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審決分類 |
審判 補正却下不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) H04N |
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管理番号 | 1110466 |
審判番号 | 補正2004-50029 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2003-01-10 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2004-08-05 |
確定日 | 2005-01-31 |
事件の表示 | 特願2002-181468「電子カメラ」において、平成16年6月30日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成5年3月23日に出願した特願平5-63978号の一部を平成14年6月21日に新たな特許出願としたものであって、平成15年7月25日付けで明細書についての補正がなされたが、当該補正について特許法第53条第1項の規定により平成16年6月30日付けで却下の決定がなされたものである。 2.補正の内容 上記補正は、特許請求の範囲を、 「【請求項1】 被写体像を分割して順次取り込んだ複数の画像の再構成を行なう電子カメラであって、 被写体像を光電変換する撮像素子からなる撮像手段と、 前記撮像手段で前回撮像した画像と、撮像部を移動しながら順次撮像される現在の画像を表示する画像表示手段と、 前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関演算を行う相関演算手段と、 前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関の強さに関する情報を表示する相関度表示手段と、 を有することを特徴とする電子カメラ。 【請求項2】 前記表示手段は、表示色の変化、又は音声の変化で表すことをを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。 【請求項3】 前記相関演算手段は、さらに前記相関演算により前記前回撮像した画像と前記現在の画像の変位量を演算し、前記電子カメラは、さらに前記変位量に基づいて前記撮像手段を移動させる方向を指示する移動方向指示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。」 と補正するものである。 なお、請求項2には「表すことをを特徴とする」と記載されているが、「表すことを特徴とする」の明らかな誤記である。 3.原決定の理由 原決定の理由は、 「補正後の請求項2に記載された「表示手段は、表示色の変化、又は音声の変化で表すこと」は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつ、同明細書又は図面の記載からみて自明のこととも認められない。 請求項2の「前記表示手段」は請求項1の「相関度表示手段」を指し示すものと認められる。願書に最初に添付した明細書又は図面には、「相関演算器171で算出される相関信号が非常に弱い場合(2画像に同一部分が存在しない場合)には、光源174が“赤”に点灯し、相関信号が正しく検出され、その変位が検出された場合には、その方向の矢印が点灯する」ことは記載されているものの、相関度表示手段が、表示色の変化、又は音声の変化で表すことは記載されていない。」 というものである。 4.当審の判断 そこで、本願の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「当初明細書」という)の記載内容を検討すると、当初明細書には以下の事項が記載されている。 「【0100】 この電子カメラの特徴としては、相関演算器171を付設し、重複エリア用メモリ129からの画像信号と、順次撮像される現在の画像信号との相関演算を行い、その変位量を算出することにある。そして、変位量に応じて、ファインダ内部に設けた矢印表示部172の矢印を表示させたり、音声出力装置173による音や音声により撮像部の移動方向を知らせる。ファインダ内の矢印表示部172は、図37に示すように構成されており、左右上下を示す矢印と中央に“赤”、または“青”を示す光源174が設けられている。 【0101】 そして、相関演算器171で算出される相関信号が非常に弱い場合(2画像に同一部分が存在しない場合)には、光源174が“赤”に点灯し、相関信号が正しく検出され、その変位が検出された場合には、その方向の矢印が点灯する。 【0102】 次に2画像がほぼ重なり、変位量がほぼ“0”になった時には、光源174を“青”に点灯する。撮影者は、この矢印表示部の示す情報に従い、容易に重複領域を有する複数画像の撮像を行うことができる。また、音声出力装置173では、右矢印の代わりに“右”、左矢印の代わりに“左”といった音声を発生させる。また、変位量の大きさによって、“もっと大きく右に振る”、“少しだけ左に振る”といったような表現をしてもよいし、矢印表示部172においては、変位量の大きさにより、矢印を点滅させる等をしてもよい。」 以下、上記当初明細書の記載事項について検討する。 (1)上記当初明細書の記載及び図36、図37から、相関演算器は、前回撮像した画像と現在の画像の相関演算を行い変位量を算出するものであり、変位量は左右上下の矢印と中央に赤と青を示す光源のある矢印表示部と音声出力装置に入力される。 ここで、矢印表示部は2画像に同一部分がなく相関信号が弱い場合には中央の光源を赤に点灯し、変位が検出された場合にはその方向の矢印を点灯させることから、変位が検出された時点では中央の光源は消えていると考えるのが妥当である。そして、相関が強くなり、変位量がほぼ0になった時に中央の光源を青に点灯させるものである。したがって、矢印表示部の中央の光源は相関が強くなるにしたがって、赤、消える、青の順に変化するものと認められるから、相関の強さに関する情報が色の変化で表されている。 また、音声出力装置は、変位の方向と、大きさを音声出力するものであるから、相関の強さに関する情報を音声出力するものであると認められる。 (2)補正後の請求項2は、請求項1を引用するものであり、補正後の請求項1に記載された「前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関演算を行う相関演算手段」は、上記(1)の前回撮像した画像と現在の画像の相関演算を行い変位量を算出する相関演算器のことであると認められる。 補正後の請求項2に記載された「前記表示手段」は、請求項1には「画像表示手段」と「相関度表示手段」とがあるが、その限定内容からみて、請求項1の「相関度表示手段」を指すものと認められる。そして、「相関度表示手段」は、上記(1)の変位量が入力され、相関の強さによって、赤、消える、青の順に変化する矢印表示部の中央の光源のことであり、変位の方向と大きさを音声出力する音声出力装置も備えている。 (3)以上を踏まえると、補正後の請求項2に記載された「表示手段は、表示色の変化、又は音声の変化で表すこと」は、当初明細書に記載された事項の範囲内においてする補正であり、明細書の要旨を変更するものではない。 5.むすび 以上のとおり、平成15年7月25日付け手続補正について、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものであるとした原決定は妥当ではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2005-01-11 |
出願番号 | 特願2002-181468(P2002-181468) |
審決分類 |
P
1
7・
56-
W
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関谷 隆一 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
橋本 恵一 高瀬 勤 |
発明の名称 | 電子カメラ |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 河野 哲 |