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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 A61K |
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管理番号 | 1096284 |
異議申立番号 | 異議2001-73549 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-07-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-12-25 |
確定日 | 2004-02-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3186709号「バラ科植物エキスの用途」の請求項3、13に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3186709号の請求項3、13に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3186709号の請求項1~23に係る発明は、平成10年9月21日の出願(特許法第43条による優先権主張1997年9月22日、仏国)であって、平成13年5月11日にその特許権の設定登録がされ、その後、桜井文子により特許異議の申立てがされ、当審により平成14年4月15日付で取消理由通知がされ、その指定期間内である平成14年10月25日に訂正請求がされたものである。 2.訂正について (1)訂正の内容 1)訂正事項a 請求項3における「バラ科植物」を 「バラ科植物(ワレモコウとアーモンドを除く)」と訂正する。 2)訂正事項b 請求項3における「敏感肌」を 「カプサイシンテストにおいて陽性と判定される敏感肌」と訂正する。 (2) 訂正の目的の適否、拡張・変更の存否、及び新規事項の追加の有無 1)訂正事項aは、バラ科植物からワレモコウとアーモンドを除くものであるから請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 2)訂正事項bは敏感肌についてカプサイシンテストにおいて陽性と判定されることを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。 そして、敏感肌の定義については特許明細書の段落【0037】段落【0038】に記載されているから特許明細書の記載事項の範囲内の訂正であって、請求の範囲を拡張・変更するものではない。 3)したがって、上記訂正は特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項~第4項の規定に適合するから、当該訂正を認める。 3.特許異議申立について (1)異議申立の概要 特許異議申立人桜井文子は、本件請求項3及び13に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、更に特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない発明であるから、上記請求項に係る発明の特許は取り消されるべきである旨主張している。 (2)本件発明 上記のとおり、訂正請求が認められるから、本件特許異議申立のあった請求項に係る発明は、訂正明細書の請求項3及び13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項3】少なくとも1つのバラ科植物(ワレモコウとアーモンドを除く)の少なくとも1つのエキスからなり、組成物中に活性成分としてその有効量が用いられる、カプサイシンテストにおいて陽性と判定される敏感肌を治療するための薬剤。 【請求項13】組成物が化粧品または製薬用のものであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の薬剤。 (3)取消理由通知について 当審は平成15年1月20日付けで、訂正後の本件請求項3及び13に係る発明は、本件出願(優先日)前に頒布された刊行物1~8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである旨の取消しの理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もない。 そして、上記の取消の理由は妥当なものと認められるので、本件請求項3及び13に係る発明の特許は、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 バラ科植物エキスの用途 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスからなり、組成物中に活性成分としてその有効量が用いられるサブスタンスPアンタゴニスト薬剤。 【請求項2】 少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスからなり、組成物中に活性成分としてその有効量が用いられる、サブスタンスPの過度の合成および/または放出に関連した疾患を治療するための薬剤。 【請求項3】 少なくとも1つのバラ科植物(ワレモコウとアーモンドを除く)の少なくとも1つのエキスからなり、組成物中に活性成分としてその有効量が用いられる、カプサイシンテストにおいて陽性と判定される敏感肌を治療するための薬剤。 【請求項4】 皮膚および/または粘膜の痒み、および/または知覚不全、および/または炎症、および/または紅斑、および/またはヘルペス、および/または皮膚刺激に抗する、および/または予防することを意図したものである請求項1ないし3の何れか1項に記載の薬剤。 【請求項5】 少なくとも1つのバラ科植物のエキスが、植物全体、または葉、茎、花、花弁、根、もしくは未分化細胞由来の植物材料から得られたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項6】 少なくとも1つのバラ科植物のエキスが、花弁から得られたものであることを特徴とする請求項5に記載の薬剤。 【請求項7】 少なくとも1つのバラ科植物のエキスが、in vitro培養された少なくとも1つのバラ科植物由来の植物材料から得られたものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項8】 少なくとも1つのバラ科植物のエキスが、組成物の全重量に対して0.01%~30%、好ましくは0.1%~20%の量であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項9】 エキスが、キンミズヒキ属、アーモンド属、アプリコット属、セラサス属、リンゴ属、メスピラス属、ペルシカ属、ピルス属、ヤマザクラ属、バラ族、キイチゴ属から選択される属に属する少なくとも1つの植物由来の材料から調製されたエキスであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項10】 植物がバラ属に属することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項11】 エキスが、バラ属アルバ種、バラ属アルピナ種、バラ属カニーナ、バラ属シンナモネア種、バラ属ガリカ種、バラ属レペンス種、バラ属ルブリフォリア種、バラ属ルビギノーサ種、バラ属セムペルヴィレンス種、バラ属スピノシシーマ種、バラ属スティローサ種、バラ属トメントーサ種またはバラ属ヴィローサ種から選択される少なくとも1つの植物由来の材料から調製されたエキスであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項12】 植物がバラ属ガリカ種に属することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項13】 組成物が化粧品または製薬用のものであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の薬剤。 【請求項14】 生理学的に許容可能な媒体に、サブスタンスPアンタゴニストとしての少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスと少なくとも1つの刺激作用を有する生成物とを含有し、化粧品用または製薬用であることを特徴とする組成物。 【請求項15】 生理学的に許容可能な媒体に、サブスタンスPアンタゴニストとしての少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスと、少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減する少なくとも1つの化合物とを含有することを特徴とする組成物。 【請求項16】 少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減させる化合物が、サブスタンスPおよび/またはCGRPアンタゴニスト、NO-シンターゼインヒビター、ブラジキニンアンタゴニスト、サイトカインアンタゴニスト、ヒスタミンアンタゴニスト、α型の腫瘍壊死因子(TNF-α)のアンタゴニストから選択されることを特徴とする請求項15に記載の組成物。 【請求項17】 サブスタンスPアンタゴニストが、逆行性の神経刺激またはカプサイシンにより誘発される血管壁を通しての血漿の血管外遊出を低減させる物質、およびサブスタンスPの投与により誘発される平滑筋収縮の阻害を生じせしめる物質から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。 【請求項18】 CGRPアンタゴニストが、 +(求心性神経に適用される)逆行性の電気的刺激および/またはカプサイシンにより誘発される血管拡張を低減させるアンタゴニスト物質および/または、 +感覚神経線維によるCGRP放出の阻害を生じせしめるアンタゴニスト物質および/または、 +CGRPにより誘発される輸精管の平滑筋収縮の阻害を低減するアンタゴニスト物質、 から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。 【請求項19】 NO-シンターゼインヒビターが、NO-シンターゼにより変換されるシグナルを低減させる役割を担う化合物、NO-シンターゼを中和する化合物、またはNO-シンターゼの異化作用の促進および/または合成の阻害をなす化合物から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。 【請求項20】 ブラジキニンアンタゴニストが、ブラジキニンの異化作用の促進および/または合成の阻害をなす化合物、レセプター(B1またはB2)へ結合してブラジキニンの効果を妨害するような、ブラジキニンレセプターをブロックする化合物、ブラジキニンレセプターの合成を阻害する化合物、またはブラジキニンにより変換されるシグナルを低減させる役割を担う化合物から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。 【請求項21】 ヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αのアンタゴニストが、ヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αそれぞれのレセプターへの結合および/または合成および/または放出を阻害しうる物質から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。 【請求項22】 少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減する化合物が、組成物の全重量に対して0.001%~10%、好ましくは0.01%~5%の量であることを特徴とする請求項14ないし21のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項23】 バラ科エキスが請求項1ないし13のいずれか1項に記載のエキスであることを特徴とする請求項14ないし22のいずれか1項に記載の組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明の主題は、サブスタンスPアンタゴニストとしての少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキス(抽出物)の、組成物における活性成分としての使用にある。さらに、本発明の主題は、該エキスの組成物における活性成分としての使用であって、該エキスまたは組成物がサブスタンスPの過度の放出および/または合成に関連した疾患の治療を意図したものにある。 【0002】 また本発明の主題は、該エキスの組成物における活性成分としての使用であって、エキスまたは組成物が敏感肌の治療を意図したもの、並びに敏感肌の美容処理方法にある。 【0003】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】 哺乳動物には、平滑筋線維の急激な収縮を誘発するタキキニンファミリーに属するポリペプチドが存在する。このファミリーの化合物としては、ニューロキニンβ、ニューロキニンα、およびサブスタンスPを挙げることができる。 【0004】 サブスタンスPは、神経末端により生成および放出される、ポリペプチド化学成分(ウンデカペプチド)である。サブスタンスPの位置は、中枢神経系および末梢器官の両方のニューロンに特異的である。よって、非常に多くの器官または組織がサブスタンスP担持ニューロン求心体(afferences)を受容しており;これらは、特に、唾液腺、胃、膵臓、腸[後者において、サブスタンスPの分布は内因性のメイスナー(Meissner)およびオーエルバッハ(Auerbach)の神経叢に重なる]、心臓血管系、甲状腺、皮膚、虹彩および繊毛体、膀胱、および末梢および中枢神経系においては際だっている。 【0005】 サブスタンスPの分布が偏在的であるため、多くの疾患が、サブスタンスPの過度の合成および/または放出に関連している。 【0006】 サブスタンスPは、特に、痛みの伝達および中枢神経系の病気[例えば、不安感、精神病、神経障害、アルツハイマー老人性痴呆症型の神経退化性疾患、エイズに関連した痴呆、パーキンソン病、ダウン症候群、コルサコフ(Korsakoffs)症候群、多発性硬化症、または精神分裂症]、呼吸障害(例えば、気管支肺炎)、および炎症性の病気(例えば、慢性関節リュウマチ)、アレルギー症候群(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性咽頭炎、蕁麻疹、湿疹様皮膚炎)、胃腸の病気(潰瘍、大腸炎、またはクローン病)、皮膚疾患[例えば、乾癬、痒疹性の病気、疱疹、光性皮膚病(photodermatosis)、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、苔蘚、痒疹、そう痒、紅斑、特に太陽性紅斑(solar erythema)、虫さされ]、線維症および他のコラーゲンの成長疾患(例えば、硬皮症)、心臓血管系疾患、血管痙攣疾患(例えば、片頭痛、レイノー病)、免疫疾患、尿管疾患(例えば、尿失禁、膀胱炎)、リューマチ性疾患、ある種の皮膚病(例えば湿疹)、および眼病(例えば、結膜炎、ブドウ膜炎、眼の痒み、眼の痛み、刺激作用)に関係している。 【0007】 サブスタンスPアンタゴニストの使用は、上述した全ての病状において、有効な治療の選択肢の一つである。 【0008】 サブスタンスPアンタゴニストとは、サブスタンスPの生物学的効力を、部分的にまたは完全にすら阻害することのできる任意の化合物を意味するものと理解される。 【0009】 特に、ある物質がサブスタンスPアンタゴニストと認められるには、特に、次のテスト: -拮抗物質は、逆行性の神経刺激、またはカプサイシンにより誘発される、血管壁を通しての血漿の血管外遊出を低減させなければならない、または、 -拮抗物質は、サブスタンスPの投与により誘発される平滑筋収縮の阻害をもたらさなければならない、 の一つに対して干渉性薬理学的応答(サブスタンスPレセプターに対する結合等を含む)を起こさなければならない。 【0010】 今日まで、サブスタンスPアンタゴニストは、上述した疾患の治療に使用されている。この目的のための参考として、次の公報:米国特許第4472305号、米国特許第4839465号、欧州特許公開第101929号、欧州特許公開第333174号、欧州特許公開第336230号、欧州特許公開第394989号、欧州特許公開第443132号、欧州特許公開第498069号、欧州特許公開第515681号、欧州特許公開第517589号、国際特許公開第92/22569号、英国特許公開第2216529号、欧州特許公開第360390号、欧州特許公開第429366号、欧州特許公開第430771号、欧州特許公開第499313号、欧州特許公開第514273号、欧州特許公開第514274号、欧州特許公開第514275号、欧州特許公開第514276号、欧州特許公開第520555号、欧州特許公開第528495号、欧州特許公開第532456号、欧州特許公開第545478号、欧州特許公開第558156号、国際特許公開第90/05525号、国際特許公開第90/05729号、国際特許公開第91/18878号、国際特許公開第91/18899号、国際特許公開第92/12151号、国際特許公開第92/15585号、国際特許公開第92/17449号、国際特許公開第92/20676号、国際特許公開第93/00330号、国際特許公開第93/00331号、国際特許公開第93/01159号、国際特許公開第93/01169号、国際特許公開第93/01170号、国際特許公開第93/06099号、国際特許公開第93/09116号、欧州特許公開第522808号および国際特許公開第93/01165号を挙げることができる。 【0011】 しかしながら、上述したいずれの公報にも、少なくとも1つのバラ科植物のエキスが上述したようなサブスタンスPに拮抗する活性を有しうること、よって上述した疾患を治療するための活性成分として特に使用可能であることについては考慮も示唆もされていない。 【0012】 バラ科植物は、主にその芳香性および装飾性の故に使用されている。 【0013】 従来では、バラ科植物は、泌尿生殖器疾患の治療用組成物(仏国特許第76/36295号)、美白化粧品用組成物(日本国特許08208451号)、または紫外線保護用組成物(欧州特許公開第781544号)、酸化防止用化合物の調製(欧州特許公開第94/401669号)、または植物保護用の抗菌および/または殺虫性化合物の調製(独国特許第4327792号)において知られている。 【0014】 しかしながら、本出願人の知るところによれば、少なくとも1つのバラ科植物のサブスタンスPに拮抗する活性については何ら記載されていない。 【0015】 【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】 本出願人は、少なくとも1つのバラ科植物のエキスが、サブスタンスPアンタゴニストを性質付ける特徴と一致しており、よってサブスタンスPアンタゴニストとして使用可能であることを見出した。 【0016】 よって、本発明の主題は、サブスタンスPアンタゴニストとしての有効量の少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスの、組成物における活性成分としての使用にある。 【0017】 活性成分とは、少なくとも1つの与えられた生物学的系の機能を変化および/または変調させることのできる任意のエキスまたは分子を意味すると理解されるものである。 【0018】 少なくとも1つのバラ科植物のエキスは、少なくとも1つのバラ科植物由来の任意の植物材料から調製される任意のエキスであってよい。 よって、本発明で使用される少なくとも1つのバラ科植物のエキスは、植物全体または植物の一部、例えば葉、茎、花、花弁、根、もしくは未分化細胞由来の植物材料から得ることができる。 【0019】 未分化植物細胞とは、他の細胞に依存せず、それ自身で生存でき、特定の特化特性を何ら示さない任意の植物細胞を意味するものと理解される。これらの未分化植物細胞は、誘導の影響下で、そのゲノムと一致した所定の分化をしうる。 選択された培養方法、特に選択された培養培地により、異なる特性を有する未分化植物細胞を同一の外植片から得ることができる。 【0020】 本発明において好ましくは、花弁が使用される。 少なくとも1つのバラ科植物のエキスは、in vitro培養由来、またはin vivoで培養された少なくとも1つのバラ科植物由来の任意の植物材料から調製された任意のエキスであってよい。 in vivo培養とは、通常のタイプの任意の培養、すなわち土壌、戸外または温室中での培養、もしくは無土壌培養を意味するものと理解される。 in vitro培養とは、人工的に植物または植物の一部を得ることのできる、当業者に公知の技術範囲を意味するものと理解される。in vitroにおける細胞の成長中に物理化学的条件により付与される圧力を選択することで、in vivoで培養される植物とは異なり、一年中入手可能で標準化された植物材料を得ることができる。 本発明において好ましくは、in vivo培養由来の植物が使用される。 【0021】 当業者に知られている任意の抽出方法が、本発明の組成物に含有されるエキスの調製に使用される。 特に、水性またはアルコール抽出、または有機溶媒を使用した抽出を挙げることができる。 水性溶媒とは、部分的にまたは完全に水からなる任意の溶媒を意味するものと理解される。例えば、水自体、任意の割合の水性-アルコール溶媒、または任意の割合の水とプロピレングリコール等の化合物とからなる溶媒を挙げることができる。 アルコール溶媒としては、特にエタノールを挙げることができる。 【0022】 また、本出願人により出願された仏国特許出願第95-02379号に記載された方法で調製されたエキスを使用することもできる。 よって、第1工程では、植物材料を冷温の水溶液中で挽き、第2工程では、懸濁液中の粒子を第1工程の水溶液から取り除き、第3工程では、第2工程の水溶液を滅菌する。この水溶液がエキスに相当する。 さらに、第1工程は、有利には植物組織を単に凍結する操作(例えば-20℃)に置き換えてもよく、続いて上述した第2および第3工程を含む水性抽出を行うことができる。 【0023】 本発明で使用される調製方法にかかわらず、保存性および/または安定化を促進させることを意図した次の工程を、エキスの実際の性質を結果的に変化させないで追加することもできる。よって、例えば得られたエキスを、従来の任意の凍結乾燥法で凍結乾燥してもよい。このようにして、直接、または使用前に適切な溶媒と混合して使用することができるパウダーが得られる。 本発明において好ましくは、水性エキス、さらに好ましくは水とプロピレングリコールからなる溶媒で調製されたエキス、例えばコスメトケム(COSMETOCHEM)社から販売されているハーバソール(Herbasol)(登録商標)が使用される。 【0024】 サブスタンスPの過度の合成および/または放出に関連した疾患例は、この明細書の最初に示した。 【0025】 さらに、本発明の主題は、有効量の少なくとも1つのバラ科植物のエキスの、組成物における活性成分としての使用であって、エキスまたは組成物がサブスタンスPの過度の合成および/または放出に関連した疾患の治療を意図したものにある。 【0026】 よって、特定の側面では、本発明の主題は、有効量の少なくとも1つのバラ科植物のエキスの、組成物における活性成分としての使用であって、エキスまたは組成物が、皮膚疾患、炎症、アレルギー症候群、痛み、コラーゲンの成長疾患、中枢神経系の疾患、呼吸障害、胃腸の病気、線維症、心臓血管系疾患、血管痙攣疾患、免疫疾患または尿管疾患、リューマチ性疾患またはある種の眼病の治療を意図したものにある。 【0027】 皮膚疾患の領域では、他のものより、より敏感な皮膚があることが知られている。しかしながら、敏感肌の徴候は、未だ十分には特徴付けられているものではなく、結果として、これらの皮膚の問題も十分に定義されているものではない。実際、皮膚の敏感化に関連したプロセスを正確に知るものはいない。敏感肌とは、化粧品に反応した皮膚であると考えている者もいれば、必ずしも化粧品に関連しているのではなくて、いくつかの外的要因に反応した皮膚であるとする者もいる。また、敏感肌は、アレルギー性皮膚と同意語とされてもいる。 【0028】 敏感肌を理解するために開発されたテスト、例えば刺激性物質であることが知られているDMSOおよび乳酸によるテストが開発されている:例えば、ケー・ラミントースタ(K.Lammintausta)らの「皮膚病(Dermatoses)」、1988年、第36巻、45-49頁、およびティー・アグナー(T.Agner)とジェイ・セルプ(J.Serup)の論文である「臨床および実験の皮膚科学(Clinical and Experimental Dermatology)」、1989年、第14巻、214-217頁を参照されたい。 【0029】 敏感肌の特徴についての知識が十分ではないため、今だにそれらの治療は、非常に困難で、不可能でありさえする。事実、敏感肌は、例えば、化粧品用および/または皮膚病用組成物への、刺激性のある生成物、例えば界面活性剤、防腐剤、香料を有する物品の使用、並びにある種の化粧品または皮膚病用活性剤の使用を制限することによって、間接的に治療されていた。 【0030】 多くの臨床テストを行った結果、本出願人は、敏感肌に関連した徴候を決定することができた。これらの徴候は、特に、本質的に知覚不全という主観的な症候である。知覚不全とは、皮膚領域で感じる、多かれ少なかれ痛みを伴う感覚、例えば、チクチクする痛み(prickling)、蟻走感、痒み(pruritus)またはむずむずするような痒み(itching)、火傷(burn)、炎症、不快感、刺すような痛み(stabbing pains)等を意味すると理解されるものである。 【0031】 さらに、本出願人は、敏感肌がアレルギー性皮膚でないことを示した。実際、アレルギー性皮膚は、アレルギー反応を引き起こす外的要因であるアレルゲンに反応する皮膚である。これは、アレルゲンが存在する場合にのみ生じ、また敏感なヒトにのみ影響を及ぼす免疫学的プロセスである。これに対し、本出願人によれば、敏感肌の本質的な特徴は、外的要因に反応するメカニズムにあり、いわゆる敏感肌のヒトは他のヒトよりも早く反応したとしても、いかなるヒトにも影響を及ぼすおそれがあることである。このメカニズムは免疫学的なものではない:非特異的である。 【0032】 本出願人は、敏感肌が2つの主たる臨床形態、刺激性(irritable)および/または反応性(reactive)皮膚と不耐性(intolerant)皮膚に分けることができることを見出した。 【0033】 刺激性および/または反応性皮膚とは、種々の要因、例えば、環境、感情、食物、風、摩擦、剃刀、石鹸、界面活性剤、高いチョーク濃度を有する硬水、温度変化または羊毛に反応し、痒み、すなわちむずむずするような痒み、またはチクチクする痛みを感じる皮膚のことである。一般的に、これらの症候は、紅斑を示す皮膚、またはヘルペスのあるなしにかかわらず、乾燥肌に関連している。 【0034】 不耐性皮膚とは、種々の要因、例えば、環境、感情、食物およびある種の化粧品に反応し、炎症、刺すような痛み、蟻走感および/またはできもの(blotches)を生じる皮膚のことである。一般的に、これらの症候は、紅斑、およびヘルペスのあるなしにかかわらず、過漏脂症(hyperseborrhoeic)の皮膚もしくはざ瘡のある皮膚に関連している。 【0035】 「敏感」な頭皮は、より明瞭ではない臨床的症候を有する:痒み、および/またはチクチクした痛み、および/または炎症感が、局所的要因、例えば摩擦、石鹸、界面活性剤、高いチョーク濃度を有する硬水、シャンプーまたはローションにより本質的に誘発される。また、これらの感覚は、時折、環境、感情、および/または食物のような要因によっても誘発される。頭皮の過漏脂症および紅斑、並びにフケの状態も、上述した症候にしばしば関連している。 【0036】 さらに、所定の解剖学的領域、例えば大きな皮膚のヒダ[鼠蹊、生殖器、腋か、膝か、肛門または乳腺下領域、および肘の皮膚のヒダ]および脚における敏感肌には、特に汗、摩擦、羊毛、界面活性剤、ある種の化粧品用調製物、高いチョーク濃度を有する硬水および/または温度変化に関連した痒疹感(pruriginous sensations)および/または知覚不全(炎症感、チクチクする痛み)が生じる。 【0037】 また、本出願人は、皮膚が敏感であるか否かを決定するためのテスト法を開発した。実際、敏感肌を定義する目的で多くのテストを行ったところ、驚くべきことに、敏感肌を有するヒトとカプサイシンの局所適用に反応するヒトとの間に、関連性があることを見出した。 【0038】 カプサイシンテストは、約4cm2の皮膚に0.075%のカプサイシンを含有するクリームを0.05ml適用し、この適用に起因する主観的な症候、例えば、チクチクする痛み、火傷感およびむずむずするような痒みの出現をみることからなる。敏感肌を有する患者では、適用後、3~20分でこれらの症候が現れ、続いて、適用した領域の周辺部から、紅斑が出現し始める。 【0039】 今日まで、カプサイシンは特に帯状疱疹痛を治療するための医薬品として使用されている。カプサイシンは、神経ペプチド、特に、表皮および真皮の神経終末から生じるタキキニンの放出の原因となる。本出願人は、全ての敏感肌の状態に共通する生理病理学的パターンが、皮膚におけるタキキニン、特にサブスタンスPの放出能力の高さに関連していることを見出した。それらの放出により生じる知覚不全の発現は「神経性」と称されている。 【0040】 今日まで誰も、サブスタンスPと敏感肌との関連を確立した者はいなかった。敏感肌の臨床的症候は、本質的に主観的である:チクチクする痛み、蟻走感、痒み、刺すような痛み、炎症感であり、それらは、時折、紅斑を合併する。これらの症候は、非特異的な外的要因によるものである。徴候は、本質的に、顔、首および頭皮に限定して現れるが、全身に現れる可能性もある。 【0041】 このように、本出願人は、敏感肌の本質的な特徴の一つはサブスタンスPの放出に関連しており、よって、サブスタンスPアンタゴニストの使用により、敏感肌に対する予防および/または治療効果を得ることができることを見出した。 【0042】 よって本出願人は、敏感肌を治療するためにサブスタンスPアンタゴニストを使用することを考えた。実際、驚くべきことに、局所使用を意図した組成物にサブスタンスPアンタゴニストを含有させることで、皮膚の痒み、および/または知覚不全、および/または痒みを回避できることが見出された。 【0043】 よって、本発明は、特に、有効量の少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスの、組成物における活性成分としての使用であって、エキスまたは組成物が敏感肌の治療を意図した使用に関する。 【0044】 また、本発明の主題は、有効量の少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスの、組成物における活性成分としての使用であって、エキスまたは組成物が皮膚および/または粘膜の痒み、および/または知覚不全、および/または炎症感、および/または紅斑、および/またはヘルペス、および/または皮膚刺激に抗する、および/または予防することを意図したものにある。 【0045】 バラ科は27属からなり、例えばキンミズヒキ(Agrimonia)属、アーモンド(Amygdalus)属、アプリコット(Armeniaca)属、セラサス(Cerasus)属、リンゴ(Malus)属、メスピラス(Mespilus)属、ペルシカ(Persica)属、ピルス(Pirus)属、ヤマザクラ(Prunus)属、バラ(Rosa)属、キイチゴ(Rubus)属を挙げることができる。 よって、本発明のバラ族エキスは、キンミズヒキ属、アーモンド属、アプリコット属、セラサス属、リンゴ属、メスピラス属、ペルシカ属、ピルス属、ヤマザクラ属、バラ属、キイチゴ属から選択される属に属する少なくとも1つの植物由来の材料から調製されるエキスである。 本発明において好ましくは、植物はバラ属に属する。 【0046】 バラ属は、さらに1000以上の種からなるものであり、バラ属アルバ種(Rosa alba)、バラ属アルピナ種(Rosa alpina)、バラ属カニーナ種(Rosa canina)、バラ属シンナモネア種(Rosa cinnamonea)、バラ属ガリカ種(Rosa gallica)、バラ属レペンス種(Rosa repens)、バラ属ルブリフォリア種(Rosa rubrifolia)、バラ属ルビギノーサ種(Rosa rubiginosa)、バラ属セムペルヴィレンス種(Rosa sempervirens)、バラ属スピノシシーマ種(Rosa spinosissima)、バラ属スティローサ(Rosa stylosa)、バラ属トメントーサ種(Rosa tomentosa)またはバラ属ヴィローサ種(Rosa villosa)を挙げることができる。 よって、本発明のバラ属の植物エキスは、バラ属アルバ種、バラ属アルピナ種、バラ属カニーナ、バラ属シンナモネア種、バラ属ガリカ種、バラ属レペンス種、バラ属ルブリフォリア種、バラ属ルビギノーサ種、バラ属セムペルヴィレンス種、バラ属スピノシシーマ、バラ属スティローサ、バラ属トメントーサ種、バラ属ヴィローサ種から選択される種に属する少なくとも1つの植物由来の材料から調製されたエキスである。 本発明において好ましくは、植物はバラ属ガリカ種に属する。 【0047】 もちろん本発明において、組成物に使用される少なくとも1つのバラ科植物のエキスの量は所望する効果に依存し、よって、広範囲で変わり得る。 本発明における目安を述べると、エキスは、組成物の全重量に対して0.01%~30%、好ましくは0.1%~20%の量で使用することができる。 【0048】 何が刺激性の皮膚であるかについてはこの明細書の最初に示している。皮膚の刺激は多くの原因を有する。これらは正常な皮膚に至る生理学的メガニズムの調節低下に関連した、内因性の原因によるものである。しかし、それらは外因性の原因、例えば皮膚と接触するおそれのある刺激性の化合物でもあり得る。 【0049】 よって、本発明の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスを含有してなる化粧品用組成物を、皮膚、髪および/または粘膜への適用に使用することを特徴とする、皮膚刺激を低減させる美容処理方法にもある。 化粧品的に許容可能な媒体とは、皮膚、頭皮、粘膜、爪および髪と融和性のあるものを意味するものと理解される。 【0050】 本発明の美容処理方法は、特に、上述した衛生用または化粧品用組成物を使用する通常の技術で、該組成物を適用することにより実施するものである。例えば:クリーム、ゲル、漿液、ローション、メークアップ除去用ミルクまたは抗日光用組成物の皮膚もしくは乾燥した髪への応用、濡れた髪用のヘアローションまたはシャンプーへの応用、もしくはガムへの歯磨き剤の応用である。 【0051】 有利には、本発明において少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスは、化粧品または製薬の分野で一般的に使用されている刺激作用を有する生成物、しばしば、化粧品用または製薬用活性剤である生成物と組合せることができる。刺激作用を有する生成物を含有する化粧品用または製薬用組成物中に、少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスの形態のサブスタンスPアンタゴニストが存在することにより、刺激作用を大きく低減させるか、または抑制することさえ可能になる。 これにより、有効性を高めるために、通常使用される活性成分の量に対する刺激作用を有する活性成分の量を増加させることもできる。 【0052】 特に、本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスと少なくとも1つの刺激作用を有する生成物を含有することを特徴とする組成物に関する。 生理学的に許容可能な媒体とは、皮膚、頭皮、粘膜、爪および髪と融和性のあるものを意味するものと理解される。 本発明のこの実施態様において、少なくとも1つのバラ科植物のエキスは、この明細書で既に記載したエキスのことである。 【0053】 刺激作用を有する生成物としては、例えば、界面活性剤(イオン性または非イオン性)、防腐剤、有機溶媒、または活性剤、例えばα-ヒドロキシ酸(クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、酒石酸、マンデル酸または乳酸)、β-ヒドロキシ酸(サリチル酸およびその誘導体)、α-ケト酸、β-ケト酸、レチノイド(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アントラリン[ジオキシアントラノール(dioxyanthranol)]、アントラノイド、過酸化物(特に、過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩、代謝拮抗物質、ビタミンDおよびその誘導体、髪用染料または着色剤(パラ-フェニレンジアミンおよびその誘導体、アミノフェノール)、芳香を有するアルコール溶液(香料、化粧水、アフターシェービング、脱臭剤)、制汗剤(ある種のアルミニウム塩)、除毛剤、またはパーマネントウエーブ用活性剤(チオール)、色素脱失活性剤(ヒドロキノン)を挙げることができる。 【0054】 サブスタンスPアンタゴニストの使用により、特に、上述したような不快感を全く感じさせることなく、従来のものに比べて、刺激作用のある活性成分の量を2ないし10倍にすることが可能になった。したがって、例えば、それらの刺激性をかなり低減させながら、ヒドロキシ酸は組成物の重量の50%まで、レチノイド類は5%まで使用することができる。 【0055】 さらに不耐性の多くの現象が皮膚レベルで存在するが、これらの徴候は、特に、本質的に知覚不全という主観的な症候である。知覚不全とは、皮膚領域における、多かれ少なかれ痛みを伴う感覚、例えば、チクチクする痛み、蟻走感、痒みまたはむずむずするような痒み、火傷感、炎症感、不快感、刺すような痛み等を意味するものと理解される。 これらの現象は、最も一般的には刺激または炎症とされる、多様な事象の結果として生じるものであるが、敏感肌等の生理学的原因によるもの、またはアレルギー等の病理学的原因によるものすらある。 【0056】 しかしながら、敏感肌では、種々の要因、例えば、環境、感情または食物に反応し、炎症感、刺すような痛み、蟻走感および/またはできものが生じ得る。一般的にこれらの症候は、ヘルペスのあるなしにかかわらず、過漏脂症(hyperseborrhoeic)の皮膚もしくはざ瘡のある皮膚に関連している。またこれらの症候は、多くの場合、紅斑に関連している。 これらの現象は、体の全体で起こり得るが、最も多くは、明確に決まった場所、例えば頭皮、顔、皮膚のヒダ等で生じ得る。 これらの不耐性現象の範囲は、常に、通常の炎症プロセス、特に、皮膚の神経線維を含む故に、神経性タイプの炎症反応に関連している。 【0057】 アレルギー性皮膚とは、アレルギー反応を引き起こす外的要因であるアレルゲンに反応する皮膚である。それは、アレルゲンが存在する場合にのみ生じ、敏感化したヒトにのみ影響を及ぼす特異的な免疫学的プロセスである。他方、アレルギー反応の最終生成物は、一般的に浮腫に関連した急性炎症反応にもなる。 【0058】 考慮される現象にかかわらず、炎症反応に帰するこれら全てのメカニズムに共通した特徴があり、最終の様相は皮膚のマスト細胞による、少なくとも1つの炎症媒介物、例えばヒスタミン、セロトニン、ヘパリン、ロイコトリエン、プロスタグランジン、サイトカイン、窒素、一酸化物または反応性酸素含有種の放出により測定することができる。 【0059】 あるケース、例えば敏感肌においては、全てのメカニズムが、ニューロペプチド、特にサブスタンスPおよびカルシトニンから誘導されるペプチド(カルシトニン遺伝子関連ペプチド:Calcitonin Gene Related Peptide、すなわちCGRPの名称で公知のもの)を放出する感覚神経(sensitive nerve)末端のコントロール下にある。 【0060】 本発明の目的は、これら全ての皮膚病の治療における最も広範囲の可能な有益な効果を得ることであり、よって、これらの病気のいくつかの構成要素に作用する組成物を提案することにある。 よって、他の側面において、本発明の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキス、および少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減する少なくとも1つの化合物とを含有せしめてなることを特徴とする組成物にある。 好ましくは、少なくとも1つのバラ科植物のエキスは、この明細書中に既に記載されたエキスである。 【0061】 少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減させる化合物は、好ましくは、サブスタンスPおよび/またはCGRPアンタゴニスト、NO-シンターゼインヒビター、ブラジキニンアンタゴニスト、サイトカインのアンタゴニスト、ヒスタミンアンタゴニスト、α型の腫瘍壊死因子(TNF-α)のアンタゴニストから選択される。 好ましくは、レセプターアンタゴニストが使用される。 例えば、本発明において、ペプチド、非ペプチド化合物、例えば微生物性、特に細菌性エキス、植物エキス、温泉水、一価、二価および三価のカチオンの塩、ベンゼン環を少なくとも1つを有する窒素含有化合物、複素環を少なくとも1つを含有する化合物から選択される一または複数のサブスタンスPアンタゴニストを使用することができる。 【0062】 例えば、センダイド(sendide)およびスパンタイドII(spantide II)が、本発明において、サブスタンスPに拮抗するペプチドとして使用可能である。 【0063】 センダイドは、次の式: Tyr-D-Phe Phe D-His Leu Met NH2 に相当するものであり、上式中、 Tyrはチロシンを表し、 D-PheはD-フェニルアラニンを表し、 Pheはフェニルアラニンを表し、 D-HisはD-ヒスチジンを表し、 Leuはロイシンを表し、 Metはメチオニンを表す。 【0064】 スパンタイドIIは、次の式: D-NicLys Pro 3-Pal Pro D-Cl2Phe Asn D-Trp Phe D-Trp Leu Nle NH2 に相当するものであり、上式中、 D-NicLysはD-リジン-ニコチナートを表し、 Proはプロリンを表し、 3-Palは3-ピリジル-アラニンを表し、 D-Cl2PheはD-ジクロロフェニルアラニンを表し、 Asnはアスパラギンを表し、 D-TrpはD-トリプトファンを表し、 Pheはフェニルアラニンを表し、 Leuはロイシンを表し、 Nleはノルロイシンを表す。 【0065】 また、米国特許第4472305号、米国特許第4839465号、欧州特許公開第101929号、欧州特許公開第333174号、欧州特許公開第336230号、欧州特許公開第394989号、欧州特許公開第443132号、欧州特許公開第498069号、欧州特許公開第515681号、欧州特許公開第517589号、国際特許公開第92/22569号および英国特許公開第2216529号公報に記載されているペプチド類をサブスタンスPに拮抗するペプチドとして、本発明で使用することができる。 【0066】 本発明で使用可能な非ペプチドのサブスタンスPアンタゴニストは、特に、複素環に含有されるか、またはベンゼン環に直接または間接的に結合しているヘテロ原子を含む化合物である。特に、このヘテロ原子は、酸素、窒素または硫黄原子である。 【0067】 複素環化合物としては、次の公報:欧州特許公開第360390号、欧州特許公開第429366号、欧州特許公開第430771号、欧州特許公開第499313号、欧州特許公開第514273号、欧州特許公開第514274号、欧州特許公開第514275号、欧州特許公開第514276号、欧州特許公開第520555号、欧州特許公開第528495号、欧州特許公開第532456号、欧州特許公開第545478号、欧州特許公開第558156号、国際特許公開第90/05525号、国際特許公開第90/05729号、国際特許公開第91/18878号、国際特許公開第91/18899号、国際特許公開第92/12151号、国際特許公開第92/15585号、国際特許公開第92/17449号、国際特許公開第92/20676号、国際特許公開第93/00330号、国際特許公開第93/00331号、国際特許公開第93/01159号、国際特許公開第93/01169号、国際特許公開第93/01170号、国際特許公開第93/06099号、国際特許公開第93/09116号に記載されているものを、本発明で特に使用することができる。 【0068】 特に、少なくとも1つの窒素含有複素環を含有する化合物としては、2-トリシクリル(tricyclyl)-2-アミノエタン誘導体、スピロラクタム(spirolactam)誘導体、キヌクリジン誘導体、アザサイクリック(azacyclic)誘導体、アミノピロリジン誘導体、ピペリジン誘導体、アミノアザ複素環(aminoazaheterocycle)またはイソインドール誘導体が挙げられる。 【0069】 他の複素環化合物としては、酸素含有または硫黄含有複素環化合物、例えば、米国特許第4931459号、米国特許第4910317号および欧州特許公開第299457号公報に記載されている複素環化合物のような、窒素含有置換基を有していてもよい、ベンゾチオフェン誘導体およびチオフェン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フラン誘導体、特に、アルコキシ-および/またはアリールオキシ-テトラゾリル-ベンゾフラン-カルボキシアミド、またはアルコキシ-および/またはアリールオキシ-テトラゾリル-ベンゾチオフェン-カルボキシアミドを挙げることができる。 【0070】 ベンゼン環に直接または間接的に結合している窒素原子を含有する化合物としては、次の公報:欧州特許公開第522808号および国際特許公開第93/01165号および国際特許公開第93/10073号に記載されてるものを挙げることができる。 【0071】 本発明で使用可能なカチオンの塩は、特に、ストロンチウム、マグネシウム、原子番号が57~71のランタニド、コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、イットリウム、銅、スズ、ルビジウム、リチウムおよび亜鉛の塩である。 これらの塩は、例えば、炭酸塩、サリチル酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、グリセロリン酸塩、ホウ酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、過硫酸塩、並びにα-ヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸)または果実酸(fruit acids)の塩、またはアミノ酸塩[アスパラギン酸塩、アルギニン酸塩、グリココール酸塩(glycocholates)、フマル酸塩]、または脂肪酸塩[パルミチン酸塩、オレイン酸塩、カゼイン酸塩(caseinate)、ベヘン酸塩]である。好ましくは、塩は、ストロンチウム、マンガン、イットリウムまたはマグネシウムの硝酸塩、ストロンチウム、マンガン、イットリウムまたはマグネシウムのホウ酸塩、ストロンチウム、マンガンまたはマグネシウムの塩化物、マグネシウム、マンガンまたはストロンチウムの硫酸塩から選択される。さらに好ましくは、これらの塩は、ストロンチウムの塩化物または硝酸塩である。 【0072】 本発明で使用可能な温泉水としては、特に、ビシー・ベイズン(Vichy bassin)の温泉水、例えばセレスタン(Celestins)、コメル(Chomel)、グランド-グリュ(Grande-Grille)、オピタル(Hopital)、ルカ(Lucas)およびパルク(Parc)源泉から得られたものを挙げることができる。好ましくは、本発明では、ルカ温泉からの水が用いられる。 【0073】 本発明で使用可能な植物エキスとしては、特に、アヤメ族の植物から調製されるエキス、例えば欧州特許公開第0765668号に記載されているものを挙げることができる。 【0074】 本発明で使用可能な微生物エキスとしては、特に、非光合成線維状細菌から調製されるエキス、例えば欧州特許公開第0761204号に記載されているものを挙げることができる。 【0075】 サブスタンスPアンタゴニストは単独で、または混合物の形態で使用することができる。 【0076】 CGRPアンタゴニストとは、CGRPの生物学的影響を完全にまたは部分的に阻害可能な任意の化合物を意味するものと理解される。 特に、ある物質がCGRPアンタゴニストであると認められるには、次のテスト: +拮抗物質は、(求心性神経に適用される)逆行性の電気的刺激および/またはカプサイシンにより誘発される血管拡張を低減させなければならない、および/または、 +拮抗物質は、感覚神経線維によるCGRP放出阻害の要因とならなければならない、および/または、 +拮抗物質は、CGRPにより誘発される輸精管平滑筋の収縮阻害を低減しなければならない、 の一つに対して干渉性の薬理学的応答(CGRPレセプターに対する結合等を含む)を起こさなければならない。 【0077】 公知のCGRPアンタゴニストとしては、例えば、CGRP8-37(CGRPのN-末端部の8~37のアミノ酸配列)、または抗-CGRP抗体を挙げることができる。 また、アヤメ科の植物から調製された植物エキス、例えば欧州特許公開第0765668号に記載されているものを挙げることもできる。 CGRPアンタゴニストは単独で、または混合物の形態で使用することができる。 【0078】 NO-シンターゼという用語は、実際には、L-アルギニンからシトルリンへの酵素触媒作用を特異的に引き起こす酵素ファミリーをカバーするものであり、その触媒作用では多くの機能を有するガス状媒介物である一酸化窒素すなわちNOを生成する。一酸化窒素はその構造により付加的な電子を有しており、極めて高い化学反応性を示し得る。このような化合物が有害であることはよく知られた事実であり、可能な限り、それらの生成を制限する努力がなされている。その結果、一酸化窒素の場合では、NO-シンターゼインヒビターが幅広く研究されている。 【0079】 よって、本発明において、NO-シンターゼインヒビターとは、ヒトにおいてインシトゥで、一酸化窒素(NO)の合成を部分的または完全に阻害することが可能な生成物である。 これらは、NO-シンターゼにより変換されるシグナルを低減させる役割を担う化合物、NO-シンターゼを中和する化合物、またはNO-シンターゼの異化作用を促進するおよび/または合成を阻害する化合物から選択される化合物である。 したがって、NO-シンターゼインヒビターは、変性していてもよい合成または天然のペプチド、合成または天然の化学分子、アンチセンス核酸、リボザイム、抗NO-シンターゼ抗体から選択することができる。 【0080】 これらNO-シンターゼインヒビターとしては、特にNG-モノメチル-L-アルギニン(L-NMMA)、NG-ニトロ-L-アルギニン、NG-ニトロ-L-アルギニンのメチル化エステル、ジフェニレンヨードニウム-クロリド、7-ニトロインダゾール、N(5)-(1-イミノエチル)-L-オルニチン、NG,NG-ジメチル-L-アルギニン、NG,NG-ジメチルアルギニン、2-(4-カルボキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシ-3-オキシド、アミノグアニジン、カナバニン、エブセレン(ebselen)およびα型のメラノサイト刺激ホルモンを挙げることができる。 NO-シンターゼインヒビターの中でも、NG-モノメチル-L-アルギニンとα型のメラノサイト刺激ホルモンが好ましく使用される。NO-シンターゼインヒビターは、単独でまたは混合物の形態で使用することができる。 【0081】 ブラジキニンは、カリクレイン(EC 3.4.21.24)と称されるプラズマプロテアーゼによってキニノーゲン先駆物質から放出されるプラズマ由来のペプチドである。このナノペプチド(nanopeptide)は炎症の重要な媒介物の一つであり、細胞分裂促進特性を有する。このキニンレセプターは、2つの主要なサブタイプB1とB2に分類することができる。ブラキジニンは、特にB2レセプターに作用し、ケラチン細胞を含む細胞の細胞内貯蔵部位からのカルシウムの放出の原因として知られている、イノシトール三リン酸(ip3)を含む、多くの第2メッセンジャー生成系を刺激する。また、ブラジキニンは、アラキドン酸の代謝の活性化、細胞膜の過分極または脱分極、並びにB2レセプターの活性化を通してチロシン残基のリン酸化を誘発する。 【0082】 ブラジキニンアンタゴニストとは、ブラジキニンの生物学的影響を完全にまたは部分的に阻害しうる任意の化合物を意味するものと理解される。 特に、ある物質がブラジキニンアンタゴニストであると認められるには、それがブラジキニンレセプターに対する結合等を含む、コヒーレントな薬理学的応答を誘発するものでなくてはならない。 よって、この定義に入るものは、レセプター(B1またはB2)へ結合することでブラジキニンの効果を妨害する任意の化合物、および/またはレセプターへの結合とは独立して、ブラジキニンについて知られている効果とは逆の効果を任意の機序により誘発する(例えば、ブラジキニンの合成を妨害する)任意の化合物である。 【0083】 ブラジキニンアンタゴニストとしては、ブラジキニンの異化作用の促進および/または合成を阻害する化合物、ブラジキニンレセプターをブロックする化合物、例えばレセプター(B1またはB2)へ結合することでブラジキニンの効果を妨害するもの、ブラジキニンに対するレセプターの合成を阻害する化合物、またはブラジキニンにより変換されるシグナルを低減させる役割を担う化合物が好ましく使用される。これらの化合物は天然または合成由来のものであってよい。 【0084】 ブラジキニンアンタゴニストとしては、任意に変性した合成または天然ペプチド、例えばD-Arg,[Hyp3,D-Phe7]-ブラジキニン(NPC567)、[Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、D-Arg,[Hyp3,Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、N-α-アダマンタンアセチル-D-Arg,[Hyp3,Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、des-Arg9,[Leu8]-ブラジキニン[全てシグマ社(Sigma)から販売]、または国際特許第95/08566号、国際特許第95/07294号、欧州特許第0623350号、欧州特許第0622361号、国際特許第94/11021号、欧州特許第0596406号、国際特許第94/06453号、国際特許第94/09001号、欧州特許第0578521号、欧州特許第0564972号、欧州特許第0552106号、国際特許第93/11789号、米国特許第5216165号、米国特許第5212182号、国際特許第92/17201号、欧州特許第0496369号、欧州特許第0472220号、欧州特許第0455133号、国際特許第91/09055号、国際特許第91/02746号、欧州特許第0413277号、欧州特許第0370453号、欧州特許第0359310号、国際特許第90/03980号、国際特許第89/09231号、国際特許第89/09230号、国際特許第89/01780号、欧州特許第0334244号、欧州特許第0596406号、国際特許第86/07263号に記載されている化合物、またはP-グアニドベンゾイル,[Hyp3,Thi5,D-Tic7,Oic8]-ブラジキニン(S16118)[フェレトー・エム(Feletou M)ら、Pharmacol.Exp.Ther.、1995年6月、第273巻、1078-84頁]、D-Arg,[Hyp3,Thi5,D-Tic7,Oic8]-ブラジキニン(HOE140)[フェレトー・エムら、Eur.J.Pharmacol、1995年、第274巻、57-64頁]、D-Arg-[Hyp3,D-Hype(トランス-プロピル)7,Oic8]-ブラジキニン(NPC17731)[ヘルツィッヒ・エム・シー・エス(Herzig M.C.S.)およびリーブ-ルンドベルグ・エル・エム・エフ(Leeb-Lundberg L.M.F.)、J.Biol.Chem.、1995年、第270巻、20591-20598頁]、または「ブラジキニンアンタゴニスト:開発と応用(Bradykinin Antagonists:development and applications)」[スチュワート・ジェイ・エム(Stewart J.M.)、バイオポリマー、1995年、第37巻、143-155頁]に記載されたもの、または天然または合成の化学ポリマー、例えばサルビノ(Salvino)らにより、J.Med.Chem.、1993年、第36巻、2583-2584頁に記載されているものを挙げることができる。 【0085】 また、本発明においては、ブラジキニンの合成を選択的に阻害する役割を有するリボザイムまたはアンチセンス核酸を使用することもできる。これらアンチセンス核酸は当業者に公知である。これらは、特にメッセンジャーRNAの成熟を防止し、または核から細胞質へのメッセンジャーRNAの移送を防止し、またはRNアーゼHでメッセンジャーRANを開裂させ、またはメッセンジャーRNAに沿ったリボザイムの進行または結合をブロックすることにより、種々の方法でブラジキニンをコードするメッセンジャーRNAまたはDNAに作用する。 【0086】 さらに、本発明においては、抗ブラジキニン抗体またはブラジキニンに対する可溶性レセプター、抗ブラジキニンレセプタ-抗体またはブラジキニンレセプターのアンタゴニストを使用することもできる。 【0087】 本発明において、好ましくは、レセプター(B1またはB2)、好ましくはB2レセプターに結合することでブラジキニンの効果を妨害する化合物が使用される。 さらに好ましくは、 D-Arg,[Hyp3,D-Phe7]-ブラジキニン(NPC567)、 [Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、D-Arg,[Hyp3,Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、 N-α-アダマンタンアセチル-D-Arg,[Hyp3,Thi5,8,D-Phe7]-ブラジキニン、 des-Arg9,[Leu8]-ブラジキニン、 P-グアニドベンゾイル,[Hyp3,Thi5,D-Tic7,Oic8]-ブラジキニン(S16118) D-Arg,[Hyp3,Thi5,D-Tic7,Oic8]-ブラジキニン(HOE140)、 D-Arg,[Hyp3,D-Hype(トランス-プロピル)7,Oic8]-ブラジキニン(NPC17731)、 から選択されるブラジキニンアンタゴニストが本発明で使用される。 【0088】 本発明で好ましく使用される変性したペプチドは、D-Arg,[Hyp3,Thi5,D-Tic7,Oic8]-ブラジキニン(HOE140)である。 ブラジキニンアンタゴニストは、単独でまたは混合物の形態で使用することができる。 【0089】 さらに、サブスタンスPは、敏感な表皮末端より放出されたサブスタンスPは、カスケード的に生化学事象を誘発し、その第1工程はマスト細胞レベルに位置する。サブスタンスPがマスト細胞レセプターへ結合することにより、多くの炎症誘発性媒介物、例えばヒスタミン、サイトカイン、例えばインターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)およびα型腫瘍壊死因子[腫瘍壊死因子α(TNF-α)]の放出が誘発される。 ヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αのアンタゴニストとは、ヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αそれぞれの、レセプターへの結合および/または合成および/または放出を阻害可能な任意の物質を意味するものと理解される。 【0090】 ヒスタミンのレセプター結合を阻害するアンタゴニストは、1型のヒスタミンに対するレセプター(H1)に特異的な薬剤である。 【0091】 ある物質がヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αのレセプターアンタゴニストであると認められるには、次の特徴の一つに相当するものでなくてはならない: -これらの化合物に対して特異的なレセプターへの親和性を有する; -ヒスタミン、サイトカインおよび/またはTNF-αのレセプターアンタゴニストの薬理学的活性を有する、すなわち次のテスト: +ヒスタミンのレセプターアンタゴニストに対しては:ヒスタミンの投与により誘発される平滑筋の収縮を阻害; +サイトカインのレセプターアンタゴニストに対しては:好中球上のサイトカインにより誘発されるスーパーオキシドアニオンの放出を阻害、または内皮細胞においてサイトカインにより誘発されるマクロファージの付着を阻害; +TNF-αのレセプターアンタゴニストに対しては:真皮の線維芽細胞においてTNF-αの細胞分裂活性を阻害、または好中球においてTNF-αにより誘発されるスーパーオキシドアニオンの放出を阻害、または内皮細胞においてTNF-αにより誘発されるマクロファージの付着を阻害; の一つに対してコヒーレントな薬理学的応答を誘発する。 【0092】 ある物質がヒスタミン、サイトカインまたはTNF-αの合成および/または放出のアンタゴニストと認められるには、次の特徴の一つに相当するものでなくてはならない: -カルシウムイオノホア(A23 187)で刺激されるか、または化合物40/80で刺激されるマスト細胞によるヒスタミンの放出を阻害する。 -ホルボールエステル(PMA)で分化した単球(U937細胞)による、サイトカインまたはTNF-αの放出を阻害する。 【0093】 本発明で使用可能なヒスタミン・H1のレセプターアンタゴニストは、アレルギーおよびアナフィラキシー症状を治療するために従来より使用されているもの、並びに乗物酔いに抗するためのものである。これらの化合物は、例えばジエチレンジアミン誘導体、例えばシンナリジンまたはシクリジン;アミノプロパン誘導体、例えばデキスクロロフェニラミン(dexchloropheniramine)、トリポリジン(tripolidine);フェノチアジン誘導体、例えばプロメタジン、アリメマジン、並びにジョセフ・アール・プラウス(Joseph R.Prous)の年間薬剤ニュース(The Year’s Drug News)、治療目的(Therapeutic Targets)の1994年度版(プラウス・サイエンス社より出版)の116-118頁に記載されている化合物、例えばセチリジン(cetirizine)-HCl、エバスチン(ebastine)、ロラタジン(loratadine)、セタスチン(setastine)-HClである。 【0094】 ヒスタミンインヒビターは、特に、酸素含有または硫黄含有複素環化合物、例えば窒素を含有する置換基を有していてもよい、ベンゾチオフェン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フラン誘導体、例えば、米国特許第4931459号、米国特許第4910317号および欧州特許公開第299457号公報に記載されているもの、特に、アルコキシ-および/またはアリールオキシ-テトラゾール-イル-ベンゾフラン-カルボキシアミド、またはアルコキシ-および/またはアリールオキシ-テトラゾール-イル-ベンゾチオフェン-カルボキシアミドを挙げることができる。具体例としては、5-メトキシ-3-フェノキシ-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミド、5-メトキシ-3-(1-メチルエトキシ)-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミド、6-メトキシ-3-(1-メチルエトキシ)-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミド、5-メトキシ-3-(1-メチルエチル)-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミド、3-ベンジルオキシ-5-メトキシ-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミド、および5-メトキシ-3-フェノキシ-N-1H-テトラゾール-5-イル-ベンゾチオフェン-2-カルボキシアミドを挙げることができる。 【0095】 サイトカインアンタゴニストとしては、例えば、アウラノフィン(auranofin)またはSKF-105809またはトリペプチドLys-Pro-Valであってよい、本発明で使用可能なインターロイキン-1の放出のアンタゴニスト、もしくはラクトフェリンであってよい、インターロイキン-1の合成のアンタゴニストを挙げることができる。 【0096】 本発明で使用可能なTNF-αの合成および/または放出の阻害剤、およびTNF-αのレセプターアンタゴニストは、特に、リソフィリン(lisophyline)、A802715、スルファサラジンである。 【0097】 ヒスタミン、サイトカインおよびTNF-αのアンタゴニストは合成されてもよく、または天然に生じる物質(植物または動物)から抽出してもよい。 本発明で使用可能なヒスタミン、サイトカインおよびTNF-αのアンタゴニストは、別個にまたは組合せて、単独もしくは混合物の形態で使用することもできる。 【0098】 もちろん、本発明の組成物中に含有される、少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減する化合物の量は、所望する効果に依存し、よって、広範囲で変わりうる。 目安を述べると、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して0.001%~10%、好ましくは0.01%~5%の量で、少なくとも1つの炎症媒介物の合成、放出および/または活性を低減する化合物を含有する。 【0099】 本発明の組成物の形態にかかわらず、使用されるバラ族エキスは、この明細書で既に記載されたエキスである。 【0100】 もちろん本発明の組成物は化粧品用または製薬用に使用される組成物である。好ましくは、本発明の組成物は化粧品用に使用される組成物である。 【0101】 少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスが使用される本発明の組成物の形態にかかわらず、エキスは摂取、注射、または皮膚(ボディの任意の皮膚領域)、髪、爪、または粘膜(頬、頬骨、歯肉、生殖器、結膜)へ塗布することができる。投与方法により、本発明の組成物は、通常使用される任意のガレノス形態(galenic forms)で提供される。 【0102】 皮膚への局所適用用として、組成物は、特に、水性または油性溶液、またはローションまたは漿液型の分散液、水相に油相を分散させる(O/W)、または逆(W/O)によって得られるミルク型の液状または半液体状のコンシステンシーのエマルション、または水性もしくは無水クリームもしくはゲル型の希薄なコンシステンシーのエマルションもしくは懸濁液、またはマイクロカプセル、または微小粒子、またはイオン性および/または非イオン性の小胞分散液の形態とすることができる。これらの組成物は、常法によって調製される。 またそれらは、水性、アルコールまたは水性-アルコール溶液の形態、またはクリーム、ゲル、エマルション、フォームの形態、または加圧された噴霧剤をさらに含有するエアゾール組成物の形態で、髪に使用することもできる。 【0103】 注射用として、組成物は水性または油性ローションの形態、もしくは漿液の形態で提供することができる。眼用には、点眼剤の形態で、摂取用にはカプセル、顆粒、シロップ、または錠剤の形態で提供することができる。 【0104】 本発明の組成物の種々の成分の量は、考慮される範囲において従来より使用されている量である。 【0105】 これらの組成物は、特に、顔、手、脚、大きな解剖学上の皮膚のヒダまたはボディ用の、クレンジング、保護、トリートメントまたは手入れ用クリーム(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、メークアップ除去用クリーム、クリームファンデーション、抗日光用クリーム)、液状ファンデーション、メークアップ除去用ミルク、保護または手入れ用のボディミルク、抗日光用ミルク、皮膚の手入れ用のローション、ゲル、またはフォーム、例えば、クレンジングローション、抗日光用ローション、または人工的日焼け用ローション、入浴用組成物、殺菌剤を含有する脱臭用組成物、アフターシェービング用ゲルまたはローション、除毛用クリーム、虫さされ防止用組成物、鎮痛(antipain)用組成物、またはある種の皮膚病、例えば湿疹、しゅさ、乾癬、苔蘚、激しい痒みを治療する組成物を構成する。 また、本発明の組成物は、クレンジングケーキまたは石鹸を構成する固体状の調製物からなることもできる。 さらに、組成物は、加圧された噴霧剤をさらに含有するエアゾール組成物の形態に包装することもできる。 【0106】 またさらに、本発明の組成物は、ヘアケア用組成物、特に、シャンプー、ヘアセット用ローション、トリートメントローション、ヘアースタイリングゲルまたはクリーム、カラーリングシャンプーの形態であってもよい染色用組成物(特に、酸化染料)、髪の再生用ローション、パーマネントウエーブ用組成物(特に、パーマネントウエーブ処理の第1工程用の組成物)、抜け毛防止用ローションまたはゲル、駆虫用シャンプー等であってもよい。 【0107】 また、組成物は、歯科頬(dentibuccal)用、例えば練り歯磨きであってもよい。この場合、組成物は、歯科頬用に使用される組成物の通常のアジュバントおよび添加剤、特に、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、研磨剤、例えばシリカ、種々の活性成分、例えばフッ化物、特にフッ化ナトリウム、および任意の甘味料、例えば糖酸ナトリウム(sodium saccharinate)を含有してもよい。 【0108】 組成物がエマルションである場合、脂肪相の割合は、組成物の全重量に対して5重量%~80重量%、好ましくは5重量%~50重量%である。エマルションの形態の組成物に使用される油、ロウ、乳化剤および共乳化剤(coemulsifiers)は、従来より化粧品の分野で使用されているものから選択される。 乳化剤と共乳化剤は、組成物の全重量に対して0.3重量%~30重量%、好ましくは0.5~20重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。エマルションは、さらに、脂質小胞体を含有してもよい。 【0109】 本組成物が、油性ゲルまたは溶液の場合、脂肪相は組成物の全重量に対して90重量%より多くすることができる。 【0110】 また、知られている方法で、化粧品用組成物は、化粧品の分野で通常のアジュバント、例えば、親水性または親油性のゲル化剤、親水性または親油性の添加剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、フィラー、スクリーン剤、臭気吸収剤および着色物質を含有してもよい。これら種々のアジュバントの量は、化粧品の分野において従来より使用されている量、例えば、組成物の全重量に対して0.01重量%~10重量%である。これらのアジュバントは、その性質により、脂肪相、水相および/または脂質小球体中に取り込まれる。 【0111】 本発明で使用可能な油またはロウとしては、鉱物性油(ワセリン)、植物性油(シェアバターの液状留分、ヒマワリ油)、動物性油(ペルヒドロスクワレン)、合成油(プルセリン油:purcellin oil)、シリコーン油またはロウ(シクロメチコーン)およびフッ化油(ペルフルオロポリエーテル)、ミツロウ、カルナウバロウまたはパラフィンを挙げることができる。また、脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)をこれらの油に加えることもできる。 【0112】 本発明で使用可能な乳化剤としては、例えば、ステアリン酸グリセリル、ポリソルベイト(polysorbate)60、およびガッテフォセ(Gattefosse)社からテフォース(Tefose)63(登録商標)の名称で販売されているPEG-6/PEG-32/ステアリン酸グリコールの混合物を挙げることができる。 【0113】 本発明で使用可能な溶媒としては、低級アルコール、特に、エタノールおよびイソプロパノール、およびプロピレングリコールを挙げることができる。 【0114】 本発明で使用可能な親水性のゲル化剤としては、カルボキシビニルポリマー(カーボマー:carbomer)、アクリルコポリマー、例えば、アクリレート/アルキルアクリレートのコポリマー、ポリアクリルアミド、多糖類、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、天然に生じるガムおよびクレー類を挙げることができ、また、親油性のゲル化剤としては、変性クレー類、例えば、ベントーン、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸アルミニウムおよび疎水性シリカ、エチルセルロース、ポリエチレンを挙げることができる。 【0115】 本組成物は、他の親水性の活性剤、例えば、タンパク質またはタンパク質の加水分解物、アミノ酸、多価アルコール、尿素、アラントイン、糖類および糖類誘導体、水溶性ビタミン類、植物エキス、およびヒドロキシ酸を含有してもよい。 【0116】 親油性の活性剤としては、レチノール(ビタミンA)およびその誘導体、トコフェロール(ビタミンE)およびその誘導体、必須脂肪酸、セラミド、精油、サリチル酸およびその誘導体を使用することができる。 【0117】 本発明の組成物では、少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つのエキスと、特に皮膚病の治療および/または予防を意図した他の活性剤とを組合せることが可能である。これらの活性剤としては、例えば: - 皮膚の分化および/または増殖および/または色素沈着を調節する薬剤、例えば、レチノイン酸およびその異性体、レチノールおよびそのエステル類、ビタミンDおよびその誘導体、エストロゲン、例えばエストラジオール、コウジ酸またはヒドロキノン; - 抗菌剤、例えばリン酸クリンダマイシン、エリスロマイシンまたはテトラサイクリンクラスの抗生物質; - 駆虫剤、特にメトロニダゾール、クロタミトンまたはピレスリノイド(pyrethrinoids); - 抗真菌剤、特に、イミダゾールクラスに属する化合物、例えばエコナゾール、ケトコナゾールまたはミコナゾールまたはその塩類、ポリエン化合物、例えば、アンホテリシンB、アリルアミン群の化合物、例えばテルビナフィン、またはオクトピロックス(octopirox); - 抗ウィルス剤、例えば、アシクロビル; - ステロイド系の抗炎症剤、例えばヒドロコルチゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、または非ステロイド系の抗炎症剤、例えば、イブプロフェンおよびその塩類、ジクロフェナクおよびその塩類、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、またはグリシルレチン酸; - 麻酔剤、例えば塩酸リドカインおよびその誘導体; - 止痒剤、例えばテナルジン、トリメプラジンまたはシプロヘプタジン; - 角質溶解剤、例えば、α-およびβ-ヒドロキシカルボン酸、またはβ-ケトカルボン酸、それらの塩類、アミド類またはエステル類、特にヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸および一般に果実酸、および5-n-オクタニルサリチル酸; - 抗フリーラジカル剤、例えばα-トコフェロールまたはそのエステル類、スーパーオキシド-ジスムターゼ、ある種の金属キレート剤、またはアスコルビン酸およびそのエステル類; - 抗脂漏剤、例えばプロゲステロン; - 抗フケ剤、例えばオクトピロックスまたはジンクピリチオン; - 抗ざ瘡剤、例えばレチノイン酸、または過酸化ベンゾイル; - 植物エキスまたは微生物由来のエキス; を挙げることができる。 【0118】 【実施例】 次の実施例と組成物は本発明を例証するが、これは本発明を何ら限定するものではない。組成物における割合は重量%で示している。 【0119】 実施例1:バラ属ガリカ種エキスの生物学的活性: 少なくとも1つのバラ科植物の花弁エキスのレセプター親和性をヒトNK1レセプター(ヒトのサブスタンスPレセプター)に対して測定した。 1)ヒトNK1レセプターに対する少なくとも1つのバラ科植物の花弁エキスのレセプター親和性の測定を、ヒューイレット・イー(Heuillet E.)らの論文:J.Neurochem.,第60巻、1993年、868-876頁に記載されている方法に従って行った。 エキスは、コスメトケム社から「ハーバソール」(登録商標)の名称で販売されているバラ属ガリカ種のエキスであり、1%、5%および10%の濃度でテストした。 各実験中、平行して、調査されるレセプターの参照分子{[Sar9,Met(O2)11]SP、ヒューイレット・イーにより記載されているサブスタンスP類似体(ヒューイレット・イーらのJ.Neurochem.、第60巻、1993年、868-876頁}を、実験を有効にする標準曲線を得るために、8通りの濃度(n=2)でテストした。 【0120】 このようにして、 1%の実施例1のエキスに対し53%の結合度; 5%の実施例1のエキスに対し90%の結合度; 10%の実施例1のエキスに対し96%の結合度; が得られた。 この実験結果には、1%濃度からヒトのサブスタンスPレセプターに対するエキスの親和性が示されている。 得られた結果をプロットした親和性曲線には、2%濃度のエキスにより天然リガンドの50%が置換された(IC50)ことが示されている。 【0121】 2)分離されたインテスチン(intestine)(ileum)の平滑筋に存在するヒトNK1レセプター(ヒトのサブスタンスPレセプター)で行われるin vitroにおける機能テストを、エキスのサブスタンスP拮抗特性を示すために行った。 in vitroにおける実験を、ディオン(Dion)ら[ライフ・サイエンス(Life Sciences)、第41巻、1987年、2269-2278頁]、およびパタッチーニ(Patacchini)ら[Eur.J.Pharmacol.、第215巻、1992年、93-98頁]により記載されている方法に従って行った。 実験用タンクに入れた後、組織(平滑筋)に初期張力1gをかけた。少なくとも60分間の平衡期間の中、生理的溶液を数回交換し、初期張力を調整し、ついでエキスの添加前を観察した。 【0122】 この組織に存在する他の型のレセプターを刺激する間に使用される媒介物の間接的な影響を除去するために、アトロピン(3×10-6M)、ピリラミン(3×10-6M)およびインドメタシン(10-6M)を連続的に存在せしめながら実験を行った。 各々の調製物を、「対照」の収縮応答を得るために、まず10-8Mの濃度のサブスタンスPアゴニスト:[Sar9,Met(O2)11SP]により刺激し、ついで生理的溶液を完全に取り替えた。 ついでこの操作を、少なくとも1つのバラ科植物の花弁エキスの濃度を増加させて40分毎に繰り返し、[Sar9,Met(O2)11SP]の30分前に、それら各々を添加した。 1%の濃度のエキスで[Sar9,Met(O2)11SP]の活性の50%が阻害された。 【0123】 結論: エキスはサブスタンスPレセプターに対する親和性を有し、サブスタンスPに拮抗する特異的活性を持つ。 【0124】 実施例2: 本発明を例証する調製物、特に少なくとも1つのバラ科植物の少なくとも1つの花弁エキスと刺激作用を持つ生成物とを組合せた本発明の組成物の具体例を示す。これらの組成物は種々の成分を、単に混合することで得られたものである。 【0125】 組成物1:顔のメークアップ除去用ローション ハーバソール(登録商標) 1.00 酸化防止剤 0.05 イソプロパノール 40.00 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0126】 組成物2:顔の手入れ用ゲル ハーバソール(登録商標) 4.00 ヒドロキシプロピルセルロース* 1.00 酸化防止剤 0.05 イソプロパノール 40.00 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0127】 組成物3:顔の手入れ用クリーム(水中油型エマルション) ハーバソール(登録商標) 5.00 グリセリンステアラート 2.00 ポリソルベイト60** 1.00 ステアリン酸 1.40 トリエタノールアミン 0.70 カーボマー 0.40 シェアバターの液状留分 12.00 ペルヒドロスクワレン 12.00 酸化防止剤 0.05 香料 0.50 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0128】 組成物4:シャンプー ハーバソール(登録商標) 2.00 ヒドロキシプロピルセルロース* 1.00 香料 0.50 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0129】 組成物5:顔のシワの手入れ用クリーム(水中油型エマルション) ハーバソール(登録商標) 6.00 グリセリンステアラート 2.00 ポリソルベイト60** 1.00 ステアリン酸 1.40 5-n-オクタニルサリチル酸 0.50 トリエタノールアミン 0.70 カーボマー 0.40 シェアバターの液状留分 12.00 ペルヒドロスクワレン 12.00 酸化防止剤 0.05 香料 0.5 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0130】 組成物6:鎮痛ゲル ハーバソール(登録商標) 10.00 ヒドロキシプロピルセルロース* 1.00 酸化防止剤 0.05 塩酸リドカイン 2.00 イソプロパノール 40.00 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0131】 組成物7:太陽性紅斑の手入れ用クリーム(水中油型エマルション) ハーバソール(登録商標) 2.00 グリセリンステアラート 2.00 ポリソルベイト60** 1.00 ステアリン酸 1.40 グリシルレチン酸 2.00 トリエタノールアミン 0.70 カーボマー 0.40 シェアバターの液状留分 12.00 ヒマワリ油 10.00 酸化防止剤 0.05 香料 0.5 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0132】 組成物8:ざ瘡の治療用ゲル ハーバソール(登録商標) 8.00 all-trans-レチノイン酸 0.05 ヒドロキシプロピルセルロース* 1.00 酸化防止剤 0.05 イソプロパノール 40.00 防腐剤 0.30 水 全体を100%にする量 【0133】 組成物9:ざ瘡痕の除去用ローション ハーバソール(登録商標) 2.50 グリコール酸 50.00 ヒドロキシプロピルセルロース* 0.05 NaOH pH=2.8にする量 エタノール 全体を100%にする量 防腐剤 0.30 【0134】 * :ヘルクレス(Hercules)社から販売されているクルーセル(Klucel)H(登録商標) **:アイシーアイ(ICI)社から販売されているトゥイーン(Tween)60(登録商標) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-10-02 |
出願番号 | 特願平10-266992 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
ZA
(A61K)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 鶴見 秀紀 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
深津 弘 横尾 俊一 |
登録日 | 2001-05-11 |
登録番号 | 特許第3186709号(P3186709) |
権利者 | ロレアル |
発明の名称 | バラ科植物エキスの用途 |
代理人 | 園田 吉隆 |
代理人 | 園田 吉隆 |
代理人 | 小林 義教 |
代理人 | 小林 義教 |