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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47C
審判 一部無効 2項進歩性  A47C
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A47C
管理番号 1374576
審判番号 無効2019-800002  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-12-28 
確定日 2021-06-11 
事件の表示 上記当事者間の特許第5252542号発明「ベッドにおける取付品支持位置可変機構」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5252542号(以下「本件特許」という。)についての特許出願は、平成20年3月31日になされ、平成25年4月26日にその特許権が設定登録された。
そして、本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。

平成30年12月28日 本件無効審判請求
令和 1年 5月 8日 被請求人より審判事件答弁書の提出
同年 7月12日付け 審理事項通知書
同年 9月13日 請求人より口頭審理陳述要領書(以下「請求
人陳述要領書」という。)の提出
同年 9月13日 被請求人より口頭審理陳述要領書(以下「被
請求人陳述要領書」という。)の提出
同年 9月27日 口頭審理

第2 本件特許発明
本件無効審判請求に係る本件特許の請求項1、5、6及び7に係る発明(以下「本件発明1、5、6及び7」といい、「本件発明1、5、6及び7」を総称して「本件発明」ということがある。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1、5、6及び7に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし、前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し、棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成したことを特徴とするベッドにおける取付品支持位置可変機構。」
「【請求項5】
係合手段は、棒状部材側に設けた突起と、溝形部材側の長さ方向に複数設けた係合部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のベッドにおける取付品支持位置可変機構。
【請求項6】
螺合手段は、棒状部材側に設けた雌ねじ部と、溝形部材側の長さ方向に複数設けた取付孔とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のベッドにおける取付品支持位置可変機構。
【請求項7】
取付品支持部材に取り付ける取付品はベッドの長手方向端部側に取り付けるボードであり、棒状部材はベッドフレームの長手方向部材であることを特徴とする請求項1?6に記載のベッドにおける取付品支持位置可変機構。」

第3 請求人の主張
請求人は、特許第5252542号の請求項1、5、6及び7に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めており、審判請求書及び請求人陳述要領書において主張する無効理由及び証拠方法はおおむね以下のとおりである。

1.無効理由について
請求人が主張する無効理由は、口頭審理において、確認したとおりの以下の理由である。
【無効理由1】
本件特許の請求項1、5?7に係る発明(ただし、請求項7に係る発明は、請求項1、5及び6に従属するものに限る)は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。また、本件特許の請求項1、5?7に係る発明は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、又は、甲第1号証に記載された発明及び甲第7号証?甲第10号証に記載された技術常識ないし周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件特許の請求項1、5?7に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
【無効理由2】
本件特許の請求項1、5?7に係る発明(ただし、請求項7に係る発明は、請求項1、5及び6に従属するものに限る)は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明[主の発明]と公然知られた発明である製品1発明(FB730/720)[副の発明]とに基いて、又は製品1発明(FB730/720)[主の発明]と甲第1号証に記載された発明[副の発明]とに基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件特許の請求項1、5?7に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
【無効理由3】
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に記載されていないものであるから、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件特許の請求項1に係る発明は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

2.証拠方法
請求人は、審判請求書に添付して甲第1?11号証を提出し、請求人陳述要領書に添付して甲第12?24号証を提出している。
なお、各甲号証について、「甲第○号証」を「甲○」のように簡略表記することもある。

甲1 :米国特許第3,945,064号明細書及び日本語訳
甲2 :介護ベッドFB730/720の写真、作成日;平成30年(20
18年)1月、作成者;プラッツ株式会社
甲3 :介護ベッドFB730/720の写真、作成日;平成30年(20
18年)1月、作成者;プラッツ株式会社
甲4 :介護ベッドFB730の写真、作成日;平成30年(2018年)
3月23日、作成者;プラッツ株式会社
甲5 :介護ベッドFB730の写真、作成日;平成30年(2018年)
4月17日、作成者;プラッツ株式会社
甲6 :シルバー産業新聞の(1)面及び(11)面、発行日;平成9年(
1997年)10月10日、発行所;ニューマガジン社
甲7 :キューマアウラベッド 取扱説明書、発行日;平成14年(200
2年)9月、発行者;パラマウントベッド株式会社
甲8 :PZBシリーズ電動ベット 取扱説明書、発行日;平成17年(2
005年)8月、発行者;株式会社プラッツ
甲9 :ビカム・ベッド 取扱説明書、発行日;平成18年(2006年)
9月、発行者;株式会社プラッツ
甲10:介護保険福祉用具ガイドブック2001?2002 156?16
1,168?171,448ページ,奥付、発行日;平成13年(
2001年)11月15日、発行所:財団法人テクノエイド協会
甲11:特許第5252542号公報
甲12:在宅ケアベッド 楽匠Sシリーズ 取扱説明書、発行日;2012
年3月、発行者;パラマウントベッド株式会社
甲13:ミオレット、ミオレットフォー・ユー,ミオレットIIの平均価格
表、作成日:令和元年(2019年)6月24日、作成者;プラッ
ツ株式会社従業員 木村紀海
甲14:ベッドの本 62,63,172,173,178ページ、奥付き
、発行日;1989年1月20日、発行所;有限会社海鳥

甲15:英英辞典サイトDictionary.comのbed frameに関する記載及び日本語

(http://www.dictionary.com/browse/bedframe)、
アクセス日;平成30年(2018年)5月25日、発行者;Ask.
com、IAC社
甲16:TABROOMのベッドフレームの記載
(https;//tabroom.jp/contents/words/he/bedframe/)、
アクセス日;平成30年(2018年)5月24日、作成者;株式
会社リクルートライフスタイル
甲17:特許第3024698号公報
甲18:特許第4141233号公報
甲19:特公平7-110253号公報
甲20:KA-081・082・083パラマウント補助フレーム 取扱説明書、発行日
;平成18年(2006年)8月、発行者;パラマウントベッド株
式会社
甲21:介護保険レンタル対応在宅介護用ベッド ミオレット・フォーユー
取扱説明書、作成日;平成26年(2014年)7月、作成者;株
式会社プラッツ
甲22:介護保険レンタル対応在宅介護用ベッド ミオレットII 取扱説明
書、作成日;平成28年(2016年)12月、作成者;株式会社
プラッツ
甲23:超低床介護用ベッド ラフィオ 取扱説明書、作成日:平成28年
(2016年)12月、作成者:株式会社プラッツ
甲24:侵害訴訟事件の進捗状況等、作成日;令和元年(2019年)6月
26日、作成者;弁護士 藤原宏高

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めるものであり、審判事件答弁書及び被請求人陳述要領書において、請求項1、5、6及び7に記載された発明は、請求人の主張する無効理由及び証拠によっては無効とすることはできない旨主張している。
さらに、口頭審理において、次の点を主張している。(第1回口頭審理調書の「被請求人」の項の4?9)
1.審判請求書および陳述要領書には製品1発明について具体的に構成を特定していないから、製品1発明を主引例とする進歩性欠如の無効理由は要旨変更である。
2.甲第2号証から甲第5号証の写真の製品の公知性を争う。
3.甲第12ないし16、18、21ないし23号証は、本件出願後の証拠である。
4.甲第7号証の「アクセサリーフレーム」と甲第1号証の「クロスフレーム」とは異なるから適用できない。
5.「ベッドの長さを変更した場合に発生する煩雑さは同一であること」(請求人口頭審理陳述要領書の11ページ(2))は争う。
6.製品1発明には、請求項1に係る発明の「係合手段」、「取付品支持部材」及び「溝形部材」の3つがない。

また、被請求人の提出した証拠方法は、以下のとおりである。
なお、各乙号証について、「乙第○号証」を「乙○」のように簡略表記することもある。

乙1:動画(ミオレットフォー・ユー操作)、撮影日;平成30年3月13
日、撮影場所;PARAMOUNT CARE SERVICE 西船橋営業所、撮影者
;被請求人従業員
乙2:特開2005-204992号公報
乙3:広辞苑(第4版)、平成3年(1991年)11月15日、発行所;
株式会社岩波書店
乙4:ヒューマンケアベッド730シリーズ(3モーター) 取扱説明書、
作成者;フランスベッド株式会社

第5 当審の判断
1.各甲号証の記載事項等
(1)甲1に記載された事項ないし発明
(1-1)甲1に記載されている事項
甲1には、図面とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付し、( )内は翻訳文であり、請求人が提出した翻訳文を参考にして当審で作成した。

ア.請求項1
「1.A bed frame member adapted to extend transversely between a pair of further bed frame members positioned in spaced parallel relationship, and be retained in one of a plurality of selected positions, comprising:a first elongated element having first means adjacent one end for fastening said first element to one of said further bed frame members,said first element including first and second generally perpendicular flat legs;a second elongated element having second means adjacent one end for fastening said second element to the other of said pair or further bed frame members and including first and second generally perpendicular flat legs;a plurality of longitudinally spaced apertures in one of said first legs,each aperture corresponding to one of said selectable positions;a protrusion on the other of said first legs and engageable within one of said apertures for retaining said elements against longitudinal movement in both directions relative to one another when like legs of said first and second elements are positioned in surface-to-surface adjacency with respect to one another;cooperating locking means for retaining said elements against separation when a position has been selected and the legs of said elements are positioned in surface-to-surface adjacency with respect to one another,cooperating locking means for retaining said elements against separation when a position has been selected and the legs of said elements are positioned in surface-to-surface adjacency with respect to one another,said locking means including a plurality of longitudinally spaced threaded openings in said first leg of said first element, each opening being associated with one of said apertures and corresponding to one of said selectable positions, the spacing between each threaded opening and its respective aperture being the same,a threaded opening in the first leg of said second element and having the same diameter as the threaded openings in said first leg of said first element, the thread in said opening in said first leg of said second element being partially stripped,and a releasable locking member comprising a screw means having a partially stripped thread received in said opening in said first leg of said second element to permanently mount said screw means on said second element,said screw means being engageable with the threads in one of said openings in said first leg of said first element for retaining said first and second elements against separation, and said screw means being spaced from said protrusion by a distance equal to the spacing between each threaded opening and its respective aperture.」
(ベッドフレーム部材であって、間隔をあけて平行配置された一対の他のベッドフレーム部材の間で横方向へ伸張するように構成され、複数の選択された位置の一つに保持され、以下のもの:第一の細長い要素であって、前記他のベッドフレーム部材の一方に前記第一の要素を締結するための一端に隣接して、第一の手段を有し、前記第一の手段は、概略直角な第一と第二の平たい辺部を有し;第二の細長い要素であって、前記一対のつまり他のベッドフレーム部材の他方に前記第二の要素を締結するための一端に隣接して、第二の手段を有し、前記第二の手段は、概略直角な第一と第二の平たい辺部を有し;前記第一の辺部のうちの一方に間隔を空けて長手方向に配置された複数の穴であって、各穴は前記選択可能な位置の一つに対応し;前記第一の辺部のうちの他方に設けられた突起であって、前記第一と第二の要素の同類の辺部同士が相互に辺部対辺部で近接して配置された時に、前記要素が相互に相対的に長手方向で前後に移動しないよう前記要素同士を締結するために、前記突起が前記穴の一つに係合可能であり;前記一つの位置が選択され且つ前記要素の辺部同士が相互に辺部対辺部で近接して配置された時に、前記要素同士を分離しないように保持するための、協働的なロック手段を備え、前記ロック手段は、前記第一の要素の前記第一の辺部に長手方向に間隔を空けて配置された複数のネジ式の開口を有し、各開口は前記穴の一つに関連付けられ且つ前記選択可能な位置の一つに対応し、各開口は前記穴の一つに関連付けられ且つ前記選択可能な位置の一つに対応し、各ネジ式の開口とそれに関連する各穴との間の間隔は同じであり、前記ロック手段は、前記第二の要素の前記第一の辺部に設けられたネジ式の開口を有し、その開口は前記第一の要素の前記第一の辺部の前記ネジ式の開口と同じ直径をもち、前記第二の要素の前記第一の辺部の前記開口のネジ山は部分的に除去されており、前記ロック手段は、解除可能なロック部材を有し、前記ロック部材は、部分的に除去されたネジ山をもったネジ手段を有し、そのネジ山が前記第二の要素の前記第一の辺部の前記開口に受け入れられて、前記ネジ手段を前記第二の要素に永久的に搭載し、前記ネジ手段は、前記第一と第二の要素を分離しないよう締結するために、前記第一の要素の前記第一の辺部の前記開口の一つのネジ山に螺合可能であり、前記ネジ手段は、各ネジ式の開口とそれに関連する各穴との間の間隔に等しい距離だけ、前記突起から離れている。)

イ.請求項2
「2.A bed frame member as defined in claim 1 wherein said screw means comprises a thumb screw having a manually graspable tab portion.」
(前記ネジ手段が手でつかめるつまみをもつつまみネジを有する、請求項1記載のベッドフレーム部材。)

ウ.請求項3
「3.A bed frame member as defined in claim 1 wherein said apertures and said openings are on the same leg of the same element.」
(前記穴と前記開口が同じ要素の同じ辺部に存在する、請求項1記載のベッドフレーム部材。)

エ.請求項4
「4.A bed frame member as defined in claim 1 wherein said protrusion is integral with the other of said first legs.」
(前記突起が前記第一の辺部のうちの前記他方に一体的に設けられる、請求項1記載のベッドフレーム部材。)

オ.1欄5行?8行
「This invention relates generally to bed frames of the knock-down type and in particular to frame members comprised of two or more elements to be fastened together.」
(本発明は、一般的に組立式のベッドフレームに関し、特に相互に締結される二つ以上の要素から構成されるフレーム部材に関する。)

カ.1欄48?50行
「The bed frame members of the present invention are useful as a side frame member as well as a cross frame member.」
(本発明のベッドフレーム部材は、クロスフレーム部材としてのみならずサイドフレーム部材としても有用である。)

キ.3欄3?28行
「Referring now to the drawings, FIG. 1 shows the improved adjustable cross frame member 10, which is comprised of elongated elements 11 and 12 which are preferably L-shaped, but may also be C-shaped or other suitable shapes. Element 11 includes first and second generally perpendicular legs 13 and 14 of similar transverse widths; and element 12 includes first and second generally perpendicular legs 15 and 16 of similar transverse widths. Elements 11 and 12 are respectively fastened at one end to side frame members 17 and 18, and are positioned so that both leg portions 13 and 15 are vertically oriented and both leg portions 14 and 16 extend outwardly horizontally from the upper edges of legs 13 and 15, respectively. Side frame members 17 and 18 have legs with casters 19 and 20. As is well understood in the art, cross frame member 10 cooperates with an additional identically constructed cross frame member (not shown) spaced therefrom and parallel therewith to form a bed frame, in combination with side frame members 17 and 18. Elements 11 and 12 may be formed of commercially available cold rolled steel, and hence are relatively inexpensive.
In the illustrated usage, cross frame member 10 provides for a rapid and positive adjustment of the bed frame assembly to accommodate bedding of various sizes, as will be described below.
(ここで図面を参照すると、図1は、好ましくは、L字形であるがC形状若しくは他の好適な形状であり得る細長い要素11及び12から構成される改良型の調節可能なクロスフレーム部材10を示す。要素11は同様の横幅の第一及び第二の概略直角な辺部13及び14を含み、要素12は同様の横幅の第一及び第二の概略直角な辺部15及び16を含む。要素11及び12は、サイドフレーム部材17及び18の一端にそれぞれ締結されて、両方の辺部13及び15が鉛直に方向づけられて且つ、両方の辺部14及び16が辺部13及び15の上縁部から外方に水平に伸長するようにそれぞれ配置される。サイドフレーム部材17及び18は、脚車19及び20付きの脚を有する。当技術分野で十分に理解されているように、クロスフレーム部材10は、それから間隔を空け且つそれと平行な追加の同一に構成されたクロスフレーム部材(図示せず)と協働して、サイドフレーム部材17及び18との組合せでベッドフレームを形成する。要素11及び12は、市販の冷間圧延鋼で形成することができるため、比較的安価となる。
図示の使用では、クロスフレーム部材10は、以下に説明するように、種々のサイズの寝床に対応するベッドフレーム組立体の迅速且つ確実な調節を提供する。)

ク.3欄29?63行
「Element 11 is provided with a plurality of longitudinally spaced apertures 21, 22 lying along a common line in vertical leg 13 generally medially of the leg. Each aperture defines a selectable position of adjustment; thus, aperture 21 is the widest position of adjustment of member 10 and aperture 22 corresponds to a first medial position of adjustment corresponding to bedding of a smaller size. Though only two apertures are illustrated, additional apertures corresponding to the desired positions of adjustment are contemplated.
Longitudinal movement between elements 11 and 12 is prevented in both directions by providing a detent means such as finger 25 (FIG. 3) which protrudes from leg 15 of element 12 and is engageable with one of the apertures 21, 22 provided in leg 13 of element 11. As shown in FIG. 3, finger 25 protrudes outwardly from leg 15 of element 12 and is insertable through one of apertures 21, 22 corresponding to the desired adjustment of the bed frame. When like legs of elements 11 and 12 are positioned in surface-to-surface adjacency with respect to one another, finger 25 engages the sidewall 26 of one of the apertures to retain elements 11 and 12 against longitudinal movement in both directions relative to one another. Leg 14 bears upon leg 16 and is supported thereon when elements 11 and 12 are assembled. As illustrated in FIGS. 2 and 3, apertures 21, 22 are generally rectangular and are preferably, but not necessarily, shaped to correspond to the configuration of finger 25, thereby limiting movement of finger 25 when inserted in a selected aperture.
To minimize the number of parts and the cost, it is preferable to have finger 25 integral with leg 15. One way of providing an integral finger 25 is by a stamping or punching method to bend a rectangular portion of leg 15 from the plane of leg 15, leaving slot 27 in leg 15.」
(要素11は、垂直辺部13中、この辺部の略中間に共通線に沿って存在する複数の長手方向に間隔を空けて配置された穴21、22を備えている。各穴は選択可能な調節位置を規定する;このように、穴21は、部材10の最も幅広な調整位置であり、穴22は、最小のサイズの寝床に対応する第一の中間調節位置に対応する。2つの穴のみが図示されているが、所望の調節位置に対応する追加の穴も企図し得る。
要素11及び12との間の長手方向の移動は、指部25(図3)等の戻止め具手段を提供することにより両方向において防止されるが、この指部25は要素12の辺部15から突出して、要素11の辺部13中に設けられた穴21、22のうちの一つと係合可能である。図3に示すように、指部25は、要素12の辺部15から外方に突出して、ベッドフレームの所望の調節に対応する穴21、22のうちの一つを通して挿入可能である。要素11及び12の同類の辺部同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、指部25が穴のうちの一つの側壁26に係合して相互に長手方向において両方向に移動をしないよう要素11及び12を保持する。辺部14が辺部16上にもたれるため、要素11及び12を組み立てたときにその上に支持される。図2及び図3に示すように、穴21、22は概略矩形であるが、好ましくは、必須ではないが、指部25の構成に対応する形状であり、それにより選択された穴に挿入したときに指部25の移動を制限する。
しかも、部品数及びコストを最小化するためには、辺部15と一体的に設けられた指部25を有することが好ましい。一体の指部25を提供する一つの方法は、辺部15平面から辺部15中にスロット27を残しつつ、辺部15の矩形部を曲げ加工する押し抜き成形又はプレス加工方法によるものである。)

ケ.3欄64行?4欄29行
「A locking means is provided for retaining elements 11 and 12 against separation when a position has been selected and the elements are positioned in surface-to-surface adjacency with respect to one another. The locking means includes a plurality of longitudinally spaced openings 31, 32 in leg 13 which are associated with apertures 21, 22 and correspond to the selectable positions of bed frame member 10. As shown in FIGS. 2 and 3, openings 31, 32 are threaded to receive a screw. The spacing between each threaded opening and its respective aperture is the same.
Similarly, leg 15 of element 12 has a threaded opening 35 which is spaced from finger 25 a distance corresponding to the distance between aperture 21 and opening 31 in leg 13, and has a diameter equal to the diameter of openings 31, 32.
As best shown in FIGS. 2 and 3, the locking means further includes a releasable locking member comprising a screw means such as thumb screw 40 which is receivable in the opening 35 in leg 15 of element 12. Thumb screw 40 is permanently held in opening 35 in leg 15 by turning screw 40 until it has gone all of the way into threaded opening 35, and then further turning screw 40 until the thread in opening 35 and the thread on screw 40 are partially stripped, thereby preventing withdrawal of thumb screw 40 from leg 15. After the thread in leg 15 is stripped, thumb screw 40 can be freely turned while permanently held in opening 35, thereby enabling insertion of the thumb screw into one of the threaded openings 31, 32 in leg 13 with which thumb screw 40 is engageable for retaining elements 11 and 12 against separation. Thumb screw 40 has a manually graspable tab portion 42 which facilitates in turning the screw for insertion in leg 13 of element 11.」
(ロック手段は、位置が選択されて要素同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、要素11及び12を分離しないように保持するために提供される。ロック手段は、辺部13に複数の長手方向に間隔を空けて配置された開口31、32を含み、これらは穴21、22に関連付けられて且つベッドフレーム部材10の選択可能な位置に対応する。図2及び図3に示すように、開口31、32はネジを受け入れるためのネジ式である。各ネジ式の開口部とその対応する穴との間の間隔は同じである。
同様に、要素12の辺部15は、ネジ式の開口35を有し、この開口35は指部25から辺部13中の穴21と穴31との間の距離に対応する距離だけ離れて、且つ開口31、32の直径に等しい直径を有する。
図2及び図3に最もよく示されるように、ロック手段はつまみネジ40等のネジ手段を有する解放可能なロック部材を更に含み、この解放可能なロック部材は要素12の辺部15中の開口35中に受け入れ可能である。つまみネジ40は、ネジ40をネジ式の開口35中に全道筋を進むまで回した後開口35中のネジ山及びネジ40上のネジ山が部分的に除去されるまでネジ40を更に回すことにより、辺部15中の開口35中に永久的に保持され、これにより辺部15からのつまみネジ40の抜けが防止される。辺部15中のネジ山が除去された後は、つまみネジ40は開口35中に永久的に保持されながら自由に回動され得、これにより要素11及び12を分離しないように保持するようにつまみネジ40が係合可能である辺部13のネジ式の開口31、32のうちの一つの中へつまみネジの挿入が可能になる。つまみネジ40は手でつかめるつまみ42を有し、このつまみ42によりネジを回してこれを要素11の辺部13中へ挿入するのが容易になる。)

コ.4欄30?34行
「Although apertures 21, 22 and openings 31, 32 are illustrated as being in the same leg of the same element, it would also be possible to have the apertures and openings on corresponding legs of opposite elements, and even on opposite legs of the opposite elements.」
(穴21、22及び開口31、32は同じ要素の同じ辺部に示しているが、反対側の要素の対応する辺部に、場合によっては反対側の要素の反対側の辺部にこのような穴及び開口を有することも可能である。)

サ.4欄46?55行
「It will be appreciated that with the engagement of finger 25 within an aperture, relative longitudinal movement of elements 11 and 12 is prevented in both directions, although separation of the elements is still possible. In order to preclude such separation and thus fully lock elements 11 and 12 in positively held together relationship in the selected position of adjustment, thumb screw 40 is manually grasped and turned until elements 11 and 12 are tightly held together. Once a position of adjustment is selected and finger 25 and thumb screw 40 are inserted through an aperture and opening in leg 13 and the thumb screw is turned, the legs of the respective elements cannot separate and cannot move transversely or longitudinally with respect to one another.」
(穴内での指部25の係合により、要素11及び12の長手方向の相対移動が両方向において防止されるが、要素の分離は依然として起こり得ることが理解されるであろう。そのような分離が起こらないように、選択した調節位置に相互に確実に保持する関係に要素11及び12を完全にロックするために、つまみネジ40を手でつかんで要素11及び12が相互に緊密に保持されるまでこれを回す。一旦調節位置が選択されて指部25及びつまみネジ40が辺部13中の穴及び開口を通して挿入されてつまみネジが回されると、対応する要素の辺部は分離し得ず、相互に、横方向若しくは長手方向に移動し得ない。)

シ.以下の図1?図3が示されている。


(1-2)甲1の認定事項
上記(1-1)の記載事項から、以下の事項が認定できる。
ア.甲1の記載事項オ.の「本発明は、一般的に組立式のベッドフレームに関し、特に相互に締結される二つ以上の要素から構成されるフレーム部材に関する。」との記載、及び記載事項キ.の「L字形である・・・細長い要素11及び12から構成される改良型の調節可能なクロスフレーム部材10を示す。・・・要素11及び12は、サイドフレーム部材17及び18の一端にそれぞれ締結されて、・・・サイドフレーム部材17及び18は、脚車19及び20付きの脚を有する。」との記載から、
相互に締結されるL字形である細長い要素11及びL字形である細長い要素12から構成される組立式のベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10であって、
細長い要素11及び細長い要素12は、脚車19及び脚車20付きの脚を有するサイドフレーム部材17及びサイドフレーム部材18にそれぞれ締結されるものであること。

イ.記載事項キ.の「要素11は同様の横幅の第一及び第二の概略直角な辺部13及び14を含み、要素12は同様の横幅の第一及び第二の概略直角な辺部15及び16を含む。・・・両方の辺部13及び15が鉛直に方向づけられて且つ、両方の辺部14及び16が辺部13及び15の上縁部から外方に水平に伸長するようにそれぞれ配置される。サイドフレーム部材17及び18は、脚車19及び20付きの脚を有する。」との記載、及び図1の図示内容から、
細長い要素11は第一の辺部13と該第一の辺部13と同様の横幅であり互いに略直角な第二の辺部14を含み、細長い要素12は第一の辺部15と該第一の辺部15と同様の横幅であり、互いに略直角な第二の辺部16を含み、
辺部13及び辺部15が鉛直に方向づけられ、辺部14及び辺部16が辺部13及び辺部15の上縁部から外方に水平に伸長するようにそれぞれ配置されること。

ウ.記載事項ク.の「要素11は、垂直辺部13中、この辺部の略中間に共通線に沿って存在する複数の長手方向に間隔を空けて配置された穴21、22を備えている。各穴は選択可能な調節位置を規定する;このように、穴21は、部材10の最も幅広な調整位置であり、穴22は、最小のサイズの寝床に対応する第一の中間調節位置に対応する。2つの穴のみが図示されているが、所望の調節位置に対応する追加の穴も企図し得る。
要素11及び12との間の長手方向の移動は、指部25(図3)等の戻止め具手段を提供することにより両方向において防止されるが、この指部25は要素12の辺部15から突出して、要素11の辺部13中に設けられた穴21、22のうちの一つと係合可能である。図3に示すように、指部25は、要素12の辺部15から外方に突出して、ベッドフレームの所望の調節に対応する穴21、22のうちの一つを通して挿入可能である。要素11及び12の同類の辺部同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、指部25が穴のうちの一つの側壁26に係合して相互に長手方向において両方向に移動をしないよう要素11及び12を保持する。」との記載、及び上記記載中の「ベッドフレームの所望の調節」は、上記ア.を踏まえると「クロスフレーム部材10」の所望の調節といえるから、
細長い要素11は、辺部13の略中間に共通線に沿って存在する複数の長手方向に間隔を空けて配置された穴21及び穴22を備え、各穴は選択可能な調節位置を規定し、
細長い要素11及び細長い要素12間の長手方向の移動は、指部25で防止され、該指部25は細長い要素12の辺部15から外方に突出してクロスフレーム部材10の所望の調節に対応する穴21及び穴22のうちの一つを通して挿入可能であり、細長い要素11及び細長い要素12の辺部同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、指部25は穴21及び穴22のうちの一つの側壁26に係合して相互に長手方向において両方向に移動をしないように細長い要素11及び細長い要素12を保持すること。

エ.記載事項ケ.の「ロック手段は、位置が選択されて要素同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、要素11及び12を分離しないように保持するために提供される。ロック手段は、辺部13に複数の長手方向に間隔を空けて配置された開口31、32を含み、これらは穴21、22に関連付けられて且つベッドフレーム部材10の選択可能な位置に対応する。図2及び図3に示すように、開口31、32はネジを受け入れるためのネジ式である。各ネジ式の開口とその対応する穴との間の間隔は同じである。
同様に、要素12の辺部15は、ネジ式の開口35を有し、この開口35は指部25から辺部13中の穴21と穴31との間の距離に対応する距離だけ離れて、且つ開口31、32の直径に等しい直径を有する。
図2及び図3に最もよく示されるように、ロック手段はつまみネジ40等のネジ手段を有する解放可能なロック部材を更に含み、この解放可能なロック部材は要素12の辺部15中の開口35中に受け入れ可能である。」との記載と、図3の図示内容から、
さらに、細長い要素11及び細長い要素12を分離しないように保持するためのロック手段を有し、該ロック手段は、ロックを解除可能なつまみネジ40と、辺部13に複数の長手方向に穴21及び穴22に関連付けられて間隔を空けて配置されつまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口31及び開口32と、細長い要素12の辺部15につまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口35を有すること。

(1-3)甲1に記載された発明
上記(1-1)の記載事項及び(1-2)の認定事項から、甲1には次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。
<甲1発明>
「相互に締結されるL字形である細長い要素11及びL字形である細長い要素12から構成される組立式のベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10であって、
細長い要素11及び細長い要素12は、脚車19及び脚車20付きの脚を有するサイドフレーム部材17及びサイドフレーム部材18にそれぞれ締結されるものであり、
細長い要素11は第一の脚部13と該第一の辺部13と同様の横幅であり、互いに略直角な第二の辺部14を含み、細長い要素12は第一の辺部15と該第一の辺部15と同様の横幅であり、互いに略直角な第二の辺部16を含み、
辺部13及び辺部15が鉛直に方向づけられ、辺部14及び辺部16が辺部13及び辺部15の上縁部から外方に水平に伸長するようにそれぞれ配置され、
細長い要素11は、辺部13の略中間に共通線に沿って存在する複数の長手方向に間隔を空けて配置された穴21及び穴22を備え、各穴は選択可能な調節位置を規定し、
細長い要素11及び細長い要素12間の長手方向の移動は、指部25で防止され、該指部25は細長い要素12の辺部15から外方に突出してクロスフレーム部材10の所望の調節に対応する穴21及び穴22のうちの一つを通して挿入可能であり、細長い要素11及び細長い要素12の脚部同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、指部25は穴21及び穴22のうちの一つの側壁26に係合して相互に長手方向において両方向に移動をしないように細長い要素11及び細長い要素12を保持し、
さらに、細長い要素11及び細長い要素12を分離しないように保持するためのロック手段を有し、該ロック手段は、ロックを解除可能なつまみネジ40と、辺部13に複数の長手方向に穴21及び穴22に関連付けられて間隔を空けて配置されつまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口31及び開口32と、細長い要素12の辺部15につまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口35を有する、
組立式のベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10。」

(2)甲2?甲5に示された製品
ア.甲2?甲4は、甲5の写真に写されたベッドをさらに詳細に撮影した写真と推認でき、さらに、甲2及び甲3は、甲4の左右のサイドフレームの端部側を撮影した写真と推認できるところ、甲2?甲4の写真(甲2及び甲3の写真を下記に示す。)から、次のことが認定できる。
(ア)ベットの左右のサイドフレームを含むフレーム構造が看取できること(特に、甲4の7ページ上段及び10ページの上段の写真参照)。
(イ)ベッドの左右のサイドフレームの長手方向の端部にクロスフレーム部材を着脱可能に支持すること。
(ウ)クロスフレーム部材の左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有する左右のボード取付部を有すること。
(エ)左右のボード取付部の左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され、該1つの穴には、螺合用のネジが切られていること(特に、甲4の14ページの写真参照)。
(オ)左右のサイドフレームの両端部には、間隔が1.5cmの2つの穴(特に、甲4の12ページの写真参照)がそれぞれ形成され、クロスフレーム部材の左右のボード取付部が前記左右のサイドフレームの端部に挿入されててボルトにより締結されていること。
甲2











甲3


イ.上記ア.の認定事項を踏まえると、甲2?甲5から、「ベッドのボードの支持機構」に関し、次の構造が認められる。(以下「甲2?5構造」という。)
「ベッドのサイドフレームの長手方向にクロスフレーム部材を着脱可能に支持する構成とし、
前記クロスフレーム部材の左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有する左右のボード取付部を有し、
前記左右のボード取付部の前記左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され該1つの穴には螺合用のネジが切られ、
前記左右のサイドフレームの両端部には、間隔が1.5cmの2つの穴がそれぞれ形成され、前記クロスフレーム部材の前記左右のボード取付部が前記左右のサイドフレームの端部に挿入されてボルトにより締結されているベッドのボードの支持機構。」

(3)甲6の記載事項
甲6は、1997年(平成9年)10月10日に発行された「シルバー産業新聞」の記事であって、その(1)面の下段には、「フランスベッド メディカルサービス株式会社」の製品の広告が掲載されている。「ヒューマンケアベッド FB-730(3モータ) FB-720(2モータ)」と白抜きで記載された黒塗りの枠の下には、左側にベッドの大きな写真と右側にベッドの小さな写真が掲載されるとともに、該大きな写真の右側かつ小さな写真の下側には、FB-730 FB-720の諸元が記載されている。
そして、甲6から「ヒューマンケアベッド FB-730(3モータ)又はFB-720(2モータ)」に関し、次の構造が記載されていると認められる。(以下「甲6構造」という。)
「左右のサイドフレームの長手方向の先端にヘッドボード及びフットボードを有するヒューマンケアベッド FB-730(3モータ)又はFB-720(2モータ)。」

(4)甲7?甲10に記載された事項
甲7の28ページには、「フットボード」をベッドの「ベースフレーム」(3ページ参照。)に取付ける構成が記載されている。
甲8の24ページには、「ヘッド・フットボード」をベッドの「サイドフレーム」(7ページ参照。)に取付ける構成が記載されている。
甲9の19ページには、「ヘッド・フットボード」をベッドの「サイドフレーム」(10ページ参照。)に取付ける構成が記載されている。
甲10の156?157ページ、159?161ページ、168?170ページには、「サイドレール」や「ベッド用手すり」をベッドの「サイドフレーム」に取付ける構成が記載されている。

2.無効理由1について
(1)本件発明1について
ア.本件発明1の解釈について
(ア)「取付品支持部材」と「溝形部材」との関係について
本件発明1には、「前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し」と特定されている。
ここで、「取付品支持部材」については、本件発明1に「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし」と特定されており、かつ、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。さらに、図面を「本件図面」といい、明細書、特許請求の範囲及び図面を併せたものを「本件明細書等」という。)の段落【0020】に「取付品支持部材は、棒状部材との長手方向の位置関係を変更して遊び無く強固に取り付けることができる。」と記載されていることから、「取付品支持部材」は、「棒状部材」に着脱可能であり、かつ、「棒状部材」に遊び無く強固に取り付けられるものである。
一方、「溝形部材」は、「取付品支持部材」に突設され、かつ、「前記棒状部材を係合可能な」ものである。
そうすると、本件発明1においては、「取付品支持部材」に突設している「溝形部材」が、「棒状部材」に係合することによって、当該「取付品支持部材」は、「棒状部材」に遊び無く強固に取り付けられるものであるから、「取付品支持部材」と「棒状部材」との間に他の部材が入る余地はなく、したがって、「取付品支持部材」に突設している「溝形部材」は、「取付品支持部材」に含まれるものと認められる。

(イ)本件発明1の「取付品支持部材」の解釈について
a.「ベッドフレーム」の「フレーム」の字義は、額縁。枠。骨組。台枠。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]であるところ、技術常識からすると、「ベッドフレーム」はベッドを構成する枠であるサイドフレーム及びクロスフレームといえる。

b.本件発明1の「取付品支持部材」は、本件発明1の「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし」との特定事項から、「ベッドフレーム」とは別部材といえる。

c.上記a.及びb.であることは、本件明細書に記載された以下の技術内容とも整合するものである。本件明細書には、
【技術分野】として、段落【0001】に「本発明は、ベッドの長手方向端部側に取り付けるボード(ヘッドボード、フットボード)や、ベッドの幅方向端部側に取り付けるサイドレールやIVポール等の付属品を支持する位置を変更可能とすることにより、ベッドの床長または床幅の変更に適用できるようにしたベッドにおける取付品支持位置可変機構に関するものである。」と記載され、
【背景技術】として段落【0005】に「特許文献2では、ベッドフレームを、ベッドフレームとフットフレームと、それらの間の伸縮自在のサイドフレームと、ヘッド側サイドフレームと連結されたインナー及びアウタージョイントとから構成し、これらのインナー及びアウタージョイントに対してフット側サイドフレームを進退させて固定することにより、床長を調節可能に構成している。」と記載され(特許文献2(乙2)には下記図面の【図1】、【図3】及び【図4】が示されている。)、この【背景技術】に対し、
【発明が解決しようとする課題】として、例えば、段落【0010】には「フレームをスライド式に延長可能とする方法では、機構部品が大掛かりとなり、部品点数の増加や製造コストの増大につながる」ことが、段落【0011】には「特許文献2のように、異なったボトムの幅に対して、ベッドフレームの一部、即ち中枠を共通化しているが、一部の共通化であるのでコストの低減効果は比較的小さく、組立も面倒である。本発明は、以上のような課題を解決することを目的とするものである。」ことが記載されている。
【図1】

【図3】

【図4】

これらの記載によれば、本件発明1のスライド式に延長可能な「取付品支持部材」は、特許文献2のように、ベッドフレーム(サイドフレーム若しくはクロスフレーム)をスライド式に延長可能とする方法では、構成部品が大がかりとなり、組立も面倒となるため、本件発明の課題を解決することはできないことからすると、ベッドフレーム(サイドフレーム若しくはクロスフレーム)とは別部材であることは明らかである。

イ.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
(ア)後者の「L字形である細長い要素11」及び「L字形である細長い要素12」は、「ベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10」を構成するところ、甲1の図1に示された配置及び形状からみて、各々がベッドフレームの部材であり、かつ棒状といえるものであるから、後者の「L字形である細長い要素11」及び「L字形である細長い要素12」のいずれか一方は、前者の「ベッドフレーム側の棒状部材」に相当する。
また、後者の「相互に締結されるL字形である細長い要素11及びL字形である細長い要素12から構成される」ことと、前者の「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する」構成とすることとは、「ベッドフレーム側の棒状部材を有する」ことで共通する。
(イ)後者の「組立式のベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10」と、前者の「ベッドにおける取付品支持位置可変機構」とは、「ベッドの機構」であることで共通する。

そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「ベッドフレーム側の棒状部材を有するベッドの機構。」

〔相違点〕
本件発明1は、「ベッドにおける取付品支持位置可変機構」であって、
「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし、前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し、棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成した」ものであるのに対し、
甲1発明は、「相互に締結されるL字形である細長い要素11及びL字形である細長い要素12から構成される組立式のベッドフレームの調節可能なクロスフレーム部材10」であって、
「細長い要素11及び細長い要素12は、脚車19及び脚車20付きの脚を有するサイドフレーム部材17及びサイドフレーム部材18にそれぞれ締結されるものであり、
細長い要素11は第一の脚部13と該第一の辺部13と同様の横幅であり、互いに略直角な第二の辺部14を含み、細長い要素12は第一の辺部15と該第一の辺部15と同様の横幅であり、互いに略直角な第二の辺部16を含み、
辺部13及び辺部15が鉛直に方向づけられ、辺部14及び辺部16が辺部13及び辺部15の上縁部から外方に水平に伸長するようにそれぞれ配置され、
細長い要素11は、辺部13の略中間に共通線に沿って存在する複数の長手方向に間隔を空けて配置された穴21及び穴22を備え、各穴は選択可能な調節位置を規定し、
細長い要素11及び細長い要素12間の長手方向の移動は、指部25で防止され、該指部25は細長い要素12の辺部15から外方に突出してクロスフレーム部材10の所望の調節に対応する穴21及び穴22のうちの一つを通して挿入可能であり、細長い要素11及び細長い要素12の脚部同士が相互に面対面で近接して配置されたときに、指部25は穴21及び穴22のうちの一つの側壁26に係合して相互に長手方向において両方向に移動をしないように細長い要素11及び細長い要素12を保持し、
さらに、細長い要素11及び細長い要素12を分離しないように保持するためのロック手段を有し、該ロック手段は、ロックを解除可能なつまみネジ40と、辺部13に複数の長手方向に穴21及び穴22に関連付けられて間隔を空けて配置されつまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口31及び開口32と、細長い要素12の辺部15につまみネジ40を受け入れるためのネジ式の開口35を有する」ものである点。

イ.判断
イ-1.特許法第29条第1項第3号(新規性)について
イ-1-1.相違点について検討する。
請求人は、請求人陳述要領書の別紙3ページ「1 審理事項通知書『第2 審判合議体の暫定的な見解』に対する異論」において、「本件請求項1に係る発明の『取付品支持部材』に相当する部分は、甲1発明の『細長い要素11』又は『細長い要素12』のみならず、『フレーム部材17』又は『フレーム部材18』も含まれる。」と主張し、甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものが、本件発明1の「取付品支持部材」に相当する旨述べているので、これについて検討する。
上記ア.(イ)で述べたように、本件発明1の「取付品支持部材」は、ベッドフレーム(サイドフレーム若しくはクロスフレーム)とは別部材である。
他方、甲1発明の 「細長い要素11」及び「細長い要素12」は、両者を相互に締結して「クロスフレーム部材10」を構成するものであるからベッドフレームであり、甲1発明の 「サイドフレーム部材17」及び「サイドフレーム部材18」もベッドフレームであるから、甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものは、いずれもベッドフレームで構成されているといえる。
したがって、甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものは、本件発明1の「取付品支持部材」に相当するものではない。
よって、本件発明1と甲1発明とは、上記相違点の他の構造を検討するまでもなく、上記相違点において実質的に相違するから、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。

イ-2.特許法第29条第2項(進歩性)について
イ-2-1.上記相違点について検討する。
上記イ-1.で述べたとおり、甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものは、本件発明1の「取付品支持部材」に相当するものではない。そして、甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものを、サイドフレームとは別部材である「取付品支持部材」に換えると、ベッドフレームとしての機能が損なわれるから、甲1発明から上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることは容易想到であるとはいえない。

また、甲7?甲10の上記第5 1.(3)の記載事項から、介護用ベッドにおいては、フットボードやヘッドボードをサイドフレームの端部に直接取り付け及び取り外し可とすることが技術常識ないし周知技術であるといえる。
しかしながら、甲1発明に上記技術常識ないし周知技術を適用しても、サイドフレーム部材17、18の端部にフットボードやヘッドボード等の付属品を支持可能な構成が得られるだけであり、上記相違点に係る本件発明1の「取付品支持部材」の構成に至るものではない。

請求人は、審判請求書の17ページの下段から始まる7.[5](ア)(ア-1)「甲第1号証の開示内容」において、「甲第1号証においては、部材18はベッドフレームを構成する『サイドフレーム部材』と呼ばれているが、『本発明のベッドフレーム部材は、クロスフレーム部材としてのみならずサイドフレーム部材としても有用である』とのことから、以下の図のとおり、本発明のベッドフレーム部材を『クロスフレーム部材を伸長させる構成』(下図左側)のみならず、これを右に90度回転させて『サイドフレーム部材を伸長させる構成』(下図右側)とした場合は、第1の細長い要素11及び第2の細長い要素12が、サイドフレーム部材であり、部材18はクロスフレーム部材に相当する。」(18ページ9?15行)と述べた上で、甲7?甲10に示される上記周知技術を適用して容易想到であることを述べている。
しかしながら、請求人の主張は、本件発明1の「取付品支持部材」に、ベッドフレームが含まれることを前提しているところ、上記イ-1-1.(イ)で検討したように、本件発明1の「取付品支持部材」は、ベッドフレームとは別部材であり、ベッドフレームは含まれないから、請求人の主張は前提において誤っており採用できない。

イ-2-2.
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び甲7?甲10に記載された技術常識ないし周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2)本件発明5?7について
請求項5?7は、請求項1を引用するものであって、本件発明5?7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明5?7は、上記(1)で述べたように、本件発明1と同様に、甲1発明であるとはいえないし、また、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び甲7?甲10に記載された技術常識ないし周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(3)小括
したがって、本件発明1、5?7は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲1発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものとはいえない。
また、本件発明1、5?7は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲1発明に基いて、又は、甲1発明及び甲7?甲10に記載された技術常識ないし周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。
よって、無効理由1により、請求項1、5?7係る特許を無効とすることはできない。

3.無効理由2について
無効理由2は、甲2?甲6に基づく「公然知られた発明である製品1発明(FB730/720)」(以下「製品1発明」ということがある。)を主又は副の発明としているところ、被請求人は、上記第4に記載したように、以下の2点を含めて争う旨を主張しているので、最初にこの2点について検討する。
・審判請求書および陳述要領書には製品1発明について具体的に構成を特定していないから、製品1発明を主引例とする進歩性欠如の無効理由は要旨変更である。
・甲第2号証から甲第5号証の写真の製品の公知性を争う。

(1)要旨変更について
審判請求書の7.【5】「(イ)製品1発明(フランスベッド社製の介護ベッドFB730/720)」の項の24ページ8行?27ページ5行において、甲2?甲5の写真に基づいて、製品1発明の構成を特定しており、また、37ページの下から8行?下から3行には「なお、以上は、甲1発明を主引例、製品1発明を副引例とした主張であるが、製品1発明を主引例、甲1発明を副引例とする場合にも同様に、本件特許発明1の進歩性は否定される。すなわち、製品1発明において、甲1発明を参照することにより、取付品支持部材のベッドフレームとの連結部分を溝形部材とし、既に製品1発明が有している螺合手段に加えて、当該螺合手段と協働する甲1発明の係合手段である突起と穴を追加することは、極めて容易であったといえる。」と述べているから、請求人は、製品1発明を主引例とし、甲1発明を副引例とする進歩性欠如の無効理由を主張しているといえる。
よって、製品1発明を主引例とする進歩性欠如の無効理由は要旨変更に該当しない。

(2)公知性について
ア.請求人の主張
請求人は、審判請求書の24ページから始まる7.【5】「(イ)製品1発明(フランスベッド社製の介護ベッドFB730/720)」の項の24ページ2?7行において、「引用する製品1発明である介護ベッドFB730/720は、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載されており、これらの記載によって構成及び動作が特定される。甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証は、請求人に保管されていた、介護ベッドFB730の写真撮影記録である。甲第5号証及び甲第6号証によって、製品1発明が本件特許発明の出願日より以前に公知になっていたことが立証される。」と述べている。

イ.検討
甲5には、ベッドの写真と該ベットに貼られたラベルの写真が掲載され、該ラベルには「ヒューマンケアベッド FB*-730」、「製造年月 00-02」と記載されている。そして、甲2?甲4の写真には、甲5に掲載されたベッドにおける甲2?5構造が示されている。また、甲6は、1997年(平成9年)10月10日に発行された「シルバー産業新聞」の記事であって、その(1)面の下段には、「ヒューマンケアベッド FB-730(3モータ) FB-720(2モータ)」である甲6構造が示されている。
甲5のラベルに記載された「製造年月 00-02」は、製造年月が2000年2月であることを意味するものと認められる。
しかしながら、甲6の「ヒューマンケアベッド FB-730(3モータ) FB-720(2モータ)」と、甲5の「ヒューマンケアベッド FB*-730」が同一のベッドであるか定かではない。また、甲2?甲4の写真は、ボルト等を外して分解された構造を撮影したものが含まれているところ、無効審判請求書の「8 証拠方法」を参照すると、甲2及び甲3の作成年月日は平成30年(2018年)1月であり、甲4の作成年月日は平成30年(2018年)3月23日であって、いずれも本件特許出願の出願日後に撮影された写真である。
その点に加え、甲2?甲5の被写体が、いつ、どのような経緯で請求人の保管下に至ったのかも判然としないことも合わせると、甲2?甲4に示されている分解された構造まで含めて、公然知られた、すなわち、本件特許の出願前に不特定の人が見られる状態であったか否かは不明であると言わざるを得ない。
したがって、甲2?5の写真に示された甲2?5構造は、本件特許の出願前に公然知られた製品1発明と認定することはできない。
よって、本件特許の出願前に公然知られた製品1発明として認定することができるのは、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲6から認定できる甲6構造である。

(3)進歩性の判断
(3-1)本件発明1について
(3-1-1)甲1発明を主の発明、製品1発明を副の発明とした場合
ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記2.(1)「ア.対比」で述べた、[一致点]で一致し、[相違点]で相違する。

イ.判断
イ-1.上記相違点について検討する。
本件特許出願前に公然知られた製品1発明(FB730/720)として認定できるのは、上記(2)で述べたように、甲6構造だけであるから、製品1発明は、上記1.(2)ウ.で記載した甲6構造である「左右のサイドフレームの長手方向の先端にヘッドボード及びフットボードを有するヒューマンケアベッド FB-730(3モータ)又はFB-720(2モータ)。」となる。
そして、甲6構造は、本件発明1の「取付品支持部材」を有する「ベッドにおける取付品支持位置可変機構」に相当する構成を有しているとはいえないから、甲1発明に製品1発明を適用しても、上記相違点に係る本件発明1の構成には至らない。

イ-2.よって、本件発明1は、甲1発明[主の発明]と製品1発明[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3-1-2)製品1発明を主の発明、甲1発明を副の発明とした場合
ア.対比
本件発明1と製品1発明である「左右のサイドフレームの長手方向の先端にヘッドボード及びフットボードを有するヒューマンケアベッド FB-730(3モータ)又はFB-720(2モータ)。」とを対比すると、
後者の「左右のサイドフレーム」は、前者の「ベッドフレーム側の棒状部材」に相当し、後者の「ヘッドボード及びフットボード」は取付品といえる。また、後者の「左右のサイドフレームの長手方向の先端にヘッドボード及びフットボードを有する」構成と、前者の「ベッドにおける取付品支持位置可変機構」は、「ベットにおける取付品を支持する構造」において共通する。
そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点A〕
「ベッドフレーム側の棒状部材にベットにおける取付品を支持する構造。」

〔相違点A〕
「ベッドフレーム側の棒状部材にベットにおける取付品を支持する構造」に関し、
本件発明1は、「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし、前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し、棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成したベッドにおける取付品支持位置可変機構。」であるのに対し、
製品1発明は、かかる構成を有していない点。

イ.判断
上記相違点Aについて検討する。
甲1発明の「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものは、本件発明1の「取付品支持部材」ということはできないから、製品1発明に甲1発明を適用しても、上記相違点Aに係る本件発明1の構成には至らない。
よって、本件発明1は、製品1発明[主の発明]と甲1発明[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3-2)本件発明5?7について
請求項5?7は、請求項1を引用するものであって、本件発明5?7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明5?7は、上記(3-1)で述べたように、本件発明1と同様に、甲1発明[主の発明]と公然知られた発明である製品1発明[副の発明]とに基いて、又は製品1発明[主の発明]と甲1発明[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)小括
したがって、本件発明1、5?7は、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲1発明[主の発明]と公然知られた発明である製品1発明(FB730/720)[副の発明]とに基いて、又は製品1発明(FB730/720)[主の発明]と甲1発明[副の発明]とに基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。
よって、無効理由2により、請求項1、5?7係る特許を無効とすることはできない。

(5)予備的見解
仮に、公然知られた製品1発明(FB730/720)として、上記1.(2)ウ.で述べた甲2?甲5の写真に基づく甲2?5構造が認定できた場合における無効理由2について付言する。
(5-1)本件発明1について
(5-1-1)甲2?5構造を[主の発明]、甲1発明を[副の発明]とした場合
ア.対比
本件発明1と甲2?5構造とを対比すると、
(ア)後者の「ベッドのサイドフレーム」は、前者の「ベッドフレーム側の棒状部材」に相当し、後者の「ボード」は前者の「取付品」に相当する。
後者の「左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有する左右のボード取付部を有し、前記左右のボード取付部の前記左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され該1つの穴には螺合用のネジが切られ」た「クロスフレーム部材」と、前者の「取付品支持部材」とは、「取付品を取り付ける部材」であることで共通する。
そして、後者の「ベッドのサイドフレームの長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成」と、前者の「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成」とは、「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品を取り付ける部材を着脱可能に支持する構成」において共通する。

(イ)後者の「ベッドのボードの支持機構」と、前者の「取付品支持位置可変機構」とは、「取付品支持機構」である点で共通する。

そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品を取り付ける部材を着脱可能に支持する構成とする取付品支持機構。」

〔相違点A〕
本件発明1は、「前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し、棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成した取付品支持位置可変機構」であるのに対し、
甲2?5構造は、「前記クロスフレーム部材の左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有する左右のボード取付部を有し、前記左右のボード取付部の前記左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され該1つの穴には螺合用のネジが切られ、前記左右のサイドフレームの両端部には、間隔が1.5cmの2つの穴がそれぞれ形成され、前記クロスフレーム部材の前記左右のボード取付部が前記左右のサイドフレームの端部に挿入されてボルトにより締結されているベッドのボードの支持機構」である点。

イ.判断
イ-1.相違点Aについて検討する。
(ア)上記2.(1)イ.イ-1.イ-1-1.(イ)で述べたように、本件発明1の「取付品支持部材」は、ベッドフレーム(サイドフレーム若しくはクロスフレーム)とは別部材であるから、甲2?5構造の 「左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有するボード取付部を有し、前記左右のボード取付部の前記左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され該1つの穴には螺合用のネジが切られ」た「クロスフレーム部材」は、本件発明1の「取付品支持部材」に相当するものではない。

(イ)甲2?5構造において、「左右のサイドフレームの両端部には、間隔が1.5cmの2つの穴がそれぞれ形成され」ているところ、甲4の5?10頁には、「前記左右のボードの取付部の前記左右のサイドフレームの延長上に」形成された「1つの穴」と、「前記左右のサイドフレームの両端部に」形成された「間隔が1.5cmの2つの穴」により、3cmの長さでベッドの全長を変更できることが示されている。
一方、甲6には、「ヒューマンケアベッド FB-730(3モータ)又はFB-720(2モータ)」の諸元に「●サイズ(FB-730、FB-720共通):全幅89.3×全長211.5(ショートサイズ199)cm」との記載されているから、通常のサイズとショートサイズとでは全長で12.5cmの差があることが理解できる。
しかし、甲6に示されているヒューマンケアベッドは、通常のサイズとショートサイズとを、上記甲4に示されている手段で変更できるかどうかは不明であるし、仮に、上記甲4に示されている手段で変更できるとしても、甲4に示されている事項と甲6に示されている事項とでは、変更できる長さに齟齬があり、甲2?5構造のかかる「1つの穴」と「2つの穴」の機能がベットの全長を変更するものといえるものでなく、その技術的意義は不明である。
そうすると、甲2?5構造は、ベットの全長を変更して取付品の支持位置可変機構を有するとまではいえないから、甲1発明の「指部25」及び「穴21及び穴22」による係合手段と「つまみネジ40」による「ロック手段」による取付品の支持位置可変機構を適用する動機付けは存在しない。
また、甲1発明の 「細長い要素11」と「サイドフレーム部材17」を併せたもの、又は「細長い要素12」と「サイドフレーム部材18」を併せたものは、本件発明1の「取付品支持部材」に相当するものではないので、仮に、甲2?5構造に甲1発明を適用したとしても、上記相違点Aに係る本件発明1の「取付品支持部材」の構成に至るものではない。

(ウ)以上のとおり、本件発明1は、甲2?5構造[主の発明]と甲1発明[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5-1-2)甲1発明を[主の発明]、甲2?5構造を[副の発明]とした場合
本件発明1と甲1発明とは、上記2.(1)ア.で述べたとおり、上記相違点で相違する。
甲2?5構造の 「左右の両端部に、ボードを嵌め込むための穴を有するボード取付部を有し、前記左右のボード取付部の前記左右のサイドフレームの延長上には、1つの穴が形成され該1つの穴には螺合用のネジが切られ」た「クロスフレーム部材」は、ベッドフレームで構成されているといえるから、本件発明1の「取付品支持部材」に相当するものではない。
したがって、甲1発明に甲2?5構造を適用したとしても、上記相違点に係る本件発明1の「取付品支持部材」の構成に至るものではない。
よって、本件発明1は、甲1発明[主の発明]と甲2?5構造[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5-2)本件発明5?7について
請求項5?7は、請求項1を引用するものであって、本件発明5?7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明5?7は、上記(5-1)で述べたように、本件発明1と同様に、甲1発明[主の発明]と甲2?5構造[副の発明]とに基いて、又は甲2?5構造[主の発明]と甲1発明[副の発明]とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.無効理由3について
(1)請求人の主張
請求人は、審判請求書の38?43ページの「C.無効理由3(本件特許発明1のサポート要件の欠如)」においておおむね次のとおり主張している。
本件発明1の課題は、本件明細書の段落【0002】及び段落【0010】の記載のとおり、「病院や在宅において老人や病人等が使用するベッドの床長は、短いと使い勝手が悪く、また必要以上に長いと所要スペースが大きくなってしまう」という問題があるが、「床長毎に異なるベッドフレームを設ける方法では、床長の種類分のベッドフレームが必要となり、製造コストや管理コストが増大する」し、「延長フレームを後付けする方法では、それ自体が比較的大きくなってしまうので、保管や移動性が悪」く、「フレームをスライド式に延長可能とする方法では、機構部品が大掛かりとなり、部品点数の増加や製造コストの増大につなが」るということである。
そして、上記課題を解決する手段として、
ア.本件明細書の段落【0017】?段落【0019】、段落【0023】及び段落【0038】の記載内容からは、一方の部材に設けた一つの突起と、他方の部材の長さ方向に複数の設けた係合部から構成されるもののみが開示されている。
イ.本件図面の【図1】?【図12】において、実施形態が示されているのが、どれも係合手段は、溝形部材における底面に構成されるもののみが開示されている。
ウ.係合部はすべてスリット形状で構成されているもののみが開示されている。(上記ア.?ウ.に開示された構成を、以下「3点の構成」という。)
他方、請求項1の記載は、係合手段の構成として、「突起と係合部と」からなることと、「係合手段は、係合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成した」こととを限定しているだけで、それ以上の具体的な限定はない。
したがって、請求項1の記載は、係合手段の構成として、発明の詳細な説明の開示内容から把握される上記3点の構成、すなわち、一方の部材に設けた一つの突起と、他方の部材の長さ方向に複数設けた係合部から構成され、係合手段が溝形部材における底面に構成され、係合部がスリット形状、という構成を超えて、「係合の位置を長さ方向に複数設けた」という抽象的な機能にまで、一般化または拡張されているといえるから、本件発明1はサポート要件(特許法36条6項1号)に反している。

(2)当審の判断
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】によると、本件発明は、少なくとも、「床長毎に異なるベッドフレームを設ける方法では、床長の種類分のベッドフレームが必要となり、製造コストや管理コストが増大する」し、「延長フレームを後付けする方法では、それ自体が比較的大きくなってしまうので、保管や移動性が悪」く「フレームをスライド式に延長可能とする方法では、機構部品が大掛かりとなり、部品点数の増加や製造コストの増大につながる」という課題を解決するものであり、その課題を解決するために、同段落【0012】には、ベッドフレーム側の棒状部材の長手方向に取付品支持部材を着脱可能に支持する構成とし、前記取付品支持部材には前記棒状部材を係合可能な溝形部材を突設し、棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成したベッドにおける取付品支持位置可変機構(以下、「発明の詳細な説明に記載された発明」という。)が記載されている。
また、同段落【0023】?【0039】には、上記取付品支持位置可変機構の実施の形態として、「棒状部材」の長さ方向に対して「溝形部材」の係合と螺合の位置を可変にするための具体的な構成、例えば、【0025】、【0026】には、溝形部材5の開口側4方向に向けて鉤状部7を形成し、一方、棒状部材に相当する長手方向部材2には、鉤状部7を係合するスリット形状の係合部8a、8bを複数形成し、更に長手方向部材2の先端側には雌ねじ部9を形成すると共に、溝形部材5には、雌ねじ部9に螺合する取付ボルト10を貫通可能な取付孔11a、11bを、上記係合部8a、8bに対応して複数形成することが記載されている。
そうすると、発明の詳細な説明に記載された発明には、「係合手段」に関し、「棒状部材と溝形部材には、前記溝形部材を前記棒状部材に係合させる動作において係合状態となる係合手段を構成する突起と係合部を設けると共に、前記係合手段が係合状態において螺合可能状態となる螺合手段を構成する雌ねじ部と取付ボルトを貫通させる取付孔を設け、係合手段と螺合手段は、係合と螺合の位置を、棒状部材の長さ方向に複数構成した」との事項(以下、「特定事項A」という。)が特定されているから、この特定事項Aによって、「棒状部材」の長さ方向に対して、「溝形部材」の係合と螺合の位置を可変にすることができるものといえる。
そして、発明の詳細な説明に記載された発明では、床長毎に異なるベッドフレームを設けたり、延長フレームを後付けたり、フレームをスライド式に延長可能とする必要はないから、上記課題を解決できるものといえる。
なお、発明の詳細な説明に記載された発明には、突起と係合部からなる係合手段の形成箇所及び係合部の形状は、何ら特定されていないが、棒状部材と溝形部材との係合の位置が可変である構成であれば、係合手段の具体的な形成箇所や、係合部の具体的な形状を特定しなくても、上記課題を解決できることは、当業者にとって自明の事項である。
以上から、発明の詳細な説明に記載された発明は、当業者が上記課題を解決できると認識できるものであって、かつ、本件発明1と相違しない。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。

(3)小括
したがって、本件発明1は、本件特許の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に記載されているものであるから、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものとはいえない。
よって、無効理由3により、請求項1に係る特許を無効とすることはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1?3及び提出した証拠方法によっては、請求項1、5?7係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
 
審理終結日 2019-11-29 
結審通知日 2019-12-05 
審決日 2019-12-20 
出願番号 特願2008-91607(P2008-91607)
審決分類 P 1 123・ 113- Y (A47C)
P 1 123・ 537- Y (A47C)
P 1 123・ 121- Y (A47C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 良憲  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 出口 昌哉
島田 信一
登録日 2013-04-26 
登録番号 特許第5252542号(P5252542)
発明の名称 ベッドにおける取付品支持位置可変機構  
代理人 服部 謙太朗  
代理人 宮前 徹  
代理人 石川 隆史  
代理人 飯村 敏明  
代理人 藤原 宏高  
代理人 堀口 浩  
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