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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1145765 |
審判番号 | 不服2004-3772 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-26 |
確定日 | 2006-10-19 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第124411号「光学的記憶装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月28日出願公開、特開平 9-305984〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成8年5月20日の出願であって、平成16年1月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月26日付けで特許法第121条第1項の拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。 2.平成16年2月26日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年2月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるレンズアクチュエータと、 前記レンズアクチュエータを搭載したキャリッジを媒体のトラックを横切る方向に移動させるキャリッジアクチュエータと、 キャリッジ移動時の媒体戻り光の受光出力に基づいて、前記光ビームのトラックを横切る方向の位置に応じたトラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路と、 前記レンズアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に低速移動させる低速シーク制御部と、 前記キャリッジアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に高速移動させる高速シーク制御部と、 を備えた光学的記録装置に於いて、 前記低速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、前記対物レンズの光軸ずれ量を検出し、前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記キャリッジアクチュエータを駆動する低速レンズロック制御部と、 前記高速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、前記対物レンズの光軸ずれ量を検出し、前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記レンズアクチュエータを駆動する高速レンズロック制御部と、 を備えたことを特徴とする光学的記憶装置。」 と補正された。 上記補正(下線部分を参照)は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「トラッキングエラー信号」について、「キャリッジ移動時」のものであることを限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定に違反するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平3-152727号公報(以下、「引用例1」という。)は、光学式情報記録/再生装置に関して、図面と共に、以下の技術事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。 「第1図はこの発明の第1実施例を示すものである。この実施例は、光記録媒体1にピックアップ2を用いて情報の記録/再生を行うもので、ピックアップ2はボイスコイルモータ(VCM)3により光記録媒体1のトラックとほぼ直交する方向(トラッキング方向)に駆動するようにする。 ピックアップ2は、光記録媒体に対して情報の記録/再生を行う公知のピックアップと同様に構成するが、第1図では、記録または再生の光ビームを光記録媒体1上に収束させる対物レンズ4と、この対物レンズ4を光記録媒体1のトラックとほぼ直交するトラッキング方向に駆動するためのトラッキングコイル5と、光記録媒体1からの反射光を受光して対物レンズ4のトラッキング方向の移動量(トラッキングエラー信号)を検出するための光検出器6と、対物レンズ4の中立位置からのトラッキング方向の移動量を検出するための発光ダイオード(LED)7、フラグ8及び光検出器9とを図示しである。なお、対物レンズ4はピックアップ2内において、図示しない公知の支持手段によりトラッキング方向に変移可能に支持されている。また、フラグ8は対物レンズ4と一体に移動するように設けると共に、光検出器9は例えば2分割受光領域をもって構成し、LEDによるフラグ8の投影像を光検出器9で受光するようにする。 また、VCM3はVCM駆動回路10により駆動するようにすると共に、その駆動により位置パルスを発生させるようにし、この位置パルスをVCM駆動回路10に供給するようにする。 ピックアップ2の光検出器6の出力は、スイッチ11を経てトラッキングサーボ回路12に供給してトラッキングエラー信号を検出し、このトラッキングエラー信号が零となるようにトラッキングコイル5にコイル駆動電流信号を供給することにより、対物レンズ4をトラッキング方向に駆動するようにする。 また、光検出器9の出力は自動出力制御(APC)回路13およびレンズ位置検出回路14にそれぞれ供給し、APC回路13により光検出器9の2分割受光領域の出力の和に基づいてLED7をその発光量が常に一定となるように制御し、レンズ位置検出回路14により光検出器9の2分割受光領域の出力の差に基づいて、対物レンズ4の位置を検出し、そのレンズ位置信号をVCM駆動回路l0およびシーケンス制御回路15にそれぞれ供給すると共に、スイッチ11を経てトラッキングサーボ回路12に供給する。 VCM駆動回路10は、レンズ位置検出回路14からのレンズ位置信号が零、すなわち対物レンズ4が中立位置に位置するようにVCM3の駆動を制御すると共に、所望のトラックを検索するシーク動作時においては、シーケンス制御回路15からの移動量を表す目標位置信号とVCM3からの位置パルスとに基づいてVCM3の駆動を制御するようにする。 以下、この実施例の動作を説明する。 記録/再生動作においては、スイッチ11は接点11aとllbとが接続され、光ビームは光検出器6、スイッチ11、トラッキングサーボ回路12、トラッキングコイル5および対物レンズ4のトラッキングサーボループによりあるトラック(現在トラック)に位置決めされる。また、VCM3は、レンズ位置検出回路14で検出されるレンズ位置が中立位置となるように位置決めされるが、このVCM3の位置決めは、メカ部の制約等により精度が不十分で、中立位置からずれる場合もある。 次に、光ビームを現在トラックから目的トラックに移動させるシーク動作を行うにあたっては、先ず、シーケンス制御回路15において、第2図に示すトラッキングサーボループを切る直前の時刻tlにおけるレンズ位置検出回路14からのレンズ位置信号に基づいて、対物レンズ4の中立位置からのずれ量を求める。次に、シーケンス制御回路15において、現在トラックと目的トラックとの間のVCM3の移動距離に対して、上記のずれ量をそのずれの方向およびVCM3の移動方向に応じて増減してVCM3の移動量を求め、その移動量に対応する目標位置信号をVCM駆動回路10に供給してVCM3を駆動すると共に、このVCM3の駆動開始時(第2図において時刻t2)に、スイッチ11の接点11aとllcとを接続して、VCM3の移動中、対物レンズ4をフラグ8、光検出器9、レンズ位置検出回路14、スイッチ11、トラッキングサーボ回路12、トラッキングコイル5および対物レンズ4のループで中立位置に位置決めする。その後、VCM3の移動が終了した時点で、スイッチ11の接点11aとllbとを接続して、VCMの移動が終了した時点に光ビームが乗っているトラックにトラッキングを行い、該トラックが目的トラックであることを確認してシーク動作を終了する。 このように、この実施例によれば、シーク動作前、レンズ位置が中立位置からずれていても、シーク動作においては、そのずれ量に応じて現在トラックから目的トラックへのVCM3の移動量すなわちピックアップ2の移動量が制御されるので、シーク精度の低下を生じることがない。したがって、対物レンズ4を迅速かつ正確に目的トラック上に位置決めすることができる。」(公報第2頁右下欄第6行~第4頁左上欄第3行) 以上の記載、及び第1、2図を参酌すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認める。 「記録または再生の光ビームを光記録媒体1上に収束させる対物レンズ4と、この対物レンズ4を光記録媒体1のトラックとほぼ直交するトラッキング方向に駆動するためのトラッキングコイル5と、 対物レンズ4ならびにトラッキングコイル5を搭載したピックアップ2を光記録媒体1のトラックとほぼ直交する方向(トラッキング方向)に駆動するボイスコイルモータ(VCM)3と、 光記録媒体1からの反射光を受光して対物レンズ4のトラッキング方向の移動量(トラッキングエラー信号)を検出するための光検出器6と、 前記トラッキングコイル5を駆動し、トラッキングエラー信号が零となるようにコイル駆動電流信号を供給することにより、対物レンズ4をトラッキング方向に駆動するトラッキングサーボ回路12と、 前記VCM3を駆動し、光ビームを現在トラックから目的トラックに移動させるシーク動作を行うVCM駆動回路10と、 を備えた光学式記録/再生装置において、 記録/再生動作時は、光ビームは光検出器6、スイッチ11、トラッキングサーボ回路12、トラッキングコイル5および対物レンズ4のトラッキングサーボループによりあるトラック(現在トラック)に位置決めされ、VCM3は、レンズ位置検出回路14で検出されるレンズ位置が中立位置となるように位置決めされ、 シーク動作時は、対物レンズ4をフラグ8、光検出器9、レンズ位置検出回路14、スイッチ11、トラッキングサーボ回路12、トラッキングコイル5および対物レンズ4のループで中立位置に位置決めするシーケンス制御部15と を備えた光学式記録/再生装置。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用例1発明とを対比すると、 引用例1発明の「記録または再生の光ビームを光記録媒体1上に収束させる対物レンズ4と、この対物レンズ4を光記録媒体1のトラックとほぼ直交するトラッキング方向に駆動するためのトラッキングコイル5」は、本願補正発明の「光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるレンズアクチュエータ」に相当する。 引用例1発明の「対物レンズ4ならびにトラッキングコイル5を搭載したピックアップ2を光記録媒体1のトラックとほぼ直交する方向(トラッキング方向)に駆動するボイスコイルモータ(VCM)3」は、本願補正発明の「レンズアクチュエータを搭載したキャリッジを媒体のトラックを横切る方向に移動させるキャリッジアクチュエータ」に相当する。 引用例1発明の「光記録媒体1からの反射光を受光して対物レンズ4のトラッキング方向の移動量(トラッキングエラー信号)を検出するための光検出器6」は、本願補正発明の「媒体戻り光の受光出力に基づいて、トラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路」に相当する。 引用例1発明の、「VCM3を駆動し、光ビームを現在トラックから目的トラックに移動させるシーク動作を行うVCM駆動回路10」は、本願補正発明の、「キャリッジアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に高速移動させる高速シーク制御部」に相当する。 引用例1発明の、「シーク動作時」、対物レンズ4を「レンズ位置検出回路14で検出されるレンズ位置」に基づきトラッキングコイル5を駆動することにより「中立位置に位置決めするシーケンス制御部15」は、本願補正発明の、「高速シーク時」「対物レンズの光軸ずれ量を検出」「前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記レンズアクチュエータを駆動する高速レンズロック制御部」に相当する。 してみると、両者は、以下の一致点と相違点を有する。 [一致点] 光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるレンズアクチュエータと、 前記レンズアクチュエータを搭載したキャリッジを媒体のトラックを横切る方向に移動させるキャリッジアクチュエータと、 媒体戻り光の受光出力に基づいて、トラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路と、 前記キャリッジアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に高速移動させる高速シーク制御部と、 を備えた光学的記録装置に於いて、 前記高速シーク時に前記対物レンズの光軸ずれ量を検出し、前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記レンズアクチュエータを駆動する高速レンズロック制御部と、 を備えた光学的記憶装置。 [相違点] (イ)本願補正発明は、トラッキングエラー信号について、「キャリッジ移動時の前記光ビームのトラックを横切る方向の位置に応じた」信号であるのに対し、引用例1発明の「トラッキングエラー信号」は、シーク動作時には使用しない構成である点。 (ロ)本願補正発明は、レンズアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に低速移動させる低速シーク制御部を有するのに対し、引用例1発明は、「低速シーク」の動作について記載されていない点。 (ハ)本願補正発明は、「低速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、対物レンズの光軸ずれ量を検出し、対物レンズの光軸ずれを零とするようにキャリッジアクチュエータを駆動する低速レンズロック制御部と、 高速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、対物レンズの光軸ずれ量を検出し、対物レンズの光軸ずれを零とするように前記レンズアクチュエータを駆動する高速レンズロック制御部」を有するのに対し、引用例1発明は、低速シーク動作を行わず、また、高速シーク動作時においても、トラッキングエラー信号のオフセットからレンズ位置を検出する構成ではない点。 (4)判断 上記相違点について以下に検討する。 相違点(ロ)について: 光学的記憶装置における、対物レンズのトラッキング方向への移動制御として、VCMによる長距離移動以外に、レンズアクチュエータを駆動することによる短距離移動を行う制御は、例えば原査定の拒絶の理由でも提示された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平2-149930号公報(「ファインシーク」が相当する。)、特開平4-105221号公報(「第3の制御ループ」が相当する。)に記載されるよう周知である。 したがって、引用例1発明において、VCM3を駆動するまでもない距離について対物レンズをトラック方向に移動させるために、トラッキングコイルの駆動による低速シーク動作を行う構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 (なお、上記特開平4-105221号公報には、第1の制御ループにより光ヘッド2を移動させる第1の制御モードにおいて、レンズ位置信号によりレンズアクチュエータ11を駆動させ、集束レンズ12の位置を光ヘッド2に対して標準位置に停止させる第2の制御ループが構成され(本願発明の「高速シーク」に相当する。)、一方、レンズアクチュエータ11を動かして集束レンズ12を基準速度にしたがって移動させる第3の制御ループでは、レンズ位置信号により光ヘッド2を駆動して集束レンズ12の動きに追従させ、光ヘッド2をレンズ12の位置ずれを小さく保つように働く第4の制御ループを構成すること(本願発明の「低速シーク」に相当する。)も記載されている。) 相違点(イ)、(ハ)について: 光学的記憶装置において、トラッキングエラー信号のオフセットに基づき、対物レンズの光軸ずれを検知することは、原査定の拒絶の理由でも提示された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平1-211326号公報(公報右上欄第14行~左下欄第8行「トラックジャンプ時のトラッキング誤差信号の最大値と最小値を差動増幅回路に入力して得られた平均の値(DCオフセット)」が相当する。)、及び国際公開第95/31806号パンフレット(第9頁「トラッキングエラー信号TE’のオフセット成分S1」、第11頁~第12頁「低域通過フィルタ12d」により得られる「トラッキングエラー信号TE’に含まれているオフセット成分」が相当する。)に記載されるよう周知のことである。 (なお、上記国際公開第95/31806号パンフレットの第11頁第24行~第12頁4行には、「LPF12dによりトラッキングエラー信号TE’のオフセットを得る場合は、LPF12dのカットオフ周波数とトラッキングエラー信号TE’に含まれているオフセット成分の周波数が近い場合には、正しくオフセット成分が抽出できない」と、低速シーク時のように、トラッキングエラー信号の周波数が低い場合においても、カットオフ周波数を設定することにより、あるいは、第14頁に記載される、トラッキングエラー信号TE’のピーク値とボトム値を加算した後、1/2倍することによって、オフセット成分が抽出可能であることが記載されている。 また、トラッキングエラー信号のピーク値、ボトム値よりオフセットを得る例として:特開昭61-283038号公報、トラッキングエラー信号をLPFを通すことによりオフセットを得る例として:特開平6-44596号公報等参照。) したがって、引用例1発明において、シーク動作時、対物レンズの中立位置からのずれを、トラッキングエラー信号のオフセットから得ることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。 また、引用例1発明には、記録/再生動作時には、トラッキングコイルを駆動して対物レンズをトラック方向に駆動するトラッキングサーボを行い、同時にVCM3を制御することにより、シーク時と同様、レンズ位置が中立位置となるように位置決めすることが記載されている。 そうすると、引用例1発明において、上記「相違点(ロ)について:」でも述べた、トラッキングコイルを制御して周知の低速シークを行う際にも同様に、VCMを制御して対物レンズを中立位置に固定する制御とすることは、当業者が当然に行うことであり、その際、対物レンズの中立位置からのずれをトラッキングエラー信号のオフセットから得ることも、上記周知技術より、当業者が適宜なし得たことであり、その効果も格別のものではない。 したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年2月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成15年6月20日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるレンズアクチュエータと、 前記レンズアクチュエータを搭載したキャリッジを媒体のトラックを横切る方向に移動させるキャリッジアクチュエータと、 媒体戻り光の受光出力に基づいて、前記光ビームのトラックを横切る方向の位置に応じたトラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路と、 前記レンズアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に低速移動させる低速シーク制御部と、 前記キャリッジアクチュエータの駆動により光ビームを目標位置に高速移動させる高速シーク制御部と、 を備えた光学的記録装置に於いて、 前記低速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、前記対物レンズの光軸ずれ量を検出し、前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記キャリッジアクチュエータを駆動する低速レンズロック制御部と、 前記高速シーク時に得られるトラッキングエラー信号のオフセットから、前記対物レンズの光軸ずれ量を検出し、前記対物レンズの光軸ずれを零とするように前記レンズアクチュエータを駆動する高速レンズロック制御部と、 を備えたことを特徴とする光学的記憶装置。」 (1)引用例 また、原査定の拒絶の理由で引用された引用例、およびその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「トラッキングエラー信号」が「キャリッジ移動時」に得られることを省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-09 |
結審通知日 | 2006-08-15 |
審決日 | 2006-09-01 |
出願番号 | 特願平8-124411 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉川 潤 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
吉村 伊佐雄 江畠 博 |
発明の名称 | 光学的記憶装置 |
代理人 | 竹内 進 |