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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24H
管理番号 1129802
審判番号 不服2004-13189  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-04-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-28 
確定日 2006-01-16 
事件の表示 特願2001-335716「浄水機能付き給湯・給水システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月 9日出願公開、特開2003-106661〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成13年9月27日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
水道と蛇口を接続している水道水給水系の途中部位へ、配管接続部材を介して接続される浄化装置を配設し、前記浄化装置より延設された夫々の給水管の一方を電気的な加熱手段を有する貯湯容体へ接続して温水側吐出口より給湯させ、他方を浄水容体へ接続して浄水側吐出口より給水する、浄水機能付き給湯・給水システム。」

2.引用文献に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶理由に引用した、本願の出願前国内において頒布された刊行物である、特開平9-103330号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。

・「【0016】第1図は本発明の実施の形態に係るキッチン流し台の一部を断面とした斜視図、第2図は同系統図である。符号10はカウンタであり、その上面にはシンク12が設置され、該シンク12に向かって吐水可能に混合水栓14、冷水栓16及び熱水栓18が設けられている。該カウンタ10の内部にはイオン水生成器20、冷水器22、熱水器24、酸性水の貯水槽26、ポンプ28等が設置されている。
【0017】第2図に示す如く、水道配管からの給水管30は電磁弁32を介してイオン水生成器20に接続されている。このイオン水生成器20は内部に電極とイオン交換隔膜が設けられ、電解作用によりアルカリイオン水と酸性水とを生成する。アルカリイオン水は配管34、電磁式の三方弁36及び38を介して冷水器22及び熱水器24に供給可能とされている。イオン水生成器20からの酸性水は配管40、電磁式の三方弁42を介して貯水槽26に導入可能とされている。・・・・
【0018】一方、第1図では図示が省略されているが、別の給水管50は給湯器52に接続され、配管54を介して混合水栓14に温水を供給可能としている。また別の給水管56は直に混合水栓14に接続されている。」(第3頁4欄16~40行)

上記記載及び図面からみて、引用文献には、次の発明が記載されている。

「給湯器(52)を介して給水管(50)に、また、給水管(56)に直に接続された混合水栓(14)を有するキッチン流し台のカウンタ(10)内に、水道配管からの給水管(30)に接続されるイオン水生成器(20)を配設し、前記イオン水生成器より延設された夫々の給水管の一方を熱水器(24)へ接続して熱水栓(18)より給湯させ、他方を冷水器(22)へ接続して冷水栓(16)より給水する、イオン水生成機能付き給湯・給水システム。」(以下、「引用例発明」という。)

3.対比・判断
本願発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「混合水栓(14)」は、本願発明の「蛇口」に相当し、以下同様に「給水管(30)、(50)、(56)」は、「水道水給水系」に、「熱水器(24)」は、「加熱手段」に、それぞれ相当するとともに、引用例発明の「イオン水生成器(20)」および本願発明の「浄化装置」はともに水道水を飲用に適した水とするための水処理装置であり、さらに、引用例発明の「熱水栓(18)」および本願発明の「温水側吐出口」はともに水処理装置による処理済みの温水を吐出する温水側吐出口であり、また、引用例発明の「冷水栓(16)」および本願発明の「浄水側吐出口」はともに処理済みの水を吐出する処理水側吐出口であるから、
両者は、
「水道水給水系へ接続される水処理装置を配設し、前記水処理装置より延設された夫々の給水管の一方を加熱手段へ接続して温水側吐出口より給湯させ、他方を処理水側吐出口より給水する、給湯・給水システム。」
である点で一致し、次の点で相違している。

[相違点1]本願発明では、水処理装置を浄化装置として、浄化機能付き給湯・給水システムとしたのに対して、引用例発明では、水処理装置をイオン水生成器として、イオン水生成機能付き給湯・給水システムとした点。

[相違点2]本願発明では、水処理装置が、水道と蛇口を接続している水道水給水系の途中部位へ、配管接続部材を介して接続されるのに対して、引用例発明では、水処理装置が水道と蛇口(混合水栓)を接続している水道水供給系の途中部位へ、配管接続部材を介して接続されるとの限定がない点。

[相違点3]本願発明では、水処理装置より延設された夫々の給水管の一方を電気的な加熱手段を有する貯湯容体へ接続して温水側吐出口より給湯させ、他方を浄水容体へ接続して処理水側吐出口である浄水側吐出口より給水するのに対して、引用例発明では、水処理装置より延設された夫々の給水管の一方を熱水器へ接続して温水側吐出口より給湯させ、他方を冷水器へ接続して処理水側吐出口である冷水栓より給水するものではあるが、熱水器の加熱手段が電気的なものであるとの限定がなく、さらに熱水器および冷水器が貯湯あるいは貯水する容体を形成するとの限定もない点。

上記相違点1について検討すると、水道水給水系に設けて、水道水を飲用に適した水とするための水処理装置として、浄化装置を設けることは従来周知である(例えば、特開平3-183827号公報参照。)から、引用例発明のイオン水生成器を浄化装置に変更して浄水機能付き給湯・給水システムすることは当業者が容易に想到し得たことである。

次に、上記相違点2について検討すると、引用例発明において、水処理装置(イオン水生成器)を混合水栓への給水管の途中部位から配管接続部材を介して接続するようなことは当業者であれば普通に採用しうる設計事項であるから、上記相違点2における本願発明の構成は当業者が容易に想到し得たことである。

さらに相違点3について検討すると、給湯装置の加熱手段として電気的な加熱手段を設けたものは従来周知である(例えば、特開平3-183827号公報第2頁右上欄12~14行、特開平9-108663号公報第3頁3欄23~26行参照。)し、浄水機能あるいはイオン水生成機能等の水処理機能付き給湯、給水システムにおいて、処理後の水を加熱手段を有する貯湯容体を介して給湯するようにしたもの(前者)、あるいは、貯水容体を介して給水するようにしたもの(後者)はそれぞれ従来周知である(例えば、前者に対して、特開平9-108663号公報の第3頁3欄15~26行、特開平5-169057号公報の第3頁3欄末行~4欄5行、後者に対して特開平8-89946号公報の貯水タンク5、特開2000-102784号公報のタンク8、特開平11-235590号公報の第3頁4欄5~8行、特開2001-47057号公報の第2頁2欄34~39参照。)から、引用例発明において、熱水器、冷水器を貯湯、貯水機能を有する容体に形成して、相違点3における本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用文献に記載された発明及び周知技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、本願の出願前に国内において頒布された引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-11 
結審通知日 2005-11-22 
審決日 2005-12-05 
出願番号 特願2001-335716(P2001-335716)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 克彦見目 省二  
特許庁審判長 小椋 正幸
特許庁審判官 今井 義男
原 慧
発明の名称 浄水機能付き給湯・給水システム  

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