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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1074384 |
審判番号 | 不服2002-8016 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-03-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-08 |
確定日 | 2003-04-02 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第219830号「ファクシミリ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 3月12日出願公開、特開平 5- 63933]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯等 本願は、平成3年8月30日の出願であって、平成13年11月9日付け、平成14年2月1日付け、及び平成14年11月15日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載から、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「シリアル記録方式のインクジエット記録手段を備えるファクシミリ装置であって、 本体上面の前方縁部に配設される操作部と、 該操作部の下側に配設されるとともに、前記本体の前方側に設けられる開口部から原稿を排出させつつ原稿読み取りを行う原稿読み取り手段と、 前記本体の上方から下方にかけて前記前方側に向かうように傾斜した状態で記録シートを収納し、収容した記録シートを供給するシート供給部と、 前記シート供給部から供給される記録シートを前記原稿読取り手段の下方において案内するガイド部と、 前記シート供給部から供給される記録シート上に記録を行うとともに、記録動作後に前記前方側で前記開口部の下方に配置された排出口から排出するように配設される前記インクジエット記録手段と、 前記ガイド部の下方に配置される電源部と、前記本体の底部に沿うように配設される基板と、 を具備することを特徴とするファクシミリ装置。」 2.当審の拒絶理由 当審において、平成14年9月12日付けで通知した拒絶理由の概要は、本願の請求項1-3に係る発明は、下記の引用文献1-4に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 1.実願平1-60936号(実開平3-2353号)のマイクロフィルム 2.実願平1-134346号(実開平3-74530号)のマイクロフィルム 3.特開平3-102063号公報 4.特開平3-104677号公報 3.引用文献 3.1引用文献1の記載 引用文献1には以下の記載がなされている。 (1)「第5図は本考案が実施される一例としてのファクシミリ装置の構造を示す断面略図である。この動作を簡単に説明すると、ファクシミリ送信時は操作部1で送信モードにセットし、送信すべき原稿が自動原稿搬送(ADF)ローラ2、ADFコロ3により、原稿が1枚ずつ分離され、読取ローラ(R1)4,同(R2)6及び読取コロ(R1)5,同(R2)7により、原稿の読取り位置まで搬送される。 光源8から原稿上に照射された反射光は反射ミラー26,レンズ9により読取素子であるCCD10に導かれ電気信号に変換されて送信される。そして原稿はA矢印方向の本体外へ排出される。」 (明細書第1頁第19行-第2頁第12行) (2)「一方、ファクシミリ受信時あるいは原稿のコピー時は、操作部1で受信モードとして記録紙テーブル11上にセットされたカット記録紙29あるいはコピーの原稿29(以下記録紙29という)が記録紙有無検知センサ27で検知される。受信あるいはコピー開始と同時に、カット紙自動分離搬送(ACF)ローラ12,ACFコロ13によって記録紙29が1枚ずつ分離搬送され、更にフィードローラ14、フィードコロ15によって挟持搬送され、記録紙先端検知センサ28で記録紙29の先端を検出された後、一定の距離を搬送される。 次にプラテンローラ16およびサーマルヘッド17で記録紙29とインクシート30を重ね合わせて画情報が記録紙に転写される。その後、記録紙とインクシートは剥離ローラ21で剥離され、排紙ローラ18と、排紙コロ19によってB矢印方向の本体外へ排出される。」 (明細書第2頁第13行-第3頁第9行) (3)「なお、第5図において、インクシート30は供給側のインクシートカセット22から巻取側のインクシートカセット23へ巻取られる。また、24は本体への電力供給ユニット(PSU)、25はプリント・コントロール・ボード(PCB)で、本体の送,受信およびコピー動作を行なうための制御を行なう。」 (明細書第3頁第16行-第4頁第1行) また、第5図には、本体の上面の図中左側の傾斜した縁部分に設けられた「操作部1」と、そのほぼ下側に設けられた「光源8」、「ミラー26」、「レンズ9」及び「CCD10」と、図中右上方から左下方に傾斜した「記録紙テーブル11」と、「フィードローラ14」及び「フィードコロ15」と、「プラテンローラ16」、「サーマルヘッド17」、「インクシートカセット22」及び「インクシートカセット23」と、「PSU24」と、本体の底面に沿って設けられた「PCB25」と、を有するファクシミリ装置の断面図、ファクシミリ装置の左側から更に左に向かう「A矢印」及びその下方の「B矢印」が示されている。 第5図に示されたファクシミリ装置は、「操作部1」の向きから、図の左側が前方側であることは明らかであるから、引用文献1には次の発明(以下、引用発明という。)が記載されているといえる。 「プラテンローラ16、サーマルヘッド17、インクシートカセット22及びインクシートカセット23を備えるファクシミリ装置であって、 本体上面の前方縁部に配設される操作部1と、 該操作部1のほぼ下側に設けられた光源8、ミラー26、レンズ9及びCCD10と、 本体の後部上方から前方下方に傾斜した記録紙テーブル11と 前記記録紙テーブル11から供給される記録紙を挟持搬送するフィードローラ14及びフィードコロ15と、 前記記録紙テーブル11から供給される記録紙上に記録を行なうプラテンローラ16、サーマルヘッド17、インクシートカセット22及びインクシートカセット23と、 電力供給ユニット(PSU)24と、本体の底面に沿って設けられたプリント・コントロール・ボード(PCB)25と、 を具備することを特徴とするファクシミリ装置。」 3.2引用文献2の記載 引用文献2には以下の記載がなされている。 (4)「第1図において、符号3はカット紙トレイであり、カット紙トレイ3は、ファクシミリ装置本体1に、上方傾斜して着脱可能に装着され、内部に記録用のカット紙6を所定枚数収容可能に構成されており、その上部には原稿ガイド機能を兼ねるトレイ蓋4が取付けられている。」 (明細書第6頁第9行-同頁第14行) また、第1図には、上方傾斜してその下側部分が「ファクシミリ装置本体1」内に位置する「カット紙トレイ3」を有するファクシミリ装置が示されている。 3.3引用文献3の記載 引用文献3には以下の記載がなされている。 (5)「〔産業上の利用分野〕 本発明は、記録装置の記録シートの搬送および排出手段に関する。 〔従来の技術〕 プリンタ、複写機、ファクシミリなどの記録装置は、転送されてくる画像情報に基づいて、記録ヘッドのエネルギー発生体を駆動することにより、紙やプラスチック薄板などの記録シート上にドットパターンからなる画像を記録していくように構成されている。 上記記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式などに分けることができる。」 (第1頁右下欄第3行-同欄第15行) (6)「第4図において、記録ヘッド15は、プラテンローラ14と平行なガイド軸21、21に沿って往復移動するキャリッジ22上に搭載されている。 なお、図示の記録ヘッド15は、インクジェットヘッドの場合を例示し、インクタンクと一体に構成されている。」 (第3頁左上欄第6行-同欄第11行) 4.対比 引用発明の「プラテンローラ16」、「サーマルヘッド17」、「インクシートカセット22」及び「インクシートカセット23」は、それらにより記録手段を構成するといえ、上記(1)に「そして原稿はA矢印方向の本体外へ排出される。」とあることから、原稿を排出するための開口部があることは当然であり、上記(2)に「その後、記録紙とインクシートは剥離ローラ21で剥離され、排紙ローラ18と、排紙コロ19によってB矢印方向の本体外へ排出される。」とあることから、記録紙を排出する排出口があるのは当然であり、第5図に示された「A矢印」及び「B矢印」から、排出口は開口部の下方に配置されたものとなる。 また、「光源8」、「ミラー26」、「レンズ9」及び「CCD10」は、それらにより原稿読み取り手段を構成するといえ、「記録紙テーブル11」は記録紙を供給するものであるから、シート供給部といえる。 さらに、「フィードローラ14」及び「フィードコロ15」は、記録紙を「プラテンローラ16」、「サーマルヘッド17」、「インクシートカセット22」及び「インクシートカセット23」からなる記録手段へ向けて挟持搬送するので、記録紙を案内するものといえ、その具体的構造についての特定がない本願発明の「ガイド部」に相当する。 そして、「記録紙」は記録シートと、「電力供給ユニット(PSU)24」は電源部と、「プリント・コントロール・ボード(PCB)25」は基板と、それぞれいえるから、本願発明と引用発明は次の点で一致する。 「記録手段を備えるファクシミリ装置であって、 本体上面の前方縁部に配設される操作部と、 前記本体の前方側に設けられる開口部から原稿を排出させつつ原稿読み取りを行う原稿読み取り手段と、 シート供給部と、 前記シート供給部から供給される記録シートを前記原稿読取り手段の下方において案内するガイド部と、 前記シート供給部から供給される記録シート上に記録を行うとともに、記録動作後に前記前方側で前記開口部の下方に配置された排出口から排出するように配設される前記記録手段と、 電源部と、前記本体の底部に沿うように配設される基板と、 を具備することを特徴とするファクシミリ装置。」 また、次の点で相違する。 相違点1 本願発明の記録手段は「シリアル記録方式のインクジエット記録手段」であるのに対して、引用発明のものは「プラテンローラ16」、「サーマルヘッド17」、「インクシートカセット22」及び「インクシートカセット23」からなるものである点。 相違点2 本願発明の原稿読み取り手段は「操作部の下側に配設される」ものであるのに対して、引用発明のものは、原稿読み取り手段を構成する「光源8」及び「ミラー26」は操作部の真下に位置するが、「レンズ9」及び「CCD10」は操作部の下側のややずれた位置にあり、操作部のほぼ下側に配設されている点。 相違点3 本願発明のシート供給部は「本体の上方から下方にかけて前記前方側に向かうように傾斜した状態で記録シートを収納し、収容した記録シートを供給するシート供給部」であるのに対して、引用発明のものは「本体の後部上方から前方下方に傾斜した記録紙テーブル11」である点。 相違点4 本願発明の「電源部」は「ガイド部の下方に配置される」ものであるのに対して、引用発明のものはそのような配置でない点。 そこで、上記相違点について検討する。 相違点1について ファクシミリ装置の記録手段としてインクジエット記録手段を用いることは、前記3.3のとおり引用文献3に示されており、記録手段をシリアル記録方式のインクジエット記録手段とすることに困難な点はない。 相違点2についいて 本願発明において、「操作部」及び「原稿読み取り手段」の具体的な構成については特定がなく、装置の各構成要素の小型化を行なうことは一般的な課題であるから、原稿読み取り手段を「操作部の下側に配設される」ものとすることに困難な点はない。 相違点3について 記録用のカット紙を所定枚数収容可能なカット紙トレイを上方傾斜してその下側部分がファクシミリ装置本体内に位置するようにすることが、上記3.2のように引用文献2に示されており、「本体の後部上方から前方下方に傾斜した記録紙テーブル11」を「本体の上方から下方にかけて前記前方側に向かうように傾斜した状態で記録シートを収納し、収容した記録シートを供給するシート供給部」とすることに困難な点はない。 相違点4について 電源を装置の下部に配置することは周知技術(例えば、特開昭62-198252号公報)であり、「ガイド部の下方に配置される電源部」として、装置の下部に配置することに困難な点はない。 5.むすび したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-02-05 |
結審通知日 | 2003-02-07 |
審決日 | 2003-02-18 |
出願番号 | 特願平3-219830 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 純一 |
特許庁審判長 |
東 次男 |
特許庁審判官 |
江頭 信彦 加藤 恵一 |
発明の名称 | ファクシミリ装置 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |