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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61G |
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管理番号 | 1355819 |
審判番号 | 不服2017-12815 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-30 |
確定日 | 2019-10-16 |
事件の表示 | 特願2013-84215号「ベッド操作装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日出願公開、特開2014-204846号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年4月12日の出願であって、平成28年8月29日付けで拒絶理由が通知され、同年11月7日に意見書、手続補正書及び上申書が提出され、平成29年4月20日に面接記録(面接日同年4月20日)が作成され、同年5月19日及び22日に応対記録が作成され、同年5月22日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、同年8月30日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年9月22日に上申書が提出され、平成30年7月30日に面接記録(面接日同年7月30日)が作成されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?7に係る発明は、平成28年11月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「 【請求項1】 背上げ動作、足上げ動作、昇降動作といった少なくとも何れか一つのベッド動作を、駆動装置を制御することにより実行させるベッド装置に接続されるベッド操作装置において、 前記ベッド操作装置は、通電されると待機状態となり、 操作入力を行う為の複数の操作入力手段と、 前記操作入力手段が選択されている状態を検出する選択状態検出手段と、 前記選択状態検出手段により選択された状態が解除されたことを検出する選択解除検出手段と、 前記選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したときに、前記ベッド操作装置を前記待機状態から、操作可能状態に遷移させる遷移手段と、 前記ベッド操作装置が操作可能状態のときに、前記操作入力手段による操作入力に基づいて、前記駆動装置を制御することにより、ベッド動作の制御を行うベッド動作制御手段と、 を備えることを特徴とするベッド操作装置。」 第3 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 [理由1] この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [刊行物] 1.特開2002-99303号公報(以下、「引用文献1」という。) 第4 引用文献 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用され本願の出願日前に頒布された、上記引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が加筆した。以下、同様である。)。 (1a) 「【請求項1】アクチュエータに電源を投入する際の制御方法において、 電源を投入した際、リモコンの任意のキーが押され、 このキーを解放にした後に、アクチュエータを起動するように設定したことを特徴とするアクチュエータの制御方法。」 (1b) 「【0003】図2において、介護用ベッド1は、中央部で屈曲可能なベッド本体2と、このベッド本体2の下部に設けられた足部3内に配置され、ベッド本体2の昇降動作、あるいは、ベッド本体2の上半身部の昇降動作させるアクチュエータ4と、このアクチュエータ4にケーブル5によって接続され、アクチュエータ4の動作を操作、制御するリモコン6等で構成されている。」 (1c) 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来のアクチュエータの制御方法において、例えばリモコンのキー上に物が誤って置かれ、ボタンが押された状態になった場合、このときに電源が投入されると、アクチュエータが作動する。この結果、ベッド等、アクチュエータによって稼働されている装置に人や物が挟まれる等の危険性が生じる。すなわち、安全上、問題が生じる。」 (1d) 「【0008】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明によれば、電源を投入した際、あるいは投入した後に、リモコンの任意のキーが押された状態にし、その後、このキーを解放した時に、アクチュエータを起動するように設定したことを特徴とするアクチュエータの制御方法を提供する。」 (1e) 「【0010】 【発明の実施の形態】本発明における実施例を介護用ベッドに使用されるアクチュエータの制御方法を例に図1?図2を用いて説明する。図1は、本発明における電源投入からアクチュエータの起動までのフローチャート図である。 【0011】図1および図2において、電源を投入する際にリモコン6の任意のキー6aが押されているか、あるいはキー6aが押されたか確認する。(STEP1) 【0012】次に、リモコン6のキー6aが押されている時、あるいは押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認する。(STEP2) 【0013】キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機する。そして、リモコン6のキー6aが解放されたときに、アクチュエータ4を起動する。あるいは、キー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する。(STEP3) 【0014】以上の方法により、誤ってリモコンのキーの上に物が置いてあっても、アクチュエータが起動することがなく、安全性を向上させることができる。」 (1f) 「【0015】 【発明の効果】本発明の制御方法を用いることによって、電源を投入する時の介護用ベッド等の機器の安全性を向上させることができる。」 (1g) 図1及び2は、次のとおりである。 ![]() (2)引用文献1に記載された発明 ア 摘記(1e)の段落【0011】の「図1および図2において、電源を投入する際にリモコン6の任意のキー6aが押されているか、あるいはキー6aが押されたか確認する。(STEP1)」という記載について、摘記(1d)の段落【0008】には、「電源を投入した際、あるいは投入した後に、リモコンの任意のキーが押された状態にし、」と記載されていること、及び、図1において、電源ONの後にキー入力されているか否かを確認していることを併せて参照すると、上記「STEP1」の記載は、「電源を投入した際にリモコン6の任意のキー6aが押されているか確認する(STEP1)。」こと、あるいは、「電源を投入した後に、リモコンの任意のキー6aが押されたか確認する。(STEP1)」ことであると理解できる。 したがって、上記「STEP1」に関する記載は、少なくとも、「電源を投入した後に、リモコンの任意のキー6aが押されたか確認する。(STEP1)」構成として特定することができる。 イ 摘記(1e)の段落【0012】の「次に、リモコン6のキー6aが押されている時、あるいは押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認する。(STEP2)」という記載は、「次に、リモコン6のキー6aが押されている時、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認する。(STEP2)」こと、あるいは、「次に、リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認する。(STEP2)」ことであると理解できる。 そして、上記アの構成の特定を踏まえると、上記「STEP2」に関する記載は、「次に、リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認する。(STEP2)」構成として特定することができる。 ウ 摘記(1e)の段落【0013】の「キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機する。そして、リモコン6のキー6aが解放されたときに、アクチュエータ4を起動する。あるいは、キー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する。(STEP3)」という記載は、「キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機する。そして、リモコン6のキー6aが解放されたときに、アクチュエータ4を起動する。(STEP3)」こと、あるいは、「キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機する。そして、リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する。(STEP3)」ことであると理解できる。 したがって、上記「STEP3」に関する記載は、少なくとも、「キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機する。そして、リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する。(STEP3)」構成として特定することができる。 エ 上記ア?ウ、摘記(1b)、(1d)、(1e)及び図1、2(摘記(1g)参照)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明] 「中央部で屈曲可能なベッド本体2と、このベッド本体2の下部に設けられた足部3内に配置され、ベッド本体2の昇降動作、あるいは、ベッド本体2の上半身部の昇降動作させるアクチュエータ4と、このアクチュエータ4にケーブル5によって接続され、アクチュエータ4の動作を操作、制御するリモコン6等で構成されている介護用ベッド1のリモコン6において、 電源を投入した後に、リモコン6の任意のキー6aが押されたか確認し(STEP1)、 リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認し(STEP2)、 キー6aが解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機し、 リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する(STEP3)、 リモコン6。」 第5 対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1) ア 引用発明の「ベッド本体2の昇降動作」及び「ベッド本体2の上半身部の昇降動作」は、それぞれ、本願発明の「昇降動作」といった「ベッド動作」及び「背上げ動作」といった「ベッド動作」に相当する。 イ 引用発明の「アクチュエータ4」、「介護用ベッド1」及び「リモコン6」は、それぞれ、本願発明の「駆動装置」、「ベッド装置」及び「ベッド操作装置」に相当する。 ウ 引用発明において、「アクチュエータ4」は、「介護用ベッド1」の構成の一つであることから、「アクチュエータ4にケーブル5によって接続され」る「介護用ベッド1のリモコン6」は、「介護用ベッド1」に「接続され」る「介護用ベッド1のリモコン6」であるといえる。 したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「介護用ベッド1のリモコン6」は、本願発明の「ベッド装置に接続されるベッド操作装置」に相当する。 エ 引用発明の「アクチュエータ4の動作を操作、制御する」ことは、上記イを踏まえると、本願発明の「駆動装置を制御する」ことに相当する。 オ 上記ア?エを踏まえると、引用発明の「中央部で屈曲可能なベッド本体2と、このベッド本体2の下部に設けられた足部3内に配置され、ベッド本体2の昇降動作、あるいは、ベッド本体2の上半身部の昇降動作させるアクチュエータ4と、このアクチュエータ4にケーブル5によって接続され、アクチュエータ4の動作を操作、制御するリモコン6等で構成されている介護用ベッド1のリモコン6」は、本願発明の「背上げ動作、足上げ動作、昇降動作といった少なくとも何れか一つのベッド動作を、駆動装置を制御することにより実行させるベッド装置に接続されるベッド操作装置」に相当する。 (2) 引用発明の「STEP1」の「リモコン6の任意のキー6a」は、操作入力を行う為のものであることは明らかであり、「任意のキー6a」であることと図2を併せ見ると、複数設けられていると理解できることから、引用発明の「STEP1」の「リモコン6の任意のキー6a」は、本願発明の「操作入力を行う為の複数の操作入力手段」に相当する。 (3) 上記(2)を踏まえると、引用発明の「STEP1」の「リモコン6の任意のキー6aが押された」状態は、本願発明の「前記操作入力手段が選択されている状態」に相当する。 (4) ア 引用発明の「STEP1」の「リモコン6の任意のキー6aが押されたか確認」することの「確認」は、実質的には、「リモコン6の任意のキー6aが押された」ことを検出することに起因しているといえる。 イ 引用発明の「リモコン6」は、「アクチュエータ4の動作を操作、制御する」ものであり、その制御として、「STEP1」?「STEP3」を実行しているものと理解できることから、「STEP1」で実行される上記アの「確認」は、「リモコン6」により実行されるものであり、引用発明の「リモコン6」は、その「確認」をするための構成、すなわち、上記アを踏まえると、検出手段を備えていることが明らかである。 ウ 上記ア、イ及び上記(3)を踏まえると、引用発明の「STEP1」の「リモコン6の任意のキー6aが押されたか確認」することは、本願発明の「前記操作入力手段が選択されている状態を検出する」ことに相当し、引用発明の当該「押されたか確認」する構成は、本願発明の「選択状態検出手段」に相当する。 (5) 引用発明の「STEP2」の「リモコン6のキー6aが押された時」「その後、リモコン6のキー6aが解放された」ことは、「リモコン6のキー6aが押された」状態が「解放された」ことであるから、上記(3)を踏まえると、本願発明の「前記選択状態検出手段により選択された状態が解除されたこと」に相当する。 そして、引用発明の「STEP2」の「リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認」することの「確認」も、上記(4)イと同様に、検出手段を備えているといえることから、引用発明の「STEP2」の「リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認」することは、本願発明の「前記選択状態検出手段により選択された状態が解除されたことを検出する」ことに相当し、引用発明の当該「解放されたか確認」する構成は、本願発明の「選択解除検出手段」に相当する。 (6) ア 引用発明では、「電源を投入した後に、リモコン6の任意のキー6aが押されたか確認し」ていることから(図1も参照)、電源を投入した後に、リモコン6は、任意のキー6aが押されると、それを確認すなわち検出(上記(4)ア)できる状態となっているものと理解でき、そのためには、リモコン6は、電源を投入すると、必然的に、通電されるものであるといえる。 イ 引用発明は、「STEP3」において、「リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する」ことから、押された任意のキー6aが解放された状態になると、「アクチュエータ4を起動する」ことができる状態となり、さらに任意のキー6aを押すことで、「アクチュエータ4を起動する」といえる。 したがって、引用発明においては、「電源を投入した後」、「リモコン6のキー6aが押され」、「リモコン6のキー6aが解放され」た状態となるまでは、「キー6aを押し」ても「アクチュエータ4を起動する」ことはできないといえる。 具体的には、引用発明においては、「電源を投入した後」、「任意のキー6aが押されたか確認」できるまでの間(図1のSTEP1のNoを経るループも参照)、及び、その押された任意の「キー6a」が「解放されず押し続けられている場合は、解放されるまで待機し」している間(図1のSTEP2のNoを経るループも参照)は、いずれも、リモコン6は、通電されているが(上記ア)、「キー6aを押し」ても、「アクチュエータ4を起動する」ことができない状態となっているといえる。 ウ 上記イを踏まえると、引用発明の、「リモコン6」は、「電源を投入した後」から、STEP1?2を経て、「リモコン6のキー6aが解放され」るまでの間は、「アクチュエータ4を起動する」ことができない状態であるといえる。 このことから、引用発明の、「電源を投入した後」から、STEP1?2を経て、「リモコン6のキー6aが解放され」るまでの間は、本願発明の「待機状態」に相当する。 そして、上記ア及び上記(1)ウを踏まえると、引用発明の、「リモコン6」は、「電源を投入した後」から、STEP1?2を経て、「リモコン6のキー6aが解放され」るまでの間は、「アクチュエータ4を起動する」ことができない状態であることは、本願発明の「ベッド操作装置は、通電されると待機状態とな」ることに相当する。 (7) ア 引用発明の「STEP3」では、「リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する」ことから、引用発明の「リモコン6」は、「リモコン6のキー6aが解放され」たときから、「さらに任意のキー6aを押」すまでの間は、「任意のキー6aを押」せば、「アクチュエータ4を起動」できる状態、すなわち、操作可能状態となっているといえる。 したがって、引用発明の「リモコン6」は、「リモコン6のキー6aが解放され」たときに、「リモコン6」を待機状態(上記(6)ウ)から操作可能状態に遷移させているといえる。 イ 引用発明において、「リモコン6のキー6aが解放され」たときに、「リモコン6」を待機状態から操作可能状態に遷移させる(上記ア)ためには、「リモコン6のキー6aが解放され」たことを、検出する必要があることは明らかである。 そして、引用発明の「STEP2」の「リモコン6のキー6aが押された時は、その後、リモコン6のキー6aが解放されたか確認」する構成は、本願発明の「前記選択状態検出手段により選択された状態が解除されたことを検出する選択解除検出手段」に相当すること(上記(5))を踏まえると、引用発明の「リモコン6のキー6aが解放され」たときは、本願発明の「前記選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したとき」に相当する。 ウ 上記イ及び上記(1)ウを踏まえると、引用発明の「リモコン6のキー6aが解放され」たときに、「リモコン6」を待機状態から操作可能状態に遷移させること(上記ア)は、本願発明の「前記選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したときに、前記ベッド操作装置を前記待機状態から、操作可能状態に遷移させる」ことに相当する。 そして、上記(4)イを踏まえると、引用発明は、その遷移を実行するための構成(本願発明の「遷移手段」に相当する。)も当然に備えているといえる。 したがって、引用発明の「リモコン6のキー6aが解放され」たときに、「リモコン6」を待機状態から操作可能状態に遷移させる(上記ア)構成は、本願発明の「前記選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したときに、前記ベッド操作装置を前記待機状態から、操作可能状態に遷移させる遷移手段」に相当する。 (8) ア 引用発明の「STEP3」では、「リモコン6のキー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する」ことから、引用発明の「リモコン6」は、「リモコン6」が操作可能状態(上記(7)ウ)のときに、「さらに任意のキー6aを押」して、「アクチュエータ4を起動する」ことで、ベッド動作の制御(上記(1)オ)を行うものといえる。 イ 上記アの、ベッド動作の制御を行うものは、上記(7)ウと同様に、ベッド動作の制御を実行するための構成を備えているといえること、及び、上記(1)?(7)を踏まえると、引用発明の、「リモコン6」が操作可能状態のときに、「さらに任意のキー6aを押」して、「アクチュエータ4を起動する」ことで、ベッド動作の制御を行う(上記ア)構成は、本願発明の「前記ベッド操作装置が操作可能状態のときに、前記操作入力手段による操作入力に基づいて、前記駆動装置を制御することにより、ベッド動作の制御を行うベッド動作制御手段」に相当する。 2 判断 以上のとおり、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、 「背上げ動作、足上げ動作、昇降動作といった少なくとも何れか一つのベッド動作を、駆動装置を制御することにより実行させるベッド装置に接続されるベッド操作装置において、 前記ベッド操作装置は、通電されると待機状態となり、 操作入力を行う為の複数の操作入力手段と、 前記操作入力手段が選択されている状態を検出する選択状態検出手段と、 前記選択状態検出手段により選択された状態が解除されたことを検出する選択解除検出手段と、 前記選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したときに、前記ベッド操作装置を前記待機状態から、操作可能状態に遷移させる遷移手段と、 前記ベッド操作装置が操作可能状態のときに、前記操作入力手段による操作入力に基づいて、前記駆動装置を制御することにより、ベッド動作の制御を行うベッド動作制御手段と、 を備えるベッド操作装置」 の点で一致し、両者の間に相違点は存在しない。 したがって、本願発明は、引用発明である。 3 出願人の主張について (1)出願人の主張 審判請求書ないし平成30年7月30日付けの面接記録において、出願人は、以下の旨主張する。 ア 審判請求書の「3.本願発明の引用文献との対比」の欄の4?5節 「すなわち、引用文献1は、初期状態としてリモコンの操作キーの上に物が置いてある場合に、電源が投入されたとしても、いきなりベッド装置を動作させないという発明です。この点は、[0007]段落、[0009]段落、図1の動作フローを参照しても明らかです。 したがって、引用文献1の場合、キーの上に物が置いていない場合、どのように動作させるかといった点は一切開示がありません。 」(以下、「主張1」という。) イ 審判請求書の「3.本願発明の引用文献との対比」の欄の7節 「また、本願発明では『待機状態』と『操作可能状態』と2つの状態があり、この状態が遷移させる『遷移手段』についても、引用文献1には開示がありません。そもそも『待機状態』についての技術思想がないため、『待機状態』と『操作可能状態』と分けることも想定されておらず、これらの記載の開示、示唆もございません。」(以下、「主張2」という。) ウ 平成30年7月30日付けの面接記録 「引用文献1の段落【0013】の『STEP3』の『あるいは』以降の『キー6aが解放され、さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する。』ことは、『リモコン6のキー6aが解放されたときに、アクチュエータ4を起動する。』ことの後で行われる。また、『あるいは』以降の記載は、不明である。」旨(以下、「主張3」という。)。 (2)主張1?3について ア 主張1について 上記第4 1(2)アで述べたおりであって、引用発明は、「電源を投入した後に、リモコン6の任意のキー6aが押されたか確認し(STEP1)」ているものであるから、主張1は採用できない。 イ 主張2について 引用発明の「電源を投入した後」から、STEP1?2を経て、「リモコン6のキー6aが解放され」るまでの間は、本願発明の「待機状態」に相当し(上記1(6)ウ)、引用発明の「リモコン6」は、「リモコン6のキー6aが解放され」たときに、「リモコン6」を待機状態から操作可能状態に遷移させているといえることから(上記1(7)ア)、主張2は採用できない。 ウ 主張3について 引用文献1の段落【0013】については、上記第4 1(2)ウで述べたとおりである。 そして、上記第4 1(2)イをも踏まえると、STEP2の後に、「さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する(STEP3)」ものであることは明確であり、「リモコン6のキー6aが解放されたときに、アクチュエータ4を起動する」ことの後に、「さらに任意のキー6aを押したときに、アクチュエータ4を起動する(STEP3)」ものであるとはいえない。 したがって、主張3は採用できない。 4 まとめ 以上から、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-30 |
結審通知日 | 2018-09-04 |
審決日 | 2018-09-26 |
出願番号 | 特願2013-84215(P2013-84215) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井出 和水 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
中川 真一 出口 昌哉 |
発明の名称 | ベッド操作装置及びプログラム |
代理人 | 宮尾 明茂 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 馬場 信幸 |
代理人 | 神田 正義 |