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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B21H |
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管理番号 | 1315956 |
審判番号 | 訂正2016-390014 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2016-01-25 |
確定日 | 2016-05-23 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3873056号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3873056号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第3873056号(以下、「本件特許」という。)は、2002年(平成14年)6月20日(優先権主張 2001年(平成13年)6月21日、日本国)を国際出願日とする出願(特願2003-506673号)であって、平成18年10月27日に設定登録がなされたものである。 そして、平成28年1月25日に本件訂正審判の請求がなされたものであり、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年3月14日付け 訂正拒絶理由通知 平成28年4月15日 意見書の提出 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1.請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許3873056号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正(以下、「本件訂正」という。)することを認める、との審決を求めるものである。 2.訂正の内容 (1)訂正の各内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである。 ア 請求項1の削除 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 請求項2に係る訂正 特許請求の範囲の請求項2を以下のように訂正する。(以下、「訂正事項1」という。) 訂正前: 「請求項1において、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に待避させた後、前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。」 訂正後: 「円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、再度押し込み前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。」 ウ 請求項3に係る訂正 特許請求の範囲の請求項3において、「請求項1又は2において、」とあるのを「請求項2において、」に訂正する。(以下、「訂正事項2」という。) エ 請求項4に係る訂正 特許請求の範囲の請求項4において、「請求項1又は2において、」とあるのを「請求項2において、」に訂正する。(以下、「訂正事項3」という。) オ 請求項5に係る訂正 特許請求の範囲の請求項5において、「請求項1又は2において、」とあるのを「請求項2において、」に訂正する。(以下、「訂正事項4」という。) カ 請求項6に係る訂正 特許請求の範囲の請求項6に関するものである。ただし、記載自体に訂正はない。(以下、「訂正事項5」という。) キ 発明の詳細な説明の訂正 発明の詳細な説明の段落【0010】?【0014】を以下のように訂正する。(以下、「訂正事項6」という。) 訂正前: 「【0010】 本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。 本発明1のウォームギヤ転造加工方法は、円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、前記ダイスを回転駆動するためのダイス回転駆動手段と、前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段とを備えた転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工することを特徴とする。 【0011】 本発明2のウォームギヤの転造方法は、本発明1において、前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に待避させた後、前記第2ステップを行うと、より精度の高い加工が継続できる。 【0012】 本発明3のウォームギヤの転造方法は、本発明1又は2において、前記ウォームギヤの真円度を向上させるために、前記ダイスを前記押込み送りを停止させた状態で、前記第1ステップ、及び前記2ステップを交合に行って、前記ウォームギヤを転造すると良い。 【0013】 本発明4のウォームギヤの転造方法は、本発明1又は2において、前記転造機は、4本の連結軸(40)が、互いに平行になるように配置され、かつ第1案内レール(3)、及び第2案内レール(26)と互いに平行になるように配置されており、 前記第1案内レール(3)には、第1転造ダイス(100)を搭載した第1ダイス移動台(6)が移動自在に配置されており、 前記ダイスは、第1転造ダイス(100)及び第2転造ダイス(101)の2台とからなり、 前記第2案内レール(26)には、第2転造ダイス(101)を搭載した第2ダイス移動台(25)が移動自在に配置されており、 前記第1転造ダイス(100)と前記第2転造ダイス(101)は、前記4本の前記連結軸(40)の略中心に配置されたものであり、かつ前記第1転造ダイス(100)及び前記第2転造ダイス(101)の回転軸線が互いに平行して配置されていることを特徴とする。 【0014】 本発明5のウォームギヤの転造方法は、本発明1又は2において、前記転造加工中に、前記素材の直径の変化により前記ウォームギヤの進み角が変化して、前記ウォームギヤが軸線方向に移動する歩みが発生するのを、前記素材の移動から検知し、 前記移動が設定された範囲を越えたとき、前記ダイスの回転方向を逆回転させ前記歩みの方向を逆方向にする前記第2ステップを行うことを特徴とする。」 訂正後: 「【0010】 (削除) 【0011】 本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。 本発明2のウォームギヤの転造方法は、 円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、再度押し込み前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【0012】 本発明3のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記ウォームギヤの真円度を向上させるために、前記ダイスを前記押込み送りを停止させた状態で、前記第1ステップ、及び前記2ステップを交合に行って、前記ウォームギヤを転造すると良い。 【0013】 本発明4のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記転造機は、4本の連結軸(40)が、互いに平行になるように配置され、かつ第1案内レール(3)、及び第2案内レール(26)と互いに平行になるように配置されており、 前記第1案内レール(3)には、第1転造ダイス(100)を搭載した第1ダイス移動台(6)が移動自在に配置されており、 前記ダイスは、第1転造ダイス(100)及び第2転造ダイス(101)の2台とからなり、 前記第2案内レール(26)には、第2転造ダイス(101)を搭載した第2ダイス移動台(25)が移動自在に配置されており、 前記第1転造ダイス(100)と前記第2転造ダイス(101)は、前記4本の前記連結軸(40)の略中心に配置されたものであり、かつ前記第1転造ダイス(100)及び前記第2転造ダイス(101)の回転軸線が互いに平行して配置されていることを特徴とする。 【0014】 本発明5のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記転造加工中に、前記素材の直径の変化により前記ウォームギヤの進み角が変化して、前記ウォームギヤが軸線方向に移動する歩みが発生するのを、前記素材の移動から検知し、 前記移動が設定された範囲を越えたとき、前記ダイスの回転方向を逆回転させ前記歩みの方向を逆方向にする前記第2ステップを行うことを特徴とする。」 (2)訂正内容の整理 上記の本件訂正の内容の一部について整理する。 ア 訂正事項1の整理 訂正事項1は、請求項2に関して、訂正前において請求項1を引用していたものを、請求項1に記載されていた事項を取り入れて独立形式とすると共に、発明特定事項の追加をするものである。よって、訂正前の請求項1及び請求項2の特定事項と訂正後の請求項2の特定事項を対比した際、両者が異なる実質的かつ具体的な訂正事項は、下記の5点となる。 訂正事項1-1 「前記ダイスを回転駆動するためのダイス回転駆動手段と」とあるのを「前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と」に訂正するもので、発明特定事項を追加するものである。 訂正事項1-2 「を備えた転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、」とあるのを「を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、」に訂正するもので、発明特定事項を追加するものである。 訂正事項1-3 「を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工する」とあるのを「を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、」に訂正するもので、独立形式としたことに伴うものである。 訂正事項1-4 「前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に待避させた後、」とあるのを「前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、」に訂正するもので、発明特定事項を追加するものである。 訂正事項1-5 「前記第2ステップを行う」とあるのを「再度押し込み前記第2ステップを行う」に訂正するもので、発明特定事項を追加するものである。 イ 訂正事項5の整理 請求項6の記載そのものに訂正はないが、請求項6が引用している請求項5及びこの請求項5が引用している請求項2に訂正があるので、実質的に請求項6に係る発明を訂正するものである。 ウ 訂正事項6の整理 特許請求の範囲の記載と関連する、発明の詳細な説明の課題を解決する手段の記載に関し、特許請求の範囲の訂正と同内容(上記請求項1の削除及び訂正事項1?4)の訂正をするものである。 なお、請求項6と関連する段落【0015】については、訂正事項5と同様に、記載自体に訂正はない。 第3 訂正拒絶理由通知の概要 当審からの平成28年3月14日付け訂正拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。 (1)訂正の目的 訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、構成要件の直列的付加であるから「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると認められる。 (2)独立特許要件 請求項2について、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件を検討する必要がある。 そして、本件訂正に係る訂正明細書に記載された請求項2に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、本件優先日前に頒布された刊行物である西独国特許第917966号明細書に記載された発明、公知技術(特開平11-285761号公報等に開示)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項に規定される訂正要件(独立特許要件)に違反するものである。 第4 当審の判断 各訂正要件について検討する。 1.特許法第126条第1項ただし書き(訂正の目的) (1)請求項1の削除 請求項を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められ、同条同項ただし書き第1号の規定を満たすものである。 (2)訂正事項1 訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、構成要件の直列的付加であるから「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると認められる。 訂正事項1-3は、請求項2を独立形式としたことに伴うものであるから「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(請求項間の引用関係の解消)を目的とするものであると認められる。 また、訂正事項1-4は、技術的不明瞭な記載を明確にするものであるから「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであると認められる。訂正事項1-5は、訂正事項1-4に関連して請求項2に係る発明が当然備えている事項を明確にするものであるから「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。 よって、訂正事項1は、同条同項ただし書き第1号、第3号、第4号の規定を満たすものである。 (3)訂正事項2?5 訂正事項2、訂正事項3、訂正事項4、訂正事項5は、請求項1の削除に伴うものであるから、請求項間の引用関係の解消を目的とするものと認められ、同条同項ただし書き第4号の規定を満たすものである。 (4)訂正事項6 訂正事項6は、特許請求の範囲を訂正したことに伴う、訂正しない場合に特許請求の範囲の記載と不一致となり不明瞭となる明細書を訂正するものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められ、同条同項ただし書き第3号の規定を満たすものである。 (5)小括 本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書きに規定される訂正要件を満たすものであると認められる。 2.特許法第126条第5項(新規事項の追加) 請求項1の削除、訂正事項1?6からなる本件訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると認められる。 よって、本件訂正は、特許法第126条第5項に規定される訂正要件を満たすものであると認められる。 3.特許法第126条第6項(実質的拡張、変更) 請求項1の削除、訂正事項1?6からなる本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものであるとは認められない。 よって、本件訂正は、特許法第126条第6項に規定される訂正要件を満たすものであると認められる。 4.特許法第126条第7項(独立特許要件) 請求項2について、本件訂正は、上記第1.(2)で述べたように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件について検討する。 (1)本件訂正発明 本件訂正発明は、以下のとおりのものである。 「円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、再度押し込み前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。」 (2)刊行物1 本件優先日前に頒布された刊行物である西独国特許第917966号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、以下が記載されている。 なお、以下の記載に関する留意事項は、次のとおりであるので、引用箇所を基に原文も併せて適宜参照されたい。 ・下線は、理解の便のため、当審で付した ・参考訳は、理解の便のため、本件審判請求書に添付された甲第1号証を参考に付した ・ウムラウト等のドイツ語特有の表現については、記載の都合上、他の文字への代替や省略等をしている ・不明瞭な文字についても他の文字への代替を行っている ・右欄の行数は、原文の表記のとおり、例えば64行目からカウントしている ア 第1頁左欄第1?5行 「Die Erfindung bezieht sich auf ein Verfahren, eine Steuereinrichtung sowie auf eine Maschine zur Herstellung von Schnecken oder anderen Profilen groser Querschnittsanderungen, beispielsweise Schraubenrader, Zahnrader und Gewindespindeln.」 (参考訳:本発明は、例えば、ウォームギア、歯車、ウォームギア・スピンドルのような大きい断面変化のあるウォームまたは他の形状物を製造するための方法、操作装置、製造装置に関する。) イ 第2頁左欄第31?40行 「Dies wird nach dem erfindungsgemasen Verfahren dadurch erreicht, das das Werkstuck in wechselnder Richtung gewalzt wird und hierzu die Drehrichtung der beiden Walzen wahrend des Walzvorganges ein oder mehrmals geandert und vor der Anderung der Drehrichtung zunachst der volle Walzdruck fast bis auf Null vermindert und bei umgekehrter Drehrichtung zunachst der Antrieb und dann der Walzdruck bis auf vollen Arbeitsdruck ansteigend wieder eingeschaltet wird.」 (参考訳:これは本発明の方法により、ワークピースが交互に入れ替わる方向に転造されるとともに、転造工程の際に2つのダイスの回転方向が1回または数回変更され、回転方向の変更の前にまず全転造圧がほぼ0にまで低下し、反転された回転方向では次に駆動力とそれから転造圧とが全動作圧まで上昇して再動作するということによって達せられる。) ウ 第3頁左欄第48?50行 「Die Maschine besitzt die Walzen 1 und 1', die ein dem zu walzenden Werkstuck 3 entsprechendes Profil aufweisen.」 (参考訳:転造装置は、転造すべきワークピース3に応じた外形形状を有するダイス1、1′を備えている。) エ 第3頁左欄第61?63行 「Die Walze 1 wird von der Antriebsspindel 4. und die Walze 1' von der Antriebsspindel 5 angetrieben.」 (参考訳:ダイス1は、駆動スピンドル4により、また、ダイス1′は駆動スピンドル5により駆動される。) オ 第3頁右欄第64?72行 「Der Antriebsmotor 8 treibt die Spindeln 4 und 5 uber ein nicht dargestelltes Gestange 9 in gleicher Drehrichtung an. Das Werkstuck 3 ist auserhalb seines zu walzenden Teiles zwischen den Spitzen 10 und 11 drehbar gelagert, und zwar so, das die Werkstuckachse genau in der durch die Achsen der beiden Walzen gehenden Ebene liegt.」 (参考訳:駆動モーター8は、図示しない伝動機構9を介してスピンドル4、5を同じ回転方向に駆動する。 ワークピース3は、センター10、11の間の転造すべき部分の外側で(支持されて)回転可能に配置され、しかもワークピースの軸が正しく両方のダイスの軸を通る平面内にあるようにされている。) カ 第3頁右欄第78?83行 「Die Arbeitsspindel 4. ist in dem ortsfesten Lagerbock 14 und die Arbeitsspindel 5 auf dem Schlitten 15 gelagert, der durch eine nicht dargestellte hydraulische Vorschubeinrichtung mit dem erforderlichen Walzdruck gegen das Werkstuck verstellt wird.」 (参考訳:作業スピンドル4は、固定された軸受ブロック14に設置され、作業スピンドル5は、図示しない油圧駆動装置により、ワークピースに対して必要な転造圧になるように調整される可動台板15に設置される。) キ 第4頁左欄第40?51行 「Die Wirkungsweise ist folgende: In der Fig. 1 ist der Beginn des Walzens dargestellt. Der Antriebsmotor 8 ist durch einen nicht dargestellten Schalter, der sich am Steuerkasten der Maschine befindet, eingeschaltet und lauft, da die Kontakte 35, 35' des Wendeschalters 33 geschlossen sind, in der durch einen Pfeil angegebenen Drehrichtung. Hierbei wandert das Werkstuck infolge der Differenz der Steigungswinkel an den Walzen und an dem gewalzten Werkstuck in Pfeilrichtung, bis die Stellung erreicht ist, die in der Fig.2 dargestellt ist.」 (参考訳:動作は、次のとおりである:図1に転造の初期状態が示されている。反転スイッチ33の接点35、35′が閉じているので、駆動モータ8は、転造装置の操作盤に設けられた図示しないスイッチにより導通して1つの矢印で示される方向に回転する。ここで、ワークピースは、転造ダイスと転造されるワークピースとにおける矢印方向のリード角の差により図2に示される位置に達するまで進む。) ク 第4頁左欄第61行?右欄第84行 「In der Fig. 3 ist der weitere Bewegungsvorgang dargestellt. Der Kontakt 22 ist geschlossen. Durch die Verstellung des Hahnkukens 29 beginnt die allmahliche Offnung der Ablaufleitung 32. Der Walzdruck fallt ab. Die Kurvenscheibe 30 betatigt den Wendeschalter 33, dessen Kontaktbrucke 37 in Mittelstellung geht und den Stromkreis fur das Wendeschutz 38 unterbricht, so das der Antriebsmotor 8 und die Walzen 1, 1' stillstehen. Der Servomotor 24 lauft weiter. Der weitere Bewegungsvorgang ist in der Fig. 4 dargestellt. In der Fig. 4 ist das Schaltsegment 27 in Pfeilrichtung weitergelaufen und hat uber die Kurvenscheibe 30 den Wendeschalter 33 durch Schliesen der Kontakte 36, 36' wieder eingeschaltet. Der Antriebsmotor 8 lauft in anderer Drehrichtung, wie es durch den Pfeil angezeigt ist. Auserdem schliest das Hahnkuken 29 die Ablaufleitung 32 langsam wieder, so das der Walzdruck anschwillt. Das Werkstuck 3 beginnt in umgekehrter Richtung, wie es der Pfeil anzeigt, nach vorn zu wandern, da die Walzen 1, 1' sich in umgekehrter Richtung drehen. Die Kontakte 19, 19' des Schalters 17 werden geoffnet. Der Servomotor 24 lauft noch weiter. 」 (参考訳:図3にはそれ以降の動作過程が示されている。接点22は閉じている。コック・プラグ29の調整により、ドレーン・パイプ32が次第に開き始め、転造圧は低下する。カム板30が反転スイッチ33を動作させ、その接点ブリッジ37が中間位置に移動し回転保護開閉器38の回路を遮断して、駆動モータ8及びダイス1、1′が停止する。サーボモータ24はさらに動作する。それ以降の動作過程は、図4に示されている。 図4において、扇型歯車27は矢印方向にさらに回転し接点36、36′が閉じることによりカム板30を介して反転スイッチ33を再びオンにする。駆動モータ8は、矢印で示されるように反対方向に回転する。また、コック・プラグ29がドレーンパイプ32をゆっくり閉じて転造圧が高まる。ダイス1、1′が逆方向に回転するので、ワークピース3は矢印が示すように逆方向に回転するので、ワークピース3は矢印に示すように逆方向に前方に向かって進み始める。スイッチ17の接点19、19′は開き、サーボモータ24はさらに回転する。) ケ 第4頁右欄第100?104行 「Der vorerst beschriebene Vorgang des Abschaltens und Wiedereinschaltens in umgekehrter Drehrichtung wiederholt sich so lange, bis das Endmas der Schnecke erreicht ist.」 (参考訳:最初に述べた遮断と逆転回転方向における再接続の過程はウォームの最終寸法になるまで反復される。) コ 図1(Fig.1) 図1には、以下の初期状態のWerkstuck 3(ワークピース3)の形状が示されている。 ![]() 当該形状は、略円筒状であるということができる。 また、当該ワークピース3は、駆動スピンドル4、5の間の中心に、センター(中心)10、11により配置されていると認められる。 さらに、ダイス1、1′は外形形状が円筒状であると看取できると共に、その回転方向を示す矢印から、同一方向に回転されているものと認められる。 サ 上記記載事項エ及びオより、駆動モーター8は、伝動機構9を介してスピンドル4,5及びダイス1、1′を駆動するものであるから、ダイス1、1′は、駆動モーター8により同期回転されるものであると認められる。 (3)引用発明 上記(2)より、技術常識を考慮しつつ整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「 略円筒状の初期状態のワークピース3を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイス1、1′と、 前記ダイス1、1′の各々を回転駆動するための駆動モータ8からなるダイス回転駆動手段と、 前記初期状態のワークピース3を回転自在に支持するためのセンター10、11と、 前記ダイス1′をダイス1に向けて互いに接近させて押し込むための油圧駆動装置及び可動台板15と を備えた転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイス1、1′を同一方向に同期回転させながら前記初期状態のワークピース3に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイス1、1′の回転方向を逆回転させて、前記ワークピース3を転造加工する第2ステップと、 を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 回転方向の変更前に全転造圧がほぼ0にまで低下し、それから転造圧が全動作圧まで上昇する ウォームギヤ転造加工方法。」 (4)対比 本件訂正発明と刊行物1に記載された引用発明とを対比する。 ア 引用発明における「初期状態のワークピース3」、「ダイス1、1′」、「センター10、11」、「油圧駆動装置及び可動台板15」は、本件訂正発明における「素材」、「ダイス」、「素材支持手段」、「押込み手段」にそれぞれ相当する。 イ 一致点 よって、本件訂正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 〔一致点〕 「素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えた転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工する ウォームギヤ転造加工方法。」 ウ 相違点 また、本件訂正発明と引用発明とは、以下の各点で相違する。 〔相違点1〕 本件訂正発明は、円筒状の素材を加工するのに対し、引用発明は、図1に記載の如き略円筒状の初期状態のワークピース3を加工するものであって、「円筒状」であるかが不明である点 〔相違点2〕 本件訂正発明は、ダイス回転駆動手段がサーボモータであるのに対し、引用発明は、ダイス回転駆動手段が駆動モーター8であって、モータの種類がサーボモータであるか不明である点 〔相違点3〕 本件訂正発明は、押込み手段が「ダイスを互いに接近させて押し込むため」のものであるが、「ダイスを互いに接近させ」が両ダイスの相対距離を減少させるとの意のみに留まらず、両ダイスそれぞれが互いに向けて移動し近接するとの意を含む場合、引用発明は、押込み手段がダイス1′をダイス1に向けて接近させて押し込むものであるので、ダイスの移動形態が異なる点〔相違点4〕 本件訂正発明は、CNC装置で制御されるCNC転造装置であるのに対し、引用発明は、そのような制御装置で制御されない転造装置である点 〔相違点5〕 第1ステップと逆方向にダイスを回転させて転造加工をする第2ステップの前に、本件訂正発明は、ダイスを押込み送り方向と逆方向に後退させて退避させた後、再度押し込むものであるのに対し、引用発明は、回転方向の変更前に全転造圧がほぼ0にまで低下し、それから転造圧が全動作圧まで上昇するものであって、後退させて待避することに関して不明である点 (5)判断 相違点5より検討する。 ア 引用発明の工程の詳細 引用発明は、刊行物1の記載から、詳細には以下のような工程で行われるものと認められる。 (a)ドレーン・パイプ32が開くことにより転造圧が低下し(上記(2)記載事項ク)、転造圧が低下すると転造加工ができなくなることから、この時点で転造加工が一旦終了する(本件訂正発明における「第1ステップの終了」に相当) (b)その後、駆動モーター8が停止し、ダイス1、1′も停止する(上記(2)記載事項ク) (c)「全転造圧がほぼ0にまで低下」する(上記(2)記載事項イ) (d)駆動モーター8が反対方向に回転する(上記(2)記載事項ク) (e)ドレーン・パイプ32が閉じることにより転造圧が高まる(上記(2)記載事項ク、本件訂正発明における「再度押し込み」に相当) (f)「コックプラグ29は転造圧が全体的に回復する位置になる」ので、転造圧が全体的に回復し、転造加工が再び行われる(本件訂正発明における「第2ステップ」の開始) イ 引用発明の詳細検討 引用発明における押し込みは、ウォームギヤを転造加工できる程度の転造圧をかけるものであるから、相当程度の高圧で行われるものと認められる。よって、当該転造圧が付加される、ワークピース3やダイス1′を含む転造装置の部位には、相当程度の高圧が付加されていると認められ、上記(a)工程において転造圧が低下した際は、その付加されている圧力も低減することとなる。金属からなる部材に高圧による応力が付加された場合、その部材の持つ材質に応じて弾性変形し、付加圧力の低減に伴い、弾性変形がもたらした応力歪みが解放されることは技術常識である。したがって、転造圧が0になるということは、少なくともワークピース3の変形回復がなされる状況、すなわち、転造中にワークピース3を押圧している(ワークピース3から押圧の反力により押圧されている)ダイスの位置が押圧力ゼロとなる位置まで移動されていると考えられる。 つまり、上記(a)工程において、転造圧が低下すると、微小量ではあるが可動台板15が、転造圧を印加する方向と逆方向である、押し込み方向とは逆方向に移動するものといえる。 ウ 本件訂正発明の詳細検討 本件訂正発明における「後退させて待避させ」を中心にその詳細について検討する。 本件訂正発明における「後退」とは、本件特許の明細書の段落【0070】の「後退」に関する記載から、0.05?0.2mm程度の微小量の移動であって、転造の押し付け圧力が除かれる程度のものであると認められる。また、上記段落【0070】に続く段落【0071】には、後退の目的について記載があり、「後退」が素材Mの弾性変形分と転造機の機械系の弾性変形分とを解放して、第1転造ダイス100及び第2転造ダイス101と素材Mとを接触させないためのものであり、「スプリングバック」とも呼ばれるものであると記載されている。 ここで、「待避」とは、本件特許の明細書を参照しても必ずしも明確ではないが、「後退させて待避させ」とは、「後退」という手段が実行された結果「待避」となる、つまり、「後退」という手段を実行する目的は「待避」させることであると解釈することが可能である。してみれば、上記段落【0071】を参酌し、本件訂正発明における「待避」とは、ダイスと素材とが非接触状態となることであるということができる。 エ 引用発明と本件訂正発明との比較検討 上記イで述べたように、引用発明は、上記(a)工程において、押し込み方向と逆方向に移動する、つまり後退するものである。そして、その「後退」の意味も、転造圧が低下することによる、弾性変形分の開放に伴う微小量の移動であるから、上記ウでの検討結果を併せて考慮すれば、「後退」自体については、基本的に本件訂正発明と異ならないものである。 そして、引用発明は、当該逆方向への後退(上記(a)工程)の後に、再度押し込み(上記(e)工程)、第2ステップを行う(上記(f)工程)のであるから、第1ステップの後の第2ステップの前工程としては、基本的には本件訂正発明と異ならないものである。 しかしながら、引用発明は、ダイス1′が後退するといえるものの、ダイス1、1′とワークピース3とが非接触になることについては、刊行物1に記載されていない。また、ダイス1′が設置された可動台板15が油圧駆動装置により駆動されること、当該油圧駆動装置による転造圧は徐々に低下する性質のものであると考えられること(上記(2)記載事項ク参照)、一般にダイス1′は相当な重量物であること等を総合的に考慮すれば、ダイス1′は後退するものの、ダイス1′とワークピース3とは引き離されず、非接触状態とはならないもの、つまり「待避」されないものと考えられる。 してみれば、本件訂正発明は、ダイスが押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させられるものであると認められるのに対し、引用発明は、後退させられはするものの待避させられるものとは認められないから、本件訂正発明と引用発明とは相違するものである。 そして、当該待避に関して、引用発明において、ダイス1′をワークピース3と非接触状態となるように待避させる動機づけは存在しないから、当業者といえども、ダイスを待避させることは、容易に想到し得るものではない。 (6)小括 本件訂正発明と引用発明とは、上記相違点5で相違し、当該相違点は、当業者といえども容易に想到し得るものではない。そうすると、相違点1?4について検討するまでもなく、本件訂正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件訂正発明が容易に発明をすることができたとする他の理由を発見しないし、本件訂正発明及び本件訂正発明を引用する、訂正明細書に記載された本件訂正後の請求項3?6に係る発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができないとする他の理由も発見しない。 よって、訂正明細書に記載された本件訂正後の請求項2?6に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項に規定される訂正要件を満たすものであると認められる。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ウォームギヤの転造加工方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】 円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、再度押し込み前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【請求項3】 請求項2において、 前記ダイスを前記押込み送りを停止させた状態で、前記第1ステップ、及び前記2ステップを交互に行って、前記ウォームギヤの転造加工を行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【請求項4】 請求項2において、 前記転造機は、 4本の連結軸(40)が、互いに平行になるように配置され、かつ第1案内レール(3)、及び第2案内レール(26)と互いに平行になるように配置されており、 前記第1案内レール(3)には、第1転造ダイス(100)を搭載した第1ダイス移動台(6)が移動自在に配置されており、 前記ダイスは、第1転造ダイス(100)及び第2転造ダイス(101)の2台とからなり、 前記第2案内レール(26)には、第2転造ダイス(101)を搭載した第2ダイス移動台(25)が移動自在に配置されており、 前記第1転造ダイス(100)と前記第2転造ダイス(101)は、前記4本の前記連結軸(40)の略中心に配置されたものであり、かつ前記第1転造ダイス(100)及び前記第2転造ダイス(101)の回転軸線が互いに平行して配置されている ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【請求項5】 請求項2において、 前記転造加工中に、前記素材の直径の変化により前記ウォームギヤの進み角が変化して、前記ウォームギヤが軸線方向に移動する歩みが発生するのを、前記素材の移動から検知し、 前記移動が設定された範囲を越えたとき、前記ダイスの回転方向を逆回転させ前記歩みの方向を逆方向にする前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【請求項6】 請求項5において、 前記転造機は、前記ダイスの回転軸線と直交する軸線を中心に回動する主軸傾斜手段とを備えたものであり、 前記歩みを解消するために前記主軸傾斜手段の補正回動角度を演算して、 前記主軸傾斜手段で、前記ダイスを前記補正回動角度量だけ回動させて前記歩みを解消する ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、ウォームギヤの転造加工方法に関し、更に詳しくは、転造加工によって、自動車のハンドル駆動用のウォームギヤ等を転造により加工するためのウォームギヤの転造加工方法に関する。 【背景技術】 【0002】 車両の電動式パワーステアリング装置として、電動モータの回転出力をウォームギヤ機構を介して減速し、ステアリングホイールに連結された出力軸をアシスト駆動するタイプのものが知られている。大きな負荷がかからない軽自動車用のパワーステアリング装置においては、金属製の円筒ウォームギヤと樹脂製のウォームホイールとを組み合わせてウォームギヤ機構として用いたタイプが知られている(例えば、特許文献1)。 【0003】 この金属製のウォームギヤは、精度が要求されるので焼入れ鋼を旋盤加工の後、熱処理し研削仕上げ加工加工により製造されている。旋盤で加工する場合、バイトで切削されるが、生産性を上げるときは円錐形のフライスを使用し、このフライスの軸線をウォーム軸に対してγ(ウォームギヤのピッチ線における進み角)だけ傾けてネジ加工の要領で切削する。 【0004】 しかしながら、このウォームギヤの製作工程は、少なくとも切削、熱処理、研削と大きくは3工程が必要である。また、このための設備も旋盤、熱処理設備、研削盤の少なくとも3台が必要となる。このために加工コストが増大し樹脂製のウォームホイールの利点が十分に発揮できていなかった。 【0005】 また、雄ネジ、ウォームギヤ等を転造するとき、対向して配置された第1転造ダイス、及び第2転造ダイスが互いに接近して押し込み送りを行う。このとき、ウォームギヤの進み角が大きくて、かつ仕上がり直径と素材直径の差が大きいとき、転造加工の進行中に、進み角が変化する現象が「歩み」と呼ばれている。この歩みが発生すると、歩みによるワークの移動方向のネジ山のフランク面と反対側のフランク面との間で丸ダイスの接触が異なり、転造面の仕上がり精度が悪くなる問題がある。この歩みを防ぐために、通常は目視等により第1転造ダイス、又は第2転造ダイスの軸線方向の位相位置を変えることにより補正をすることがある。 【0006】 しかしながら、この補正方法は、雄ネジ、又はウォームギヤの両側に雄ネジ、又はウォームギヤの直径より大きな軸があるような部品の場合、この部分に転造ダイスが干渉するので歩みを防ぐための補正は困難である。又このようなとき、ダイスを正転、又は逆転させて転造させることも行われているが、バックラッシュ等の発生により製品精度の高いものはできないし、生産性も悪い。本出願人は、この歩みを第1転造ダイス、及び第2転造ダイスの回転軸線と直交する軸線の周りで回動する主軸傾斜機構を提案した(特許文献2)。 【0007】 しかしながら、この主軸傾斜機構を用いたものでも、加工開始から加工終了までの径の変化が大きいウォームギヤ等のようなワークでは、歩みの発生を完全には防ぐことができず、これが加工誤差となって現れる。 【0008】 【特許文献1】特開平9-24855号公報 【特許文献2】特開平11-285766号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の目的は、ギヤ精度を十分確保しながら加工工程を減少させたウォームギヤの転造加工方法を提供することを目的とする。 本発明の他の目的は、ギヤ精度を十分確保しながらコストを低減させたウォームギヤの転造加工方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】(削除) 【0011】 本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。 本発明2のウォームギヤの転造方法は、 円筒状の素材を中心に配置して転造加工するための円筒状の複数のダイスと、 前記ダイスの各々を回転駆動するためのサーボモータであるダイス回転駆動手段と、 前記素材を回転自在に支持するための素材支持手段と、 前記ダイスを互いに接近させて押し込むための押込み手段と を備えたCNC装置で制御されるCNC転造機によるウォームギヤ転造加工方法において、 前記ダイスを同一方向に同期回転させながら前記素材に向かって互いに押込み送りをして転造加工する第1ステップ、及び 前記第1ステップの終了後、前記ダイスの回転方向を逆回転させて、前記素材を転造加工する第2ステップと を交互に繰り返してウォームギヤを転造により加工し、 前記ダイスを前記押込み送り方向と逆方向に後退させて待避させた後、再度押し込み前記第2ステップを行う ことを特徴とするウォームギヤ転造加工方法。 【0012】 本発明3のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記ウォームギヤの真円度を向上させるために、前記ダイスを前記押込み送りを停止させた状態で、前記第1ステップ、及び前記2ステップを交合に行って、前記ウォームギヤを転造すると良い。 【0013】 本発明4のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記転造機は、4本の連結軸(40)が、互いに平行になるように配置され、かつ第1案内レール(3)、及び第2案内レール(26)と互いに平行になるように配置されており、 前記第1案内レール(3)には、第1転造ダイス(100)を搭載した第1ダイス移動台(6)が移動自在に配置されており、 前記ダイスは、第1転造ダイス(100)及び第2転造ダイス(101)の2台とからなり、 前記第2案内レール(26)には、第2転造ダイス(101)を搭載した第2ダイス移動台(25)が移動自在に配置されており、 前記第1転造ダイス(100)と前記第2転造ダイス(101)は、前記4本の前記連結軸(40)の略中心に配置されたものであり、かつ前記第1転造ダイス(100)及び前記第2転造ダイス(101)の回転軸線が互いに平行して配置されていることを特徴とする。 【0014】 本発明5のウォームギヤの転造方法は、本発明2において、前記転造加工中に、前記素材の直径の変化により前記ウォームギヤの進み角が変化して、前記ウォームギヤが軸線方向に移動する歩みが発生するのを、前記素材の移動から検知し、 前記移動が設定された範囲を越えたとき、前記ダイスの回転方向を逆回転させ前記歩みの方向を逆方向にする前記第2ステップを行うことを特徴とする。 【0015】 本発明6のウォームギヤの転造方法は、本発明5において、前記転造機は、前記ダイスの回転軸線と直交する軸線を中心に回動する主軸傾斜手段とを備えたものであり、 前記歩みを解消するために前記主軸傾斜手段の補正回動角度を演算して、 前記主軸傾斜手段で、前記ダイスを前記補正回動角度量だけ回動させて前記歩みを解消することを特徴とする。 【発明の効果】 【0016】 本発明のウォームギヤの転造方法の効果(本発明の利点)は、横転位された薄歯のウォームギヤが転造加工により高精度で加工が可能になったので、従来のウォームギヤより加工工程数が少なくでき、しかも加工コストも大幅に低下させることができる、ものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るウォームギヤを転造するための転造機の全体を示す立体外観図である。図2は、図1をII-II線で切断したときの一部断面図である。図3は、転造機の正面図である。図4は、切断平面図である。転造機1は、円筒状のダイスを対向させて配置し素材を塑性変形させて塑性加工する丸ダイス転造機である。通常の丸ダイス転造機は、回転駆動される可動ダイスとこれと連れ回りする固定ダイスとは、その回転軸線が平行になるように対向して配置され、その中間に素材が配置されている。 【0018】 本発明に係るウォームギヤ加工用の転造機1は、加工中は2個の丸ダイスを同期させて同時に同一回転方向に回転駆動するものである。以下、そのための詳細構造について説明する。ベッド2は、転造機1の本体を構成し内部が空洞の構造物の台である(図2参照)。ベッド2は、概ね箱形をしており、鋳物、又は鋼板を溶接して造られたものである。ベッド2の上面には、2本の第1案内レール3が平行にボルト等で固定配置されている。2本の第1案内レール3上には、第1ダイス移動支持台4がリニアベアリングブロック5を介して移動自在に搭載されている。第1ダイス移動支持台4の前面には、第1ダイス移動台6が一体に固定支持されている。同様に、第1ダイス移動台6もリニアベアリングブロック5を介して2本の第1案内レール3上に移動自在に設けられている。 【0019】 第1ダイス移動台6の前面7には、第1丸ダイス支持台8が後述する理由から回動自在に支持されて搭載されている(図3参照)。第1丸ダイス支持台8には、2台の第1丸ダイス軸受9、及び第2丸ダイス軸受10が間隔をおいて配置されている。第1丸ダイス軸受9、及び第2丸ダイス軸受10の間には、第1丸ダイス軸11が水平方向に配置されており、この両端を第1丸ダイス軸受9、及び第2丸ダイス軸受10がそれぞれ支持している。 【0020】 第1丸ダイス支持台8は、第1主軸傾斜機構(図示せず)により、第1丸ダイス軸11の中心軸線と直交する回動軸線を中心にして回動可能である。第1主軸傾斜機構は、第1ダイス移動台6の側面に配置されたギヤと、このギヤと噛み合うサーボモータとで構成されている。第1丸ダイス支持台8を回動駆動するこのサーボモータ142は、後述するCNC装置120(図9参照)により、第1丸ダイス支持台8の回動角度位置を制御する。第1主軸傾斜機構は、後述するネジ、ウォームギヤ等のような螺旋形状を有する部品の加工中に発生する歩み現象による、加工誤差を防ぐための機構である。 【0021】 第2丸ダイス軸受10の端部には歯車箱12が配置され、この歯車箱12内には検出器134(図9参照)が内蔵されている。歯車箱12内の歯車機構は、ユニバーサルジョイント13を介して駆動軸14からの回転を第1丸ダイス軸11に回転を伝達するものである。駆動軸14は、更にユニバーサルジョイント15を介して減速機構16の出力軸(図示せず)に連結されている。減速機構16は、ブラケット18により支持固定されている。 【0022】 ブラケット18は、駆動機構支持台20の上に搭載されている。駆動機構支持台20は、ベッド2の側面の中央部に隣接してベッド2と一体に固定配置されている。減速機構16の入力軸(図示せず)には、サーボモータ17の出力軸が連結されている。結局、サーボモータ17の回転出力は、減速機構16により減速され、更にユニバーサルジョイント15、駆動軸14、ユニバーサルジョイント13、及び歯車箱12内の歯車機構を介して、第1丸ダイス軸11を回転速度指令に従って回転駆動する。サーボモータ17の回転出力の制御は、後述するCNC装置120により行う。 【0023】 サーボモータ17の回転駆動を第1丸ダイス軸11に伝達するために、2個のユニバーサルジョイント15、及びユニバーサルジョイント13から構成される回転駆動伝達機構を採用した。サーボモータ17が駆動機構支持台20上に固定されているのに対し、第1丸ダイス軸11が2本の第1案内レール3の上を第1ダイス移動台6が移動するので位置が一定しないので、通常の継手構造では円滑に回転を伝達できない。ユニバーサルジョイント13,15を用いたこの回転駆動伝達機構は、円滑にかつ等速度でサーボモータ17の回転を第1丸ダイス軸11に伝達する機能を果たす。 【0024】 他方、第1ダイス移動台6と対向するベッド2上の位置には、第2ダイス移動台25が配置されている。ベッド2の上面には、2本の第2案内レール26がボルト等で固定配置されている。第2案内レール26は、第1ダイス移動台6を案内する2本の第1案内レール3を直線上で延長した位置に配置されている(図4参照)。2本の第2案内レール26上には、第2ダイス移動台25がリニアベアリングブロック27を介して移動自在に搭載されている(図3参照)。 【0025】 第2ダイス移動台25の前面28には、第2丸ダイス支持台29が後述する理由から中心0を中心として回動自在に支持されて搭載されている(図5参照)。第2丸ダイス支持台29には、2台の第3丸ダイス軸受30、及び第4丸ダイス軸受31が間隔をおいて配置されている(図2参照)。第3丸ダイス軸受30、及び第4丸ダイス軸受31の間には、第2丸ダイス軸32が水平方向に向いて配置されており、この両端を第3丸ダイス軸受30、及び第4丸ダイス軸受31がそれぞれ回転自在に支持している。 【0026】 第2丸ダイス支持台29は、第2主軸傾斜機構(図示せず)により、第2丸ダイス軸32の中心軸線と直交する回動軸線Oを中心に角度+α、又は-αだけ回動する(図5参照)。第2主軸傾斜機構は、第2ダイス移動台25の側面に配置されたギヤと、このギヤと噛み合うサーボモータとで構成されている。第2丸ダイス支持台29を駆動するこのサーボモータ147は、後述するCNC装置120により、第2丸ダイス支持台29の位置を制御する(図9参照)。第2主軸傾斜機構は、後述するネジ、ウォーム等のような螺旋構造を有する部品の形状精度に影響する歩み現象による誤差を防ぐための機構である。 【0027】 第4丸ダイス軸受31の端部には、歯車箱33が配置され、歯車箱33内には回転検出機構(図示せず)が内蔵されている。歯車箱33内の歯車機構は、ユニバーサルジョイント34を介して駆動軸35からの回転を第2丸ダイス軸32に伝達するものである。駆動軸35は、更にユニバーサルジョイント36を介して減速機構37の出力軸(図示せず)に連結されている。減速機構37は、前述したブラケット18により支持固定されている。 【0028】 減速機構37の入力軸には、サーボモータ38の出力軸が連結されている。結局、サーボモータ38の回転出力は、減速機構37により減速され、ユニバーサルジョイント36、駆動軸35、ユニバーサルジョイント34、及び歯車箱33内の歯車機構を介して、第2丸ダイス軸32をCNC装置120(図9参照)の指令に従って制御される。 【0029】 第1ダイス移動支持台4と第1ダイス移動台6の外周の4隅には、軸固定部41が配置されている。軸固定部41には、4本の連結軸40の一端が固定されている。4本の連結軸40は、互いに平行になるように配置され、かつ第1案内レール3、及び第2案内レール26と互いに平行になるように配置されている。4本の連結軸40には、第2ダイス移動台25の外周の4隅にガイド部42が配置され、ガイド部42に組み込まれた軸受を介して移動自在に第2ダイス移動台25を支持している。 【0030】 [ダイス送り装置49] 図6は、ダイス送り装置の概略機構を示す転造機の略平面図である。以上の説明で理解されるように、第2ダイス移動台25は、第2案内レール26と4本の連結軸40に案内されて、第1ダイス移動台6に対して相対的に接近、又は離反移動が可能である。連結軸40の他端は、圧力プレート45に連結固定されている。圧力プレート45には、油圧シリンダから構成される油圧シリンダ50が固定されている。油圧シリンダ50は、ピストンの伸長位置を高精度で制御できるサーボバルブを備えたものである。油圧シリンダ50の出力軸であるピストンロッド51の先端は、第2ダイス移動台25の背面52に固定されている。 【0031】 油圧シリンダ50に油圧を導入して駆動すると、ピストンロッド51が伸長する。油圧シリンダ50は圧力プレート45とに固定され、かつ圧力プレート45と第1ダイス移動台6は連結軸40により互いに連結されているので、ピストンロッド51の伸長により第1ダイス移動台6と第2ダイス移動台25とは互いに接近する。 【0032】 図6に示すように、第2ダイス移動台25の移動方向と同一方向に向けてラック91が配置され、このラック91の一端が第2ダイス移動台25が固定されている。圧力プレート45には、ラック90の一端が固定されている。ラック90とラック91は、互いに平行になるように配置されている。 【0033】 ラック90とラック91は、ピニオン93に噛み合っている。ピニオン93のピニオン軸94は、ベッド2に回転自在に設けられている。結局、油圧シリンダ50を駆動すると、ピストンロッド51が伸長する。油圧シリンダ50は圧力プレート45とに固定され、かつ圧力プレート45と第1ダイス移動台6は連結軸40により互いに連結されているので、ピストンロッド51の伸長により第1ダイス移動台6と第2ダイス移動台25とは互いに接近又は離反する。 【0034】 このとき、ピニオン軸94はベッド2に回転自在支持されているので回転はするが移動しない。この結果、第1ダイス移動台6と第2ダイス移動台25の間の間隔の中心位置は、常にベッド2上の一定位置に位置されることになる。この一定位置にワーク(工作物)の中心軸線を一致させると、ワークの加工精度が向上すると共に、転造機1へのワークの供給、及び排除等が容易となる。 【0035】 第1ダイス移動台6と第2ダイス移動台25の間の間隔は、第2ダイス移動台25に配置された後述する移動台間隔計測手段により、計測される。移動台間隔計測手段は、第2ダイス移動台25の上部に固定されたリニアスケール111、リニアスケール111の磁気目盛りを読みとるためのセンサー(図示せず)、センサーを固定した棒状のセンサー台110等からなる(図4参照)。 【0036】 センサー台110の一端は、第1ダイス移動台6に固定されている。従って、第1ダイス移動台6と第2ダイス移動台25が相対移動すれば、センサーはリニアスケール111の磁気目盛りを読み取り、その間の間隔を読みとることができる。以上のような、転造機1の第1丸ダイス軸11、及び第2丸ダイス軸32の回転駆動、及び各転造ダイスの移動は後述するCNC装置120で同期制御、又は非同期制御される。 【0037】 [ワーク送り装置59] 図7は、工作物であるワークWを支持し送るためのワーク送り装置59の側面図である。前述した第1丸ダイス軸11、及び第2丸ダイス軸32には、第1転造ダイス100、第2転造ダイス101がキー固定されている。基板61上には1本のリニアレール58がボルトにより固定されている。2台のリニアブロック57は、リニアレール58の上に移動自在に搭載されている。 【0038】 2個のリニアブロック57の両側面には、ワーク長さ調整板89がそれぞれ掛け渡され、ボルトにより相互に連結固定されている。更に、ワーク長さ調整板89の上面には、それぞれスライド押え54がボルトにより固定されている。2枚のスライド押え54の間には、これに案内されてスライド板55が摺動自在に設けられている。スライド押え54にガイドされて移動するスライド板55の移動範囲は、転造加工中に移動するものであり設定された移動範囲のみである。 【0039】 結局のところ、リニアブロック57、ワーク長さ調整板89、スライド押え54、及びスライド板55により、送り台53を構成する。スライド板55の上面には、心押台60が固定されている。心押台60には、ウォームギヤの素材、又はワークWを回転自在に支持するセンタ62が挿入固定されている。心押台60には、スライド板55の移動範囲を決めるセンサードッグ63がボルト64により固定されている。センサードッグ63の移動を検知する前進位置検出センサ79は、基板61上に固定されている。 【0040】 スライド板55には、心押台60と対向してチャック台65が配置固定されている。チャック台65には、センタ支持軸67が設けられており、このセンタ支持軸67に軸受68を介して回転自在に回転センタ66が回転自在に支持されている。一方、チャック台65の背面には、センタ支持軸67を軸線方向に移動自在に駆動するためのチャック用空圧シリンダ69がボルト70により固定されている。空気圧で作動するチャック用空圧シリンダ69のピストンロッドは、センタ支持軸67に連結されている。 【0041】 従って、チャック用空圧シリンダ69を作動させると、センタ支持軸67、及び回転センタ66が軸線方向に伸張、又は縮み駆動されて、素材、又はワークWを回転センタ66、及びセンタ62の間に取り付け、又は取り外すことができる。リニアブロック57には、ナット72が固定されている。ナット72には、送りネジ73がねじ込まれている。送りネジ73の一端は、回転継手であるカップリング74を介してサーボモータ76の出力軸77に連結されている。 【0042】 従って、サーボモータ76を駆動すると、送りネジ73が回転駆動され送り台53がリニアレール58上を移動し、その位置が制御されることになる。チャック台65上には、センサードッグ71がボルト78で固定されている。センサードッグ71の移動を検知する後退位置検出センサ75は、基板61に固定されている。従って、前進位置検出センサ79はワークWの前進位置を検出し、後退位置検出センサ75はワークWの後退位置を検出する。 【0043】 チャック台65の側面には、磁気スケールであるリニアスケール99が配置固定されている。リニアスケール99の移動は、固定された読取装置(図示せず)で読みとられ、移動が検知される。従って、このリニアスケール99の移動を検知することによりワークWの移動が検出されることになる。 【0044】 転造加工が進行すると、前述したウォームギヤであるワークWの進み角が変化し誤差となる。この誤差がなければワークWは後述するように理論上は軸線方向に移動することはない。この誤差がワークが軸線方向に移動する歩み量となって発生する。リニアスケール99の移動は、センサーにより読みとられ、このデータは歩み量検出プログラム160(図9参照)により、歩み量として計算される。 【0045】 即ち、ワークWに螺旋溝を転造する場合、第1転造ダイス100、第2転造ダイス101をワークWに向かって、少しずつ互いに接近するように押し込むにつれ、ワークWのネジ溝の谷径が小さくなる。そのためにワークWの押込み開始時に比べて押込み完了時には、ワークWの谷部の円周長さが短くなる。言い換えると、ワークWの円周長さとピッチとの関係が、転造開始時と転造加工終了時とでは異なる。 【0046】 ワークWの円周長は、押込み開始時の円周長をL、ウォームギヤの進み角(ねじれ角)をβで一定とすれば、幾何学的には押込み完了時には円周長Lは、直径が小さくなった量だけ短くなる。しかしながら従来の転造機は、この押込み動作中は丸ダイスのリード角(ねじれ角)βは変わらない。このため、押込み開始時のワークWのピッチPと、押込み完了時のワークWのピッチP1との間にはピッチのズレδPが発生する。 【0047】 このピッチのズレδP分だけ転造中にワークWがその中心軸線方向に移動する現象が発生する。この転造中にワークWが移動する現象をワークWの「歩み」と呼んでいる。特に、外径と谷径が大きいウォームギヤ、ネジのようなワークWの場合にこの現象が顕著に現れる。歩みが発生すると、歩みによるワークWの移動方向のウォームギヤ、ネジ山のフランク面が丸ダイスである第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101に強く接触することになる。この結果、転造加工された加工部品の加工精度である形状精度を悪くしている。 【0048】 前述した第1主軸傾斜機構、及び第2主軸傾斜機構は、ウォームギヤ、ネジのような製品の形状精度に影響する歩みを防ぐための機構であり、押込み中にリード角をワークの円周長さによって補正する。なお、補正により加工されるワークの進み角が変わるが、僅かな量のために形状精度に大きく影響することはなく、補正しない場合より誤差が少なく充分に公差の範囲内に収まる。 【0049】 [CNC装置120] 図9は、CNC装置120、及び各制御モータ等の構成を示すブロック図である。CNC装置120は、NC専用機や、個人用小型コンピュータ(以下、パソコンという)の拡張スロットにサーボモータの制御、シーケンス制御等を行うNCボード等を装備して数値制御機能とパソコン機能とを有するいわゆるパソコンNC装置が使用できる。CNC装置120には、種々のデータ処理を行う情報処理手段としてのCPU121が設けられており、CPU121にはバス122を介して主記憶装置としてフラッシュメモリ123、及びRAM124が接続されている。 【0050】 CPU121は、フラッシュメモリ123に記憶されているシステムプログラム、及びデータと、RAM124にロード(メモリ中に読み込むこと)されたプログラム、及びデータに従って動作する。このようにRAM124にロードされるプログラムとしては、基本プログラムであるOS(オペレーティング・システム)や、数多くあるNC指令の各NC指令に応じた処理を行うNC指令処理プログラム、工具・工作物データ設定プログラム、計測寸法演算プログラム125、傾斜角度演算プログラム126、計測データ設定プログラム127、歩み量検出プログラム160、表示部130に対して文字や図形の表示を行う表示制御プログラム等がある。 【0051】 計測寸法演算プログラム125は、リニアスケール111をセンサーで読み取った第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の間隔、検出器134、検出器137等のデータから、転造加工のための押込み速度を決めるために時々刻々演算するプログラムである。この演算結果は、NC加工プログラムメモリ129のNC加工プログラムによりダイス間隔制御部150に指令され実行される。 【0052】 傾斜角度演算プログラム126は、歩み量検出プログラム160で計測された歩み量、及び計測寸法演算プログラム125で計測された第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の間隔等から、第1主軸傾斜機構、及び第2主軸傾斜機構の傾斜角度を時々刻々演算するためのプログラムである。この演算結果は、NC加工プログラムメモリ129のNC加工プログラムにより、第1主軸傾斜機構の傾斜制御部140、及び第2主軸傾斜機構の傾斜制御部145に指令される。計測データ設定プログラム127は、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の寸法、ワークWの寸法等を設定するための設定データをメモリ中に記憶するためのプログラムである。 【0053】 歩み量検出プログラム160は、リニアスケール99を読み込んで得られたデータから歩み量を計測するためのプログラムである。CPU121にはバス122を介してパラメータメモリ128が接続されている。パラメータメモリ128には、転造加工に必要な各種パラメータを記憶しておく。パラメータメモリ128は、不揮発メモリを使用することによりCNC装置120の電源をオフにしても記憶内容を保持しておくことができる。 さらに、CPU121にはバス122を介してNC加工プログラムメモリ129等が接続されている。NC加工プログラムメモリ129には、ワークWを加工位置、又は待避位置までの移動、ワークWを加工するときの第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の回転速度・回転量、第1主軸傾斜機構、及び第2主軸傾斜機構の傾斜角度、両ダイスの間隔等、を順次制御して転造加工を行うためのNC加工プログラムが記憶されている。NC加工プログラムは、オペレータがワークWの種類、材質、形状により、加工条件、各ダイスの回転速度、移動速度、送り量等をプログラムしたものである。 【0054】 また、CPU121にはバス122を介して入出力機器が接続されている。入出力機器としては、文字、及び図形を表示する表示部130、作業者がデータを入力するための入力部131がインターフェース回路を介してバス122に接続されている。表示部130としてはCRT、EL表示パネルや液晶ディスプレイ等が使用でき、入力部131としてはキーボード、表示部130と一体に組み合わせたタッチパネル等が使用できる。 【0055】 また、CPU121には、バス122を介して補助記憶装置としての固定ディスク装置を接続するようにしてもよい。その場合、固定ディスク装置にはCPU121によって実行されるべき種々のプログラム等を記憶しておき、適宜、これらのプログラム等を固定ディスク装置からRAM124やNC加工プログラムメモリ129にロードすればよい。 【0056】 CNC装置120は、第1転造ダイス100の主軸回転制御部132、アンプ133を介して第1転造ダイス100を回転駆動するサーボモータ17に接続されている。サーボモータ17の回転速度は検出器134を介してアンプ133にフィードバックされ、所定の回転速度が維持される。従って、第1転造ダイス100の軸回りの角度位置は、検出器134から主軸回転制御部132にフィードバックされ、第1転造ダイス100を所望の回転速度、角度位置の制御が可能である。 【0057】 同様にCNC装置120は、第2転造ダイス101の回転制御部135、アンプ136を介して第1転造ダイス100を回転駆動するサーボモータ38に接続されている。サーボモータ38の回転速度は、検出器137を介してアンプ136にフィードバックされ、所定の回転速度に制御される。従って、第2転造ダイス101の軸回りの角度位置は、検出器137から主軸回転制御部132にフィードバックされ、第2転造ダイス101を所望の回転速度、角度位置に制御に制御される。 【0058】 更に、CNC装置120は、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101を傾けるための第1主軸傾斜機構のサーボモータ142、及び第2主軸傾斜機構のサーボモータ147に接続されており、それぞれ制御する。即ち、CNC装置120は、第1転造ダイス100の傾斜制御部140、アンプ141を介して第1転造ダイス100の回動を制御するサーボモータ142に接続されている。サーボモータ142の回転は、検出器143を介してアンプ141にフィードバックされ、所定の傾斜角度が維持される。従って、第1転造ダイス100を傾斜させるための回動角度位置は、検出器143から傾斜制御部140にフィードバックされ、第1転造ダイス100を傾斜のために所望の回動角度位置に位置決めすることが可能である。 【0059】 同様に、CNC装置120は、第2転造ダイス101の傾斜制御部145、アンプ146を介して第2転造ダイス101の傾斜のための回動角度位置を制御するサーボモータ147に接続されている。サーボモータ147の回転は、検出器148を介してアンプ146にフィードバックされ、所定の傾斜角度に制御される。従って、第2転造ダイス101の回動角度位置は、検出器148から傾斜制御部145にフィードバックされ、第2転造ダイス101を傾斜のために所望の回動角度位置に位置決めすることが可能である。 【0060】 更に、CNC装置120は、油圧シリンダ50のサーボバルブ152の弁の開閉をオンオフ制御することにより、第1転造ダイス100と第2転造ダイス101との間の間隔を制御する。このために、CNC装置120は、ダイス間隔制御部150、アンプ151を介して油圧シリンダ50を制御するサーボバルブ152に接続されている。本例では、この位置決め精度は、100KNの負荷において4?5μm程度である。 【0061】 CNC装置120は、ワーク送り装置59の位置決め制御部153、アンプ154を介してワークWの位置を制御するサーボモータ76に接続されている。サーボモータ76の回転は、検出器155を介してアンプ154にフィードバックされ、所定の転造開始位置に送られる。後退位置検出センサ75は、ワークWを転造するときの最後退位置を検知するためのものである。前進位置検出センサ79は、ワークWを転造するときの最前進位置を検知するためのものである。以上説明した各駆動軸は、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の同期回転を除いて独立して制御される。ただし、制御機能に余力があるときは、同期制御するものであっても良い。 【0062】 心押台60の側面には、前述したようにリニアスケール99が配置されている。歩み量検出プログラム160は、リニアスケール99の読みとりにより、転造加工開始以降の歩み量を演算するためのプログラムである。歩み量検出プログラム160は、ワークWを心押台60とチャック台65との間でクランプした状態で、かつ転造開始以降のワークWのあゆみ量を演算する。 【0063】 [ウォームギヤの転造加工方法1] 以上のような転造機1、及びワーク送り装置において、車両の電動式パワーステアリング装置のアシストのためのウォームギヤ機構で使用されるウォームギヤを例にして、その転造加工方法を説明する。図8(a)は、ウォームギヤの中心線を含む面で切断したときのウォームギヤ歯の断面図である。このウォームギヤ80は、ピッチ線を含む断面81の円周位置でみると、通常のウオームギヤに比して歯厚82は歯溝83より薄く形成されている。 【0064】 この理由は、このウォームギヤ80に噛み合うウオームホイール(図示せず)が合成樹脂製であるから機械的な強度が弱いので、ウォームホイールの歯厚を厚くするためである。歯底は、断面で二つの螺旋状の傾斜面84が交差するように角度αに形成されている。本例では、角度αは、150度である。本発明のウォームギヤの転造加工方法では、ピッチ円で18?20mm、モジュール1.5?2.0、ウォームの条数が2、又は3のものにおいて、角度αは、機械構造用炭素鋼(例えば、S45C等)であれば、塑性流れを円滑するという観点から120度?150度の範囲が好ましい。また、歯高は6mm以内、谷径で10mm以上が好ましい。この数値範囲を外れると、表面から素材が剥離する等の現象が発生する。 【0065】 この角度αで交差する二つの傾斜面84が交差し、歯底の中間が最も直径が小さく形成されている。歯面88と傾斜面84との間は、曲面85で接続されている。二つの傾斜面84、即ち円錐面の間も曲面86で接続されている。前述した仕様のウォームギヤの曲面86は、断面で半径1.0?1.5mmが塑性流れを円滑するという観点から好ましい。この歯底は、工具側からみればテーパ状の凸部を有し、塑性流動が均等に起こりやすく転造が円滑である。即ち、歯底が二つの円錐面である傾斜面84が交差した形状、即ち先端が角度を有したものなので、先端部の両面で分配された金属の塑性流動が生じやすくかつ均等になる。 【0066】 図8(b)は、図8(a)のものとは歯溝の形状が異なる他のウォームギヤ歯の断面図である。図8(b)に示す歯溝83の歯底87は、断面で半径R1の円弧を成す形状である。図8(b)に示す歯底87形状は、歯底87に円弧、転造ダイス側でいえば凸状の円弧に形成されているので、図8(a)の歯底形状に比べて素材の自然な塑性流動が生じやすい利点がある。機械構造用炭素鋼で歯底87の半径R1は、断面で半径1.0?1.5mmが塑性流れを円滑するという観点から好ましい。 【0067】 図10(a)ないし図12(f)は、ウォームギヤの転造加工の工程順序を示すものである。中実で円筒状のワークWの素材Mのチャッキング位置で、チャック用空圧シリンダ69を作動させて、素材Mをセンタ62と回転センタ66との間で挟んで保持する。第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101との回転を停止中に、サーボモータ76を起動して、送りネジ73を回転させてスライド板55を駆動し、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101側に送り(図10(a)参照)、更に加工開始位置まで送る(図10(b)参照)。 【0068】 第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101は、所定位置に位置決めされている。第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101を同一回転方向に回転するように起動させ、かつ互いに同期回転させる。第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101が互いに同期回転しながら、油圧シリンダ50を駆動させて、互いに接近するように押込みを行う。この押し込みにより、転造加工が開始される。 【0069】 このとき、加工しようとするウォームギヤの進み角(通常は、ピッチ点における進み角をいう。)が強くて、仕上がり直径と素材直径の差が大きいとき、転造開始位置と転造終了位置との間の転造進行中に進み角が変化し誤差となる。この誤差が前述した歩みである。転造加工が開始されると、この歩みが発生してスライド板55が移動する。スライド板55は、送り台53の上を自由に摺動可能であるため、転造中のワークWは第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の回転を厳密に同期させて回転制御したとしても、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101のリード角は一定であるので、前述したウォームギヤの進み角、及びこの回転数に応じた移動量、即ち歩み量だけその軸線方向に移動を行う。 【0070】 転造加工が進んで、スライド板55が歩みにより所定量送られると、センサードッグ63が前進位置検出センサ79により検知される。又は、歩みによるワークWの前進位置の検知は、リニアスケール99により検知しても良い。これが検知されると、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101は、回転を停止し、かつ油圧シリンダ50による押込み動作が停止される。更に、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101は、互いに押込み方向とは逆方向に後退する。本例では、約0.05?0.2mm程度の後退させて、即ち転造の押し付け圧力が除かれる程度の後退させて解除する。 【0071】 この後退は、素材Mの弾性変形分と転造機の機械系の弾性変形分を解放して、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101と素材Mとを接触をさせないための後退動作である(以下、「スプリングバック」とも言う。)。この後、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101を転造加工位置まで再度押し込み(切込み動作)、逆回転を開始する(図11(d)参照)。押し込み(切込み動作)は、前述した仕様のウォームギヤで、5?30段階で段階的に変化させながら切込む方法を採用している。後述するように、必要に応じてこの段階に間欠的に後述するドウエルを入れて転造加工を行う。 【0072】 この逆回転による転造加工により、歩みによる加工誤差をも補正することになる。この誤差の補正原理の詳細なメカニズムは不明であるが、ワークWとダイスとの接触を均一化するためとも推定される。この転造加工により、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101のリードにより、ワークWは前述した転造とは逆方向の軸線方向に移動し、センサードッグ71が後退位置検出センサ75により検知される。又は、歩みによるワークWの後退位置の検知は、リニアスケール99により検知しても良い。 【0073】 次に、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の回転を停止させて、かつ油圧シリンダ50を駆動して、ワークWから第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101を引き離して待避位置まで後退する(図12(e)参照)。サーボモータ76を起動して、送りネジ73を逆回転させて送り台53を駆動し、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101から離れる方向に送り、元の加工開始位置まで送る(図10(f)参照)。以後、同様の工程を繰り返して転造を行う。前述した仕様のウォームギヤの場合、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の回転速度が10?40rev/minで、正転/逆転の回数で15回?50回の繰り返しを行う。 【0074】 第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101が素材Mの転造を開始すると、素材Mとの接触は素材Mの全ての外周位置で均一ではない。即ち、ウォームギヤは、通常は2条、又は3条の歯が形成されているが、これと同時に噛み合う第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101歯の組数は外周の角度位置で異なる。言い換えると、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101が素材Mの外周を押圧する力は一定であるので、塑性流れが外周の角度位置で異なり2条の歯の場合は断面形状で楕円形、3条の場合は略三角形に形成され易い。 【0075】 この形状を修正するために、油圧シリンダ50による押し込み動作(送り動作)を停止させ、第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101が互いに接近する動作による押込み動作を停止させた状態(ドウエル)で、正転/逆転の回数でいうと2回?5回転造を行うと、前述した断面形状で楕円形、略三角形になろうとするピッチ円筒径、外径が真円に転造される。この転造方法により、前述した仕様のウォームギヤで、このドウエル工程を入れないときは、ピッチ円筒径、外径の誤差で0.2?0.3mmの異形になってしまうものが0.02mm以内の誤差で転造できた。この2?3回のドウエル動作は、押し込み(切込み動作)の何れかの段階に間欠的に入れて転造加工を行う。 【0076】 [ウォームギヤの転造加工方法2] 前記したウォームギヤの転造加工方法1は、ワークの歩みによる誤差の補正を第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101を逆転させることにより行った。しかしながら、傾斜角度演算プログラム126の演算結果により、サーボモータ142、サーボモータ147を制御して第1転造ダイス100、及び第2転造ダイス101の傾斜を制御し、歩みの補正をする。このように歩みが発生しないように、又は歩み量が一定値以下になるように制御されながら転造を進行させる方法であっても良い。 【産業上の利用可能性】 【0077】 本発明は、前述した自動車の電動式パワーステアリング装置に使用されるウォームギヤとその転造加工方法に限らず、他の産業機械、民生機械用の動力伝達用として金属製のウォームギヤとその転造加工方法に適用できる。 【図面の簡単な説明】 【0078】 【図1】図1は、本発明に係るウォームギヤを転造するための転造機の全体を示す立体外観図である。 【図2】図2は、図1をII-II線で切断したときの一部断面図である。 【図3】図3は、転造機の正面図である。 【図4】図4は、転造機の平面図である。 【図5】図5は、第2ダイス移動台の左側面図である。 【図6】図6は、ダイス送り装置の概略機構を示す転造機の平面図である。 【図7】図7は、工作物であるワークを支持し送るためのワーク送り装置の側面図である。 【図8】図8(a)はウォームギヤの歯形の断面図であり、図8(b)は図8(a)の歯溝の形状が異なる他のウォームギヤ歯の断面図である。 【図9】図9は、CNC装置、及び各制御モータ等の構成を示すブロック図である。 【図10】図10(a)?(b)は、ウオームギヤを転造加工するときの工程を示す工程図である。 【図11】図11(c)?(d)は、ウオームギヤを転造加工するときの工程を示す工程図である。 【図12】図12(e)?(f)は、ウオームギヤを転造加工するときの工程を示す工程図である。 【符号の説明】 【0079】 1…転造機 2…ベッド 3…第1案内レール 4…第1ダイス移動支持台 6…第1ダイス移動台 8…第1丸ダイス支持台 20…駆動機構支持台 25…第2ダイス移動台 26…第2案内レール 29…第2丸ダイス支持台 40…連結軸 59…ワーク送り装置 100…第1転造ダイス 101…第2転造ダイス 142…サーボモータ 120…CNC装置 100…第1転造ダイス 101…第2転造ダイス |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2016-04-27 |
結審通知日 | 2016-05-02 |
審決日 | 2016-05-13 |
出願番号 | 特願2003-506673(P2003-506673) |
審決分類 |
P
1
41・
856-
Y
(B21H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小松 竜一 |
特許庁審判長 |
西村 泰英 |
特許庁審判官 |
落合 弘之 平岩 正一 |
登録日 | 2006-10-27 |
登録番号 | 特許第3873056号(P3873056) |
発明の名称 | ウォームギヤの転造加工方法 |
代理人 | 富崎 元成 |
代理人 | 町田 光信 |
代理人 | 町田 光信 |
代理人 | 富崎 元成 |