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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B09B
管理番号 1074484
審判番号 不服2000-13719  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-30 
確定日 2003-04-21 
事件の表示 平成7年特許願第176842号「廃棄物の処理場の構築方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成9年1月7日出願公開、特開平9-1101、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願請求項1及び2に係る発明は、特許すべきものとする。 
理由 I.手続の経緯、本願発明
本願は、平成7年6月19日に特許出願されたもので、その請求項1及び2に係る発明は(以下、必要に応じ、それぞれ、「本願発明1」及び「本件発明2」という)、平成10年5月28日提出の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲に記載される次のとおりのものである。

【請求項1】下記の各工程から構成されていることを特徴とする廃棄物の処理場の構築方法。
第1工程
地面に、底面(2A)と、この底面の前後に連設された前後の壁面(2B,2C)と左右に連設された左右の壁面(2D,2E)とから構成されている逆角錐台状の処理場用くぼみ部(2)を形成すると共に、処理場用くぼみ部(2)の外周には縁部(2F)を形成する。
第2工程
処理場用くぼみ部(2)における底面(2A)、前後の壁面(2B,2C)、左右の壁面(2D,2E)の上面に、塩化ビニール、ポリエチレン、カーボン、ゴムなどで構成された遮水シート(3)を敷設する。
第3工程
処理場用くぼみ部(2)の内面に敷設された遮水シート(3)の上面に、下記側面用マット(4)を当該側面用マットの上端が処理場用くぼみ部(2)の縁部(2F)を覆い、下端が処理場用くぼみ部(2)の底面(2A)に達する状態で並列状態に面ファスナーを利用しながら隙間のないように連結して張設する。

側面用マット(4)は、腐食しづらい不織布マット及び繊維マットを素材として、処理場用くぼみ部(2)における各壁面の高さより少し長い帯状に構成された側面用マット本体(4A)と、この側面用マット本体の左方辺下面に添着された面ファスナーの一方(4B)と、右方上面に添着された面ファスナーの他方(4C)と、側面用マット本体(4A)の上端近傍中央に取付けられた鳩目(4D)とから構成されている。
第4工程
底面(2A)の上面に土砂(5)を所定厚さで敷き詰める。
【請求項2】下記の各工程から構成されていることを特徴とする廃棄物の処理場の構築方法。
第1工程
地面に、底面(2A)と、この底面の前後に連設された前後の壁面(2B,2C)と左右に連設された左右の壁面(2D,2E)とから構成されている逆角錐台状の処理場用くぼみ部(2)を形成すると共に、処理場用くぼみ部(2)の外周には縁部(2F)を形成する。
第2工程
処理場用くぼみ部(2)における底面(2A)、前後の壁面(2B,2C)、左右の壁面(2D,2E)の上面に、塩化ビニール、ポリエチレン、カーボン、ゴムなどで構成された遮水シート(3)を敷設する。
第3工程
処理場用くぼみ部(2)の内面に敷設された遮水シート(3)における底面の上面に下記底面用マット(6)を並列状態で面ファスナーを利用しながら隙間のないように連結して張設したのち、遮水シート(3)の上面に下記側面用マット(4)を当該側面用マットの上端が処理場用くぼみ部(2)の縁部(2F)を覆い、下端が張設された底面用マット(6)の端部上面に達する状態で並列状態に面ファスナーを利用しながら隙間のないように連結して張設する。

底面用マット(6)は、腐食しづらい不織布マット及び繊維マットを素材として、側面用マット(4)の幅と同一幅を有し、かつ所定長さの帯状に構成された底面用マット本体(6A)と、この底面用マット本体の左方辺下面に添着された面ファスナーの一方(6B)と、右方上面に添着された面ファスナーの他方(6C)とから構成されていると共に、前方下面に添着された面ファスナーの一方(6D)と、後方上面に添着された面ファスナーの他方(6E)とから構成され、また、側面用マット(4)は、腐食しづらい不織布マット及び繊維マットを素材として、処理場くぼみ用部(2)における各壁面の高さより少し長い帯状に構成された側面用マット本体(4A)と、この側面用マット本体の左方辺下面に添着された面ファスナーの一方(4B)と、右方上面に添着された面ファスナーの他方(4C)と、側面用マット本体(4A)の上端近傍中央に取り付けられた鳩目(4D)とから構成されている。
第4工程
敷設された底面用マット(6)の上面に土砂を所定厚さで敷き詰める。

II.原査定の概要
本願発明1及び2は、本出願前に頒布された刊行物である特開平5-261355号公報(以下、「引用例1」という)、実公昭62-41049号公報(以下、「引用例2」という)及び特開平2-209510号公報(以下、「引用例3」という)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

III.引用例に記載の発明
(a)引用例1(特開平5-261355号公報)
(a-1)「掘り下げられた地盤を廃棄物によって階層分けして段階的に埋め立てるに当たり、埋め立て予定領域の底面部から側面部に亘るこの埋め立て予定領域全面にシート状の遮水材を敷設し、前記埋め立て予定領域の底面部にマット状廃棄物を敷設したのち、廃棄物の埋め立て高さより高くなるようにマット状廃棄物を埋め立て予定領域の側面部に、廃棄物の埋め立てより先行敷設することを特徴とする廃棄物の埋め立て方法。」(特許請求の範囲)
(a-2)「遮水材としては・・・ビニールシート・・・が使用されており」(第2頁左欄第21~23行)
(a-3)「そこで本発明は上記した事情に鑑みて、遮水工の施設に係わるコストを引き下げることを課題とし、そして、腐食しにくい畳などのマット状廃棄物が昨今多く持ち込まれる現状に注目して、このマット状廃棄物を遮水材の保護に利用することを目的とする。」(第2頁右欄第1~6行)
(a-4)「つぎに本発明を図1と図2に示す一実施例に基づいて説明する。なお、図3と図4に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。すなわち本発明は、埋め立て予定領域1に段階的に廃棄物を投入して埋めるに当たり、全面的に遮水材5が敷設された埋め立て予定領域1の底面部2上に、畳などのマット状廃棄物11を一部が重なるようにして敷設したのち、段階的な廃棄物の投入による埋め立て高さより常時高くなるように、その埋め立てより先行するようにして側面部4側にもマット状廃棄物11を上下に一部重ねながら敷設するもので、以下マット状廃棄物の先行敷設と廃棄物の埋め立てを繰り返して最終層まで埋め立てるものである。
マット状廃棄物11は一部が重なりながら遮水材5を全面的に覆うように配置されるものであり、側面部4の横方向での並びにおいても図2に示すように一部が重なるようにする。」(第2頁右欄第36~39行)

(b)引用例2(実公昭62-41049号公報)
(b-1)「1 不織布よりなる長尺状の土木治水用フィルターであつて、短手方向端部より3~20cmの位置に、長手方向に沿って前記端部と平行な目印線を備える土木治水用フィルター。
2 目印線が、フィルターに貼付した面ファスナーである実用新案登録請求の範囲第1項記載の長尺状土木治水用フィルター。」(実用新案登録請求の範囲)
(b-2)「上記土木治水用フィルターでは、その短手方向端部より3~20cmの位置に備えられた目印線は、フィルター敷設において、重ね合わせ幅を確保する為の目印線として働く。」(第2頁左欄第11~14行)
(b-3)「第5図は本考案第3実施例で、本実施例では第1実施例における印刷された目印線2の代りに面ファスナー(商品名「マジックテープ」)5を貼付してある。勿論連続して貼付してなくても断続的に貼付してあつても良い。本実施例を広い面積にわたつて敷き占める場合、重ねた部分で第6図のように面ファスナー5で固定しておくことができる。そのため、第1実施例の効果に加えて次の効果も奏する。即ち、作業中にフィルター3が風で舞い上つたり、移動したり、また作業者が上に乗ることによつて、せつかく一定の二重部分を設けたにもかかわらず移動してしまうといつたことがなくなり作業能率を向上させることができる。」(第3頁左欄第13行~右欄第3行)

(c)引用例3(特開平2-209510号公報)
(c-1)「埋立処分地(1)の側面(3)に沿って敷設された遮水シート(5)の表面に保護シート(9)が重なり状態を保持して敷設されているとともに、前記保護シート(9)が前記遮水シート(5)に対して摺動可能とされていることを特徴とする埋立処分地の側面構造。」(特許請求の範囲第1項)
(c-2)「遮水シートの表面に不織布や帆布などの遮蔽性ならびに緩衝性を有する保護シートを溶着または接着などの手段により固着して一体化させた二重構造の被覆シートを埋立処分地の側面に沿って敷設することが一部で行なわれている。」(第2頁右上欄第8~13行)
(c-3)「遮水シート5は・・・遮水性ならびに柔軟性、伸縮性を有する軟質ポリ塩化ビニルなどの部材により形成され、多数枚が上端縁5aを天端4に沿って形成した溝6に装入し、地盤に打込んだ止め具7と溝6に充填したアスファルト層8とによって固定されて側面3長手方向へ並設され、互いに重なり合う側端縁を溶着または接着により互いに接合することによって埋立処分地1の底面2および側面3、更に天端4の全面に亘って隙間なく敷設されている。」(第3頁左上欄第14行~右上欄第8行)
(c-4)「遮水シート5の表面には保護シート9が敷設されている。保護シート9は・・・不織布や帆布など遮蔽性、ならびに緩衝性を有するシート部材により形成される。・・・更に、埋立て処分地1の天端4および底面2に係止具10a,10bがそれぞれ側面3長手方向へ適宜の間隔を有して打ち込まれているとともにこれらの係止具10a,10b間にロープなどの索条11が保護シート9の表面部分に添わせて張設されており、この索条11によって保護シート9を遮水シート5の表面に押さえつけた状態で保持している。」(第3頁右上欄第9行~左下欄第10行)

IV.当審の判断
(a)本願発明Iについて
引用例1の上記(a-1)、(a-2)及び(a-4)と図1~3の記載からみると、引用例1には、「地盤を掘り下げて、底面部と、この底面部の前後及び左右に連設された側面部とから構成されている逆角錐台状の埋め立て予定領域を形成し、次に、該埋め立て予定領域全面にビニールシートからなる遮水材を敷設し、次いで、該埋め立て予定領域の底面部の遮水材上に畳などの腐食しにくいマット状廃棄物(以下、「マット状廃棄物」という)をその一部が重なるように配置し、かつ、段階的な廃棄物の投入による埋め立て高さより常時高くなるように、該埋め立て予定領域の側面部の遮水材上にマット状廃棄物を上下に重ねながら先行敷設して、当該先行敷設と廃棄物の埋め立てを繰り返す、廃棄物の埋め立て方法」に関する発明が記載されている。
そこで、本願発明1と引用例1に記載の発明とを対比する。
引用例1に記載の「埋め立て予定領域」は、本願発明1の「処理場用くぼみ部(2)」に相当し、また、その「底面部」、「側面部」、「埋め立て予定領域の外縁部」、「遮水材」、「側面部に敷設されるマット状廃棄物」は、それぞれ、本願発明1の「底面(2A)」、「壁面(2B、2C、2D、2E)」、「縁部(2F)」、「遮水シート(3)」、「側面用マット」に相当する。そして、引用例1に記載の発明では、本願発明1のように、埋め立て予定領域の形成、遮水材の敷設、マット状廃棄物の敷設の順で、段階を経て廃棄物処理場の構築を進めるものである。その場合、引用例1に記載の発明の遮水材は、該埋め立て予定領域全面に敷設されるのであるから、本願発明1のように、底面部及び側面部の両方に敷設されるものである。
よって、両者は、
「下記の各工程から構成されていることを特徴とする廃棄物の処理場の構築方法。
第1工程
地面に、底面(2A)と、この底面の前後に連設された前後の壁面(2B,2C)と左右に連設された左右の壁面(2D,2E)とから構成されている逆角錐台状の処理場用くぼみ部(2)を形成すると共に、処理場用くぼみ部(2)の外周には縁部(2F)を形成する。
第2工程
処理場用くぼみ部(2)における底面(2A)、前後の壁面(2B,2C)、左右の壁面(2D,2E)の上面に、塩化ビニールで構成された遮水シート(3)を敷設する。
第3工程
処理場用くぼみ部(2)の内面に敷設された遮水シート(3)の上面に、腐食しづらい側面用マット(4)を設ける。」という点で、軌を一にするものである。
一方、《イ》該側面用マットにつき、本願発明1は、「当該側面用マットの上端が処理場用くぼみ部(2)の縁部(2F)を覆い、下端が処理場用くぼみ部(2)の底面(2A)に達する状態で並列状態に面ファスナーを利用しながら隙間のないように連結して張設する」及び「側面用マット(4)は不織布マット及び繊維マットを素材として、処理場用くぼみ部(2)における各壁面の高さより少し長い帯状に構成された側面用マット本体(4A)と、この側面用マット本体の左方辺下面に添着された面ファスナーの一方(4B)と、右方上面に添着された面ファスナーの他方(4C)と、側面用マット本体(4A)の上端近傍中央に取付けられた鳩目(4D)とから構成されている」という構成を具備するのに対し、引用例1に記載の側面部に敷設されるマット状廃棄物は、その図1及び2によると、埋め立てが完了した段階では、埋め立て予定領域の外縁部を覆い、またその底面部に達し、隙間のないように連結されるものではあるが、当該マット状廃棄物は埋め立て予定領域の側面部の高さより少し長く帯状に構成されず、また、それは張設されるものではなく、更には、そのマット状廃棄物には面ファスナーや鳩目のような保持ないしは係止手段が設けられないものであり、したがって、引用例1に記載の発明では本願発明1の当該構成を具備しない点《相違点イ》、
《ロ》該底面(2A)における遮水シート(3)の上面における構築が、本願発明1では、「土砂(5)を所定厚さで敷き詰める」とするのに対し、引用例1に記載の発明では、底面はマットで保護することとしており、本願発明1のような構成を具備しない点《相違点ロ》で、両者は相違する。
以下、上記相違点のうち、相違点イに関する構成が容易に想到できるか否かにつき検討する。
本願発明1は、上記相違点イに関する構成を採択することにより、その余の構成と相俟って、遮水シートを外的衝撃から保護することができることはもとより、側面用マットの装着を容易に実施できるだけでなく、側面用マットの開閉が可能なことから処理場の構築物の点検が容易となる等の有用な効果を奏することができたものである(以上のことは、その構成からみて自明なことであるが、必要ならば、本願明細書の段落0012の記載、審判請求書2.の項の記載を参照)。
これに対して、引用例1に記載の発明では、前記したように、側面部に敷設されるマット状廃棄物は、上下に重ねながら敷設するものであり、また、その先行敷設と廃棄物の埋め立てとを繰り返しながら処理場が構築されるものであることからみると、当該マット状廃棄物を埋め立て予定領域の側面部の高さよりも長く且つ帯状に設計した場合には、上記の敷設及び構築作業が著しく困難となることは明らかである。したがって、引用例1に記載の発明におけるマット状廃棄物を、本願発明1のように「処理場用くぼみ部(2)における各壁面の高さより少し長い帯状に構成された」ものとすることは当業者といえども容易に想到することができない。
また、引用例1に記載の発明におけるマット状廃棄物は、廃棄物というのであるから価値の低いものであり、そのうえ、上記したように先行敷設と廃棄物の埋め立てとを繰り返すことにより、すなわち、廃棄物の重みにより埋め立て予定領域の側面部に保持されるものであって、マット状廃棄物相互の保持手段を必要としないものである。したがって、そのような態様で使用され、また、価値の低いマット状廃棄物に、固着手段としての面ファスナー及び鳩目を設けることは当業者といえども直ちに着想することはできない。
そのうえ、この引用例1に記載の発明は、マット状廃棄物の装着容易性及びマット状廃棄物の開閉並びに処理場の点検については、何も配慮するところはないものである。
してみれば、引用例1に記載の発明からは、上記相違点イに関する構成を採択することが容易に想到できるものではない。
次に、上記相違点イに関し、引用例2及び3の記載を順次みる。
引用例2には、前記(b-1)~(b-3)により、長尺状土木治水用フィルターにおいて、重ね合わせ幅を確保する為の目印線2の代りに面ファスナーを貼付して、重ね合わせ位置が移動しないようにして当該フィルターの重ね合わせ作業の能率を向上させることが記載されるが、この長尺状土木治水用フィルター(本願発明1の側面用マット本体に対応するもの)は、そこでの第6図からみてその一端側に面ファスナーが設けられるだけのものであって、本願発明1のように、「側面用マット本体の左方辺下面と右方上面に面ファスナーを添着」するものでなく、更には、「鳩目」を設けるものでもない。
このように、引用例2に記載の発明からは、側面用マットに関する本願発明1の上記構成が教示されない。
そのうえ、引用例1に記載の発明では、畳などの短辺部材からなるマット状廃棄物を用いるものであって、これを、長辺部材である引用例2に記載の長尺状土木治水用フィルターに置き換えること自体、直ちになし得ることでもない。
引用例3には、埋め立て処分地1の側面3に沿って敷設した遮水シート5の表面に保護シート9(本願発明1の側面用マットに対応するもの)を敷設することが記載され、また、そこでの第1図を参照すると、その保護シート9は、長尺状に形成されるものである。しかし、引用例3に記載の保護シート9は、前記(c-4)により、埋め立て処分地1に打ち込まれた係止具10a及び10bとロープなどの索条11を用いて保持されるものであって、本件発明1のように面ファスナー及び鳩目を用いるものではない。
このように、引用例2に記載の発明からは、側面用マットに関する本願発明1の上記構成が教示されない。
ここまで説示してきたとおり、引用例1~3に記載の発明からは、本願発明1の上記相違点イに関する「当該側面用マットの上端が処理場用くぼみ部(2)の縁部(2F)を覆い、下端が処理場用くぼみ部(2)の底面(2A)に達する状態で並列状態に面ファスナーを利用しながら隙間のないように連結して張設する」及び「側面用マット(4)は不織布マット及び繊維マットを素材として、処理場用くぼみ部(2)における各壁面の高さより少し長い帯状に構成された側面用マット本体(4A)と、この側面用マット本体の左方辺下面に添着された面ファスナーの一方(4B)と、右方上面に添着された面ファスナーの他方(4C)と、側面用マット本体(4A)の上端近傍中央に取付けられた鳩目(4D)とから構成されている」という構成を容易に導き出すことができない。
したがって、上記相違点ロについて検討するまでもなく、本願発明1は、引用例1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(b)本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対して、処理場用くぼみ部の底面に底面用マットを追加したものであって、少なくとも、上記(a)で説示した相違点イに関する構成を具備するものであり、したがって、上記(a)で説示した理由と同じ理由により、本願発明2は、引用例1~3の記載に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

V.まとめ
以上のとおり、本願請求項1及び2の係る発明は、特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができないとはいえない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-03-28 
出願番号 特願平7-176842
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B09B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 斉藤 信人  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 米田 健志
岡田 和加子
発明の名称 廃棄物の処理場の構築方法  
代理人 川成 靖夫  

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