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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B03C
管理番号 1267406
審判番号 不服2012-1192  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-20 
確定日 2012-12-05 
事件の表示 特願2006-516227「電気的フィルターを清浄する方法及び電気的フィルター」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月29日国際公開、WO2004/112967、平成19年 6月 7日国内公表、特表2007-514516〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は,2004年6月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年6月24日,フィンランド国)を国際出願日とする出願であって,平成23年9月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成24年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2.本願発明

平成18年2月21日の手続補正,及び平成21年6月1日の手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,本願の請求項1ないし4に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるものと認める。その請求項3の記載は,次のとおりである。(以下,請求項3に係る発明を「本願発明」という。)

「 【請求項3】
電気的フィルターであって,
チャンバー(2)を包含し,このチャンバー(2)が,
粒子を除去しようとするガスを前記チャンバー(2)内へ送り込むための供給手段(4)と,
複数の分離電極(1)であって,それらの間に,帯電させることのできる複数の排出電極(6)を備えているガス流路(5)を形成する分離電極(1)と,
粒子を除去されたガスを前記チャンバー(2)から排出するための排出手段(7)と,
少なくともひとつの前記分離電極(1)から粒子を振り払うための振動手段(8)と,
各ガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限するための閉鎖手段(9)と,
を包含している電気的フィルターにおいて,
前記閉鎖手段(9)及び前記振動手段(8)の動作を協調させるための同期手段が設けられて,前記閉鎖手段(9)が前記ガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限した後に,前記振動手段(8)がこのガス流れの制限と一緒に前記分離電極(1)の振動を行うように駆動され,また,
前記閉鎖手段(9)が,各ガス流路(5)内に,第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)と,第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)とを備え,
各ガス流路(5)の前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に対して動くことができ,これにより,前記第2の多孔板(12)が前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記第1の開口(11)を流れるガス流れを制限するように,又は,前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記第2の開口(13)を流れるガス流れを制限するようにしたことを特徴とする電気的フィルター。」


3.引用例の記載事項,及び引用例に記載の発明

(1)原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭54-94181号公報(以下「引用例」という。)には,次の記載がある。

1a 「本発明は,電気集塵装置の再飛散防止装置に関する。
乾式の電気集塵装置では,集塵板のハンマリングによる粉塵払い落し工程が必要であるが,この時に粉塵が再びガス中に飛散する。これを防ぐため,従来,集塵室をガス流れ方向に複数段に分割し,ハンマリングにより前段の集塵室で飛散した粉塵を後段の集塵室で捕集させている。しかし,これは電気集塵装置全体を大型化させる問題があり,しかも最後段の集塵室で再飛散した粉塵の捕集が行なえない。
本発明は,ハンマリング装置と連動するダンパを集塵板の後方に配置することにより,ハンマリング時に浮遊した粉塵の確実な捕集を図つたものであり,以下その一実施例を図面に基づいて説明する。」(第1欄第14行-第2欄第9行)

1b 「(1)は電気集塵装置のケーシングであり,内部には複数の集塵室(2)(3)(4)がガス流れ方向(矢印(a)方向)に並べて設けられている。(5)はケーシング(1)のガス入口,(6)はガス出口である。各集塵室(2)(3)(4)には多数の集塵板(7)がガス流れ方向と平行に吊り下げられ,各集塵板(7)間に位置して放電極(8)が配置されている。各集塵板(7)の一側下端に対向する位置には集塵板(7)を叩くハンマリング装置(9)が設けられている。ハンマリング装置(9)は,平行に並んだ各集塵板(7)間にわたる水平な回転軸(10)に,各集塵板(7)ごとに対応してハンマ(11)を取付けたものである。各ハンマ(11)は,回転軸(10)に対して順次回転位相の異なる位置で取付けられている。このような電気集塵装置において,集塵室(4)の集塵板(7)のガス流れ方向後方に再飛散防止装置(12)が設けられている。すなわち,(13)は集塵板(7)のガス流れ方向後方に隣接してケーシング(1)内の全幅にわたり立設された遮閉板であり,全面に多数の孔(14)が設けられている。孔(14)は水平方向に列をなして上下方向に複数列配置されており,孔(14)を塞ぐ位置と上下の孔(14)間の位置とにわたつてスライドする複数枚の開閉板(15)が遮閉板(13)の一側面に設けられている。各開閉板(15)は,隣接する2枚の集塵板(7)間にわたる横幅を有しており,上下方向の各開閉板(15)は取付枠(16)によつて互いに一体に取付けられ,この一体となつた各列の開閉板(15)により,2枚の集塵板(7)ごとに対応するダンパ(17)が構成されている。」(第2欄第10行-第3欄第17行)

1c 「各ダンパ(17)は,ハンマリング装置(9)の各ハンマ(11)と連動する開閉駆動装置(18)により順次開閉される。該開閉駆動装置につき説明すると,(19)は各集塵板(7)間にわたりブラケツト(20)を介して水平に架設された支軸であり,該支軸(19)に一定間隔おきの位置でレバー(21)が回動可能に取付けられ,各レバー(21)の先端に連結板(22)を介してダンパ(17)が取付けられている。各レバー(21)は,回転軸(23)に取付けたカム(24)と接当しており,回転軸(23)の回転によつてカム(24)に押上げられて上下回動を行なう。なお,各カム(24)の回転軸(23)に対する取付角は順次異ならせてある。回転軸(23)は減速機(25)を介して駆動装置(26)に連結されており,該駆動装置(26)はハンマリング装置(9)と電気的あるいは機械的に連動させてある。」(第3欄第17行-第4欄第11行)

1d 「いま,第4図に矢印(p)で示す集塵板(7_(n))のハンマリングを行なつている時,該集塵板(7_(n))に対向するダンパ(17_(m))と,該ダンパ(17_(m))に隣り合うダンパ(17_(m+1))とが遮閉板(13)の孔(14)を閉塞する。そのため,集塵板(7_(n))の周囲は,両側の集塵板(7_(n-1))(7_(n+1))とダンパ(17_(m))(17_(m+1))とで閉塞されることになり,集塵板(7n)のハンマリングにより浮遊した粉塵は,後方のガス流れに再飛散することなく落下して捕集される。つきに,集塵板(7_(n+1))のハンマリングを行なうときには,上記両ダンパ(17_(m))(17_(m+1))がそのまま閉塞状態を維持し,これにより集塵板(7_(n+1))の周囲は集塵板(7_(n))(7_(n+2))と,ダンパ(17_(m))(17_(m+1))とで閉塞され,上記と同様にハンマリングで浮遊した粉塵の捕集が行なわれる。集塵板(7_(n+2))のハンマリングを行なうときは,ダンパ(17_(m))が開放され,かつダンパ(17_(m+2))が閉塞し,これにより集塵板(7_(n+2))の周囲が閉塞される。このようにして,ダンパ(17)の開閉動作が順次行なわれ,各集塵板(7)をその周囲が閉塞された状態でハンマリングすることができる。そのため,粉塵の再飛散が確実に防止され,特にカーボンのような軽い粉塵の場合に有効である。」(第4欄第17行-第5欄第20行)

(2)ここで,上記引用例の記載事項から,次のことが分かる。

1e 上記1b,1d及び第4図の記載から,再飛散防止装置(12)は,各集塵板(7)間のガス流れを,1つまたは2つのダンパにより,少なくとも部分的に制限することが分かる。

(3)以上の1aないし1e,第1図ないし第4図の記載からみて,引用例には次の発明が記載されているといえる。
「 電気集塵装置のケーシング(1)の内部には複数の集塵室(2)(3)(4)が設けられ,各集塵室(2)(3)(4)には多数の集塵板(7)がガス流れ方向と平行に吊り下げられ,各集塵板(7)間に位置して放電極(8)が配置され,
ケーシング(1)はガス入口(5)とガス出口(6)とを備え,
各集塵板(7)の一側下端に対向する位置には集塵板(7)を叩くハンマリング装置(9)が設けられ,
各集塵板(7)間のガス流れを,1つまたは2つのダンパ(17)により,少なくとも部分的に制限する再飛散防止装置(12)が設けられた,
電気集塵装置において,
各ダンパ(17)は,ハンマリング装置(9)の各ハンマ(11)と連動する開閉駆動装置(18)により順次開閉され,各集塵板(7)をその周囲が閉塞された状態でハンマリングすることができ,
集塵板(7)のガス流れ方向後方に隣接してケーシング(1)内の全幅にわたり立設され,全面に多数の孔(14)が設けられている遮閉板(13)と,遮閉板(13)の孔(14)を塞ぐ位置と上下の孔(14)間の位置とにわたってスライドする複数枚の開閉板(15)とが設けられて,2枚の集塵板(7)ごとに対応するダンパ(17)が構成されており,
ダンパ(17)を閉塞して,集塵板(7)の周囲を閉塞するようにした電気集塵装置。」(以下「引用発明」という。)


4.対比

(1)本願発明と引用発明とを対比すると,引用発明の「電気集塵装置」,「電気集塵装置のケーシング(1)の内部」は,それぞれ本願発明の「電気的フィルター」,「チャンバー(2)」に相当する。

引用発明の「ガス入口(5)」,「ガス出口(6)」は,集塵されるガスの入口及び集塵後のガスの出口であるから,それぞれ本願発明の「供給手段(4)」,「排出手段(7)」に相当し,またそれらは電気集塵装置のケーシング(1)の内部に通じるものであるから,引用発明の「ケーシング(1)はガス入口(5)とガス出口(6)とを備え」ることは,本願発明の「このチャンバー(2)が」「粒子を除去しようとするガスを前記チャンバー(2)内へ送り込むための供給手段(4)と」「粒子を除去されたガスを前記チャンバー(2)から排出するための排出手段(7)と」「を包含している」ことに相当する。

引用発明の「集塵板(7)」,「放電極(8)」は,それぞれ本願発明の「分離電極(1)」,「排出電極(6)」に相当し,また,引用発明の「多数の集塵板(7)がガス流れ方向と平行に吊り下げられ」ることは,集塵板(7)の間にガスが流れる流路が形成されるから,「複数の分離電極(1)であって,それらの間に」「ガス流路(5)を形成する」ことに相当する。
その結果,引用発明の「各集塵室(2)(3)(4)には多数の集塵板(7)がガス流れ方向と平行に吊り下げられ,各集塵板(7)間に位置して放電極(8)が配置され」ることは,本願発明の「このチャンバー(2)が」「複数の分離電極(1)であって,それらの間に,帯電させることのできる複数の排出電極(6)を備えているガス流路(5)を形成する分離電極(1)と」「を包含している」ことに相当する。

引用発明の「ハンマリング装置(9)」は,粉塵の払い落としを行うものであるから,本願発明の「振動手段(8)」に相当し,その結果,引用発明の「各集塵板(7)の一側下端に対向する位置には集塵板(7)を叩くハンマリング装置(9)が設けられ」ることは,本願発明の「このチャンバー(2)が」「少なくともひとつの前記分離電極(1)から粒子を振り払うための振動手段(8)と」「を包含している」ことに相当する。

引用発明の「ダンパ(17)」は,本願発明の「閉鎖手段(9)」に相当し,また電気集塵装置のケーシング(1)の内部に設けられているから,その結果,引用発明の「各集塵板(7)間のガス流れを,1つまたは2つのダンパ(17)により,少なくとも部分的に制限する再飛散防止装置(12)が設けられた」ことは,本願発明の「このチャンバー(2)が」「各ガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限するための閉鎖手段(9)と」「を包含している」ことに相当する。

引用発明の「各ダンパ(17)は,ハンマリング装置(9)の各ハンマ(11)と連動する開閉駆動装置(18)により順次開閉され,各集塵板(7)をその周囲が閉塞された状態でハンマリングすることができ」ることは,本願発明の「閉鎖手段(9)及び前記振動手段(8)の動作を協調させるための同期手段が設けられて」「前記振動手段(8)がこのガス流れの制限と一緒に前記分離電極(1)の振動を行うように駆動され」ることに相当する。

引用発明の「遮閉板(13)」は,ガス流れを制限するための多孔板という限りにおいて,本願発明の「第2の多孔板(12)」に相当し,引用発明の「開閉板(15)」と本願発明の「第1の多孔板(10)」は,第2の多孔板に対して動くことができ,ガス流れを制限する「板」という限りで共通する。
よって,引用発明の「集塵板(7)のガス流れ方向後方に隣接してケーシング(1)内の全幅にわたり立設され,全面に多数の孔(14)が設けられている遮閉板(13)と,遮閉板(13)の孔(14)を塞ぐ位置と上下の孔(14)間の位置とにわたってスライドする複数枚の開閉板(15)とが設けられて,2枚の集塵板(7)ごとに対応するダンパ(17)が構成されており,ダンパ(17)を閉塞して,集塵板(7)の周囲を閉塞するようにした」ことは,
本願発明の「閉鎖手段(9)が,各ガス流路(5)内に,第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)と,第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)とを備え,
各ガス流路(5)の前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に対して動くことができ,これにより,前記第2の多孔板(12)が前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記第1の開口(11)を流れるガス流れを制限するように,又は,前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記第2の開口(13)を流れるガス流れを制限するようにしたこと」と,
「閉鎖手段が,板と,複数の開口を備えている第2の多孔板とを備え,
前記板が前記第2の多孔板に対して動くことができ,これにより,前記板が前記第2の多孔板に設けられている開口の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記開口を流れるガス流れを制限するようにしたこと」という限りで共通する。

(2)したがって,本願発明と引用発明とは,本願発明の表記に倣うと次の点で一致する。
《一致点》
電気的フィルターであって,
チャンバーを包含し,このチャンバーが,
粒子を除去しようとするガスを前記チャンバー内へ送り込むための供給手段と,
複数の分離電極であって,それらの間に,帯電させることのできる複数の排出電極を備えているガス流路を形成する分離電極と,
粒子を除去されたガスを前記チャンバーから排出するための排出手段と,
少なくともひとつの前記分離電極から粒子を振り払うための振動手段と,
各ガス流路内のガス流れを少なくとも部分的に制限するための閉鎖手段と,
を包含している電気的フィルターにおいて,
前記閉鎖手段及び前記振動手段の動作を協調させるための同期手段が設けられて,前記振動手段がこのガス流れの制限と一緒に前記分離電極の振動を行うように駆動され,また,
前記閉鎖手段が,板と,複数の開口を備えている第2の多孔板とを備え,
前記板が,前記第2の多孔板に対して動くことができ,これにより,前記板が前記第2の多孔板に設けられている開口の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って,前記開口を流れるガス流れを制限するようにした電気的フィルター。

(3)そして,本願発明と引用発明とは,次の相違点で相違する。

《相違点1》
本願発明は,「閉鎖手段(9)が前記ガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限した後に」,振動手段がこのガス流れの制限と一緒に分離電極の振動を行うのに対し,引用発明は,そのような特定がない点。

《相違点2》
本願発明は,第2の多孔板に対して動くことができ,ガス流れを制限する「板」が,「第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)」であり,かつ閉鎖手段が,「各ガス流路(5)内に,第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)と,第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)とを備え」ているのに対し,
引用発明は,「板」が「開閉板(15)」であり,かつ「遮閉板(13)」が「集塵板(7)のガス流れ方向後方に隣接してケーシング(1)内の全幅にわたり立設され」ていて,「2枚の集塵板(7)ごとに対応するダンパ(17)が構成されて」いるものであって,各ガス流路内に,遮閉板(13)と,開閉板(15)とを備えているものではない点。


5.相違点の検討

(1)相違点1について検討すると,引用発明は,「各集塵板(7)をその周囲が閉塞された状態でハンマリング」することにより「粉塵の再飛散が確実に防止」(上記1d参照)されるものである。ガス流れを制限する前にハンマリングしても,粉塵の再飛散は確実に防止できないことが明らかであるから,引用発明において,ガス流れを制限した後にハンマリングを行うようにして,上記相違点1に係る本願発明の構成とすることに,格別の困難性はない。

(2)上記相違点2について検討すると,特開平4-8970号公報の「従来,流量調節を行う多孔弁としては,たとえば,複数の貫通孔を有した一対の有孔板を流路を横切るように配置し,一方の有孔板を固定するとともに,他方の有孔板を一方の有孔板の摺接して移動可能に設けたものがある。」(第1頁左欄第17行-右欄第1行),
実願昭55-71150号(実開昭56-171472号)のマイクロフィルムの「多数の孔(a)・・を形成した弁座(3)を弁箱流路を横断する状態で設け,この固定弁座(3)の孔(a)・・とほぼ同径同位相の孔(b)・・を形成した弁体(4)を,前記固定弁座(3)に沿つてその上流側に密接状態で上下直線方向に摺動自在に設けると共に・・・流路全閉から全開にわたる流体制御が行われ」(第2頁第10行-第3頁第9行),
及び特開昭60-137456号公報の「また回収板22を,例えば第3図に示すように有孔板221と有溝板222とを組合せて構成し,図中矢印で示すように少くとも一方を溝の延在方向と直交方向に摺動できるようにすれば,必要に応じて回収板22を作用状態(回収孔が有溝板222の溝に合致している)にしたり,非作用状態(回収孔が有溝板222の非溝部によつて閉塞されている)にしたりすることができる。」(第5頁左下欄第1行-第8行)との記載からみて,
流体の流れを制限する手段として,第1の多孔板と,第2の多孔板とを備え,第1の多孔板が第2の多孔板に対して動くようにしたものは,従来周知である。

引用発明は,2枚の集塵板(7)ごとに対応するダンパ(17)が構成されているものの,各集塵板(7)間のガス流れを制限するものであるから,各集塵板(7)間ごとに対応するダンパを構成するように,各集塵板(7)間内に流体の流れを制限する手段を設けることは,当業者にとって適宜なしうることである。
そして,流体の流れを制限する手段として,従来周知である,第1の多孔板と,第2の多孔板とを備え,第1の多孔板が第2の多孔板に対して動くようにした上記周知技術を適用し,「板」を第1の多孔板とし,かつ閉鎖手段が,各ガス流路内に,第1の多孔板と,第2の多孔板とを備えるようにして,上記相違点2に係る本願発明の構成とすることに格別の困難性はない。

(3)本願発明が奏する効果も,引用発明及び周知技術から当業者が予測できたものであって,格別顕著なものとはいえない。
したがって,本願発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。


6.むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-04 
結審通知日 2012-07-10 
審決日 2012-07-24 
出願番号 特願2006-516227(P2006-516227)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 哲生  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 亀田 貴志
長浜 義憲
発明の名称 電気的フィルターを清浄する方法及び電気的フィルター  
代理人 朝倉 勝三  

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