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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1414043
総通号数 33 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-11-15 
確定日 2024-09-03 
事件の表示 特願2020-101777「ウインドタワーのブレードまたはその他の移動または静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年12月24日出願公開、特開2020-205420、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年6月11日(パリ条約による優先権主張 2019年(令和元年)6月14日 スペイン)の外国語書面出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

令和2年 8月 7日 翻訳文の提出
令和4年 2月18日 手続補正書の提出
令和4年 5月11日付け 拒絶理由通知書
令和4年 8月17日 意見書、誤訳訂正書の提出
令和4年11月16日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和5年 4月24日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月12日付け 令和5年4月24日付け手続補正書でした
補正の却下の決定、拒絶査定
令和5年11月15日 審判請求書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要
原査定(令和5年7月12日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1 理由1(明確性
この出願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 1-7
令和4年8月17日付け誤訳訂正書により補正された明細書の段落【0013】の記載によれば、「2つの接続導電性アダプタ」にとって「充電され」ることは必須であるが、同日付け誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1では、「導電性アダプタ(1、2)」が充電されることを要する旨が記載されていない。
同日付け誤訳訂正書により補正された明細書の段落【0013】の記載によれば、「高リアクタンスの2つのエレメント」と「熱の形態のエネルギ吸収体」とはそれぞれ別個(換言すれば、全体で三個)の要素であるとともに、「高リアクタンスの2つのエレメント」の内の一方の「エレメント」にとって「充電され」ることは必須であるが、同日付け誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1では、「エレメント(3)」と「高リアクタンス」と「熱の形態のエネルギの吸収体」とがどのように関連しているのか及び「エレメント(4)」と「高リアクタンス」と「熱の形態のエネルギの吸収体」とがどのように関連しているのかが不明であるとともに、「エレメント(3)」又は「エレメント(4)」が「充電され」ることを要する旨が記載されていない。
以上の点は、請求項1を引用する請求項2-7についても同様である。

2 理由2(実施可能要件
この出願は、発明の詳細な説明の記載が以下の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 1-7
令和4年8月17日付け誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1における「導電性アダプタ(1、2)」に関する記載と、同日付け誤訳訂正書により補正された発明の詳細な説明における「2つの接続導電性アダプタ」に関する記載が整合しておらず、同日付け誤訳訂正書により補正された発明の詳細な説明の記載でも「2つの接続導電性アダプタ」がどのような構成で具現化されるのかが不明である。
同日付け誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1における「エレメント(3)」及び「エレメント(4)」に関する記載と、同日付け誤訳訂正書により補正された発明の詳細な説明における「2つのエレメント」に関する記載が整合しておらず、同日付け誤訳訂正書により補正された発明の詳細な説明の記載でも「2つのエレメント」がどのような構成で具現化されるのかが不明である。
そうすると、発明の詳細な説明中の記載を参酌しても、どのようにすれば請求項1-7に係る発明を具現化できるのかが不明である。


第3 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和5年11月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置であって、前記ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造ならびに電荷を収集するための移動および静止エレメント一般における直接大気放電に対する保護システムとして適用可能であるとともに、前記装置の近くの環境における正もしくは負の雲の間の大気放電に由来して前記ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造に影響を与える可能性がある電磁パルス、およびタワーもしくは放射アンテナの放射に、電気通信、任意のタイプのレーダに、または他の発生源に由来する電磁パルスから保護するための保護システムとして適用可能な、ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置において、
接続のための、充電を必要とする2つの導電性アダプタ(1、2)であって、
・保護されるエレメントの外部コレクタと接続される第1のアダプタ(1)と、
・アースと接続される第2のアダプタ(2)と、を備える2つの導電性アダプタ(1、2)と、
周波数共振器(7、8、9)の両側に接続されるとともに、それぞれが前記2つの導電性アダプタ(1、2)に接続され、高周波電流の通過に対する高リアクタンスおよび熱の形態のエネルギの吸収体の、充電を必要とする2つのエレメント(3、4)であって、
・前記第1のアダプタ(1)に接続され、前記外部コレクタからくる高周波初期電流の前記通過に対する起電力に対する力を生成し、前記外部コレクタからくる前記高周波初期電流の前記周波数を低下させ、熱として生成されたエネルギの一部を吸収する第1のエレメント(3)と、
・前記第2のアダプタ(2)と接続され、前記周波数共振器(7、8、9)を通過した電流の残余エネルギを吸収し、低周波電流のみを前記第2のアダプタ(2)に通過させることを可能にする第2のエレメント(4)と、を備える2つのエレメント(3、4)と、
それぞれが、高周波電流の前記通過に対する高リアクタンスおよび熱の形態のエネルギ吸収体の前記第1および第2のエレメント(3、4)と接続する、第1および第2の導電性エレメント(7、8)の間に位置する誘電絶縁体(9)により構成された、適切な電磁補償装置を構成する周波数共振器と、
を少なくとも備えた、ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項2】
前記アダプタ(1、2)、前記エレメント(3、4)および前記周波数共振器(7、8、9)は、気密ボックス(10)に備わり、その両側外部に留まる前記アダプタ(1、2)を除いた、前記エレメント(3、4)および前記周波数共振器(7、8、9)のすべてが、前記気密ボックス(10)内に収納され、絶縁される、請求項1に記載のウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項3】
前記ボックス(10)の内部エレメントを固定し、周波数共振器(7、8、9)が前記ボックス(10)の壁に接触するのを防ぎ、その動作中にアークが形成されるのを防ぐように、前記ボックス(10)内部に、絶縁材料の両方のサポート(5)が存在することを特徴とする、請求項2に記載のウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項4】
ボックス(10)は、200℃まで耐えることができる、機械的および耐火性の保護を備えた、防水性および気密性の断熱材から作られることを特徴とする、請求項2または3に記載のウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項5】
前記ボックス(10)には、ボックスの内外で常に同じ圧力がかかるように、前記ボックスの内部過圧を取り除くことを担い、並びに、前記ボックス内の存在する可能性のある湿気を取り除き、湿気がボックス内に入らないようにすることを担う、湿度および空気の侵入に対して気密の内部から外部への圧力通気弁が組み込まれていることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の、ウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項6】
前記ボックス(10)が少なくとも2つの圧力通気弁(6)を有することを特徴とする、請求項5に記載のウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。
【請求項7】
前記ボックス(10)が4つの弁(6)を有することを特徴とする、請求項6に記載のウインドタワーブレードまたは他の移動もしくは静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置。」


第4 原査定についての判断

1 理由1(明確性
令和5年11月15日付け手続補正により、請求項1の「導電性アダプタ(1、2)」及び「2つのエレメント(3、4)」について「充電を必要とする」ことが明確になった。
また、同日付け手続補正により、請求項1の「第1のエレメント(3)」について「外部コレクタからくる高周波初期電流」から生成されたエネルギの一部を吸収するものである旨及び「第2のエレメント(4)」について「周波数共振器(7、8、9)を通過した電流の残余エネルギを吸収」するものである旨が特定され、「第1のエレメント(3)」及び「第2のエレメント(4)」のそれぞれが何に対して「高リアクタンス」効果を発揮し「熱の形態のエネルギの吸収体」として作用するかが明確になった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(実施可能要件
令和5年11月15日付け手続補正により、請求項1の「導電性アダプタ(1、2)」及び「2つのエレメント(3、4)」に関する記載は、上記1のとおり明確になり、本願の発明の詳細な説明の段落【0013】の記載と整合したものとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。


第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2024-08-19 
出願番号 P2020-101777
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H05K)
P 1 8・ 536- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 篠塚 隆
特許庁審判官 北元 健太
野崎 大進
発明の名称 ウインドタワーのブレードまたはその他の移動または静止構造を保護するための可変無線周波数電磁補償装置  
代理人 林 一好  
代理人 芝 哲央  
代理人 岩池 満  
代理人 正林 真之  

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