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審決分類 |
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 F21V 審判 一部申し立て 2項進歩性 F21V 審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857 F21V 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 F21V 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F21V |
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管理番号 | 1410225 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-08-30 |
確定日 | 2024-03-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第7239146号発明「照明装置および照明装置の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7239146号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7239146号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成30年10月25日に出願され、令和5年3月6日にその特許権の設定登録がされ、同年3月14日に特許掲載公報が発行された。 そして、本件特許の請求項1及び2に係る特許に対して、特許異議申立人エイテックス株式会社(以下「申立人」という。)から、特許異議の申立てがされた。本件特許異議の経緯は次のとおりである。 令和5年 8月30日 :申立人から特許異議の申し立て 同年11月 7日付け:取消理由通知 同年12月26日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出 第2 訂正について 1 訂正事項 令和5年12月26日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである。 (1)訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、特許請求の範囲の請求項1を「発光素子と、前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成され、前記カバーの材料と前記封止樹脂部の材料とは、同種類である、照明装置。」に訂正する。 (2)訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、特許請求の範囲の請求項2を「発光素子と、前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成され、前記透光性部は、少なくとも前記カバーにおける前記回路基板の前記発光素子が実装される面側とは反対側を覆う部分に位置し、前記カバーの長手方向に沿って延在している、照明装置。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 2 訂正要件の検討 (1)訂正の目的について 訂正事項1~3に係る訂正は、訂正前の請求項3が、請求項1又は2を引用していたところ、訂正前の請求項3のうち請求項1を引用するものを独立形式とするとともに訂正後の請求項1とし、訂正前の請求項3のうち請求項2を引用するものを独立形式とするとともに訂正後の請求項2とし、請求項3を削除するものである。 これは、実体的には、訂正前の請求項1及び請求項2については、当該請求項を削除し、訂正前の請求項3については、その内容を変更することなく独立形式に改めるものである。 そうすると、訂正前の請求項1及び2についてする訂正は、同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、同請求項3についてする訂正は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであると認める。 (2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1~3による訂正は、上記(1)のとおり、訂正前の請求項1及び2を削除し、訂正前の請求項3について、その内容を変更することなく独立形式に改めるものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、特許請求の範囲の拡張・変更に該当しないことは明らかである。 (3)独立特許要件について 訂正前の請求項3は、特許異議の申立てがされていない請求項であるが、訂正前の請求項3についてする訂正(独立形式として訂正後の請求項1及び2にする訂正)は、上記(1)で示したように、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものであるから、独立特許要件は課されない。 3 一群の請求項、別の訂正単位とする求め 訂正前の請求項3は、請求項1、2を引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1、2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であるところ、本件訂正請求において、訂正後の請求項1及び2について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがされている。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。また、訂正後の請求項1及び2について、別の訂正単位とする求めがされている。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 第3 本件発明 以上第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~4に係る特許は次のとおりである。 「【請求項1】 発光素子と、 前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、 筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、 前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、 前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、 前記封止樹脂部は、熱硬化性樹旨から形成され、 前記カバーの材料と前記封止樹脂部の材料とは、同種類である、 照明装置。 【請求項2】 発光素子と、 前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、 筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、 前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、 前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、 前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成され、 前記透光性部は、少なくとも前記カバーにおける前記回路基板の前記発光素子が実装される面側とは反対側を覆う部分に位置し、前記カバーの長手方向に沿って延在している、 照明装置。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 熱硬化性樹脂から形成された基材を形成する工程と、 前記基材から、筒状のカバーの筒軸方向に直交する第1方向側から前記カバーの端部を覆うように配置される第1樹脂部材と、前記カバーの前記第1方向とは反対方向の第2方向側から前記カバーの端部を覆うように配置される第2樹脂部材と、を生成する工程と、 発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板が前記カバーの内側に配置された状態で、電源ケーブルを前記電源端子に電気的に接続する工程と、 前記電源端子に前記電瀕ケープルが接続された状態で、前記第1樹脂部材を前記第1方向側から前記カバーの端部を覆うように配置し、前記第2樹脂部材を前記第2方向側から前記カバーの端部を覆うように配置する工程と、 前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材を前記カバーの端部を覆うように配置した状態で、前記カバーの端部、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材を、第1金型と第2金型との間に配置する工程と、 前記第1金型と前記第2金型とを突き合わせた状態で、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とを加熱することにより封止樹脂部を形成する工程と、を含む、 照明装置の製造方法。」 第4 本件特許異議の申立てについて 本件特許異議の申立ては、本件特許の請求項1及び2に係る特許に対してされたものであるが、上記「第2 2」で検討したとおり、本件訂正により、申立ての対象となった請求項1及び2は削除された。そうすると、本件特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなり、不適法なものとなった。 なお、特許法第120条の2第2項の規定により、特許異議の申立てがされていない請求項(訂正前の請求項3、すなわち、訂正後の請求項1及び2)については、審理することができない。 第5 むすび 以上のとおり、本件特許異議の申立ては、不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 発光素子と、 前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、 筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、 前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、 前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、 前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成され、 前記カバーの材料と前記封止樹脂部の材料とは、同種類である、 照明装置。 【請求項2】 発光素子と、 前記発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板と、 筒状であり、内側に前記回路基板が配置されるとともに、前記発光素子から出射される光を外側へ透過させる透光性部を有するカバーと、 前記電源端子に電気的に接続され、外部電源から前記回路基板を介して前記発光素子へ電力を供給するための電源ケーブルと、 前記回路基板が前記カバーの内側に配置され、前記電源ケーブルが前記カバーの筒軸方向における少なくとも一方の端部から前記電源端子に接続された状態で、前記カバーの前記少なくとも一方の端部を、少なくとも前記カバーの筒軸方向と直交する方向において前記カバーの外側から覆う形で封止する封止樹脂部と、を備え、 前記封止樹脂部は、熱硬化性樹脂から形成され、 前記透光性部は、少なくとも前記カバーにおける前記回路基板の前記発光素子が実装される面側とは反対側を覆う部分に位置し、前記カバーの長手方向に沿って延在している、 照明装置。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 熱硬化性樹脂から形成された基材を形成する工程と、 前記基材から、筒状のカバーの筒軸方向に直交する第1方向側から前記カバーの端部を覆うように配置される第1樹脂部材と、前記カバーの前記第1方向とは反対方向の第2方向側から前記カバーの端部を覆うように配置される第2樹脂部材と、を生成する工程と、 発光素子が実装され前記発光素子へ電力を供給するための電源端子が設けられた回路基板が前記カバーの内側に配置された状態で、電源ケーブルを前記電源端子に電気的に接続する工程と、 前記電源端子に前記電源ケーブルが接続された状態で、前記第1樹脂部材を前記第1方向側から前記カバーの端部を覆うように配置し、前記第2樹脂部材を前記第2方向側から前記カバーの端部を覆うように配置する工程と、 前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材を前記カバーの端部を覆うように配置した状態で、前記カバーの端部、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材を、第1金型と第2金型との間に配置する工程と、 前記第1金型と前記第2金型とを突き合わせた状態で、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とを加熱することにより封止樹脂部を形成する工程と、を含む、 照明装置の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2024-02-22 |
出願番号 | P2018-201199 |
審決分類 |
P
1
652・
536-
XA
(F21V)
P 1 652・ 121- XA (F21V) P 1 652・ 537- XA (F21V) P 1 652・ 851- XA (F21V) P 1 652・ 857- XA (F21V) |
最終処分 | 10 決定却下(不適法な申立に |
特許庁審判長 |
中村 則夫 |
特許庁審判官 |
筑波 茂樹 久島 弘太郎 |
登録日 | 2023-03-06 |
登録番号 | 7239146 |
権利者 | FKK株式会社 |
発明の名称 | 照明装置および照明装置の製造方法 |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 龍竹 史朗 |
代理人 | 龍竹 史朗 |
代理人 | 宇野 智也 |