に取り付けられて使用されるシリンダ装置に関する。」

ち)「【0037】前提として、本実施の形態のシリンダ装置1の流体の流量の制御の仕方は、図8に示すように、上記安全プレート30に矢印で図示されているために、作業者は、上記表示に従って操作する。まず、一般に、研削盤のテーブル送りやフライス盤用オイルモータなどでは、メータイン側の制御を行う。このような装置の場合には、図1に示すように、安全プレート30の工具用の穴30aからドライバ等の専用の工具で調整スロットル25のネジ頭25aを回すと、調整スロットル25の開閉部材21,31に対する押圧状態を調節することにより、図示しないポンプから吐出された流体(油)の流量を調節することができる。すなわち、上記調整スロットル25により吸入側の鋼球24が押圧されると、上記フランジ11の吸入側の流路13(第2の流路13b)が開けられるために、上記シリンダ本体3の流路3aに対する流量が多くなり上記ピストンロッド2を早く押し出すこととなる。」

つ)「【0041】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のシリンダ装置は、上記フランジに開閉部材と調整スロットルが内蔵されているので、従来の外付けの流量制御弁のように、この流量制御弁を接続するための作業が一切不要で、治具等の装置のスペースを広くとることが可能となり、ワーク品の大きさが制限されるようなことがなくなる。したがって、従来の外付けの流量制御弁の接続作業の際に生じる油の漏れ等の危険を防止することが可能となる。」

7.無効理由に対する当審の判断

7-1.本件発明1について

(1)対比
本件発明1と甲第34号証発明とを対比すると、後者の「固定側部材100」は前者の「ベース」に相当し、以下、同様に、「シリンダチューブ1及びロッドカバー7」は「クランプ本体」に、「摺動可能に貫通された」は「進退可能に装着された」に、「ピストンロッド44」は「出力ロッド」に、「クランプシリンダ」は「クランプ装置」に、それぞれ相当する。
また、甲第34号証発明は、流体をシリンダ室P1,P2に給排することにより、ピストンロッド44を前進端から後進端へ移動させていること(上記記載事項エ参照)から、流体圧シリンダを有しているといえ、これは流体圧シリンダである限りにおいて、本件発明1の「出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダ」に相当する。そうすると、甲第34号証発明の「圧流体を給排するため」は、流体圧給排用である限りにおいて本件発明1の「油圧給排用」に相当し、以下同様に、前者の「側面配管ポート15a、15b」及び「端面配管ポート17a,17b」は、流体圧ポートである限りにおいて、後者の「油圧ポート」に相当し、前者の「第1連通路16a」及び「第2連通路16b」は、流路である限りにおいて後者の「油路」に相当する。

したがって、本件発明1の用語を使用して記載すると、両者は、
「ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する流体圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
流体圧給排用の流体圧ポートと、
前記流体圧ポートおよび前記流体圧シリンダに接続された流体圧給排用の流路とを有するクランプ装置。」である点で、一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本件発明1は、「油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁」を有し、その流量調整弁は「前記油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられ」ているのに対し、甲第34号証発明は、そのような流量調整弁を有していない点。

[相違点2]
本件発明1のクランプ本体は、「前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴」を有し、油路は、装着穴により、「前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路と」に分かれているのに対して、甲第34号証発明は、ロッドカバー7の側面7aに形成された側面配管ポート15a、15b及び該側面配管ポート15a、15bから延びる第1連通路16a、第2連通路16bを備えるものの、流量調整弁を有しておらず、したがって、上記構成を備えていない点。

[相違点3]
本件発明1は、作動流体が「油」であり、流体圧シリンダが「油圧シリンダ」であり、流体圧ポートが「油圧ポート」であるのに対し、甲第34号証発明は、作動流体が不明である点。

(2)判断
(2-1)相違点1について
まず、甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を内蔵するという動機付けの存否について検討する。
甲第1号証には、甲第34号証発明と同一の技術分野であるクランプシリンダにおいて、複数の油圧クランプの作動速度を選択的かつ個別に制御するために、シリンダ本体18内に流量制御手段26を形成することが記載されている(上記記載事項さ参照)。
甲第2号証には、甲第34号証発明と同一の技術分野であるクランプシリンダにおいて、シリンダ装置に開閉部材と調整スロットル(流量制御弁に相当)を内蔵することが記載されており、調整スロットルにより流量を調整することで、ピストンロッド2を早く押し出すことが可能となっている(上記記載事項ち、つ参照)。
よって、甲第1号証及び甲第2号証の上記記載事項を参酌すると、ピストンロッドの作動速度を制御するために、クランプシリンダのシリンダ本体内に流量制御弁を設けることは、従来周知の技術であるといえる。
そうすると、甲第34号証発明のクランプシリンダにおいても、ピストンロッド44の作動速度を調整することが好適であることは、容易に理解できることであるから、甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を内蔵するという動機付けは、十分存在するといえる。

次に、甲第34号証発明のクランプシリンダに甲第65号証の流量調整弁を適用することの容易想到性について検討する。
甲第1号証及び甲第2号証に関する上記記載事項さ?つを参酌すると、クランプシリンダに一般的に用いられる流量調整弁は、クランプを駆動するための油圧を給排する油路に設けられ、クランプに固定されるピストンロッドの作動領域において、ピストンロッドの作動速度を調整するものであることが理解できる。

一方、甲第65号証の流量調整弁は、逆止弁と絞り弁とが一体化された逆止弁および絞り弁ユニット6を設け、ピストン棒8の作動途中で通路を切り換えてクッション作用を奏する流体圧シリンダに関するものであり、具体的には、ピストン3の移動によるピストン棒8の行程の終端附近では、ピストン棒8のクッションリング13が室10内に侵入することにより、そこに存在する通路が閉じられ、シリンダ室から流体が排出されるのが阻止されるとともに、この閉じられた通路とは別の通路26を経由して流体が流れ、通路26から室10への間に設けられたユニット6が、その内部を流れる流体の流量を調整するものと認められる。逆止弁および絞り弁ユニット6は、より具体的には、上記の通路26から室10へ流体が流れる場合には、逆止弁であるボール弁が閉じた状態で絞り弁により流量を調整し、シリンダ室内から排出される流体に絞り抵抗を付与してピストン3及びピストン棒8の作動速度が遅くなるように制御する一方、ピストン棒8の戻り行程では、逆止弁が開いて室10からの自由流れを許容するものである。また、行程の終端附近以外のピストン棒8の作動領域では、ピストン棒8のクッションリング13が室10内に侵入しないことにより、そこに存在する通路が開かれ、この通路を主体としてユニット6をほとんど経由せずに流体が流れる。

したがって、甲第65号証の解決課題とされるピストン3のクッション作用は、ピストン棒8に設けられたクッションリング13の動作によって、行程の終端附近で流体が流れる通路が通路26に切り換えられ、その後、通路26を流れる流体の流量を、逆止弁と絞り弁とが一体化された逆止弁および絞り弁ユニット6が調整することによって達成されるものと認められる。そして、逆止弁および絞り弁ユニット6は、ピストン棒8の作動の全領域に亘って作動するものでないが、流体の流路が通路26に切り換えられた後に、クッションリング13の動作とは関係なく、一方向においては逆止弁が閉じた状態で絞り弁により流量を調整する一方、他方向においては逆止弁が開いて自由流れを許容するという、一般的な絞り弁としての機能を果たしているものであり、その限りにおいて、甲第1号証及び甲第2号証に開示された周知の流量調整弁と機能的に何ら相違しないものと解される。

そうすると、甲第65号証の流量調整弁に接した当業者は、逆止弁および絞り弁ユニット6が、ピストン棒8の作動の全領域に亘って作動するものでないとしても、一方向においては逆止弁が閉じた状態で絞り弁にて流量を調整する一方、他方向においては逆止弁が開いて自由流れを許容するという、周知の流量調整弁の一形態である絞り弁として技術的に把握できるものといわなければならない。

そして、甲第65号証には、流路を流れる流体の流量を調整可能な流量調整弁として、シリンダと連通する通路26と給排通路12の間に、弁座を構成する上部孔25を有する孔を設け、この上部孔25に挿入される最上端部32を有する上部部材28と、上部部材28がはまり込んで内部に逆止弁室29を形成する下部部材27とを有し、この上部部材28を上部孔25に接近/離隔する方向に移動させ、最上端部32と上部孔25との間の隙間を調節する操作部(切込み37)を備えた逆止弁および絞り弁ユニット6を、前記孔に装着したものであって、前記逆止弁および絞り弁ユニット6は、前記最上端部32と前記上部孔25との間の隙間をバイパスする、前記逆止弁室29から前記孔が延びる方向に延びるように前記逆止弁および絞り弁ユニット6の内側に形成された孔33と、前記逆止弁室29から上部部材28の側面に設けられた通路36と、この逆止弁室29から孔33への流れを閉止する球弁34と、前記逆止弁および絞り弁ユニット6の外周面と周囲との間をシールするために、前記通路36に対して前記逆止弁および絞り弁ユニット6の根元側にOリング30を備えたもの、つまり、本件発明1の用語を使用して記載すると、
油路を流れる油の流量を調整可能な流量調整弁として、油圧シリンダに連なる第2油路と油圧ポートと接続する第1油路の間に、弁孔を有する装着穴を設け、この弁孔に挿入される弁体部を有する、つまり、弁体部の基端に連なる軸部も有する上部部材28と、上部部材28がはまり込んで内部に逆止弁室29を形成する下部部材27とを有し、この弁体部を弁孔に接近/離隔する方向に移動させ、弁体部と弁孔との間の隙間を調節する操作部(切込み37)を備えた弁部材を、前記装着穴に装着したものであって、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスする、前記逆止弁室29から前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁部材の内側に形成された第1部分と、前記逆止弁室29から放射状に径方向外側に延びるように設けられた第2部分と、この逆止弁室29から第1部分への流れを閉止する逆止弁と、前記弁部材の外周面と周囲との間をシールするために、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側にシール部材を備えたものが記載されている。
また、流量調整弁の取付け構造において、装着穴に螺合する小径部と該小径部より径が大きく、装着穴から外部に突出する部位を有する弁ケースに、弁ケース内周面との間をシールするために弁部材の外周面にシール部材を装着した弁部材を、弁部材の操作部が弁ケースから突出するように螺着する技術は、甲第58号証(実願昭61-42224号(実開昭62-153406号)のマイクロフィルム)のアダプタ9,20とニードル弁14,23の取付け構造、及び甲第42号証(特開平6-249214号公報)のニードルホルダ25とニードル26の取付け構造として記載されているように周知の技術である。
したがって、甲第34号証発明のクランプシリンダにおいて、ピストンロッドの作動速度を調整する観点から、流量調整弁を内蔵するという動機付けが存するから、甲第34号証発明のクランプシリンダに、甲第65号証に開示された流量調整弁を装着することは、当業者が容易に想到できるものであり、その際、前記周知の弁ケースを使用して装着する技術を利用することも、当業者が適宜なし得たものである。

よって、甲第34号証発明に、甲第65号証に記載された流量調整弁を装着する際、上記周知の弁ケースを使用して装着することにより、上記相違点1に係る本願発明1のように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。

この点について、被請求人は、上記4.(2)に摘記したように主張しているが、上記のとおり、前記甲第58号証及び甲第42号証に示されるように、流量調整弁の取付け構造として、弁ケースを介在させる技術は従来周知の技術であり、その効果も予測しうるものであるから、被請求人の主張は採用できない。

(2-2)相違点2について
甲第34号証発明のクランプシリンダに、甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際、流量調整弁の装着穴を、クランプシリンダに対してどのように配置するかは、装着穴の加工性、流量調整弁の操作性等考慮して、当業者が適宜設計しえたものである。
甲第65号証には、逆止弁および絞り弁ユニット6を装着する孔を、シリンダヘッドの側面に開口し、ピストン棒8の長手方向と交差する方向に延びるように形成することが図面に記載ないし示唆されている。また、甲第34号証の第1連通路16a及び第2連通路16bは、ロッドカバー7の側面7aに開口する側面配管ポート15a,15b、及び取付け面12に開口する端面配管ポート17a,17bと連通するようにT字状となっており(上記記載事項いの段落【0008】及び図1参照)、構造上配管ポートには、配管のみならず、弁などの他の部材を装着しうること(甲第2号証の図9参照)、及び甲第65号証の逆止弁および絞り弁ユニット6を設ける、上部孔25を有する孔と、通路26とがT字状となっていること(上記記載事項き、く及び図2参照)から、当業者であれば、甲第34号証発明のクランプシリンダに、甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際、甲第34号証に記載された側面配管ポート15a,15bに、甲第65号証の逆止弁および絞りユニット6を装着するするように、流量調整弁を設けることも容易に想到しうるものであり、装着穴をクランプ本体の側面におけるベースよりも上方に位置する部分に開口し、出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成することに格別の困難性はない。
なお、相違点2の油路が、装着穴により、「前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路と」に分かれている点は、結局、装着穴が「前記油路の途中部に形成され」たものであることを油路側の観点で記載しただけであると認められ、上記「(2-1)相違点1について」で記載したとおり、甲第65号証に記載された流量調整弁の構成として特定されている事項にすぎない。

この点について、被請求人は、4.(1)に摘記したように、平成23年3月22日付の訂正により、本件発明における「装着穴」の位置が特定され、この特定により、「側面配管ポート15a,15b」に流量調整弁を設けるしかなく、甲第34号証発明に甲第32号証発明(審決注:「甲第65号証発明」と内容として同じ。)を組み合わせて本件発明を得ることには、阻害要因が存在する旨、主張している。
しかし、本件発明1の装着穴は、「油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された」と規定されているだけであり、甲第34号証発明のクランプシリンダに、甲第65号証に開示された流量調整弁(ユニット6)を適用しようとする場合も、その位置が側面配管ポート15a、15bに限定されるものではなく、例えば、弁部材が出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着できるのであれば、油圧シリンダの油室から両配管ポートの分岐箇所までの適宜の位置に流量調整弁を設けること(例えば、甲第34号証発明の側面配管ポート15a,15bの流路に対して、他の側面位置から装着穴を設けたり、或いは、甲第34号証では、流体圧給排用の流路について側面配管ポートを側面に設ける以上には特定されていないから、甲第34号証に記載の側面配管ポート15a,15bを装着穴とし、他の側面位置に側面配管ポートを設けて、装着穴と連通させること)も検討可能であるから、甲第34号証発明が配管接続の自由度を増大させていることは、当業者による前記適用を阻害する理由となるものではない。

(2-3)相違点3について
流体圧シリンダとして作動流体を油とし、油圧シリンダ及び油圧ポートとすることは、周知・慣用の事項であり、クランプ装置においても、油圧シリンダを使用することは通常行われていることであるから、甲第34号証発明の作動流体を油とし、流体圧シリンダを油圧シリンダとし、流体圧ポートを油圧ポートとすることに、格別の困難性はない

(2-4)効果について
本件発明1が、甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術から当業者が予測できないような格別顕著な作用・効果を奏するとはいえない。

(3)小括
したがって、本件発明1は、甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7-2.本件発明2について

(1)対比
本件発明2と甲第34号証発明を対比すると、上記一致点で一致し、上記相違点1?3に加えてさらに以下の点で相違している。

[相違点4]
本件発明2は、前記弁体部に、油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって、先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたのに対し、甲第34号証発明は、その点が明らかではない点。

(2)判断
上記相違点1?3については上記7-1.において検討したので、以下に上記相違点4について検討する。

流量調整弁において、弁体部に、流量を微調整する為の切欠状の溝部であって、先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたものは、甲第11号証の段落【0029】の「図7,8は、弁部材8の部分8bが、この場合、その外周面の直径的に反対側の位置に形成される二つの縦方向凹所または溝23を有する中実の円筒形要素によって構成される、別の実施例を示す。この場合、各縦方向溝23はそれぞれ、円筒形部分8bの頂端から底端まで、ゼロ値から予定の値まで直線的に増加する深さの、弁部材8の部分8bの全長に亘ってV字形断面を有する(図7)。」との記載及び図7?8、甲第12号証の段落【0001】の「弁の調整円錐体にして、調整円錐体の周囲面に、調整円錐体の長手軸に沿って断面積が増加するほぼV字形の溝が設けられている調整円錐体に関する。」との記載及び図1?2、甲第13号証の段落【0018】?【0020】の「12は制御弁であって、前記閉止弁10の下端部に螺合接着されており、前記開口部5の軸線とその軸線を一致させて、開口部5に摺動自在に気密に嵌合支持されるとともに、周面には先端に向かって断面積が比例的に増加する流量調節用の断面円弧状の溝12aが形成されている。」との記載及び図3、並びに甲第17号証の「合成樹脂製のコマ本体1の軸2の末端に水栓類Aの弁口4の内径よりやや小さい外径を有する制御弁脚5を作り付けに形成し、該制御弁脚5の基部周面に環状の凹凸部7を設け、その制御弁脚5の周面に軸方向に平行し、かつ内下方に傾斜する斜溝8を備えた水栓類に於ける節水コマ。」(明細書第1頁第5?10行)との記載及び第2図などから明らかなように周知の技術である。
よって、相違点4に係る本件発明2の構成は、甲第34号証発明に、甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって、上記周知の技術を適用することによって、当業者が容易になし得たものである。

(3)小括
したがって、本件発明2は、甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7-3.本件発明3について

(1)対比
本件発明3と甲第34号証発明を対比すると、上記一致点で一致し、上記相違点1に代えて下記相違点1’、並びに上記相違点2及び3で相違している。

[相違点1’]
本件発明3は、「油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁」を有し、その流量調整弁は「前記油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられ」ているのに対し、甲第34号証発明は、そのような流量調整弁を有していない点。

(2)判断
上記相違点2及び3については上記7-1.において検討したので、相違点1’について検討する。
まず、相違点1と相違点1’の比較してみると、相違点1、つまり、本件発明1の流量調整弁は「弁孔」を有し、弁体部が「この弁孔に少なくとも部分的に挿入される」ものであるのに対して、相違点1’、つまり、本件発明3の流量調整弁は「弁座」を有し、弁体部が「弁座に対向する」ものである点で相違する。
しかし、両者は流量調整弁として、周知の構成であるから、相違点1’に係る本件発明3の構成は、甲第34号証発明に、甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって、上記周知の技術を適用することによって、当業者が容易になし得たものである。

(3)小括
したがって、本件発明3は、甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7-4.本件発明4

(1)対比
本件発明4と甲第34号証発明を対比すると、上記一致点で一致し、上記相違点1’、2及び3に加えてさらに以下の点で相違している。

[相違点5]
本件発明4は、前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたのに対し、甲第34号証発明は、その点が明らかではない点。

(2)判断
上記相違点1’、2及び3については上記7-3.において検討したので、以下に上記相違点5について検討する。

外部に一部が露出している弁部材において、弁の当該露出部を部分的に覆う防塵カバーを設けることは、甲第18号証の段落【0013】及び図1、甲第19号証の図1、並びに甲第20号証の図1に記載されているように周知の技術である。
よって、相違点5に係る本件発明4の構成は、甲第34号証発明に、甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって、上記周知の技術を適用することによって、当業者が容易になし得たものである。

7-5.本件発明5

(1)対比
本件発明5と甲第34号証発明を対比すると、上記一致点で一致し、上記相違点1或いは上記相違点1’、並びに上記相違点2及び3に加えてさらに以下の点で相違している。

[相違点6]
本件発明5は、前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたのに対し、甲第34号証発明は、その点が明らかではない点。

(2)判断
上記相違点1、1’、2及び3については上記7-1.或いは、7-3.において検討したので、以下に上記相違点6について検討する。

弁部材に、液体に混入したエアを排出するため、エア抜き機構を設けることは、甲第25号証の第2欄第52?56行及び図、甲第29号証の請求項1及び図1に記載されているように周知の技術である。
また、エア抜き機構として、エア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なねじ部材とを有するものは、甲第24号証の段落【0038】?【0039】及び図4、甲第25号証の第2欄第52?62行及び図面、甲第26号証の段落【0020】及び図4?5、並びに甲第27号証の第1図に記載されているように周知の技術である。
よって、相違点6に係る本件発明5の構成は、甲第34号証発明に、甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって、上記周知の技術を適用することによって、当業者が容易になし得たものである。

7-6.まとめ

以上のとおり、本件発明1ないし本件発明5は、いずれも甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

8.むすび

以上のとおりであるから、本件発明1ないし本件発明5についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当するから、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
クランプ装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁孔と、
この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】前記弁体部に、油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって、先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】ベースに固定されるクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、
油圧給排用の油圧ポートと、
前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、
この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、
前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し、
前記流量調整弁は、
前記油路の途中部に形成された弁座と、
この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、
前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、
前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、
前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、
前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、
前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、
前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、
前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とする請求項1?3の何れかに記載のクランプ装置。
【請求項5】前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1?4の何れかに記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランプ装置に関し、特に、出力ロッドを進退駆動する油圧シリンダに給排する油圧の流量を調節可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、機械加工に供するワーク等のクランプ対象物を固定するクランプ装置としては、種々の型式のものが提案され、あるいは実用化されている。その中でも、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドを有し、クランプ本体内に配設された油圧シリンダにより出力ロッドを進退駆動することにより、ワーク等のクランプ対象物をクランプし、あるいは、そのクランプ状態を解除するように構成されたものがある。
【0003】
ところで、サイズの大きなワーク等のクランプ対象物を固定する場合には、前述のクランプ装置が複数個同時に使用されて、複数箇所でクランプ対象物を固定するのが一般的である。しかし、このような場合に、例えば、複数のクランプ装置間で油圧シリンダへの油圧の供給速度(供給流量)が異なっていると、夫々のクランプ装置によりクランプ対象物をクランプするタイミングにばらつきが生じ、その間にクランプ対象物が外部からの衝撃等により所定の位置からずれたりして、サイズの大きなクランプ対象物を確実にその所定の位置に固定できなくなる虞がある。
【0004】
そこで、油圧の供給流量あるいは排出流量を調整可能なクランプ装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載のクランプ装置は、出力ロッドを所定角度回転させてこの出力ロッドの先端部に固定されたクランプアームを旋回させてから、クランプアームでクランプ対象物をクランプする、いわゆる、スイング式のクランプ装置であるが、クランプ本体にニードルバルブが上下方向に移動可能に装着されており、このニードルバルブの先端部をクランプ本体内で水平に延びる油路内に突入させることにより、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0005】
また、特許文献2に記載のクランプ装置においては、油圧供給用の油路及び油圧排出用の油路に夫々流量調整弁が設けられており、各流量調整弁は、クランプ本体内の油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に水平方向に対向して設けられ弁座と協働して油路を開閉する弁体としての鋼球と、クランプ本体に螺着され鋼球を下方へ押圧可能な調整スロットルとを備えている。そして、調整スロットルを操作して鋼球を所定量下方へ押し下げることにより、鋼球と弁座との間の隙間を調整して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5695177号公報(第4-5頁、図3)
【特許文献2】特開2000-145724号公報(第5-6頁、図6-7)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載のクランプ装置においては、水平に延びる油路に対して垂直方向にニードルバルブを突入させるために、出力ロッドの近傍部にニードルバルブが上方から装着されており、油圧の流量を調整する際にニードルバルブを操作しにくいという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載のクランプ装置においては、弁体としての鋼球を別部材の調整スロットルで下方へ押圧して、鋼球を弁座から水平方向に離隔させて流量を調整するため、必然的に部品数が多くなって油圧の流量調整の為の構成が複雑になるし、このような構成を含むクランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。また、鋼球を、弁座に接近/離隔する方向と交差する方向へ押圧して、鋼球と弁座との間の隙間を調整するように構成されているが、このような構成では、鋼球を弁座側へ直接移動させる場合に比べて油圧の流量の微調整が困難である。さらに、この調整スロットルは出力ロッドの近傍部に上方から装着されるため、特許文献1のクランプ装置と同様に操作性の面で不利な場合がある。
【0009】
本発明の目的は、油圧の流量を容易且つ確実に微調整可能に構成すること、流量調整の為の構成を簡単化してその構成を含むクランプ本体をコンパクトにすること、油圧の流量を調整するために操作される部材の操作性を向上させること、等である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1のクランプ装置は、ベースに固定されたクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、油圧給排用の油圧ポートと、前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、前記弁部材は、前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられることを特徴とするものである。
【0011】
このクランプ装置においては、油圧シリンダに油圧を供給して、この油圧シリンダにより出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方へ駆動することで、ワーク等のクランプ対象物を所定の位置にクランプしたり、あるいは、そのクランプ状態を解除したりするようになっている。ここで、クランプ本体には、油圧シリンダに接続された油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁が設けられており、流路を流れる油圧は、流量調整弁で適切な流量に調整されて、油圧供給源と油圧シリンダとの間で給排される。
【0012】
ところで、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。このように、弁体部を有する弁部材を直接弁孔に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
この流量調整弁においては、油路を流れる油圧が、弁体部と弁孔との間の隙間を流れる他に、この隙間をバイパスするバイパス流路をも流れる。但し、弁部材は、バイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁を有するので、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合には、逆止弁によりバイパス流路を閉止して、油圧が前記隙間だけを流れることにして隙間を流れる油圧の流量を調整する一方で、油圧シリンダから油圧を排出する場合には、逆止弁を開放してバイパス流路にも油圧を流すことにより油圧を迅速に排出するように構成できる。逆に、排出される油圧の流量を調整する場合も同様である。
【0013】
請求項2のクランプ装置は、請求項1の発明において、前記弁体部に、油圧を微調整するための切欠状の溝部であって、先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたことを特徴とするものである。このように、この溝部は先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部を弁孔に挿入したときの弁体部の突入量により、溝部を流れる油圧の量が微少量変化するため、油路を流れる油圧の流量を微調整することが可能となる。
【0014】
請求項3のクランプ装置は、ベースに固定されるクランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、油圧給排用の油圧ポートと、前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と、この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と、前記油路の途中部に形成され、前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し、前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し、前記流量調整弁は、前記油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部と、弁体部の基端に連なる軸部とを有し、この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記クランプ本体の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え、前記基部に、前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され、前記基部および前記軸部は、前記クランプ本体から外側に露出し、前記弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し、前記油路は、前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と、前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み、前記弁部材は、前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し、前記バイパス流路は、前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と、前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し、前記シール部材は、前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられることを特徴とするものである。
【0015】
この請求項3のクランプ装置において、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に対向する弁体部を有する弁部材とを備え、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁座との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。その他の作用は、請求項1と略同様であるのでその説明を省略する。
【0016】
【0017】
【0018】
さらに、請求項1及び請求項3のクランプ装置においては、上記操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0019】
さらに、請求項1及び請求項3のクランプ装置においては、弁部材が、弁ケースに、出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁孔(または、弁座)に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。
【0020】
請求項4のクランプ装置は、請求項1?3の発明において、前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とするものである。従って、切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。
【0021】
請求項5のクランプ装置は、請求項1?4の発明において、前記弁部材に、油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ、このエア抜き弁は、前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と、前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
このエア抜き弁は、油圧シリンダの油室や油路に油圧を充填させたときに、油圧中に混入したエアを排出する為のものである。油圧を油路に供給してから、弁部材に螺着されたネジ部材を緩めると、ネジ部材によりエア抜き孔を閉止する方向に押圧されていたエア抜き用弁体が、油路内の油圧によりエア抜き孔を開放する方向に移動するため、油路内のエアがエア抜き孔から排出されることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、機械加工に供するワークをクランプする複数のクランプ装置のうちの1つに本発明を適用した一例である。
図1、図2に示すように、クランプ装置1は、クランプ本体2と、このクランプ本体2に進退可能に装着された出力ロッド3と、この出力ロッド3の先端部に連結されワークWにクランプ力を出力するクランプアーム4と、出力ロッド3を退入側へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5と、出力ロッド3を進出側へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6と、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換する変換機構7とを備えている。そして、複数のクランプ装置1によりワークWを固定するように構成されている。
【0024】
まず、クランプ本体2について説明する。
クランプ本体2は、その下半部がベース10の収容穴に収容された状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。クランプ本体2の内部には、出力ロッド3のロッド部3aが挿通されるロッド挿通孔11と、2つのシリンダ穴12,13とが上から順に直列的に形成されている。ロッド挿通孔11の上端付近部には、切削屑等の異物がクランプ本体2内に侵入するのを防ぐダストシール14が装着されている。クランプ本体2の下端部には、シリンダ穴13を下方から塞ぐキャップ部材15が装着されている。
【0025】
図1?図3に示すように、クランプ本体2の内部には、油圧シリンダ5,6の油室20,22に接続された油路40,41が設けられ、クランプ本体2の後端部には、図示外の油圧供給源から油路40,41に油圧を供給する油圧ポート21,23が設けられている。さらに、クランプ本体2には、これら油路40,41を流れる油圧の流量を夫々調節可能な後述の流量調整弁42,43が左右に並べて設けられている。
【0026】
次に、出力ロッド3について説明する。
図1?図5に示すように、出力ロッド3は、上側2/3部分のロッド部3aと、このロッド部3aの下端に連なりロッド部3aよりもやや大径の筒部3bと、筒部3bの下端に連なる環状のピストン部3cとを一体形成したものである。ロッド部3aはロッド挿通孔11に摺動自在に挿通されており、ロッド部3aとロッド挿通孔11との間にはシール部材16が装着されている。ロッド部3aの上端部にはクランプアーム4が装着されナット17で固定されている。筒部3bは、シリンダ穴12に摺動自在に内嵌され、一方、ピストン部3cは、シリンダ穴13に摺動自在に内嵌されている。
【0027】
クランプアーム4は、出力ロッド3の回転動作に連動して旋回し、出力ロッド3の退入動作の際にワークWに当接してワークWをクランプする。図2に示すように、クランプアーム4の先端部の下面部には、クランプ状態でワークWに当接してワークWにクランプ力を出力する出力部4aが設けられている。
【0028】
次に、油圧シリンダ5,6について説明する。
出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5は、シリンダ穴12,13と、出力ロッド3のピストン部3cと、ピストン部3cの上側に形成された油室20とを備えている。そして、油室20は、クランプ本体2に形成された油路40及び油圧ポート21と接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート21、油路40を介して油室20に油圧が供給されると、油室20に出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ力が発生する。
【0029】
一方、出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6は、シリンダ穴13と、出力ロッド3のピストン部3cと、筒部3bの内側及びピストン部3cの下側に形成された油室22とを備えている。そして、油室22には、クランプ本体2に形成された油路41及び油圧ポート23が接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート23、油路41を介して油室22に油圧が供給されると、油室22に出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除力が発生する。
【0030】
ところで、図1?図3に示すように、クランプ本体2内に設けられた油路40,41には、夫々油路40,41を流れる油圧の流量を調整可能な流量調整弁42,43が設けられている。そして、複数のクランプ装置1でワークWを固定する場合に、複数のクランプ装置1の出力ロッド3の退入速度をほぼ等しくして、複数のクランプ装置1によりほぼ同時にワークWをクランプすることができるように、流量調整弁42,43により油圧シリンダ5,6に供給される油圧の流量を調整するようになっている。
【0031】
2つの流量調整弁42,43は夫々同じ構成を有するため、クランプ用の油圧シリンダ5の油圧系に設けられた流量調整弁42について以下説明する。図6?図9に示すように、流量調整弁42は、クランプ本体2の装着穴48に螺着された筒状の弁ケース45と、油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46と、弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47とを備えている。
【0032】
弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45b部との間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している。装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され、一方、弁孔46は、その穴径が装着穴48よりも小さく形成され、この弁孔46に油圧シリンダ5の油室20に連なる第2油路40bが接続されている。
【0033】
弁部材47は、先端部に形成された筒状の弁体部47aと、この弁体部47aの基端に連なり弁体部47aよりもやや大径の軸部47bとを有する。軸部47bの基端側部分の外周部にはネジ部が形成されており、軸部47bが弁ケース45に内嵌状に螺合されて、弁部材47は、クランプ本体2に固定された弁ケース45に対して前後に相対移動可能に装着されている。図6?図8に示すように、軸部47bの基端側部分には、前方へ延びる六角穴47c(操作部に相当する)が形成されており、この六角穴47cに六角レンチ等の工具を係合させて軸部47bを回転させて、弁部材47を前後に移動させることができる。尚、軸部47bの基端には抜け止め用のロックナット49も装着されている。
【0034】
弁体部47aは、弁孔46に前後摺動自在に挿入可能であり、弁体部47aには、装着穴48と弁孔46との間の段部に係合してそれ以上の弁体部47aの前方への移動を係止する係止部50が形成されている。さらに、図6、図7、図9に示すように、弁体部47aの外周部の上端部には、先端側ほど溝の深さが深い切欠状(正面視V字状)の溝部47dが形成されている。そして、弁体部47aが最も後側の位置にある全開状態(図6参照)と、弁体部47aが最も前側の位置にある全閉状態(図7参照)の間で、弁体部47aを前後に移動させると、弁体部47aと弁孔46との間の隙間が変化してその間を流れる油圧の流量が調整される。さらに、弁体部47aの溝部47dにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間、つまり、油圧の流路面積を細かく調節することができるため、その隙間を流れる油圧の流量の微調整を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、弁部材47は、前記の弁体部47aと弁孔46との隙間をバイパスするバイパス流路51,52と、バイパス流路51を油室20に油圧を供給する方向にのみ閉止する逆止弁53を有する。
バイパス流路51は、弁体部47aの内側に前後に延びるように形成され、バイパス通路52は、バイパス通路51の基端から放射状に径方向外側へ延びるように形成されている。
【0036】
逆止弁53は、バイパス流路51の基端部に形成された弁座55と、この弁座55と協働してバイパス流路51を閉止する鋼球56と、この鋼球56を前方へ付勢するコイルバネ57とを有する。軸部47bには、バイパス流路51,52に連通して後方へ延びる鋼球収容孔58が形成されており、鋼球56は鋼球収容孔58と弁座55とに亙って前後方向へ移動可能に構成されている。鋼球収容孔58にはコイルバネ57も配設されており、鋼球56はコイルバネ57により弁座55側へ付勢されている。
【0037】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、鋼球56が弁座55に密着してバイパス流路51が閉止されているため、油圧は弁体部47aと弁孔46との隙間のみを流れることになる。一方、油室20から油圧を排出する場合には、図7の鎖線で示すように、油圧により鋼球56が後方へ押圧されてバイパス流路51が開放されるため、前記隙間に加えてバイパス流路51,52からも油圧が油圧ポート21へ流れることになる。
【0038】
尚、弁ケース45及び弁部材47の基端側部分はクランプ本体2から外側へ露出しているが、外部から切削切粉等の異物が流量調整弁42の内部に侵入するのを防止するために、クランプ装置1には、これらの露出した部分を覆う半球状の防塵カバー60が着脱可能に設けられている。
【0039】
次に、変換機構7について説明する。
変換機構7は、クランプアーム4を水平面内で旋回させるために、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換するものであり、この変換機構7は、クランプ本体2の保持溝2aに保持された3つのボール30と、出力ロッド3の外周部に形成され前記3つのボール30が夫々部分的に係合する3本のカム溝31とを有する。
【0040】
図1、図2に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の、シリンダ穴13との境界の段部よりもやや上の位置に形成された保持溝2aにおいて、その位置が変わらないように保持されている。さらに、図5に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の周方向3等分位置に夫々配設されている。
図1、図2、図4、図5に示すように、3本のカム溝31は、出力ロッド3の筒部3bの外周部において、周方向3等分位置に夫々形成されている。図4に示すように、各カム溝31は、筒部3bの上端の外周部から上下に延びる縦溝31aと、この縦溝31aの下端から図4における右下の方向へ90度の螺旋状に筒部3bの下端まで延びる螺旋溝31bとを有する。
【0041】
図1のクランプ解除状態においては、クランプ本体2側に保持された3つのボール30が、夫々対応する3本のカム溝31の螺旋溝31bの下端部に部分的に係合した状態である。この状態から、油圧シリンダ5により出力ロッド3が下方へ駆動されると、ボール30が出力ロッド3に対してその周りを螺旋溝31bに沿って転動することになる。その際、ボール30はクランプ本体2の保持溝2aに保持されていることから、出力ロッド3の退入動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で時計回りの方向に回転しつつ退入する。
【0042】
そして、出力ロッド3が90度回転してボール30が螺旋溝31bの上端の位置に到達すると、出力ロッド3の回転動作が完了してボール30は縦溝31aに続いて係合し、出力ロッド3は、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接するまで直線的に下方へ退入する。
【0043】
一方、図2のクランプ状態から、逆に油圧シリンダ6により出力ロッド3が上方へ駆動されると、まず、出力ロッド3が、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて直線的に進出する。そして、ボール30が縦溝31aの下端の位置に到達すると、ボール30が続いて螺旋溝31bに係合して螺旋溝31bに沿って転動するため、出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、図1に示すように、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で反時計回りの方向に90度回転しつつ上方へ進出する。
【0044】
次に、クランプ装置1の作用について説明する。
ワークWをクランプする場合には、図1のクランプ解除状態から、図示外の油圧供給源から油圧ポート21を介して油圧を供給する。その際、油圧は流量調整弁42を通って油路40を流れ油室20へ供給されることになる。このとき、流量調整弁42において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになる。ここで、弁部材47を前後方向に移動させて前記隙間を適切に調整しておくことで、油路40を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0045】
そして、油路40を介してクランプ用の油圧シリンダ5の油室20に油圧が供給されると、油室20に発生したクランプ力により出力ロッド3のピストン部3cが下方へ駆動される。このとき、変換機構7により出力ロッド3の進退動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ下方へ退入する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で時計回りの方向に90度旋回して、クランプアーム4の出力部4aがワークWの上側に位置する。
【0046】
クランプアーム4が所定位置まで旋回した後は、出力ロッド3が直線的に退入し、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接して、出力部4aからクランプ力がワークWに出力されてワークWがクランプされる。
ここで、複数のクランプ装置1によりワークWが固定されるが、各々の油圧シリンダ5の油室20に供給される油圧を流量調整弁42により適切な流量に調整することができるため、ワークWをクランプする際に、複数のクランプ装置1において、ほぼ同時にクランプアーム4を旋回させ、続けて、同時に出力部4aをワークWに当接させることができ、ワークWを所定の位置に確実にクランプできるようになる。
【0047】
一方、図2のクランプ状態を解除する場合には、クランプ用の油圧シリンダ5の油室20から油圧を排出するとともに、クランプ解除用の油圧シリンダ6の油室22に油圧を供給する。まず、クランプ用の油室20からは排出される油圧は、油路40及び流量調整弁42を介して油圧ポート21へ流れるが、流量調整弁42において、第1油路40aの油圧により鋼球56が後方へ移動して逆止弁53がバイパス流路51を開放するため、油圧がバイパス流路51,52を通って迅速に油圧ポート21へ排出される。一方、クランプ解除用の油圧ポート23からは、油路41及び流量調整弁43を介してクランプ解除用の油室22へ油圧が供給される。この場合は、前述のクランプ時と同様に、流量調整弁43において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになり、油路41を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0048】
そして、油室22に発生したクランプ解除力によりピストン部3cが上方へ駆動される。このとき、出力ロッド3が直線的に所定量進出した後、変換機構7により出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ上方へ進出する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で反時計回りの方向に90度旋回して、図1に示すクランプ解除状態となる。
【0049】
以上説明したクランプ装置1によれば、次のような効果が得られる。
1)流量調整弁42,43において、弁部材47を弁孔46に対して接近/離隔する方向に移動させて、弁体部47aを弁孔46内に突入させることにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節して、油路40を流れる油圧の流量を調整することができる。つまり、弁体部47aを有する弁部材47を直接弁孔46に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易に且つ確実に調整できるし、流量調整弁42,43の部品数を少なくしてその構成を簡単化することも可能である。
【0050】
2)弁体部47aには、油圧を微調整するための切欠状の溝部47dが設けられ、この溝部47dは先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部47aを弁孔46に挿入したときの弁体部47aの突入量を調整することで、油路40を流れる油圧の流量を微調整することができる。
【0051】
3)弁部材47の内部に、隙間をバイパスするバイパス流路51を一方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられているため、油圧シリンダ5,6に油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に油室20,22から排出するように構成できる。さらに、逆止弁53を流量調整弁42,43とは別に設ける場合に比べてクランプ装置1をコンパクトにすることができる。
【0052】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。1]弁孔46の形状としては、前記実施形態のような、穴径の変化しない弁孔46の他、例えば、前端側ほど穴径が小さいテーパー穴形状などの、種々の形状を採用できる。
【0053】
2]図10に示すように、油路40の途中部に形成された弁座70に対して、弁部材71を接近/離隔する方向に移動させて、弁体部71aと弁座70との間の隙間を調節することにより、油圧の流量を調整するように構成された流量調整弁42Aに本発明を適用することもできる。
【0054】
3]図11に示すように、油圧を排出する場合の流量のみを調整する流量調整弁42Bに本発明を適用することもできる。この流量調整弁42Bにおいては、弁部材81の内部に、油室20から油圧ポート21へ油圧を排出する方向にのみバイパス流路51を閉止する逆止弁82が設けられている。逆止弁82は、バイパス流路83のうちの放射状に延びるバイパス流路84との接続部よりもやや前側の部分に形成された弁座85と、この弁座85と協働してバイパス流路83を閉止する鋼球86と、この鋼球86を後方へ付勢するコイルバネ87とを有する。
【0055】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、油圧により鋼球86が後方へ押圧されてバイパス流路83が開放されるため、油圧は、弁体部81aと弁孔46との隙間に加えてバイパス流路83,84からも油室20へ流れ、流量が調整されることなく迅速に油室20に流れ込む。一方、油室20から油圧を排出する場合には、鋼球86が弁座85に密着してバイパス流路83が閉止されているため、油圧は弁体部81aと弁孔46との隙間のみを流れることになり、油圧が所定の流量に調整される。
【0056】
4]図12に示すように、流量調整弁42Cに、油圧を油室20や油路40に充填した後に、油圧中に混入したエアを排出するためのエア抜き弁90を設けてもよい。エア抜き弁90は、弁部材91の軸部91b内に形成され油路40に連通するエア抜き孔92を閉止可能な鋼球93(エア抜き用弁体)と、弁部材91の基端側部分に螺着され鋼球93を前方(エア抜き孔92を閉止する方向)に押圧可能なネジ部材94とを備えている。
【0057】
弁部材91の後半部は、弁ケース45から後方へ突出しており、後端部には断面六角形の操作部91cが形成され、この操作部91cをボックスレンチ等の工具により操作して弁部材91を弁ケース45に対して前後に移動させることができるように構成されている。弁部材91の後半部の内部には、エア抜き孔92に連通する鋼球収容孔95が形成されており、鋼球収容孔95には、鋼球93がコイルバネ96により後方に付勢された状態で前後に移動可能に収容されている。また、エア抜き孔92と鋼球収容孔95との間には弁座97が形成され、鋼球93がこの弁座97に当接することで、エア抜き孔92が閉止される。
【0058】
鋼球収容孔95には、左方からネジ部材94が螺着されており、ネジ部材94の先端は鋼球93に当接している。そして、ネジ部材94の内部には、エア抜き孔92から排出されたエアを外部へ放出する為のエア通路94aが形成されている。また、このネジ部材94の抜け止め用のロックナット98も装着されている。
【0059】
この流量調整弁42Cにおいて、弁体部91aと弁孔46の間における油圧の流量調整に関しては、前記実施形態と同様の作用を奏するためその説明は省略し、以下、エア抜き弁90の作用について説明する。
油圧を油室20や油路40内に充填した後、まず、鋼球93を前方へ押圧しているネジ部材94を緩めて少し後方へ移動させると、コイルバネ96の付勢力により鋼球93が弁座97から離間する。そして、油路40からエア抜き孔92、鋼球収容孔95及びネジ部材94内のエア通路94aを通って、油圧中に混入したエアが外部へ排出されることになる。エアを排出した後には、再びネジ部材94を締めて前方へ移動させ、鋼球93を弁座97に押し付けてエア抜き孔92を閉止する。
【0060】
5]出力ロッド3の進出駆動と退入駆動の何れか一方を、コイルバネや皿バネ等、油圧シリンダ以外の駆動手段で行うようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、流量調整弁は、油路の途中部に形成された弁孔と、この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部を有する弁部材とを備えており、弁部材を弁孔に対して接近/離隔する方向に移動させて弁孔内に突入させることにより、弁体部と弁孔との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整する。従って、弁体部を有する弁部材を直接弁孔に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することもできる。
弁部材の内部に、前記隙間をバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁が設けられているため、例えば、油圧シリンダに油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に排出するように構成できる。さらに、逆止弁を流量調整弁とは別に設ける場合に比べてクランプ装置をコンパクトにすることができる。
【0062】
請求項2の発明によれば、弁体部に、油圧を微調整するための切欠状の溝部が設けられ、この溝部は先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部を弁孔に挿入したときの弁体部の突入量により、この溝部を流れる油圧の量が微少量変化するため、油路を流れる油圧の流量を微調整することが可能となる。
【0063】
請求項3の発明によれば、弁部材を弁座に対して接近/離隔する方向に移動させることにより、弁体部と弁座との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整することができ、請求項1と略同様の効果を有する。
【0064】
【0065】
請求項1及び請求項3の発明によれば、さらに、弁部材は、この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有するので、この操作部をドライバーやレンチ等の工具により操作して弁部材を前記接近/離隔方向に移動させ、弁体部と弁孔(または、弁座)との間の隙間を調節して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0066】
請求項1及び請求項3の発明によれば、さらに、クランプ本体に固定された弁ケースに、前記弁部材が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着されているので、弁部材の操作性が向上し、弁体部を弁孔(または、弁座)に接近/離隔する方向に移動させることが容易になる。
請求項4の発明によれば、防塵カバーにより切削切粉等の塵が流量調整弁に付着したり、流量調整弁内に侵入したりするのを防止できる。
【0067】
請求項5の発明によれば、油圧を油路に供給してから、弁部材に螺着されたネジ部材を緩めることで、ネジ部材によりエア抜き孔を閉止する方向に押圧されていたエア抜き用弁体が、油路内の油圧によりエア抜き孔を開放するため、油路内のエアをエア抜き孔から排出できる。また、このようなエア抜き弁が流量調整弁と一体的に組み込まれているため、エア抜き弁を設けてもクランプ装置をコンパクトにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るクランプ装置(クランプ解除状態)の縦断面図である。
【図2】クランプ装置(クランプ状態)の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】出力ロッドの斜視図である。
【図5】図2のV-V線断面図である。
【図6】流量調整弁(全開状態)の断面図である。
【図7】流量調整弁(全閉状態)の断面図である。
【図8】図7のXIII-XIII線断面図である。
【図9】弁部材の正面図である。
【図10】変更形態の図7相当図である。
【図11】別の変更形態の図7相当図である。
【図12】さらに別の変更形態の図6相当図である。
【符号の説明】
W ワーク
1 クランプ装置
2 クランプ本体
3 出力ロッド
5,6 油圧シリンダ
40,41 油路
42,43 流量調整弁
42A,42B,42C 流量調整弁
45 弁ケース
46 弁孔
47 弁部材
47a 弁体部
47c 六角穴
47d 溝部
51,52 バイパス流路
53 逆止弁
60 防塵カバー
82 逆止弁
83,84 バイパス流路
90 エア抜き弁
91 弁部材
91a 弁体部
92 エア抜き孔
93 鋼球
94 ネジ部材
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-08-11 
結審通知日 2011-08-16 
審決日 2011-09-06 
出願番号 特願2003-156187(P2003-156187)
審決分類 P 1 113・ 832- ZA (F16B)
P 1 113・ 851- ZA (F16B)
P 1 113・ 852- ZA (F16B)
P 1 113・ 121- ZA (F16B)
P 1 113・ 853- ZA (F16B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長屋 陽二郎  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 倉田 和博
常盤 務
登録日 2008-11-14 
登録番号 特許第4217539号(P4217539)
発明の名称 クランプ装置  
代理人 深見 久郎  
代理人 吉田 昌司  
代理人 深見 久郎  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 高橋 智洋  
代理人 吉田 昌司  
代理人 森田 俊雄  
代理人 森田 俊雄  
代理人 高橋 智洋  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 佐々木 眞人  
代理人 佐々木 眞人  
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