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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1140542 |
審判番号 | 不服2003-1961 |
総通号数 | 81 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-05-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-06 |
確定日 | 2006-07-27 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第138556号「電話取引支援システム及びそのシステムでの処理をコンピュータに行なわせるためのプログラムを格納した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月 6日出願公開、特開平10-116249〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年5月28日の出願(優先権主張平成8年6月14日)であって、平成14年12月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月4日付で手続補正がなされたものである。 2.平成15年3月4日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年3月4日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正の内容 補正後の請求項の下線部の補正箇所の記載からみて、平成15年3月4日付の手続補正(以下「本件補正」という。)の補正内容は以下のとおりと認められる。 本件補正により、特許請求の範囲の請求項3及び11は削除された。 また、本件補正により、請求項1,2,4-10,12-18は、以下のとおり補正され、それぞれ、補正後の請求項1-16とされた。 「【請求項1】 顧客からの電話により依頼され、受付担当者が入力した取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 承認者による該データベースに登録された取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定し、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶する承認支援ユニット決定手段と を有する電話取引支援システム。 【請求項2】 請求項1記載の電話取引支援システムにおいて、 更に、顧客からの電話が受付担当者の端末装置に接続された時点で、電話による取引の際の電話を通した顧客と受付担当者との会話の内容の録音を開始し、顧客からの電話が終了した時点で録音を終了し、録音した顧客と受付担当者の会話の内容を、受付担当者が入力した該取引の内容と関連付けてデータベースに記録する会話記録手段 を有する電話取引支援システム。 【請求項3】 請求項1乃至2いずれか記載の電話取引支援システムにおいて、 更に、該複数の承認支援ユニットとその承認支援ユニットを使用する承認者を特定する情報との関係を示すテーブルを記憶したテーブル記憶手段を有し、 前記承認支援ユニット決定手段は、該テーブルに記憶された承認者のいずれかをランダムに選択することにより承認支援ユニットを決定することを特徴とする電話取引支援システム。 【請求項4】 請求項1記載の電話取引支援システムにおいて、 各承認支援ユニットは、当該承認支援ユニットを特定する情報が対応付けられて記憶された取引の内容をデータベースから読み出す取引内容読み出し手段と、 該取引内容読み出し手段にてデータベースから読み出された取引の内容を出力する出力手段と、 該出力手段から出力された取引の内容について承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認手段と を有する電話取引支援システム。 【請求項5】 請求項4記載の電話取引支援システムにおいて、 各承認支援ユニットは、承認すべき取引の内容と共に、該取引に関連付けられた顧客と受付担当者との会話の内容をデータベースから読み出す取引会話内容読み出し手段と、 該取引内容読み出し手段にて読み出された取引の内容を出力する第一の出力手段と、 該取引会話内容読み出し手段にて読み出された会話の内容を出力する第二の出力手段と、 該第二の出力手段による会話の内容の出力が完了したのち、承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認手段と を有する電話取引支援システム。 【請求項6】 請求項1記載の電話取引支援システムにおいて、 各承認支援ユニットは、当該承認支援ユニットを特定する情報に基づいて承認すべき取引の内容をデータベースから検索する取引内容検索手段と、 検索された取引の内容を出力する出力手段と、 該出力手段から出力された取引の内容について承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認手段と を有する電話取引支援システム。 【請求項7】 請求項5記載の電話取引支援システムにおいて、 各承認支援ユニットは、更に、承認すべき取引について所定の基準にて予め定められたランクに応じて第二の出力手段から出力される会話の内容の出力形態を制御する出力制御手段を有する電話取引支援システム。 【請求項8】 顧客からの電話により依頼された取引を支援する処理を行わせるためにコンピュータを、 顧客からの電話により依頼され、受付担当者が入力した取引の内容をデータベースに登録するための取引登録プログラムコード手段と、 承認者による該データベースに登録された取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定し、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶する承認支援ユニット決定プログラムコード手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項9】 請求項8記載の記録媒体において、 更にコンピュータを、顧客からの電話が受付担当者の端末装置に接続された時点で、電話による取引の際の電話を通した顧客と受付担当者との会話の内容の録音を開始し、顧客からの電話が終了した時点で録音を終了し、録音した顧客と受付担当者の会話の内容を、受付担当者が入力した該取引の内容と関連付けてデータベースに記録するための会話記録プログラムコード手段 として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項10】 請求項8記載の記録媒体において、 更にコンピュータを、各承認ユニットにおいて、該承認ユニットを特定する情報に基づいて、該承認ユニットが承認すべき取引の内容をデータベースから読み出すための取引内容読み出しプログラムコード手段と、 データベースから読み出された取引の内容を出力ユニットから出力させるための出力制御プログラムコード手段と、 該出力プログラムコード手段から出力された取引の内容について承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認プログラムコード手段 として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項11】 請求項9記載の記録媒体において、 更にコンピュータを、承認すべき取引の内容と共に、該取引に関連付けられた顧客と受付担当者との会話の内容をデータベースから読み出すための取引会話内容読み出しプログラムコード手段と、 データベースから読み出された取引の内容を第一の出力ユニットから出力させる第一の出力制御プログラムコード手段と、 データベースから読み出された会話の内容を第二の出力ユニットから出力させるための第二の出力制御プログラムコード手段と、 該第二の出力制御プログラムコード手段による会話の内容の出力が完了したのち、承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認プログラムコード手段 として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項12】 請求項8記載の記録媒体において、 更にコンピュータを、当該コンピュータを特定する情報に基づいて承認すべき取引の内容をデータベースから検索するための取引内容検索プログラムコード手段と、 検索された取引の内容を出力ユニットから出力させるための出力制御プログラムコード手段と、 該出力制御プログラム手段から出力された取引の内容について承認者による承認の可否の入力を受け付ける取引内容承認プログラムコード手段 として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項13】 請求項11記載の記録媒体において、 該第二の出力制御プログラムコード手段が、承認すべき取引について所定の基準にて予め定められたランクに応じて第二の出力ユニットから出力される会話の内容の出力形態を制御するための制御プログラムコード手段 として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項14】 顧客からの電話による取引の申込みを受け付ける複数の受付端末装置と、 受付端末装置により受け付けられた取引の内容を承認する複数の承認端末装置とを有し、 上記受付端末装置は、 顧客からの電話により依頼され、受付端末装置を介して入力された取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 前記登録された取引の内容を承認する際に、前記複数の承認端末装置から該取引の内容の承認に使用する承認端末装置をランダムに決定し、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶する承認端末決定手段と を有した電話取引支援システム。 【請求項15】 顧客からの電話による取引の申込みを受け付ける複数の受付端末装置と、 受付端末装置により受け付けられた取引の内容を承認する複数の承認端末装置と、 該取引の内容が格納され、受付端末装置及び承認端末装置からアクセス可能なデータベースとを有し、 前記受付端末装置は、 顧客からの電話により依頼され、受付端末装置を介して入力された取引の内容を前記データベースに登録する取引登録手段と、 前記登録された取引の内容を承認する際に、前記複数の承認端末装置から該取引の内容の承認に使用する承認端末装置をランダムに決定し、該取引の内容と決定された承認端末装置を特定する情報とを対応付けて前記データベースに記憶させる承認端末決定手段とを有し、 前記承認端末装置は、 該承認端末装置を特定する情報に対応づけて記憶されている取引の内容を前記データベースから取り出して表示する表示手段を有する電話取引支援システム。 【請求項16】 顧客からの電話による取引の申込みを受け付ける複数の受付端末装置と、受付端末装置により受け付けられた取引の内容を承認する複数の承認端末装置とを有する電話取引支援システムに使用される受付端末装置であって、 取引の内容の承認が可能な複数の承認端末装置が登録された承認端末テーブルと、 顧客からの電話により依頼され、受付端末装置を介して入力された取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 取引の内容の登録が完了した際に、取引の内容を承認するために用いられるべき承認端末装置を前記承認端末テーブルに登録されている承認端末装置からランダムに決定し、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶する承認端末決定手段とを有する受付端末装置。」 (2)補正の適否について 願書に最初に添付した明細書の請求項1の「該取引の内容を承認するために用いられるべき承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定する承認支援ユニット決定手段」の記載、請求項3の「承認支援ユニット決定手段にて決定された承認支援ユニットを特定する情報を対応する取引に関連付けてデータベースに記録する承認支援ユニット登録手段」の記載、発明の詳細な説明の段落【0005】の「該取引の内容を承認するために用いられるべき承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定する承認支援ユニット決定手段」の記載、及び段落【0014】の「承認支援ユニット決定手段にて決定された承認支援ユニットを特定する情報を対応する取引に関連付けてデータベースに記録する承認支援ユニット登録手段」の記載からみて、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載では、承認支援ユニット登録手段が、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶しており、承認支援ユニット決定手段が、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶することは行っていないと認められる。 したがって、補正後の請求項1の「承認者による該データベースに登録された取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定し、決定した承認支援ユニットを特定する情報を前記取引の内容に対応づけてデータベースに記憶する承認支援ユニット決定手段」の事項は、願書に最初に添付した明細書及び図面には記載されておらず、また、それらから自明な事項とも認められない。 したがって、請求項1に係る本件補正は、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内でなされたものとは認められないので、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。 (3)まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明 平成15年3月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年11月22日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「顧客からの電話により依頼され、受付担当者が入力した取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 承認者による該データベースに登録された取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定する承認支援ユニット決定手段と を有する電話取引支援システム。」 4.引用例 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由で引用された特開平5-204944号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)「【請求項】 各支店の専用端末またはファックスよりローン申込書等の基本情報をイメージデータ及びディジタルデータの形式で自動的に受け取り、審査に必要なデータを検索し、1セットのデータとして取りまとめ、審査者用端末群の中から空き状態のものを検知して表示し、該表示に基づく審査者の審査の結果の審査者が入力する数字または文字形式での諾否解答及び認可条件データから回答文言データを編集し、前記発信元支店の専用端末またはファックスに自動送信するローン等審査システム」(第2頁左欄第2行-同頁同欄第10行) (b)「1.支店の専用端末またはファックス(5)を入力端末として回線を通じてローン申込書等をディジタル及びイメージデータの形式で中央処理装置に送信する。 2.中央処理装置はこのデータを自動的に人手を介さず受け取る。 3.中央処理装置は受け取ったデータや追加入力されたデータに基づき他のイメージデータファイル(3)やディジタルデータファイル(4)から審査に必要なデータを検索してひとまとめの審査用データを完成する。 【0006】4.このようしてひとまとめにした審査用データのセットを順次空いている審査者用端末(2)に表示する。 5.表示された審査用データから審査者が導き出した結論を審査者用端末(2)から数字または文字で受けつける。」(第2頁左欄第41行-同頁右欄第5行) (c)「【0007】本発明は以上のような構成でありその使用方法を次に説明する。すなわち各支店の専用端末またはファックス(5)によりローン申込書や担保物件の所在地地図等が送られる。本発明のシステムはこれらをイメージ及びディジタルデータとして一旦メモリーまたは外部記憶装置にイメージデータファイル(3)及びディジタルデータファイル(4)として収録する。 【0008】本発明のシステムは支店から送信又は別途入力されたキーにより単数または複数のディジタルデータファイル(4)及びイメージデータファイル(3)から必要情報を入手してひとまとめにして空き状態の審査者用端末(2)に表示する。審査者は表示された情報から諾否と認可条件を文字または数字形式で入力する。」(第2頁右欄第10行-同頁同欄第22行) してみると、引用例1には、 『顧客からの「ファックス(5)」により依頼されたローンの申込みの内容を「メモリーや外部記憶装置に「イメージデータファイル(3)」や「ディジタルデータファイル(4)」として収録し、審査者によるメモリーや外部記憶装置の「イメージデータファイル(3)」や「ディジタルデータファイル(4)」に収録されたローンの申込みの内容の審査に用いられる「審査者端末(2)」を審査用データが取りまとめられた時点で空き状態の端末に決定するローン等審査システム」 との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。 (2)引用例2 同じく、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭62-226298号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (d)「第3図において、Sl:顧客の取引要求は音声で入力部15へ入力され、S2へ移行する。 S2:前記入力部15へ入力した情報は、音声認識装置で電気的に数字化され、S3へ移行する。 S3:数字化された顧客の加入者番号や暗証番号がセンタに送られセンタにて個人確認がなされ、S4へ移行する。ここで、この個人確認の方法としては、例えばセンタに記憶された加入者番号に対する暗証番号と照合することにより、個人確認を行う。また、将来的には声紋照合も有効な個人確認の方法として考えられる。 S4:前述した個人確認ができた場合は、顧客に音声合成による通知システムにて支払要求金額の発生をうながし、顧客からの情報を82における音声認識により電気的に数字化してS5に移行する。また、前述した個人確認ができなかった場合は、音声合成による通知システムにて顧客に音声発生のやり直しを依頼し、S1~S3をやり直す。 S5:前記数字化した情報をセンタに送り支払可能か否かを調べる。」(第3頁右上欄第9行-同頁左下欄8行) してみると、引用例2には、 「顧客からの電話により依頼された取引の内容の可否を調べる」 との事項が記載されている。 (3)引用例3 同じく、原査定の拒絶の理由で引用された特開平7-131530号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (e)「【0024】電話自動発信装置10は、磁気ディスク16Cに格納されている電話発信先の情報に従って電話回線交換部18を通じて、公衆回線2へ発信を行う。相手に着呼したならば電話オペレータへ接続し、オペレータ端末12の画面表示装置40Aへ通話相手の氏名、電話番号等の情報を表示し、ヘッドセット8へ音声を接続する。同時に音声入出力部34を通じて、磁気ディスク32Cへ音声データの蓄積を開始する。この音声データは、本システムの中で重複しない名前の付いたファイルとして格納される。 【0025】オペレータがキーボードにより通話終了の指示をしたならば、電話回線は切断され、音声データの蓄積も終了する。ここで磁気ディスク32Cに格納された音声データは、ネットワーク1を介して磁気ディスク16Cへ転送され、その音声データが記録されたアドレスを電話発信先情報と共に図5のテーブル41上で対応付け、磁気ディスク16Cへ格納する。」(同第3頁左欄第50行-同頁右欄第16行) してみると、引用例3には、 「オペレータが通話相手の音声データを磁気ディスクに格納する」 との事項が記載されている。 5.対比 引用例発明の「ローンの申込み」、「イメージデータファイル(3)及びディジタルデータファイル(4)」、「審査」、「審査者」、「審査者用端末」、「収録し」は、それぞれ本願発明の「取引」、「データベース」、「承認」、「承認者」、「承認支援ユニット」、「登録する」に相当し、引用例発明の「ローン等審査システム」と本願発明の「電話取引支援システム」は、取引支援システムという点で共通しているので、両者は、 「依頼された取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 承認者による該データベースに登録された取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットから所定の承認支援ユニットに決定する承認支援ユニット決定手段と を有する取引支援システム」 であるという点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明では、取引内容が、顧客からの電話により依頼され、受付担当者が入力したものであり、取引支援システムが電話取引支援システムであるのに対して、引用例発明では、取引内容が、ファックスにより依頼され、自動的に入力されるものであり、取引支援システムが電話取引支援システムではない点。 (相違点2) 本願発明では、取引の内容の承認に用いられる承認ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定しているのに対し、引用例発明では、取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットから審査用データが取りまとめられた時点で空き状態の承認支援ユニットに決定している点。 6.判断 (相違点1について) 引用文献2には、「顧客からの電話により依頼された取引の内容の可否を調べる」ことが記載されており、引用文献3には、「オペレータが通話相手の音声データを磁気ディスクに格納する」ことが記載されており、引用文献3に記載された事項の「オペレータ」、「音声データ」、「磁気ディスク」、「格納する」は、本願発明の「受付担当者」、「取引内容」、「データベース」、「登録する」に相当するので、引用例発明に引用例2に記載された事項及び引用例3に記載された事項を適用して、引用例発明において、ファックスに変わりに電話で取引の内容を依頼し、その取引の内容を受付担当者によりデータベースに登録することは当業者が容易に考えられる事項である。 したがって、相違点1は、引用例発明、引用例2に記載された事項、及び3に記載された事項に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。 (相違点2について) 引用例発明において、一般的に、取引の内容がそれぞれ異なっているため、取引の内容の承認の処理にかかる時間が取引の内容によって異なると認められるので、取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットを審査用データが取りまとめられた時点で空き状態の承認支援ユニットに決定するとした場合に、取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットが複数の承認支援ユニットから順番に決定されるとは認められず、所定の取引の内容の承認に用いられる承認支援ユニットが複数の承認支援ユニットのどれであるかを予測することは困難であり、実質的に本願発明のようにランダムに決定する場合と同様に不正利用の防止になると認められる。 よって、取引の内容の承認に用いられる承認ユニットを決定するのに、空き状態のものに決定するか、ランダムに決定するかは当業者が適宜選択できる事項であるので、引用例発明において、取引の内容の承認に用いられる承認ユニットを予め設けられた複数の承認支援ユニットからランダムに決定することは当業者が容易に推考できる事項であると認められる。 したがって、相違点2は、引用例発明に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。 また、本願発明の作用効果は、引用例1-3に基づいて当業者が容易に予測できるものと認められる。 よって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項、及び引用例3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項、及び引用例3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるので、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-05-29 |
結審通知日 | 2006-05-30 |
審決日 | 2006-06-12 |
出願番号 | 特願平9-138556 |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 満 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
佐藤 智康 久保田 健 |
発明の名称 | 電話取引支援システム及びそのシステムでの処理をコンピュータに行なわせるためのプログラムを格納した記録媒体 |
代理人 | 伊東 忠彦 |