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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 発明同一  C08L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1410214
総通号数 29 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-06-12 
確定日 2024-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7202110号発明「シール材用ゴム組成物およびこれを用いたシール材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7202110号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。 特許第7202110号の請求項1~11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7202110号(以下「本件特許」という。)は、平成30年9月7日を出願日とする特願2018-168056号に係る特許であって、令和4年12月27日に特許権の設定登録(請求項の数11)がされ、令和5年1月11日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、令和5年6月12日に、本件特許の請求項1~11に係る特許に対して、特許異議申立人である宮崎周子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。その後の主な手続の経緯は次のとおりである。

令和5年 8月28日付け 取消理由通知書
同年10月23日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年10月31日付け 訂正請求があった旨の通知書

なお、訂正請求があった旨の通知書に対して、申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和5年10月23日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、一群の請求項である請求項1~11について訂正するものであって、次の訂正事項からなるものである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。

<訂正事項>
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」
と記載されているのを、
「前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であり、」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~11も同様に訂正する。)

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項は、訂正前の請求項1におけるゴム成分の選択肢から、「エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム」を削除し、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0022】【0023】にゴム成分として記載されている「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴム」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、新規事項を追加するものでもない。

なお、特許異議の申立てがされた請求項1~11については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する第126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。

3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる要件を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正は、上記第2のとおり認められるので、請求項1~11に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、請求項1~11に係る発明を、請求項の番号に従い「本件発明1」などという。)。

「【請求項1】
ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、
前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり、
前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記カーボンブラックは、算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、
前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対して前記カーボンブラックを25質量部以上200質量部以下含む、請求項1に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックは、少なくとも2種のカーボンブラックの混合物である、請求項1または2に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックは、最大の算術平均粒子径の1/2以下の算術平均粒子径を有する少なくとも1種のカーボンブラックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項5】
前記カーボンブラックは、最大の算術平均粒子径と最小の算術平均粒子径との差が20nm以上450nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項6】
前記カーボンブラックは、MTと、MAFおよびHAFからなる群より選ばれる少なくとも1つとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項8】
前記ゴム成分はテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含み、
前記カーボンブラックはMT、MAFおよびHAFを含み、
前記ゴム成分100質量部に対してMTを5質量部以上10質量部以下、およびMAFとHAFとの総量を20質量部以上30質量部以下含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物の架橋物からなるシール材。
【請求項10】
JIS K6253-3:2012に準拠して測定した硬度が95以下である、請求項9に記載のシール材。
【請求項11】
Oリングである、請求項9または10に記載のシール材。」

第4 特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知書に記載した取消理由
1 申立理由
申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第9号証(以下「甲1」などという。)を提出し、特許異議申立書において、概要、以下の申立理由を主張する。
なお、甲2~甲7は、いずれも、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である。

申立理由1(拡大先願)
請求項1~5、9~10に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲1の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、それらの特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

申立理由2(新規性
請求項1~5、9~11に係る発明は、甲2又は甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、それらの特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

申立理由3(進歩性
請求項1~11に係る発明は、甲2、甲3又は甲4に記載された発明、及び、周知技術(甲5~甲7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

申立理由4(サポート要件)
請求項1~11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

申立理由5(新規事項)
請求項1~11は、新規事項を追加する補正内容を含むので、それらの特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

<甲号証一覧>
甲1:特願2018―103128号(特開2019-206663号公報)
甲2:特開2002-3648号公報
甲3:合成ゴム加工技術全書 全12巻 5 ニトリルゴム,株式会社大成社,昭和51年10月30日,p.53
甲4:特開2004-131597号公報
甲5:特開2015-174879号公報
甲6:特開2015-183116号公報
甲7:特開2017-122140号公報
甲8:本件特許の審査段階において令和4年7月29日に提出した意見書
甲9:甲8と同日に提出した手続補正書

2 取消理由
取消理由通知書に記載した取消理由は、概要、以下のものである。

取消理由1(拡大先願)
請求項1~5、9~11に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲1の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、それらの特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

取消理由2(新規性
請求項1~5、9~11に係る発明は、甲2又は甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、それらの特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

取消理由3(進歩性
請求項1~5、9~11に係る発明は、甲2、甲3又は甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

第5 当審の判断
取消理由1、2、3は、申立理由1、2、3とそれぞれ同旨であるから、以下においてまとめて判断する。

1 取消理由1及び申立理由1(拡大先願)について
(1)甲1に記載された発明
甲1の特許請求の範囲、【0001】、【0005】、【0011】、【0012】、【0018】、【0019】、【0030】~【0047】の記載、特に、請求項1及び実施例2、実施例4、実施例5又は実施例6の記載に加えて、【0030】の記載によれば、これらの実施例の組成のシール材に用いられる未架橋ゴム組成物を架橋してO-リングであるシール材とすることが記載されているといえるから、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。

「水素化ニトリルゴム(HNBR)を主体とする分子間が架橋されたゴム成分と、相対的に粒子径の小さい小粒径カーボンブラックと、相対的に粒子径の大きい大粒径カーボンブラックとを含有する、
以下の表の実施例1、実施例2、実施例4、実施例5又は実施例6の組成からなる、シール材に用いられる未架橋ゴム組成物。


※表における成分・物性の説明
・HNBR(水素化ニトリルゴム)
・小粒径カーボンブラック(N550 粒子径:39nm以上55nm以下)
・大粒径カーボンブラック(N990 粒子径:250nm以上350nm以下)
・架橋剤の有機過酸化物(α,α’-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン)
・マレイミド系共架橋剤(N,N’-m-フェニレンビスマレイミド)
・加工助剤(ステアリン酸)
・活性助剤(酸化亜鉛)
・硬さ(JIS A)は、JIS K6253-3:2012に基づいて、タイプAデュロメータにより硬さを測定」(以下「甲1発明」という。)

(2)本件発明1について
ア 対比
甲1発明の「小粒径カーボンブラック(N550 粒子径:39nm以上55nm以下)」、「大粒径カーボンブラック(N990 粒子径:250nm以上350nm以下)」は、それぞれ本件発明1の「算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラック」、「算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラック」に相当し、甲1発明の小粒径と大粒径のカーボンブラックは、本件発明1の「粒度分布は多峰性」であるカーボンブラックに相当する。
また、甲1発明の実施例1、2、4、5又は6の組成における小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックの質量比率は、100:40(2.5:1:実施例1)、90:30(3:1:実施例2、4~6)であり、本件発明1の「10:1以上1:1未満」に相当する。
さらに、甲1発明の実施例1、2、4、5又は6の組成は、タルクとカーボンナノファイバーを含まないことから、甲1発明の「ゴム成分と、」「カーボンブラックとを含有する、」「以下の表の実施例1、実施例2、実施例4、実施例5又は実施例6の組成からなる、シール材に用いられる未架橋ゴム組成物。」は、本件発明1の「ゴム成分、とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、」「タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、
前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり、
前記カーボンブラックは、
算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、
算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、
前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物。」
<相違点1>
ゴム成分が、本件発明1においては、「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、甲1発明においては、「水素化ニトリルゴム」である点。

イ 判断
甲1発明におけるゴム成分を「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」に変更することが、周知技術の転換等に当たるともいえず、相違点1は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、同一の発明ではない。

(3)本件発明2~5、9~11について
本件発明2~5、9~11は、本件発明1の発明特定事項を含み、更に限定を加えたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5、9~11と甲1発明とは、同一ではない。

(4)小括
以上によれば、本件発明1~5、9~11は、取消理由1及び申立理由1(拡大先願)によっては取り消すことはできない。

2 取消理由2・3及び申立理由2・3(甲2を主引例とする新規性及び進歩性)について
(1)甲2に記載された発明について
甲2の特許請求の範囲、【0008】、【0015】、【0017】、【0033】、【0034】、【0036】、【0040】、【0047】、【0048】、【0050】(表1)の記載によれば、甲2には、特許請求の範囲に記載されたオイルシール部材形成用ゴム組成物及びオイルシール部材の具体例として、実施例1、実施例3及び実施例7のオイルシール部材形成用ゴム組成物が記載され、それらの組成物をOリングに加工して耐発泡性を測定したこと(【0048】)が記載されている。
そうすると、甲2の上記記載、特に、請求項1、実施例3及び実施例7の記載と、【0015】に記載されたFEF、MT、SRFカーボンブラックの粒子径によれば、甲2には、次の発明が記載されていると認められる。

「(a)結合アクリロニトリル量が30~40重量%、ヨウ素価が7~16(mg/100mg)及びムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が70~150の水素添加ニトリルゴム100重量部、
(b)カーボンブラック40~80重量部、
(c)架橋助剤として1,2-ビニル結合を85%以上含有する液状ポリブタジエン1~10重量部、
(d)フタレート系および/またはセバケート系可塑剤1~10重量部並びに(e)架橋剤として有機過酸化物2~10重量部を含有することを特徴とするオイルシール部材成形用ゴム組成物であって、
以下の表の実施例3又は実施例7の組成からなる、オイルシール部材成形用ゴム組成物。

※表における成分の説明
・H-NBR(水素添加ニトリルゴム)
・FEFカーボンブラック(粒子径40~50nm)
・MTカーボンブラック(粒子径200~500nm
・SRFカーボンブラック(粒子径60~100nm) 」(以下「甲2発明」という。)

(2)本件発明1について
ア 対比
甲2発明の実施例3又は7の組成は、ゴム成分とカーボンブラックとを含み、タルクとカーボンナノファイバーを含まないことから、甲2発明の「オイルシール部材成形用ゴム組成物」は、本件発明1の「ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、」「タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物」に相当する。
甲2発明の「FEFカーボンブラック(粒子径40~50nm)」と「SRFカーボンブラック(粒子径60~100nm)」は、本件発明1の「算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラック」に相当し、甲2発明の「MTカーボンブラック(粒子径200~500nm」は、本件発明1の「算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラック」に相当する。
甲2発明の実施例3又は7は、「MTカーボンブラック(粒子径200~500nm)」に加え、「FEFカーボンブラック(粒子径40~50nm)」又は「SRFカーボンブラック(粒子径60~100nm)」を含み、実施例3又は7の「SRF」又は「FEF」:「MT」の質量比は、45:20(2.25:1)であることから、甲2発明の実施例3又は7の2種のカーボンブラックは、本件発明1の「粒度分布は多峰性」であり、「前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満」であるカーボンブラックに相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、
前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり、
前記カーボンブラックは、
算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、
算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、
前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物。」
<相違点1’>
ゴム成分が、本件発明1においては、「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、甲2発明においては、「水素添加ニトリルゴム」である点。

イ 判断
(ア)新規性について
相違点1’は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2に記載された発明ではない。

(イ)進歩性について
甲2発明は、「それを用いて成形したゴム成形物が硬さ、伸び、耐熱性、耐油性にすぐれ、圧縮永久歪みが小さく、150℃の環境下においても発泡、ブリスタおよびクラックが発生しにくいなどといった冷媒であるフルオロ炭化水素に対する耐性にすぐれ、さらに金属との加硫接着の安定性が向上されるオイルシール部材成形用ゴム組成物、およびそれを用いたオイルシール部材を提供する」という課題(【0008】)を解決するための手段として、「特定成分の特定配合比からなるH-NBR(水素化ニトリルゴム)をベースとするゴム組成物」を採用したものである(【0009】)。
そうすると、甲2の記載に接した当業者が、課題を解決するための手段の一つである「H-NBR」に代えて、それとは物性の異なる「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」を採用する動機付けがあるとはいえない。
甲3~甲7の記載を考慮しても同様である。
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明及び甲3~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2~11について
本件発明2~11は、本件発明1の発明特定事項を含み、更に限定を加えたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5、9~11は、甲2に記載された発明ではなく、また、本件発明2~11は、甲2に記載された発明及び甲3~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
以上によれば、本件発明1~11は、取消理由2・3及び申立理由2・3(甲2を主引例とする新規性及び進歩性)によっては取り消すことはできない。

3 取消理由2・3及び申立理由2・3(甲3を主引例とする新規性及び進歩性)について
(1)甲3に記載された発明
甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。

「表3-28の組成を有する、O-リング用組成物。

」(以下「甲3発明」という。)

(2)本件発明1について
ア 対比
甲3発明の「MTブラック」、「SRFブラック」は、カーボンブラックであることは当業者において自明であり、甲3発明は、ゴム成分(中高ニトリルNBR)を含み、タルクとカーボンナノファイバーを含まないことから、甲3発明の「O-リング用組成物」は、本件発明1の「ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、」「タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

<一致点>
「ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、
前記カーボンブラックは、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物。」
<相違点1''>
ゴム成分が、本件発明1においては、「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、甲3発明においては、「中高ニトリルNBR」である点。
<相違点2>
本件発明1は、「前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり」「前記カーボンブラックは、算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満」であるのに対し、甲3発明は、「MTブラック」(20.0重量部)と「SRFブラック」(95.0重量部)とを含む点。

イ 判断
(ア)新規性について
相違点1''は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲3に記載された発明ではない。

(イ)進歩性について
相違点1''についてみると、甲3発明は、「合成ゴム 加工技術全書 5 ニトリルゴム」と題する書籍である甲3の53頁に、O-リングの組成として記載されたものであって、53頁に記載された他の表3-29~表3-32の記載された組成におけるゴム成分は、いずれも中高ニトリルNBRであるから、甲3の記載に接した当業者が、甲3発明の「中高ニトリルNBR」に代えて、「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」を採用する動機付けがあるとはいえない。
甲2、甲4~甲7に記載された事項を考慮しても同様である。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3に記載された発明及び甲2、甲4~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2~11について
本件発明2~11は、本件発明1の発明特定事項を含み、更に限定を加えたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5、9~11は、甲3に記載された発明ではなく、また、本件発明1~11は、甲3に記載された発明及び甲2、甲3~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
以上によれば、本件発明1~11は、取消理由2・3及び申立理由2・3(甲3を主引例とする新規性及び進歩性)によっては取り消すことはできない。

4 取消理由3及び申立理由3(甲4を主引例とする進歩性)について
(1)甲4に記載された発明
甲4の特許請求の範囲、【0008】、【0009】、【0018】、【0022】、【0024】、【0026】(表1)の記載、特に、特許請求の範囲、実施例5~7の記載によれば、以下の発明が記載されていると認められる。

「エチレン含量が60重量%以上のエチレンプロピレン系ゴム100重量部に対し、(1)平均粒子径が50nm以上、(2)BET法による比表面積が30m2/g以下、(3)ヨウ素吸着量が30mg/g以下の少なくとも1つを満足するカーボンブラック10~200重量部と、有機過酸化物とを配合してなることを特徴とする耐塩素水性ゴム組成物であって、以下の表1の実施例5、実施例6又は実施例7の組成からなる、耐塩素水性ゴム組成物。

※硬さ(JIS A)は、JIS K 6253 加硫ゴムの硬さ試験方法(タイプA)により測定。」(以下「甲4発明」という。)

(2)本件発明1について
ア 対比
甲4発明の「SRF(1)(当審注:○囲いの1。以下(1)を省略する。)カーボンブラック(平均粒子径80nm)」は、本件発明1の「算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラック」に相当し、甲4発明の「MTカーボンブラック(平均粒子径 >200nm」は、甲2の【0015】の記載(MTカーボンブラックの粒子径は200~500nm)を参照すると、本件発明1の「算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラック」に相当する。
甲4発明の「SRF」:「MT」の重量比は、60:40(1.5:1。実施例5)、50:20(2.5:1。実施例6)、40:30(約1.3:1。実施例7)であることから、甲4発明の実施例5~7の2種のカーボンブラックは、本件発明1の「粒度分布は多峰性」であり、「前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満」であるカーボンブラックに相当する。
甲4発明の実施例5~7の組成は、ゴム成分(エチレンプロピレン系ゴム)を含み、タルクとカーボンナノファイバーを含まないことから、甲4発明の「耐塩素水性ゴム組成物」は、本件発明1の「ゴム成分とカーボンブラックとを含む」「ゴム組成物であって、」「タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、」「ゴム組成物」に相当する。
そうすると、両発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「ゴム成分とカーボンブラックとを含むゴム組成物であって、
前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり、
前記カーボンブラックは、
算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、
算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、
前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、ゴム組成物。」
<相違点1'''>
ゴム成分が、本件発明1においては、「テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、甲4発明においては、「エチレン含量が60重量%以上のエチレンプロピレン系ゴム」である点。
<相違点3>
本件発明1は、「シール材用」ゴム組成物であるのに対し、甲4発明は、「耐塩素水性」ゴム組成物である点。

イ 判断
相違点1'''についてみると、甲4発明は、「遊離残留塩素を含有する80℃前後の高温の温水中で長期間使用した場合でも、ゴムの劣化による補強材等の充填剤の脱離がなく、例えば水道配管や給湯機器等に使用されるゴム製品及びその成形材料であるゴム組成物を提供する」という課題(【0008】)を解決するための手段の一つとして、高エチレン含量(60重量%以上)のエチレンプロピレン系ゴムを採用したものであるから(【0009】)、甲4発明の「エチレン含量が60重量%以上のエチレンプロピレン系ゴム」に代えて、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種」を採用する動機付けがあるとはいえない。
甲2、甲3、甲5~甲7の記載を考慮しても同様である。
したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4に記載された発明及び甲2、甲3、甲5~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2~11について
本件発明2~11は、本件発明1の発明特定事項を含み、更に限定を加えたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~11は、甲4に記載された発明及び甲2、甲3、甲5~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
以上によれば、本件発明1~11は、取消理由3及び申立理由3(甲4を主引例とする進歩性)によっては取り消すことはできない。

4 取消理由通知において採用しなかった申立理由4(サポート要件)について
(1)本件発明1~11の課題について
本件発明1~11の課題は、「常温での機械的強度と高温での機械的強度とを両立させ、かつ良好な反発力を保持したシール材用ゴム組成物」を提供することである(【0006】)。

(2)本件発明1について
発明の詳細な説明には、使用できるゴム成分として、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどが例示され(【0022】)、カーボンブラックの粒度分布が多峰性であるとき、比表面積が大きいカーボンブラックでもシール材用ゴム組成物に高充填することができ、常温下だけでなく、高温下でも機械的強度を上昇させることができることが記載され(【0027】)、好ましくは、5nm以上100nm未満に極大値を有するカーボンブラックと、100nm以上500nm以下に極大値を有するカーボンブラックとを含むこと(【0028】)、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックの質量比率は、要求される硬度及び機械的強度により適宜調節可能であるが、好ましくは10:1~1:3であり、より好ましくは6:1~1:1であること(【0042】)が記載されている。
また、実施例においては、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴムをゴム成分とし、本願発明1の所定の粒径と重量比を有する多峰性のカーボンブラックを含むゴム組成物に対応する組成物を用いて成形した、実施例1~4のシール材の物性が測定されており、実施例1~4のシール材は、常温での引張強度、熱間強度、永久圧縮歪率に優れることから、常温及び高温での機械的強度に優れ、反発力も保持しており、ロール加工性も良好であったのに対し、1種類のカーボンブラックを用いた比較例1~3のシール材は、引張強度、熱間強度及び圧縮永久歪率のいずれか1つ以上が劣っており、ロール加工性が良好ではなかったことが記載されている(【0064】~【0077】)。
これらの記載によれば、粒度分布が多峰性であるカーボンブラックを用いると、シール材用ゴム組成物にカーボンブラックを高充填できることが、常温下及び高温下での機械的強度の上昇に寄与するものといえ、この点は、実施例で用いられたテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを用いた場合だけでなく、ブチルゴム、シリコーンゴムを用いた場合においても当てはまるといえるから、実施例におけるテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムに代えて、ブチルゴム又はシリコーンゴムを用いても、同等の物性が発揮され、上記の課題を解決できることを当業者は認識できる。
そうすると、当業者は、発明の詳細な説明の記載により、本件発明1が当該発明の課題を解決できることを当業者は認識できる。

(3)本件発明2~11について
発明の詳細に記載された実施例1~4は、本件発明1を更に特定した本件発明2~11に対応するものでもあるから、上記(2)に説示した本件発明1と同様の理由により、当業者は、発明の詳細な説明の記載により、本件発明2~11が当該発明の課題を解決できることを当業者は認識できる。

(4)申立人の主張について
申立人は、実施例において効果を確認できているのは、ゴム成分がテトラフルオロエチレン-エチレン-プロピレンゴムの場合のみであり、化学的特性及び物理的特性の相違を考慮すれば、ブチルゴム及びシリコーンゴムを用いた本件発明1~11の範囲まで、本件出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない旨を主張する(特許異議申立書40~42行)。

しかしながら、発明の詳細な説明に記載された、カーボンブラックの粒度分布が多峰性であれば、比表面積が大きいカーボンブラックでもシール材用ゴム組成物に高充填することができ、常温下だけでなく、高温下でも機械的強度を上昇させることができるという機序(【0027】)は、ゴム成分の種類にかかわらずいえることであるから、テトラフルオロエチレン-エチレン-プロピレンゴムだけでなく、ブチルゴムとシリコーンゴムを用いた場合にも当てはまり、本件発明1~11の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できることを当業者が認識できる。
そして、申立人は、ブチルゴム及びシリコーンゴムを用いた場合には、テトラフルオロエチレン-エチレン-プロピレンゴムにおいて確認された内容を拡張ないし一般化できないとする具体的な理由を示していない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

(5)小括
以上によれば、本件発明1~11は、申立理由4によっては取り消すことはできない。

5 取消理由通知において採用しなかった申立理由5(新規事項)について
(1)申立人は、令和4年7月29日付け手続補正書(甲9)による、「前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、」との記載を追加する補正は、新規事項を追加するものである旨を主張する(特許異議申立書42~43頁)。

(2)しかしながら、本件明細書【0043】の「小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックの質量比率は、要求される硬度および機械的強度により適宜調節可能であるが、好ましくは10:1~1:3であり、より好ましくは6:1~1:1である。」との記載によれば、本件明細書には、「10:1以上1:1以下」の範囲が記載されている。
そして、「10:1以上1:1未満」は、「10:1以上1:1以下」から「1:1」という数値のみを除いたものであるところ、「10:1以上1:1未満」は、「10:1以上1:1以下」と異なる新たな技術的事項を導入する範囲であるということはできない。
したがって、令和4年7月29日付け手続補正書(甲9)による、「前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、」との記載を追加する補正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、新規事項を追加するものではない。

(3)小括
以上によれば、本件発明1~11は、申立理由5によっては取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~11に係る特許は、特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知書に記載した取消理由によっては、取り消すことはできない。
また、その他に、請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分とカーボンブラックとを含むシール材用ゴム組成物であって、
前記カーボンブラックの粒度分布は多峰性であり、
前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、ブチルゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記カーボンブラックは、算術平均粒子径が5nm以上100nm未満である小粒径カーボンブラックと、算術平均粒子径が100nm以上500nm以下である大粒径カーボンブラックとを含み、
前記小粒径カーボンブラックと前記大粒径カーボンブラックの質量比率は、10:1以上1:1未満であり、
タルクおよびカーボンナノファイバーを含まない、シール材用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対して前記カーボンブラックを25質量部以上200質量部以下含む、請求項1に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックは、少なくとも2種のカーボンブラックの混合物である、請求項1または2に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックは、最大の算術平均粒子径の1/2以下の算術平均粒子径を有する少なくとも1種のカーボンブラックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項5】
前記カーボンブラックは、最大の算術平均粒子径と最小の算術平均粒子径との差が20nm以上450nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項6】
前記カーボンブラックは、MTと、MAFおよびHAFからなる群より選ばれる少なくとも1つとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分は、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項8】
前記ゴム成分はテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含み、
前記カーボンブラックはMT、MAFおよびHAFを含み、
前記ゴム成分100質量部に対してMTを5質量部以上10質量部以下、およびMAFとHAFとの総量を20質量部以上30質量部以下含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のシール材用ゴム組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物の架橋物からなるシール材。
【請求項10】
JIS K6253-3:2012に準拠して測定した硬度が95以下である、請求項9に記載のシール材。
【請求項11】
Oリングである、請求項9または10に記載のシール材。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2024-02-08 
出願番号 P2018-168056
審決分類 P 1 651・ 161- YAA (C08L)
P 1 651・ 113- YAA (C08L)
P 1 651・ 537- YAA (C08L)
P 1 651・ 121- YAA (C08L)
P 1 651・ 536- YAA (C08L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 ▲吉▼澤 英一
特許庁審判官 小出 直也
藤原 浩子
登録日 2022-12-27 
登録番号 7202110
権利者 株式会社バルカー
発明の名称 シール材用ゴム組成物およびこれを用いたシール材  
代理人 弁理士法人深見特許事務所  
代理人 弁理士法人深見特許事務所  

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