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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B65D 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B65D 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B65D 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B65D |
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管理番号 | 1277998 |
審判番号 | 訂正2013-390063 |
総通号数 | 166 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-10-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2013-04-26 |
確定日 | 2013-07-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4779658号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4779658号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件に係る出願は、平成18年1月16日に出願した特願2006-7100号が、平成23年7月15日に特許第4779658号として設定登録されたものであり、さらに、平成24年9月13日に訂正審判請求(訂正2012-390119号)がなされ、平成24年10月19日付けで訂正を認める審決がなされ、平成24年11月6日に確定登録がされ、平成25年4月26日に本件訂正審判請求がなされたものである。 2.請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は、結論と同旨の審決を求めるものである。 3.訂正の内容 本件訂正請求書並びに訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載から見て、本件訂正は、以下の訂正事項1ないし訂正事項4からなるものと認める。 a.訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が、0.08mm以上20mm以下」とあるのを、「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が、0.08mm以上17mm以下」に訂正する。 b.訂正事項2 訂正前の明細書の段落【0005】に記載された「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が、0.08mm以上20mm以下」とあるのを、「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が、0.08mm以上17mm以下」に訂正する。 c.訂正事項3 訂正前の明細書の段落【0026】【表3】に記載された参考例2のL/Tの値「111」とあるのを「444」に訂正する。 d.訂正事項4 訂正前の明細書の段落【0032】の実施例11に記載された「トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.1mm」とあるのを、「トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.9mm」に訂正する。 4.当審の判断 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の有無 a.訂正事項1について (a)訂正の目的について 上記訂正事項1は、請求項1の「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が0.08mm以上20mm以下」を、「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が0.08mm以上17mm以下」へと訂正するものであり、「青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計」の上限値をさらに限定することで、特許請求の範囲を減縮するものである。 したがって、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項1は、青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計の上限値を訂正前の明細書の段落【0012】の「包装袋に包含した青果物100gあたりの切れ込み長さの合計は、0.08mm以上、20mm以下である。0.08mm未満では、包装した青果物が酸欠(嫌気)状態になって、トロケ(水浮き)やアルコール発酵による異臭発生などの劣化を生じやすく、20mmを超えると、包装袋内が充分な低酸素濃度及び高二酸化炭素濃度にならないため、顕著な鮮度保持効果が得にくい。さらに好ましくは、青果物100gあたりの切れ込み長さの合計は、1mm以上、17mm以下である。」の記載に基づき特定したものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定に適合する。 b.訂正事項2について 上記訂正事項2は、上記訂正事項1と整合を図るためのものであり、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項1について検討したのと同様の理由により特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。 c.訂正事項3について (a)訂正の目的について 上記訂正事項3は、訂正前の明細書の段落【0026】【表3】に記載された参考例2のL/Tの値「111」とあるのを、「444」に訂正するものである。 参考例2に係る段落【0024】に「《参考例2》長さ20mmの切れ込みを2個入れた以外は実施例4と同様にブロッコリーを保管した。」、「《実施例4》ポリプロピレン(厚さ0.025mm)と線状低密度ポリエチレン(厚さ0.02mm)のラミネートフィルム(厚さ0.045mm)で内寸230×330mmの袋を作製した。」と記載されていることから、切れ込み1個あたりの長さL(mm)は20(mm)、フィルムの厚みT(mm)は0.045(mm)となるので、切れ込み1個あたりの長さL(mm)/フィルムの厚みT(mm)の比(L/T)は、20(mm)/0.045(mm)=444.4…となる。参考例2のL/Tの値「111」は錯誤による誤記と認められる。 したがって、当該訂正事項3は、特許法第126条第1項第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 当該訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (c)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 願書に最初に添付した明細書の段落【0024】には、「参考例2」が「実施例6」となっている以外は、上記(a)で摘記したのと同じ記載がされている。また、同明細書段落【0026】の【表3】においても、「実施例6」として訂正前の明細書の「参考例2」について記載されているのと同じ内容が記載されている。 当該訂正事項3は、これらの記載に基づいて導出できることから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 d.訂正事項4について (a)訂正の目的について 上記訂正事項4は、訂正前の明細書の段落【0032】の実施例11に記載された「トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.1mm」とあるのを、「トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.9mm」に訂正するものである。 実施例11に係る段落【0032】に「《実施例11》厚さ0.025mmの線状低密度ポリエチレンで内寸150×250mmの袋を作製した。この袋には、長さ3mmの直線の切れ込み1個を入れた。この袋に、2個(およそ340g)のトマト(品種:桃太郎)を入れて開口部をヒートシールで密封し、25℃で4日間保管した(n=3)。」と記載されていることから、トマト100gあたりの切れ込みの長さは、{3(mm)×1(個)/340(g)}×100(g)=0.882…≒0.9となる。「トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.1mm」とあるのは錯誤による誤記と認められる。 したがって、当該訂正事項4は、特許法第126条第1項第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 当該訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (c)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 願書に最初に添付した明細書の段落【0032】には、上記(a)で摘記したのと同じ内容が記載されている。当該訂正事項4は、この記載に基づいて導出できることから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (2)独立特許要件 訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、訂正前の請求項1に記載された発明を単に減縮したものであり、訂正事項1ないし訂正事項4の全てを考慮しても、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由を発見しない。 したがって、本件審判の訂正の請求は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 5.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 青果物用包装袋及び青果物包装体 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、青果物用の包装袋に関するものである。 【背景技術】 【0002】 青果物は、大気よりも適度な低酸素、高二酸化炭素環境下においては呼吸が抑制されて劣化や追熟が軽減され、過度な低酸素、高二酸化炭素環境下においては異常代謝によって異臭、トロケなどの劣化が促進されることが知られている。 近年、この原理を利用して青果物の鮮度保持を行う包装の実用化が進んでいる。これは、青果物を包装し、青果物自身の呼吸速度と包材のガス透過速度のバランスによって包装内のガス濃度を青果物の保存に適した雰囲気にするものであり、MA(Modified Atmosphere)包装と呼ばれている。しかし、通常青果物の包装用に使用されているポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムといった資材をそのまま使用すると、ガス透過速度不足によって包装体内の酸素が不足して青果物が異常呼吸を行い、青果物の劣化が促進される。従って、包装袋の酸素透過速度を包装した青果物の呼吸速度に適したものにするため、フィルムに微細孔等を加工しなくてはならなかった。 【0003】 特開平9-252718号公報では、少なくとも最内層が熱融着性樹脂層からなる多層フィルムに、孔径が数μm?数十μmの微細な貫通あるいは未貫通の孔を無数に形成することにより、その多層フィルムの酸素透過度を制御する青果物の鮮度保持包材について記載されている。しかしながら、この方法では、フィルムに無数の傷をつけるため、フィルムが白っぽくなって透明性が低下し、中には異物が付着しているように見えて見栄えが悪くなるという欠点があり、加工に関しても、ダイヤモンドの粉末を付着させた特殊なロールにフィルムに押し付けてフィルムを削るためきわめて特殊な装置が必要であり、多種多様な青果物の呼吸速度や特性に合わせた多種類のフィルムを量産することが困難であった。従って、加工が容易で青果物の呼吸速度等の特性に合わせた酸素透過速度を有し、フィルムの見栄えが悪くないMA効果を有する包装袋の開発が切望されている。 【特許文献1】特開平9-252718号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、フィルムへの加工が容易であり、加工を施してもフィルムの見栄えが悪くなることなく、MA効果による青果物の鮮度保持が可能であり、簡易な仕組みで安価に、しかも小ロットで製造することができる青果物用の包装袋を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 フィルムを含む包装袋であり、前記包装袋に1個以上の切れ込みがあり、青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が、0.08mm以上17mm以下である青果物用包装袋である。 更に好ましい形態としては、切れ込み1個あたりの長さが0.1以上12mm以下であり、切れ込み1個あたりの長さL(mm)/フィルムの厚みT(mm)の比(L/T)が16以上250以下であり、Tが0.01mm以上0.1mm以下である青果物用包装袋である。 また、上記に記載の青果物用包装袋を用いて包装された青果物包装体である。 【発明の効果】 【0006】 本発明により、容易な加工により作成できるMA効果を有する包装袋を提供することができる。本発明の包装袋は、加工後もフィルムの見栄えが悪くなることはなく、MA効果により青果物の鮮度保持が可能である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 従来使用されているMA包装に使用されるフィルムとしては、次の3通りのものが考えられる。(イ)貫通した微細孔をあけたフィルム、(ロ)貫通あるいは未貫通の傷又はクラックをフィルムにつけたもの、(ハ)フィルムの材質自体を変えることによって透過性を調整するものである。ただ、これらの方法では、(イ)の場合は、特殊な生産設備が必要で高価格である。(ロ)の場合は、特殊な生産設備が必要であり、多種類の酸素透過速度のフィルムの量産が難しく高価格である。フィルムに全長数百μm以下の無数の傷を設ける方法であり、例えば、フィルムをダイヤモンドの粉末が付着したロールに押し当ててフィルム表面を削ったものがあり、一般的に特定の形状を有していない傷をつけるためフィルムの見栄えが悪くなる。加工程度によるガス透過量の把握が難しく、小刻みなガス透過量の管理ができない。(ハ)の場合は、材質の配合やポリマーの構造によってガス透過量を調節するため、ガス透過量の調整巾が小さいうえ、最小生産ロットが大きくなるといったような問題がある。 【0008】 本発明の包装袋で鮮度保持可能な青果物としては、例えば、バナナ、マンゴー、ウメなどの果実、ダイコン、ニンジンなどの根菜類、トマト、キュウリ、ナスなどの果菜類、緑豆モヤシ、大豆モヤシ、トウミョウなどの芽物類、シイタケ、エリンギなどの菌茸類、キクやカーネーションといった花卉、或は苗などである。また、これらをカットした、いわゆるカット野菜やカットフルーツ用としても使用可能であり、これらの青果物に限定されるものではない。 【0009】 本発明の包装袋はフィルムを含み、フィルムとしては、合成樹脂フィルム又は半合成樹脂フィルムが好ましい。 合成樹脂フィルムの材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート或いはポリ乳酸などが挙げられる。半合成樹脂フィルムの材質としては、例えば、セロハンをあげることができる。これらの内いずれかの素材を単独あるいはラミネートして用いればよい。包装袋は、これらフィルムと金属箔、紙や不織布を貼り合わせた袋でも良い。 【0010】 フィルムの厚みは、強度の点より0.01mm以上が好ましく、経済的な点を考えると0.1mm以下が好ましく、0.01?0.065mmがより好ましい。また、これらのフィルムは、延伸加工、防曇加工や印刷を施してもよく、銀や銅などの無機系抗菌剤やキチン、キトサン、アリルイソチオシアネートなどの有機系抗菌剤を塗布或はフィルムに練りこんで用いても良い。 【0011】 本発明では、包装袋に長さ0.1mm以上12mm以下の切れ込みを1個以上設ける。切れ込みの長さが12mmを越えると、フィルムの変形によって切れ込み部分が開きやすくなるので酸素透過速度の制御が難しくなる。上限の好ましい範囲は8mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。切れ込み長さの下限は0.1mmであり、0.1mm未満では、切れ込みを多く入れる必要があり量産しにくくなり、加工がむずかしくなる。下限の好ましい範囲は0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上である。 【0012】 包装袋に包含した青果物100gあたりの切れ込み長さの合計は、0.08mm以上、20mm以下である。0.08mm未満では、包装した青果物が酸欠(嫌気)状態になって、トロケ(水浮き)やアルコール発酵による異臭発生などの劣化を生じやすく、20mmを超えると、包装袋内が充分な低酸素濃度及び高二酸化炭素濃度にならないため、顕著な鮮度保持効果が得にくい。さらに好ましくは、青果物100gあたりの切れ込み長さの合計は、1mm以上、17mm以下である。なお、包装体内のガス濃度の偏りを軽減するために切れ込み数を複数個とし、適宜これらを散らばらせて配置する方法が好ましい。 【0013】 切れ込み1個分の長さをL(mm)、フィルムの厚みをT(mm)としたとき、L/Tの比が16以上、250以下であることが好ましい。L/Tの比が16未満では、フィルムに加工を施しにくくなる可能性があり、250を超えると切れ込み部が開きやすくなる恐れがある。さらに好ましくは、L/Tの比は30以上、180以下である。 【0014】 包装袋に設けられる切れ込みの形状としては、特に限定されない。切れ込みは一本の直線でもかまわないし、S字型、U字型、半円形、波型のような曲線部を有する形状、V字型、L字型、H字型、T字型、W字型、コ字型、×印のように角を有する形状でもよい。切れ込みの形状は、ここに示したものに限らない。切れ込みの形状は、複数種組み合わせて使用してもよい。 【0015】 フィルムへの切れ込みの加工は、カッターのような鋭利な刃物で切っても良いし、所望の形状の切れ込みができるようにした型で打ち抜いても良い。また、レーザーによる加工も可能である。 切れ込みの加工時期は、特に限定されない。フィルムの製作時に行っても良いし、製袋時、或は製袋後に行っても良い。ロールの状態で加工する場合は、印刷やスリットなどと同時並行して加工することもでき、横ピロー機や縦ピロー機などの自動包装機で青果物を包装する際に加工することもできる。また、切れ込みの加工は、手作業でも可能であり袋1枚でも容易に作製可能である。 【0016】 包装体内の酸素濃度は、0.04?19%、炭酸ガス濃度が2?26%であることが好ましい。酸素濃度が、0.04%未満や二酸化炭素濃度が26%を超えると、青果物はガス障害を起こして異臭、トロケ、内部褐変などの劣化を生じやすい。逆に、酸素濃度が19%を超えたり、二酸化炭素濃度が2%未満であったりする場合は、青果物の呼吸抑制効果が小さいため、黄化防止、褐変防止、内容成分の減少などが起こる可能性がある。 【0017】 本発明の包装体には、袋状のもののほかに、豆腐のコンシューマーパックでよく見られるような容器に本発明と同様の切り込みを有するフィルムを熱シールなどで貼り付けた形態のものや、トレーに青果物を載せ本発明と同様の切り込みを有するフィルムにて青果物を包装した形態も含まれる。ただし、これらは、青果物を収納後に開口部を密封し、切れ込み以外からのガス漏れを青果物の鮮度保持に影響が出ない程度に防止しなければならない。 【0018】 包装袋の密封方法は、酸素透過速度のコントロールが可能な方法であれば、どのような方法でも差し支えないが、ヒートシール、のり付け、金属あるいは樹脂製かしめ、輪ゴム、テープ止め、ジッパーなどが使用できる。また、ヒートシールに適さないフィルムを用いる場合は、シーラント層をラミネートあるいはコーティングすることで形成すれば良い。例えば、アクリル樹脂をコーティングしたセロハンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)ポリスチレンとEVAをラミネートしたフィルムが挙げられる。また、タッパーのようにフィルムを用いないものでも容器に切れ込みを入れることで、ガス透過速度を制御することができる。 【実施例】 【0019】 以下実施例で本発明を説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 《実施例1》 防曇加工を施した厚さ0.03mmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで内寸130×280mmの袋を作製した。この袋には、長さ5mmの直線の切れ込み1個をデザインナイフにより設けた。 この袋に、およそ220gのエクアドル産バナナ(グリーンチップの状態)1本を入れて開口部をヒートシールで密封し、20℃で5日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びバナナの品質評価結果を表1に記した。(バナナ100gあたりの切れ込みの長さは、2.3mm) 《参考例1》 長さが10mmの切れ込みを1個入れた以外は実施例1と同様にバナナを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びバナナの品質評価結果を表1に記した。(バナナ100gあたりの切れ込みの長さは、4.5mm) 【0020】 《比較例1》 切れ込みを入れていない以外は、実施例1と同様にバナナを保管した。 このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びバナナの品質評価結果を表1に記した。 《比較例2》 切れ込みの代わりに直径5mmの孔を8個空けた以外は、実施例1と同様にバナナを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びバナナの品質評価結果を表1に記した。 【0021】 【表1】 ![]() 【0022】 《実施例3》 防曇加工を施した厚さ0.03mmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで内寸190×260mmの袋を作製した。この袋には、長さ1mmの直線の切れ込み1個を入れた。 この袋に、270gの緑豆モヤシを入れて開口部をヒートシールで密封し、10℃で4日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及び緑豆モヤシの品質評価結果を表2に記した。(緑豆モヤシ100gあたりの切れ込みの長さは、0.4mm) 《比較例3》 切れ込みを入れていない以外は、実施例3と同様に緑豆モヤシを保管した。 このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及び緑豆モヤシの品質評価結果を表2に記した。 《比較例4》 切れ込みの代わりに直径5mmの孔を8個空けた以外は、実施例3と同様に緑豆モヤシを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及び緑豆モヤシの品質評価結果を表2に記した。 【0023】 【表2】 ![]() 【0024】 《実施例4》 ポリプロピレン(厚さ0.025mm)と線状低密度ポリエチレン(厚さ0.02mm)のラミネートフィルム(厚さ0.045mm)で内寸230×330mmの袋を作製した。この袋には、長さ8mmの直線の切れ込み3個を入れた。 この袋に、およそ360gのブロッコリー1個を入れて開口部をヒートシールで密封し、25℃で3日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。(ブロッコリー100gあたりの切れ込みの長さは、7mm) 《実施例5》 長さ8mmの切れ込みを5個入れた以外は実施例4と同様にブロッコリーを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。(ブロッコリー100gあたりの切れ込みの長さは、11mm) 《参考例2》 長さ20mmの切れ込みを2個入れた以外は実施例4と同様にブロッコリーを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。(ブロッコリー100gあたりの切れ込みの長さは、11mm) 《参考例3》 幅0.05mmに加工した、カミソリの刃により長さ0.05mmの切れ込みを800個入れた以外は実施例4と同様にブロッコリーを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。(ブロッコリー100gあたりの切れ込みの長さは、11mm) なお、切れ込みの加工は、実施例5の方がはるかに容易であった。 【0025】 《比較例5》 切れ込みを入れていない以外は、実施例4と同様にブロッコリーを保管した。 このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。 《比較例6》 切れ込みの代わりに直径5mmの孔を8個空けた以外は、実施例4と同様にブロッコリーを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。 《比較例7》 長さ8mmの切れ込みを10個入れた以外は実施例4と同様にブロッコリーを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びブロッコリーの品質評価結果を表3に記した。(ブロッコリー100gあたりの切れ込みの長さは、22mm) 【0026】 【表3】 ![]() 【0027】 《実施例8》 ポリプロピレン(厚さ0.025mm)と線状低密度ポリエチレン(厚さ0.02mm)のラミネートフィルム(厚さ0.045mm)で内寸230×350mmの袋を作製した。この袋には、長さ10mmの直線の切れ込み6個を入れた。 この袋に、およそ370gのホウレンソウを入れて開口部をヒートシールで密封し、20℃で3日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びホウレンソウの品質評価結果を表4に記した。(ホウレンソウ100gあたりの切れ込みの長さは、16mm) 《実施例9》 長さ5mmの切れ込みを6個入れた以外は実施例8と同様にホウレンソウを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びホウレンソウの品質評価結果を表4に記した。(ホウレンソウ100gあたりの切れ込みの長さは、8mm) 【0028】 《比較例9》 切れ込みを入れていない以外は、実施例8と同様にホウレンソウを保管した。 このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びホウレンソウの品質評価結果を表4に記した。 《比較例10》 切れ込みの代わりに直径5mmの孔を8個空けた以外は、実施例8と同様にホウレンソウを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びホウレンソウの品質評価結果を表4に記した。 【0029】 【表4】 ![]() 【0030】 《実施例10》 厚さ0.025mmの防曇処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルムで内寸200×280mmの袋を作製した。この袋には、長さ1mmの直線の切れ込み1個を入れた。 この袋に、3本(およそ730g)のニンジンを入れて開口部をヒートシールで密封し、15℃で5日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びニンジンの品質評価結果を表5に記した。(ニンジン100gあたりの切れ込みの長さは、0.1mm) 《比較例11》 切れ込みを入れていない以外は、実施例10と同様にニンジンを保管した。 このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びニンジンの品質評価結果を表5に記した。 《比較例12》 切れ込みの代わりに直径5mmの孔を8個空けた以外は、実施例10と同様にニンジンを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びニンジンの品質評価結果を表5に記した。 【0031】 【表5】 ![]() 【0032】 《実施例11》 厚さ0.025mmの線状低密度ポリエチレンで内寸150×250mmの袋を作製した。この袋には、長さ3mmの直線の切れ込み1個を入れた。この袋に、2個(およそ340g)のトマト(品種:桃太郎)を入れて開口部をヒートシールで密封し、25℃で4日間保管した(n=3)。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びトマトの品質評価結果を表6に記した。(トマト100gあたりの切れ込みの長さは、0.9mm) 《比較例13》 長さ15mmの切れ込みを5個入れた以外は実施例11と同様にトマトを保管した。このときの袋内の酸素濃度と二酸化炭素濃度及びトマトの品質評価結果を表6に記した。(トマト100gあたりの切れ込みの長さは、22mm) 【0033】 【表6】 ![]() (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フィルムを含む包装袋であり、前記包装袋に1個以上の切れ込みがあり、切れ込み1個あたりの長さL(mm)/フィルムの厚みT(mm)の比(L/T)が16以上250以下であり、Tが0.01mm以上0.1mm以下であり、青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が0.08mm以上17mm以下であることを特徴とする青果物用包装袋。 【請求項2】 切れ込み1個あたりの長さが0.1mm以上12mm以下である請求項1に記載の青果物用包装袋。 【請求項3】 請求項1から2のいずれかに記載の青果物用包装袋を用いて包装されたことを特徴とする青果物包装体。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2013-06-17 |
結審通知日 | 2013-06-19 |
審決日 | 2013-07-04 |
出願番号 | 特願2006-7100(P2006-7100) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(B65D)
P 1 41・ 852- Y (B65D) P 1 41・ 853- Y (B65D) P 1 41・ 856- Y (B65D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 真 |
特許庁審判長 |
栗林 敏彦 |
特許庁審判官 |
河原 英雄 熊倉 強 |
登録日 | 2011-07-15 |
登録番号 | 特許第4779658号(P4779658) |
発明の名称 | 青果物用包装袋及び青果物包装体 |
代理人 | 速水 進治 |
代理人 | 速水 進治 |